JP2001261506A - 水系における微生物の抑制方法 - Google Patents

水系における微生物の抑制方法

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JP2001261506A
JP2001261506A JP2000074160A JP2000074160A JP2001261506A JP 2001261506 A JP2001261506 A JP 2001261506A JP 2000074160 A JP2000074160 A JP 2000074160A JP 2000074160 A JP2000074160 A JP 2000074160A JP 2001261506 A JP2001261506 A JP 2001261506A
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Yasuhiro Nobata
靖浩 野畑
Takuya Nakai
卓也 中井
Yoshinori Murata
義典 村田
Etsuko Kimura
悦子 木村
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Hakuto Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水系中の細菌、真菌、藻類、原生動物に対し
てはもちろん、鉄細菌に対してもその生育を抑制し、水
系内に発生するスライム問題を効率よく解決できる方法
を提供する。 【解決手段】 4,5−ジクロル−1,2−ジチオール
−3−オンと、水中で次亜塩素酸あるいは次亜臭素酸を
発生する化合物の1種以上とを同時に作用させることを
特徴とする水系における微生物の抑制方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、工業用水系におけ
る微生物を死滅あるいは生育を抑制する方法であり、特
に工業用冷却水系、製紙工程水系等工業用水系において
の微生物障害を抑制する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】工業用水は冷却水、工程水、洗浄水、温
調用水など広く用いられており、これらの用途では微生
物に由来する障害が頻繁に発生する。特に微生物が分泌
した粘性物質が水中の土砂、鉄錆、その他の有機物等と
混合し、壁面および水中の固体表面に付着し、さらに塊
となってスライムと呼ばれる泥状物を生成し、工場の運
転上多くの障害を招くことになる。
【0003】冷却水系においては用水の不足を補い、か
つ用水コストを低減するために、水の循環再利用が盛ん
になってきた。この場合、冷水塔で水の一部を蒸発させ
て冷却していくため水が濃縮され、同時に水中に含まれ
る栄養物質や汚濁物質も濃縮され、微生物の繁殖がより
活発となることからスライムの形成はより増大すること
となる。スライムが配管内壁やストレーナーに付着する
と水の流れが悪くなり、ひどい場合には配管閉塞を生
じ、さらにスライムが付着した金属表面に孔食を促進す
ることがあり、また熱交換器の伝熱面では熱の移動を妨
たげるなど多くの弊害をもたらす。
【0004】また製紙工程においては、最近では工業用
水の確保が困難になり、環境上の問題もあって、大量の
排水を放流できなくなってきている。そのため工程水の
循環再使用化が進んでいる。このように用水の再使用を
行なうと、循環する用水中の溶解物、パルプ、でんぷ
ん、タルクなどの浮遊物が濃縮され微生物の生育を促す
と共に、浮遊物の堆積によりスライムが非常に発生しや
すくなっている。さらに近年、上質紙、塗工原紙の普及
や、紙の長寿命化の要求が高まったことから従来の酸性
条件での抄紙から中性条件での抄紙が多くなってきた。
一方、製紙工程水系に腐食が発生すると、生成した鉄塩
は酸性条件では水に溶解していたが中性〜アルカリ性に
なると溶解せず赤色の水酸化鉄となって析出する。鉄細
菌は、腐食を促進するだけでなく、形成したスライム内
に不溶性の水酸化鉄を取り込むことから赤味を帯びたス
ライムとなり、これは製品である紙の上に着色、斑点、
目玉等を生じ、製品価値を著しく低下させることとな
る。
【0005】スライム対策として、各種の殺微生物剤を
用いて、微生物の生育を抑制あるいは死滅させる方法が
一般に行われている。
【0006】従来の殺微生物剤は、微生物を死滅させる
ことを目的として、微生物を滅菌水などに分散させそこ
に殺微生物剤を添加して濁度の変化やコロニーカウント
法などで微生物の死滅度合いを指標にして開発されてき
た。しかし、自然界にいる鉄細菌をはじめとした多くの
微生物は、粘質物(細胞外多糖類)を分泌し、さらに水
中の土砂、鉄錆、パルプ、その他有機物等を混合したス
ライムを作りその中に生息している。このような微生物
は、粘質物によって保護され、殺微生物剤が十分に効果
を示さない。ところが粘質物に被われている微生物ほど
壁面など固体界面に付着しスライムを作り易いので、こ
のような微生物に効果を示さなければ殺微生物剤として
不充分である。
【0007】従来の殺微生物剤はスライムを形成する微
生物に対しての処理剤としての観点より開発されていな
いため、目的とする水系中の微生物数が減少しても依然
スライムが発生するという矛盾が多々生じていた。
【0008】鉄細菌は、簡単に検出・培養する方法がな
かったばかりか、ある種の鉄細菌については分離が困難
であること〔バージニー マニュアル オブ システィ
マティック バクテリオォジー(Bergey Man
ual of Systematic Bacteri
ology) 13巻 2001頁参照〕から、これま
での培養方法は全ての鉄細菌に適用できないのが実状で
ある〔豊田 環値吉著「工業用水とその水質管理」昭晃
堂刊 312頁参照〕。すなわちこれまでの殺微生物剤
は培養法によって確認できる微生物だけに注目して開発
されてきたので、鉄細菌に対しての効果は全く考慮され
ておらず、鉄細菌は生き残りスライム対策が満足に出来
ない原因ともなっていた。そこでスライムを満足のいく
程に抑制しようと、多量の殺微生物剤を加えることがし
ばしば行われてきた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】このように、これ迄に
提案された殺微生物剤は、スライムを形成している微生
物、とりわけ粘質物に被われた微生物、鉄細菌に対する
殺微生物効果が無視されており、スライムを形成してい
る微生物全てに対して効果を有するものではなかった。
そこで本発明は、粘質物に被われていない微生物に対し
てはもちろん、鉄細菌を含めた粘質物に被われた微生物
に対してもその生育を抑制する方法を提供することにあ
る。
【0010】
【課題を解決する手段】本発明者らは、工業用水系での
スライム防止をはかるため、細菌類、真菌、藻類、原生
動物はもちろん、鉄細菌等の粘質物で被われた微生物に
対しても効果が高く、しかも少量で効果を得る殺菌方法
を鋭意研究を重ねた結果、4,5−ジクロル−1,2−
ジチオール−3−オンと次亜塩素酸および/あるいは次
亜臭素酸を同時に作用させることによって、その目的を
達成できることを見いだし本発明をなすに至った。
【0011】すなわち、本発明請求項1は、4,5−ジ
クロル−1,2−ジチオール−3−オンと、水中で次亜
塩素酸あるいは次亜臭素酸を発生する化合物の1種以上
とを同時に作用させることを特徴とする水系における微
生物の抑制方法であり、請求項2は、水中で次亜塩素酸
あるいは次亜臭素酸を発生する化合物が、塩素、二酸化
塩素、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、
臭素、次亜臭素酸ナトリウム、次亜臭素酸カルシウム、
ブロムクロルジメチルヒダントイン、ジブロムジメチル
ヒダントイン、ジクロルジメチルヒダントインから選ば
れる一種以上である請求項1記載の水系における微生物
の抑制方法であり、請求項3は、微生物が鉄細菌である
請求項1記載の水系における微生物の抑制方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を説明す
る。
【0013】本発明における(A)成分は、4,5−ジ
クロル−1,2−ジチオール−3−オン〔以下「A成分
化合物」と略す〕である。
【0014】本発明における(B)成分は、水中で次亜
塩素酸および/あるいは次亜臭素酸を発生する化合物
〔以下「B成分化合物」と略す〕、すなわち水中にて次
亜塩素酸(HOCl)、次亜臭素酸(HOBr)、次亜
塩素酸イオン(OCl−)、次亜臭素酸イオン(OBr
−)のような有効ハロゲン(塩素、臭素)を発生させる
ものである。B成分化合物の例を挙げると、塩素ガス、
臭素ガス、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウ
ム、次亜臭素酸ナトリウム、次亜臭素酸カルシウム、二
酸化塩素、ブロムクロルジメチルヒダントイン、ジブロ
ムジメチルヒダントイン、ジクロルジメチルヒダントイ
ン、塩化イソシアヌール酸、ジ塩化イソシアヌール酸、
トリ塩化イソシアヌール酸、臭素化イソシアヌール酸、
ジ臭素イソシアヌール酸、トリ臭素イソシアヌール酸が
挙げられ、好ましくは次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素
酸カルシウム、二酸化塩素、ブロムクロルジメチルヒダ
ントイン、ジブロムジメチルヒダントイン、ジクロルジ
メチルヒダントインである。これらを2種以上混合して
用いることもなんら差し支えない。
【0015】A成分化合物とB成分化合物の添加方法は
特に限定するものではなく、粉体で対象とする水系に加
えてもよく、また水溶液にして加えることも可能であ
る。B成分化合物に属するものでは気体で添加するのが
便利なものもある。
【0016】A成分化合物とB成分化合物はそれぞれ別
々に添加しても、また混合して添加してもよい。しかし
実用上は、A成分化合物を水、あるいは一部有機溶剤を
含んだ水に適切な濃度に溶解し、これにB成分化合物を
加え混合し、しかる後対象とする水系に投入するのがよ
い。このとき、A成分化合物の溶液にB成分化合物を加
え、軽く攪拌しつつ好ましくは1〜30分、さらに好ま
しくは2〜10分間保持してから水系に添加するのがよ
い。予め調製する際の溶液の濃度は特に制約されない
が、一般的にはA成分化合物とB成分化合物の合計で
0.01〜10重量%である。
【0017】添加量は、対象とする水系の水質、温度、
その他運転条件、水中の微生物の種類やその生存数、さ
らにB成分化合物の種類などにより異なり、またこれら
の添加頻度などにより異なるので一律に決められるもの
ではないが、一般的にはA成分化合物は、保有水量に対
して0.01〜100mg/L、好ましくは0.1〜1
0mg/Lであり、B成分化合物は、水溶液中における有
効ハロゲン(塩素、臭素)で0.1〜1mg/L、好まし
くは0.2〜0.5mg/Lである。実際的には、水中
の微生物数、スライム発生状況を観察し、それに見合っ
た添加量、添加頻度を決定するのが好ましい。
【0018】本発明の方法においては、本発明の効果を
妨げない範囲において、他の殺微生物剤、スライム分散
剤、腐食防止剤、スケール防止剤などを加えることには
何ら制限を加えるものではない。
【0019】本発明において、A成分化合物の殺微生物
作用は酵素阻害作用であり、B成分化合物のそれは細胞
膜の変成作用であり、それぞれ異なった作用をもってい
る。このため、A成分化合物とB成分化合物を併用する
ことにより、粘質物で被われた微生物に対して相乗的に
顕著な殺微生物作用を示し、固体表面や水中にて塊とな
ったスライムを劇的に抑制することが可能となった。
【0020】本発明方法により、粘質物に被われていな
い微生物に対してはもちろん、鉄細菌を含めた粘質物に
被われた微生物に対してもその生育を抑制することがで
きる。
【0021】鉄細菌は微生物の中では非常に特異な呼吸
代謝系をもち、例えばシスティン鉄錯体は一般の微生物
に対しては栄養源となるが、鉄細菌に対しては呼吸阻害
を起こすことが知られている〔風間 ふたば:第18回
水質汚濁学会講演集 24(1984)〕。
【0022】本発明方法のA成分化合物や、B成分化合
物はそれぞれ単独でもそれなりの殺微生物作用をもって
いることはよく知られている。このときB成分化合物を
その有効ハロゲン(塩素、臭素)だけで鉄細菌を死滅さ
せる程の量がなくとも、一時的に呼吸活性阻害が生じ、
そこにA成分化合物が作用することにより低濃度で大き
な効果を示すのである。すなわちA成分化合物とB成分
化合物を同時に作用させることにより、微量で鉄細菌独
特の呼吸酵素系が阻害され、顕著な殺微生物作用を示す
ようになったものと考えられる。
【0023】鉄細菌の検出については、本発明者らは、
鉄細菌が2価の酸化鉄を3価の酸化鉄に酸化する能力が
あり、この酸化反応の起こる系にテトラゾリウム塩を共
存させるとテトラゾリウム塩が還元されホルマザンを生
成することを利用して検出できることを見出した。
【0024】この検出方法を実施するにあたり、系内に
他の栄養源が存在すると鉄細菌以外の微生物がその栄養
源を資化しテトラゾリウム塩からホルマザンを生成する
ことがあるので、実施前に微生物細菌を洗浄し、さらに
該微生物体内に蓄積されている基質も枯渇化させ、一種
の飢餓状態にする必要がある。ホルマザンは発色し、あ
るいは紫外線で蛍光を発するので、顕微鏡や蛍光顕微鏡
で見ることにより鉄細菌の存在が確認され、また生菌数
を計測することもできる。
【0025】検出に用いられるテトラゾリウム塩は、2
−(4−ヨードフェニル)−3−(4−ニトロフェニル)−
5−フェニル テトラゾリウムクロライド (INT)、
3−(4,5−ジメチル−2−チアゾリル)−2,5
−ジフェニル−2Hテトラゾリウム ブロマイド(XT
T)、2,3,5−トリフェニルテトラゾリウムクロラ
イド(TTC)、5−シアノ−2,3−ジトリル テト
ラゾリウム クロライド(CTC)がある。
【0026】
【実施例】以下に実施例によって本発明を説明するが、
本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0027】[A成分化合物] DDO : 4,5−ジクロル−1,2−ジチオール
−3−オン〔吉富製薬(株)製〕
【0028】[B成分化合物] NaOCl: 次亜塩素酸ナトリウム 〔関東化学社製
試薬〕 BCDMH: ブロムクロルジメチルヒダントイン 〔バ
イオラボ社製〕 DBDMH: ジブロムジメチルヒダントイン 〔バイオ
ラボ社製〕
【0029】[比較に用いた殺微生物剤] MBTC : メチレンビスチオシアネート〔アルブラ
イト&ウイルソン社製〕 CMT : 5−クロル−2−メチル−4−イソチア
ゾロン−3−オン〔ローム アンド ハース社製〕 BIT : 1,2-ベンズイソチアゾロン−3−オン
〔吉富製薬(株)製〕
【0030】[試験に用いた微生物] (1)鉄細菌(菌体が粘質物で被われている) スフェロチルス ナタンス (Sphaerotilus natans :IFO−13543) レプトスリックス ディスコホラ (Leptothrix discophora ATCC−43182)
【0031】(2)細菌 (2−1) 粘質物で被われている細菌 アルカリゲネス レイタス B−l6 (Alcallgenes latus B−16:FERM BP−20
15) キサントモナス カンペストリス (Xanthmonas campestris:IFO−13551) (2−2) 粘質物で被われていない細菌 シュードモナス エルギノーサ (Pseudomonas aeruginosa :IFO−12689) エッセレシア コリ (Escherechia coli :IAM−12119)
【0032】(3)カビ (3−1) 粘質物で被われているカビ ペニシリウム ルティウム (Penicillium luteum : IFO−9644) (3−2) 粘質物で被われていないカビ トリコデルマ ピリデ (Trichoderma viride :IFO−5720)
【0033】(4)酵母 (4−1) 粘質物で被われている酵母 クリプトコッカス アルビデュス (Criptococcus albidus : IFO−1044) (4−2) 粘質物で被われていない酵母 サッカロミセス セルビシエ (Saccharomyces cerevlslae :IAM−l274)
【0034】(5)藻類 (5−1)粘質物で被われている藻類 ディクティオスフェリウム プルケリウム (Dictyosphaerium pulchellum :NIES−453) (5−2)粘質物で被われていない藻類 オサイラトリア アガーディ (Oscillatoria agardhii:NIES−204)
【0035】[試験に用いた試薬] ・ 2−(4−ヨードフェニル)−3−(4−ニトロフェ
ニル)−5−フェニルテトラゾリウムクロライド(IN
T)〔同人化学(株)製、特級試薬〕 ・ イーストエキストラクト〔極東製薬工業(株)製、
試薬〕 ・ ペプトン〔極東製薬工業(株)製,試薬〕 ・ その他、ホルマリン、グルコース、硫酸アンモニウ
ム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム・7水和物、塩化
カルシウム・2水和物、リン酸1水素2カリウム、硫酸
1水素2カリウム、硫酸2水素1カリウム、クエン酸鉄
アンモニウム、酢酸アンモニウム、酢酸ナトリウム、炭
酸マンガン、硫酸第2鉄・7水和物、塩化マンガン・4
水和物、硫酸亜鉛・7水和物、硫酸銅・5水和物、モリ
ブデン、寒天は、関東化学(株)社製試薬を用いた。
【0036】[鉄細菌の検出方法]試料水10mLを遠
心分離し(10000rpm、10分)した後、滅菌水に
て3回洗浄し、50mM−リン酸バッファーに懸濁して
1時間振とうした。再度遠心分離を行い、10mM−リ
ン酸バッファーに再懸濁した。その溶液4mLに硫酸第
一鉄水溶液(500mg/L)を1mL添加し、28℃
にて3時間静置しサンプル液とした。サンプル液 47
4.5μLに、INT水溶液(19.7mM) 25.
5μLを添加し、40分反応させた後、ホルマリンを最
終濃度1%となるよう添加したものを10μLとり、プレ
パラートを作成して顕微鏡観察を行った。位相差顕微鏡
により赤色に染まったものを鉄細菌の生菌数とした。鉄
細菌は、10視野以上、合計400個以上細菌を数え、
その平均を求めた。鉄細菌の菌数は、以下の数式より求
めた。 Y=[X/{(15.36/A)×10}]×(500/47
4.5)×(5/4)×484×1000=4150.
476×A×X Y:鉄細菌菌数(個/mL) A:使用した対物レンズの倍率(倍率) X:平均した生菌数(個) 使用したカバーグラス面積=484mm2 カウントした視野面積=15.36mm2/倍率
【0037】〔実施例1〕(細菌類に対する効果) 鉄細菌(菌体が粘質物で被われている菌株)〔スフェロ
チルス ナタンス、レプトスリックス ディスコホラ〕、
菌体が粘質物で被われている細菌〔アルカリゲネス レ
イタス B−l6、キサントモナス カンペストリ
ス〕、菌体が粘質物で被われていない細菌〔シュードモ
ナス エルギノーサ、エッセレシア コリ〕のそれぞれを
下記に示した組成の平板培地にて対数増殖期になるよう
に25℃にて1〜2日間培養を行なった。
【0038】 鉄細菌・スフェロチルス ナタンスを培養した平板培地 ペプトン 5 mg 硫酸アンモニウム 1.5 g 塩化カリウム 50 mg りん酸1水素2カリウム 50 mg 硫酸マグネシウム・7水 50 mg 塩化カルシウム・2水 10 mg クエン酸鉄アンモニウム 500 mg 寒天 18 g / 蒸留水 1L pH:6.5
【0039】 鉄細菌・レプトスリックス ディスコホラを培養した平板培地 グルコース 166 mg ペプトン 72 mg 酢酸アンモニウム 24 mg 酢酸ナトリウム 36 mg 硫酸2水素1カリウム 36 mg 硫酸1水素2カリウム 68 mg 硫酸マグネシウム・7水 2 mg 塩化カルシウム・2水 2 mg 炭酸マンガン 0.5 mg クエン酸鉄アンモニウム 0.1 mg 寒天 18 g / 蒸留水 1L pH:6.5
【0040】 その他細菌を培養した平板培地 グルコース 1.0 g ペプトン 5.0 g イーストエキストラクト 2.5 g 寒天 18 g / 蒸留水 1L pH:6.8
【0041】滅菌水100mL中に対数増殖期にあるそ
れぞれの菌株をl白金耳入れ、殺微生物剤を所定量添加
し、30℃にて30分間振盪した後、菌数測定を行なっ
た。鉄細菌は前述した方法で、その他の細菌はコロニー
カウント法にて菌数測定を行った。
【0042】殺微生物剤添加前後の菌数測定値を、鉄細
菌に対しての結果を表1に、その他細菌に対しての結果
を表2に示した。尚、表中の添加量は、A成分化合物は
重量換算量、B成分化合物は有効ハロゲン(塩素、臭
素)量を示している。又、A成分化合物とB成分化合物
を組み合せるとき両者を混合してから5分経過してから
添加した。
【表1】
【表2】
【0043】A成分化合物を20mg/L、あるいはB
成分化合物を2.0mg/L(有効ハロゲン量)をそれ
ぞれ30分間接触させたとき、菌体が粘質物で被われて
いない細菌は殆ど死滅するが、鉄細菌や粘質物で被われ
ている細菌は殆ど死滅しなかった。一方、A成分化合物
5mg/LとB成分化合物0.2mg/L(有効ハロゲ
ン量)を組み合わせて適用することにより、粘質物で被
われていない細菌に対しては相乗効果が見られ、鉄細菌
や粘質物で被われている細菌に対しても劇的な殺微生物
効果を示し、本発明の有効性が確認された。
【0044】〔実施例2〕(カビ類に対する効果) 粘質物で被われているカビ〔ペニシリウム ルティウ
ム〕、粘質物で被われていないカビ〔トリコデルマ ピ
リデ〕のそれぞれを、麦芽エキスブイヨン〔OXOID
社製〕にて液体培養を行なった。培養液をホモジナイザ
ーにて攪拌し菌糸を切断分散させた後、該培養液をグラ
スウールを緩く詰めたロートで濾過し、短い菌糸のみを
濾液中に集め、濾液を遠心分離して短菌糸を沈殿物とし
て回収した。回収した短菌糸を滅菌水100mLに入れ
よく振り混ぜ懸濁液を作った。該懸濁液に殺微生物剤を
添加して、30℃にて30分間振盪した後、コロニーカ
ウン卜法にて菌数を測定した。
【0045】結果を表3に示した。尚、表中のA成分化
合物の添加量は重量換算であり、B成分化合物の添加量
は有効ハロゲン(塩素、臭素)濃度を示している。
【表3】
【0046】A成分化合物を20mg/L、あるいはB
成分化合物を有効ハロゲン濃度で2.0mg/L添加
し、30分間接触することで、粘質物で被われていない
カビは殆ど死滅したが、粘質物に被われているカビ菌株
は死滅しなかった。一方、A成分化合物2mg/LとB
成分化合物を有効ハロゲン濃度で 0.2mg/Lを組
み合せて適用することにより、粘質物で被われていない
カビに対しては相乗効果が見られ、粘質物に被われてい
るカビに対しても劇的な殺微生物効果を示した。これに
よりA成分化合物とB成分化合物を組み合わせ用いるこ
とにより粘質物に被われているカビを殆ど死滅させるこ
とが出来、本発明の有効性が確認された。
【0047】〔実施例3〕(酵母類に対する効果) 粘質物で被われている酵母〔クリプトコッカス アルビ
デュス〕、粘質物で被われていない酵母〔サッカロミセ
ス セルビシエ〕のそれぞれを、PDAプレート〔田辺
製薬(株)製〕にて培養し対数増殖期に調整した後、その
l白金耳を滅菌水100mL に入れよく振り混ぜ、菌
懸濁液を作った。該懸濁液に殺微生物剤を添加して、3
0℃にて30分間振盪した後、コロニーカウン卜法にて
菌数を測定した。
【0048】結果を表4に示した。尚、表中のA成分化
合物の添加量は重量換算であり、B成分化合物の添加量
は有効ハロゲン(塩素、臭素)濃度を示している。
【表4】
【0049】A成分化合物を20mg/L、あるいはB
成分化合物を有効ハロゲン濃度で2.0mg/L添加
し、30分間接触することで、粘質物で被われていない
酵母は殆ど死滅したが、粘質物に被われている酵母菌株
はほとんど死滅しなかった。一方、A成分化合物2mg
/LとB成分化合物を有効ハロゲン濃度で 0.2mg
/Lを組み合せて適用することにより、粘質物で被われ
ていない酵母に対しては相乗効果が見られ、粘質物に被
われている酵母に対しても劇的な殺微生物効果を示し
た。これによりA成分化合物とB成分化合物を組み合わ
せ用いることにより粘質物に被われている酵母菌を殆ど
死滅させることが出来、本発明の有効性が確認された。
【0050】〔実施例4〕(藻類に対する効果) 藻類の培地にて10日以上培養し、十分に定常状態とな
った、粘質物に被われている藻類〔ディクティオスフェ
リウム プルケリウム〕と粘質物に被われていない藻類
〔オサイラトリア アガーディ〕のそれぞれを、下記組
成の培地100mlに1mlずつ入れ、20℃、200
0ルックスにて10日間、100rpm回転振盪して前
培養を行なった。
【0051】 藻類を培養した培地 硝酸カリウム 1.25g りん酸1水素2カリウム 1.25g 硫酸マグネシウム・7水和物 1.25g 硫酸第2鉄・7水和物 0.02g 塩化マンガン ・4水和物 1.81mg 硫酸亜鉛・7水和物 0.22mg 硫酸銅・5水和物 0.08mg モリブデン 0.021mg / 蒸留水1L:pH6.0
【0052】前培養液1mLを新たな藻類培地100m
L中に入れ、殺微生物剤溶液を添加し振盪しながら20
℃にて30分間保った。30分後、1重量%亜硫酸ナト
リウム水溶液を1mL添加し殺微生物剤を失活させた。
そのまま10日間培養を行なった後目視にて藻類の増殖
を観察した。殺藻されていない場合には10日経つと藻
類が再び生育し培養液が緑色に着色するが、完全に殺藻
された場合は生育せず着色がない。
【0053】結果を表5に示した。表中のA成分化合物
の添加量は重量換算であり、B成分化合物の添加量は有
効ハロゲン(塩素、臭素)濃度を示している。又、A成
分化合物とB成分化合物を組み合せるとき両者を混合し
てから5分経過してから添加した。
【表5】
【0054】B成分化合物は藻類に対して単独では殆ど
殺藻効果を示さなかったが、A成分化合物は20mg/
L、30分間の接触で粘質物に被われていない一般的な
藻類には若干の効果を示したが、 粘質物で被われてい
る藻類には効果は無かった。本発明のA成分の殺微生物
剤2mg/Lと、B成分の殺微生物剤NaOCl0.2
mg/L(有効ハロゲン量)を併用することにより、粘
質物に被われていない一般藻類に対しても相乗効果が見
られたが、粘質物で被われている藻類に対しては劇的な
殺微生物効果を示した。これによりA成分の殺微生物剤
とB成分の殺微生物剤とを併用をすることによりスライ
ム性かびおよび酵母を殆ど死滅させることが出来、本発
明の有効性が確認された。
【0055】〔実施例5〕(原生動物に対する効果) 総合下水処理場のばっ気槽の水を採取し、その0.1m
Lをホールスライドガラスの上に滴下し、顕微鏡下にて
原生動物であるアズピデスカ(Aspidisca sp.) 、ボア
チセラ(Vorticella sp)が生息、活動して
いることを確認した。そこにA成分の殺微生物剤50m
g/LとB成分の次亜塩素酸ナトリウムを5.0mg/
L(有効ハロゲン量)よりなる水溶液0.01mLを滴
下した。30分後に顕微鏡下にて観察したところ、活動
が停止しており、本発明のA成分の殺微生物剤とB成分
の殺微生物剤とを併用をすることにより原生動物を死滅
させることが出来、本発明の有効性が確認された。
【0056】
【発明の効果】本発明の方法により、粘質物で被われて
いない微生物はもちろん、粘質物で被われている微生物
に対しても殺微生物効果を示し、少ない殺微生物剤量で
大きな殺微生物力を発揮させることができ、各種産業の
冷却水系、紙パルプ工業などの工程水系におけるスライ
ム問題を効率よく解決することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木村 悦子 三重県四日市市別名6−6−9 伯東株式 会社四日市研究所内 Fターム(参考) 4H011 AA02 AA03 AA05 BA06 BB05 BB09 BB18 DA13 DD01 DE14 DF04

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)4,5−ジクロル−1,2−ジチ
    オール−3−オンと、(B)水中で次亜塩素酸あるいは
    次亜臭素酸を発生する化合物の1種以上とを同時に作用
    させることを特徴とする水系における微生物の抑制方
    法。
  2. 【請求項2】 水中で次亜塩素酸あるいは次亜臭素酸を
    発生する化合物が、塩素、二酸化塩素、次亜塩素酸ナト
    リウム、次亜塩素酸カルシウム、臭素、次亜臭素酸ナト
    リウム、次亜臭素酸カルシウム、ブロムクロルジメチル
    ヒダントイン、ジブロムジメチルヒダントイン、ジクロ
    ルジメチルヒダントインから選ばれる一種以上である請
    求項1記載の水系における微生物の抑制方法。
  3. 【請求項3】 微生物が鉄細菌である請求項1記載の水
    系における微生物の抑制方法。
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