JP2001259399A - 回転機器の回転体着脱方法 - Google Patents

回転機器の回転体着脱方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 回転体とケーシングのクリアランスが小さい
回転機器でも、回転体の着脱時に両者が接触する恐れの
ない回転体着脱方法を提供することである。 【解決手段】 回転体6をケーシング5と着脱する際
に、回転体6の一端側に、ケーシング5内面と回転体6
との間にクリアランスを保持するガイド部材18を取り
付け、このガイド部材18を取り付けた側と反対側を手
元側として、回転体6とケーシング5とを水平方向に相
対移動させることにより、回転体6とケーシング5のク
リアランスが小さい回転機器でも、両者の接触を完全に
防止して、回転機器に疵を付けることなく回転体6を着
脱できるようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ケーシング内に
水平軸の回りに回転する回転体が収納された横型の回転
機器の回転体着脱方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ケーシング内に水平軸の回りに回転する
回転体が収納された横型の回転機器は、混練機、押出
機、粉砕機、攪拌機能を有する乾燥機等に採用されてい
る。これらの回転機器の回転体は水平方向にケーシング
と着脱されるものが多く、回転体またはケーシングを水
平方向に移動して、両者を着脱している。回転体を移動
させる方法では、回転駆動装置ごと移動させる場合と、
回転駆動装置を切り離して回転体のみを移動させる場合
とがある。
【0003】この回転体の着脱に際しては、ケーシング
と回転体との相対移動時に、両者が接触して疵が付かな
いようにする必要があり、特に両者間のクリアランスが
小さい混練機や押出機では、着脱時の移動を高精度に行
うことが要求されている。
【0004】例えば、実開昭62−170134号公報
には、混練機の回転体の着脱方法が開示されている。こ
の混練機は、図11および図12に示すように、ベース
51上に固定された支持ハウジング52に水平に支持さ
れた回転体53と、ベース51上で水平移動可能に設置
されたケーシング54とから成り、ケーシング54に設
けられた支持脚54aの外側面がベース51上に敷設さ
れた案内レール55に摺接され、各支持脚54aの先端
部内側に取り付けられた転動輪56を転動させて、ケー
シング54を案内レール55に沿って移動させる構成に
なっている。
【0005】図13に示すように、ベース51の上面に
は、各転動輪56を落とし込ませて、ケーシング54を
回転体53の収納位置に係止する凹部57が設けられて
いる。ケーシング54をこの収納位置から移動させると
きは、回転体53と支持ハウジング52との連結を解除
したのち、ケーシング54を少し持ち上げて、各転動輪
56を凹部57からベース51上に乗り上げさせる。各
転動輪56の凹部57への落とし込み量δは、回転体5
3とケーシング54内面とのクリアランス以下に設定さ
れており、ケーシング54移動時に両者が接触しないよ
うになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の回転機
器の回転体着脱方法は、ケーシングを回転体の収納位置
に安定して係止するために、ケーシング移動用の転動輪
を凹部に落とし込むようにしているので、その落とし込
み量δだけ、回転体とケーシングのクリアランスの余裕
代が上下方向で狭くなる問題がある。また、ケーシング
をスムーズに移動させるためには、案内レールとケーシ
ング支持脚の外側面との間に隙間が必要であり、この隙
間の分だけ左右方向でもクリアランスの余裕代が狭くな
る。このため、混練機や押出機等のように、回転体とケ
ーシングのクリアランスが小さい回転機器に採用する場
合は、これらの回転機器の設計が非常に難しくなる。
【0007】さらに、回転体とケーシングのクリアラン
スは、ベースおよび案内レールの加工や据え付け精度に
も影響され、これらの精度を向上させてクリアランスの
変動を少なくするためには、回転機器の製造コストが高
くなる問題もある。
【0008】そこで、この発明の課題は、回転体とケー
シングのクリアランスが小さい回転機器でも、回転体の
着脱時に両者が接触する恐れのない回転体着脱方法を提
供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、この発明は、回転機器のケーシング内に収納され
る水平軸の回りに回転する回転体を、水平方向にケーシ
ングと着脱する回転機器の回転体着脱方法において、前
記回転体の一端側に、前記ケーシング内面と回転体との
間にクリアランスを保持するガイド部材を取り付け、こ
のガイド部材を取り付けた側と反対側を手元側として、
前記回転体とケーシングとを水平方向に相対移動し、回
転体をケーシングと着脱する方法を採用した。
【0010】すなわち、回転体の一端側に、ケーシング
内面と回転体との間にクリアランスを保持するガイド部
材を取り付け、このガイド部材を取り付けた側と反対側
を手元側として、回転体とケーシングとを水平方向に相
対移動することにより、回転体とケーシングとの接触を
完全に防止できるようにした。
【0011】前記ガイド部材に、前記ケーシングの内面
に転接する少なくとも一つの転動体を設けることによ
り、回転体とケーシングの相対移動をよりスムーズに行
うことができる。
【0012】前記ケーシング内に回転体が平行に複数体
収納された回転機器において、前記ガイド部材をこれら
の複数体の回転体に差し渡して取り付けることにより、
各回転体相互の接触も防止して、複数体の回転体を容易
に着脱することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、図1乃至図10に基づき、
この発明の実施形態を説明する。図1乃至図8は、第1
の実施形態を示す。図1(a)、(b)は、この実施形
態の回転体着脱方法を適用した横型回転機器としての混
練機を示す。この混練機は、混練機の本体1と、混練機
の駆動装置としてのモータ2および減速機3とが、それ
ぞれ互いに連結された2つのベース4a、4b上に設置
され、本体1はベース4aに固定されたケーシング5
と、ケーシング5の中に収納された互いに平行な2本の
回転体6とで構成されている。
【0014】前記ケーシング5は、原料の供給口7と混
練物の排出口8とが設けられ、両端にエンドカバー9、
10が取り付けられている。各エンドカバー9、10は
ケーシング5の両端部に設けられたフランジ11にボル
ト締結され、その中には軸封部材12と軸受部材13と
が収納されている。
【0015】前記各回転体6は、回転軸14に多数のパ
ドル15が外嵌されたものであり、その両側を軸封部材
12でシールされるとともに、軸受部材13で回転自在
に支持されている。各回転軸14の駆動側は、エンドカ
バー9を貫通してケーシング5の外に取り出され、減速
機3の出力軸3aにギヤカップリング16により連結さ
れている。なお、各回転軸14の両端部には、後述する
スリーブ17が外嵌され、軸封部材12と軸受部材13
はスリーブ17を介して各回転軸14に装着されてい
る。
【0016】図2(a)、(b)は、回転体6をケーシ
ング5に着脱する際に用いるガイド部材18を示す。こ
のガイド部材18は、2本の回転軸14がそれぞれ嵌挿
される2つの貫通孔19が設けられたプレート20と、
プレート20の外周に取り付けられた複数のローラ21
とから成り、各貫通孔19の周囲には、各回転軸14と
プレート20との直角度を確保するための円筒部22が
設けられている。なお、図中の8の字形状の一点鎖線
は、ケーシング5の内面を示す仮想線であり、各ローラ
21はこの内面に沿ってケーシング5の軸方向に転動
し、各回転体6とケーシング5内面との上下および左右
のクリアランスを保持する。
【0017】以下に、図3乃至図6に基づいて、回転体
6をケーシング5から取り外す場合について、その作業
手順を説明する。
【0018】まず、図3に示すように、2つのベース4
a、4bの連結と、各ギヤカップリング16の連結とを
解除して、混練機の本体1と駆動装置とを切り離し、駆
動装置を設置したベース4bを左方の作業に支障となら
ない位置に移動させる。このとき、駆動装置と反対側の
エンドカバー10も取り外され、クレーン(図示省略)
で吊られて各回転軸14から除去される。
【0019】前記エンドカバー10を取り外す際には、
エンドカバー10の上蓋23を開けて、前記スリーブ1
7の止めねじ24を抜き取り、スリーブ17ごとエンド
カバー10を除去する。したがって、軸封部材12と軸
受部材13を個別に取り外す必要がなく、作業を簡略化
できる。なお、各回転軸14に外嵌されたパドル15は
止め環25で抜け止めされている。
【0020】つぎに、図4に示すように、エンドカバー
10を取り外されて露出した各回転軸14の端部に、前
記ガイド部材18を嵌め込むとともに、エンドカバー1
0を取り外したケーシング5のフランジ11下側部分
に、図7(a)、(b)に示すようなC字形状の受け金
具26をボルト(図示省略)で取り付ける。受け金具2
6は、ケーシング5のフランジ11に取り付けられるフ
ランジ部26a、および中央部のくびれ部を除いてケー
シング5の内面と合致するように湾曲した受けプレート
部26bより成る。
【0021】こののち、ガイド部材18の下側の2つの
ローラ21を受けプレート部26bに載せて、ガイド部
材18をパドル15の止め環25に当接する位置まで押
し込み、止めねじ27により回転軸14に固定する。各
回転軸14は、エンドカバー10を取り外したときに、
このエンドカバー10を取り付けられていた側が下がり
気味になっているが、ガイド部材18を受けプレート部
26bに載せることにより、各回転体6とケーシング5
の内面との平行度が矯正される。
【0022】つぎに、図5に示すように、駆動装置側の
エンドカバー9とケーシング5のフランジ11との締結
を解除するとともに、エンドカバー9に吊りワイヤ28
を掛けてクレーンで吊り下げる。こののち、ガイド部材
18の各ローラ21をケーシング5の内面に転動させ
て、回転軸14のパドル15装着部を僅かに頭出しし、
この頭出しした部位のパドル15に、図8(a)、
(b)に示すような吊り具29を取り付ける。吊り具2
9は、パドル15を上下から挟み込むように半割とされ
ている。
【0023】最後に、図6に示すように、吊り具29に
も吊りワイヤ28を掛けて、回転体6をエンドカバー9
とともにクレーンで吊り下げ、クレーンを水平走行させ
ながら、ガイド部材18の各ローラ21をケーシング5
の内面に沿って転動させ、2本の回転体6を一緒にケー
シング5から取り出す。このとき、各回転体6はガイド
部材18によりケーシング5の内面とのクリアランスを
一定に保たれるとともに、各ローラ21の転動によりス
ムーズにケーシング5から抜き出され、ケーシング5の
内面やパドル15に疵を付けることなく、回転体6がケ
ーシング5から取り外される。
【0024】回転体6をケーシング5に取り付ける場合
は、上述した取り外し作業と逆の手順で行うことがで
き、回転体6をケーシング5に挿入する際に、前記ガイ
ド部材18を載せる受け金具26をケーシング5の駆動
装置側のフランジ11に取り付ける点のみが異なる。
【0025】図9は、第2の実施形態を示す。この実施
形態の回転体着脱方法を適用した混練機は、駆動装置と
してのモータ30と減速機31がベース32上のスライ
ド台33に設置され、混練機のケーシング34はベース
32に直接固定されて、回転体35が減速機31に片持
ち支持されている。
【0026】この場合は、図9(a)に示すように、ま
ず、ケーシング34の駆動装置と反対側のエンドカバー
36を取り外し、図2に示したようなローラ付きのガイ
ド部材37を、エンドカバー36側の回転体35の軸端
部に嵌め込んで固定する。このとき、駆動装置側のエン
ドカバー38とケーシング34の締結も解除する。
【0027】つぎに、図9(b)に示すように、スライ
ド台33を左方に移動させて、ガイド部材37の各ロー
ラをケーシング34の内面に転動させながら回転体35
をケーシング34から抜き出し、回転体35を取り外
す。なお、回転体35のケーシング34への取り付け作
業は、取り外し作業と逆の手順で行うことができる。
【0028】図10は、第3の実施形態を示す。この実
施形態の回転体着脱方法を適用した混練機は、駆動装置
としてのモータ39と減速機40がベース41に直接固
定され、混練機のケーシング42はベース41上のスラ
イド台43に設置されて、回転体44が減速機40に片
持ち支持されている。
【0029】この場合も、図10(a)に示すように、
まず、ケーシング42の駆動装置と反対側のエンドカバ
ー45を取り外し、第2の実施形態と同様のガイド部材
46を、エンドカバー45側の回転体44の軸端部に嵌
め込んで固定する。このとき、駆動装置側のエンドカバ
ー47とケーシング42の締結も解除する。
【0030】つぎに、図10(b)に示すように、スラ
イド台43を右方に移動させて、ガイド部材46の各ロ
ーラをケーシング42の内面に転動させながら回転体4
4をケーシング42から抜き出す。この場合も、回転体
44の取り付け作業は、上記取り外し作業と逆の手順で
行うことができる。
【0031】上述した各実施形態では、回転体とケーシ
ング内面とのクリアランスを保持するガイド部材の外周
にローラを取り付けたが、ケーシングの内面と滑らかに
転動や摺動できるものであればよく、ローラの替わりに
ボール等の転動体や摩擦係数の小さい摺動部品を用いる
こともできる。また、これらの転動体や摺動部品は、ガ
イド部材の下側部分のみに取り付けてもよい。
【0032】
【発明の効果】以上のように、この発明の回転機器の回
転体着脱方法は、回転体をケーシングと着脱する際に、
回転体の一端側に、ケーシング内面と回転体との間にク
リアランスを保持するガイド部材を取り付け、このガイ
ド部材を取り付けた側と反対側を手元側として、回転体
とケーシングとを水平方向に相対移動するようにしたの
で、回転体とケーシングのクリアランスが小さい回転機
器でも、両者の接触を完全に防止でき、回転機器に疵を
付けることなく回転体を着脱することができる。
【0033】また、前記ガイド部材に、ケーシングの内
面に転接する少なくとも一つの転動体を設けることによ
り、回転体着脱時の回転体とケーシングの相対移動をよ
りスムーズに行うことができる。
【0034】さらに、ケーシング内に回転体が平行に複
数体収納された回転機器において、前記ガイド部材をこ
れらの複数体の回転体に差し渡して取り付けることによ
り、各回転体相互の接触も防止して、複数体の回転体を
容易に着脱することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】aは第1の実施形態の回転体着脱方法を採用し
た回転機器を示す正面図、bはaの平面図
【図2】aは図1の回転体の着脱に使用したガイド部材
を示す正面図、bはaの側面図
【図3】図1の回転機器の回転体着脱手順を示す正面断
面図
【図4】図1の回転機器の回転体着脱手順を示す一部省
略正面断面図
【図5】図1の回転機器の回転体着脱手順を示す一部省
略正面断面図
【図6】図1の回転機器の回転体着脱手順を示す一部省
略正面断面図
【図7】aは図1の回転体の着脱に使用した受け金具を
示す正面図、bはaの側面図
【図8】aは図1の回転体の着脱に使用した吊り具を示
す正面図、bはaの側面図
【図9】a、bは、それぞれ第2の実施形態の回転機器
の回転体着脱方法を示す正面図
【図10】a、bは、それぞれ第3の実施形態の回転機
器の回転体着脱方法を示す正面図
【図11】従来の回転機器の回転体着脱方法を示す正面
断面図
【図12】図11の側面断面図
【図13】図12の要部拡大断面図
【符号の説明】
1 本体 2 モータ 3 減速機 3a 出力軸 4a、4b ベース 5 ケーシング 6 回転体 7 供給口 8 排出口 9、10 エンドカバー 11 フランジ 12 軸封部材 13 軸受部材 14 回転軸 15 パドル 16 ギヤカップリング 17 スリーブ 18 ガイド部材 19 貫通孔 20 プレート 21 ローラ 22 円筒部 23 蓋 24 止めねじ 25 止め環 26 受け金具 26a フランジ部 26b 受けプレート部 27 止めねじ 28 吊りワイヤ 29 吊り具 30 モータ 31 減速機 32 ベース 33 スライド台 34 ケーシング 35 回転体 36 エンドカバー 37 ガイド部材 38 エンドカバー 39 モータ 40 減速機 41 ベース 42 ケーシング 43 スライド台 44 回転体 45 エンドカバー 46 ガイド部材 47 エンドカバー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B65G 33/24 B65G 33/24 Fターム(参考) 3F040 AA10 BA03 CA08 EA01 4D065 CA05 CB10 CC01 CC08 DD04 EB14 EC09 4D067 CB03 CB07 EE50 GA16 GB10 4G037 DA23 EA03 4G078 AA13 BA01 BA07 DA09 DB10 DC10 EA20

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転機器のケーシング内に収納される水
    平軸の回りに回転する回転体を、水平方向にケーシング
    と着脱する回転機器の回転体着脱方法において、前記回
    転体の一端側に、前記ケーシング内面と回転体との間に
    クリアランスを保持するガイド部材を取り付け、このガ
    イド部材を取り付けた側と反対側を手元側として、前記
    回転体とケーシングとを水平方向に相対移動し、回転体
    をケーシングと着脱するようにしたことを特徴とする回
    転機器の回転体着脱方法。
  2. 【請求項2】 前記ガイド部材に、前記ケーシングの内
    面に転接する少なくとも一つの転動体を設けた請求項1
    に記載の回転機器の回転体着脱方法。
  3. 【請求項3】 前記ケーシング内に前記回転体が平行に
    複数体収納され、前記ガイド部材をこれらの複数体の回
    転体に差し渡して取り付けるようにした請求項1または
    2に記載の回転機器の回転体着脱方法。
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