JP2001261563A - マトリックスメタロプロテアーゼ産生抑制剤 - Google Patents

マトリックスメタロプロテアーゼ産生抑制剤

Info

Publication number
JP2001261563A
JP2001261563A JP2000073790A JP2000073790A JP2001261563A JP 2001261563 A JP2001261563 A JP 2001261563A JP 2000073790 A JP2000073790 A JP 2000073790A JP 2000073790 A JP2000073790 A JP 2000073790A JP 2001261563 A JP2001261563 A JP 2001261563A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
matrix metalloprotease
chromanol glycoside
residue
sugar
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2000073790A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshiaki Fujii
利秋 藤井
Hironori Murase
博宣 村瀬
Tsutomu Kunieda
勉 国枝
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
CCI Corp
Original Assignee
CCI Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by CCI Corp filed Critical CCI Corp
Priority to JP2000073790A priority Critical patent/JP2001261563A/ja
Publication of JP2001261563A publication Critical patent/JP2001261563A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Saccharide Compounds (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 安全かつ少用量で患部に効果的に作用し、癌
を治療しうる新規なマトリックスメタロプロテアーゼ産
生抑制剤を提供する。 【解決手段】 下記一般式(1) 【化1】 (ただし、式中、R1、R2、R3およびR4は同一または
異なる水素原子または低級アルキル基を表し、R5 は水
素原子、低級アルキル基または低級アシル基を表し、X
は糖残基中の水酸基の水素原子が低級アルキル基または
低級アシル基で置換されていてもよい単糖残基またはオ
リゴ糖残基を表し、nは0〜6の整数であり、およびm
は1〜6の整数である)で表されるクロマノール配糖体
を有効成分とするマトリックスメタロプロテアーゼ産生
抑制剤である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はマトリックスメタロ
プロテアーゼ産生抑制剤に関するものであり、特に癌転
移、組織潰瘍等の様々な疾患に関与するマトリックスメ
タロプロテアーゼの産生抑制剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】プロテアーゼは、生体内で多様な働きを
持つ重要な酵素である。特にマトリックスメタロプロテ
アーゼ類(MMPs)は、結合組織の分解および再生に
必要とされる中性プロテアーゼのファミリーに属する酵
素であり、これらは活性中心にZn2+を有することを特
徴とする。現在までに16種類ものヒトMMPが同定さ
れており、その数はいまだに増加する傾向にある。この
一群の酵素は繊維芽細胞類、単球類、マクロファージ
類、内皮細胞などに広く分布しており、コラーゲン、プ
ロテオグリカン類、フィブロネクチン、およびラミニン
などの細胞外マトリックスのタンパク質成分を得意的に
分解する働きを持つ。
【0003】MMPはその構造および基質特異性の違い
から、1)コラゲナーゼ群(MMP−1、−8、−1
3)、2)ゼラチナーゼ群(MMP−2、−9)、スト
ロメライシン群(MMP−3、−10)、4)膜型(M
T−MMP)(MMP−14、−15、−16、−1
7)、5)その他のMMP(MMP−7、−11、−1
2、−19、−20)の5つのグループに分類される。
【0004】通常MMPは、1)潜在型酵素(pro−
MMP)の生産、2)その潜在型酵素の活性化、3)活
性型酵素のインヒビターによる阻害の3つのステップで
緻密に調節されており、発生、排卵、受精卵の子宮内膜
への着床、損傷治療等の様々な生理現象に関与してい
る。このバランスが一度崩れ、MMPによる細胞外マト
リックス成分の過剰な分解が起きると、関節炎疾患(例
えば、慢性関節性リウマチ、骨関節症)、骨吸収疾患
(例えば、骨粗鬆症)、糖尿病に付随するコラーゲン崩
壊の増大、動脈硬化症、動脈瘤、肝硬変、肺繊維症、歯
周病、角膜潰瘍、皮膚の潰瘍、腫瘍浸潤・転移、および
異所性脈管形成など多くの疾患が引き起こされる。
【0005】これらの疾患の中でも、癌転移は癌治療の
中で大きな課題の一つである。癌の治療法は、主として
外科療法、放射線療法、化学療法に大別される。これら
の治療法を組み合わせることによって、原発癌の除去に
対する効率が大幅に向上している。しかしながら、原発
癌の除去がなされても、癌が他の組織に転移し再発する
可能性がある。転移は、癌細胞の原発巣からの離脱、周
辺組織への浸潤、転移組織での増殖に至る複雑な過程を
経て成立する事がわかっている。癌細胞が正常組織に浸
潤するためには、癌細胞を囲っている細胞外基底膜と呼
ばれるコラーゲンやフィブロネクチン等で構成されるタ
ンパク質のシートを分解する必要があり、この際にMM
P等のプロテアーゼが作用していることが明らかになっ
ている。例えばMMPの一つであるゼラチナーゼは、基
底膜の主要構成成分であるIV型コラーゲンの分解、癌
組織中での血管の再生、癌転移の際に、発現量や活性の
上昇が起こると報告されている。
【0006】このようなMMPの発現や活性を抑制する
ことによって、癌の転移、増殖を抑制する薬剤の開発が
なされており、具体的にはデキサメタゾン、ヒドロキサ
ム酸骨格を有する化合物等が知られている。しかしなが
らデキサメタゾンは副作用が強く、誘発感染症、続発性
副腎皮質機能不全や消化性潰瘍等を併発することがあ
る。同様にヒドロキサム酸系化合物も、副作用が強く、
効果を示す癌が限定されている、効果が不十分であるな
どの欠点を有し、いずれにしても長期的に継続して使用
する上で問題が多い。すなわちMMPの発現・活性を確
実に抑制し、かつ副作用の少ない優れた医薬品の開発は
未だ見出されていないのが現状である。
【0007】一方、本発明に用いられるクロマノール配
糖体は既知の化合物である(特開平7−118287号
公報)。該クロマノール配糖体は、代表的なビタミンE
であるα−トコフェロールのクロマン環の2位のフィチ
ル基をアルコールで置換しさらに糖を結合させて得られ
るものでり、高い水溶性と優れた抗酸化作用を有するす
ることが知られている。しかし、該クロマノール配糖体
をマトリックスメタロプロテアーゼ産生抑制剤として利
用することは知られていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記問題点に
鑑みなされたものであり、その目的は、少容量で効果的
にマトリックスメタロプロテアーゼ産生を抑制し、マト
リックスメタロプロテアーゼの過剰発現によって生じる
様々な疾患に対して優れた抑制効果を発揮する新規なマ
トリックスメタロプロテアーゼ産生抑制剤を提供するこ
とにある。また本発明の他の目的は、注射剤として局所
投与できる新規な治療剤を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、鋭
意研究を重ねた結果、該クロマノール配糖体がマトリッ
クスメタロプロテアーゼ産生に対して抑制効果を有する
ことを見出し、本発明を完成させた。
【0010】すなわち本発明は、下記一般式(1)
【0011】
【化2】
【0012】(ただし、式中、R1、R2、R3およびR4
は同一または異なる水素原子または低級アルキル基を表
し、R5 は水素原子、低級アルキル基または低級アシル
基を表し、Xは糖残基中の水酸基の水素原子が低級アル
キル基または低級アシル基で置換されていてもよい単糖
残基またはオリゴ糖残基を表し、nは0〜6の整数であ
り、およびmは1〜6の整数である)で表されるクロマ
ノール配糖体を有効成分とするマトリックスメタロプロ
テアーゼ産生抑制剤である。
【0013】さらに本発明は、前記クロマノール配糖体
は2−(α−D−グルコピラノシル)メチル−2,5,
7,8−テトラメチルクロマン−6−オールである前記
マトリックスメタロプロテアーゼ産生抑制剤である。
【0014】さらに本発明は、水性製剤である前記マト
リックスメタロプロテアーゼ産生抑制剤である。
【0015】さらに本発明は、前期マトリックスメタロ
プロテアーゼ産生抑制剤を有効成分とする癌細胞転移抑
制剤である。
【0016】本発明のマトリックスメタロプロテアーゼ
産生抑制剤は、マトリックスメタロプロテアーゼ産生を
効果的に抑制することができ、かつ長期間使用しても副
作用が少ない低毒性の作用を有するものである。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明のマトリックスメタロプロ
テアーゼ産生抑制剤は、前記一般式(1)で表されるク
ロマノール配糖体を有効成分とすることを特徴とするも
のである。
【0018】前記一般式(1)において、R1、R2、R
3、R4およびR5の低級アルキル基としては、炭素原子
数が1〜8、好ましくは1〜6の低級アルキル基がよ
く、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプ
ロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソ
ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が
挙げられる。これらの中では、メチル基またはエチル基
が好ましい。また、R5の低級アシル基としては、炭素
原子数が1〜8、好ましくは1〜6の低級アシル基がよ
く、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル
基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバ
レリル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイ
ル基、オクタノイル等が挙げられる。これらの中では、
アセチル基、プロピオニル基またはブチリル基が好まし
い。また、Xの単糖残基としては、グルコース、ガラク
トース、フコース、キシロース、マンノース、ラムノー
ス、フルクトース、アラビノース、リキソース、リボー
ス、アロース、アルトロース、イドース、タロース、デ
オキシリボース、2−デオキシリボース、キノボース、
アベクオース等の糖残基が挙げられる。Xのオリゴ糖残
基としては、上記単糖が2〜4個結合したもの、例えば
マルトース、ラクトース、セロビオース、ラフィノー
ス、キシロビオース、スクロースの糖残基等が挙げられ
る。これらの中ではグルコース、ガラクトース、フコー
ス、キシロース、ラムノース、マンノース、フルクトー
ス等の単糖残基が好ましい。また、Xの糖残基中の水酸
基の水素原子は低級アルキル基、好ましくは炭素原子数
が1〜8の低級アルキル基、または低級アシル基、好ま
しくは炭素原子数が1〜10の低級アシル基で置換され
ていてもよい。さらに、nは0〜6、好ましくは1〜4
の整数であり、mは1〜6、好ましくは1〜3の整数で
ある。一般式(1)で表されるクロマノール配糖体の好
ましい例としては、2−(α−D−グルコピラノシル)
メチル−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−6−
オール、2−(β−D−ガラクトピラノシル)メチル−
2,5,7,8−テトラメチルクロマン−6−オール、
2−(β−L−フコピラノシル)メチル−2,5,7,
8−テトラメチルクロマン−6−オール、2−(α−L
−ラムノピラノシル)メチル−2,5,7,8−テトラ
メチルクロマン−6−オール、2−(β−D−キシロピ
ラノシル)メチル−2,5,7,8−テトラメチルクロ
マン−6−オール、2−(β−D−グルコピラノシル)
メチル−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−6−
オール、2−(β−D−フルクトフラノシル)メチル−
2,5,7,8−テトラメチルクロマン−6−オール、
2−(α−D−マンノピラノシル)メチル−2,5,
7,8−テトラメチルクロマン−6−オール等が挙げら
れる。
【0019】本発明に用いられるクロマノール配糖体
は、例えば特開平7−118287号公報に記載の方法
により、下記一般式(2):
【0020】
【化3】
【0021】(ただし、式中、R1,R2,R3、R4、R
5及びnは前記と同義である)で表される2−置換アル
コール及びオリゴ糖類、可溶性澱粉、澱粉またはシクロ
デキストリンを相当する糖転位作用を触媒する酵素の存
在下に反応させ、2−置換アルコールの2位の水酸基に
対して特異的に糖の特定の水酸基を結合させることから
なる酵素反応によって製造される(酵素法)。
【0022】上記反応において原料として用いられる一
般式(2)で表される2−置換アルコール(以下、単に
「2−置換アルコール」という)は公知の物質であり、
例えば、特公平1−43755号公報や特公平1−49
135号公報等に開示された方法により得ることができ
る。また、例えば、一般式(2)中、R1、R2、R3
びR4がメチル基、R5が水素原子であり、nが1である
2−置換アルコールは、α−トコフェロールのクロマン
環の2位のフィチル基がカルボキシル基で置換された構
造を有する6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメ
チルクロマン−2−カルボン酸(商品名「トロロックス
(Trolox)」)を水素化リチウムアルミニウムの
存在下においてジエチルエーテル中で加熱還流処理する
こと等により容易に得ることができる。
【0023】上記反応において使用される糖転位作用を
触媒する酵素は、当該反応に用いる糖の種類によって以
下のように使い分けることが好ましい。
【0024】(1)2−置換アルコールにα−結合でグ
ルコース残基を結合させる場合: (a)マルトースからマルトテトラオース位のマルトオ
リゴ糖に対してはα−グルコシダーゼ(α−gluco
sidase,EC3.2.1.20)を作用させるこ
とが望ましい。α−グルコシダーゼとしては、ほぼ全て
の起源由来のものを用いることができ、具体的には、東
洋紡績株式会社製のサッカロマイセス属(Saccha
romyces sp.)由来のα−グルコシダーゼ、
オリエンタル酵母工業株式会社製のサッカロマイセス
セロビイシエ(Saccharomyces cere
visiae)由来のα−グルコシダーゼ、天野製薬株
式会社製のアスペルギルス ニガー(Aspergil
lus niger)由来のα−グルコシダーゼ、和光
純薬工業株式会社製のサッカロマイセス属(Sacch
aromyses sp.)由来のα−グルコシダー
ゼ、シグマ(SIGMA)製のベーカー イースト(B
akers yeast)由来のα−グルコシダーゼ、
バチルス属(Bacillus)由来のα−グルコシダ
ーゼ等が挙げられる。
【0025】(b)可溶性澱粉または澱粉に対しては4
−α−グルカノトランスフェラーゼ(4−α−D−gl
ucanotransferase,EC2.4.1.
25)を作用させることが望ましい。
【0026】(2)2−置換アルコールにα−結合でグ
ルコース残基またはマルトオリゴ糖残基を結合させる場
合:マルトオリゴ糖、可溶性澱粉、澱粉またはシクロデ
キストリン(α、β、γ)などに対してはシクロデキス
トリングルカノトランスフェラーゼ(cyclodex
trin glucanotransferase,E
C2.4.1.19)を作用させることが望ましい。代
表的な例としては、天野製薬株式会社製のバチルス マ
セランス(Bacillus macerans)由来
のシクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ、株
式会社林原生物化学研究所製のバチルス ステアロサー
モフィラス(Bacillus stearother
mophilus)由来のシクロデキストリングルカノ
トランスフェラーゼ、その他にはバチルス メガテリウ
ム(Baccillus megaterium)、バ
チルス サーキュランス ATCC 9995(Bac
illus circulans ATCC 999
5)由来のシクロデキストリングルカノトランスフェラ
ーゼなどが挙げられる。
【0027】(3)2−置換アルコールにβ−結合でグ
ルコース残基を結合させる場合: (a)セロビオース、カードランまたはラミナランなど
のβ−結合よりなるオリゴ糖に対してはβ−グルコシダ
ーゼ(β−glucosidase,EC3.2.1.
21)を作用させることが望ましい。
【0028】(b)リン酸存在下のセロビオースに対し
てはセロビオース ホスホリラーゼ(cellobio
se phosphorylase,EC2.4.1.
20)を作用させることが望ましい。
【0029】(4)2−置換アルコールにα−結合でガ
ラクトース残基を結合させる場合: (a)メリビオースまたはラフィノースなどに対しては
α−ガラクトシダーゼ(α−galactosidas
e,EC3.2.1.22)を作用させることが望まし
い。
【0030】(5)2−置換アルコールにβ−結合でガ
ラクトース残基を結合させる場合: (a)ラクトースなどに対してはβ−ガラクトシダーゼ
(β−galactosidase,EC3.2.1.
23)を作用させることが望ましい。
【0031】(b)アラビノガラクタンなどに対しては
エンド−1,4−β−ガラクタナーゼ(Endo−1,
4−β−galactanase,EC3.2.1.8
9)を作用させることが望ましい。
【0032】(6)2−置換アルコールにβ−結合でフ
ラクトース残基を結合させる場合: (a)ショ糖、ラフィノースまたはメリビオースなどに
対してはレバンシュークラーゼ(levansucra
se,EC2.4.1.10)を作用させることが望ま
しい。
【0033】(b)ショ糖に対してはβ−フルクトフラ
ノシダーゼ(β−fructofuranosidas
e,EC3.2.1.26)を作用させることが望まし
い。
【0034】(c)イヌリンなどに対してはイヌリンフ
ルクトトランスフェラーゼ(inulin fruct
otransferase,EC2.4.1.93)を
作用させることが望ましい。
【0035】上記反応における反応条件は、使用するク
ロマノール配糖体や酵素の種類によって異なるが、例え
ば、一般式(1)中のmが1であるクロマノール配糖体
をα−グルコシダーゼを用いて合成する場合には、2−
置換アルコールを糖溶液に溶解させることが望ましい。
そのためには有機溶媒の添加が望ましく、例えば、ジメ
チルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、メ
タノール、エタノール、アセトン、及びアセトニトリル
などが挙げられ、α−グルコシダーゼの転移活性を高め
る点を考慮すると、ジメチルスルホキシドやN,N−ジ
メチルホルムアミドが好ましく使用される。有機溶媒の
添加濃度は、1〜50(v/v)%であり、反応効率を
考えると5〜35(v/v)%であることが好ましい。
【0036】2−置換アルコールの濃度は、反応液中に
おいて飽和濃度若しくはそれに近い濃度にすることが望
ましい。用いる糖の種類はマルトースからマルトテトラ
オース位の低分子のものが良く、好ましくはマルトース
である。糖の濃度は1〜70(w/v)%、好ましくは
30〜60(w/v)%である。pHは4.5〜7.
5、好ましくは5.0〜6.5である。反応温度は10
〜70℃、好ましくは30〜60℃である。反応時間は
1〜40時間、好ましくは2〜24時間である。但し、
これらの条件は使用する酵素量等により影響をうけるこ
とはいうまでもない。反応終了後、反応液をXAD(オ
ルガノ株式会社)を担体として用いたカラムクロマトグ
ラフィーで処理することにより、目的とするクロマノー
ル配糖体が高純度で得られる。
【0037】また、例えば、一般式(1)中のmが1で
あるクロマノール配糖体をシクロデキストリングルカノ
トランスフェラーゼを用いて合成する場合の反応条件と
しては、2−置換アルコールを糖溶液に溶解させること
が望ましい。そのためには有機溶媒の添加が望ましく、
ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミ
ド、メタノール、エタノール、アセトン及びアセトニト
リルなどが挙げられる。添加する有機溶媒の濃度は1〜
50(v/v)%、好ましくは反応効率を考えると5〜
35(v/v)%である。2−置換アルコールの濃度は
反応液中において、飽和濃度もしくはそれに近い高い濃
度にすることが望ましい。
【0038】上記反応において用いられる糖の種類とし
ては、マルトトリオース以上の重合度を持つマルトオリ
ゴ糖、可溶性澱粉、澱粉およびシクロデキストリン
(α、β、γ)などが好ましく挙げられる。糖の濃度は
1〜70(w/v)%、好ましくは5〜50(w/v)
%である。pHは4.5〜8.5、好ましくは5.0〜
7.5である。反応温度は10〜70℃、好ましくは3
0〜60℃である。反応時間は1〜60時間、好ましく
は2〜50時間である。但し、これらの条件は使用する
酵素量により影響を受ける。このような反応により得ら
れたクロマノール配糖体はmの数が1から8位の混合物
となる。そこで、この混合物をグルコアミラーゼ(EC
3.2.1.3)を用いて処理することによって、一般
式(1)中のmが1であるクロマノール配糖体だけを得
ることができる。この際の反応温度は20〜70℃、好
ましくは30〜60℃であり、反応時間は0.1〜40
時間、好ましくは1〜24時間である。但し、これらの
条件は使用する酵素の量により影響を受ける。次に、上
記グルコアミラーゼ処理後の液を、XAD(オルガノ株
式会社)を担体として用いたカラムクロマトグラフィー
処理することにより、一般式(1)中のmが1であるク
ロマノール配糖体が高純度で得られる。
【0039】一般式(1)中のmが2であるクロマノー
ル配糖体を得る場合には、上記と同様の条件下で、シク
ロデキストリングルカノトランスフェラーゼによって得
られる一般式(1)におけるmが1から8位の混合物の
形態を有するクロマノール配糖体にβ−アミラーゼ(E
C3.2.1.2)を作用させることにより、一般式
(1)におけるmが1または2であるクロマノール配糖
体のみが得られる。この時の反応温度は20〜70℃、
好ましくは30〜60℃であり、反応時間は0.1〜4
0時間、好ましくは1〜24時間である。但し、これら
の条件は使用する酵素量により影響を受ける。β−アミ
ラーゼ処理後の液は、XAD(オルガノ株式会社)を担
体として用いたカラムクロマトグラフィー処理により、
一般式(1)におけるmが2であるクロマノール配糖体
が高純度で得られると同時に、一般式(1)におけるm
が1であるクロマノール配糖体も得られる。
【0040】一般式(1)におけるmが3以上であるク
ロマノール配糖体を得る場合には、上記と同様の条件下
で、シクロデキストリングルカノトランスフェラーゼに
よって得られる一般式(1)におけるmが1から8位の
混合物の形態を有するクロマノール配糖体を、HPLC
を用いた分取クロマトグラフィーなどで処理することに
より、高純度のクロマノール配糖体が各m毎に得ること
ができる。
【0041】上記実施態様では2−置換アルコールにグ
ルコース残基やマルトオリゴ糖残基を糖残基として結合
させる場合の態様を記載したが、ガラクトース残基、β
−グルコース残基、マンノース残基、フルクトース残基
等を糖残基として2−置換アルコールに結合させること
による態様も本発明では好ましく使用できる。このよう
な態様においては、上記糖転位作用を触媒する酵素の項
において説明した適切な酵素をそれぞれ使用する以外は
上記実施態様と同様の操作を行うことによって、目的と
するクロマノール配糖体が高純度で得られる(特開平9
−249688号公報、特願平9−176174号)。
【0042】一方、本発明に用いられるクロマノール配
糖体は、特願平10−75599号公報に記載の方法に
より、前記2−置換アルコールの6位の水酸基を保護基
で保護したもの(以下「糖受容体」という)とアノマー
位に脱離基を導入し他の水酸基を保護基で保護した糖の
誘導体(以下、「糖供与体」という)とを縮合反応させ
ることによっても製造できる(有機合成法)。
【0043】上記反応において使用される糖受容体の6
位の水酸基を保護する保護基としては、アセチル基、ベ
ンゾイル基、ビバロイル基、クロロアセチル基、レブリ
ノイル基、ベンジル基、p−メトキシベンジル基、アリ
ル基、t−ブチルジメチルシリル基、t−ブチルジフェ
ニルシリル基、トリメチルシリル基およびトリチル基等
が挙げられ、特にアセチル基およびベンゾイル基が好ま
しい。
【0044】上記反応において使用される糖供与体のア
ノマー位に導入される脱離基としては、塩素、臭素やフ
ッ素等のハロゲン原子、チオメチル基、チオエチル基や
チオフェニル基等の硫黄化合物およびトリクロロアセト
イミド基などが挙げられ、特に臭素、塩素、チオメチル
基、チオエチル基、チオフェニル基およびトリクロロア
セトイミド基が好ましい。また、アノマー位以外の水酸
基を保護する保護基としては、アセチル基、ベンゾイル
基、ピバロイル基、クロロアセチル基及びレブリノイル
基等のアシル系保護基、およびベンジル基、p−メトキ
シベンジル基、アリル基、t−ブチルジメチルシリル
基、t−ブチルジフェニルシリル基、トリメチルシリル
基及びトリチル基等のエーテル系保護基が挙げられ、中
でもアシル系保護基、特にアセチル基が好ましい。
【0045】これらの糖供与体は、周知の方法により糖
の全ての水酸基へ保護基を導入し、次いでアノマー位を
脱離基に置換することにより容易に調製することができ
る。
【0046】上記糖受容体と糖供与体の縮合反応につい
て示せば、まず、糖受容体と糖供与体を非極性溶媒に溶
解する。糖受容体と糖供与体の仕込量は、糖受容体に対
する糖供与体のモル比が1.0〜1.5、好ましくは
1.1〜1.3がよい。非極性溶媒としては、塩化メチ
レン、ベンゼン等が挙げられる。
【0047】次に、無水条件下で活性化剤の存在下で糖
供与体及び糖受容体の縮合反応を行う。活性化剤として
は、三フッ化ホウ酸・エーテル錯体、過塩素酸銀、トリ
フルオロメタンスルホン酸銀、臭化水銀、シアン化水
銀、N−ヨードコハク酸イミド−トリフルオロメタンス
ルホン酸、ジメチルメチルチオスルホニウムトリフラー
ト、p−トルエンスルホン酸等が挙げられ、特に、臭素
を糖誘導体の脱離基として使用した場合には過塩素酸銀
等の重金属塩を使用することが好ましい。反応温度は5
〜30℃、好ましくは10〜25℃がよく、反応時間は
12〜48時間、好ましくは20〜30時間がよい。
【0048】次いで得られた反応物をシリカゲルカラム
クロマトグラフィー等で精製し、保護基を水酸化ナトリ
ウムおよびメタノール性塩酸等で脱保護することによ
り、2−(β−L−フコピラノシル)メチル−2,5,
7,8−テトラメチルクロマン−6−オール、2−(α
−L−ラムノピラノシル)メチル−2,5,7,8−テ
トラメチルクロマン−6−オール、2−(β−D−キシ
ロピラノシル)メチル−2,5,7,8−テトラメチル
クロマン−6−オール等を得ることができる(特願平1
0−75599号)。
【0049】上記酵素法または有機合成法により得られ
たクロマノール配糖体は、一般的に、極めて高い水溶性
(約100g/100ml)を有し、かつ油溶性にも富
む(オクタノール/水系分配係数>3)両親媒性分子で
ある。いいかえると、本発明によるクロマノール配糖体
は、高い脂質親和性を備えた水溶性ビタミンEであると
いうことができる。したがって、本発明によるクロマノ
ール配糖体は、従来の水に不溶性あるいは貧溶性のビタ
ミンE誘導体とは異なり、水に溶解して使用しても高い
脂質親和性を保つので、細胞膜を透過しさらに細胞内に
も入ることができることから、効果的にマトリックスメ
タロプロテアーゼの発現を抑制し、関節炎疾患(例え
ば、慢性関節性リウマチ、骨関節症)、骨吸収疾患(例
えば、骨粗鬆症)、糖尿病に付随するコラーゲン崩壊の
増大、動脈硬化症、動脈瘤、肝硬変、肺繊維症、歯周
病、角膜潰瘍、皮膚の潰瘍、腫瘍浸潤・転移、および異
所性脈管形等のマトリックスメタロプロテアーゼに起因
する疾患を抑制することができる。
【0050】また、上記反応により得られたクロマノー
ル配糖体は、熱安定性、pH安定性および保存安定性に
関してもトコフェロール、トロロックスまたは2−置換
アルコールに比べて著しく向上するものである。
【0051】本発明のマトリックスメタロプロテアーゼ
産生抑制剤は、前記クロマノール配糖体を製薬上許容さ
れる担体と配合したまたは製薬上許容される溶剤に溶解
もしくは懸濁した組成物として、経口的または非経口的
に患者に投与できる。
【0052】本剤を経口投与用とする場合には、前記ク
ロマノール配糖体を適当な添加剤、例えば、乳糖、ショ
糖、マンニット、トウモロコシデンプン、合成もしくは
天然ガム、結晶セルロース等の賦形剤、デンプン、セル
ロース誘導体、アラビアゴム、ゼラチン、ポリビニルピ
ロリドン等の結合剤、カルボシキメチルセルーロースカ
ルシウム、カルボシキメチルセルーロースナトリウム、
デンプン、コーンスターチ、アルギン酸ナトリウム等の
崩壊剤、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリ
ン酸ナトリウム等の滑沢剤、炭酸カルシウム、炭酸ナト
リウム、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウム等の充填
剤または希釈剤等と適宜混合して、錠剤、散剤(粉
末)、丸剤、および顆粒剤等の固形製剤にすることがで
きる。また、硬質または軟質のゼラチンカプセル等を用
いてカプセル剤としてもよい。これらの固形製剤には、
ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒド
ロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネー
ト、セルロースアセテートフタレート、メタアクリレー
トコポリマー等の被覆用基剤を用いて腸溶性被覆を施し
てもよい。さらに、前記クロマノール配糖体を、精製水
等の一般的に用いられる不活性希釈剤に溶解して、必要
に応じて、この溶液に浸潤剤、乳化剤、分散助剤、界面
活性剤、甘味料、フレーバー、芳香物質等を適宜添加す
ることにより、シロップ剤、エリキシル剤等の液状製剤
とすることもできる。
【0053】また、本発明のマトリックスメタロプロテ
アーゼ産生抑制剤を非経口投与用とする場合には、前記
クロマノール配糖体を精製水、リン酸緩衝液等の適当な
緩衝液、生理的食塩水、リンガー溶液、ロック溶液等の
生理的塩類溶液、エタノール、グリセリン及び慣用され
る界面活性剤等と適当に組み合わせた滅菌された水溶
液、非水溶液、懸濁液、リポソームまたはエマルジョン
として、好ましくは注射用注入用または噴霧用滅菌水溶
液として、静脈内、皮下、筋肉内、腹腔内、腸内、気管
支内等に投与される。この際、液状製剤は、生理学的な
pH、好ましくは6〜8の範囲内のpHを有することが
好ましい。さらに、本発明のマトリックスメタロプロテ
アーゼ産生抑制剤は、ペレットによる埋め込み、または
坐薬用基剤を用いた坐薬として投与されることも可能で
ある。
【0054】上述したうち、好ましい投与形態や投与経
路などは、担当の医師によって選択される。
【0055】本発明のマトリックスメタロプロテアーゼ
産生抑制剤に含まれるクロマノール配糖体の濃度は、投
与形態、疾病の種類や重篤度や目的とする投与量などに
よって様々であるが、一般的には、原料の全重量に対し
て0.1〜90重量%、好ましくは1〜80重量%であ
る。この際、クロマノール配糖体の濃度が前記上限値を
超えると過剰な投与量に見合った病態改善効果が得られ
ず、前記下限値未満であると病態改善効果が十分に期待
できずいずれも好ましくない。
【0056】本発明のマトリックスメタロプロテアーゼ
産生抑制剤の投与量は、患者の年齢、体重及び症状、目
的とする投与形態や方法、治療効果、および処置期間等
によって異なり、正確な量は医師により決定されるもの
であるが、通常、クロマノール配糖体として0.01〜
1000mg/kg体重/日の範囲になるように1日に
1〜3回分けて投与される。
【0057】本発明のマトリックスメタロプロテアーゼ
産生抑制剤は、細胞への高い吸収性を持つことから、効
果的にマトリックスメタロプロテアーゼ産生を抑制し、
関節炎疾患(例えば、慢性関節性リウマチ、骨関節
症)、骨吸収疾患(例えば、骨粗鬆症)、糖尿病に付随
するコラーゲン崩壊の増大、動脈硬化症、動脈瘤、肝硬
変、肺繊維症、歯周病、角膜潰瘍、皮膚の潰瘍、腫瘍浸
潤・転移、および異所性脈管形等のマトリックスメタロ
プロテアーゼに起因する疾患を抑制する。
【0058】
【実施例】以下、本発明の実施例により具体的に説明す
る。
【0059】なお、クロマノール配糖体として、特開平
7−118287号公報の実施例1に記載の方法で製造
した下記式(3)で示される2−(α−D−グルコピラ
ノシル)メチル−2,5,7,8−テトラメチルクロマ
ン−6−オール(TMG)を用いた。
【0060】
【化4】
【0061】<実施例1:インビトロ癌細胞ゼラチナー
ゼザイモグラム実験>本実施例におけるサンプルとし
て、人線維肉腫由来HT−1080細胞を用いた。細胞
密度が3.0×105に個/mlになるように、HT−
1080細胞を5%ウシ胎児血清を含むD−MEM培地
(ニッスイ社製)(以下、通常培地という)を用いて調
製した。24穴プレートにウェルあたり0.2mlずつ
播種し、37℃、5%CO2雰囲気下でサブコンフルエ
ントになるまで培養を行った。培養後、それぞれのウェ
ルから通常培地を除去し、0.5mMクロマノール配糖
体含有の通常培地をウェル当たり0.2ml加えたもの
をクロマノール配糖体添加群、通常培地をウェル当たり
0.2ml加えたものをコントロール群とし、37℃、
5%CO2雰囲気下で16時間培養した。
【0062】培養後、培地を回収し、1000rpm、
10分間遠心分離し、上清を回収した。培養上清にSD
S電気泳動用サンプルバッファー(2−メルカプトエタ
ノールを含まない)を加え、0.08%ゼラチンを基質
タンパク質として加えて作製した10%ポリアクリルア
ミドゲルにアプライし、電気泳動装置(日本エイドー社
製)を用いてSDS−PAGEを行った。泳動後、ゲル
を2.5%トリトンX−100溶液中で1時間、室温で
振とうした。イオン交換水でゲルを洗浄した後、10m
Mトリス−HClバッファー(pH8.0)中で30分
間、室温で振とうした。ゼラチナーゼを活性化させるた
めに、活性化バッファー(50mMトリス、0.15N
aCl、10mMCaCl2、1μMZnCl2、pH
8.0)中で37℃、16時間インキュベーションし
た。
【0063】最終的にゲルをイオン交換水にて簡単に洗
浄した後、0.1%クーマシーブリリアントブルー(C
BB)R−250にてタンパク染色を行った。段階的に
脱色させることでゲル中の基質タンパク質は染色され、
サンプルに含まれるプロテアーゼによって分解された領
域は染色されず、透明なバンドとして検出された。この
透明な領域に分離されたプロテアーゼは、分子量約62
kDaに相当することから、ゼラチナーゼと推測され
る。この領域をスキャナーで取り込み画像処理を行い、
透明なバンドの面積をそれぞれの群において計測し、こ
れをゼラチナーゼ生産量として定量した。この結果によ
り、コントロール群のゼラチナーゼ生産量を100%と
した場合の、クロマノール配糖体添加群のゼラチナーゼ
相対生産率を算出したところ、65%であった。すなわ
ち本発明のクロマノール配糖体が35%ゼラチナーゼ生
産を抑制したことがわかった。
【0064】<実施例2:インビトロ癌細胞浸潤抑制実
験>本実施例におけるサンプルとして、人線維肉腫由来
HT−1080細胞を用いた。直径8μmの細孔のフィ
ルター付きカップ(ファルコン社製)に、PBSで20
倍に希釈したマトリゲル(Matrigel、ベクトン
・ディッキンソン社製)を0.1mlを加え、乾燥させ
てフィルター表面をコートした。ボイデンチャンバーの
下層に、600μmのRPMI1640培地(ニッスイ
社製)、0.1%牛血清アルブミン(和光純薬工業社
製)を添加し、チャンバー上層部(フィルター付きカッ
プ)には、クロマノール配糖体添加群には0.5μlク
ロマノール配糖体含有の無血清培地100μlを、コン
トロール群にはなにも加えていない無血清培地100μ
lを添加した。23℃で1時間保温した後、チャンバー
上層部に癌細胞懸濁液(2×106cells/ml)
を100μlを加え、チャンバー下層部には、ケモアト
ラクタントとしてフィブロネクチン(和光純薬工業社
製)を含む通常培地を入れた。5%CO2インキュベー
ターに移し、37℃で12時間培養後、フィルター上部
に残った細胞をふき取り、フィルター下部へ浸潤した細
胞数をニュートラルレッド法にて測定した。この結果よ
り、コントロール群を100%とした場合の、クロマノ
ール配糖体添加群の相対浸潤率を求めたところ、76%
であった。すなわち本発明のクロマノール配糖体は、2
4%浸潤を抑制したことがわかった。
【0065】従って、実施例1より明らかなように、ク
ロマノール配糖体によりゼラチナーゼ産生が強く抑制さ
れることがわかった。また実施例2より、クロマノール
配糖体により癌細胞の浸潤が強く抑制されることがわか
った。以上より、クロマノール配糖体はマトリックスメ
タロプロテアーゼ産生抑制剤として有用であることがわ
かった。
【0066】<急性毒性試験>本発明のマトリックスメ
タロプロテアーゼ産生抑制剤について急性毒性試験を行
い、その安全性を確認した。4〜5週令のICR系マウ
スを1群3匹として用い、クロマノール配糖体として上
記と同じTMGを5%アラビアゴム液に懸濁した後、T
MG換算で500mg/kgを経口投与して1週間観察
した。この際、対照群として5%アラビアゴム液を0.
3ml経口投与した。その結果、いずれの投与群におい
てもマウスの死亡例は認められなかった。
【0067】<製剤例1>TMG100g、乳糖800
gおよびトウモロコシデンプン100gをブレンダーで
混合して散剤を得た。
【0068】<製剤例2>TMG100g、乳糖450
gおよび低置換度ヒドロキシプロピルセルロース100
gを混合した後、10%ヒドロキシプロピルセルロース
水溶液350gを加えて混練した。これを押出し造粒機
を用いて造粒、乾燥して顆粒剤を得た。
【0069】<製剤例3>TMG100g、乳糖550
g、トウモロコシデンプン215g、結晶セルロース1
30gおよびステアリン酸マグネシウム5gをブレンダ
ーで混合した後、錠剤機で打錠して錠剤を得た。
【0070】<製剤例4>TMG10g、乳糖110
g、トウモロコシデンプン58gおよびステアリン酸マ
グネシウム2gをV型混合機を用いて混合した後、3号
カプセルに180mgずつ充填してカプセル剤を得た。
【0071】<製剤例5>TMG200mg、およびグ
ルコース100mgを精製水2mlに溶解した後、濾過
し、濾液を2mlアンプルに分注、封入した後滅菌して
注射剤を得た。
【0072】
【発明の効果】以上より、本発明のクロマノール配糖体
を投与することで、マトリックスメタロプロテアーゼ産
生の抑制、および癌細胞への浸潤が抑制されることがわ
かった。
【0073】また本発明のマトリックスメタロプロテア
ーゼ産生抑制剤は高い水溶性を有するクロマノール配糖
体を有効成分とするので、固形剤として用いるほか、有
効成分を高濃度で含有する水性製剤を容易に調製するこ
とができる。特に注射剤として患部に局所投与すること
ができ少用量で患部に効果的に作用し、マトリックスメ
タロプロテアーゼ過剰発現に起因する各種疾患、例えば
癌細胞の浸潤・転移、関節炎疾患(例えば、慢性関節性
リウマチ、骨関節症)、骨吸収疾患(例えば、骨粗鬆
症)、糖尿病に付随するコラーゲン崩壊の増大、動脈硬
化症、動脈瘤、肝硬変、肺繊維症、歯周病、角膜潰瘍、
皮膚の潰瘍、腫瘍浸潤・転移、および異所性脈管形成な
どの様々な病態を治療することができる。またいずれに
関しても副作用を伴わないので、極めて安全に使用する
ことができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1) 【化1】 (ただし、式中、R1、R2、R3およびR4は同一または
    異なる水素原子または低級アルキル基を表し、R5 は水
    素原子、低級アルキル基または低級アシル基を表し、X
    は糖残基中の水酸基の水素原子が低級アルキル基または
    低級アシル基で置換されていてもよい単糖残基またはオ
    リゴ糖残基を表し、nは0〜6の整数であり、およびm
    は1〜6の整数である)で表されるクロマノール配糖体
    を有効成分とするマトリックスメタロプロテアーゼ産生
    抑制剤。
  2. 【請求項2】 前記クロマノール配糖体は2−(α−D
    −グルコピラノシル)メチル−2,5,7,8−テトラ
    メチルクロマン−6−オールである請求項1記載のマト
    リックスメタロプロテアーゼ産生抑制剤。
  3. 【請求項3】 水性製剤である請求項1または2に記載
    のマトリックスメタロプロテアーゼ産生抑制剤。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか一項に記載のマ
    トリックスメタロプロテアーゼ産生抑制剤を有効成分と
    する癌細胞転移抑制剤。
JP2000073790A 2000-03-16 2000-03-16 マトリックスメタロプロテアーゼ産生抑制剤 Withdrawn JP2001261563A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000073790A JP2001261563A (ja) 2000-03-16 2000-03-16 マトリックスメタロプロテアーゼ産生抑制剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000073790A JP2001261563A (ja) 2000-03-16 2000-03-16 マトリックスメタロプロテアーゼ産生抑制剤

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001261563A true JP2001261563A (ja) 2001-09-26

Family

ID=18591974

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000073790A Withdrawn JP2001261563A (ja) 2000-03-16 2000-03-16 マトリックスメタロプロテアーゼ産生抑制剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001261563A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1488796A1 (en) * 2002-03-26 2004-12-22 Tsutomu Kagiya Ameliorant for chemical treatment of cancer
JP2006143661A (ja) * 2004-11-19 2006-06-08 Nippon Menaade Keshohin Kk NFκB阻害剤
KR101016595B1 (ko) 2002-07-31 2011-02-22 센주 세이야꾸 가부시키가이샤 수성액제 및 광안정화된 수성액제

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1488796A1 (en) * 2002-03-26 2004-12-22 Tsutomu Kagiya Ameliorant for chemical treatment of cancer
JPWO2003080075A1 (ja) * 2002-03-26 2005-07-21 勤 鍵谷 癌化学治療改善剤
EP1488796A4 (en) * 2002-03-26 2008-02-13 Tsutomu Kagiya MEANS FOR CHEMICAL CANCER TREATMENT
US7462601B2 (en) * 2002-03-26 2008-12-09 Tsutomu Kagiya Ameliorant for chemical treatment of cancer
JP4509574B2 (ja) * 2002-03-26 2010-07-21 勤 鍵谷 癌化学治療改善剤
KR101016595B1 (ko) 2002-07-31 2011-02-22 센주 세이야꾸 가부시키가이샤 수성액제 및 광안정화된 수성액제
JP2006143661A (ja) * 2004-11-19 2006-06-08 Nippon Menaade Keshohin Kk NFκB阻害剤

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4813652B2 (ja) マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤
US8288139B2 (en) Sulfotransferase inhibitors
KR100467470B1 (ko) 염증성 장질환 예방 및 치료제
CA2307850A1 (en) Use of macrolides for the treatment of cancer and macular degeneration
JP2001261563A (ja) マトリックスメタロプロテアーゼ産生抑制剤
JP2000159676A (ja) 血管障害性脳浮腫予防および治療剤
JP2001233775A (ja) 涙液分泌促進剤
JP2000154154A (ja) 全身性炎症反応症候群予防および治療剤
KR100560002B1 (ko) 허혈 재관류 장해 예방 및 치료제
JP2001233774A (ja) 角膜損傷治療剤
JP2002128679A (ja) 赤血球変形能改善剤
JP2002234823A (ja) クロマノール配糖体を含む発毛剤および育毛剤
JP2005312464A (ja) 配糖体及び糖転移生成物の製造法
JP3631510B2 (ja) 細菌バイオフィルム形成阻害剤
JPH11343241A (ja) 眼疾患予防および治療剤
JP7454980B2 (ja) コラゲナーゼ活性阻害剤
JP3637088B2 (ja) ヘテロオリゴ糖3糖類の製造方法
EP1151753B1 (en) Preventive and therapeutic agents for arteriosclerosis
JPH0698016B2 (ja) マリトオリゴ糖―配糖体化合物の製造方法
Knott et al. Glucose-dependent decreased DNA synthesis in bovine retinal endothelial cells is mediated by protein kinase C iota
JP3826426B2 (ja) 2−クロロ−4−ニトロフェニル 4−O−β−D−ガラクトピラノシル−α−マルトシドの製造方法
WO2003080075A1 (fr) Ameliorant pour le traitement chimique du cancer
JPH09313196A (ja) 固定化酵素による配糖体の製造方法
JPH11222474A (ja) 糖尿病治療薬
JP2004292416A (ja) アレルギー性疾患予防および治療剤

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20070605