JP2001264506A - 厚膜を有する光学部材 - Google Patents
厚膜を有する光学部材Info
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- JP2001264506A JP2001264506A JP2000073266A JP2000073266A JP2001264506A JP 2001264506 A JP2001264506 A JP 2001264506A JP 2000073266 A JP2000073266 A JP 2000073266A JP 2000073266 A JP2000073266 A JP 2000073266A JP 2001264506 A JP2001264506 A JP 2001264506A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 光学部材の反射防止効果に影響を与えずに基
材上に厚膜を形成する。 【解決手段】 本発明の光学部材は、屈折率がNsの基
材と、該基材上に形成され、200nmから2μmの領
域の波長λの光に対して前記屈折率Nsと異なる屈折率
Nhを有する厚さλ/Nh(但し、200nm≦λ≦2
μm)以上の厚膜と、該厚膜上に形成された反射防止膜
を有する光学部材であって、前記基材と前記厚膜との間
に下記式(1)及び(2)の両式の条件を満足する中間
膜を有するものである。 Ns<Nf<Nh 又は Ns>Nf>Nh (1) Nf・Df=0.25λ (2) (Ns:基材の屈折率、Nh:厚膜の屈折率、Nf:中
間膜の屈折率、Df:中間膜の膜厚)
材上に厚膜を形成する。 【解決手段】 本発明の光学部材は、屈折率がNsの基
材と、該基材上に形成され、200nmから2μmの領
域の波長λの光に対して前記屈折率Nsと異なる屈折率
Nhを有する厚さλ/Nh(但し、200nm≦λ≦2
μm)以上の厚膜と、該厚膜上に形成された反射防止膜
を有する光学部材であって、前記基材と前記厚膜との間
に下記式(1)及び(2)の両式の条件を満足する中間
膜を有するものである。 Ns<Nf<Nh 又は Ns>Nf>Nh (1) Nf・Df=0.25λ (2) (Ns:基材の屈折率、Nh:厚膜の屈折率、Nf:中
間膜の屈折率、Df:中間膜の膜厚)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光の反射特性が優
れた厚膜を具えた部材に関する。
れた厚膜を具えた部材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の眼鏡レンズは、図7に示すように
プラスチック基材1の表面に機械的強度を向上させる目
的の厚膜(ハードコート)3が形成されており、その上
に単層又は多層の反射防止膜4が施されている。
プラスチック基材1の表面に機械的強度を向上させる目
的の厚膜(ハードコート)3が形成されており、その上
に単層又は多層の反射防止膜4が施されている。
【0003】最近、眼鏡レンズ等に用いるプラスチック
基材の高屈折率化が進み、これに合わせて、高い屈折率
を有する厚膜が必要になってきた。そして、プラスチッ
ク基材の高屈折率化が進むにつれて、屈折率のバリエー
ションも様々なものが開発されるようになった。このよ
うな様々な屈折率のバリエーションに屈折率を合わせる
ため、厚膜も高い屈折率を有するものが様々開発されて
きた。更に、厚膜上に施される反射防止膜も厚膜の開発
に合わせて膜構成を変えなければならなかった。
基材の高屈折率化が進み、これに合わせて、高い屈折率
を有する厚膜が必要になってきた。そして、プラスチッ
ク基材の高屈折率化が進むにつれて、屈折率のバリエー
ションも様々なものが開発されるようになった。このよ
うな様々な屈折率のバリエーションに屈折率を合わせる
ため、厚膜も高い屈折率を有するものが様々開発されて
きた。更に、厚膜上に施される反射防止膜も厚膜の開発
に合わせて膜構成を変えなければならなかった。
【0004】一方近年、製品の短納期化の要請及びニ−
ズの多様化に伴う多品種少量生産が行われる様になり、
生産効率を高めるために厚膜とその上に施される反射防
止膜の共通化の要請が強まってきた。即ち、厚膜を形成
するハ−ドコ−ティング装置や反射防止膜を形成する真
空蒸着装置のような、高価な設備を出来るだけ少くして
効率良く稼働したいという要請である。
ズの多様化に伴う多品種少量生産が行われる様になり、
生産効率を高めるために厚膜とその上に施される反射防
止膜の共通化の要請が強まってきた。即ち、厚膜を形成
するハ−ドコ−ティング装置や反射防止膜を形成する真
空蒸着装置のような、高価な設備を出来るだけ少くして
効率良く稼働したいという要請である。
【0005】また、高屈折率を有する厚膜の材料は高価
な場合が多いため、コスト的に不利である。更に、高屈
折率を有する厚膜の材料は、機械的な強度が弱い場合が
多い。
な場合が多いため、コスト的に不利である。更に、高屈
折率を有する厚膜の材料は、機械的な強度が弱い場合が
多い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の技術で製造され
た例えば眼鏡レンズは、分光反射率特性にリップルが現
れ、その結果、反射色に縞状のムラが発生してしまう問
題点があった。これは、審美性を主ずる眼鏡レンズにお
いては、好ましくないものである。
た例えば眼鏡レンズは、分光反射率特性にリップルが現
れ、その結果、反射色に縞状のムラが発生してしまう問
題点があった。これは、審美性を主ずる眼鏡レンズにお
いては、好ましくないものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記した従
来の問題点の原因を探った。その結果、基材とその上に
施す厚膜の屈折率が異なる場合に生じ、この屈折率の差
が大きいほど前記問題点は、顕著になることが判った。
来の問題点の原因を探った。その結果、基材とその上に
施す厚膜の屈折率が異なる場合に生じ、この屈折率の差
が大きいほど前記問題点は、顕著になることが判った。
【0008】また、反射色に縞状のムラが発生する原因
は、以下の理由によるものである。
は、以下の理由によるものである。
【0009】図9は、基板に形成された従来の厚膜表面
に、入射角を変えた(0°及び25°)光を入射させ、
各波長における反射率を測定した結果を示す反射率特性
図である。
に、入射角を変えた(0°及び25°)光を入射させ、
各波長における反射率を測定した結果を示す反射率特性
図である。
【0010】図9に示す様に、基材表面からの反射光の
傾きの違いにより、分光反射率特性は変化し、入射角に
よっては、リップルの山と谷が反転することが判る。こ
れにより、入射角によって反射色が異なって見えるので
ある。
傾きの違いにより、分光反射率特性は変化し、入射角に
よっては、リップルの山と谷が反転することが判る。こ
れにより、入射角によって反射色が異なって見えるので
ある。
【0011】このような理由から図10に示すように、
曲率のついた基材からの反射光を見ると、反射色の異な
った縞状のムラとなって観察される。
曲率のついた基材からの反射光を見ると、反射色の異な
った縞状のムラとなって観察される。
【0012】図11は、基板に形成された従来の厚膜が
有する膜厚ムラの反射率特性への影響を見た結果であ
る。
有する膜厚ムラの反射率特性への影響を見た結果であ
る。
【0013】図11中、実線は厚膜の膜厚(Dh)を
5.769λとし、鎖線は、5.519λ(λは、共に
520nm)としたものである。
5.769λとし、鎖線は、5.519λ(λは、共に
520nm)としたものである。
【0014】図11に示す様に、厚膜の膜厚ムラによっ
ても分光反射率特性が変化することが判る。従って、膜
厚ムラも縞状のムラの原因となることが判る。
ても分光反射率特性が変化することが判る。従って、膜
厚ムラも縞状のムラの原因となることが判る。
【0015】図7に示すように、基材1の屈折率と厚膜
3の屈折率とが異なる場合、両者の界面で反射光5が発
生する。この界面での反射光5と厚膜3の上に施された
反射防止膜4の反射光6との間に、厚膜3を挟んで干渉
が起きる結果、図8に示すように分光反射率特性にリッ
プルが発生する。
3の屈折率とが異なる場合、両者の界面で反射光5が発
生する。この界面での反射光5と厚膜3の上に施された
反射防止膜4の反射光6との間に、厚膜3を挟んで干渉
が起きる結果、図8に示すように分光反射率特性にリッ
プルが発生する。
【0016】本発明は、この干渉の一方の光、即ち、基
材1と厚膜3との界面で発生する反射光5を低減させる
ことにより、分光反射率特性に現れるリップルを軽減す
ると共に、基材の屈折率を変えても同じ分光反射率特性
を有する光学薄膜部材を提供するものである。
材1と厚膜3との界面で発生する反射光5を低減させる
ことにより、分光反射率特性に現れるリップルを軽減す
ると共に、基材の屈折率を変えても同じ分光反射率特性
を有する光学薄膜部材を提供するものである。
【0017】そして、基材1の屈折率が変わっても同じ
分光反射率特性が得られるようにすることにより、様々
な屈折率を有する基材1に対して、その上に施される厚
膜3及び反射防止膜4を共通化することができるもので
ある。
分光反射率特性が得られるようにすることにより、様々
な屈折率を有する基材1に対して、その上に施される厚
膜3及び反射防止膜4を共通化することができるもので
ある。
【0018】そこで、本発明は第1に「屈折率がNsの
基材と、該基材上に形成され、200nmから2μmの
領域の波長λの光に対して前記屈折率Nsと異なる屈折
率Nhを有する厚さλ/Nh(但し、200nm≦λ≦
2μm)以上の厚膜と、該厚膜上に形成された反射防止
膜を有する光学部材であって、前記基材と前記厚膜との
間に下記式(1)及び(2)の両式の条件を満足する中
間膜を有することを特徴とする光学部材。
基材と、該基材上に形成され、200nmから2μmの
領域の波長λの光に対して前記屈折率Nsと異なる屈折
率Nhを有する厚さλ/Nh(但し、200nm≦λ≦
2μm)以上の厚膜と、該厚膜上に形成された反射防止
膜を有する光学部材であって、前記基材と前記厚膜との
間に下記式(1)及び(2)の両式の条件を満足する中
間膜を有することを特徴とする光学部材。
【0019】 Ns<Nf<Nh 又は Ns>Nf>Nh (1) Nf・Df=0.25λ (2) (Ns:基材の屈折率、Nh:厚膜の屈折率、Nf:中
間膜の屈折率、Df:中間膜の膜厚)(請求項1)」を
提供する。
間膜の屈折率、Df:中間膜の膜厚)(請求項1)」を
提供する。
【0020】第2に「前記光学部材において、前記中間
膜は下記式(2)及び(3)の両式の条件を満足するも
のであることを特徴とする請求項1に記載の光学部材。
膜は下記式(2)及び(3)の両式の条件を満足するも
のであることを特徴とする請求項1に記載の光学部材。
【0021】 Nf・Df=0.25λ (2) Nf=(Ns)1/2・(Nh)1/2 (3) (Ns:基材の屈折率、Nh:厚膜の屈折率、Nf:中
間膜の屈折率、Df:中間膜の膜厚)(請求項2)」を
提供する。
間膜の屈折率、Df:中間膜の膜厚)(請求項2)」を
提供する。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明は、図1に示すような構成
を成すものであり、基材1と厚膜3との界面で発生する
反射を低減させるために、下記(1)式と(2)式の両
者の条件を満足するように、中間膜2を基材1と厚膜3
との間に施すものである。
を成すものであり、基材1と厚膜3との界面で発生する
反射を低減させるために、下記(1)式と(2)式の両
者の条件を満足するように、中間膜2を基材1と厚膜3
との間に施すものである。
【0023】 Ns<Nf<Nh 又は Ns>Nf>Nh (1) Nf・Df=0.25λ (2) (Ns:基材の屈折率、Nh:厚膜の屈折率、Nf:中
間膜の屈折率、Df:中間膜の膜厚) また、下記(2)式と(3)式の両者の条件を満足する
ように、中間膜2を基材1と厚膜3との間に施すもので
ある。
間膜の屈折率、Df:中間膜の膜厚) また、下記(2)式と(3)式の両者の条件を満足する
ように、中間膜2を基材1と厚膜3との間に施すもので
ある。
【0024】 Nf・Df=0.25λ (2) Nf=(Ns)1/2・(Nh)1/2 (3) (Ns:基材の屈折率、Nh:厚膜の屈折率、Nf:中
間膜の屈折率、Df:中間膜の膜厚) 本発明で使用可能な基材の材料は、特に限定されるもの
ではないが、従来のプラスチック製眼鏡レンズに使用さ
れているものが使用可能である。例えば、ポリカーボネ
ートやチオウレタン系樹脂、エポキシメタクリレート、
チオエポキシ系樹脂等が挙げられる。
間膜の屈折率、Df:中間膜の膜厚) 本発明で使用可能な基材の材料は、特に限定されるもの
ではないが、従来のプラスチック製眼鏡レンズに使用さ
れているものが使用可能である。例えば、ポリカーボネ
ートやチオウレタン系樹脂、エポキシメタクリレート、
チオエポキシ系樹脂等が挙げられる。
【0025】厚膜の材料としては、従来、眼鏡レンズの
ハードコートに用いられている材料が使用可能である。
例えば、樹脂成分としては、シリコン系樹脂やメラミン
系樹脂、ウレタン系樹脂、又は紫外線効果型樹脂(例え
ばアクリル系樹脂)などが挙げられる。
ハードコートに用いられている材料が使用可能である。
例えば、樹脂成分としては、シリコン系樹脂やメラミン
系樹脂、ウレタン系樹脂、又は紫外線効果型樹脂(例え
ばアクリル系樹脂)などが挙げられる。
【0026】また、これら厚膜中には、無機酸化物微粒
子を含有し、硬度の向上や屈折率の調整を図ってもよ
い。具体的には酸化珪素や、酸化ジルコニウム、酸化ア
ンチモン、酸化スズ。酸化チタン、酸化タングステン等
が使用可能であり、これらは各々を単体、又はこれらの
混合物又は固溶体の形態での使用が可能である。
子を含有し、硬度の向上や屈折率の調整を図ってもよ
い。具体的には酸化珪素や、酸化ジルコニウム、酸化ア
ンチモン、酸化スズ。酸化チタン、酸化タングステン等
が使用可能であり、これらは各々を単体、又はこれらの
混合物又は固溶体の形態での使用が可能である。
【0027】反射防止膜としては、酸化珪素、弗化マグ
ネシウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化
チタンを積層した多層反射防止膜が好ましい。
ネシウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化
チタンを積層した多層反射防止膜が好ましい。
【0028】更に、中間膜に使用可能な材料としては、
前記したような厚膜に使用できる材料とフッ素系樹脂を
組み合わせた混合物等が使用できる。
前記したような厚膜に使用できる材料とフッ素系樹脂を
組み合わせた混合物等が使用できる。
【0029】図2は、本発明に関わる、光学薄膜を有す
る物品の分光反射率特性を示す一例である。
る物品の分光反射率特性を示す一例である。
【0030】図2から判るように、本発明の構成によれ
ば、図8のような従来の光学物品が示す分光反射率特性
における大きなリップルが軽減できることが判る。
ば、図8のような従来の光学物品が示す分光反射率特性
における大きなリップルが軽減できることが判る。
【0031】[実施例1〜3及び比較例]本実施例で
は、従来から広く用いられてきた屈折率1.50の厚膜
(膜厚は、2μm)を屈折率1.56(実施例1)、
1.66(実施例2)、1.73(実施例3)を有する
基材にそれぞれ施す。そして、本各実施例では、基材と
厚膜との間に屈折率の異なる中間膜(光学的膜厚は、
0.25λ,λ=520nm)をそれぞれ形成した。そ
して、中間膜の屈折率は、1.530(実施例1)、
1.578(実施例2)、1.611(実施例3)とし
た(表1参照、Dfは中間膜の膜厚、Dhは厚膜の膜厚
を示す。またλは520nm、Nhは厚膜の屈折率であ
り1.50とした)。
は、従来から広く用いられてきた屈折率1.50の厚膜
(膜厚は、2μm)を屈折率1.56(実施例1)、
1.66(実施例2)、1.73(実施例3)を有する
基材にそれぞれ施す。そして、本各実施例では、基材と
厚膜との間に屈折率の異なる中間膜(光学的膜厚は、
0.25λ,λ=520nm)をそれぞれ形成した。そ
して、中間膜の屈折率は、1.530(実施例1)、
1.578(実施例2)、1.611(実施例3)とし
た(表1参照、Dfは中間膜の膜厚、Dhは厚膜の膜厚
を示す。またλは520nm、Nhは厚膜の屈折率であ
り1.50とした)。
【0032】
【表1】
【0033】また、本実施例で形成した反射防止膜の膜
構成と各層の屈折率並びに光学的膜厚を図3に示す。
構成と各層の屈折率並びに光学的膜厚を図3に示す。
【0034】各実施例の部材の製造方法は以下の通りで
ある。
ある。
【0035】各実施例で用いるそれぞれのプラスチック
基材を洗浄後、まず中間膜を成膜する。材料としては、
屈折率が1.41(硬化後の屈折率)のフッ素系ポリマ
ー(JSR(株)社製、オプスターJN7216)と屈
折率が1.68(硬化後の屈折率)のジルコニア系ポリ
マー(JSR(株)社製、オプスターJN7102)を
用いた。
基材を洗浄後、まず中間膜を成膜する。材料としては、
屈折率が1.41(硬化後の屈折率)のフッ素系ポリマ
ー(JSR(株)社製、オプスターJN7216)と屈
折率が1.68(硬化後の屈折率)のジルコニア系ポリ
マー(JSR(株)社製、オプスターJN7102)を
用いた。
【0036】本実施例では、中間膜の屈折率をNf=
(Ns)1/2・(Nh)1/2に調整する。そのため、中間
膜になる材料の配合比をLorentz−Lorenz
の式(下記式)から算出して混合する。
(Ns)1/2・(Nh)1/2に調整する。そのため、中間
膜になる材料の配合比をLorentz−Lorenz
の式(下記式)から算出して混合する。
【0037】
【数1】
【0038】これは、第1成分(屈折率をn1、比重を
ρ1)と第2成分(屈折率をn2、比重をρ2)とを混合
し、屈折率がnの混合物を生成するときの第1成分と第
2成分の配合比をw1/w2(重量比)として表わしたも
のである。
ρ1)と第2成分(屈折率をn2、比重をρ2)とを混合
し、屈折率がnの混合物を生成するときの第1成分と第
2成分の配合比をw1/w2(重量比)として表わしたも
のである。
【0039】例えば、第1成分として前記したような、
屈折率が1.41のフッ素系ポリマーと、第2成分とし
て屈折率が1.68のジルコニア系ポリマーを用い、屈
折率nが1.578の中間膜を得たい場合を考える。こ
のときρ1/ρ2を0.88とし、上記のLorentz
−Lorenzの式に各屈折率を代入すれば、w1/w2
=1.007となる。つまり、第2成分1に対して、第
1成分を1.007の比で配合すれば、屈折率が1.5
78(Nf)の中間膜が得られることになる。
屈折率が1.41のフッ素系ポリマーと、第2成分とし
て屈折率が1.68のジルコニア系ポリマーを用い、屈
折率nが1.578の中間膜を得たい場合を考える。こ
のときρ1/ρ2を0.88とし、上記のLorentz
−Lorenzの式に各屈折率を代入すれば、w1/w2
=1.007となる。つまり、第2成分1に対して、第
1成分を1.007の比で配合すれば、屈折率が1.5
78(Nf)の中間膜が得られることになる。
【0040】そして、このようにして求められた配合比
の材料を用い、Df=0.25×520/Nf(nm)
に従い、前記で求められた前記Nf値(1.578)を
代入することで、形成する中間膜の膜厚(Df)を算出
する。
の材料を用い、Df=0.25×520/Nf(nm)
に従い、前記で求められた前記Nf値(1.578)を
代入することで、形成する中間膜の膜厚(Df)を算出
する。
【0041】膜厚の制御は、例えばスピンコ−ト法によ
り塗布する場合、基材の回転数を変えることで実現する
ことができる。因みに、形成された膜厚の確認は、分光
反射率特性から求めることができる。
り塗布する場合、基材の回転数を変えることで実現する
ことができる。因みに、形成された膜厚の確認は、分光
反射率特性から求めることができる。
【0042】中間膜となる材料を塗布した後、塗膜を加
熱(例えば120℃、60分間)し、熱硬化させること
により硬化した中間膜を施した(塗膜の硬化は、紫外線
による硬化を行ってもよい)。
熱(例えば120℃、60分間)し、熱硬化させること
により硬化した中間膜を施した(塗膜の硬化は、紫外線
による硬化を行ってもよい)。
【0043】次に、前記で形成された中間膜上に厚膜を
形成する。厚膜の形成には、屈折率1.50を有するシ
リカ系アクリレ−ト(シリカ微粒子含有アクリレート樹
脂)を用い、膜厚(Dh)が2μmとなるようにした。
成膜方法は、デッピングコ−ト法を用いて塗布し、その
後、窒素雰囲気中で紫外線を照射し硬化させ形成した
(加熱による硬化でもよい)。
形成する。厚膜の形成には、屈折率1.50を有するシ
リカ系アクリレ−ト(シリカ微粒子含有アクリレート樹
脂)を用い、膜厚(Dh)が2μmとなるようにした。
成膜方法は、デッピングコ−ト法を用いて塗布し、その
後、窒素雰囲気中で紫外線を照射し硬化させ形成した
(加熱による硬化でもよい)。
【0044】厚膜形成後、厚膜上に真空蒸着法により図
3に示す反射防止膜を施した。
3に示す反射防止膜を施した。
【0045】図4に実施例1〜3、即ち、屈折率が1.
56、1.66及び1.73の基材と厚膜との間に本発
明の中間膜を施した場合の分光反射率特性を示す。ま
た、これら実施例との比較例4として、屈折率が1.5
0の基材上に直接、反射防止膜(図3に記載)を形成し
たもの(中間膜及び厚膜なし)を形成した。
56、1.66及び1.73の基材と厚膜との間に本発
明の中間膜を施した場合の分光反射率特性を示す。ま
た、これら実施例との比較例4として、屈折率が1.5
0の基材上に直接、反射防止膜(図3に記載)を形成し
たもの(中間膜及び厚膜なし)を形成した。
【0046】図4から判るように、実施例1〜3のもの
は、分光反射率特性でのリップルが軽減されていること
が判る。更に、基材の屈折率が各々異なるにもかかわら
ず、各々は、ほぼ同じ分光反射率特性を示していること
が判る。
は、分光反射率特性でのリップルが軽減されていること
が判る。更に、基材の屈折率が各々異なるにもかかわら
ず、各々は、ほぼ同じ分光反射率特性を示していること
が判る。
【0047】従って、本発明によれば、様々な屈折率を
有する基材に対しても、同じ分光反射率特性をもたせる
ことができる。即ち、様々な屈折率を有する基材に対し
て、基材上に施される厚膜3及び反射防止膜4を共通化
できることになる。
有する基材に対しても、同じ分光反射率特性をもたせる
ことができる。即ち、様々な屈折率を有する基材に対し
て、基材上に施される厚膜3及び反射防止膜4を共通化
できることになる。
【0048】そして、中間膜と厚膜を形成せず、基材上
に直接、反射防止膜を形成した比較例4のものと、実施
例1〜3のもを比較すると、両者の各々の曲線は、略同
じ線上に位置していることが分かる。従って、実施例1
〜3のように中間膜を基材と厚膜との間に施すことによ
り、光学的に厚膜と同じ屈折率を有する基材の上に反射
防止膜を施したものと実質的に同じ状態にすることがで
きることを示している。
に直接、反射防止膜を形成した比較例4のものと、実施
例1〜3のもを比較すると、両者の各々の曲線は、略同
じ線上に位置していることが分かる。従って、実施例1
〜3のように中間膜を基材と厚膜との間に施すことによ
り、光学的に厚膜と同じ屈折率を有する基材の上に反射
防止膜を施したものと実質的に同じ状態にすることがで
きることを示している。
【0049】本実施例では、可視光領域の波長について
反射率特性を示したが、本発明は、使用する薄膜材料が
実質的に透明であれば有効であり、紫外線領域の200
nmから近赤外領域の2μm迄の光に対して有効であ
る。
反射率特性を示したが、本発明は、使用する薄膜材料が
実質的に透明であれば有効であり、紫外線領域の200
nmから近赤外領域の2μm迄の光に対して有効であ
る。
【0050】本発明のように基材と厚膜との間に特定の
条件を備えた中間膜を具えることにより、厚膜を形成し
耐擦傷性を向上させると共に、厚膜と同じ屈折率を有す
る基材上に直接反射防止膜を形成した場合と同様の分光
反射率特性を奏する光学部材を得ることができる。
条件を備えた中間膜を具えることにより、厚膜を形成し
耐擦傷性を向上させると共に、厚膜と同じ屈折率を有す
る基材上に直接反射防止膜を形成した場合と同様の分光
反射率特性を奏する光学部材を得ることができる。
【0051】図6は、対象とする波長λの光に対し、厚
膜の膜厚がλ/Nh(但し、Nhは厚膜の屈折率)未満
の場合(比較例5)についての、分光反射率特性を表わ
した図である。図6を見ると、リップルが大きくうねる
ようになり、あまり有効では無くなることが分かる。
膜の膜厚がλ/Nh(但し、Nhは厚膜の屈折率)未満
の場合(比較例5)についての、分光反射率特性を表わ
した図である。図6を見ると、リップルが大きくうねる
ようになり、あまり有効では無くなることが分かる。
【0052】図5は、実施例1〜3の構成で基材と厚膜
との間に本発明の中間膜を施さなかった場合(比較例1
〜3)の分光反射率特性を示したものである。図5から
判るように、本比較例1〜3では、分光反射率特性に大
きなリップルが発生する。そして、基材と基材上に形成
する厚膜の屈折率の差が大きいほど振幅の大きなリップ
ルが発生することも判る。更に、基材の屈折率の差異に
より反射率の大きさが変化することも判る。
との間に本発明の中間膜を施さなかった場合(比較例1
〜3)の分光反射率特性を示したものである。図5から
判るように、本比較例1〜3では、分光反射率特性に大
きなリップルが発生する。そして、基材と基材上に形成
する厚膜の屈折率の差が大きいほど振幅の大きなリップ
ルが発生することも判る。更に、基材の屈折率の差異に
より反射率の大きさが変化することも判る。
【0053】
【発明の効果】本発明によれば、基材上に厚膜及び反射
防止膜を形成する場合、基材上に特定条件の中間膜を形
成することにより、基材の屈折率が異なっても同じ分光
反射率特性を得ることができるようになる。従って、様
々な屈折率を有する基材に対して、基材上に形成される
厚膜及び反射防止膜を共通化することができる。
防止膜を形成する場合、基材上に特定条件の中間膜を形
成することにより、基材の屈折率が異なっても同じ分光
反射率特性を得ることができるようになる。従って、様
々な屈折率を有する基材に対して、基材上に形成される
厚膜及び反射防止膜を共通化することができる。
【0054】よって、様々な屈折率を有する基材に本発
明の中間膜を形成した後は、厚膜や反射防止膜が異なっ
ても同じ生産ラインに流すことができるようになる。
明の中間膜を形成した後は、厚膜や反射防止膜が異なっ
ても同じ生産ラインに流すことができるようになる。
【0055】このような効果から、基材が変わることに
よる設備の切り替えを行うことなく、かつ少ない設備で
効率的に光学部材が生産ができ、短納期化及び多品種少
量生産に大変有益となる。
よる設備の切り替えを行うことなく、かつ少ない設備で
効率的に光学部材が生産ができ、短納期化及び多品種少
量生産に大変有益となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明の膜構成を有する光学部材の基本構
成の断面図である。
成の断面図である。
【図2】は、本発明の膜構成を有する光学部材の分光反
射率特性を示す図である。
射率特性を示す図である。
【図3】は、実施例及び比較例に関わる反射防止膜の構
成を示す概略の断面図である。
成を示す概略の断面図である。
【図4】は、実施例1〜3及び比較例4の分光反射率特
性を示す図である。
性を示す図である。
【図5】は、比較例1〜3の分光反射率特性を示す図で
ある。
ある。
【図6】は、比較例5の分光反射率特性である。
【図7】は、従来の膜構成を有する光学部材の概略の断
面図である。
面図である。
【図8】は、従来の膜構成を有する光学部材の分光反射
率特性を示す図である。
率特性を示す図である。
【図9】は、従来の膜構成を有する光学部材の光入射角
の差異による分光反射率特性の影響を示す図である。
の差異による分光反射率特性の影響を示す図である。
【図10】は、曲率のついた基材からの反射光を見る場
合の見る場所による傾きの違いを示す図である。
合の見る場所による傾きの違いを示す図である。
【図11】は、従来の膜構成を有する光学部材の膜厚ム
ラが与える分光反射率特性への影響を示す図である。
ラが与える分光反射率特性への影響を示す図である。
1・・・基材 2・・・中間膜 3・・・厚膜 4・・・反射防止膜 5・・・基材1と厚膜3との界面での反射光 6・・・反射防止膜の反射光 7・・・曲率のついた基材 8・・・反射角の小さい反射光 9・・・反射角の大きい反射光 10・・目 11・・酸化アルミニウム(屈折率1.62、光学的膜
厚0.25λ、λ=520nm) 12・・二酸化チタン(屈折率2.10、光学的膜厚
0.50λ、λ=520nm) 13・・二酸化珪素(屈折率1.47、光学的膜厚0.
25λ、λ=520nm)
厚0.25λ、λ=520nm) 12・・二酸化チタン(屈折率2.10、光学的膜厚
0.50λ、λ=520nm) 13・・二酸化珪素(屈折率1.47、光学的膜厚0.
25λ、λ=520nm)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2K009 AA06 AA15 BB23 BB24 BB25 CC03 CC06 CC09 CC24 DD02 DD03 DD06 4F006 AA22 AA34 AA36 AA37 AB24 AB33 AB39
Claims (2)
- 【請求項1】 屈折率がNsの基材と、該基材上に形成
され、200nmから2μmの領域の波長λの光に対し
て前記屈折率Nsと異なる屈折率Nhを有する厚さλ/
Nh(但し、200nm≦λ≦2μm)以上の厚膜と、
該厚膜上に形成された反射防止膜を有する光学部材であ
って、前記基材と前記厚膜との間に下記式(1)及び
(2)の両式の条件を満足する中間膜を有することを特
徴とする光学部材。 Ns<Nf<Nh 又は Ns>Nf>Nh (1) Nf・Df=0.25λ (2) (Ns:基材の屈折率、Nh:厚膜の屈折率、Nf:中
間膜の屈折率、Df:中間膜の膜厚) - 【請求項2】 前記光学部材において、前記中間膜は下
記式(2)及び(3)の両式の条件を満足するものであ
ることを特徴とする請求項1に記載の光学部材。 Nf・Df=0.25λ (2) Nf=(Ns)1/2・(Nh)1/2 (3) (Ns:基材の屈折率、Nh:厚膜の屈折率、Nf:中
間膜の屈折率、Df:中間膜の膜厚)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000073266A JP2001264506A (ja) | 2000-03-16 | 2000-03-16 | 厚膜を有する光学部材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000073266A JP2001264506A (ja) | 2000-03-16 | 2000-03-16 | 厚膜を有する光学部材 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001264506A true JP2001264506A (ja) | 2001-09-26 |
Family
ID=18591531
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000073266A Pending JP2001264506A (ja) | 2000-03-16 | 2000-03-16 | 厚膜を有する光学部材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001264506A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20030003081A (ko) * | 2001-06-29 | 2003-01-09 | 가부시끼가이샤 도시바 | 다층 구조의 정보 매체 및 이 매체를 이용하는 장치와 방법 |
-
2000
- 2000-03-16 JP JP2000073266A patent/JP2001264506A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20030003081A (ko) * | 2001-06-29 | 2003-01-09 | 가부시끼가이샤 도시바 | 다층 구조의 정보 매체 및 이 매체를 이용하는 장치와 방법 |
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