JP2001261917A - 水性粉体スラリー組成物、活性エネルギー線硬化型塗料、および、これらの硬化方法 - Google Patents

水性粉体スラリー組成物、活性エネルギー線硬化型塗料、および、これらの硬化方法

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JP2001261917A
JP2001261917A JP2000081934A JP2000081934A JP2001261917A JP 2001261917 A JP2001261917 A JP 2001261917A JP 2000081934 A JP2000081934 A JP 2000081934A JP 2000081934 A JP2000081934 A JP 2000081934A JP 2001261917 A JP2001261917 A JP 2001261917A
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maleimide
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Yasuyoshi Kashiwagi
恭義 柏木
Masataka Ooka
正隆 大岡
Miya Sakurai
美弥 桜井
Atsushi Miyagawa
篤 宮川
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DIC Corp
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Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 貯蔵安定性、外観、硬度に優れ、しかも光重
合開始剤を添加しない配合、又はその添加量の少ない配
合であっても良好な硬化性を有する水性粉体スラリー組
成物、活性エネルギー線硬化型塗料、さらには、これら
の硬化方法を提供すること。 【解決手段】 マレイミド基含有固体化合物(A)、マ
レイミド基含有化合物(B)と化合物(B)と共重合性
する化合物(C)を含有する固体の組成物(S)、又は
上記化合物(A)と化合物(A)と共重合性する固体化
合物(D)とを、水性媒体中に分散せしめてなる水性粉
体スラリー組成物、この組成物を含有する活性エネルギ
ー線硬化型塗料、これらに活性エネルギー線を照射する
硬化方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マレイミド基をを
含有する化合物を必須成分として含有する水性粉体スラ
リー組成物、当該組成物を含有する塗料、当該組成物お
よび塗料の硬化方法にするものである。本発明の水性粉
体スラリー組成物は、インキ、塗料、表面処理剤、成形
材料、接着剤もしくは粘着剤等の各種の用途に有効に利
用できるものである。そして、本発明の水性粉体スラリ
ー組成物を含有する塗料は、各種の金属類、プラスチッ
ク類あるいは木材等の各種の基材の被覆に有効に利用で
きるものである。
【0002】
【従来の技術】従来、水性粉体スラリー組成物として
は、熱可塑性の固形樹脂あるいは硬化剤を含有する固形
の熱硬化性樹脂組成物から調製した粉末を、水に分散せ
しめたものが使用されてきた。しかし、かかる熱可塑性
の固形樹脂から調製される水性粉体スラリー組成物から
水を除去して得られる被膜あるいは成型品等の加工品は
硬度や耐溶剤性等の性能に劣る問題がある。また、固形
の熱硬化性樹脂組成物から得られる粉体スラリー組成物
は、一般的に低温での硬化性が不十分で木材やプラスチ
ック等の耐熱性に劣る基材には適用できない問題点があ
る。
【0003】一方、低温硬化型の粉体塗料用組成物とし
て、特開平8−176472号公報に開示されている如
く固形の不飽和ポリエステル樹脂と(メタ)アクリロイ
ル基含有ポリウレタン樹脂を必須成分として含有する、
加熱によるラジカル重合架橋もしくは活性エネルギー線
の照射による架橋可能な組成物が検討されてきた。ま
た、EP0636669A2号公報には、特定性状の不
飽和基を含有する樹脂と特定の二重結合を含有する架橋
剤からなる粉体塗料用の活性エネルギー線架橋型の組成
物が開示されている。
【0004】しかし、かかる加熱によるラジカル重合架
橋あるいは活性エネルギー線架橋型の粉体塗料用組成物
においては、低温で充分に流動せしめて平滑な塗膜を得
るために当該組成物の軟化点を従来の熱硬化型粉体塗料
用組成物よりも低く設定する必要がある。そのために、
粉体塗料としてはブロッキングしやすく貯蔵安定性に劣
る欠点があった。また、こうした欠点をカバーするため
に軟化点を高くすると塗膜の平滑性に劣る問題点が生じ
るし、硬化時の溶融粘度性が高くなるために硬化性が不
十分となり、硬度が出にくいといった問題点もあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した従
来開発されてきた各種の組成物の問題点を抜本的に改良
して、その問題点を解決した新規な水性粉体スラリー組
成物、当該組成物を含有する塗料、さらには、当該粉体
スラリー組成物および当該塗料を硬化せしめる方法を提
供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述した
課題を解決するべく鋭意検討した結果、マレイミド化合
物を必須の成分として含有する水性粉体スラリー組成物
は、硬化性と貯蔵安定性に優れ、しかも塗膜外観や硬度
に優れる硬化物を与えることを見出し、上述した課題を
解決できることを確認するに及んで、本発明を完成する
に至った。
【0007】即ち、本発明は、 1. マレイミド基を含有する30℃で固体の化合物
(A)を水性媒体中に分散せしめてなる、水性粉体スラ
リー組成物、
【0008】2. マレイミド基を含有する化合物
(B)と、当該化合物(B)と共重合性を有する炭素−
炭素二重結合を含有する化合物(C)を必須成分として
含有する30℃で固体の組成物(S)を水性媒体中に分
散せしめてなる、水性粉体スラリー組成物、
【0009】3. マレイミド基を含有する30℃で固
体の化合物(A)と、当該化合物(A)と共重合性を有
する炭素−炭素二重結合を含有する30℃で固体の化合
物(D)とを水性媒体中に分散せしめてなる、水性粉体
スラリー組成物、
【0010】4. 前記した、化合物(A)が、2個以
上のマレイミド基を含有する化合物である、上記1また
は3に記載の水性粉体スラリー組成物、
【0011】5. 前記した、化合物(B)が、2個以
上のマレイミド基を含有する化合物である、上記2に記
載の水性粉体スラリー組成物、
【0012】6. 前記した、2個以上のマレイミド基
を含有する化合物において、2個以上のマレイミド基
が、エステル結合、エーテル結合、カーボネート結合お
よびウレタン結合からなる群から選ばれる少なくとも一
種の結合を有する2価以上の有機基と炭素−窒素結合に
より結合したものである、上記4または5に記載の水性
粉体スラリー組成物、
【0013】7. 前記した、化合物(C)が、アクリ
ロイル基、メタアクリロイル基、ビニルエーテル基、不
飽和二塩基酸エステル基およびビニルエステル基からな
る群より選ばれる少なくとも一種の炭素−炭素二重結合
を含有する基を有するものである、上記2に記載の水性
粉体スラリー組成物、
【0014】8. 前記した、化合物(C)が、それぞ
れ炭素−炭素二重結合を含有する、ビニル系重合体、ポ
リエステル系重合体、ポリウレタン系重合体および変性
エポキシ樹脂系重合体から成る群より選ばれる少なくと
も1種の重合体である、上記2または7に記載の水性粉
体スラリー組成物、
【0015】9. 前記した、化合物(D)が、アクリ
ロイル基、メタアクリロイル基、ビニルエーテル基、不
飽和二塩基酸エステル基およびビニルエステル基からな
る群より選ばれる少なくとも一種の炭素−炭素二重結合
を含有する基を有するものである、上記3に記載の水性
粉体スラリー組成物、
【0016】10. 前記した、化合物(D)が、それ
ぞれ炭素−炭素二重結合を含有する、ビニル系重合体、
ポリエステル系重合体、ポリウレタン系重合体および変
性エポキシ樹脂系重合体から成る群より選ばれる少なく
とも1種の重合体である、上記3または9に記載の水性
粉体スラリー組成物、
【0017】11. 光重合開始剤を含有しないもので
ある、上記1〜10のいずれか一項に記載の水性粉体ス
ラリー組成物。
【0018】12. 上記1〜11のいずれか一項に記
載の水性粉体スラリー組成物を含有する活性エネルギー
線硬化型塗料、および、
【0019】13. 上記1〜11のいずれか一項に記
載の水性粉体スラリー組成物または上記12に記載の活
性エネルギー線硬化型塗料に、活性エネルギー線を照射
せしめることを特徴とする、水性粉体スラリー組成物も
しくは活性エネルギー線硬化型塗料の硬化方法、を提供
するものである。
【0020】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳しく説明す
る。本発明で云う粉体スラリー組成物とは、30℃で固
形の微粒子が水性媒体に分散された形態であるものを指
称する。
【0021】本発明のスラリー組成物は基本的には、マ
レイミド化合物を必須成分として含有するものである
が、かかる組成物としては、(1)二重結合を含有する
成分としてマレイミド基を含有する30℃で固体の化合
物(A)を単独で水性媒体中に分散せしめて得られる組
成物[以下、これを組成物(PS−1)と略称する]、
(2)二重結合を含有する成分として、マレイミド基を
含有する化合物(B)と、当該化合物(B)と共重合性
を有する炭素−炭素二重結合を含有する化合物(C)を
必須成分として含有する30℃で固体の組成物(S)を
水性媒体中に分散せしめて得られる組成物[以下、これ
を組成物(PS−2)と略称する]、(3)二重結合を
含有する成分として、マレイミド基を含有する30℃で
固体の化合物(A)と、当該化合物(A)と共重合性を
有する炭素−炭素二重結合を含有する30℃で固体の化
合物(D)との、それぞれを水性媒体中に分散せしめて
得られる組成物[以下、これを組成物(PS−3)と略
称する]、の3種類の水性粉体スラリー組成物に関する
ものである。
【0022】かかる、3種類の水性粉体スラリー組成物
において、必須成分としてマレイミド基を含有する化合
物(A)または(B)が使用されるがこれらのうち、化
合物(A)は30℃において必ず固体の化合物である。
一方、化合物(B)は30℃において固体であっても、
液状であってもよい。従って、化合物(A)は化合物
(B)に包含されるものである。以下に、先ず、マレイ
ミド化合物(B)について説明をする。
【0023】かかるマレイミド基を含有する化合物
(B)としては、縮合系や付加重合系等の分子量分布を
有するオリゴマーあるいはポリマー〔以下、これらを化
合物(BP)と総称する〕に加えて、低分子量の単一分
子量の化合物や分子量が比較的高い単一分子量の化合物
やこれらを比較的高い含有率で含む混合物〔以下、これ
らを化合物(BL)と略称する〕がある。
【0024】かかる、マレイミド基を含有する化合物
(B)のうち、化合物(BL)としては、分子中に1個
のマレイミド基を含有する化合物と2個以上のマレイミ
ド基を含有する化合物の何れをも使用することができ
る。
【0025】かかるマレイミド化合物(BL)のうち、
分子中に1個のマレイミド基を含有する化合物の代表的
なものとしては、N−メチルマレイミド、N−エチルマ
レイミド、N−n−ブチルマレイミド、N−tert−
ブチルマレイミド、N−n−ヘキシルマレイミドの如き
N−アルキルマレイミド類;N−フェニルマレイミド、
N−p−トリルマレイミド、N−m−トリルマレイミド
の如きN−アリールマレイミド類;N−ヒドロキシメチ
ルマレイミド、N−2−ヒドロキシエチルマレイミドの
如きN−ヒドロキシアルキルマレイミド類;N−カルボ
キシメチルマレイミド、N−(2−カルボキシ)エチル
マレイミドもしくはN−(5−カルボキシ)ペンチルマ
レイミド、N−(10−カルボキシ)デシルマレイミ
ド、N−(12−カルボキシ)ウンデシルマレイミドの
如きカルボキシアルキルマレイミド類;N−メトキシカ
ルボニルメチルマレイミド、N−n−ブトキシカルボニ
ルメチルマレイミド、N−(2−メトキシカルボニル)
エチルマレイミドもしくはN−(5−メトキシカルボニ
ル)ペンチルマレイミドの如きカルボキル基を含有する
マレイミド化合物と1価のアルコール類を反応せしめて
得られるエステル結合を含有するマレイミド化合物;
【0026】N−アセトキシメチルマレイミド、N−ブ
チリルオキシメチルマレイミド、N−(5−ベンゾイル
オキシ)ペンチルマレイミドもしくはN−()2−アセ
トキシ)エチルマレイミドの如きN−ヒドロキシアルキ
ルマレイミド類をモノカルボン酸類あるいはその誘導体
と反応せしめて得られるエステル結合を含有するマレイ
ミド化合物;N−メチルカルバモイルオキシメチルマレ
イミド、N−n−ブチルカルバモイルオキシメチルマレ
イミドもしくはN−(2−メチルカルバモイルオキシ)
エチルマレイミドの如き、N−ヒドロキシアルキルマレ
イミド類をモノイソシアネート類と反応せしめて得られ
るウレタン結合を含有するマレイミド化合物;さらに
は、N−(メタ)アクリロイルオキシメチルマレイミ
ド、N−[2−(メタ)アクリロイルオキシ]エチルマ
レイミド、N−クロトノイルオキシメチルマレイミド、
N−ビニルオキシメチルマレイミド、イタコン酸−モノ
メチル−モノマレイミドメチルエステルもしくはフマル
酸−モノメチル−モノマレイミドメチルエステルの如き
1個のマレイミド基とマレイミド基以外の重合性不飽和
二重結合を含有する化合物を併有する化合物等が挙げら
れる。
【0027】化合物(BL)のうちで、2個以上のマレ
イミド基を含有する化合物の代表的なものとしては、エ
ステル結合、エーテル結合、カーボネート結合およびウ
レタン結合からなる群から選ばれる少なくとも1種の結
合の1個以上を含有する2価以上の有機基と2個以上の
マレイミド基が炭素−窒素結合により結合した化合物や
2価以上の炭化水素基と2個以上のマレイミド基が炭素
−窒素結合により結合した化合物等が挙げられる。
【0028】かかる化合物(BL)のなかで、2価以上
の炭化水素基と2個以上のマレイミド基が炭素−窒素結
合により結合した化合物の具体的なものとしては、N,
N’−メタフェニレンビスマレイミド、N,N’−ジフ
ェニルメタンビスマレイミド、エチレンビスマレイミド
もしくはN,N’−テトラメチレンビスマレイミド、
N,N’−ドデカメチレンビスマレイミドの如きものが
挙げられる。
【0029】前記した化合物(BL)のなかで、エーテ
ル結合の1個以上を含有する2価以上の有機基と2個以
上のマレイミド基が炭素−窒素結合により結合した化合
物の具体的なものとしては、環内にエーテル酸素原子を
有するスピロ環構造を含有する2価以上の有機基と2個
以上のマレイミド基が炭素−窒素結合により結合した化
合物〔以下、これを化合物(BL−1)と略称する〕;
-CH2O-なるオキシメチレン単位に由来するエーテル結
合の少なくとも1個を含有する2価以上の有機基であっ
て、上記化合物(BL−1)に包含される2価以上の有
機基以外の有機基と、2個以上のマレイミド基が炭素−
窒素結合により結合した化合物〔以下、これを化合物
(BL−2)と略称する〕等を挙げることが出来る。
【0030】上記した化合物(BL−1)の代表的なも
のとしては、下記の一般式(I)で示される化合物を挙
げることが出来る。
【0031】
【化1】
【0032】(但し、式中、m及びnは、各々独立し
て、1〜5の整数を表わし、且つ、m+nは6以下であ
る。X及びYは、各々独立して、置換基を有していて
も、有していなくてもよいアルキレン基又は置換基を有
していても、有していなくてもよいアルキレンカルボニ
ルオキシ基を表わす。p1、p2、q1及びq2は、各
々独立して、0〜5の整数を表わす。R1及びR2は、
各々独立して、置換基を有していても、有していなくて
もよい、アルキレン基又はアリーレン基を表す。R’1
及びR’2は、各々独立して、水素原子、置換基を有し
ていても、有していなくてもよい、アルキル基又はアリ
ール基又はアラルキル基を表す。)
【0033】上記一般式(I)で示される化合物に含有
される、XまたはYとしての置換基を有していても、有
していなくてもよいアルキレン基の代表的なものとして
は、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラ
メチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基の如
き直鎖アルキレン基;プロピレン基、1−メチル−トリ
メチレン基、2−メチル−トリメチレン基、1−メチル
−テトラメチレン基、2−メチル−テトラメチレン基の
如き分岐構造を有するアルキレン基等が挙げられる。
【0034】XまたはYとしての置換基を有していて
も、有していなくてもよいアルキレンカルボニルオキシ
基の代表的なものとしては、メチレンカルボニルオキシ
基、エチレンカルボニルオキシ基、トリメチレンカルボ
ニルオキシ基、テトラメチレンカルボニルオキシ基、ペ
ンタメチレンカルボニルオキシ基、ヘキサメチレンカル
ボニルオキシ基の如き直鎖アルキレンカルボニルオキシ
基;プロピレンカルボニルオキシ基、1−メチル−トリ
メチレンカルボニルオキシ基、2−メチル−トリメチレ
ンカルボニルオキシ基、1−メチル−テトラメチレンカ
ルボニルオキシ基、2−メチル−テトラメチレンカルボ
ニルオキシ基、1−メチル−ペンタメチレンカルボニル
オキシ基、2−メチル−ペンタメチレンカルボニルオキ
シ基、3−メチル−ペンタメチレンカルボニルオキシ
基、2,2−ジメチルトリメチレンカルボニルオキシ基
の如き分岐構造を有するアルキレンカルボニルオキシ基
等が挙げられる。
【0035】R1とR2に挟まれた環状構造は一般的に
スピロ環構造と称されるが、かかる環状構造を有する有
機基の代表的なものとしては、1,3,5,7−テトラ
オキサスピロ[3,3]−2,6−へプチレン基、1,
3,5,7−テトラオキサスピロ[3,4]−2,6−
オクチレン基、1,3,5,7−テトラオキサスピロ
[3,5]−2,6−ノニレン基、1,3,6,8−テ
トラオキサスピロ[3,5]−2,7−ノニレン基、
1,3,5,7−テトラオキサスピロ[3,6]−2,
6−デシレン基、1,3,6,8−テトラオキサスピロ
[3,6]−2,7−デシレン基、1,3,7,9−テ
トラオキサスピロ[3,7]−2,8−ウンデシレン
基、1,3,6,8−テトラオキサスピロ[4,4]−
2,7−ノニレン基、1,3,6,8−テトラオキサス
ピロ[4,5]−2,7−デシレン基、1,3,7,9
−テトラオキサスピロ[4,5]−2,8−デシレン
基、1,3,7,9−テトラオキサスピロ[4,6]−
2,8−ウンデシレン基、1,3,8,10−テトラオ
キサスピロ[4,7]−2,9−ドデシレン基、2,
4,7,9−テトラオキサスピロ[5,5]−3,8−
ウンデシレン基、2,4,8,10−テトラオキサスピ
ロ[5,5]−3,9−ウンデシレン基、2,4,8,
10−テトラオキサスピロ[5,6]−3,9−ドデシ
レン基、2,4,9,11−テトラオキサスピロ[5,
7]−3,10−トリデシレン基等が挙げられる。そし
て、これらのうちで、2,4,8,10−テトラオキサ
スピロ[5,5]−3,9−ウンデシレン基が特に好ま
しいものの一つとして挙げられる。
【0036】上記一般式(I)で示される化合物に含有
される、R1およびR2としての置換基を有していて
も、有していなくてももよいアルキレン基又はアリーレ
ン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリ
メチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘ
キサメチレン基の如き直鎖アルキレン基;プロピレン
基、1−メチル−トリメチレン基、2−メチル−トリメ
チレン基、1−メチル−テトラメチレン基、2−メチル
−テトラメチレン基、1−メチル−ペンタメチレン基、
2−メチル−ペンタメチレン基、3−メチル−ペンタメ
チレン基、2,2−ジメチルトリメチレン基の如き分岐
構造を有するアルキレン基;フェニレン基、1−メチル
フェニレン基、2−メチルフェニレン基の如きアリーレ
ン基等が挙げられる。
【0037】R’1及びR’2としての、置換基を有し
ていても、有していなくてもよい、アルキル基又はアリ
ール基又はアラルキル基としては、例えば、メチル基、
エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチ
ル基、n−ヘキシル基の如き直鎖アルキル基;イソプロ
ピル基、sec−ブチル基、イソブチル基、1−メチル
−ブチル基、2−メチル−ブチル基、1−メチル−ペン
チル基、2−メチル−ペンチル基、3−メチル−ペンチ
ル基、ネオペンチル基の如き分岐構造を有するアルキル
基;フェニル基、2−メチルフェニル基の如きアリール
基;ベンジル基、1−メチルベンジル基、3−メチルベ
ンジル基の如きアラルキル基等が挙げられる。
【0038】上記した化合物(BL−2)に含有される
-CH2O-なるオキシメチレン単位に由来するエーテル結
合の少なくとも1個を含有する2価以上の有機基の代表
的なものとしては、-(CH2)3-O-(CH2)3-、-(CH2)3
-O-(CH2)2-O-(CH2)3-、-(CH2)3-O-(CH2)4-O-(C
H2)3-、-(CH2)3-O-CH2-C(CH3)2-CH2-O-(CH2)
3-、-(CH2)3-O-(CH2)2-O-(CH2)2-O-(CH2)3-の
如き1〜3個のオキシメチレン単位を含有する2価の有
機基;C2H5C(CH2OCH2CH2-)3、C(CH2OCH2CH2-)
4の如きオキシメチレン単位を含有する3価または4価
の有機基;-(CH2)rCOO-(CH2)2-O-(CH2)2-OOC-(CH
2)r-(但し、rは1〜12なる整数であるものとする)、
-(CH2)rCOO-(CH2)2-O-(CH2)2-O-(CH2)2-OOC-(CH
2)r-(但し、rは前出に同じ)、-(CH2)rCOO-CH2CH
(CH3)-O-CH2CH(CH3)-OOC-(CH2)r-(但し、rは前出
に同じ)の如きエステル結合を併有する2価の有機基;
C2H5C[CH2OCH2CH2OOC(CH2)r-]3、C[CH2OCH
2CH2OOC(CH2)r-]4(但し、rは前出に同じ)の如
きオキシメチン単位とエステル結合を併有する3価また
は4価の有機基;-(CH2)rCOO-CH2CH(OH)CH2-O-(CH
2)2-O-CH2CH(OH)CH2-OOC-(CH2)r-(但し、rは前
出に同じ)、-(CH2)rCOO-CH2CH(OH)CH2-O-(CH2)2-
O-(CH2)2-O-CH2CH(OH)CH2-OOC-(CH2)r-(但し、r
は前出に同じ)、-(CH2)rCOO-CH2CH(OH)CH2-O-(CH
2)4-O-CH2CH(OH)CH2-OOC-(CH2)r-(但し、rは前
出に同じ)、-(CH2)rCOO-CH2CH(OH)CH2-O-(CH2)6-
O-CH2CH(OH)CH2-OOC-(CH2)r-(但し、rは前出に同
じ)、-(CH2)rCOO-CH2CH(OH)CH2-O-CH2C(CH3)2CH
2-O-CH2CH(OH)CH2-OOC-(CH2)r-(但し、rは前出に
同じ)、-(CH2)rCOO-CH2CH(OH)CH2-O-ph-C(CH3)2-
Ph-O-CH2CH(OH)CH2-OOC-(CH2)r-(但し、rは前出に
同じ、また、-Ph-はパラフェニレン基を表す)、-(CH
2)rCOO-CH2CH(OH)CH2-O-ph-C(CH3)2-Ph-O-CH2CH
(OH)CH2-OOC-(CH2)r-(但し、rと-Ph-は前出に同
じ)の如き2−ヒドロキシエステル基をも含有する2価
の有機基;-(CH2)2-OCO(OCH2CH2)2-OCOO-(CH2)2
-もしくは-(CH2)2-OCO(OCH2CH2)3-OCOO-(CH2)2-
の如きカーボネート基をも含有する2価の有機基等が挙
げられる。
【0039】従って、化合物(BL−2)の代表的なも
のとしては、上記した如き各種の2価以上の有機基の末
端炭素原子にマレイミド基の窒素原子が結合した構造を
有する、各種の化合物が挙げられる。
【0040】化合物(BL)のうちで、ウレタン結合を
含有する2価以上の有機基に2個以上のマレイミド基が
炭素−窒素結合により結合した化合物の具体的なものと
しては、各種の低分子量のポリイソシアネート化合物と
N−ヒドロキシアルキルマレイミド化合物の如き水酸基
を含有するマレイミド化合物を反応せしめて得られる各
種の化合物が挙げられる。かかる、マレイミド化合物を
調製する際に使用されるポリイソシアネート化合物の代
表的なものとしては、トリレンジイソシアネート、4,
4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの如き芳香族
ジイソシアネート類;メタキシリレンジイソシアネート
の如きアラルキレンジイソシアネート類;テトラメチレ
ンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネー
ト、リジンジイソシアネートの如き脂肪族系ジイソシア
ネート類;イソホロンジイソシアネート、ビス(4−イ
ソシアナートシクロヘキシル)メタン、1,3−ビスイ
ソシアナートメチルシクロヘキサンの如き脂環族ジイソ
シアネート類等が挙げられる。
【0041】そして、上記したN−ヒドロキシアルキル
マレイミド化合物の代表的なものとしては、前記した化
合物(BL)の一つとして掲げた各種のN−ヒドロキシ
アルキルマレイミド化合物が挙げられる。かかる、N−
ヒドロキシアルキルマレイミド化合物を公知慣用の方法
により反応せしめることにより目的とするマレイミド基
を含有する化合物(BL)を合成することが出来る。
【0042】化合物(BL)のうちで、エステル結合を
含有する2価以上の有機基に2個以上のマレイミド基が
炭素−窒素結合により結合した化合物の具体的なものと
しては、上述した化合物(BL−2)のうちのエステル
結合とオキシメチレン単位とを併有する化合物に加え
て、各種のカルボキシル基を含有するマレイミド化合物
あるいは当該カルボキシル基を含有するマレイミド化合
物と1価アルコール類とから得られるカルボン酸エステ
ル基を含有するマレイミド化合物を、エーテル結合を含
有しない多価アルコール類と反応せしめて得られる化合
物;エーテル結合を含有しないポリエポキシ化合物とカ
ルボキシル基を含有するマレイミド化合物との反応生成
物等が挙げられる。
【0043】かかるエステル結合を含有するマレイミド
化合物(BL)を調製する際に使用されるカルボキシル
基を含有するマレイミド化合物としては、前記した化合
物(BL)の一つとして掲げた各種のN−カルボキシア
ルキルマレイミド化合物が挙げられる。また、カルボン
酸エステル基を有するマレイミド化合物の代表的なもの
としては、上記した各種のN−カルボキシアルキルマレ
イミド化合物を、メタノール、エタノールもしくはn−
ブタノールの如き各種の低級1価アルコール類と反応さ
せて得られる各種のエステル類が挙げられる。
【0044】また、エステル結合を含有するマレイミド
化合物(BL)を得る際に使用される多価アルコール類
の代表的なものとしては、エチレングリコール、1,2
−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコー
ル、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジ
オール、ネオペンチルグリコールの如きグリコール類;
トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリ
セリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール如き3価
以上の多価アルコール類等が挙げられる。かかる多価ア
ルコール類と上述した如きカルボキシル基もしくはカル
ボン酸エステル基を含有するマレイミド化合物から、化
合物(BL)を調製するには、公知慣用の脱水縮合触媒
もしくはエステル交換触媒を使用する公知慣用の方法を
適用すればよい。
【0045】エーテル結合を含有しないポリエポキシ化
合物とカルボキシル基を含有するマレイミド化合物との
反応により化合物(BL)を調製する際に使用されるポ
リエポキシ化合物の代表的なものとしては、アジピン
酸、セバシン酸、テレフタル酸、トリメリット酸の如き
各種のポリカルボン酸のポリグリシジルエステル類;
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポ
キシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス−(3,4
−エポキシシクロヘキシル)アジペートの如き脂環族ポ
リエポキシ化合物;トリグリシジルイソシアヌレートの
如き複素環を含有するポリエポキシ化合物等が挙げられ
る。かかるポリエポキシ化合物と上述した如きカルボキ
シル基を含有するマレイミド化合物との反応により化合
物(BL)を調製するには、カルボキシル基とエポキシ
基の間のエステル化反応を行う際に適用される公知慣用
の方法を適用すればよい。
【0046】化合物(BL)のうちで、カーボネート結
合を含有する2価以上の有機基に2個以上のマレイミド
基が炭素−窒素結合により結合した化合物のより具体的
なものとしては、ビス(マレイミドメチル)カーボネー
ト、ビス(2−マレイミドエチル)カーボネートの如き
化合物が挙げられる。
【0047】また、マレイミド基を含有する化合物
(B)のうち、縮合系や付加重合系等のオリゴマーある
いはポリマーである化合物(BP)として、1分子中に
少なくとも1個、好ましくは少なくとも2個のマレイミ
ド基を含有する各種の重合体を使用することができる。
かかる化合物(BP)の代表的なものとしては、ポリエ
ーテル系樹脂、変性エポキシ樹脂系重合体、ポリエステ
ル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系重合体の如き
各種の重合体が挙げられる。
【0048】かかる重合体のうちで、ビニル系重合体の
代表的なものとしては、アクリル系重合体、ポリオレフ
ィン系重合体、フルオロオレフィン系重合体等の各種の
ものが挙げられる。また、ポリエステル系樹脂として
は、飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂および不飽和
ポリエステル樹脂が挙げられる。
【0049】上述した如きマレイミド基を含有するポリ
エーテル樹脂の代表的なものとしては、ポリエチレング
リコール、ポリエチレントリオール、ポリプロピレング
リコール、ポリプロピレントリオール、ポリテトラメチ
レングリコールの如き公知慣用の各種の水酸基を含有す
るポリエーテルポリオール類と、前記した如きカルボキ
シル基を含有するマレイミド化合物類あるいはそれらと
低級アルコール類とのエステルとを脱水縮合反応もしく
はエステル交換反応により反応せしめることにより得ら
れる、2個以上のマレイミドアルキル基がエステル結合
を介して導入されたポリエーテル樹脂;さらには、下記
のとかなる方法により調製される2個以上のマレイ
ミド基を含有するポリエーテル樹脂が挙げられる。
【0050】上記したポリエーテルポリオール類と前
記した如きジイソシアネート化合物とを、水酸基に対し
てイソシアネート基が過剰となるような比率で反応性せ
しめて、末端にイソシアネート基を含有するプレポリマ
ーを調製し、次いで、得られたプレポリマーに前記した
N−ヒドロキシアルキルマレイミドの如き水酸基を含有
するマレイミド化合物を反応せしめてウレタン結合を介
して2個以上のマレイミドアルキル基を導入する。 ポリエチレングリコールジグリシジルエール、ポリプ
ロピレングリコールジグリシジルエール、ポリテトラメ
チレングリコールジグリシジルエールの如き公知慣用の
ポリエーテルポリオールのジグリシジルエーテル類と、
前記した如きN−カルボキシアルキルマレイミドの如き
カルボキシル基を含有するマレイミド化合物を反応せし
めてエステル結合を介して2個以上のマレイミドアルキ
ル基を導入する。
【0051】化合物(BP)としての変性エポキシ樹脂
系重合体の代表的なものとしては、数平均分子量が50
0〜3,000程度の各種のエポキシ樹脂類に、前記し
たN−カルボキシアルキルマレイミドの如きカルボキシ
ル基を含有するマレイミド化合物を反応せしめて得られ
るものが挙げられる。
【0052】その際に使用されるエポキシ樹脂の代表的
なものとしては、ビスフェノールA、ビスフェノール
S、ビスフェノールFの如き各種のビスフェノール化合
物と、エピクロルヒドリンもしくはメチルエピクロルヒ
ドリンとの反応により得られるビスフェノール類の(メ
チル)グリシジルエーテル型エポキシ樹脂;水添ビスフ
ェノールA、水添ビスフェノールS、水添ビスフェノー
ルFの如き各種の水添ビスフェノール類と、エピクロル
ヒドリンもしくはメチルエピクロルヒドリンとの反応に
より得られる水添ビスフェノール類の(メチル)グリシ
ジルエーテル型エポキシ樹脂;フェノールノボラック樹
脂あるいはクレゾールノボラック樹脂の如きノボラック
樹脂と、エピクロルヒドリンもしくはメチルエピクロル
ヒドリンとの反応により得られるノボラック樹脂の(メ
チル)グリシジルエーテル型エポキシ樹脂等が挙げられ
る。
【0053】マレイミド基を含有する飽和ポリエステル
樹脂の代表的なものとしては、例えば、公知慣用の飽和
多価カルボン酸と公知慣用の多価アルコールを必須成分
とする原料を縮合せしめて得られるポリエステルポリオ
ールまたは前記した多価アルコール類とε−カプロラク
トンとを反応せしめることにより得られるポリカプロラ
クトンポリオール類と、上記した各種のジイソシアネー
ト類を、水酸基に対してイソシアネート基が過剰になる
ような比率で反応せしめて末端にイソシアネート基を含
有するプレポリマーを調製した後に、当該プレポリマー
に上記したN−ヒドロキシアルキルマレイミド類の如き
水酸基を含有するマレイミド化合物を反応せしめて得ら
れる、2個以上のマレイミドアルキル基がウレタン結合
を介して結合た飽和ポリエステル樹脂が挙げられる。
【0054】上記した飽和ポリエステル樹脂を調製する
際に使用される飽和二塩基酸の代表的なものとしては、
フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸、ア
ジピン酸、セバシン酸、ヘキサヒドロフタル酸の如き飽
和二塩基酸とかトリメリット酸やブタンテトラカルボン
酸の如き三価以上の多価カルボン酸の如きものが挙げら
れ、それらは、低級アルコールとのエステルあるいは酸
無水物の如き反応性誘導体として使用することもでき
る。
【0055】また、上記した飽和ポリエステル樹脂を調
製する際に使用される多価アルコールの代表的なものと
しては、上記したマレイミド化合物(BL)を調製する
際に使用されるものとして例示した如き各種の多価アル
コール類が挙げられる。
【0056】マレイミド基を含有する不飽和ポリエステ
ル樹脂の代表的なものとしては、公知慣用の不飽和二塩
基酸と上述した如き多価アルコールを必須成分とする原
料を縮合せしめて得られる不飽和二塩基酸エステル基を
含有するポリエステルポリオール類と、上記した各種の
ジイソシアネート類を、水酸基に対してイソシアナート
基が過剰になるような比率で反応せしめて末端にイソシ
アネート基を含有するプレポリマーを調製した後に、上
記したN−ヒドロキシアルキルマレイミド類の如き水酸
基を含有するマレイミド化合物とを反応せせしめて得ら
れる、2個以上のマレイミドアルキル基がウレタン結合
を介して結合した樹脂が挙げられる。
【0057】かかる不飽和ポリエステル樹脂を調製する
際に使用される不飽和二塩基酸の代表的なものとして
は、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、テトラヒドロ
フタル酸の如き化合物、あるいは、これらと低級一価ア
ルコール類とのエステルあるいは酸無水物類の如き反応
性誘導体が挙げられる。
【0058】化合物(BP)としてのポリウレタン系樹
脂の代表的なものとしては、例えば、上記した如きジイ
ソシアネートと、多価アルコール類を必須の原料として
使用し、しかも水酸基に対してイソシアネート基が過剰
になるような比率でこれらを反応せしめてイソシアネー
ト基を含有するポリウレタンプレポリマーを調製し、得
られたプレポリマーを、上記したN−ヒドロキシアルキ
ルマレイミド類の如き水酸基を含有するマレイミド化合
物とを反応せしめて得られる、2個以上のマレイミドア
ルキル基がウレタン結合を介して結合したポリウレタン
樹脂が挙げられる。
【0059】かかるマレイミド基を含有するポリウレタ
ン系樹脂を調製するに際し、使用される多価アルコール
成分としては、上掲した如き各種の低分子量の多価アル
コール類に加えて、上掲した如き各種のポリエーテルポ
リオール類やポリエステルポリオール類を使用すること
ができる。
【0060】化合物(BP)としてのビニル系重合体の
代表的なものとしては、例えば、下記のとかなる方
法により調製される各種の重合体類が挙げられる。
【0061】予め調製したエポキシ基を含有するビニ
ル系重合体に、上掲したN−カルボキシアルキルマレイ
ミドで代表的されるカルボキシル基を含有するマレイミ
ド化合物を反応せしめて、エステル結合を介して2個以
上のマレイミドアルキル基を導入する。
【0062】予め調製したイソシアネート基を含有す
るビニル系重合体に、上掲したN−ヒドロキシアルキル
マレイミドで代表的される水酸基を含有するマレイミド
化合物を反応せしめてウレタン結合を介して2個以上の
マレイミドアルキル基を導入する。
【0063】上述したなる方法において使用されるエ
ポキシ基を含有するビニル系重合体は、グリシジル(メ
タ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレ
ート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)
アクリレート、アリルグリシジルエーテル、グリシジル
ビニルエーテルで代表されるエポキシ基を含有するビニ
ル系単量体を単独せしめるか、または、これらの単量体
を共重合可能な他の単量体と共重合せしめることにより
調製される。
【0064】その際に使用される共重合可能な他の単量
体の代表的なものとしては、メチル(メタ)アクリレー
ト、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)
アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、
tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘ
キシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリ
レート、ステアリル(メタ)アクリレートの如きC1
〜C18なるアルキル基を有する、各種のアルキル(メ
タ)アクリレート類;
【0065】シクロペンチル(メタ)アクリレート、シ
クロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メ
タ)アクリレートの如き各種の脂環式アルキル(メタ)
アクリレート類;ベンジル(メタ)アクリレート、2−
フェネチル(メタ)アクリレートの如き、各種のアラル
キル(メタ)アクリレート類;
【0066】クロトン酸メチル、クロトン酸エチルの如
き、各種のクロトン酸のアルキルエステル類;ジメチル
マレート、ジ−n−ブチルマレート、ジメチルフマレー
ト、ジ−n−ブチルフマレート、ジメチルイタコネー
ト、ジ−n−ブチルイタコネートの如き、各種の不飽和
ジカルボン酸のジアルキルエステル類;2−ヒドロキシ
エチル(メア)クリレート、2−ヒドロキシプロピル
(メア)クリレート、4−ヒドロキシブチル(メア)ク
リレートの如き水酸基を含有する(メタ)アクリル酸エ
ステル類;2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−
ヒドロキシブチルビニルエーテルの如き水酸基を含有す
るビニルエーテル類;2−ヒドロキシエチルアリルエー
テル、4−ヒドロキシブチルアリルエーテルの如き水酸
基を含有するアリルエーテル類:
【0067】スチレン、p−tert−ブチルスチレ
ン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンの如き、各種
の芳香族ビニル単量体類;(メタ)アクリルアミド、
N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ
エチル(メタ)アクリルアミドの如き、各種のアミド基
含有単量体類;(メタ)アクリロニトリル、クロトノニ
トリルの如き、各種のシアノ基含有単量体類;フッ化ビ
ニル、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ク
ロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレ
ン、塩化ビニル、塩化ビニリデンの如き、各種のハロオ
レフィン類;エチレン、プロピレン、イソブチレン如
き、各種のα−オレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン
酸ビニル、ピバリン酸ビニル、C8 〜C10なる分岐
したアルキル基を有するバーサティック酸ビニルの如
き、各種のカルボン酸ビニルエステル類;エチルビニル
エーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニ
ルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテルの如き、各
種のアルキルビニルエーテルもしくはシクロアルキルビ
ニルエーテル類などが挙げられる。
【0068】上述したなる方法で使用されるイソシア
ネート基を含有するビニル系単量体の代表的なものとし
ては、2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレー
ト、3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイ
ソシアネートの如きものが挙げられる。
【0069】そしてかかるイソシアネート基を含有する
ビニル系単量体と共重合する際に使用される、その他の
ビニル系単量体の代表的なものとしては、上記したエポ
キシ基を含有する単量体およびエポキシ基を含有する単
量体と共重合可能な単量体類として上記の如く例示した
各種の単量体のなかで水酸基の如き活性水素を含有する
単量体以外のものである。
【0070】上述したもしくはなる方法により、エ
ポキシ基もしくはイソシアネート基を含有するビニル系
重合体を調製するには公知慣用の各種の方法を適用する
ことができるが、溶液ラジカル重合により調製するのが
最も簡便である。
【0071】上述した各種化合物(BP)の重量平均分
子量としては、本発明の水性粉体スラリー組成物あるい
は当該組成物から得られる塗料の硬化性や硬化塗膜の外
観等の点から、概ね500〜100,000、好ましく
は1,000〜50,000程度に設定すればよい。ま
た、かかる各種の重合体に導入されるマレイミド基の量
としては、重合体の種類とか重合体の分子量に応じて最
適な設定が必要であるが、硬化性と硬化塗膜の可とう性
等の点から、重合体の1,000グラム当たり、概ね
0.3〜7.0モル、好ましくは0.5〜5.0モル程
度でよい。
【0072】上述した各種の重合体のなかで、好ましい
ものとしては、変性エポキシ樹脂系重合体やビニル系重
合体が挙げられ、ビニル系重合体のなかで特に好ましい
ものとして、(メタ)アクリル酸エステル類を必須の単
量体成分として調製されるアクリル系樹脂が挙げられ
る。
【0073】本発明の組成物の一つである組成物(PS
−1)を調製するには、上述した各種のマレイミド基を
含有する化合物(B)のうちの30℃で固形の化合物を
化合物(A)として使用すればよい。かかる化合物
(A)から、本発明の組成物(PS−1)を調製するに
際し、1種類のマレイミド化合物のみを使用する場合に
は、組成物(PS−1)の硬化性の点から、当該マレイ
ミド化合物(A)としては、2個以上のマレイミド基を
含有する化合物であることが好ましい。そして、2種類
以上の化合物(A)を使用して組成物(PS−1)を調
製する場合には、硬化性の点から、それらのうちの少な
くとも1種類は、2個以上のマレイミド基を含有する化
合物であることが好ましい。そして、かかる何れの場合
においても、2個以上のマレイミド基を含有する化合物
としては、組成物(PS−1)の貯蔵安定性および比較
的低温での加熱により均一な融着体を得る観点から、そ
の融点もしくは軟化点が40℃以上、好ましくは40〜
140℃、特に好ましくは40〜120℃であるもの
が、特に好ましい。
【0074】ここに云う、軟化点とは、JIS−K−2
207に規定されている如く、グリセリン中で、3±
0.5℃/分の昇温速度で測定される、いわゆる、環球
法により測定される軟化温度を指称するものである。
【0075】そして、化合物(A)として、特に好まし
いものの一つとして、上述した各種化合物(BL)のな
かで、硬化性と得られる塗膜の硬度の点から、環内にエ
ーテル酸素原子を有するスピロ環構造を含有する2価以
上の有機基と2個以上のマレイミド基が炭素−窒素結合
により結合されたものであり、且つ、融点が40〜14
0℃、好ましくは40〜120℃なる化合物、および、
オキシメチレン単位に由来するエーテル結合を含む2価
以上の有機基と、2個以上のマレイミド基が炭素−窒素
結合により結合されたものであり、且つ、融点が40〜
140℃、好ましくは40〜120℃なる化合物が挙げ
られる。
【0076】次に、上述した本発明の水性粉体スラリー
組成物のうち、組成物(PS−2)を調製する際に使用
されるマレイミド基を含有する化合物(B)、当該マレ
イミド化合物(B)と共重合性を有する炭素−炭素二重
結合を含有する化合物(C)を必須成分として含有する
30℃で固体の組成物(S)について詳しく説明する。
【0077】かかる組成物(S)を調製する際に使用さ
れる、化合物(B)と共重合性を有する炭素−炭素二重
結合を含有する化合物(C)としては、公知慣用の各種
の化合物を使用することができる。かかる化合物(C)
に含有される炭素−炭素二重結合の代表的なものとして
は、オレフィン性二重結合、クロトノイル基、アクリロ
イル基、メタアクリロイル基、ビニルエーテル基、不飽
和二塩基酸エステル基およびビニルエステル基等の公知
慣用の各種の二重結合を含有する基が挙げられる。
【0078】かかる化合物(C)としては、縮合系や付
加重合系等の分子量分布を有するオリゴマーあるいはポ
リマー〔以下、これらを化合物(CP)と総称する〕に
加えて、低分子量の単一分子量の化合物や分子量が比較
的高い単一分子量の化合物やこれらを比較的高い含有率
で含む混合物〔以下、これらを化合物(CL)と略称す
る〕がある。かかる化合物(C)は、単独で使用しても
よいし、2種類以上のブレンド物として使用することも
できる。
【0079】化合物(C)のなかで、化合物(CL)と
しては、分子中に1個または2個以上のかかる二重結合
を含有する化合物がある。そして、2個以上の二重結合
を含有する化合物(CL)においては、それらの二重結
合は同種のものであっても、相異なる2種以上のもので
あってもよい。
【0080】化合物(CL)としての1個の炭素−炭素
二重結合を含有する化合物(CL)の代表的なものとし
ては、上述したまたはなる方法において使用される
ものとして例示した如き各種の官能基を含有するビニル
系単量体あるいは官能基を含有しないビニル系単量体の
うちで室温で液状または固体の単量体類;またはな
る方法において使用されるエポキシ基、水酸基、イソシ
アネート基の如き各種の官能基を含有するビニル系単量
体と、当該各種の官能基と反応するそれぞれ、カルボキ
シル基、イソシアネート基あるいは水酸基の如き官能基
を含有する化合物であって二重結合を含有しない化合物
を反応せしめて得られる化合物;(メタ)アクリロイル
オキシメチルマレイミド、2−[(メタ)アクリロイル
オキシ]エチルマレイミド、5−[(メタ)アクリロイ
ルオキシ]ペンチルマレイミドの如きマレイミド基の1
個とマレイミド基以外の二重結合の1個を併有する化合
物等が挙げられる。
【0081】かかる化合物(CL)としての、分子中に
2個以上の炭素−炭素二重結合を含有する化合物の代表
的なものとしては、上述した各種の低分子量の多価アル
コール類と(メタ)アクリル酸もしくはクロトン酸を反
応せしめて得られる、エチレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アク
リレートもしくはトリメチロールプロパントリ(メタ)
アクリレートで代表されるポリ(メタ)アクリレート
類;エチレングリコールジクロトネート、1,6−ヘキ
サンジオールクロトネートもしくはトリメチロールプロ
パントリクロトネ−トで代表されるポリクロトネート
類;コハク酸ジビニルエステル、アジピン酸ジビニルエ
ステル、セバシン酸ジビニルエステル、フタル酸ジビニ
ルエステルの如きポリカルボン酸のポリビニルエステル
類;エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレン
グリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコール
ジビニルエーテル、テトラメチレングリコールジビニル
エーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテ
ル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノールジビニルエ
ーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテルの
如き各種のポリビニルエーテル化合物;
【0082】上記した各種の低分子量のポリイソシアネ
ート化合物を、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ
ートや2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートで
代表的される水酸基を含有する(メタ)アクリレート
類、2−ヒドロキシエチルビニルエーテルや4−ヒドロ
キシブチルビニルエーテルで代表される水酸基を含有す
るビニルエーテル類あるいはフマル酸モノメチル−モノ
−2−ヒドロキシエチルエステルで代表的される水酸基
を含有する不飽和二塩基酸エステルの如き水酸基を含有
するビニル系単量体と反応せしめて得られるウレタン結
合を介して2個以上の二重結合が結合した化合物;さら
には、各種の多価アルコール類のポリグリシジルエーテ
ルや上述した化合物(BL)を調製する際に使用できる
ものとして例示したポリカルボン酸のポリグリシジルエ
ステルの如き各種のポリエポキシ化合物と、(メタ)ア
クリル酸、クロトン酸、マレイン酸モノメチル、イタコ
ン酸モノメチル、フマル酸モノメチル、コハク酸モノビ
ニル、アジピン酸モノビニルの如き各種のカルボキシル
基を含有するビニル系単量体を反応せしめて得られるヒ
ドロキシエステル基を含有する各種の単量体類が挙げら
れる。
【0083】また、化合物(C)のなかの重合体である
化合物(CP)としては、1分子中に少なくとも1個、
好ましくは少なくとも2個の上述した如き二重結合を含
有する各種の重合体を使用することができる。そして、
導入される二重結合としては同種のもののみであって
も、相異なる2種以上であってもよい。かかる重合体の
代表的なものとしては、ポリエーテル樹脂、変性エポキ
シ樹脂系重合体、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系
樹脂、ビニル系重合体の如きものが挙げられる。
【0084】かかる重合体のうちで、ビニル系重合体の
代表的なものとしては、アクリル系重合体、ポリオレフ
ィン系重合体、フルオロオレフィン系重合体の如き各種
のものが挙げられる。また、ポリエステル系樹脂の具体
的なものとしては、飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリ
エステル樹脂およびアルキド樹脂等が挙げられる。
【0085】上述した如き各種の二重結合を含有するポ
リエーテル樹脂の代表的なものとしては、ポリエチレン
グリコール、ポリエチレントリオール、ポリプロピレン
グリコール、ポリプロピレントリオール、ポリテトラメ
チレングリコール等で代表されるポリエーテルポリオー
ルと(メタ)アクリル酸もしくはクロトン酸を反応せし
めて調製されるポリ(メタ)アクリレート類もしくはポ
リクロトン酸エステル類;前記したポリエーテルポリオ
ールのポリビニルエーテル類;さらには、下記のとか
なる方法により調製される各種のポリエーテル樹脂が
挙げられる。
【0086】上述したなる方法にて於いて中間体と
して調製される末端にイソシアネート基を含有するプレ
ポリマーと、前記した如き各種の水酸基を含有するビニ
ル系単量体とを反応せしめてウレタン結合を介して2個
以上の二重結合を導入する。
【0087】前記した各種のポリエーテルポリオール
を、前記した如き各種のカルボキシル基を含有するビニ
ル系単量体類と反応せしめる。
【0088】化合物(CP)としての変性エポキシ樹脂
系重合体の代表的なものとしては、例えば、上述したマ
レイミド基を含有する変性エポキシ樹脂系重合体を調製
する際に使用されるものとして例示した如き各種のエポ
キシ樹脂類に、前記した如き各種のカルボキシル基を含
有するビニル系単量体類を反応せしめて得られるエステ
ル結合を介して二重結合を含有する基が結合した各種の
変性樹脂が挙げられる。
【0089】化合物(CP)としての飽和ポリエステル
樹脂の具体的なものとしては、例えば、上述したマレイ
ミド基を含有する飽和ポリエステル樹脂を調製する際に
使用される如き飽和ポリエステル樹脂の末端にイソシア
ネート基を導入したプレポリマーと、前記した如き各種
の水酸基を含有するビニル系単量体とを反応せしめて得
られるウレタン結合を介して2個以上の二重結合を含有
する基を導入せしめた樹脂;2個以上のカルボキシル基
を含有する飽和ポリエステル樹脂と、前記した如きエポ
キシ基を含有するビニル系単量体を反応せしめて得られ
るエステル結合を介して2個以上の二重結合を含有する
基を導入せしめた樹脂が挙げられる。
【0090】化合物(CP)としての二重結合を含有す
る不飽和ポリエステル樹脂の具体的なものとしては、例
えば、上述したマレイミド基を含有する不飽和ポリエス
テル樹脂を調製する際に使用される如き不飽和ポリエス
テル樹脂の末端にイソシアネート基を導入したプレポリ
マーと、前記した如き各種の水酸基を含有するビニル系
単量体とを反応せしめて得られるウレタン結合を介して
2個以上の二重結合を含有する基を導入せしめた樹脂;
2個以上のカルボキシル基を含有する不飽和ポリエステ
ル樹脂と前記した如きエポキシ基を含有するビニル系単
量体を反応せしめて得られるエステル結合を介して2個
以上の二重結合を含有する基を導入せしめた樹脂が挙げ
られる。
【0091】また、化合物(BP)としての不飽和ポリ
エステル樹脂として、マレイン酸、フマル酸、イタコン
酸の如き公知慣用の不飽和二塩基酸、あるいは、それら
の反応性誘導体を必須の二塩基酸成分として使用して公
知慣用の方法により調製される樹脂をも使用することが
できる。
【0092】化合物(CP)としての二重結合を含有す
るポリウレタン樹脂の具体的なものとしては、例えば、
上述したマレイミド基を含有するポリウレタン樹脂を調
製する際に使用される如き末端にイソシアネート基を含
有するポリウレタンプレポリマーと、前記した如き各種
の水酸基を含有するビニル系単量体とを反応せしめてウ
レタン結合を介して2個以上の二重結合を含有する基を
導入せしめた樹脂が挙げられる。
【0093】化合物(CP)としてのビニル系重合体の
具体的なものとしては、例えば、下記のとかなる方
法により調製される各種の重合体が挙げられる。
【0094】上述したなる方法で使用される如きエ
ポキシ基を含有するビニル系重合体に、上掲したなる
方法で使用されるものとして例示した如き各種の二重結
合を含有する不飽和モノカルボン酸類を反応せしめる。
【0095】上述したなる方法で使用される如きイ
ソシアネート基を含有するビニル系重合体と、上掲した
如き各種の水酸基を含有する各種のビニル系単量体を反
応せしめてウレタン結合を介して2個以上の二重結合を
含有する基を導入せしめる。
【0096】また、化合物(C)のなかで、重合体であ
る化合物 (CP)の重量平均分子量としては、本発明
の組成物(PS−2)の硬化性や得られる硬化塗膜の外
観等の点から、概ね500〜100,000、好ましく
は1,000〜50,000程度に設定すればよい。ま
た、かかる各種の重合体に導入されるマレイミド基と共
重合する不飽和二重結合の導入量としては、重合体の種
類とか重合体の分子量に応じて最適な設定が必要である
が、硬化性と硬化塗膜の可とう性等の点から、重合体の
1,000グラム当たり、概ね0.3〜7.0モル、好
ましくは0.5〜5.0モル程度でよい。また、化合物
(CP)は、組成物(PS−2)の貯蔵貯蔵安定性の点
から30℃で固形であるものが好ましく、その軟化点と
しては、40〜140℃、好ましくは40〜120℃の
範囲内に設定するのが適切である。
【0097】上述した各種の重合体のなかで、特に好ま
しいものとしては、ビニル系重合体、飽和ポリエステル
樹脂、不飽和ポリエステル樹脂およびポリウレタン樹脂
が挙げられる。ビニル系重合体のなかで特に好ましいも
のとしては、(メタ)アクリル酸エステル類を必須の単
量体成分として調製されるアクリル系樹脂が挙げられ
る。
【0098】上述した各種の化合物(C)は、それぞれ
を単独で使用してもよいし、2種類以上の化合物を併用
することも出来る。また、これらは、液状であっても、
化合物(B)と溶融ブレンドして得られる組成物(S)
が30℃で固体あり、組成物(PS−2)の貯蔵安定性
等を損なわない範囲内の量であれば使用することが出来
る。かかる各種の化合物(C)に含有される二重結合と
しては、上述した各種の二重結合の中でも、マレイミド
基との共重合性の点からアクリロイル基、メタアクリロ
イル基、ビニルエーテル基、不飽和ジカルボン酸エステ
ル基およびビニルエステル基からなる群より選ばれる少
なくとも1種であることが特に好ましい。
【0099】組成物(PS−2)を調製する際に使用さ
れる上述した、化合物(B)は液状であっても、固形で
あってもよいが、液状の化合物を使用する場合には、組
成物(S)が30℃で固体あり、組成物(PS−2)の
貯蔵安定性等を損なわない範囲内の量であれば使用する
ことが出来る。化合物(B)のなかで、化合物(BL)
の主成分として好ましいものは、組成物(PS−2)の
貯蔵安定性の点から、融点が40℃以上ものであり、得
られる塗膜の平滑性を考慮すると、さらに好ましいもの
は、融点が40〜140℃のものであり、特に好ましい
ものは融点が40〜120℃のものである。
【0100】そして、化合物(B)として、特に好まし
いものの一つとして、上述した各種化合物(BL)のな
かで、硬化性と得られる塗膜の硬度の点から、環内にエ
ーテル酸素原子を有するスピロ環構造を含有する2価以
上の有機基と2個以上のマレイミド基が炭素−窒素結合
により結合されたものであり、且つ、融点が40〜14
0℃、好ましくは40〜120℃なる化合物、および、
オキシメチレン単位に由来するエーテル結合を含む2価
以上の有機基と、2個以上のマレイミド基が炭素−窒素
結合により結合されたものであり、且つ、融点が40〜
140℃、好ましくは40〜120℃なる化合物が挙げ
られる。
【0101】上述した如き各種の化合物(B)と化合物
(C)を混合せしめることにより本発明の粉体スラリー
組成物(PS−2)の調製に使用される組成物(S)を
調製することができる。そして、化合物(B)と化合物
(C)の混合比率としては、組成物(PS−2)の硬化
性等の点から、化合物(B)と化合物(C)の合計量に
占める化合物(B)の重量割合として、5〜95%、好
ましくは10〜90%、最も、20〜80%の範囲内と
なるように設定すればよい。
【0102】そして、かかる組成物(S)に於いて、当
該組成物(S)を水性媒体に分散して得られる本発明の
水性粉体スラリー組成物(PS−2)から外観に優れる
均一な硬化物を得るという観点から、化合物(B)およ
び化合物(C)のうちの少なくとも1種類は化合物(B
L)もしくは化合物(CL)の如き、低分子量の単一分
子量の化合物や分子量が比較的高い単一分子量の化合物
やこれらを比較的高い含有率で含む混合物であること
が、特に好ましい。さらに、組成物(S)の融点もしく
は軟化点は、得られる本発明の組成物(PS−2)の貯
蔵安定性と低温での硬化性の点から、40℃以上、好ま
しくは40〜140℃、特に好ましくは40〜120℃
である。
【0103】本発明の水性粉体スラリー組成物の1つで
ある組成物(PS−3)は、マレイミド基を含有する3
0℃で固体の化合物(A)と、当該化合物(A)と共重
合性を有する炭素−炭素二重結合を含有する30℃で固
体の化合物(D)との、それぞれを水性媒体中に分散せ
しめることにより調製される。かかる組成物(PS−
3)において、使用される化合物(A)としては、上述
した組成物(PS−1)を調製する際に使用されるもの
として例示した各種の化合物でありその好ましいもの
も、組成物(PS−1)の調製に当たり好ましいものと
して例示したものである。また、化合物(D)として
は、組成物(PS−2)を調製するに当たり使用される
ものとして例示した、各種の化合物(C)のうちの、3
0℃で固体の各種の化合物を使用することが出来る。そ
して、かかる化合物(D)の好ましいものもまた、組成
物(PS−2)を調製するに当たり使用される好ましい
ものとして例示した各種のものである。
【0104】組成物(PS−3)を調製する際の化合物
(A)と化合物(D)の混合比率としては、組成物(P
S−3)の硬化性等の点から、化合物(A)と化合物
(D)の合計量に占める化合物(A)の重量割合とし
て、5〜95%、好ましくは10〜90%、最も、20
〜80%の範囲内となるように設定すればよい。
【0105】上述した化合物(A)から本発明の粉体ス
ラリー組成物(PS−1)を、化合物(B)と化合物
(C)とからなる組成物(S)より組成物(PS−2)
を、化合物(A)と化合物(D)から組成物(PS−
3)を調製するには、公知慣用の各種の方法を採用する
ことができる。
【0106】かかる組成物のうち、組成物(PS−1)
または組成物(PS−2)を調製する方法の代表的なも
のとしては、例えば、下記のイ〜ハなる方法が挙げられ
る。
【0107】イ.粉体塗料の調製に一般的に適用される
如く、予め、微粉砕機を使用して化合物(A)、あるい
は化合物(B)と化合物(C)からなる組成物(S)の
微粒子を調製した後に、当該微粒子をを水性媒体に分散
せしめる方法。
【0108】ロ.化合物(A)の有機溶剤溶液、あるい
は化合物(B)と化合物(C)とからなる組成物(S)
の有機溶剤溶液を水性媒体に分散せしめた後に、脱溶剤
を行って微粒子化せしめる方法。
【0109】ハ.特開平9−311502号公報に開示
された如き方法に従って、化合物(A)の溶融物、ある
いは化合物(B)と化合物(C)とからなる組成物
(S)の溶融物を加熱した水性媒体と混合せしめる方
法。
【0110】また、組成物(PS−3)を調製するに
は、上記したイの方法に準じて、予め化合物(A)と化
合物(B)の微粒子をそれぞれ調製したのちに、両微粒
子を水性媒体に分散せしめる方法、上述したロあるいは
ハなる方法により化合物(A)と化合物(D)それぞれ
の水分散体を調製して両者をブレンドする方法、上記し
たハなる方法において、化合物(A)の溶融物と化合物
(B)の溶融物のそれぞれを別々のラインから供給して
水性媒体と混合せしめる方法、等を適用することが出来
る。
【0111】上述した如き各種の方法において使用され
る水性媒体とは、水または水と水溶性の有機溶剤の混合
物を指称するものである。かかる、水溶性の有機溶剤の
代表的なものとしては、メタノール、エタノール、イソ
プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコ
ール、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピ
レングリコールモノメチルエーテルの如きアルコール系
溶剤類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテ
ート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテ
ートの如きエステル系溶剤類;ジメチルホルムアミド、
ジメチルスルホキサイド、N−メチル−2−ピロリドン
の如き非プロトン性の極性溶剤類等が挙げられる。
【0112】また、上述した如き各種の本発明の水性粉
体スラリー組成物を調製する場合、何ら添加剤を使用し
なくても良いが、微粒子の形成を促進させたり、得られ
る本発明の組成物に良好な貯蔵安定性を付与するため
に、各種の分散剤や界面活性剤を添加することができ
る。
【0113】かかる分散剤の代表的なものとしては、カ
ルボン酸塩基、スルホン酸塩基、アンモニウム塩基の如
き親水性基を含有するビニル系重合体等のイオン性基を
含有する重合体;ポリオキシエチレン鎖等の親水性のノ
ニオン性のセグメントを含有するビニル系重合体、当該
ノニオン性のセグメントを含有するポリウレタン樹脂の
如き非イオン性基を含有する重合体;ポリビニルアルコ
ール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチル
セルロースなどの水溶性の高分子分散剤;燐酸カルシウ
ムなど難水溶性の無機系分散剤等が挙げられる。
【0114】また界面活性剤としては、アニオン性基を
含有する化合物、カチオン性基を含有する化合物、ノニ
オン性基を含有する化合物の如き公知慣用の各種化合物
を使用することができる。かかる界面活性剤のうちアニ
オン性基を含有する化合物の代表的なものとしては、ア
ルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、
アルキルサルフェート塩、ポリオキシエチレンアルキル
フェノールサルフェート酸塩の如き各種の塩類が挙げら
れる。そして、ここで云う塩とは、アルカリ金属塩類あ
るいはアンモニウム塩類をさす。
【0115】界面活性剤として使用されるカチオン性基
を含有する化合物の代表的なものとしては、長鎖アルキ
ル基を有する第4級アンモニウムクロライド、長鎖アル
キル基を有する第4級アンモニウムカルボキシレートの
如き第4級アンモニウム塩化合物が挙げられる。
【0116】界面活性剤として使用される非イオン性基
を含有する化合物の代表的なものとしては、ポリオキシ
エチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキ
ルフェニルエーテルの如きものが挙げられる。
【0117】また、上述した各種の方法を適用して本発
明の各組成物を調製するにあたり、化合物(A)、
(B)、(C)または(D)が塩基性基もしくは酸性基
を含有する場合には、水性媒体中に、それぞれ、低分子
量のカルボン酸の如き酸性化合物もしくは3級アミン化
合物の如き塩基性化合物を共存させて、当該塩基性基も
しくは酸性基の少なくとも一部分を中和せしめることに
より、得られる微粒子を安定に分散せしめることも可能
である。
【0118】本発明の各粉体スラリー組成物(PS−
1)、(PS−2)または(PS−3)のそれぞれに含
有される微粒子の体積平均粒子径としては、貯蔵安定性
や塗膜外観の点から0.5〜50μm、好ましくは1〜
20μm程度となるように設定すればよい。
【0119】上述したようにして調製される各種の粉体
スラリー組成物を硬化せしめるには、ラジカル重合開始
剤を添加して、加熱によりラジカル重合硬化せしめても
よいし、また、活性エネルギー線を照射することにより
重合硬化せしめてもよい。
【0120】加熱によりラジカル重合硬化せしめる場合
に使用されるラジカル重合開始剤としては公知慣用の各
種化合物を使用することができる。その代表的なものと
しては、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリ
ル)の如きアゾ化合物類;tert−ブチルパーオキシ
ピバレート、tert−ブチルパーオキシベンゾエー
ト、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノ
エート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオ
キサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジク
ミルパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオ
キサイド、クメンハイドロパーオキサイド、メチルエチ
ルケトンパーオキサイドの如き各種の過酸化物などが挙
げられる。
【0121】かかるラジカル重合開始剤の添加量として
は、本発明の各組成物に含有される固形分の合計100
重量部に対して0.05〜10.0重量部、好ましくは
0.2〜5.0重量部程度でよい。
【0122】また、活性エネルギー線を照射することに
より本発明の各組成物を重合硬化せしめる場合には、活
性エネルギー線としては紫外線、可視光線もしくは電子
線等が使用される。かかる各種の活性エネルギー線のう
ち、紫外線又は可視光線の光発生源としては、低圧水銀
ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハ
ライドランプ、ケミカルランプ、ブラックライトラン
プ、水銀−キセノンランプ、エキシマーランプ、ショー
トアーク灯、ヘリウム・カドミニウムレーザー、アルゴ
ンレーザー、エキシマーレーザー、太陽光が挙げられ
る。
【0123】本発明の組成物は、殊更に光重合開始剤の
重合開始剤を添加せずとも優れた硬化性を示すが、必要
に応じて公知慣用の各種の光重合開始剤を添加すること
ができる。かかる光重合開始剤の代表的なものとして
は、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキ
シ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベ
ンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシ
ル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4
−チオメチルフェニル)プロパン−1−オンの如きアセ
トフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインイソプロ
ピルエーテルの如きベンゾイン系化合物;2,4,6−
トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシドの
如きアシルホスフィンオキシド系化合物;ベンゾフェノ
ン、o−ベンゾイル安息香酸メチル−4−フェニルベン
ゾフェノンの如きベンゾフェノン系化合物;2−イソプ
ロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサント
ンの如きチオキサントン系化合物;ミヒラ−ケトン、
4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノンの如きアミノ
ベンゾフェノン系化合物;ベンジル、メチルフェニルグ
リオキシエステル、10−ブチル−2−クロロアクリド
ン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンス
レンキノン、カンファーキノン、などが挙げられる。
【0124】光重合開始剤を使用する場合の配合量は、
本発明の各組成物に含有される固形分の合計100重量
部に対して0.01〜10.0重量部、好ましくは0.
1〜5.0、最も好ましくは0.2〜3.0重量部程度
でよい。
【0125】また、本発明の粉体スラリー組成物に、紫
外線等の活性エネルギー線を照射して硬化せしめるに当
たり、硬化反応をより効率的に行なうために、光増感剤
を併用することもできる。かかる光増感剤としては、例
えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミ
ン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチル
アミノ安息香酸2−エチルヘキシルの如きアミン類が挙
げられる。
【0126】光増感剤を使用する場合の配合量は、本発
明の各組成物に含有される固形分の合計100重量部に
対して0.01〜10.0重量部、好ましくは0.1〜
5.0重量部、最も好ましくは0.2〜3.0重量部程
度でよい。
【0127】さらに、本発明の各組成物には、用途等に
応じて、公知慣用の、非反応性の各種重合体類、有機顔
料、無機顔料、無機充填剤、有機充填剤、カップリング
剤、粘着付与剤、消泡剤、レベリング剤、増粘剤、可塑
剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、染料などを適
宜併用することもできる。
【0128】本発明の組成物に添加することができる増
粘剤の代表的なものとしては、分散剤として使用される
ものとして、既に例示した如き各種の重合体類を使用す
ることができる。
【0129】本発明の組成物に併用可能な非反応性の重
合体の代表的なものとしては、アクリル系重合体、エポ
キシ樹脂、飽和ポリエステルオリゴマー、ポリエーテル
オリゴマー、フッ素樹脂系オリゴマー、シリコーン樹脂
系オリゴマー等が挙げられる。
【0130】本発明の組成物に併用可能な無機充填剤と
しては、公知慣用のもの、例えば、二酸化珪素、炭酸カ
ルシウム、珪酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マ
グネシウム、タルク、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、ガ
ラス、雲母、硫酸バリウム、ガラスバルーンなどが挙げ
られるが、これらに限定されるものではない。
【0131】本発明の組成物に上述した如き重合開始剤
類その他の添加剤類の添加するには、化合物(A)、組
成物(S)あるいは化合物(D)に、予め、それらを添
加・混合した後に、本発明の組成物となしてもよいし、
また、一旦調製した本発明の組成物(PS−1)、(P
S−2)あるいは(PS−3)に混合せしめる方法をと
ってもよい。
【0132】こうして調製される本発明の水性粉体スラ
リー組成物は、塗料、インキ、表面処理剤、成形材料、
接着剤もしくは粘着剤等の各種の用途に有効に利用でき
るものである。
【0133】そして、本発明の水性粉体スラリー組成物
を含有する塗料は、公知慣用の各種の基材に塗装され
る。かかる基材の代表的なものとしては、鉄、銅、アル
ミニウム、鉛、あるいはそれらの合金類の如き各種の金
属基材;ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、ポリカーボネ
ート樹脂、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート、
ポリエチレン、ポリプロピレンなどのプラスチック基
材;ガラス、タイルもしくはセメントを使用して得られ
る各種の窯業系基材の如き無機質基材;木材、各種の合
板等の木質系基材;紙もしくは繊維等の各種の基材が挙
げられる。
【0134】そして、本発明の水性粉体スラリー組成物
を含有する塗料は、低温での硬化性に優れることから、
各種のプラスチック類あるいは木質系基材の被覆用とし
て特に有効に使用することができる。
【0135】本発明の組成物あるいは本発明の組成物を
含有する塗料は光重合開始剤の不存在下でも、活性エネ
ルギー線、特に紫外線、の照射により硬化せしめること
ができるので、従来、光重合開始剤の添加が原因で発生
していた硬化時の悪臭や硬化物の黄変、あるいは硬化塗
膜の熱による黄変を抑えることができ、且つ硬化物から
の溶出物の量を低減させることができるという利点を有
する。
【0136】本発明の組成物あるいは本発明の組成物を
含有する塗料に活性エネルギー線の照射して硬化物を得
るには、先ず、当該組成物あるいは当該組成物を含有す
る塗料を、スプレー塗装、浸漬塗装、フローコーター塗
装の如き公知慣用の塗装方法により基材に塗布せしめた
後に、加熱により水を蒸発させるとともに微粒子を融着
させて均一な成型物あるいは被膜となした後に、上述し
た如き光源から活性エネルギー線を照射することにより
当該成型物あるいは当該被膜を硬化せしめればよい。
【0137】その際の加熱条件は、化合物(A)、化合
物(D)または組成物(S)の融点や軟化点、あるい
は、基材の種類に応じて適宜選択される。加熱温度は、
概ね、40〜140℃、好ましくは60〜120℃であ
り、加熱時間は、概ね、3〜30分、好ましくは5〜2
0分程度である。
【0138】また、活性エネルギー線で照射条件は、紫
外線波長としては、190〜380nmの波長が主に使
用され、UV照射量は10〜1000(mJ/cm2)
の範囲で使用する。
【0139】また、本発明の各種の組成物に前述した如
きラジカル重合開始剤を添加して、ラジカル重合硬化せ
しめる場合の硬化条件としては、概ね、60〜160
℃、好ましくは80〜140℃程度の温度で、概ね、5
〜60分、好ましくは10〜30分程度の間加熱せしめ
ればよい。
【0140】
【実施例】次に、本発明を、参考例、実施例および比較
例により、一層、具体的に説明をするが、本発明は、決
して、これらの例のみに限定されるものではない。な
お、以下において、部および%は、特に断りの無い限
り、すべて、重量基準であるものとする。
【0141】参考例1〔マレイミド基を含有する30℃
で固体の化合物(A)の調製例〕 攪拌機、温度計、コンデンサー、滴下ロートおよび窒素
導入管を備えた反応容器に、キシレンの600部を仕込
み、窒素ガスの通気下に撹拌しながら130℃に昇温し
た。次いで、同温度で、メチルメタアクリレートの27
7部、n−ブチルメタアクリレートの523部、グリシ
ジルメタアクリレートの200部、tert−ブチルパ
ーオキシ−2−エチルヘキサノエートの50部、ジ−t
ert−ブチルパーオキサイドの5部およびキシレンの
66部からなる混合物を5時間に亘って滴下した。滴下
終了後も同温度で10時間の加熱、撹拌を行ってエポキ
シ基を含有する重合体の溶液を得た。その後、100℃
に降温し減圧下にキシレンの留去を開始した。徐々に1
70℃まで昇温して完全にキシレンを除き、軟化点が9
2℃、数平均分子量が2,500で重量平均分子量が
5,800なる固形樹脂を得た。
【0142】かくして得られた固形樹脂の100部、N
−(5−カルボキシ)ペンチルマレイミドの22.3
部、トリフェニルフォスフィンの0.24部及びハイド
ロキノンモノメチルエーテルの0.12部からなる混合
物を、上記と同様の反応器に仕込み、窒素ガスの通気下
に撹拌しながら100℃で2.0時間のあいだ反応を行
って、酸価が4.5mgKOH/g樹脂、軟化点が75
℃、GPCにより測定したポリスチレン換算の重量平均
分子量が6,500、なる未反応のN−(5−カルボキ
シ)ペンチルマレイミドの約1.7重量%を含むマレイ
ミド基含有アクリル樹脂を得た。以下、この樹脂を化合
物(A−1)と略称する。
【0143】参考例2〔マレイミド基以外の二重結合を
含有する化合物(C)の調製例〕 参考例1と同様の反応容器に、ヘキサメチレンジイソシ
アネートの168.2グラム(1.0モル)、ジブチル
錫ジラウレートの0.4グラム(0.64ミリモル)、
クロロホルムの900グラムを仕込み、窒素ガスの通気
下に撹拌しながら55℃に昇温した。次いで、同温度
で、4−ヒドロキシブチルビニルエーテルの232.3
グラム(2.0モル)を3時間で滴下した。滴下終了
後、さらに同温度で5時間の撹拌を行ったのち、生成し
た沈殿物を濾過により分離し、n−ヘプタンで洗浄しさ
らに減圧で乾燥して融点が91〜100℃なる淡黄色粉
末状のヘキサメチレンジイソシアネートと4−ヒドロキ
シブチルビニルエーテルの付加生成物を得た。以下、こ
れを化合物(C−1)と略称する。
【0144】参考例3〔同上〕 温度計、撹拌装置、窒素ガス導入管および分留管を備え
た反応容器に、1,6−ヘキサンジオールの1,276
グラム(10.8モル)モル、フマル酸の592グラム
(5.1モル)テレフタル酸の814グラム(4.9モ
ル)、ジブチル錫オキサイドの1.1グラム(4.5ミ
リモル)およびtert−ブチルヒドロキノンの0.5
グラム(3.0ミリモル)を仕込んだ。混合物の液面下
に窒素ガスを吹き込みながら加熱と撹拌を開始した。1
00℃から225℃まで6時間をかけて徐々に昇温し、
さらに225℃で2時間のあいだ加熱撹拌を継続して酸
価が11.5mgKOH/g樹脂になるまで脱水縮合反
応を行った。次いで、180℃に降温し、減圧下で1時
間のあいだ縮合反応を継続して、酸価が5.0mgKO
H/g樹脂で、環球法により測定した軟化点が86℃、
GPCにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量
が6,700、重量平均分子量が23,500なる、樹
脂1,000グラムにつき2.2モルの二重結合を含有
する不飽和ポリエステル樹脂を得た。以下、この樹脂を
化合物(C−2)と略称する。
【0145】参考例4〔比較例に使用するポリアクリレ
ート化合物の調製〕 参考例1と同様の反応容器に、イソホロンジイソシアネ
ートの58.2部、ジブチル錫ジラウレートの0.1部、
3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエンの
0.3部を仕込み、65℃に加熱した。そこへヒドロキ
シプロピルアクリレートの32.4部を1時間で滴下し
た後、同温度でイソシアネート基の含有率が12.8重
量%になるまで撹拌を継続した。次いで、120℃まで
昇温したのち、グリセリンの9.0部を1時間にわたっ
て滴下し、さらに1時間のあいだ反応を継続した。次い
で樹脂溶融物を取り出して冷却し、粉砕して軟化点が8
3℃なる白色のポリアクリレート化合物を得た。
【0146】実施例1〔マレイミド化合物(A)からの
組成物の調製と硬化〕 タービン型の撹拌翼を備えた1リットルの耐圧ガラス製
の容器に、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジ
メチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピ
ロ[5,5]ウンデカンとN−(5−カルボキシ)ペン
チルマレイミドとのエステル化反応により合成された、
下記の式(II)、
【0147】
【化2】
【0148】で示される、融点が81〜83℃なるビス
マレイミド化合物〔以下、化合物(A−2)と略称す
る〕の100グラムとIrgacure−184(スイ
ス国、Ciba−Geigy社製の光重合開始剤)の
2.0グラムを仕込み、撹拌しながら110℃に加熱、
溶融した。次いで、600rpmの回転数で溶融物を撹
拌しながら、110℃に加熱したポリビニルアルコール
(PVA)の水溶液(PVA濃度:3重量%)の100
グラムを3分間で圧入した。さらにPVAの水溶液(P
VA濃度:1重量%)の100グラムを1分間で圧入し
た。充分に分散していることを確認してから、フラスコ
に散水してフラスコの内容物を20℃まで冷却し、体積
平均平均粒子径(セイシン企業製のSK LASER
MICRONSIZER PRO−700Sを使用して
測定)が6μm、最大粒径が14μmなる、ほぼ球形の
微粒子が分散した水性粉体スラリー組成物を得た。この
水性粉体スラリー組成物を厚さ0.8mmの冷間圧延鋼
板にアプリケータで塗布し、このパネルを110℃で1
5分間加熱して水を蒸発させ、且つ、固形分を充分溶融
せしめた後、120Wの高圧水銀灯を使用し、コンベア
スピード10m/minの条件で3回パスして紫外線を
照射せしめ膜厚が50μmなる硬化塗膜を得た。
【0149】実施例2〔同上〕 実施例1と同様の耐圧ガラス製の容器に、3,9−ビス
(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,
4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカ
ンとN−カルボキシメチルマレイミドとのエステル化反
応により合成された、下記の式(III)
【0150】
【化3】
【0151】で示される、融点が92〜95℃なるビス
マレイミド化合物〔以下、化合物(A−3)と略称す
る〕の60部と参考例1で得た化合物(A−1)の40
部、およびIrgacure−184のからなる混合物
の2.0グラムを仕込み120℃に加熱、撹拌して溶融
混合物を調製した。次いで、600rpmの撹拌速度で
溶融物を撹拌しながら、120℃に加熱したポリビニル
アルコール(PVA)の水溶液(PVA濃度:3重量
%)の100グラムを3分間で圧入した。さらに120
℃に加熱したPVAの水溶液(PVA濃度:1重量%)
の100グラムを1分間で圧入した。充分に分散してい
ることを確認してから、フラスコに散水してフラスコの
内容物を20℃まで冷却し、体積平均粒子径が5μm、
最大粒径15μmなる、ほぼ球形の微粒子を含む水性粉
体スラリー組成物を得た。この水性粉体スラリー組成物
を実施例1と同様の鋼板にアプリケータで塗布し、この
パネルを120℃で15分間加熱して水を蒸発させ、且
つ、固形分を充分溶融せしめた後、実施例1と同様の条
件で4回パスして紫外線を照射せしめ膜厚が50μmな
る硬化塗膜を得た。尚、化合物(A−3)60部と化合
物(A−1)の40部を溶融混合して得られた組成物の
軟化点は83℃であった。
【0152】実施例3〔化合物(A)と化合物(C)か
らなる組成物の調製、硬化〕 分散させるべき組成物として、化合物(A−3)の40
グラム、ユニディツクV4392(大日本インキ化学工
業製のアクリロイル基を含有するポリウレタン樹脂の溶
液)を減圧で脱溶剤して得た固形分(軟化点:41℃)
の60グラムとIrgacure184の2.0グラム
を使用する以外は実施例2と同様に分散して、体積平均
粒子径が3μm、最大粒径15μmなる、ほぼ球形の微
粒子が分散した粉体スラリー組成物を得た。得られた組
成物を実施例1と同様の鋼板にアプリケータで塗布し
た。このパネルを105℃で15分間加熱して水を蒸発
させ、且つ、塗着物を溶融した後、実施例1と同様の照
射条件で3パスの紫外線照射を行って膜厚が50μmな
る硬化塗膜を得た。尚、化合物(A−3)の40グラ
ム、ユニディツクV4392の固形分の60グラムを溶
融混合して得られた組成物の軟化点は69℃であった。
【0153】実施例4〔同上〕 Irgacure−184の2.0グラムの使用を欠如
する以外は、実施例3と同様に分散して、体積平均粒子
径が5μm、最大粒径21μmなる、ほぼ球形の微粒子
が分散した粉体スラリー組成物を得た。この水性粉体ス
ラリー組成物を実施例1と同様の鋼板にアプリケータで
塗布した。このパネルを105℃で15分間加熱して水
を蒸発させ、且つ、残留物を溶融した後、実施例1と同
様の照射条件で5パスの紫外線照射を行って膜厚が50
μmなる硬化塗膜を得た。
【0154】実施例5〔同上〕 分散させるべき組成物として、化合物(A−1)の40
グラム、実施例3で使用したユニディツクV4392の
固形分の60グラムおよびIrgacure−184の
2部からなる溶融混合物を使用する以外は、実施例2と
同様に分散を行って、体積平均粒子径が5μm、最大粒
径が15μmなる、ほぼ球形の微粒子が分散した水性粉
体スラリー組成物を得た。この組成物を実施例1と同様
の鋼板にアプリケータで塗布した。このパネルを105
℃で15分間加熱して水を蒸発させ、且つ、残留物を溶
融した後、実施例1と同様の照射条件で4パスの紫外線
照射を行って膜厚が50μmなる硬化塗膜を得た。尚、
化合物(A−1)の40グラムとユニディツクV439
2の固形分の60グラムを溶融混合して得た組成物の軟
化点は52℃であった。
【0155】実施例6〔同上〕 分散させるべき組成物として、化合物(A−3)の68
グラムと参考例2で調製した化合物(C−1)の32グ
ラムを使用する以外は、実施例2と同様に分散を行っ
て、体積平均粒子径が7μm、最大粒径が18μmな
る、ほぼ球形の微粒子が分散した水性粉体スラリー組成
物を得た。この水性粉体スラリー組成物を実施例1と同
様の鋼板にアプリケータで塗布した。このパネルを11
0℃で15分間加熱して水を蒸発させ、残留物を溶融せ
しめた後、実施例1と同様の照射条件で3パスの紫外線
照射を行って膜厚が50μmなる硬化塗膜を得た。尚、
化合物(A−3)の68グラムと化合物(C−1)の3
2グラムを溶融混合して得た組成物の軟化点は102℃
であった。
【0156】実施例7〔同上〕 分散させるべき組成物として、化合物(A−3)の40
グラム、参考例3で調製した化合物(C−2)の60グ
ラムおよびIrgacure−651(スイス国、Ci
ba−Geigy社製の光重合開始剤)の2.0グラム
を使用する以外は、実施例2と同様に分散を行って、体
積平均粒子径が4μm、最大粒径が12μmのほぼ球形
の微粒子が分散した水性粉体スラリー組成物を得た。こ
の水性粉体スラリー組成物を実施例1と同様の鋼板にア
プリケータで塗布した。このパネルを110℃で15分
間加熱して水を蒸発させ、残留物を溶融せしめた後、実
施例1と同様の照射条件で3パスの紫外線照射を行って
膜厚が50μmなる硬化塗膜を得た。尚、化合物(A−
3)の40グラムと化合物(C−2)の60グラムを溶
融混合して得た組成物の軟化点は93℃であった。
【0157】実施例8〔同上〕 分散させるべき組成物として、4,9−ジオキサウンデ
カン−1,12−ジアミンと無水マレイン酸の反応によ
り合成された、下記の式(IV)
【0158】
【化4】
【0159】で示される、融点が68〜70℃なるビス
マレイミド化合物〔以下、化合物(A−4)と略称す
る〕の40グラム、化合物(C−2)の60グラムおよ
びIrgacure−651の2.0グラムを使用する
以外は、実施例2と同様に分散を行って、体積平均粒子
径が6μm、最大粒径が14μmなるほぼ球形の微粒子
が分散した水性粉体スラリー組成物を得た。この組成物
を実施例1と同様の鋼板にアプリケータで塗布した。こ
のパネルを105℃で15分間加熱して水を蒸発させ、
残留物を溶融せしめた後、実施例1と同様の照射条件で
4パスの紫外線照射を行って膜厚が50μmなる硬化塗
膜を得た。尚、化合物(A−4)の40グラムと化合物
(C−2)の60グラムを溶融混合して得た組成物の軟
化点は89℃であった。
【0160】実施例9〔化合物(A)と化合物(C)と
のそれぞれを水性媒体に分散してなる組成物の調製、硬
化〕 分散するべき樹脂として、化合物(A−1)の100グ
ラムとIrgacure−184の2.0グラムの溶融
混合物を使用する以外は、実施例2と同様に分散を行っ
て、体積平均粒子径が7μm、最大粒径が20μmな
る、ほぼ球形の微粒子が分散した水性粉体スラリー組成
物を得た。この水性粉体スラリー組成物と実施例1で調
製した粉体スラリー組成物を重量比で1:1となる比率
で混合して2種類の粒子が混合した粉体スラリー組成物
を調製した。かくして得られた粉体スラリー組成物を実
施例1と同様の鋼板にアプリケータを使用して塗布し
た。このパネルを105℃で15分間加熱して水を蒸発
させ、且つ、残留物を溶融せしめた後、実施例1と同様
の照射条件で4パスの紫外線照射を行って膜厚が50μ
mなる硬化塗膜を得た。
【0161】比較例1(不飽和ポリエステルとウレタン
化ビニルエーテル) 参考例6で調製した不飽和ポリエステルである化合物
(C−2)の663グラム、参考例2で調製したビニル
エーテル基を含有する化合物(C−1)の293グラ
ム、Irgacure−184の38グラムおよびBY
K361(BYKChemie社製のアクリルポリマ
ー)の6グラムを「ヘンシェルミキサー」にて2分間混
合したのち、「ブス・コニーダー PR−46型」(ス
イス国ブス社製の単軸押し出し機)を用いて溶融混練
し、冷却後、粗粉砕と微粉砕を行った。得られた微粉砕
物を150メッシュのステンレス金網を通過させて平均
粒子径が40μmの粉体塗料を得た。このようにして調
製した粉体塗料を、静電塗装機を使用して、実施例1と
同様の鋼板に静電塗装した後、120℃で15分間加熱
して塗着した塗料を加熱溶融せしめた。次いで、実施例
1と同様の照射条件で3パスの紫外線照射を行って膜厚
が50μmなる硬化塗膜を得た。
【0162】比較例2(不飽和ポリエステルとウレタン
アクリレート) 化合物(C−2)の630グラム、参考例4で調製した
ポリアクリレート化合物の270グラム、Irgacu
re−184の40グラムおよびBYK361の30グ
ラムから比較例1と同様にして、平均粒子径が40μm
の粉体塗料を得た。このようにして調製した粉体塗料
を、静電塗装機を使用して、実施例1と同様の鋼板に静
電塗装した後、110℃で15分間加熱して塗着した塗
料を加熱溶融せしめた。次いで、実施例1と同様の照射
条件で3パスの紫外線照射を行って膜厚が50μmなる
硬化塗膜を得た。
【0163】実施例1〜9および比較例1および2で得
られた各塗膜につき、鉛筆硬度、表表面の粗さの評価を
行った。また、実施例で得られた各水性粉体スラリー塗
料および比較例で調製した粉体塗料の貯蔵安定性を評価
した。結果を纏めて、第1表に示した
【0164】
【表1】第1表
【0165】第1表の脚注 鉛筆硬度 :JIS−K−5400に基づき、鉛筆硬度
を測定した。 貯蔵安定性:各水性粉体スラリ塗料および比較例で調製
した粉体塗料をガラス容器中入れて、40℃に30日間
放置した際の各塗料の状態の変化を目視により判定し
た。 表面粗さ :表面粗度測定装置を使用して測定した、塗
膜表面の山部分と谷部分の間の高さの平均値。この値が
大きいほど平滑性に劣り、塗膜の外観が悪いことを示
す。
【0166】第1表に示した結果から、本発明の水性粉
体スラリー組成物から得られる塗料は、従来の活性エネ
ルギー線硬化型の粉体塗料に比べて、貯蔵安定性と塗膜
外観に優れており、また、良好な硬度の架橋塗膜を形成
していることが理解できる。
【0167】
【発明の効果】本発明の水性粉体スラリー組成物は、貯
蔵安定性に優れ、外観と硬度に優れる硬化塗膜を与え
る。しかも、光重合開始剤を添加しない配合、あるいは
その添加量の少ない配合であっても良好な硬化性を有
し、性能に優れた硬化塗膜を与える。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08J 3/05 CFG C08J 3/05 CFG 4J100 C08L 33/04 C08L 33/04 63/10 63/10 67/02 67/02 67/06 67/06 75/16 75/16 79/08 79/08 Z C09D 4/00 C09D 4/00 5/00 5/00 C 139/00 139/00 201/00 201/00 Fターム(参考) 4F070 AA55 AB17 AC12 CB02 CB12 4J002 BG022 CD202 CF032 CF212 CK022 CM041 GH01 HA06 4J011 QA08 QA13 QA19 QA24 QA39 QB02 QB03 QB12 QB14 QB16 QB19 QB24 SA01 SA21 SA31 SA41 SA51 SA63 SA64 UA01 UA03 UA06 VA01 WA02 4J027 AA01 AA02 AB02 AB03 AB06 AB07 AB08 AB10 AB15 AB16 AB18 AB19 AB23 AB24 AB25 AB32 AB34 AC02 AC03 AC04 AC06 AC08 AE01 AE04 AG01 AG03 AG04 AG23 AG24 AG27 AG32 AG33 BA03 BA04 BA13 BA17 BA20 BA23 CC03 CD08 4J038 FA061 FA062 FA071 FA072 FA181 FA182 FA201 FA202 FA231 FA232 FA251 FA252 FA261 FA262 FA281 FA282 GA01 GA08 MA08 NA01 NA04 NA11 PA17 PC02 PC06 PC08 4J100 AL74P AL91P AM45P AM47P AM48P AM55P BA02P BA03P BA15P BA16P BA20P BA22P BA38P BC43P BC58P CA01 CA04 EA06 JA01

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マレイミド基を含有する30℃で固体の
    化合物(A)を水性媒体中に分散せしめてなる、水性粉
    体スラリー組成物。
  2. 【請求項2】 マレイミド基を含有する化合物(B)
    と、当該化合物(B)と共重合性を有する炭素−炭素二
    重結合を含有する化合物(C)を必須成分として含有す
    る30℃で固体の組成物(S)を水性媒体中に分散せし
    めてなる、水性粉体スラリー組成物。
  3. 【請求項3】 マレイミド基を含有する30℃で固体の
    化合物(A)と、当該化合物(A)と共重合性を有する
    炭素−炭素二重結合を含有する30℃で固体の化合物
    (D)とを水性媒体中に分散せしめてなる、水性粉体ス
    ラリー組成物。
  4. 【請求項4】 前記した、化合物(A)が、2個以上の
    マレイミド基を含有する化合物である、請求項1または
    3に記載の水性粉体スラリー組成物。
  5. 【請求項5】 前記した、化合物(B)が、2個以上の
    マレイミド基を含有する化合物である、請求項2に記載
    の水性粉体スラリー組成物。
  6. 【請求項6】 前記した、2個以上のマレイミド基を含
    有する化合物において、2個以上のマレイミド基が、エ
    ステル結合、エーテル結合、カーボネート結合およびウ
    レタン結合からなる群から選ばれる少なくとも一種の結
    合を有する2価以上の有機基と炭素−窒素結合により結
    合したものである、請求項4または5に記載の水性粉体
    スラリー組成物。
  7. 【請求項7】 前記した、化合物(C)が、アクリロイ
    ル基、メタアクリロイル基、ビニルエーテル基、不飽和
    二塩基酸エステル基およびビニルエステル基からなる群
    より選ばれる少なくとも一種の炭素−炭素二重結合を含
    有する基を有するものである、請求項2に記載の水性粉
    体スラリー組成物。
  8. 【請求項8】 前記した、化合物(C)が、それぞれ炭
    素−炭素二重結合を含有する、ビニル系重合体、ポリエ
    ステル系重合体、ポリウレタン系重合体および変性エポ
    キシ樹脂系重合体から成る群より選ばれる少なくとも1
    種の重合体である、請求項2または7に記載の水性粉体
    スラリー組成物。
  9. 【請求項9】 前記した、化合物(D)が、アクリロイ
    ル基、メタアクリロイル基、ビニルエーテル基、不飽和
    二塩基酸エステル基およびビニルエステル基からなる群
    より選ばれる少なくとも一種の炭素−炭素二重結合を含
    有する基を有するものである、請求項3に記載の水性粉
    体スラリー組成物。
  10. 【請求項10】 前記した、化合物(D)が、それぞれ
    炭素−炭素二重結合を含有する、ビニル系重合体、ポリ
    エステル系重合体、ポリウレタン系重合体および変性エ
    ポキシ樹脂系重合体から成る群より選ばれる少なくとも
    1種の重合体である、請求項3または9に記載の水性粉
    体スラリー組成物。
  11. 【請求項11】 光重合開始剤を含有しないものであ
    る、請求項1〜10のいずれか一項に記載の水性粉体ス
    ラリー組成物。
  12. 【請求項12】 請求項1〜11のいずれか一項に記載
    の水性粉体スラリー組成物を含有する活性エネルギー線
    硬化型塗料。
  13. 【請求項13】 請求項1〜11のいずれか一項に記載
    の水性粉体スラリー組成物または請求項12に記載の活
    性エネルギー線硬化型塗料に、活性エネルギー線を照射
    せしめることを特徴とする、水性粉体スラリー組成物も
    しくは活性エネルギー線硬化型塗料の硬化方法。
JP2000081934A 2000-03-23 2000-03-23 水性粉体スラリー組成物、活性エネルギー線硬化型塗料、および、これらの硬化方法 Pending JP2001261917A (ja)

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