JP2001254144A - 溶融亜鉛メッキ鋼板およびその製造方法 - Google Patents

溶融亜鉛メッキ鋼板およびその製造方法

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JP2001254144A JP2000064357A JP2000064357A JP2001254144A JP 2001254144 A JP2001254144 A JP 2001254144A JP 2000064357 A JP2000064357 A JP 2000064357A JP 2000064357 A JP2000064357 A JP 2000064357A JP 2001254144 A JP2001254144 A JP 2001254144A
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Toru Hozumi
透 穂積
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Fusahito Kitano
総人 北野
Kozo Harada
耕造 原田
Shunsaku Noide
俊策 野出
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 延性に優れるのみならず、レーザー、マッシ
ュシームあるいはアーク溶接といった溶接により成形前
に異種鋼板と接合された後成形される場合においても、
加工性が良好な溶融亜鉛メッキ鋼板を提供する。 【解決手段】 C:0.04〜0.1%、Si:0.5%以下、Mn:
1〜2.5%、P:0.05%以下、S:0.01%以下(0を含
む)を含有し、さらにMoを0.05〜0.5%の範囲で0.085≦
Mo/Mn≦0.3を満たすように含有し、残部が実質的にFeお
よび不可避不純物からなり、かつ組織が平均粒径20μm
以下のフェライトと体積率5〜40%のマルテンサイトか
らなることを特徴とする溶融亜鉛メッキ鋼板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車の構造用部
品などに適用され、単独板まま、あるいはレーザーやマ
ッシュシームにより異種鋼板と接合した後、成形される
用途に適した溶融亜鉛メッキ鋼板に関するものである。
【0002】
【従来技術】引張強度が440MPaを超える高強度溶融亜鉛
メッキ鋼板は、その優れた防錆性と高い耐力を利点と
し、とくに自動車の構造用部品などに広く適用されてい
る。このため、自動車用高強度溶融亜鉛メッキ鋼板に係
る発明は非常に多く開示されている。
【0003】とくに、適用範囲が拡大する中で加工性に
対する要求特性が高まっているため、例えば特開昭56
−142821号公報や特開昭55−100935号公
報等には、延性に優れたフェライト+マルテンサイト2
相組織を有する高強度溶融亜鉛メッキ鋼板に関する発明
が開示されている。
【0004】しかし、製造ままの鋼板の加工性に対する
要求特性が高まる一方で、適用技術の拡大に伴い、テー
ラードブランク材などのように、溶接部を含んだ状態で
加工さる部材や、溶接部を含んだ構造部材の高速変形挙
動に対する要求特性が厳しくなるなど、溶接部の特性が
製品に対する要求特性として着目されつつある。
【0005】しかしながら、上記に記したフェライト+
マルテンサイト2相組織を有する高強度溶融亜鉛メッキ
鋼板では、溶接時にオーステナイト相の急冷により得ら
れるマルテンサイト相が軟化してしまうという大きな問
題点が存在する。このような溶接部の硬度不均一は、例
えば、テーラードブランク材では成形性の劣化や不均一
変形にともなう接合部近傍の熱影響部の減肉をもたら
し、また、変形強度、破断強度、高速変形強度など構造
部材としての性能をも劣化させる原因ともなってしま
う。
【0006】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
もので、延性に優れるのみならず、レーザー、マッシュ
シームあるいはアーク溶接といった溶接により成形前に
異種鋼板と接合された後成形される場合においても、加
工性が良好な溶融亜鉛メッキ鋼板を提供することを課題
とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の第1の手段は、C:0.04〜0.1%、Si:0.5%以下、M
n:1〜2%、P:0.05%以下、S:0.01%以下(0を
含む)を含有し、さらにMoを0.05〜0.5%の範囲で0.085
≦Mo/Mn≦0.3を満たすように含有し、残部が実質的にFe
および不可避不純物からなり、かつ組織が平均粒径20μ
m以下のフェライトと体積率5〜40%のマルテンサイト
からなることを特徴とする溶融亜鉛メッキ鋼板(請求項
1)である。
【0008】また、前記課題を解決するための第2の手
段は、C:0.04〜0.1%、Si:0.5%以下、Mn:1〜2
%、P:0.05%以下、S:0.01%以下(0を含む)を含
有し、さらにMoを0.05〜0.5%の範囲で0.085≦Mo/Mn≦
0.3を満たすように、Vを0.02〜0.2%の範囲でMo+V≦0.
5%、 0.05≦(Mo+V)/Mn≦0.25を満たすようにそれぞれ
含有し、残部が実質的にFeおよび不可避不純物からな
り、かつ組織が平均粒径20μm以下のフェライトと体積
率5〜40%のマルテンサイトからなることを特徴とする
溶融亜鉛メッキ鋼板(請求項2)である。
【0009】なお、本明細書及び図面において、特に断
らない限り鋼の成分を表す%は重量%を意味する。ま
た、Mo/Mnのような各元素の計算式は、当該元素の重量
%の値の計算式である。本明細書において「残部が実質
的にFeおよび不可避不純物からなる」というのは、不可
避不純物のほか、本発明の効果を無くさない限り、微量
の元素を含むものが各発明の範囲に含まれることを意味
するものである。例えば、前記第1の手段には、前記第
2の手段に規定する範囲を外れた量のVを含有するもの
が含まれる。
【0010】(発明に至る過程と、鋼板成分及び組織の
限定理由)本発明者らは、上記課題を解決するため、フ
ェライト+マルテンサイト2相組織鋼における溶接部の
強度変化と溶接線を含む場合の加工性に及ぼす鋼成分と
組織の影響について鋭意検討した結果、ある限定された
C、Si、Mn等の基本成分を有する鋼に適量のMoを含有さ
せ、もしくは適量のMoを含有させた上でさらに適量のV
を含有させ、なおかつ、フェライトを平均粒径20μm以
下とし、マルテンサイト体積率を5〜40%に限定するこ
とで、延性および溶接後の加工性に優れる高強度溶融亜
鉛メッキ鋼板を製造できることを見出した。
【0011】本発明鋼成分において最も重要なのは、適
量のMoを含有させること、もしくは適量のMoに加えてさ
らに適量のVを含有させることであるが、これは、これ
らの元素がフェライトフォーマーでありフェライト+マ
ルテンサイト2相組織を得るために有効であるばかり
か、溶接により熱影響を受けた場合にマルテンサイト相
内で微細なカーバイドを形成し軟化を抑制するためであ
る。とくにMoとVを複合して含有させる場合には、HA
Z部の硬度変化が極めて小さくなり、溶接後の加工性も
非常に良好となることが分かった。
【0012】また、CrはMo、Vと同様に2次析出強化元
素として知られているが、発明者らの検討では短時間昇
温での析出が早く、HAZ部においてむしろ硬度上昇が
大きくなり、結果としては溶接部の断面硬度分布の不均
一性が高まるので、溶接後の加工性が劣化してしまう点
を見出した。このため、Cr含有量は上限を設ける必要が
ある点も明らかとなった。
【0013】さらに、フェライト粒径の制御も重要で、
平均粒径を20μm以下として粒界面積を増加させること
で、短時間昇温時に粒界でのオーステナイトの析出が促
進され、これにより、最もマルテンサイト相の硬度低下
が大きくなるAc3点の上昇が避けられ、マルテンサイト
相の硬度低下が抑制される。
【0014】一方、単独の板ままでの延性に着目する
と、フェライトとマルテンサイトの比率が非常に大きな
影響を及ぼし、マルテンサイト相の体積率が40%を超え
ると延性が劣化し好ましくない。ただし、マルテンサイ
トの体積率が小さくなりすぎると、逆にマルテンサイト
相の2次析出強化の効果をHAZ軟化抵抗に有効に活用
できないため、下限を5%に規定する。
【0015】また、均熱後の冷却速度が小さい連続溶融
亜鉛めっきラインにおいてマルテンサイト組織を得るに
は、焼入れ性を高めるMnを1%を超えて含有させる必要
があるが、この場合、Mn偏析に起因したマルテンサイト
の層状組織が発達して延性が劣化することが見出され、
本発明において含有されるMo量、又はMoとVの含有量合
計をMn含有量に対してある下限比率以上にすることで、
フェライトの析出を促進させ、マルテンサイト相とフェ
ライト相が均一に分散した組織を得ることができ、延性
を高めることがわかった。
【0016】上記のように、Mo、VあるいはMnを適正に
含有させ、体積率5〜40%のマルテンサイト相とフェラ
イト相が均一に分散した組織を得ることで、延性と溶接
時のHAZ部の硬度変化が小さい鋼板を得ることが可能と
なるが、溶接後の加工性を高めるには、HAZ部のみな
らず溶融金属部をも含めた硬度変化を小さくする必要が
ある。均熱後の冷却速度が小さい連続溶融亜鉛めっきラ
インにおいてマルテンサイト組織を得るようにCやMnを
高めた成分系では、HAZ部と異なり冷却速度が大きい
溶融金属部ではマルテンサイト組織が容易に形成されて
硬さが非常に高くなってしまい、溶接後の加工性が劣化
してしまう。
【0017】このため、マルテンサイト組織の硬さを支
配するCにも上限を設ける必要がある。また、上述した
単独板ままの延性の向上に有効な、MoとVの含有量合計
をMn含有量に対してある下限比率以上に含有させると、
溶融金属部が完全なマルテンサイト単層組織となること
を回避できるので、やはり溶接後の加工性の向上に有効
であることが明らかとなった。
【0018】以上が、延性および溶接後の加工性に優れ
る高強度溶融亜鉛メッキ鋼板の発明に関する骨格となる
部分であるが、以下には、具体的な成分限定理由と本鋼
板を得るための製造法について説明する。
【0019】まず、成分限定理由について述べる。 C:0.04%〜0.1% Cは、所望の強度を確保するために必須の元素である
が、前述したように含有しすぎると溶接部の溶融金属部
の硬度が上昇しすぎて、好ましくない。すなわち、下限
は強度を確保するための最低限量として、また、上限は
溶融金属部の硬度が上昇しすぎないために規定する。 Si:0.5%以下 Siは、フェライト+マルテンサイト2相組織を安定して
得るためには必須の元素であるが、含有量が多くなると
亜鉛メッキの密着性や表面外観が著しく劣化するので、
上限を0.5%に規定する。
【0020】Mn:1〜2.5% MnはC同様、所望の強度を確保するために必須の元素で
ある。所望の強度を得るため1%が下限として必要であ
るが、過剰に含有させるとマルテンサイト体積率が増大
しすぎて延性が劣化するので上限を2.5%に規定する。 P:0.05%以下 PはSiと同様に、フェライト+マルテンサイト2相組織
を安定して得るためには必須の元素であるが、含有量が
多くなると溶接部の靭性が劣化するので、上限を0.05%
に規定する。
【0021】S:0.01%以下(0を含む) Sは不純物であり、含有量が高いとPと同様に溶接部の
靭性が劣化する。このため上限を0.01%に規定する。 sol.AlとN sol.AlとNは、通常の鋼に含有される量であれば本発明
の効果を損なわず、それぞれ0.05%以下、0.007%以下
であればよい。
【0022】次に、本発明の溶融亜鉛メッキ鋼板の成分
元素において重要なMoとVの含有量について説明する。
Moは、本発明の効果を得るために必須の元素である。上
述したように、これは、フェライト+マルテンサイト2
相組織を得るために有効であるばかりか、溶接時にHA
Z部での昇温によるマルテンサイト相の焼戻し軟化が、
Moの炭化物の析出で抑制されるためである。このため効
果が発現する0.05%を下限として含有させる。しかし、
過剰に含有させると、逆にHAZ部で硬度上昇が大きく
なり、HAZ部の硬度変化は大きくなる。したがって、
上限を0.5%に規定する。
【0023】さらに、延性と溶接後の加工性の観点から
は、Mn含有量に対するMo含有量の比率が重要で、これが
ある基準以上(Mo/Mn≧0.085)含有されないとMn偏析によ
るマルテンサイト相の層状分布が解消されない、あるい
は、溶融金属部の硬さが上昇しすぎるなどして、本発明
の意図する効果が十分得られない。一方、Mn含有量に対
してMo含有量を過剰に(Mo/Mn>0.3)すると、フェライト
が過剰に析出しやすくなり、とくに溶融金属部において
粗大なフェライト粒が形成されて溶接後の加工性が劣化
してしまうので好ましくない。以上の点から、Mo含有量
は0.05〜0.5%とし、かつMn含有量に対して0.085≦Mo/M
n≦0.3の範囲に規定する。
【0024】本発明では、Mo含有量をベースにその他の
マルテンサイト相の焼戻し軟化抵抗に有効と思われる元
素、具体的にはV、Crについても検討を加えた。この結
果、溶接時のHAZ部のように短時間の昇温においては
元素の種類による影響が異なり、Crは微量の含有でもH
AZ部での硬度上昇が大きくなり、含有量が0.2%を越
えるとHAZ部の硬度変化が大きくなることが明らかと
なった。このため、本発明ではCrの含有量は0.2%以下と
することとした。
【0025】本検討で注目されたのはVであり、MoとV
の複合含有でHAZ部の硬度変化が極めて小さくなっ
た。これは、マルテンサイト相の短時間の昇温時のV炭
化物による析出強化がそれほど大きくなく、しかも、Mo
炭化物が析出する温度と異なるため、HAZ部の広い熱
履歴域において、均一な焼戻し軟化抵抗が得られるため
と考えられた。このような効果を得るためのV量の下限
は0.02%であり、過剰に含有させるとやはりHAZ部で
の硬度上昇が大きくなるので、上限は0.2%に規定し
た。
【0026】また、VはMoと同じくフェライトフォーマ
ーであることから、Moの単独含有の場合と同じ理由でMn
含有量に対するMoとVの合計含有量の比率の下限と上限
を規定する必要がある。ただし、本発明者らの検討によ
れば、MoとVを複合含有する場合、フェライトの析出の
しやすさが、単独含有の場合よりも強くなることがわか
り、このため、Mn含有量に対するMoとVの合計含有量の
比率の下限と上限は、Moの単独含有の場合よりもそれぞ
れそのしきい値が低くなった。すなわち、Vの含有量は
0.02〜0.2%の範囲とし、かつMo+Vで0.5%を上限と
し、 0.05≦(Mo+V)/Mn≦0.25を満たすよう限定する。
【0027】その他、言及していない元素については、
極端に多く含有しなければ、とくに本発明の効果を損な
わない。例えば、鋼の高強度化あるいは微細化を目的と
してNbやTiを含有させる場合、0.05%以内であれば問題
はない。
【0028】次に、本発明鋼板の製造法に関して説明す
る。前記課題を解決するための第3の手段は、前記第1
の手段又は第2の手段に記載した成分の鋼を、鋳造後、
巻取り温度500〜650℃で熱間圧延して鋼帯とし、酸洗後
にそのまま、又は必要に応じて40%以上の圧下率で冷間
圧延した後、連続溶融亜鉛メッキラインにおいて750〜8
50℃で均熱した後、1〜50℃/secの冷却速度で600℃以
下の温度域まで冷却し、400〜600℃での滞留時間が180
秒以内となるよう亜鉛メッキし、必要に応じてさらに合
金化処理を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2
に記載の溶融亜鉛メッキ鋼板の製造方法(請求項3)で
ある。
【0029】本発明鋼板を得るには、各成分元素を上記
のごとく限定したうえ、平均粒径20μm以下のフェライ
トと体積率5〜40%のマルテンサイトで構成される組織
に制御する必要がある。
【0030】まず、鋳造後、熱延鋼帯とし、酸洗して、
あるいは、酸洗後さらに40%以上の圧下率で冷間圧延し
てメッキ下地を準備する。熱間圧延条件はとくに規定し
ていないが、仕上げ熱延がAr3変態点を下回ったり、熱
延終了後の冷却速度が10℃/sec以下と緩冷却であるな
ど、熱延板粒径が著しく大きくならければ、とくに問題
は生じない。
【0031】巻取り温度については、650℃を超えると
熱延板組織が大きくなったり、層状組織が目立ち好まし
くなく、500℃を下回るとベイナイトやマルテンサイト
組織が形成し、その後の焼鈍において組織が不均一とな
りやすい。このため、巻取り温度は500〜650℃に規定す
る。
【0032】また、熱延終了後に1秒以内に100〜300℃
/secといった大冷却を活用したり、これにさらに仕上げ
熱延大圧下を組み合わせるなど、熱延板粒径を小さくす
る行為に関しては、本発明の効果を阻害しない。冷間圧
延を40%以上に規定しているのは、これ以下だと焼鈍で
粒径が大きくなりやすくなるためである。
【0033】連続溶融亜鉛メッキラインにおいて、均熱
温度は、安定してオーステナイト相を得るため750℃以
上が必要であるが、850℃を超えると粒径が大きくなり
所望の特性が得られなくなるのでこれを上限とする。こ
の後、1〜50℃/secの冷却速度で600℃以下の温度域まで
冷却するが、これはパーライトを生じさせず、かつ微細
なフェライトを所望の体積率析出させるためで、冷速の
下限はこれ以下ではパーライトが生じたりフェライト粒
径が大きくなるため規定する。冷却速度の上限は、これ
を超えるとフェライトが十分析出しなばかりかマルテン
サイト体積率が大きくなるので規定する。
【0034】酸洗板あるいは冷延板は、600℃以下の温
度域まで冷却された後、亜鉛メッキを施され、必要に応
じてさらに合金化処理を施された後、最終的に室温まで
冷却される。本発明者らの検討によれば、室温までの冷
却過程において、400〜600℃での滞留時間が組織形成に
大きく影響を及ぼすことが明らかとなった。すなわち、
滞留時間が長くなると、オーステナイトからのセメンタ
イトの析出が著しくなり、マルテンサイト相の体積率が
低下して強度や延性が低下するばかりか、MoやVの析出
によるHAZ軟化抵抗効果が得られなくなる。本発明者
らの検討結果から、この滞留時間の上限は180秒に規定
された。
【0035】なお、その他とくに言及していないが、造
塊あるいは連続鋳造によるスラブ製造法や、熱延での粗
熱延バー接続による連続熱延、また、熱延過程でのイン
ダクションヒーターを利用した200℃以内の昇温など
は、本発明の効果に対して影響を及ぼさない。
【0036】
【実施例】以下に本発明の実施例について詳細に説明す
る。まず、表1に成分を示す本発明成分鋼A〜Xと、表
2に成分を示す比較成分鋼a〜wを転炉で出鋼し、連続
鋳造によりスラブとした。これらのスラブを表2に示す
加熱温度と熱延巻取り条件で熱延鋼帯とし、酸洗し、そ
の一部は冷延率65%冷間圧延して、メッキ下地を準備し
た。続いて、連続溶融亜鉛メッキラインにて、表3に示
す条件で溶融亜鉛メッキ鋼板又は合金化溶融亜鉛メッキ
鋼板を製造した。
【0037】なお、連続溶融亜鉛メッキラインでの熱サ
イクルは、請求項3に示した好ましい範囲とした。表4
には、これらの鋼板の組織、引張強度(TS)と延性(El)お
よび溶接後の加工性を評価する目的から、図3に示すよ
うにJIS5号試験片の平行部中央にレーザー溶接をビード
オンした特殊試験片を用いた場合の延性(El*)を記載し
た。レーザー溶接条件は、出力4kW、速度1.5m/minであ
り、とくに溶接速度は遅くしてHAZ軟化の生じやすい
条件とした。
【0038】図1は、表4に示した鋼のTSxEl*値を、
(Mn+V)/Mnで整理した図である。(ただし、表4に
おいては、同じ鋼板を熱延したままのものと、それを冷
延したものの両方を記載しているものがある。たとえば
鋼番5と鋼番6、鋼番11と鋼番12である。図1にお
いては、このうち、熱延したままのものの値のみをプロ
ットしてある。)表4の本発明鋼に対応するものは、TS
xEl*が16000以上である。図1で、V≧0.02%、V<0.0
2%の2水準ごとに比較した場合、TSxEl*が16000付近
で、本発明鋼と比較鋼との間に臨界的さが生じ、本発明
鋼では性能(溶接後の加工性)が格段に良くなっている
のが分かる。
【0039】もちろん、表4からわかるようにこれらの
鋼板では溶接していない場合でも、TSxElが19000を超え
ており、高延性を有している。(ただし、鋼番6のもの
だけが、TSxEl*が16000を若干下回っているが、これ
は、冷延により板厚が薄くなっており、伸びの値が小さ
くなっているためである。)一方、表4より分かるよう
に、比較鋼では、溶接していない場合ではTSxElが19000
を超える場合が多数あるものの、溶接後ではTSxEl*値が
13000程度のものが多く、極端に加工性が劣化している
のがわかる。
【0040】表5、表6は、本発明成分鋼Wについて、
とくに連続溶融亜鉛メッキラインでの熱サイクル条件を
変化させて、特性の変化を検討した結果を示している。
鋼番1や5では均熱温度が、鋼番6や11では冷却速度が
適切でないため、また、鋼番15、16では400〜600℃での
滞留時間が長すぎるため、本発明の規定する組織が得ら
れておらず、所望の溶接後の加工性が得られていない。
【0041】図2には、上述したC、Mn含有量やMn含有
量に対するMo、V含有量の比率の過不足によるHAZ部
での硬度変化を模式的に示している。
【0042】なお、本発明では溶接後の加工性が良好と
するために、溶接部断面の硬度分布をできるだけ均一に
することに主眼をおいている。この指標として、JIS5
号試験片の平行部中央にレーザー溶接をビードオンした
特殊試験片を用いた場合の延性を評価したが、これはあ
くまで代表例であって、本発明によれば、溶接後の加工
性が良好になるばかりでなく、例えば、テーラードブラ
ンク材を成形する場合に、溶接線近傍における板厚減少
が小さく、成形後の外観が良好であったり構造部材とし
ての強度も高いという効果等も得られる。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】
【0047】
【表5】
【0048】
【表6】
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、延性および溶接後の加
工性に優れる高強度な溶融亜鉛メッキ鋼板が得られ、単
独板ままでの成形性に優れるのみならずテーラードブラ
ンク材でも成形性の劣化が、また、溶接で構造体となさ
れた部材の変形強度、破断強度、高速変形強度などの性
能の劣化が極めて小さい溶融亜鉛メッキ鋼板を提供する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋼のTSxEl*値を、(Mn+V)/Mnで整理した図
である。
【図2】C、Mn含有量やMn含有量に対するMo、V含有量
の比率の過不足によるHAZ部での硬度変化を模式的に
示した図である。
【図3】延性(El*)を測定するために用いた特殊試験片
を示す図である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C23C 2/02 C23C 2/02 2/06 2/06 2/40 2/40 (72)発明者 占部 俊明 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 北野 総人 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 原田 耕造 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 野出 俊策 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4K027 AA02 AA05 AA23 AB02 AB42 AC12 4K037 EA01 EA05 EA11 EA15 EA16 EA17 EA18 EA19 EA23 EA25 EA27 EA32 EB05 EB08 EB11 FA02 FA03 FC01 FC02 FG01 FH01 FJ05 FK02 FK03 GA05 GA07 JA06

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.04〜0.1%、Si:0.5%以下、Mn:
    1〜2.5%、P:0.05%以下、S:0.01%以下(0を含
    む)を含有し、さらにMoを0.05〜0.5%の範囲で0.085≦
    Mo/Mn≦0.3を満たすように含有し、残部が実質的にFeお
    よび不可避不純物からなり、かつ組織が平均粒径20μm
    以下のフェライトと体積率5〜40%のマルテンサイトか
    らなることを特徴とする溶融亜鉛メッキ鋼板。
  2. 【請求項2】 C:0.04〜0.1%、Si:0.5%以下、Mn:
    1〜2%、P:0.05%以下、S:0.01%以下(0を含
    む)を含有し、さらにMoを0.05〜0.5%の範囲で0.085≦
    Mo/Mn≦0.3を満たすように、Vを0.02〜0.2%の範囲でM
    o+V≦0.5%、0.05≦(Mo+V)/Mn≦0.25を満たすようにそ
    れぞれ含有し、残部が実質的にFeおよび不可避不純物か
    らなり、かつ組織が平均粒径20μm以下のフェライトと
    体積率5〜40%のマルテンサイトからなることを特徴と
    する溶融亜鉛メッキ鋼板。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載した成分の
    鋼を、鋳造後、巻取り温度500〜650℃で熱間圧延して鋼
    帯とし、酸洗後にそのまま、又は必要に応じて40%以上
    の圧下率で冷間圧延した後、連続溶融亜鉛メッキライン
    において750〜850℃で均熱した後、1〜50℃/secの冷却
    速度で600℃以下の温度域まで冷却し、400〜600℃での
    滞留時間が180秒以内となるよう亜鉛メッキし、必要に
    応じてさらに合金化処理を行うことを特徴とする請求項
    1又は請求項2に記載の溶融亜鉛メッキ鋼板の製造方
    法。
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