JP2001261756A - グラフト共重合体およびその製造方法ならびにこれを含む熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

グラフト共重合体およびその製造方法ならびにこれを含む熱可塑性樹脂組成物

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JP2001261756A
JP2001261756A JP2000073156A JP2000073156A JP2001261756A JP 2001261756 A JP2001261756 A JP 2001261756A JP 2000073156 A JP2000073156 A JP 2000073156A JP 2000073156 A JP2000073156 A JP 2000073156A JP 2001261756 A JP2001261756 A JP 2001261756A
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Yoshihiro Nakai
義博 中井
Hisaya Yokohama
久哉 横浜
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐候性、成形光沢、流動性および耐衝撃性に
優れた熱可塑性樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 重量平均粒子径が300nm以上である
ジエン系ゴム(a−1)1〜30重量%の存在下で、グ
ラフト交叉剤と架橋剤とを含むアルキル(メタ)アクリ
レート単量体成分(a−2)70〜99重量%を乳化重
合して得られる複合ゴム質重合体((a−1)+(a−
2))20〜80重量%に、芳香族アルケニル化合物、
メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルおよびシア
ン化ビニル化合物から選ばれる少なくとも一種の単量体
(a−3)80〜20重量%が、70℃未満の重合温度
で乳化グラフト重合したグラフト共重合体(A)および
これを含む熱可塑性樹脂組成物である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐候性、成形光
沢、流動性および耐衝撃性に優れた熱可塑性樹脂組成物
に関する。
【0002】
【従来の技術】樹脂材料の耐衝撃性を向上させること
は、材料の用途の拡大だけでなく成形品の薄肉化や大型
化への対応を可能にするなど、工業的な有用性は非常に
大きく、これまで様々な手法が検討されてきた。このう
ち、ゴム質重合体を硬質樹脂と組み合わせることによっ
て、材料の耐衝撃性を高めた材料としては、ABS樹
脂、ハイインパクトポリスチレン樹脂、変性PPE樹脂
およびMBS樹脂強化ポリ塩化ビニル樹脂等が既に工業
的に使用されている。
【0003】特にゴム質重合体にアルキル(メタ)アク
リレートゴム等の飽和ゴム成分を用いることによって、
良好な耐候性を有する樹脂材料として、例えば耐候性A
BS樹脂であるASA樹脂が提案されている。また、A
SA樹脂の欠点である着色成形品の真珠様光沢(パール
光沢不良)の発生を改良する方法として、ジエン系ゴム
を粒子内部に含む多重構造架橋アクリルゴムを使用する
方法が特公昭47−47863号公報、特公昭59−4
9245号公報等で提案され、さらにその成形性、光沢
と衝撃特性のバランスを改良する方法として、特公平3
−66329号公報に酸基含有共重合体ラテックスで肥
大化したジエン系ゴムを粒子内部に含み、グラフト交叉
剤と架橋剤を併用して得られる架橋アクリル酸エステル
系重合体を外層部とした複合ゴム系グラフト共重合体を
用いることが提案されている。さらに、特開平10−7
7383号公報には、特定のトルエン可溶分の分子量、
ゲル含有率およびトルエンに対する膨潤度のジエン系ゴ
ムを使用して得られたグラフト共重合体を含む樹脂組成
物が良好な耐衝撃性を有することが記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
従来の技術では、樹脂材料が本来有していた成形加工性
や耐熱性、耐候性、剛性、意匠性等の性能を維持したま
ま、さらに高い衝撃特性を発現することや、耐衝撃性を
維持したまま優れた成形加工性や剛性を発現することは
困難であった。
【0005】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、良好な成形光沢、耐候性、流動性を有し、かつ、従
来にない高い耐衝撃性を発現する熱可塑性樹脂組成物を
提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは重合温度が
適正に調節されて得られたグラフト共重合体およびこれ
を含む熱可塑性樹脂組成物が、良好な流動性、成型光
沢、耐候性、耐衝撃性をともに示すことを見出し、本発
明に到達した。すなわち本発明のグラフト共重合体
(A)は、重量平均粒子径が300nm以上であるジエ
ン系ゴム(a−1)1〜30重量%の存在下で、グラフ
ト交叉剤と架橋剤とを含むアルキル(メタ)アクリレー
ト単量体成分(a−2)70〜99重量%を乳化重合し
て得られる複合ゴム質重合体((a−1)+(a−
2))20〜80重量%に、芳香族アルケニル化合物、
メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルおよびシア
ン化ビニル化合物から選ばれる少なくとも一種の単量体
(a−3)80〜20重量%が、70℃未満の重合温度
で乳化グラフト重合したことを特徴とする。上記ジエン
系ゴム(a−1)は、酸基含有共重合体ラテックスから
なる肥大化剤で肥大化されたものであることが好まし
い。上記グラフト共重合体(A)は、アセトン可溶分
0.2gを100mlのN,N−ジメチルホルムアミド
に溶解して得られた溶液の25℃における還元粘度が、
0.30〜0.80dl/gであることが好ましい。本
発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記グラフト共重合体
(A)と、熱可塑性樹脂(B)とを含有することを特徴
とする。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明のグラフト共重合体(A)
中のジエン系ゴム(a−1)は、ブタジエン、イソプレ
ン等のジエン成分と、これらと共重合可能な単量体成分
を構成成分とするゴム質重合体であり、重量平均粒子径
が300nm以上のものである。重量平均粒子径が30
0nm未満の場合は、得られたグラフト共重合体(A)
およびこれを含む熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性や顔料
着色性が低下する。このような重量平均粒子径を有する
ジエン系ゴム(a−1)は、例えば、酸基含有共重合体
ラテックスからなる肥大化剤でジエン系ゴム(a−1)
粒子を肥大化することにより得られる。
【0008】肥大化剤として用いられる酸基含有共重合
体ラテックスとは、酸基含有単量体と、アクリル酸アル
キルエステルとを共重合体の構成成分とする共重合体ラ
テックスである。酸基含有単量体としては、アクリル
酸、メタクリル酸、イタコン酸およびクロトン酸等が挙
げられ、アクリル酸アルキルエステルとしてはアルキル
基の炭素数が1〜12のアクリル酸アルキルエステルが
好ましい。酸基含有共重合体中の酸基含有単量体成分の
重量割合は、ジエン系ゴム(a−1)を肥大化させる際
のラテックスの安定性が優れ、肥大化して得られるジエ
ン系ゴム(a−1)の平均粒子径を300nm以上に制
御しやすいことから、共重合体中3〜30重量%、さら
に好ましくは10〜25重量%である。また、酸基含有
重合体ラテックス中の酸基含有共重合体の重量平均粒子
径は、ジエン系ゴム(a−1)を肥大化させる際のラテ
ックスの安定性が優れ、肥大化して得られるジエン系ゴ
ム(a−1)の平均粒子径を300nm以上に制御しや
すいことから、100〜200nmが好ましい。肥大化
は、乳化重合で得られた小粒子径のジエン系ゴム(a−
1)ラテックス中に、上記酸基含有共重合体ラテックス
を添加することによって行う。
【0009】グラフト共重合体(A)を構成する複合ゴ
ム質重合体((a−1)+(a−2))は、重量平均粒
子径が300nm以上のジエン系ゴム(a−1)1〜3
0重量%の存在下で、グラフト交叉剤と架橋剤とを含む
アルキル(メタ)アクリレート単量体成分(a−2)9
9〜70重量%を乳化重合して得られるものである。ジ
エン系ゴム(a−1)の量が1重量%未満の場合は、得
られたグラフト共重合体(A)およびこれを含む熱可塑
性樹脂組成物の低温衝撃特性が低下し、一方、30重量
%を超える場合は耐候性が低下する場合がある。
【0010】アルキル(メタ)アクリレート単量体成分
(a−2)中のアルキル(メタ)アクリレートとして
は、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、
n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、
2−エチルヘキシルアクリレート等のアルキルアクリレ
ートや、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシル
メタクリレート、n−ラウリルメタクリレート等のアル
キルメタクリレートが挙げられ、特にn−ブチルアクリ
レートが好ましい。アルキル(メタ)アクリレート単量
体成分(a−2)中のグラフト交叉剤としては、アリル
メタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリル
イソシアヌレート等が挙げられ、単独または2種類以上
混合して用いられる。アルキル(メタ)アクリレート単
量体成分(a−2)中の架橋剤としてはエチレングリコ
ールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタク
リレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレー
ト、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート等が
挙げられ、単独または2種類以上混合して用いられる。
【0011】複合ゴム質重合体((a−1)+(a−
2))は、重量平均粒子径が300nm以上のジエン系
ゴム(a−1)ラテックスに、グラフト交叉剤と架橋剤
とを含むアルキル(メタ)アクリレート単量体成分(a
−2)を添加して乳化重合することによって得られる。
乳化重合には、ラジカル重合開始剤や乳化剤を使用す
る。ラジカル重合開始剤としては、過酸化物、アゾ系開
始剤または酸化剤・還元剤を組み合わせたレドックス系
開始剤が用いられる。この中ではレドックス系開始剤が
好ましく、特に硫酸第一鉄・エチレンジアミン四酢酸二
ナトリウム塩・ロンガリット・ヒドロパーオキサイドを
組み合わせたスルホキシレート系開始剤が好ましい。ま
た、乳化剤としては特に制限はないが、乳化重合時のラ
テックスの安定性が優れ、重合率を高められることか
ら、サルコシン酸ソーダ、脂肪酸カリウム、脂肪酸ナト
リウム、アルケニルコハク酸ジカリウム、ロジン酸石鹸
等の各種カルボン酸塩が好ましい。さらにこれらの中で
は、得られたグラフト共重合体(A)およびこれを含む
熱可塑性樹脂組成物の高温成形時のガス発生が抑制でき
ることからアルケニルコハク酸ジカリウムが好ましい。
【0012】複合ゴム質重合体((a−1)+(a−
2))の粒子径分布には特に制限はないが、得られたグ
ラフト共重合体(A)およびこれを含む熱可塑性樹脂組
成物の高温成形時の光沢が優れることから、粒子径が1
00nm未満の粒子の割合が、5〜20重量%である複
合ゴム質重合体((a−1)+(a−2))が好まし
い。粒子径が100nm未満の粒子の割合が5重量%未
満の場合は、得られたグラフト共重合体(A)およびこ
れを含む熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が低下する傾向
を示し、一方、粒子径が100nm未満の粒子の割合が
20重量%を超えると、得られたグラフト共重合体
(A)およびこれを含む熱可塑性樹脂組成物を高温成形
した時の成形品表面の光沢が低下する傾向を示す。
【0013】グラフト共重合体(A)は、複合ゴム質重
合体((a−1)+(a−2))に、芳香族アルケニル
化合物、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルお
よびシアン化ビニル化合物から選ばれる少なくとも一種
の単量体成分(a−3)を乳化グラフト重合して製造す
ることができる。単量体成分(a−3)のうち芳香族ア
ルケニル化合物としては、例えばスチレン、α−メチル
スチレン、ビニルトルエン等であり、メタクリル酸エス
テルとしては、例えばメチルメタクリレート、エチルメ
タクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等で
あり、アクリル酸エステルとしては、例えばメチルアク
リレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等
であり、シアン化ビニル化合物としては、例えばアクリ
ロニトリル、メタクリロニトリル等である。これらのう
ち、単量体成分(a−3)として、スチレンとアクリロ
ニトリルの混合物を使用すると、グラフト共重合体
(A)の熱安定性が優れるため好ましい。
【0014】グラフト共重合体(A)は、複合ゴム質重
合体((a−1)+(a−2))20〜80重量%に対
して、単量体成分(a−3)80〜20重量%を乳化グ
ラフト重合させて得られる。このような重量割合で乳化
グラフト重合すると、得られたグラフト共重合体(A)
およびこれを含む熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性と顔料
着色性がともに優れるため好ましい。単量体成分(a−
3)の量が20重量%未満の場合は、得られたグラフト
共重合体(A)およびこれを含む熱可塑性樹脂組成物の
顔料着色性が低下し、一方、80重量%を超えると耐衝
撃性が低下する場合がある。さらに好ましくは、グラフ
ト共重合体(A)中、複合ゴム質重合体((a−1)+
(a−2))が40〜70重量%で、単量体成分(a−
3)は60〜30重量%である。このような場合、得ら
れたグラフト共重合体(A)およびこれを含む熱可塑性
樹脂組成物は良好な耐衝撃性と顔料着色性をバランス良
く発現するため好ましい。
【0015】グラフト共重合体(A)を製造する際の乳
化グラフト重合は、乳化剤を使用してラジカル重合技術
により行う。また、単量体成分(a−3)中には、グラ
フト率やグラフト成分の分子量を制御するための各種連
鎖移動剤を添加することができる。この際に用いるラジ
カル重合開始剤としては、過酸化物、アゾ系開始剤また
は酸化剤・還元剤を組み合わせたレドックス系開始剤が
用いられる。この中でレドックス系開始剤が好ましく、
特に硫酸第一鉄・エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム
塩・ロンガリット・ヒドロパーオキサイドを組み合わせ
たスルホキシレート系開始剤が好ましい。乳化剤として
は特に制限はないが、乳化重合時のラテックスの安定性
が優れ、重合率が高められることから、サルコシン酸ソ
ーダ、脂肪酸カリウム、脂肪酸ナトリウム、アルケニル
コハク酸ジカリウム、ロジン酸石鹸等の各種カルボン酸
塩が好ましい。より好ましくは、得られたグラフト共重
合体(A)およびこれを含む熱可塑性樹脂組成物の高温
成形時のガス発生を抑制できることからアルケニルコハ
ク酸ジカリウムが好ましい。
【0016】グラフト共重合体(A)を製造する際の乳
化グラフト重合は、70℃未満の重合温度で行う。重合
温度を70℃以下に制御することによって、得られるグ
ラフト共重合体(A)およびこれを含む熱可塑性樹脂組
成物は、良好な成形光沢、耐候性、流動性を有し、か
つ、従来にない高い耐衝撃性をバランスよく発現する。
重合温度は、好ましくは40〜70℃で、さらに好まし
くは50〜65℃である。重合温度をこのような温度範
囲に制御すると、グラフト重合開始性が悪化したり、グ
ラフト共重合体(A)中での未反応単量体が多く残存し
たりすることがなく、経済的に好ましい。また、得られ
たグラフト共重合体(A)およびこれを含む熱可塑性樹
脂組成物の高温成形時のガス発生やシルバーストリーク
を抑制でき、成形品の意匠性が損なわれない。
【0017】乳化グラフト重合で得られたグラフト共重
合体(A)ラテックスは、ついで、凝固剤を溶解させた
熱水中に投入され、凝析、固化される。凝固剤として
は、硫酸、塩酸、リン酸、硝酸等の無機酸や、塩化カル
シウム、酢酸カルシウム、硫酸アルミニウム等の金属塩
等を用いることができる。このうち、グラフト共重合体
(A)の生産性が優れ、かつ、得られたグラフト共重合
体(A)およびこれを含む熱可塑性樹脂組成物の成形時
における熱着色が優れることから無機酸が好ましい。つ
いで、上述のように凝固剤を使用して固化させたグラフ
ト共重合体(A)を、水または温水中に再分散させてス
ラリー状とし、グラフト共重合体(A)中に残存する乳
化剤残渣を水中に溶出させ、洗浄する。洗浄後、スラリ
ーを脱水機等で脱水し、得られた固体を気流乾燥機等で
乾燥し、グラフト共重合体(A)が粒子状で得られる。
この際の洗浄条件としては特に制限はないが、乾燥後の
グラフト共重合体(A)中に含まれる乳化剤残渣量が
0.5〜2重量%の範囲となる条件で洗浄することが好
ましい。グラフト共重合体(A)中の乳化剤残渣が0.
5重量%未満の場合は、得られたグラフト共重合体
(A)およびこれを含む熱可塑性樹脂組成物の流動性が
低下する傾向を示し、一方、2重量%を超えると、熱可
塑性樹脂組成物を高温で成形する際のガス発生量が大き
くなる傾向を示す。グラフト共重合体(A)中の乳化剤
残渣の量は、上述のグラフト共重合体(A)の洗浄条件
に加え、使用する乳化剤の量によっても変化する。そこ
で、グラフト共重合体(A)中の乳化剤残渣量を0.5
〜2重量%とするために好ましい乳化剤使用量は、得ら
れるグラフト共重合体(A)100重量部に対して、
0.5〜5重量部であり、さらに好ましくは0.5〜
1.5重量部である。
【0018】グラフト共重合体(A)の重量平均粒子径
には特に制限はないが、得られたグラフト共重合体
(A)およびこれを含む熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性
が優れることから、200〜500nmであることが好
ましく、さらに好ましくは230〜400nm、より好
ましくは260〜350nmである。また、グラフト共
重合体(A)の好ましい特性としては、20℃/分の昇
温条件で熱重量分析した際に、グラフト共重合体(A)
の重量が1重量%減少する温度が300℃以上であるこ
とである。この温度が300℃未満の場合は、得られた
グラフト共重合体(A)およびこれを含む熱可塑性樹脂
組成物の高温成形時のガス発生量が増大する傾向を示
す。
【0019】また、グラフト共重合体(A)は、アセト
ン溶媒に対する可溶分を含み、かつ、アセトン可溶分
0.2gを100mlのN,N−ジメチルホルムアミド
に溶解して得られた溶液の25℃における還元粘度が、
0.30〜0.80dl/gであることが好ましい。還
元粘度が0.3dl/g未満の場合は、グラフト共重合
体(A)およびこれを含む熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃
性が低下する場合があり、一方0.8dl/g超えると
グラフト共重合体(A)およびこれを含む熱可塑性樹脂
組成物の成形光沢が低下する場合がある。グラフト共重
合体(A)およびこれを含む熱可塑性樹脂組成物の耐衝
撃性と成形光沢がともに優れることから、アセトン可溶
分の0.2g/100mlN,N−ジメチルホルムアミ
ド溶液として25℃で測定した還元粘度は、より好まし
くは0.50〜0.75dl/g、さらに好ましくは
0.55〜0.70dl/gである。
【0020】グラフト共重合体(A)は単独で、あるい
は他の熱可塑性樹脂(B)とともに通常の公知の混練装
置によって混練されて使用される。熱可塑性樹脂(B)
としては特に制限はないが、例えば、ポリメタクリル酸
メチル、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹
脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合
体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−エチレン−プロ
ピレン−ジエン−スチレン共重合体(AES樹脂)、ポ
リカーボネート樹脂、ポリブチレンテレフタレート(P
BT樹脂)、ポリエチレンテレフタレート(PET樹
脂)、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン
等のポリオレフィン、スチレン−ブタジエン−スチレン
(SBS)、スチレン−ブタジエン(SBR)、水素添
加SBS、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)
等のスチレン系エラストマー、各種オレフィン系エラス
トマー、各種ポリエステル系エラストマー、ポリスチレ
ン、メチルメタクリレート−スチレン共重合体(MS樹
脂)、アクリロニトリル−スチレン−メタクリル酸メチ
ル共重合体、ポリアセタール樹脂、変性ポリフェニレン
エーテル(変性PPE樹脂)、エチレン−酢酸ビニル共
重合体、PPS樹脂、PES樹脂、PEEK樹脂、ポリ
アリレート、液晶ポリエステル樹脂およびポリアミド樹
脂(ナイロン)等が挙げられ、これらは単独であるいは
二種以上を併用して用いることができる。本発明の熱可
塑性樹脂組成物中のグラフト共重合体(A)および熱可
塑性樹脂(B)の含有量には特に制限はないが、熱可塑
樹脂組成物を100重量%とした場合、グラフト共重合
体(A)が5〜95重量%で熱可塑性樹脂(B)が95
〜5重量%の範囲であることが好ましく、さらに好まし
くはグラフト共重合体(A)が10〜90重量%で熱可
塑性樹脂(B)が90〜10重量%の範囲である。
【0021】グラフト共重合体(A)およびこれを含む
熱可塑性樹脂組成物を製造する時に用いる混練方法とし
ては、例えば、粉末、ビーズ、またはペレット状態の熱
可塑性樹脂(B)とグラフト共重合体(A)を所定量秤
量して混合し、得られた混合物を溶融混練する方法が挙
げられる。溶融混練する際には、押出機または、バンバ
リーミキサー、加圧ニーダー、ロール等の混練機等を用
いればよい。得られた熱可塑性樹脂組成物はそのまま
で、または、必要に応じて染料、顔料、安定剤、補強
剤、充填材、難燃剤、発泡剤、滑剤、可塑剤等を配合し
た後、成形品の製造原料として使用することができる。
この熱可塑性樹脂組成物は、射出成形法、押出成形法、
ブロー成形法、圧縮成形法、カレンダー成形法、インフ
レーション成形法等の各種成形方法によって、目的の成
形品とされる。このような熱可塑性樹脂組成物の工業的
用途例としては、車両部品、特に無塗装で使用される各
種外装・内装部品、壁材、窓枠等の建材部品、食器、玩
具、掃除機ハウジング、テレビジョンハウジング、エア
コンハウジング等の家電部品、インテリア部材、船舶部
材および通信機器ハウジング等が挙げられる。
【0022】
【実施例】以下、実施例および比較例により本発明をさ
らに具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない
限り、以下の例に限定されるものではない。なお、以下
の例中の%および部数は明記しない限りは重量基準とす
る。また、以下の実施例および比較例中での各種物性は
以下の方法により測定した。 (参考例1)ジエン系ゴムラテックス(G−1)の製造 下記各成分を10Lのステンレス製オートクレーブに仕
込み、50℃に昇温した。 イオン交換水 145部 不均化ロジン酸カリウム 1.0部 オレイン酸カリウム 1.0部 ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート二水和物 0.4部 無水硫酸ナトリウム 0.1部 ターシャリードデシルメルカプタン 0.3部 ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド 0.5部 1,3−ブタジエン 26.2部 スチレン 1.4部 続いて、ピロリン酸ナトリウムを0.5部と、硫酸第一
鉄を0.005部と、イオン交換水を5部からなる混合
物を添加し、重合を開始した。重合温度57℃で、1,
3−ブタジエンが68.6部、スチレンが3.6部から
なる混合物を圧力ポンプにて滴下供給した。次いで、重
合転化率が40%に達した時点で、ノルマルドデシルメ
ルカプタンを0.3部添加し、さらに重合を継続した。
8時間後、残存した1,3−ブタジエンを除去し、固形
分が40.2重量%、重合転化率が97%、重量平均粒
子径70nmのジエン系ゴムラテックス(G−1)を得
た。
【0023】(参考例2) 肥大化用酸基含有共重合体
(K−1)の合成 冷却管、ジャケット加熱器および攪拌装置を備えた反応
器内に、窒素気流下で下記各成分を仕込み、攪拌を行い
ながら内温65℃に昇温した。 オレイン酸カリウム 2.2部 ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(70%溶液) 3.6部 ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート二水和物 0.3部 硫酸第一鉄七水塩 0.003部 エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 0.009部 イオン交換水 200部 これに、n−ブチルアクリレートを81.5部と、メタ
クリル酸を18.5部と、クメンヒドロパーオキシドを
0.5部からなる混合物を2時間かけて添加し、添加終
了後も2時間そのままの温度で重合を継続した。重合転
化率は98%であり、平均粒子径150nmの肥大化用
酸基含有共重合体ラテックス(K−1)を得た。
【0024】参考例中の各種物性の測定は以下の方法で
行った。 (1) ラテックス中の(共)重合体の重量平均粒子径 MATEC APPLIED SCIENCES社製サブミクロン粒度分布測定
器CHDF−2000を用いて測定した。 (2)グラフト共重合体中のアセトン可溶成分の還元粘
度 冷却管および加熱器を備えたフラスコ中に、グラフト共
重合体約2.5g(秤量)およびアセトン80mlを入
れ、加熱器により65℃で3時間加熱抽出処理を行っ
た。冷却後、内液を日立工機(株)遠心分離器を用いて
15000回転/分の条件で30分処理してアセトン不
溶分を分離して得た上澄み液から、アセトン溶媒を減圧
蒸発させてアセトン可溶成分を析出回収した。次いでこ
のアセトン可溶成分0.2gを100ccのN,N−ジ
メチルホルムアミドに溶解させて得られた溶液の溶液粘
度を、自動粘度計(サン電子工業(株)製)を用いて2
5℃で測定した。そして、同条件で測定した溶媒粘度よ
りアセトン可溶分の還元粘度を求めた。 (3) グラフト共重合体中の乳化剤残渣量 グラフト共重合体中に含まれる乳化剤残渣を、アセトン
溶媒中でメタノールと塩酸によりメチルエステル化させ
た後、濾過した。次いで、濾液中の溶媒を減圧除去して
得られた残渣をノルマルヘキサンに溶解させこれを水洗
した後、ガスクロマトグラフィー(島津製作所(株)製
GC−14B)にて定量分析し求めた。 (4)グラフト共重合体の重量が1%減少する温度の測
定 セイコー電子工業(株)製「TG/DTA200」を用
い、昇温条件20℃/分の条件で測定した。
【0025】(実施例1)グラフト共重合体(A−1)
の製造 参考例1で調製したジエン系ゴムラテックス(G−1)
100部(固形分として)に、参考例2で調製した肥大
化用酸基含有共重合体(K−1)ラテックス2.1部
(固形分として)を攪拌しながら常温で添加し、さらに
30分間攪拌を続け肥大化ジエン系ゴムラテックスを得
た。肥大化後の重合体の平均粒子径は380nmであっ
た。次に、試薬注入容器、冷却管、ジャケット加熱機お
よび攪拌装置を備えた反応器に、 肥大化ジエン系ゴムラテックス(固形分として) 10部 アルケニルコハク酸ジカリウム 0.3部 イオン交換水 175部 n−ブチルアクリレート 40部 アリルメタクリレート 0.16部 1,3−ブチレングリコールジメタクリレート 0.08部 ターシャリーブチルヒドロパーオキサイド 0.1部 を添加した。この反応器に窒素気流を通じることによっ
て、雰囲気の窒素置換を行い、60℃まで昇温した。内
部の液温が50℃となった時点で、 硫酸第一鉄 0.00015部 エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 0.00045部 ロンガリット 0.24部 イオン交換水 5部 からなる水溶液を添加した後内温を約75℃に上昇さ
せ、ラジカル重合を開始した。1時間この状態を維持
し、アクリレート成分の重合を完結させ肥大化ポリブタ
ジエンとブチルアクリレートゴムとの複合ゴム質重合体
のラテックスを得た。この複合ゴム質重合体ラテックス
を少量サンプリングして測定した複合ゴム質重合体の重
量平均粒子径は、300nmで、全重量に対する100
nm未満の粒子の重量は8重量%であった。次に、 ロンガリット 0.15部 アルケニルコハク酸ジカリウム 0.65部 イオン交換水 10部 からなる水溶液を添加し、この複合ゴム質重合体ラテッ
クスを60℃にまで冷却し、次いで、 アクリロニトリル 3.1部 スチレン 9.4部 ターシャリーブチルヒドロパーオキサイド 0.06部 の混合液を30分にわたって滴下し、その際に内温が6
5℃を越えない様にコントロールして重合した。滴下終
了から5分後、 硫酸第一鉄 0.001部 エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 0.003部 ロンガリット 0.15部 イオン交換水 5部 からなる水溶液を添加し、次いで、 アクリロニトリル 9.4部 スチレン 28.1部 ターシャリーブチルヒドロパーオキサイド 0.28部 の混合液を1時間にわたって滴下しその際に内温が65
℃を越えない様にコントロールして重合した。滴下終了
後、温度65℃の状態を20分間保持した後冷却し、内
温が60℃となった時点で、 抗酸化剤(吉富製薬工業(株)製アンテージW500) 0.2部 アルケニルコハク酸ジカリウム 0.2部 イオン交換水 5部 からなる混合物を添加した。以上の操作により、肥大化
ポリブタジエンとブチルアクリレートゴムとの複合ゴム
質重合体に、アクリロニトリル/スチレンをグラフト重
合させたグラフト共重合体(A−1)のラテックスを得
た。次いで、上記重合ラテックスを全ラテックスの1.
2倍量の45℃に加熱した硫酸0.6%水溶液中に攪拌
しながら投入し、重合体を凝析させた。次いで液温を6
5℃に上昇させ5分間保持した後、液温を90まで上昇
させた。次いで析出物を分離した後、この回収物を10
倍量のイオン交換水中に投入後10分間撹拌することで
洗浄を実施した。この分散液を遠心脱水機に脱水処理
し、さらに80℃で16時間乾燥し、白色粉末状である
グラフト共重合体(A−1)を得た。グラフト共重合体
(A−1)中の残存乳化剤残渣量は1.4重量%、アセ
トン可溶成分の還元粘度は0.63dl/gおよび1%
重量減少温度は330℃であった。
【0026】(実施例2)グラフト共重合体(A−2)
の製造 グラフト部の重合開始温度、すなわち、複合ゴム質重合
体ラテックスにアクリロニトリルとスチレンを重合させ
る際の重合開始温度を50℃とし、以後55℃を越えな
いようにコントロールした以外は実施例1と同様にして
重合を行い、残存乳化剤残渣量が1.6%、アセトン可
溶成分の還元粘度は0.68dl/gおよび1%重量減
少温度が325℃であるグラフト共重合体(A−2)得
た。
【0027】(実施例3)グラフト共重合体(A−3)
の製造 用いる肥大化ジエン系ゴムラテックスの量(固形分とし
て)を10部から5部に、さらにブチルアクリレートを
45部、アリルメタクリレート0.18部、1,3−ブ
チレングリコールジメタクリレート0.09部とした以
外は実施例1と同様にして重合を行い、残存乳化剤残渣
量が1.4%、アセトン可溶成分の還元粘度が0.66
dl/gおよび1%重量減少温度が320℃であるグラ
フト共重合体(A−3)を得た。
【0028】(実施例4)グラフト共重合体(A−4)
の製造 実施例1と同様にして、肥大化ポリブタジエンとブチル
アクリレートゴムとの複合ゴム質重合体のラテックスを
得て、ついで、この複合ゴム質重合体ラテックスを60
℃にまで冷却し、 ロンガリット 0.25部 アルケニルコハク酸ジカリウム 0.65部 硫酸第一鉄 0.001部 エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 0.003部 ロンガリット 0.15部 イオン交換水 15部 からなる水溶液を添加し、次いで、 アクリロニトリル 10.0部 スチレン 30.0部 ターシャリーブチルヒドロパーオキサイド 0.30部 からなる混合液を2時間にわたって滴下し、その間内温
が65℃を越えない様にジャケット温度を制御して重合
した。滴下終了後、実施例1と同様にして処理し、グラ
フト共重合体(A−4)を得た。グラフト共重合体(A
−4)中の残存乳化剤残渣量は、1.4%、アセトン可
溶成分の還元粘度は0.49dl/gおよび1%重量減
少温度は325℃であった。
【0029】(比較例1)グラフト共重合体(A−5)
の製造 実施例1と同様にして、肥大化ポリブタジエンとブチル
アクリレートゴムとの複合ゴム質重合体のラテックスを
得て、ついで、この複合ゴム質重合体ラテックスに対し
て、75℃のままで、 ロンガリット 0.15部 アルケニルコハク酸ジカリウム 0.65部 イオン交換水 10部 からなる水溶液を添加し、次いで、 アクリロニトリル 6.3部 スチレン 18.7部 ターシャリーブチルヒドロパーオキサイド 0.11部 混合液を1時間にわたって滴下し重合した。滴下終了か
ら5分後、 硫酸第一鉄 0.001部 エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 0.003部 ロンガリット 0.15部 イオン交換水 5部 からなる水溶液を添加し、次いで、 アクリロニトリル 6.3部 スチレン 18.7部 ターシャリーブチルヒドロパーオキサイド 0.19部 ノルマルオクチルメルカプタン 0.014部 からなる混合液を1時間にわたって滴下し重合した。滴
下終了後、同様にして処理し、グラフト共重合体(A−
5)を得た。グラフト共重合体(A−5)中の残存乳化
剤残渣量は、1.3%、アセトン可溶成分の還元粘度は
0.65dl/gおよび1%重量減少温度は320℃で
あった。
【0030】(比較例2)グラフト共重合体(A−6)
の製造 試薬注入容器、冷却管、ジャケット加熱機および攪拌装
置を備えた反応器に、 アルケニルコハク酸ジカリウム 0.1部 イオン交換水 175部 n−ブチルアクリレート 50部 アリルメタクリレート 0.20部 1,3−ブチレングリコールジメタクリレート 0.1部 ターシャリーブチルヒドロパーオキサイド 0.1部 を仕込んだ。この反応器に窒素気流を通じることによっ
て、雰囲気の窒素置換を行い、60℃まで昇温した。内
部の液温が50℃となった時点で、 硫酸第一鉄七水塩 0.00015部 エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 0.00045部 ロンガリット 0.24部 イオン交換水 5部 からなる水溶液を添加した後内温を75℃に上昇させ、
ラジカル重合を開始した。1時間この状態を維持し、ア
クリレート成分の重合を完結させブチルアクリレートゴ
ムのラテックスを得た。このアクリレートゴム重合体ラ
テックスを少量サンプリングして測定した複合ゴム重合
体の重量平均粒子径は270nmであった。以下、アル
ケニルコハク酸ジカリウムの総使用量を合わせた以外は
実施例1に記載の方法と同様にしてグラフト重合を行
い、複合化されていないブチルアクリレートゴムに、ア
クリロニトリル/スチレンをグラフト重合させたグラフ
ト共重合体(A−6)のラテックスを得た。同様にラテ
ックスからの回収処理を行い、グラフト共重合体(A−
6)を得た。グラフト共重合体(A−6)中の残存乳化
剤残渣量は、1.6%、アセトン可溶分の還元粘度は
0.61dl/gおよび1%重量減少温度は320℃で
あった。
【0031】[実施例5〜8および比較例3〜4]実施
例1〜4および比較例1〜2で製造した各グラフト共重
合体(A−1〜6)48部、アクリロニトリル成分29
%およびスチレン成分71%よりなり、N,N−ジメチ
ルホルムアミド溶液から25℃で測定した還元粘度が
0.60dl/gであるアクリロニトリル−スチレン共
重合体52部、旭電化工業(株)製「アデカスタブC」
0.3部、ステアリン酸バリウム部0.3、エチレンビ
スステアリルアミド0.4部およびカ−ボンブラック
(三菱化学(株)製#960)0.8部をヘンシェルミ
キサ−を用いて混合し、この混合物を230℃に加熱し
た脱気式押出機(池貝鉄工(株)製PCM−30)に供
給し、混練してペレットを得た。得られたペレットを用
いて、以下に示す方法で測定したアイゾット衝撃強度、
ロックウェル硬度、メルトフローレート、成形光沢、耐
候性評価の結果を表1に示す。
【0032】(1)アイゾット衝撃強度の測定 ASTM D256に準拠した方法により行い、試片1
/8”、測定温度23℃(試片は各温度で12時間放置
したものを使用)で測定を行った。 (2)表面硬度(ロックウェル硬度)の測定 ASTM D785に準拠する方法により行った。 (3)成形加工性(メルトフローレート) JIS K7210に準拠し、試験温度200℃、試験
荷重49Nの条件下で測定し、10分あたりの流出量と
して算出した。 (4)成形光沢度 100mm×100mm×3mm板の成形を日本製鋼所
(株)製射出成形機J85−ELIIを用いてシリンダ
ー設定温度230℃、金型温度60℃、インジェクショ
ンスピード50%の条件で行い、得られた成形板を用い
て測定した。 (5)耐候性 100mm×100mm×3mm白着色板をサンシャイ
ンウエザーメーター(スガ試験機(株)製)でブラック
パネル温度63℃、サイクル条件60分(降雨:12
分)にて1000時間処理した後の色差計で測定した変
色の度合い(ΔE)および下記式(1)で算出した光沢
度保持率により評価した。 光沢度保持率(%)=1000時間曝露後光沢度/曝露前光沢度 ×100… (1)
【0033】
【表1】
【0034】実施例および比較例より、次のことが明ら
かとなった。 1) 実施例1〜4で製造したグラフト共重合体(A−
1〜4)を含有する実施例5〜8の熱可塑性樹脂組成物
は、いずれも高いメルトフローレート値と高いアイゾッ
ト衝撃強度、優れた成形光沢と耐候性を有していてトー
タルバランスに優れ、かつ、従来にはない高い耐衝撃性
を有するため、工業的利用価値が極めて高い。 2) 特に実施例1で製造した複合ゴム系のグラフト共
重合体(A−1)を含む熱可塑性樹脂組成物は、アイゾ
ット衝撃強度が極めて高く、一方、実施例2で製造した
グラフト共重合体A−2を含む熱可塑性樹脂組成物で
は、そのレベルはさらに向上する傾向を示した。 3) 実施例3で製造したジエン系ゴム成分の少ないグ
ラフト共重合体(A−3)、または、実施例4で製造し
たアセトン可溶分の溶液還元粘度の低いグラフト共重合
体(A−4)を含む熱可塑性樹脂組成物では、実施例1
に比べてそれぞれ耐候性、メルトフローレートの向上が
確認された。一方、耐衝撃性が低下傾向にあるものの、
従来の樹脂組成物に比べて総じて高い性能を発現した。 4) 比較例1で製造したグラフト共重合体A−5を含
有する比較例3の熱可塑性樹脂組成物は、成形加工性お
よび成形光沢、耐候性は良好なレベルにあるものの、本
発明のグラフト共重合体に比較して耐衝撃性が大きく劣
る。 5) 比較例2で製造したジエン系ゴムが複合化されて
いないグラフト共重合体(A−6)を含有する比較例4
の熱可塑性樹脂組成物は、アイゾット衝撃強度が低く、
耐衝撃性に劣るため、ゴム変性熱可塑性樹脂本来の目的
に合致せず工業的利用価値が低い。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように本発明のグラフト共
重合体(A)は、複合ゴム質重合体に単量体がグラフト
重合した特定の構造を有するので、このグラフト共重合
体(A)およびこれを含む熱可塑性樹脂組成物は、耐候
性、成形光沢、流動性および耐衝撃性に優れる。よっ
て、本発明のグラフト共重合体(A)および熱可塑性樹
脂組成物は、産業における利用価値が極めて大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 AA01X AC08X AC11X BB03X BB06X BB12X BC06X BC07X BD04X BG06X BN07X BN12W BN14W BN15X BN16X CB00X CF06X CF07X CF16X CG00X CH07X CH09X CL00X CN02X CN03X GL00 GN00 GQ01 4J011 AA05 AA08 AB02 AC03 BA04 BA08 BB07 KA01 KA02 KB02 KB08 KB13 KB19 NA01 NA12 NA13 NA34 4J026 AA45 AA46 AA61 AA68 AA69 AC15 AC18 AC31 AC32 BA05 BA06 BA07 BA27 BA31 BB02 CA08 DA04 DA07 DA12 DA13 DA16 DB04 DB08 DB12 DB13 DB16 DB32 FA04 GA01 GA02 GA09

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量平均粒子径が300nm以上である
    ジエン系ゴム(a−1)1〜30重量%の存在下で、グ
    ラフト交叉剤と架橋剤とを含むアルキル(メタ)アクリ
    レート単量体成分(a−2)70〜99重量%を乳化重
    合して得られる複合ゴム質重合体((a−1)+(a−
    2))20〜80重量%に、 芳香族アルケニル化合物、メタクリル酸エステル、アク
    リル酸エステルおよびシアン化ビニル化合物から選ばれ
    る少なくとも一種の単量体(a−3)80〜20重量%
    が、70℃未満の重合温度で乳化グラフト重合したこと
    を特徴とするグラフト共重合体(A)。
  2. 【請求項2】 ジエン系ゴム(a−1)は、酸基含有共
    重合体ラテックスからなる肥大化剤で肥大化されたもの
    であることを特徴とする請求項1のグラフト共重合体
    (A)。
  3. 【請求項3】 アセトン可溶分0.2gを100mlの
    N,N−ジメチルホルムアミドに溶解して得られた溶液
    の25℃における還元粘度が、0.30〜0.80dl
    /gであることを特徴とする請求項1に記載のグラフト
    共重合体(A)。
  4. 【請求項4】 重量平均粒子径が300nm以上である
    ジエン系ゴム(a−1)1〜30重量%の存在下で、グ
    ラフト交叉剤と架橋剤とを含むアルキル(メタ)アクリ
    レート単量体成分(a−2)70〜99重量%を乳化重
    合して得られる複合ゴム質重合体((a−1)+(a−
    2))20〜80重量%に、 芳香族アルケニル化合物、メタクリル酸エステル、アク
    リル酸エステルおよびシアン化ビニル化合物から選ばれ
    る少なくとも一種の単量体(a−3)80〜20重量%
    を、70℃未満の重合温度で乳化グラフト重合すること
    を特徴とするグラフト共重合体の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし3のいずれかに記載のグ
    ラフト共重合体(A)と、熱可塑性樹脂(B)を含有す
    ることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013133417A (ja) * 2011-12-27 2013-07-08 Mitsubishi Rayon Co Ltd エマルションの製造方法およびエマルションを含む塗料組成物

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