JP2001262262A - 鋳造用アルミニウム合金及びその熱処理方法 - Google Patents
鋳造用アルミニウム合金及びその熱処理方法Info
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Abstract
度及び靱性が殆ど劣化しない鋳造用アルミニウム合金及
びその熱処理方法を提供するものである。 【解決手段】 化学組成が、Cu:0.5〜1.5wt
%、Mg:0.3〜0.7wt%、Si:6.5〜7.
5wt%、及び残部:Alからなる鋳造体に、安定化処
理を施し、引張強度を320MPa以上、伸びを5%以
上としたものである。また、安定化処理における時効処
理温度を、200〜300℃、好ましくは220〜26
0℃、安定化処理における時効処理時間を、最高強度が
得られる時効処理時間よりも長い時間とするものであ
る。
Description
ム合金及びその熱処理方法に係り、特に、疲労強度及び
熱疲労強度が共に高く、内燃機関用シリンダーヘッド/
ブロック等に用いられる鋳造用アルミニウム合金及びそ
の熱処理方法に関するものである。
(特に靱性)が要求される鋳造用合金の一つとして、鋳
造性及び機械的性質に優れるAl-Si-Mg系合金(例えば、
AC4C(JIS記号))が挙げられる。このAC4C鋳造品と
しては、内燃機関用シリンダーヘッド/ブロック、自動
車用アルミホイール、マニホールド、油圧シリンダーボ
ディ等がある。
靱性を高めるべく、AC4C鋳造体にT6処理(溶体化・焼
入れ処理後に、最高強度が得られる焼戻し温度の時効処
理)を施し、AC4C-T6 鋳造品を製品として使用すること
が多い。
6 鋳造品を、T6処理の時効処理温度(約160℃前
後)を超える高温の環境下で使用していると、使用中、
局部的に時効析出が生じてしまう。この局部的な時効析
出の進行に伴って、徐々にAC4C-T6 材の機械的特性が低
下してしまう。
ヘッド131の場合、エンジン運転中におけるヘッド上
面132の温度は略常温(最高でも100℃未満)のま
まであるが、燃焼室(図示せず)側のヘッド下面133
の温度は、約250℃又は250℃以上の高温になる。
このため、ヘッド下面133の部分は、耐低サイクル疲
労破壊性、即ち熱疲労強度が高いことが好ましく、高い
伸び(靱性)が要求され、ヘッド上面132の部分は、
耐高サイクル疲労破壊性、即ち疲労強度が高いことが好
ましく、高い引張強度が要求される。この時、局部的な
時効析出の進行に伴って、AC4C-T6 材の靱性および引張
強度が低下すると、ヘッド上面132の薄肉部134、
スプリングシート座135、吸入ポート壁136、排出
ポート壁137、およびヘッド下面133の薄肉部13
8等に亀裂Kが生じてしまう。
の生成を抑える方法として、鋳造体に安定化処理(T7
処理(溶体化・焼入れ処理後に、T6処理の時効処理温
度よりも高い温度の時効処理))を施す方法が挙げられ
るが、AC4C鋳造体に安定化処理を施した場合、AC4Cの特
性上、得られるAC4C-T7 鋳造品の強度が著しく低くなる
という問題があった。
目的は、強度及び靱性に優れ、かつ、高温環境下で強度
及び靱性が殆ど劣化しない鋳造用アルミニウム合金及び
その熱処理方法を提供することにある。
発明に係る鋳造用アルミニウム合金は、疲労強度及び熱
疲労強度が共に要求され、かつ、高温環境下で該疲労強
度及び熱疲労強度が殆ど劣化しない鋳造用アルミニウム
合金において、化学組成が、 Cu:0.5〜1.5wt%、 Mg:0.3〜0.7wt%、 Si:6.5〜7.5wt%、及び 残部:Alからなる鋳造体に安定化処理を施してなるも
のである。
金は、疲労強度及び熱疲労強度が共に要求され、かつ、
高温環境下で該疲労強度及び熱疲労強度が殆ど劣化しな
い鋳造用アルミニウム合金において、化学組成が、 Cu:0.5〜1.5wt%、 Mg:0.3〜0.7wt%、 Si:6.5〜7.5wt%、及び 残部:Alからなる鋳造体に安定化処理を施し、引張強
度を320MPa以上、伸びを5%以上としたものであ
る。
金は、疲労強度及び熱疲労強度が共に要求され、かつ、
高温環境下で該疲労強度及び熱疲労強度が殆ど劣化しな
い鋳造用アルミニウム合金において、化学組成が、 Cu:0.8〜1.2wt%、 Mg:0.3〜0.5wt%、 Si:6.5〜7.5wt%、及び 残部:Alからなる鋳造体に安定化処理を施し、引張強
度を320MPa以上、伸びを5%以上としたものであ
る。
金は、疲労強度及び熱疲労強度が共に要求され、かつ、
高温環境下で該疲労強度及び熱疲労強度が殆ど劣化しな
い鋳造用アルミニウム合金において、化学組成が、 Cu:0.5〜0.8wt%、 Mg:0.5〜0.7wt%、 Si:6.5〜7.5wt%、及び 残部:Alからなる鋳造体に安定化処理を施し、引張強
度を320MPa以上、伸びを5%以上としたものであ
る。
Pa以上、伸びが5%以上で、かつ、安定化処理の時効
処理温度近傍の高温環境下でも機械的特性が殆ど低下し
ない鋳造用アルミニウム合金が得られる。
金の製造方法は、疲労強度及び熱疲労強度が共に要求さ
れ、かつ、高温環境下で該疲労強度及び熱疲労強度が殆
ど劣化しない鋳造用アルミニウム合金の熱処理方法にお
いて、化学組成が、 Cu:0.5〜1.5wt%、 Mg:0.3〜0.7wt%、 Si:6.5〜7.5wt%、及び 残部:Alからなる鋳造体に、時効処理温度が200〜
300℃、好ましくは220〜260℃で、かつ、最高
強度が得られる時効処理時間よりも長い時間の安定化処
理を施すものである。
Pa以上、伸びが5%以上で、かつ、安定化処理の時効
処理温度近傍の高温環境下でも機械的特性が殆ど低下し
ない鋳造用アルミニウム合金を、生産性よく得ることが
できる。
を添付図面に基いて説明する。
の伸びを有すると共に、AC4Cよりも高強度であって、か
つ、機械的特性の低下を招くことなく安定化処理が可能
な、即ち時効感受性が鈍感な鋳造用アルミニウム合金を
得ることを目的とした。
本発明の合金と呼ぶ)は、化学組成が、 Cu:0.5〜1.5wt%、より好ましくは0.8〜
1.2wt%、 Mg:0.3〜0.7wt%、より好ましくは0.3〜
0.5wt%、 Si:6.5〜7.5wt%、 Zn:0.35wt%以下、 Fe:0.55wt%以下、 Mn:0.35wt%以下、 Ni:0.10wt%以下、 Ti:0.20wt%以下、 Pb:0.10wt%以下、 Sn:0.05wt%以下、 Cr:0.10wt%以下、及び 残部:Alからなる鋳造体に安定化処理を施し、引張強
度を320MPa以上、伸びを5%以上としたものであ
る。
由を以下に述べる。
5wt%、0.6wt%、0.7wt%)に固定し、Cu含有量を0.5
〜1.5wt%の間で変えた時の引張強度(MPa)お
よび伸び(%)のそれぞれの変化を図1,図2に示す。
以上を達成するCu及びMgの含有量は、Cuが0.5
wt%以上、Mgが0.3wt%以上である。よって、
本発明の合金におけるCuの含有量は0.5wt%以
上、かつ、Mgの含有量は0.3wt%以上と規定して
いる。
達成するCu及びMgの含有量は、Cuが1.5wt%
以下、Mgが0.7wt%以下である。よって、本発明
の合金におけるCuの含有量は1.5wt%以下、か
つ、Mgの含有量は0.7wt%以下と規定している。
の含有量がある範囲より少なくなると、鋳造性が極端に
悪くなり、Siの含有量がある範囲より多くなると、靱
性が低下してしまう。本発明の合金の場合、鋳造性およ
び靱性に影響を及ぼさないように、AC4Cと同範囲のSi
を含有させており、その含有量は6.5〜7.5wt%
と規定している。
Ni、Ti、Pb、Sn、およびCr)の含有量も、靱
性に影響を及ぼさないように、AC4Cと同範囲の含有量以
下に規定しており、それぞれの含有量は0.35wt%
以下、0.55wt%以下、0.35wt%以下、0.
10wt%以下、0.20wt%以下、0.10wt%
以下、0.05wt%以下、および0.10wt%以下
としている。
明する。
金(以下、第1の実施の形態の合金と呼ぶ)は、化学組
成が、 Cu:0.5〜1.5wt%、より好ましくは0.5〜
0.8wt%、 Mg:0.3〜0.7wt%、より好ましくは0.5〜
0.7wt%、 Si:6.5〜7.5wt%、 Zn:0.35wt%以下、 Fe:0.55wt%以下、 Mn:0.35wt%以下、 Ni:0.10wt%以下、 Ti:0.20wt%以下、 Pb:0.10wt%以下、 Sn:0.05wt%以下、 Cr:0.10wt%以下、及び 残部:Alからなる鋳造体に安定化処理を施し、引張強
度を320MPa以上、伸びを5%以上としたものであ
る。
法について説明する。
n、Fe、Mn、Ni、Ti、Pb、Sn、およびC
r)の量をそれぞれ調整した後、溶製・鋳造を行い、前
述した本発明の合金又は第1の実施の形態の合金の化学
組成を有する任意形状の鋳造体を作製する。
理)を施す。具体的には、鋳造体に溶体化処理および焼
入れ処理を施した後、焼入れ処理後の鋳造体に、最高強
度が得られる焼戻し温度よりも高い温度の時効処理を施
す。この時、時効処理温度は、200〜300℃、好ま
しくは220〜260℃とする。また、時効処理時間
は、最高強度が得られる時効処理時間よりも長い時間、
好ましくは、過時効による強度減少が略飽和に達するま
でとし、具体的には0.2〜30hr、好ましくは0.
5〜20hrとする。
で冷却する(例えば、炉冷又は空冷する)ことで、鋳造
品(T7処理体)が得られる。
ミニウム合金によれば、前述した化学組成を有する各鋳
造体に安定化処理を施すことで、引張強度が320MP
a以上、伸びが5%以上となる。
用アルミニウム合金は、安定化処理が施されてなるもの
であるため、該合金を安定化処理における時効処理温度
近傍(例えば、200℃以上)の高温環境下で使用して
も、該合金中で局部的な時効析出が進行することはな
く、機械的特性の低下は殆どない。
法によれば、鋳造体に対して前述した範囲の温度・時間
の安定化処理(T7処理)を施しているが、この時効処
理時間は、従来合金であるAC4C-T6 鋳造品における時効
処理時間と略同じであり、AC4C-T6 鋳造品と比較して、
生産性に遜色はない。
を、過時効による強度減少が略飽和に達するまでとして
いることで、該T7処理体を安定化処理における時効処
理温度近傍(例えば、200℃以上)の高温環境下で使
用しても、強度がそれ以上低下することはない。
を有する鋳造体(以下、実施例1と呼ぶ)、Al-7.0Si-
0.6Mg-0.7Cu(wt%)の化学組成を有する鋳造体(以
下、実施例2と呼ぶ)、およびAl-7.0Si-0.3Mg(wt
%)の化学組成を有するAC4C鋳造体(以下、比較例と呼
ぶ)を溶製・鋳造する。
戻し温度で最高強度が得られる時間とし、実施例1、実
施例2、および比較例に、焼戻し温度(時効処理温度)
160℃のT6処理、焼戻し温度200℃の安定化処理
(T7処理)、および焼戻し温度300℃の安定化処理
をそれぞれ施した。
る焼戻し温度(℃)と硬度(HB )との関係を図3に、
焼戻し温度(℃)と(常温)引張強度(MPa)との関
係を図4に示す。ここで、図3,図4中において、■印
を結んだ線31は実施例1を、黒丸印を結んだ線32は
実施例2を、▲印を結んだ線33は比較例を表してい
る。
例は、焼戻し温度が高温になるにつれて硬度および引張
強度が著しく低下している。具体的には、比較例に、焼
戻し温度160℃のT6処理および焼戻し温度300℃
の安定化処理を施したものをそれぞれ比較すると、硬度
が約24%および引張強度が約34%も低下している。
理を施した場合、安定化処理の焼戻し温度を高くする
程、強度低下が著しくなるということが確認された。
1,32で表される実施例1,2におけるT6処理体の
硬度および引張強度は、比較例におけるT6処理体の硬
度および引張強度と比較して硬度が約10〜17%、引
張強度が約12〜14%も高くなっていることから、実
施例1,2は、比較例よりも高強度であることがわか
る。
になっても硬度および引張強度がそれ程低下していな
い。具体的には、実施例1,2に、焼戻し温度160℃
のT6処理および焼戻し温度300℃の安定化処理を施
したものをそれぞれ比較すると、硬度は約9%、引張強
度は約6%しか低下していない。
定化処理を施した場合、安定化処理の焼戻し温度の上昇
による強度低下は殆どないということが確認された。こ
こで、安定化処理の焼戻し温度の上限は、T7処理体の
組織制御等の観点から300℃を上限とすることが好ま
しい。
比較例に、焼戻し温度(時効処理温度)160℃のT6
処理、焼戻し温度200℃の安定化処理(T7処理)、
焼戻し温度230℃の安定化処理、および焼戻し温度2
50℃の安定化処理をそれぞれ施す。
る時効処理時間(hr)と硬度(HB )との関係を図
5,図6,図7に示す。ここで、図5,図6,図7中に
おいて、○印を結んだ曲線51,61,71は焼戻し温
度160℃のT6処理を施した場合、△印を結んだ曲線
52,62,72は焼戻し温度200℃の安定化処理を
施した場合、□印を結んだ曲線53,63は焼戻し温度
230℃の安定化処理を施した場合、および×印を結ん
だ曲線54,64は焼戻し温度250℃の安定化処理を
施した場合を表している。
おいて、焼戻し温度が高くなるにつれて、最高硬度は減
少している。しかし、実施例1において、曲線51と曲
線54とを比較した場合の最高硬度の減少率は約9%、
また、実施例2において、曲線61と曲線64とを比較
した場合の最高硬度の減少率は約8%であり、その減少
の度合いが緩やかであることがわかる。
合金であるため、Alマトリックス中に析出する化合物
がMg化合物(Mg2 Si)およびCu化合物(Al2 Cu、Al
2 CuMg等)となることに起因していると考えられる。C
u化合物は、Alマトリックス中に強固に比較的高い温
度で析出する(即ち、比較的拡散速度が遅い)ため、熱
処理温度を高くしても、Cu化合物の結晶が粗大に成長
することはない。このため、実施例1,2に対して、T
6処理を施した場合(曲線51,61)と、安定化処理
を施した場合(曲線52〜54,62〜64)とを比較
すると、図5,図6に示すように、曲線52〜54,6
2〜64の最高硬度は、曲線51,61の最高硬度と殆
ど変わらない(又は最高硬度減少の度合いが小さい)。
また、実施例1,2においても、安定化処理の焼戻し時
間が長くなる程、曲線52〜54,62〜64の硬度は
低下していくが、それ程大きく低下するものではなく、
その硬度は図7に示す曲線71の硬度と同等又は同等以
上となる。
過時効材56においても、曲線51において黒丸印で表
される通常T6材55と同じ引張強度330MPa(硬
度約110HB )を有する。さらに、曲線63において
黒丸印で表される過時効材66においても、曲線61に
おいて黒丸印で表される通常T6材65と同じ引張強度
350MPa(硬度約120HB )を有する。ここで、
通常T6材55,65からなる鋳造品を200℃以上の
高温環境下で使用すると、強度及び靱性の低下が生じ
る。これに対して、過時効材56,66は強度(硬度)
減少が略飽和に達したものであるため、過時効材56,
66からなる鋳造品を200℃以上の高温環境下で使用
しても、強度の低下が生じることはない。
においては、焼戻し温度が高くなるにつれて最高硬度の
減少率も大きくなる。具体的には、比較例に、焼戻し温
度160℃のT6処理を施した場合(曲線71)と焼戻
し温度200℃の安定化処理を施した場合(曲線72)
とを比較すると、曲線72の最高硬度は曲線71の最高
硬度よりも約7%(曲線51と曲線52、曲線61と曲
線62との比較では約3〜4%)減少しており、その減
少の度合いが大きいことがわかる。
合金であるため、Alマトリックス中に析出する化合物
がMg化合物(Mg2 Si)のみであることに起因している
と考えられる。Mg化合物は低い温度で析出する(即
ち、比較的拡散速度が速い)ため、熱処理温度が高くな
ると、Mg化合物の結晶が成長して粗大なMg化合物が
析出する。このため、比較例に安定化処理を施す場合、
焼戻し温度が高くなる程又は焼戻し時間が長くなる程、
硬度(強度)は大きく低下する。
照した結果から、安定化処理における時効処理温度(焼
戻し温度)は200〜300℃、好ましくは220〜2
60℃と規定され、また、安定化処理における時効処理
時間(焼戻し時間)は、最高温度が得られる時効処理時
間よりも長い時間、好ましくは0.2〜30hr、より
好ましくは0.5〜20hrと規定される。
のJIS14−A号試験片からなる試料を、実施例1、
実施例2、および比較例を用いてそれぞれ作製する。そ
の後、各試料に対して、高温試験を行った。
00℃、250℃、および300℃で15分保持した後
における高温引張試験と高温伸び試験及び各試料を15
0℃、200℃、および250℃で15分保持した後に
おける高温圧縮試験により、評価を行うものとした。
を図8に、温度(℃)と伸び(%)との関係を図9に、
温度(℃)と圧縮応力(MPa)との関係を図10に示
す。ここで、図8〜図10中において、■印を結んだ線
81は実施例1を、黒丸印を結んだ線82は実施例2
を、▲印を結んだ線83は比較例を表している。
実施例1は、全温度域(常温〜300℃)に亘って比較
例よりも引張強度が高かった。この結果から、実施例1
は、比較例よりも常温及び高温での強度が良好であるこ
とがわかる。また、実施例1と実施例2とを比較する
と、常温〜約160℃の温度域では引張強度は殆ど変わ
らないが、約160〜300℃の温度域では、実施例2
の方が実施例1よりも引張強度が高くなっており、実施
例2の方が、実施例1よりも高温強度が高いことがわか
る。
結果、実施例1は、常温〜100℃強の温度域を除く
と、比較例よりも伸びが良好であった。この結果から、
実施例1は、比較例よりも靱性、特に高温靱性が良好で
あることがわかる。また、実施例2は、全温度域(常温
〜300℃)に亘って比較例および実施例1よりも伸び
が低く、実施例1の方が、実施例2よりも常温靱性およ
び高温靱性が良好であることがわかる。尚、比較例の3
00℃における伸びは測定不能であったため図示してい
ない。
の結果、実施例1は、高温度域(150〜250℃)に
おいて、比較例よりも圧縮応力が高かった。この結果か
ら、実施例1は、比較例よりも高温圧縮強度が良好であ
ることがわかる。また、実施例1と実施例2とを比較す
ると、全温度域(常温〜300℃)に亘って、実施例2
の方が実施例1よりも圧縮応力が高くなっており、実施
例2の方が実施例1よりも高温圧縮強度が高いことがわ
かる。
は、常温及び高温での強度が比較例よりも良好で、か
つ、常温靱性は比較例よりやや劣るものの、高温靱性は
比較例と略同等又は同等以上であることが確認された。
らなる試料を、実施例1、実施例2、および比較例を用
いてそれぞれ作製する。その後、各試料に対して、疲労
試験を行った。
を3,000rpmとして行い、破断までの繰返し回数が107
(回)の時の応力振幅値により疲労強度を評価した。
(MPa)との関係を図11に示す。ここで、図11中
において、■印を結んだ線111は実施例1を、黒丸印
を結んだ線112は実施例2を、▲印を結んだ線113
は比較例を表している。
数が107 (回)の時の比較例の応力振幅は70MPa
であった。これに対して、破断までの繰返し回数が10
7 (回)の時の実施例1,2の応力振幅は、それぞれ9
0MPa(比較例の約1.29倍)、80MPa(比較
例の約1.14倍)となり、疲労強度が良好であること
がわかった。
る試料に対して熱疲労試験を行い、熱疲労強度の評価を
行った。熱疲労試験は、各試料に対して低温→高温→低
温を1サイクルとする熱サイクルを与えるものであり、
歪み値が所定値に達した時の繰返し回数(回)により熱
疲労強度を評価した。
は比較例の約1.4倍を示した。このことから、実施例
1は、比較例よりも熱疲労強度が良好であることがわか
る。
し温度200〜300℃の安定化処理を施したT7処理
体で、例えば、図12に示したシリンダーヘッド131
を形成した場合、エンジン運転によりヘッド下面133
の温度が約250℃又は250℃以上となっても、安定
化処理が施されているため、エンジン運転中にシリンダ
ーヘッド131の機械的特性が低下することはない。
らなるシリンダーヘッド131の上・下面132,13
3に大きな温度差が生じるが、エンジン運転中にシリン
ダーヘッド131の機械的特性が低下することはないた
め、ヘッド上面132の薄肉部134、スプリングシー
ト座135、吸入ポート壁136、排出ポート壁13
7、およびヘッド下面133の薄肉部138等に亀裂K
が生じ難い。
は、疲労強度及び熱疲労強度が良好であるため、エンジ
ンの運転/停止の繰返しに伴う耐熱疲労性が、比較例か
らなるシリンダーヘッドよりも良好となる。
上述したようにシリンダーヘッドのみにその用途が限定
されるものではなく、その他にも疲労強度及び熱疲労強
度が共に要求される鋳造用アルミニウム合金にも適用す
ることができることは言うまでもなく、例えば、シリン
ダーブロック、自動車用アルミホイール、マニホール
ド、油圧シリンダーボディ等が想定される。
化学組成を有する鋳造体に安定化処理を施していること
で、引張強度が320MPa以上、伸びが5%以上とな
り、かつ、その合金を安定化処理における時効処理温度
近傍の高温環境下で使用しても、機械的特性が低下する
おそれがないという優れた効果を発揮する。
る。
る。
示す図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 疲労強度及び熱疲労強度が共に要求さ
れ、かつ、高温環境下で該疲労強度及び熱疲労強度が殆
ど劣化しない鋳造用アルミニウム合金において、化学組
成が、 Cu:0.5〜1.5wt%、 Mg:0.3〜0.7wt%、 Si:6.5〜7.5wt%、及び 残部:Alからなる鋳造体に安定化処理を施してなるこ
とを特徴とする鋳造用アルミニウム合金。 - 【請求項2】 疲労強度及び熱疲労強度が共に要求さ
れ、かつ、高温環境下で該疲労強度及び熱疲労強度が殆
ど劣化しない鋳造用アルミニウム合金において、化学組
成が、 Cu:0.5〜1.5wt%、 Mg:0.3〜0.7wt%、 Si:6.5〜7.5wt%、及び 残部:Alからなる鋳造体に安定化処理を施し、引張強
度を320MPa以上、伸びを5%以上としたことを特
徴とする鋳造用アルミニウム合金。 - 【請求項3】 疲労強度及び熱疲労強度が共に要求さ
れ、かつ、高温環境下で該疲労強度及び熱疲労強度が殆
ど劣化しない鋳造用アルミニウム合金において、化学組
成が、 Cu:0.8〜1.2wt%、 Mg:0.3〜0.5wt%、 Si:6.5〜7.5wt%、及び 残部:Alからなる鋳造体に安定化処理を施し、引張強
度を320MPa以上、伸びを5%以上としたことを特
徴とする鋳造用アルミニウム合金。 - 【請求項4】 疲労強度及び熱疲労強度が共に要求さ
れ、かつ、高温環境下で該疲労強度及び熱疲労強度が殆
ど劣化しない鋳造用アルミニウム合金において、化学組
成が、 Cu:0.5〜0.8wt%、 Mg:0.5〜0.7wt%、 Si:6.5〜7.5wt%、及び 残部:Alからなる鋳造体に安定化処理を施し、引張強
度を320MPa以上、伸びを5%以上としたことを特
徴とする鋳造用アルミニウム合金。 - 【請求項5】 疲労強度及び熱疲労強度が共に要求さ
れ、かつ、高温環境下で該疲労強度及び熱疲労強度が殆
ど劣化しない鋳造用アルミニウム合金の熱処理方法にお
いて、化学組成が、 Cu:0.5〜1.5wt%、 Mg:0.3〜0.7wt%、 Si:6.5〜7.5wt%、及び 残部:Alからなる鋳造体に、時効処理温度が200〜
300℃、好ましくは220〜260℃で、かつ、最高
強度が得られる時効処理時間よりも長い時間の安定化処
理を施すことを特徴とする鋳造用アルミニウム合金の熱
処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000083268A JP3846149B2 (ja) | 2000-03-21 | 2000-03-21 | 鋳造用アルミニウム合金の熱処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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