JP2002047526A - 強度,熱衝撃特性に優れたアルミニウム合金鋳物及びその製造方法 - Google Patents

強度,熱衝撃特性に優れたアルミニウム合金鋳物及びその製造方法

Info

Publication number
JP2002047526A
JP2002047526A JP2000230448A JP2000230448A JP2002047526A JP 2002047526 A JP2002047526 A JP 2002047526A JP 2000230448 A JP2000230448 A JP 2000230448A JP 2000230448 A JP2000230448 A JP 2000230448A JP 2002047526 A JP2002047526 A JP 2002047526A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
aluminum alloy
casting
strength
mass
alloy
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000230448A
Other languages
English (en)
Inventor
Haruyasu Katto
晴康 甲藤
Hiroshi Horikawa
宏 堀川
Satoshi Suzuki
聡 鈴木
Takeshi Shigeizumi
健 茂泉
Shiro Uchida
志朗 内田
Masahiko Kumano
正彦 熊野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Isuzu Motors Ltd
Nippon Light Metal Co Ltd
Original Assignee
Isuzu Motors Ltd
Nippon Light Metal Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Isuzu Motors Ltd, Nippon Light Metal Co Ltd filed Critical Isuzu Motors Ltd
Priority to JP2000230448A priority Critical patent/JP2002047526A/ja
Publication of JP2002047526A publication Critical patent/JP2002047526A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02FCYLINDERS, PISTONS OR CASINGS, FOR COMBUSTION ENGINES; ARRANGEMENTS OF SEALINGS IN COMBUSTION ENGINES
    • F02F1/00Cylinders; Cylinder heads 
    • F02F1/24Cylinder heads
    • F02F2001/248Methods for avoiding thermal stress-induced cracks in the zone between valve seat openings
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F05INDEXING SCHEMES RELATING TO ENGINES OR PUMPS IN VARIOUS SUBCLASSES OF CLASSES F01-F04
    • F05CINDEXING SCHEME RELATING TO MATERIALS, MATERIAL PROPERTIES OR MATERIAL CHARACTERISTICS FOR MACHINES, ENGINES OR PUMPS OTHER THAN NON-POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES OR ENGINES
    • F05C2201/00Metals
    • F05C2201/90Alloys not otherwise provided for
    • F05C2201/903Aluminium alloy, e.g. AlCuMgPb F34,37

Landscapes

  • Cylinder Crankcases Of Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 熱応力及び機械応力が繰返し加えられる環境
下でも、疲労破壊を生じることなく耐久性に優れたアル
ミニウム合金鋳物を提供する。 【構成】 このアルミニウム合金鋳物は、Si:7.0
〜9.0%,Cu:1.5〜2.0%,Mg:0.3〜
0.6%,Fe:0.15%以下,必要に応じTi:
0.01〜0.25%,B:0.001〜0.05%,
Sr:0.003〜0.03%の1種又は2種以上を含
み、残部が実質的にAlであり、水素含有量が0.2c
c/100g以下、デンドライトアームスペーシングが
30μm以下に規制されている。所定組成のアルミニウ
ム合金を冷却速度5℃/秒以上で鋳造した後、450℃
以上の昇温速度を100℃/時以下に設定して530±
10℃まで加熱し、当該温度域に2〜10時間保持し、
次いで冷却速度50℃/秒以上で冷却し、冷却後1時間
以内に160〜200℃に4〜12時間保持処理するこ
とにより製造される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、好適にはシリンダヘッ
ドに使用され、高強度で熱衝撃特性に優れたアルミニウ
ム合金鋳物及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車用エンジンでは、軽量性,冷却
能,加工性等を考慮してアルミニウム合金鋳物製シリン
ダヘッドが従来から使用されている。この種のアルミニ
ウム合金鋳物には一般にAl−Si系の合金が使用され
ているが、鋳造性に加えて高温強度及び熱衝撃強度に優
れていることが要求される。そこで、特開平10−25
1790号公報では、二次デンドライトアームスペーシ
ングを45μm以下にすることにより、共晶Siを微細
化すると共に可能な限り球状化させ、熱疲労強度を改善
している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、自動車搭載
用エンジンの燃焼効率の向上に対する要求が環境問題か
ら強くなる一方であり、この傾向に対応して燃焼効率の
高い直噴式エンジンが主流になりつつある。直噴式のエ
ンジンでは、圧縮比を高めた燃料を燃焼室に直接噴射し
て燃焼させる方式が採られるため、燃焼室内に高い燃焼
圧力及び燃焼熱が発生する。燃焼圧力及び燃焼熱は、熱
衝撃及び機械応力としてシリンダヘッドに繰返し加えら
れる。そのため、エンジン用のシリンダーヘッドには、
強度及び熱衝撃強度の両方を同時に兼ね備えることが要
求される。
【0004】従来のAl−Si系合金鋳物では、直噴エ
ンジン用シリンダーヘッドに求められる熱衝撃強度及び
高温強度の何れか一方又は両方が不足するため熱衝撃及
び機械応力の繰返しによってシリンダヘッドに割れが発
生する虞がある。共晶Siの微細化及び球状化を図った
特開平10−251790号公報のアルミニウム合金鋳
物でも、直噴エンジン用シリンダーヘッドでは不十分な
場合があった。特に、ディーゼルエンジンは、ガソリン
エンジンよりも燃焼温度が高く、シリンダーヘッドが3
50℃前後まで加熱されるため優れた強度及び熱衝撃強
度、具体的には400MPaの引張り強度と5%の伸び
が要求されることから、ディーゼルエンジン用のシリン
ダーヘッドとして使用するには不十分であった。熱衝撃
強度は、靭性に依存するので、伸びが要求されている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような問
題を解消すべく案出されたものであり、高温強度及び靭
性、更に耐食性をバランスさせた合金設計において破壊
の起点となる水素の含有量及びデンドライトアームスペ
ーシングのサイズを規制することにより、熱応力及び機
械応力が繰返し付与されるシリンダヘッド等の用途にお
いても優れた耐久性を呈するアルミニウム合金鋳物を提
供することを目的とする。
【0006】本発明のアルミニウム合金鋳物は、その目
的を達成するため、Si:7.0〜9.0質量%,C
u:1.5〜2.0質量%,Mg:0.3〜0.6質量
%,Fe:0.15質量%以下を含み、残部が実質的に
Alの組成をもち、水素含有量が0.2cc/100g
以下、デンドライトアームスペーシングが30μm以下
であることを特徴とする。更にTi:0.01〜0.2
5質量%,B:0.001〜0.05質量%,Sr:
0.003〜0.03質量%の1種又は2種以上を含む
ことができる。
【0007】このアルミニウム合金鋳物は、所定組成に
調整されたアルミニウム合金を冷却速度5℃/秒以上で
鋳造した後、450℃以上の昇温速度を100℃/時以
下に設定して530±10℃まで加熱し、当該温度域に
2〜10時間保持し、次いで冷却速度50℃/秒以上で
冷却し、その後160〜200℃に4〜12時間保持処
理することにより製造される。
【0008】
【作用】ディーゼル車の直噴エンジン用シリンダーヘッ
ドのように高い機械的強度及び熱衝撃強度を兼ね備える
ことが要求される鋳物を得るためには、単に金属組織や
ポロシティ率を制御するだけでは、その要求を満たすに
は限界がある。金属組織の他に、合金組成も厳しく制御
する必要がある。そこで、本発明では、デンドライトア
ームスペーシングを30μm以下に制御して機械的強度
を向上させると共に、一般的な鋳物では0.35cc/
100gである水素ガス含有量を0.2cc/100g
以下に規制することにより熱処理時のフクレの発生を抑
え、機械的強度,伸び及び熱衝撃強度の低下をおさえて
いる。
【0009】成分設計に際しては、複雑形状のシリンダ
ーヘッドを鋳造法で製造することから鋳造性の良好なA
l−Si系アルミニウム合金をベースとし、Cu,Mg
の添加により機械的強度を向上させている。しかし、こ
れら元素をアルミニウムに添加すると鋳造性及び機械的
強度は向上するものの、添加量が増加するに従って靭
性、ひいては熱衝撃強度が低下し、耐食性も低下する。
【0010】本願発明者等が鋭意研究を行った結果、S
i:7.0〜9.0wt%,Cu:1.5〜2.0wt
%,Mg:0.3〜0.6wt%,Fe:0.15wt
%以下の範囲内であれば、十分な鋳造性及び強度を保
ち、しかも靭性及び耐食性があまり低下しないという知
見が得られた。そこで、本願鋳物は、Si:7.0〜
9.0wt%,Cu:1.5〜2.0wt%,Mg:
0.3〜0.6wt%,Fe:0.15wt%以下を必
須成分とした。更に靭性を向上させるためにSr、鋳造
性及び機械的強度を向上させるためにTi及びBを添加
してもよい。Ti及びBは、結晶粒を微細化するので、
熱衝撃特性も向上させる。
【0011】また、少ない合金成分の添加量で高強度を
得るため、Feを添加することにより、バーニングの発
生する温度を高め、530℃前後の高温に設定した溶体
化処理を採用し、鋳造時に析出した強度向上に寄与しな
いMg2Si等の析出物を母相中にほとんど固溶させ、
時効処理の効果を高める。なお、溶体化処理の際、10
0℃/時を超える速度で昇温するとバーニングが発生
し、機械的強度が大きく低下してしまうので、溶体化処
理時のバーニングを防ぐため450℃以上での溶体化処
理時の昇温速度を100℃/時以下に設定する。
【0012】時効処理では、過時効となると、CuAl
2析出物が強度向上に寄与する準安定相から強度向上に
寄与しない安定相に変化し、機械的強度が低下するばか
りでなく、腐食の起点となるCuAl2が粗大化し、耐
食性が低下する。過時効となった鋳物を300℃を超え
る高温雰囲気に曝される直噴ディーゼルエンジン用シリ
ンダーヘッドに使用すると、使用中に残っていたCuA
2の準安定相から安定相への相変態及びCuAl2の粗
大化がおこり、強度及び耐食性が低下しやすい。
【0013】以下、本発明アルミニウム合金鋳物に含ま
れる合金成分,含有量,製造条件等を説明する。 Si:7.0〜9.0質量% 鋳造性及び強度の改善に有効な合金成分であり、7.0
質量%以上でSi含有の効果が顕著になる。しかし、
9.0質量%を超える過剰量のSiが含まれると、靭性
が著しく低下し、熱衝撃強度が低下する。 Cu:1.5〜2.0質量% CuAl2として析出して強度を向上する有効な合金成
分であり、1.5質量%以上でCu含有の効果が顕著に
なる。しかし、CuAl2析出物は、破壊や腐食の起点
にもなり、2.0質量%を超える過剰量のCu含有は、
CuAl2析出物が多く靭性及び耐食性が、低下する。
また、350℃の高温で使用されるとCuAl2が準安
定相から安定相に相変態し、粗大化もおこり、強度,靭
性及び耐食性が次第に低下する。
【0014】Mg:0.3〜0.6質量% 熱処理時にMg2Siとして析出し、強度を向上させる
合金成分であるが、多量のCuを含む系では強度向上に
有効なAl−Cu−Mg系析出物としても析出する。本
発明では、靭性及び耐食性の低下を防ぐためにCu含有
量を抑えているので、少くないCu含有量で高強度を得
るためにMgを添加する。Mgの添加効果は0.3質量
%以上で顕著となるが、0.6質量%を超える過剰量の
Mgが含まれると靭性が低下する。 Fe:0.15質量% バーニングの発生温度を高めるのに有効な合金成分であ
るが、過剰量のFe含有は靭性に悪影響を及ぼす。そこ
で、本発明においては、Fe含有量の上限を0.15質
量%に設定した。
【0015】Ti:0.01〜0.25質量% 必要に応じて添加される合金成分であり、鋳物の結晶粒
を微細化し、鋳物の強度,靭性及び熱衝撃強度を向上さ
せる。0.01%未満ではTiの添加効果は小さく、
0.25%を越えると粗大な化合物を形成し、靭性が低
下する。 B:0.001〜0.05質量% 必要に応じて添加される合金成分であり、鋳物の結晶粒
を微細化し、鋳物の強度,靭性及び熱衝撃強度を向上さ
せる。0.001%未満ではBの添加効果は小さく0.
05%を越えると粗大な化合物を形成し、靭性が低下す
る。Tiと共に添加するとTiB2を形成し、微細化剤
として作用する場合もある。 Sr:0.003〜0.03質量% 必要に応じて添加される合金成分であり、共晶Siを球
状化し、熱衝撃強度を向上させる。Srの作用は、0.
003%以上で顕著になるが、0.03%より多くなる
と粗大な化合物を形成し、靭性が低下する。
【0016】水素含有量:0.2cc/100g以下 アルミニウム合金鋳物に含まれる水素は、熱応力及び機
械応力が繰返し加えられる環境下では疲労破壊の起点と
なり、またアルミニウム合金鋳物自体の靭性に悪影響を
及ぼす。疲労破壊と水素含有量との関係を調査した結
果、水素含有量を0.2cc/100g以下に低減する
ことにより、含有水素に起因する悪影響が抑制され、ア
ルミニウム合金鋳物の熱衝撃特性及び靭性が改善される
ことを見出した。なお、水素含有量:0.2cc/10
0g以下は、溶湯中に不活性ガス,塩素ガス等をアルミ
ニウム合金1kg当り1l以上注入することにより達成
される。
【0017】デンドライトアームスペーシング:30μ
m以下 デンドライトアームスペーシングが大きくなるほど、ア
ルミニウム合金鋳物の強度が低下する。直噴ディーゼル
エンジン用シリンダヘッドとして必要な400MPaの
引張強さを得るためには、デンドライトアームスペーシ
ングを30μm以下に規制することが必要である。ま
た、デンドライトアームスペーシングが小さいと、破壊
が発生しても亀裂の伝播が抑制されるので、熱衝撃特性
が向上する。シリンダーヘッドを製造する場合、燃焼部
近傍はより高温になり、燃焼圧力も高いので、デンドラ
イトアームスペーシングは25μm以下に規制すること
が好ましい。なお、燃焼部近傍とは、燃焼室を形成する
部分の中で、排気ポートと吸気ポートに囲まれた部分
(図1の斜線部)を意味する。 鋳造時の冷却速度:5℃/秒以上 デンドライトアームスペーシングは鋳造時の冷却速度で
管理できる。デンドライトアームスペーシングを30μ
m以下に規制するためには、鋳造時の冷却速度を5℃/
秒以上として初晶の成長を抑制することが必要である。
又、25μm以下とするためには7℃/秒以上とするこ
とが必要である。
【0018】溶体化処理 アルミニウム合金鋳物は、析出している金属間化合物を
マトリックスに再固溶させ、過飽和固溶体とするため溶
体化処理される。溶体化処理に際しては、450℃以上
の温度域を100℃/時以下の昇温速度で加熱し、53
0±10℃に2〜10時間保持することにより析出物を
マトリックスに再固溶させる。100℃/時を超える昇
温速度では。バーニング(局部的な溶融)が発生しやす
くなり、溶体化に必要な530±10℃の温度までアル
ミニウム合金鋳物を加熱できなくなる。
【0019】溶体化処理条件は、金属間化合物の再固溶
を図るため530±10℃×2〜10時間の範囲で選定
される。520℃未満の溶体化温度や2時間未満の溶体
化時間では、金属間化合物が十分に再固溶せず、十分な
機械的強度や伸びが得られない。逆に540℃を越える
とバーニングが発生し、機械的強度や伸びが低下する。
また、10時間を越えて溶体化しても、長時間処理に見
合った効果は得られない。溶体化処理されたアルミニウ
ム合金鋳物は50℃/秒以上の冷却速度で冷却され、冷
却過程でMg,Si,Cu等の再析出が防止される。こ
れにより、後続の時効処理で強度付与に有効なMg,S
i,Cu等の固溶量が確保される。
【0020】時効処理 溶体化処理されたアルミニウム合金鋳物は、冷却後時効
処理される。溶体化処理から時効処理までの時間が長い
と、マトリックスからSi,Mg,Cu等が再析出する
自然時効によって強度付与に有効なSi,Mg,Cu等
の固溶量が減少するので、溶体化処理後はすみやかに時
効処理を行うのが良い。溶体化処理後、1時間以内に時
効処理することが好ましい。時効処理は、Mg2Si,
CuAl2等をマトリックスに析出させることにより、
引張強さ400MPa以上の強度をアルミニウム合金鋳
物に付与する。時効処理条件は、160〜200℃×4
〜12時間の範囲で選定される。160℃未満の処理温
度や4時間に達しない加熱時間では、十分な析出量が得
られず、400MPa以上の引張強さが付与できなくな
る。逆に、200℃を超える加熱温度や12時間を超え
る長時間加熱では、過時効によってアルミニウム合金鋳
物の強度,耐食性,熱衝撃強度が低下しやすくなる。特
に過時効となった鋳物を高温雰囲気に曝されるシリンダ
ヘッド等の部材に適用すると、使用中に時効が更に進
み、強度,耐食性及び熱衝撃強度が低下しやすい。
【0021】
【実施例1】表1に示す合金組成の溶湯を重力鋳造法に
より、冷却速度を合金No.1〜3,5,7では7℃/
秒、合金No.4,6では2℃/秒に設定し、120×
120×20mmの板状に鋳造し、試験片を作製した。
鋳造の前に10kgのアルミニウム合金の溶湯に2l/
分の流量でArガスを5分間注入し、脱ガス処理を行っ
ておいた。なお、比較例は、自動車のシリンダーヘッド
用合金として従来よく使用されてきたJIS規格の合金
であり、合金No.4がAC4B,5がAC2B、合金
No.6,7がAC4Cに相当する。
【0022】
【0023】各試験片を昇温速度150℃/時で加熱
し、500℃に8時間保持した後、水温50℃の水槽に
焼入れした。1時間経過した後、180℃×8時間の時
効処理を施した。時効処理された試験片を引張試験,熱
衝撃試験及び500時間の塩水噴霧試験に供した。ま
た、試験片の金属組織を顕微鏡観察し、デンドライトア
ームスペーシングを測定した。
【0024】熱衝撃試験では、直径100mm,板厚5
mmの円板中央部に直径60mm,深さ5mmの凹部を
切削加工で形成した試験片を使用した。複数の試験片を
回転プーラの円周方向に取り付け、試験片の凹部を35
0℃になるまでガスバーナーで15秒加熱した後、回転
プーラを回転させて温度20℃に保持した水槽に試験片
を投入し、30秒間水中に試験片を保持し、次いで水槽
から取り出した試験片をそのままの状態で45秒間保持
し、再びガスバーナーで加熱する熱サイクルを試験片が
割れるまで繰り返した。
【0025】表2の調査結果にみられるように、合金N
o.1〜3(本発明例)は、引張強度,伸び,熱衝撃特
性,耐食性の何れにも優れていた。他方、合金No.
4,5(比較例)は合金No.1〜3(本発明例)に比
較して耐食性,伸び及び熱衝撃強度低く、合金No.
6,7(比較例)は伸び,熱衝撃強度,耐食性が良いも
のの引張強度が著しく低い値を示した。
【0026】
【0027】
【実施例2】表1の合金No.2を実施例1と同じ方法
で鋳造した後、表3に示す熱処理を施し、実施例1と同
じ引張試験,熱衝撃試験及び塩水噴霧試験に供した。表
4の調査結果にみられるように、本発明に従った熱処理
条件Aを施した鋳物は、比較例の熱処理を施した鋳物は
勿論、実施例1で得られた合金2の鋳物と比較しても、
引張強度,伸び,耐熱強度及び耐食性が高くなってい
た。この結果から、本発明合金に本発明の熱処理を施す
ことにより、引張強度,伸び,熱衝撃強度及び耐食性が
高くなることが判る。
【0028】これに対し、溶体化処理時の加熱速度を1
50℃/時とする熱処理条件Bを施した鋳物は、引張強
度,伸びが全て著しく低くなっており、鋳物内部の金属
組織を観察したところ、バーニングが発生していること
が確認された。この結果は、530℃の高温に急速に加
熱したため、バーニングが発生し、引張強度及び伸びが
著しく低下したことを意味する。なお、著しく低い引張
強度及び伸びを示したことから、この鋳物については熱
衝撃試験及び塩水噴霧試験は、実施しなかった。
【0029】
【0030】
【0031】
【実施例3】先ず表1に示すアルミニウム合金を用い、
シリンダーヘッドを製造した。その際の鋳造方法,鋳造
条件及び熱処理条件は、実施例1と同一条件とした。次
にそのシリンダーヘッドを利用したエンジンを製造し
た。そしてエンジンの運転/停止を繰り返し行い、シリ
ンダーヘッドの破壊耐久性を調査した。その結果を表5
に示す。表5の繰り返し回数及び総試験時間は、燃焼部
近傍(図1の斜線部)にキレツが発生し、キレツから冷
却水による水漏れに至るまでの回数を示している。又燃
焼部近傍のDASも測定し、その結果も表5に示す。表
5より、本発明例である合金No.1〜3を利用したシ
リンダーヘッドは、1100回以上の試験に耐えたのに
対して、比較例の合金を利用したシリンダーヘッドは、
1000回以下で水漏れが発生した。特に、伸びの低い
合金No.4,5では、合金No.1〜3の約半分の回
数で水漏れが発生した。
【0032】
【0033】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明のアルミ
ニウム合金鋳物は、高温強度及び靭性をバランスさせた
合金設計において水素含有量及びデンドライトアームス
ペーシングを規制することにより、熱衝撃破壊の起点を
少なくし、熱応力及び機械応力が繰返し付与される用途
でも優れた耐久性を示す。このアルミニウム合金鋳物
は、常温強度,耐食性にも優れており、シリンダヘッド
を始め、ピストン等、耐熱構造部材として使用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 直噴ディーゼルエンジン用シリンダーヘッド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22F 1/00 630 C22F 1/00 630B 640 640A 681 681 691 691A 691B 691C 692 692A (72)発明者 堀川 宏 静岡県庵原郡蒲原町蒲原1丁目34番1号 日本軽金属株式会社グループ技術センター 内 (72)発明者 鈴木 聡 静岡県庵原郡蒲原町蒲原1丁目34番1号 日本軽金属株式会社グループ技術センター 内 (72)発明者 茂泉 健 神奈川県藤沢市土棚8番地 いすゞ自動車 株式会社藤沢工場内 (72)発明者 内田 志朗 神奈川県藤沢市土棚8番地 いすゞ自動車 株式会社藤沢工場内 (72)発明者 熊野 正彦 神奈川県川崎市川崎区殿町三丁目25番1号 いすゞ自動車株式会社川崎工場内 Fターム(参考) 3G024 AA01 DA02 GA01 HA07

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Si:7.0〜9.0質量%,Cu:
    1.5〜2.0質量%,Mg:0.3〜0.6質量%,
    Fe:0.15質量%以下を含み、残部が実質的にAl
    の組成をもち、水素含有量が0.2cc/100g以
    下、デンドライトアームスペーシングが30μm以下で
    あることを特徴とする強度,熱衝撃特性に優れたアルミ
    ニウム合金鋳物。
  2. 【請求項2】 更にTi:0.01〜0.25質量%,
    B:0.001〜0.05質量%,Sr:0.003〜
    0.03質量%の1種又は2種以上を含む請求項1記載
    のアルミニウム合金鋳物。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の組成をもつアルミ
    ニウム合金を冷却速度5℃/秒以上で鋳造した後、45
    0℃以上の昇温速度を100℃/時以下に設定して53
    0±10℃まで加熱し、当該温度域に2〜10時間保持
    し、次いで冷却速度50℃/秒以上で冷却し、その後1
    60〜200℃に4〜12時間保持処理することを特徴
    とする強度,熱衝撃特性に優れたアルミニウム合金鋳物
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1又は2記載のアルミニウム合金
    鋳物で作られ、燃焼部近傍のデンドライトアームスペー
    シングが25μm以下であるシリンダーヘッド。
JP2000230448A 2000-07-31 2000-07-31 強度,熱衝撃特性に優れたアルミニウム合金鋳物及びその製造方法 Pending JP2002047526A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000230448A JP2002047526A (ja) 2000-07-31 2000-07-31 強度,熱衝撃特性に優れたアルミニウム合金鋳物及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000230448A JP2002047526A (ja) 2000-07-31 2000-07-31 強度,熱衝撃特性に優れたアルミニウム合金鋳物及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002047526A true JP2002047526A (ja) 2002-02-15

Family

ID=18723407

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000230448A Pending JP2002047526A (ja) 2000-07-31 2000-07-31 強度,熱衝撃特性に優れたアルミニウム合金鋳物及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002047526A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006104537A (ja) * 2004-10-06 2006-04-20 Nissin Kogyo Co Ltd アルミニウム合金の鋳造方法
EP2152923A1 (en) * 2007-05-31 2010-02-17 Alcan International Ltd. Aluminum alloy formulations for reduced hot tear susceptibility
CN104131201A (zh) * 2014-08-18 2014-11-05 河南誉金技术服务有限公司 一种Mg-Al基合金细化变质剂及其制备方法和应用
US10174409B2 (en) 2011-10-28 2019-01-08 Alcoa Usa Corp. High performance AlSiMgCu casting alloy
US10227679B2 (en) 2013-12-20 2019-03-12 Alcoa Usa Corp. High performance AlSiMgCu casting alloy
CN110229980A (zh) * 2019-05-09 2019-09-13 珠海市润星泰电器有限公司 一种铝合金固定夹及其生产工艺

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006104537A (ja) * 2004-10-06 2006-04-20 Nissin Kogyo Co Ltd アルミニウム合金の鋳造方法
EP2152923A1 (en) * 2007-05-31 2010-02-17 Alcan International Ltd. Aluminum alloy formulations for reduced hot tear susceptibility
EP2152923A4 (en) * 2007-05-31 2012-03-28 Alcan Int Ltd ALUMINUM ALLOY FORMULATIONS WITH REDUCED SENSITIVITY TO HOT CURING
US10174409B2 (en) 2011-10-28 2019-01-08 Alcoa Usa Corp. High performance AlSiMgCu casting alloy
US10227679B2 (en) 2013-12-20 2019-03-12 Alcoa Usa Corp. High performance AlSiMgCu casting alloy
CN104131201A (zh) * 2014-08-18 2014-11-05 河南誉金技术服务有限公司 一种Mg-Al基合金细化变质剂及其制备方法和应用
CN110229980A (zh) * 2019-05-09 2019-09-13 珠海市润星泰电器有限公司 一种铝合金固定夹及其生产工艺
CN110229980B (zh) * 2019-05-09 2021-04-20 珠海市润星泰电器有限公司 一种铝合金固定夹及其生产工艺

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9828660B2 (en) Method for producing an aluminum alloy casting
Mahmudi et al. Improved properties of A319 aluminum casting alloy modified with Zr
US20080060723A1 (en) Aluminum alloy for engine components
CA2932867A1 (en) High performance alsimgcu casting alloy
KR20060034288A (ko) 내고온가공성이 높은 성형 al-si-cu 알루미늄 함급성분
JP2005530927A (ja) すぐれた引張強さのアルミニウム合金製鋳造部品
US20190169716A1 (en) High temperature cast aluminum alloy for cylinder heads
EP2582855B1 (en) Castable heat resistant aluminium alloy
JP2008101264A (ja) 耐熱性アルミニウム合金押し出し材料およびその熱処理方法
US11713500B2 (en) Advanced cast aluminum alloys for automotive engine application with superior high-temperature properties
WO2006056686A2 (fr) Alliage d’aluminium pour piece a haute resistance mecanique a chaud
JP2007500793A (ja) 高強度耐熱性強靭アルミニウム合金鋳物
CA2341126C (en) Casting and forging employing copper-base alloy
JP2002047526A (ja) 強度,熱衝撃特性に優れたアルミニウム合金鋳物及びその製造方法
JP3846149B2 (ja) 鋳造用アルミニウム合金の熱処理方法
JP2007023330A (ja) アルミニウム合金鋳物及びその製造方法
JP2000212672A (ja) 高強度かつ低残留歪みのアルミ系鋳物の製造方法
JP2000054053A (ja) 耐熱性に優れたアルミニウム基合金およびその製造方法
JP2004225134A (ja) ディーゼルエンジンシリンダーヘッド用アルミニウム合金材料及びその製造方法並びにディーゼルエンジン
JP2006161103A (ja) アルミニウム合金部材およびその製造方法
JP2002206131A (ja) 高温強度,耐摩耗性に優れた鋳物用アルミニウム合金およびその製造方法
FR2859484A1 (fr) Piece moulee en alliage d'aluminium a haute resistance a chaud
JP4026563B2 (ja) アルミニウム鋳造合金製ピストン及びその製造方法
Hossain et al. Effects of heat treatment on the microstructure, impact toughness and fracture strength of Al-6Si-2Cu cast alloy
JP2020132893A (ja) 鋳造用アルミニウム合金及び内燃機関のシリンダーヘッド

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20060131

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060331

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060718

A02 Decision of refusal

Effective date: 20061121

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02