JP2001262254A - 電子部品用銅系複合材料およびその製造方法ならびにそれを用いた半導体用リードフレーム - Google Patents

電子部品用銅系複合材料およびその製造方法ならびにそれを用いた半導体用リードフレーム

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JP2001262254A
JP2001262254A JP2000075390A JP2000075390A JP2001262254A JP 2001262254 A JP2001262254 A JP 2001262254A JP 2000075390 A JP2000075390 A JP 2000075390A JP 2000075390 A JP2000075390 A JP 2000075390A JP 2001262254 A JP2001262254 A JP 2001262254A
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Hajime Asahara
肇 浅原
Kazuhiko Fukamachi
一彦 深町
Toshihiro Ofuji
俊洋 大藤
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Eneos Corp
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Nippon Mining and Metals Co Ltd
Nippon Mining Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】比較的安価な銅系材料を用いた電子部品用導電
材料として、良好な樹脂密着性を確保でき、さらにはん
だの耐熱剥離性に優れた材料、およびその製造方法と、
それを用いた電子部品を提供することを目的とするもの
である。 【解決手段】銅合金の圧延材からなる基材であって、そ
の表面から少なくとも0.01μmの深さにわたって、0.1wt
%以上の亜鉛を含みかつ、銅もしくは銅合金のα相の組
織の合金層が形成されていることを特徴とする樹脂密着
性、およびはんだ耐熱剥離性を改善した電子部品用銅系
複合材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、半導体用リード
フレーム等の電子部品に使用される、条材からなる銅合
金系の導電材料に関するものであり、樹脂密着性を改善
するための粗面化処理を施すこと樹脂との密着性、およ
びはんだ耐熱剥離性を改善した銅系導電材料に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】銅合金は、半導体のパッケージにおいて
は、外部回路との配線のためにリードフレームが使用さ
れている。すなわち半導体のパッケージの製造において
は、半導体チップが搭載されて、その半導体チップとリ
ードフレームの内側端部との間がワイヤーボンディング
された後、リードフレームの外側部分を残してエポキシ
樹脂等で封止される。したがって、リードフレームと樹
脂との界面はパッケージの外面側から内側まで伸びてい
ることになる。
【0003】ところが、金属材料であるリードフレーム
と有機材料である樹脂とは熱膨張係数の差が大きいた
め、温度変化や湿度変化などの複合した環境変化により
経年的にリードフレームと樹脂との界面が剥離し、その
界面を通って外部からパッケージ内部へ水分が浸入し、
パッケージクラックと称される重大な損傷に至ってしま
うおそれがある。このパッケージクラックは、パッケー
ジの温度上昇に伴って、外部から浸入した水分による内
部水蒸気圧が急激に増大する一方、樹脂がガラス転移温
度を越えて強度低下し、これによりパッケージが水蒸気
による内圧によって割れてしまう現象であり、半導体に
とっての信頼性を損なう重大な要因となっている。
【0004】そこでパッケージクラックに関して高い信
頼性が要求される場合には、樹脂との熱膨張差が少な
く、パッケージクラックが発生しにくい42%Ni-Fe合
金、すなわち42合金をリードフレームとして使用するこ
とが従来から行われている。
【0005】また、外部のリード部分は、はんだめっき
が施された後、さらにはんだ付けする事によりプリント
基板に接合される。近年、電子機器の小型化が進につ
れ、はんだ接合の信頼性が要求されている。しかし、銅
系の合金材料は、はんだ中の錫と銅が金属間化合物から
なる合金層が形成されることにより、特に加熱された状
態において接合部が剥離する、いわゆる熱剥離が発生す
る場合がある。これを防止するには、亜鉛の添加が有効
であることが知られている。しかし亜鉛の添加は、はん
だ耐熱剥離の向上に寄与するが、その添加量が増加する
と、素材の導電率および熱伝導度が低下するため、亜鉛
の添加量は0.5wt%前後となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】半導体リードフレーム
に銅合金系の材料を用いる場合、前述のように高い信頼
性が要求される用途では、パッケージクラックの発生を
確実に防止するため、42合金を使用しているが、この種
の42合金は高価なニッケルを多量に含有するため高コス
トとなるうえに、銅合金と比較して、熱伝導度が低いた
め、リードフレームとして放熱性に劣るなどの問題があ
った。
【0007】また、銅系のリードフレーム合金材は、脱
酸や強度向上のためリン、シリコンと等の活性な元素を
添加する場合が多いが、これらの元素を含むリードフレ
ーム材は、前述のように、加熱した場合にはんだの剥離
が発生しやすいことが知られている。対策として、亜鉛
の添加が有効であるが、導電率、熱伝導度の観点からそ
の添加量が制限されていた。
【0008】この発明は、以上の事情を背景としてなさ
れたもので、比較的安価な銅系材料を用いた電子部品用
導電材料として、良好な樹脂密着性を確保でき、さらに
はんだの耐熱剥離性に優れた材料、およびその製造方法
と、それを用いた電子部品を提供することを目的とする
ものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】前述のような課題を解決
するため、本発明者が鋭意実験・検討を重ねた結果、銅
合金からなる基材の表面に、所定の厚み、濃度、および
組織の銅−亜鉛合金層を形成することによって、良好な
樹脂密着性を有する電子部品用銅系複合材料が得られる
ことを見出し、この発明をなすに至ったのである。
【0010】具体的には、請求項1の発明の電子部品用
銅系複合材料は、銅合金の圧延材からなる基材の表面
に、少なくとも0.01μmの深さにわたって、0.1wt%以上
の亜鉛を含み、かつ銅合金のα相の組織の合金層が形成
されていることを特徴とするものである。
【0011】また、請求項2の発明の電子部品用銅合金
複合材料は、請求項1に記載の電子部品用銅系複合材料
において、前記銅−亜鉛合金層の亜鉛濃度が1〜30wt%の
範囲内であることを特徴とするものである。
【0012】さらに、請求項3の発明の電子部品用銅系
複合材料の製造方法は、請求項1もしくは請求項2に記
載の電子部品用銅系複合材料を製造するにあたり、銅合
金からなる圧延材の表面に亜鉛もしくは銅−亜鉛合金を
被覆した後、圧延加工を施して、前記合金層を形成する
ことを特徴とするものである。
【0013】また、請求項4の発明の電子部品用銅系複
合材料の製造方法は、請求項1もしくは請求項2に記載
の電子部品用銅系複合材料を製造するにあたり、銅合金
からなる圧延材の表面に亜鉛もしくは銅−亜鉛合金を被
覆した後、拡散熱処理を施して、前記合金層を形成する
ことを特徴とするものである。
【0014】そして、請求項5の発明の電子部品用銅系
複合材料の製造方法は、請求項1もしくは請求項2に記
載の電子部品用銅系複合材料を製造するにあたり、銅合
金からなる圧延材の表面に亜鉛もしくは銅−亜鉛合金を
被覆した後、圧延加工および拡散熱処理をそれぞれ1回
以上施して、前記合金層を形成することを特徴とするも
のである。
【0015】また、請求項6の発明の半導体用リードフ
レームは、請求項1もしくは請求項2に記載の電子部品
用銅系複合材料を用いて構成したことを特徴とするもの
である。
【0016】
【発明実施の形態】この発明において、基材としては銅
合金の圧延材を用いる。ここで、圧延材とは主としてリ
ードフレーム向けの圧延板(条材)を表す。またここ
で、銅合金としては、従来からリードフレーム用の圧延
板として使用されているものを用いることができ、代表
的にはCu-Sn-P系合金、Cu-Ni-Si系合金、Cu-Cr-Zr系合
金など、任意のものを用いることができる。なお、圧延
板を得るまでの工程、例えば鋳造工程や熱間圧延工程、
冷間圧延工程等のプロセス条件は特に制約されるもので
はない。
【0017】この発明の銅系複合材料では、前述のよう
な銅合金からなる基材の表面に、少なくとも0.01μmの
深さにわたって、0.1wt%以上の亜鉛を含みかつ銅合金の
α相の組織となっている合金層が形成されていることが
必要である。
【0018】上述のように基材表面に、0.1wt%以上の亜
鉛を含みかつ銅合金のα相の組織となっている合金層
(以下“銅−亜鉛合金層”と記す)を形成することによ
って、樹脂との密着性を大幅に向上させることができ、
さらにはんだの耐熱剥離性も向上させることができる。
【0019】表面に銅−亜鉛合金層が形成されることに
より、樹脂密着性が改善される理由は必ずしも明らかで
はないが、次のように考えられる。すなわち一般に銅合
金からなるリードフレームにおいては、その表面の酸化
膜が剥離しやすく、これが樹脂との密着性を低下させる
大きな要因となっている。一方、亜鉛は銅の保護性を増
す効果を有するため、銅合金からなる基材の表面に銅−
亜鉛合金層を形成しておけば、200〜300℃程度の大気酸
化条件下に曝されても酸化膜の成長を抑制することがで
き、かつ生成された酸化膜も母材側から脱落しにくく、
これにより樹脂との密着性が大幅に改善されるものと考
えられる。
【0020】また、はんだの耐熱剥離性を向上させる理
由は、熱剥離の原因となる半田めっき層の中の錫と素材
との間に形成される化合物層の成長が、亜鉛が存在する
ことにより抑制され、化合物層の形成に伴い生成される
ボイドの成長を抑制するためと考えられる。
【0021】この発明において、樹脂との密着性を改善
させる手段は、主として表面の酸化膜に関する化学的効
果によるものであるから、表面近傍の数十原子層の厚み
の部分が銅−亜鉛合金層となっていれば足りる。ただ
し、銅−亜鉛合金層が薄すぎる場合には、脱亜鉛現象や
取り扱い時の摩耗などにより、表面の銅−亜鉛合金層が
損傷を受け、樹脂密着性が低下する場合があるほか、亜
鉛の絶対量が不足することにより、はんだ耐熱剥離性に
対する効果も低下するので、銅−亜鉛合金層の厚み(表
面からの深さ)は0.01μm以上と規定した。一方、銅−
亜鉛合金層の厚みを例えば1μm以上、あるいは10μm以
上と大きくしても、樹脂との密着性およびはんだ耐熱剥
離性を向上させる効果は変わらない。したがって銅−亜
鉛合金層の厚みの上限は特に限定されず、用途に応じて
導電率や強度の点から選択された基材との調和を考慮し
て決定すれば良いが、一般的には3μm以下が好ましい。
【0022】また、表面の銅−亜鉛合金層における亜鉛
濃度が0.1wt%未満では、樹脂との密着性およびはんだ耐
熱剥離性を向上させる効果がほとんど得られず、したが
って銅−亜鉛合金層の亜鉛濃度は0.1wt%以上と規定して
いる。一方、銅−亜鉛合金層の亜鉛濃度の上限は数値と
しては規定しないが、銅−亜鉛合金層の組織を銅合金の
α相とする関係上、合金成分に応じて自ずと亜鉛濃度の
上限が決定され、通常は30数%程度が亜鉛の上限とな
る。ここで、表面の銅−亜鉛合金層にβ相などのα相以
外の組織が出現すれば、曲げ性やめっき性等の特性を劣
化させるから、表面の銅−亜鉛合金層はα相の組織とす
る必要がある。そして、銅−亜鉛合金層の平均の亜鉛濃
度が30wt%より低い低亜鉛濃度の場合でも、亜鉛濃度の
ばらつきにより局所的にβ相が出現してしまうことがあ
り、そこでこの発明においては、表面の銅−亜鉛合金層
の上限を数値的に定めず、組織面からα相とすることを
限定したのである。
【0023】なお、銅−亜鉛合金層における亜鉛濃度
は、0.1wt%以上でかつα相の組織となるように定めれば
良いが、一般には1〜30wt%の範囲内が望ましい。なお、
銅−亜鉛合金層における銅の含有量は、前述のところか
ら明らかなように、要は組織がα相となるように設定す
れば良い。また、亜鉛の含有量がβ相が出現する程度以
上まで高くなると、亜鉛の蒸気圧が高くなるため、銅−
亜鉛合金皮膜生成後の処理の中で、特に熱処理過程にお
いてヒュームが発生し作業環境が悪化する場合がある。
また、加熱時の脱亜鉛現象が顕著になり、加熱後の酸化
皮膜の密着性が低下し、これにより樹脂密着性が低下す
る。
【0024】ここで、銅−亜鉛合金層における銅および
亜鉛以外の合金元素については、この発明では特に限定
しない。すなわち、亜鉛が前述のような濃度で銅中に存
在することが、樹脂との密着性の改善、およびはんだの
耐熱剥離性の改善に有効であって、亜鉛以外の元素の影
響をほとんど受けることがないからである。したがっ
て、表面の銅−亜鉛合金層には、母材成分の拡散や合金
めっき成分などによって銅と亜鉛以外の合金元素が、曲
げ性やめっき性等を損なわない範囲内で含まれていても
かまわない。
【0025】以上のような基材表面の銅−亜鉛合金層を
形成するための方法は特に限定されるものではなく、電
気めっき法、無電解めっき法、蒸着、溶射等種々の方法
を適用できる。
【0026】さらに、基材表面に銅−亜鉛合金層を形成
するための方法について、具体的に説明する。
【0027】前述のように銅−亜鉛合金層は、各種のめ
っき法や蒸着、溶射等の任意の方法で基材表面に被覆し
て形成すれば良いが、この場合最初から目標とする亜鉛
濃度を有する銅−亜鉛合金をめっき等により基材表面に
被覆しても、あるいは亜鉛単体をめっき等により基材表
面に被覆して、その後の拡散熱処理によって銅−亜鉛合
金層としても良く、ならには後に改めて説明するように
亜鉛単体をめっき等により被覆した後に圧延を行って、
その圧延過程で合金化させても良い。
【0028】また上述のように銅−亜鉛合金もしくは亜
鉛を基材表面に被覆する段階は、基材が最終的な製品厚
み(すなわちリードフレーム用の条材の厚み)まで圧延
された段階であっても良いが、通常は最終製品の厚みよ
りも厚い圧延中途段階で被覆しておき、その後に製品厚
みまで圧延することが好ましい。すなわち、例えば電気
めっきの場合、銅と亜鉛の電気化学的特性が著しく異な
ることから(銅は貴金属で亜鉛は卑金属)、シアン系の
めっき浴を使用する必要があり、環境上、安全上の観点
からできるだけ電気めっきを避けることが望まれる。一
方、無電解めっきではめっき浴のコストが高く、さらに
蒸着や溶射では設備コストが高くなる等の問題がある。
したがって処理すべき基材の面積が大きい最終製品厚み
の段階で亜鉛もしくは銅−亜鉛合金を被覆することは得
策ではない。そこで、比較的厚みの大きい段階(圧延中
間段階)で表面に銅−亜鉛合金もしくは亜鉛を被覆して
おき、その後に最終製品厚みまで圧延する方法を適用す
れば、前述のような問題を最小限に抑えることができ、
生産性も向上させることができる。
【0029】また、このように圧延中間段階で基材表面
に、銅−亜鉛合金もしくは亜鉛を例えばめっき方により
被覆した後に、最終製品まで圧延を行う場合、圧延によ
りめっき層のもろい電着組織が破壊されて、曲げ性等の
加工性が向上する効果も得られる。また、基材の厚みが
比較的大きい圧延中途段階で被覆する場合には、亜鉛単
体のめっきを行なっても、その被覆厚が薄ければ、その
後製品厚みまで圧延する過程において亜鉛層と基材層の
間で相互拡散が起こり、表面に銅−亜鉛合金層が形成さ
れるから、合金めっき等により最初から銅−亜鉛合金を
被覆する必要がなくなる。
【0030】一方、基材上に亜鉛もしくは銅−亜鉛合金
を被覆した後に、目標とする亜鉛濃度の銅−亜鉛合金層
を形成するため、あるいは加工性向上のために拡散熱処
理を施してもよい。
【0031】すなわち、亜鉛単体を基材上にめっき等に
より被覆した後に、拡散熱処理を行なって亜鉛被覆層中
の亜鉛と基材マトリックスの間で相互拡散を起こさせれ
ば、目標とする亜鉛濃度の銅−亜鉛合金を基材表面に形
成することができる。この場合、拡散熱処理の時間およ
び温度を適切に調整することにより、拡散量を任意に制
御できるから、前述のような圧延のみによって拡散させ
る場合と異なり、厚い銅−亜鉛合金層も容易に形成する
ことができる。また、このように拡散熱処理によって銅
−亜鉛合金層を形成すれば、銅−亜鉛合金層が基材と一
体化した状態で生成されるため、その後の加工時に表面
の銅−亜鉛合金層が剥離するおそれがないうえに、加工
性も良好になる。一方、銅−亜鉛合金を基材表面に被覆
し、その後に拡散熱処理を施す場合も、被覆合金層と基
材との間で相互拡散が起こり、銅−亜鉛合金層の成分組
成や厚みを容易に調整することができ、また拡散により
銅−亜鉛合金層が基材と一体化するため、前記同様に加
工性を向上させることができる。なお、拡散熱処理の条
件は特に限定されるものではなく、被覆材の成分組成や
厚み、基材の成分組成に応じて定めれば良いが、例えば
圧延中途段階で亜鉛単体を3μmめっきした場合、350〜4
00℃で30〜60分程度熱処理すればよい。
【0032】ここで、基材上に亜鉛もしくは亜鉛合金を
被覆した後には、前述のように圧延加工と拡散熱処理の
うち、いずれか一方のみを施しても良いが、場合によっ
ては圧延加工と拡散熱処理とを組み合わせ、それぞれ1
回以上施してもよく、このようにすれば、表面の銅−亜
鉛合金層の厚みや組成、組織をより一層適切に制御する
ことが可能となる。
【0033】上述のようにして基材表面に所要の亜鉛濃
度の銅−亜鉛合金層が形成されかつ所要の板厚まで圧延
された銅系複合圧延材は、樹脂との密着性およびはんだ
耐熱剥離性が優れているため、この材料をリードフレー
ムとして利用した場合パッケージクラックの発生および
はんだの熱剥離を最小限に抑えることができる。
【0034】なお従来リードフレームについては、条材
をプレス加工やエッチングで成形した後、さらに全面に
1μm程度の薄い銅めっきを施すこともあるが、この発明
の銅系複合材料をリードフレームとして用いた場合、プ
レス加工やエッチング後に上述のような銅めっきを施し
ても、樹脂との密着性やはんだ耐熱剥離性が損なわれる
ことはない。すなわち、銅−亜鉛合金層の上に1μm程
度の薄い銅めっきが施されても、めっきされた銅の皮膜
は欠陥密度が高く、粒界も多いことから、亜鉛がめっき
層を短回路拡散で樹脂との接合面、またははんだとの接
合面に拡散する速度は極めて高い。したがって1μm程度
の薄い銅めっきを施しても、樹脂との密着性およびはん
だ耐熱剥離性を充分に確保することができる。
【0035】
【実施例】基材としては、種々の厚みのコルソン合金系
リードフレーム材(3%Ni-0.7%Si-0.15%Mg-残Cu)を用
い、表1中に示すような処理工程によって表面に銅−亜
鉛合金層を有する銅系複合材料を得た。なお表1中にお
ける銅−亜鉛めっきおよび亜鉛めっきは、いずれも電気
めっきによって行った。そのめっき浴組成及びめっき条
件を表2に示す。なお銅−亜鉛めっきの場合は、表2に示
すめっき浴の組成を基本とし、青化銅と青化亜鉛の組成
を変化させて所望の組成のめっき皮膜が得られるように
調整した。また、表1中における拡散熱処理は、アルゴ
ンガス雰囲気中で行った。
【0036】得られた各材料の表層の銅−亜鉛合金層の
厚みを表1中に示す。また、表層の相、および亜鉛濃度
を調べるため、合金層の断面を光学顕微鏡による観察、
およびX線マイクロアナライザによる分析を行なった。
分析値のおよび現れた相を表1に示す。さらに、各材料
について、図1に示すようないわゆる「プリン法」によ
って樹脂との密着性を調べた。すなわち、供試材表面上
にエポキシ樹脂をプリン状に硬化させ、供試材と樹脂と
をそれぞれ反対方向(せん断方向)に引張り、剥離が生
じた時のせん断力を測定して、樹脂に対する密着性を評
価した。なおこの測定は、入手ままの供試材(加熱前供
試材)について行なうとともに、耐パッケージクラック
性の代用特性となる300℃大気中5分加熱を行なった後の
供試材について行なった。ここで、上記密着性試験にお
ける樹脂としては、主剤として油化シェルエポキシ
(株)製の商品名エピコート#828を用い、硬化剤として
日本合成加工(株)製の商品名アメックスH-89を用い、
主剤90%、硬化剤10%の割合で配合し、大気中にて100
℃、120分の条件で硬化させた。このような樹脂密着性
評価結果(剥離時のせん断強度)を表1中に示す。
【0037】さらに、各供試材の表面を肉眼および実体
顕微鏡(100倍)にて観察し、表面の均一性を調べたの
でその結果も表1中に併せて示す。
【0038】また、供試材の曲げ性を調べるため、得ら
れたサンプルからロール方向(badway)の曲げ性を調べ
るため、図2に示すように幅10mm、長さ50mmの短冊
状のサンプルを圧延における幅方向に5点採取し、曲げ
半径0〜0.5mmでW曲げ試験を行ない、曲げ部の外側を
光学顕微鏡により観察し、割れの有無を調査した。この
結果も表1に併せて示す。なお、幅方向(good way)の
曲げについては、基材の曲げ性がもともと良好でないた
め評価しなかった。
【0039】はんだ耐熱剥離性は次の手順で調べた。ま
ず、得られた材料を幅10mm、長さ50mmの短冊状に切
断し、これを230℃±5℃の60%Sn-40%Pbはんだ中に5秒間
浸漬した。フラックスは25%ロジン−エタノールを用い
た。この材料を150℃において0〜1000時間加熱し、板厚
と同じ曲げ半径で90°曲げこれを元に戻した後、曲げ部
のはんだの剥離の有無を肉眼で観察した。これらの評価
結果を表3に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】表1に示すように、この発明の実施例1〜5
による銅系複合材料は、加熱前、加熱後のいずれも樹脂
密着性が良好であり、また外観の均一性も良好であるこ
とが判明した。
【0044】一方、比較例1は表面の銅−亜鉛合金層の
亜鉛濃度が50%と高かった例で、銅−亜鉛合金層中にβ
相が認められた。この場合加熱後の樹脂密着性がやや劣
るほか、また曲げ性の調査において、圧延方向R=0.12
5mm以下の条件において割れが発生した。また、めっき
性も劣ることが別の試験によって確認された。
【0045】一方、比較例2は表面の銅−亜鉛合金層の
亜鉛濃度が0.005%と低すぎた例であるが、この場合樹脂
との密着性、特に加熱後の樹脂との密着性が劣り、また
外観も不均一であった。また、比較例3は表面の銅−亜
鉛合金層の厚みが0.005μmと薄すぎた例であり、この場
合も加熱後の樹脂密着性が劣っている。なお、比較例4
は銅−亜鉛合金層を形成していない圧延板であるが、こ
の場合樹脂との密着性、特に加熱後の樹脂との密着性が
劣ることが明らかである。
【0046】また、表3に示すように、実施例の材料は1
000時間加熱してもはんだの剥離は発生しないのに対
し、銅−亜鉛合金層の亜鉛濃度の高い比較例1.ははんだ
耐熱剥離性は問題無いものの、亜鉛濃度の低い比較例2
や、厚みの薄い比較例3、銅−亜鉛合金層形成していな
い比較例4の材料は、いずれも1000時間以内にはんだの
剥離が発生した。
【0047】
【発明の効果】この発明の銅系複合材料は、加熱による
樹脂との密着性の低下が少なく、リードフレームとして
使用した場合、42合金などの高価な合金を用いることな
く、パッケージクラックの発生のおそれを最小限に抑え
て、高い信頼性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の密着性を調べたプリン法を示す概略図
である。
【図2】曲げ試験のサンプルの採取位置を示す図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // B23K 101:40 B23K 101:40 103:12 103:12 Fターム(参考) 4E067 AA01 AA07 BD03 DA00 EB00 EB11 4K024 AA05 AA17 AB01 BA09 BB13 BC01 CA02 CA03 CA04 CA06 DB01 GA12 GA14 5F067 EA04 EA10

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銅合金の圧延材からなる基材であって、
    その表面から少なくとも0.01μmの深さにわたって、0.1
    wt%以上の亜鉛を含みかつ、銅もしくは銅合金のα相の
    組織の合金層が形成されていることを特徴とする樹脂密
    着性、およびはんだ耐熱剥離性を改善した電子部品用銅
    系複合材料。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の電子部品用銅系複合材
    料において、前記合金層の亜鉛濃度が1〜30wt%の範囲内
    である事を特徴とする樹脂密着性、およびはんだ耐熱剥
    離性に優れた電子部品用銅系複合材料。
  3. 【請求項3】 請求項1もしくは請求項2に記載の電子
    部品用銅系複合材料を製造するにあたり、銅合金からな
    る圧延材の表面に、亜鉛もしくは銅−亜鉛合金を被覆し
    た後、圧延加工を施して、前記合金層を形成することを
    特徴とする樹脂密着性、およびはんだ耐熱剥離性に優れ
    た電子部品用銅系複合材料の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1もしくは請求項2に記載の電子
    部品用銅系複合材料を製造するにあたり、銅合金からな
    る圧延材の表面に、亜鉛もしくは銅−亜鉛合金を被覆し
    た後、拡散熱処理を施して、前記合金層を形成すること
    を特徴とする樹脂密着性、およびはんだ耐熱剥離性に優
    れた電子部品用銅系複合材料の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1もしくは請求項2に記載の電子
    部品用銅系複合材料を製造するにあたり、銅合金からな
    る圧延材の表面に、亜鉛もしくは銅−亜鉛合金を被覆し
    た後、圧延加工および拡散熱処理をそれぞれ1回以上施
    して、前記合金層を形成することを特徴とする樹脂密着
    性、およびはんだ耐熱剥離性に優れた電子部品用銅系複
    合材料の製造方法。
  6. 【請求項6】 第1項から第4項に記載した電子部品用
    銅系複合材料を使用したことを特徴とする半導体用リー
    ドフレーム。
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KR100996230B1 (ko) 2008-12-05 2010-11-24 김상용 통신 커넥터의 표면처리방법

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