JP4304812B2 - 溶融亜鉛メッキ鋼板およびその製造方法 - Google Patents

溶融亜鉛メッキ鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の構造用部品などに適用され、単独板まま、あるいはレーザーやマッシュシームにより異種鋼板と接合した後、成形される用途に適した溶融亜鉛メッキ鋼板に関するものである。
【0002】
【従来技術】
引張強度が440MPaを超える高強度溶融亜鉛メッキ鋼板は、その優れた防錆性と高い耐力を利点とし、とくに自動車の構造用部品などに広く適用されている。このため、自動車用高強度溶融亜鉛メッキ鋼板に係る発明は非常に多く開示されている。
【0003】
とくに、適用範囲が拡大する中で加工性に対する要求特性が高まっているため、例えば特開昭56−142821号公報や特開昭55−100935号公報等には、延性に優れたフェライト+マルテンサイト2相組織を有する高強度溶融亜鉛メッキ鋼板に関する発明が開示されている。
【0004】
しかし、製造ままの鋼板の加工性に対する要求特性が高まる一方で、適用技術の拡大に伴い、テーラードブランク材などのように、溶接部を含んだ状態で加工さる部材や、溶接部を含んだ構造部材の高速変形挙動に対する要求特性が厳しくなるなど、溶接部の特性が製品に対する要求特性として着目されつつある。
【0005】
しかしながら、上記に記したフェライト+マルテンサイト2相組織を有する高強度溶融亜鉛メッキ鋼板では、溶接時にオーステナイト相の急冷により得られるマルテンサイト相が軟化してしまうという大きな問題点が存在する。このような溶接部の硬度不均一は、例えば、テーラードブランク材では成形性の劣化や不均一変形にともなう接合部近傍の熱影響部の減肉をもたらし、また、変形強度、破断強度、高速変形強度など構造部材としての性能をも劣化させる原因ともなってしまう。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、延性に優れるのみならず、レーザー、マッシュシームあるいはアーク溶接といった溶接により成形前に異種鋼板と接合された後成形される場合においても、加工性が良好な溶融亜鉛メッキ鋼板を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための第1の手段は、C:0.04〜0.1%、Si:0.5%以下、Mn:1〜2.5%、P:0.05%以下、S:0.01%以下(0を含む)、sol.Al:0.05%以下、N:0.007%以下、V:0.02%未満を含有し、さらにMoを0.05〜0.5%の範囲で0.085≦Mo/Mn≦0.3を満たすように含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなり、かつ組織が平均粒径20μm以下のフェライトと体積率5〜40%のマルテンサイトからなることを特徴とする溶融亜鉛メッキ鋼板(請求項1)である。
【0008】
また、前記課題を解決するための第2の手段は、C:0.04〜0.1%、Si:0.5%以下、Mn:1〜2.5%、P:0.05%以下、S:0.01%以下(0を含む)、sol.Al:0.05%以下、N:0.007%以下を含有し、さらにMoを0.05〜0.5%の範囲で0.085≦Mo/Mn≦0.3を満たすように、Vを0.02〜0.2%の範囲でMo+V≦0.5%、0.05≦(Mo+V)/Mn≦0.25を満たすようにそれぞれ含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなり、かつ組織が平均粒径20μm以下のフェライトと体積率5〜40%のマルテンサイトからなることを特徴とする溶融亜鉛メッキ鋼板(請求項2)である。
【0009】
なお、本明細書及び図面において、特に断らない限り鋼の成分を表す%は重量%を意味する。また、Mo/Mnのような各元素の計算式は、当該元素の重量%の値の計算式である。
【0010】
(発明に至る過程と、鋼板成分及び組織の限定理由)
本発明者らは、上記課題を解決するため、フェライト+マルテンサイト2相組織鋼における溶接部の強度変化と溶接線を含む場合の加工性に及ぼす鋼成分と組織の影響について鋭意検討した結果、ある限定されたC、Si、Mn等の基本成分を有する鋼に適量のMoを含有させ、もしくは適量のMoを含有させた上でさらに適量のVを含有させ、なおかつ、フェライトを平均粒径20μm以下とし、マルテンサイト体積率を5〜40%に限定することで、延性および溶接後の加工性に優れる高強度溶融亜鉛メッキ鋼板を製造できることを見出した。
【0011】
本発明鋼成分において最も重要なのは、適量のMoを含有させること、もしくは適量のMoに加えてさらに適量のVを含有させることであるが、これは、これらの元素がフェライトフォーマーでありフェライト+マルテンサイト2相組織を得るために有効であるばかりか、溶接により熱影響を受けた場合にマルテンサイト相内で微細なカーバイドを形成し軟化を抑制するためである。とくにMoとVを複合して含有させる場合には、HAZ部の硬度変化が極めて小さくなり、溶接後の加工性も非常に良好となることが分かった。
【0012】
また、CrはMo、Vと同様に2次析出強化元素として知られているが、発明者らの検討では短時間昇温での析出が早く、HAZ部においてむしろ硬度上昇が大きくなり、結果としては溶接部の断面硬度分布の不均一性が高まるので、溶接後の加工性が劣化してしまう点を見出した。このため、Cr含有量は上限を設ける必要がある点も明らかとなった。
【0013】
さらに、フェライト粒径の制御も重要で、平均粒径を20μm以下として粒界面積を増加させることで、短時間昇温時に粒界でのオーステナイトの析出が促進され、これにより、最もマルテンサイト相の硬度低下が大きくなるAc3点の上昇が避けられ、マルテンサイト相の硬度低下が抑制される。
【0014】
一方、単独の板ままでの延性に着目すると、フェライトとマルテンサイトの比率が非常に大きな影響を及ぼし、マルテンサイト相の体積率が40%を超えると延性が劣化し好ましくない。ただし、マルテンサイトの体積率が小さくなりすぎると、逆にマルテンサイト相の2次析出強化の効果をHAZ軟化抵抗に有効に活用できないため、下限を5%に規定する。
【0015】
また、均熱後の冷却速度が小さい連続溶融亜鉛めっきラインにおいてマルテンサイト組織を得るには、焼入れ性を高めるMnを1%を超えて含有させる必要があるが、この場合、Mn偏析に起因したマルテンサイトの層状組織が発達して延性が劣化することが見出され、本発明において含有されるMo量、又はMoとVの含有量合計をMn含有量に対してある下限比率以上にすることで、フェライトの析出を促進させ、マルテンサイト相とフェライト相が均一に分散した組織を得ることができ、延性を高めることがわかった。
【0016】
上記のように、Mo、VあるいはMnを適正に含有させ、体積率5〜40%のマルテンサイト相とフェライト相が均一に分散した組織を得ることで、延性と溶接時のHAZ部の硬度変化が小さい鋼板を得ることが可能となるが、溶接後の加工性を高めるには、HAZ部のみならず溶融金属部をも含めた硬度変化を小さくする必要がある。均熱後の冷却速度が小さい連続溶融亜鉛めっきラインにおいてマルテンサイト組織を得るようにCやMnを高めた成分系では、HAZ部と異なり冷却速度が大きい溶融金属部ではマルテンサイト組織が容易に形成されて硬さが非常に高くなってしまい、溶接後の加工性が劣化してしまう。
【0017】
このため、マルテンサイト組織の硬さを支配するCにも上限を設ける必要がある。また、上述した単独板ままの延性の向上に有効な、MoとVの含有量合計をMn含有量に対してある下限比率以上に含有させると、溶融金属部が完全なマルテンサイト単層組織となることを回避できるので、やはり溶接後の加工性の向上に有効であることが明らかとなった。
【0018】
以上が、延性および溶接後の加工性に優れる高強度溶融亜鉛メッキ鋼板の発明に関する骨格となる部分であるが、以下には、具体的な成分限定理由と本鋼板を得るための製造法について説明する。
【0019】
まず、成分限定理由について述べる。
C:0.04%〜0.1%
Cは、所望の強度を確保するために必須の元素であるが、前述したように含有しすぎると溶接部の溶融金属部の硬度が上昇しすぎて、好ましくない。すなわち、下限は強度を確保するための最低限量として、また、上限は溶融金属部の硬度が上昇しすぎないために規定する。
Si:0.5%以下
Siは、フェライト+マルテンサイト2相組織を安定して得るためには必須の元素であるが、含有量が多くなると亜鉛メッキの密着性や表面外観が著しく劣化するので、上限を0.5%に規定する。
【0020】
Mn:1〜2.5%
MnはC同様、所望の強度を確保するために必須の元素である。所望の強度を得るため1%が下限として必要であるが、過剰に含有させるとマルテンサイト体積率が増大しすぎて延性が劣化するので上限を2.5%に規定する。
P:0.05%以下
PはSiと同様に、フェライト+マルテンサイト2相組織を安定して得るためには必須の元素であるが、含有量が多くなると溶接部の靭性が劣化するので、上限を0.05%に規定する。
【0021】
S:0.01%以下(0を含む)
Sは不純物であり、含有量が高いとPと同様に溶接部の靭性が劣化する。このため上限を0.01%に規定する。
sol.AlとN
sol.AlとNは、通常の鋼に含有される量であれば本発明の効果を損なわず、それぞれ0.05%以下、0.007%以下であればよい。
【0022】
次に、本発明の溶融亜鉛メッキ鋼板の成分元素において重要なMoとVの含有量について説明する。
Moは、本発明の効果を得るために必須の元素である。上述したように、これは、フェライト+マルテンサイト2相組織を得るために有効であるばかりか、溶接時にHAZ部での昇温によるマルテンサイト相の焼戻し軟化が、Moの炭化物の析出で抑制されるためである。このため効果が発現する0.05%を下限として含有させる。しかし、過剰に含有させると、逆にHAZ部で硬度上昇が大きくなり、HAZ部の硬度変化は大きくなる。したがって、上限を0.5%に規定する。
【0023】
さらに、延性と溶接後の加工性の観点からは、Mn含有量に対するMo含有量の比率が重要で、これがある基準以上(Mo/Mn≧0.085)含有されないとMn偏析によるマルテンサイト相の層状分布が解消されない、あるいは、溶融金属部の硬さが上昇しすぎるなどして、本発明の意図する効果が十分得られない。一方、Mn含有量に対してMo含有量を過剰に(Mo/Mn>0.3)すると、フェライトが過剰に析出しやすくなり、とくに溶融金属部において粗大なフェライト粒が形成されて溶接後の加工性が劣化してしまうので好ましくない。
以上の点から、Mo含有量は0.05〜0.5%とし、かつMn含有量に対して0.085≦Mo/Mn≦0.3の範囲に規定する。
【0024】
本発明では、Mo含有量をベースにその他のマルテンサイト相の焼戻し軟化抵抗に有効と思われる元素、具体的にはV、Crについても検討を加えた。この結果、溶接時のHAZ部のように短時間の昇温においては元素の種類による影響が異なり、Crは微量の含有でもHAZ部での硬度上昇が大きくなり、含有量が0.2%を越えるとHAZ部の硬度変化が大きくなることが明らかとなった。このため、本発明ではCrの含有量は0.2%以下とすることとした。
【0025】
本検討で注目されたのはVであり、MoとVの複合含有でHAZ部の硬度変化が極めて小さくなった。これは、マルテンサイト相の短時間の昇温時のV炭化物による析出強化がそれほど大きくなく、しかも、Mo炭化物が析出する温度と異なるため、HAZ部の広い熱履歴域において、均一な焼戻し軟化抵抗が得られるためと考えられた。このような効果を得るためのV量の下限は0.02%であり、過剰に含有させるとやはりHAZ部での硬度上昇が大きくなるので、上限は0.2%に規定した。
【0026】
また、VはMoと同じくフェライトフォーマーであることから、Moの単独含有の場合と同じ理由でMn含有量に対するMoとVの合計含有量の比率の下限と上限を規定する必要がある。ただし、本発明者らの検討によれば、MoとVを複合含有する場合、フェライトの析出のしやすさが、単独含有の場合よりも強くなることがわかり、このため、Mn含有量に対するMoとVの合計含有量の比率の下限と上限は、Moの単独含有の場合よりもそれぞれそのしきい値が低くなった。
すなわち、Vの含有量は0.02〜0.2%の範囲とし、かつMo+Vで0.5%を上限とし、 0.05≦(Mo+V)/Mn≦0.25を満たすよう限定する。
【0027】
その他、言及していない元素については、極端に多く含有しなければ、とくに本発明の効果を損なわない。例えば、鋼の高強度化あるいは微細化を目的としてNbやTiを含有させる場合、0.05%以内であれば問題はない。
【0028】
次に、本発明鋼板の製造法に関して説明する。前記課題を解決するための第3の手段は、前記第1の手段、第2の手段に記載した成分の鋼、あるいはそれらの手段にさらにCr:0.2%以下やNb:0.05%以下、Ti:0.05%以下のうち少なくとも1種を含有した鋼(請求項3と請求項4)を、鋳造後、巻取り温度500〜650℃で熱間圧延して鋼帯とし、酸洗後にそのまま、又は必要に応じて40%以上の圧下率で冷間圧延した後、連続溶融亜鉛メッキラインにおいて750〜850℃で均熱した後、1〜50℃/secの冷却速度で600℃以下の温度域まで冷却し、400〜600℃での滞留時間が180秒以内となるよう亜鉛メッキし、必要に応じてさらに合金化処理を行うことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の溶融亜鉛メッキ鋼板の製造方法(請求項5)である。
【0029】
本発明鋼板を得るには、各成分元素を上記のごとく限定したうえ、平均粒径20μm以下のフェライトと体積率5〜40%のマルテンサイトで構成される組織に制御する必要がある。
【0030】
まず、鋳造後、熱延鋼帯とし、酸洗して、あるいは、酸洗後さらに40%以上の圧下率で冷間圧延してメッキ下地を準備する。熱間圧延条件はとくに規定していないが、仕上げ熱延がAr3変態点を下回ったり、熱延終了後の冷却速度が10℃/sec以下と緩冷却であるなど、熱延板粒径が著しく大きくならければ、とくに問題は生じない。
【0031】
巻取り温度については、650℃を超えると熱延板組織が大きくなったり、層状組織が目立ち好ましくなく、500℃を下回るとベイナイトやマルテンサイト組織が形成し、その後の焼鈍において組織が不均一となりやすい。このため、巻取り温度は500〜650℃に規定する。
【0032】
また、熱延終了後に1秒以内に100〜300℃/secといった大冷却を活用したり、これにさらに仕上げ熱延大圧下を組み合わせるなど、熱延板粒径を小さくする行為に関しては、本発明の効果を阻害しない。冷間圧延を40%以上に規定しているのは、これ以下だと焼鈍で粒径が大きくなりやすくなるためである。
【0033】
連続溶融亜鉛メッキラインにおいて、均熱温度は、安定してオーステナイト相を得るため750℃以上が必要であるが、850℃を超えると粒径が大きくなり所望の特性が得られなくなるのでこれを上限とする。この後、1〜50℃/secの冷却速度で600℃以下の温度域まで冷却するが、これはパーライトを生じさせず、かつ微細なフェライトを所望の体積率析出させるためで、冷速の下限はこれ以下ではパーライトが生じたりフェライト粒径が大きくなるため規定する。冷却速度の上限は、これを超えるとフェライトが十分析出しなばかりかマルテンサイト体積率が大きくなるので規定する。
【0034】
酸洗板あるいは冷延板は、600℃以下の温度域まで冷却された後、亜鉛メッキを施され、必要に応じてさらに合金化処理を施された後、最終的に室温まで冷却される。本発明者らの検討によれば、室温までの冷却過程において、400〜600℃での滞留時間が組織形成に大きく影響を及ぼすことが明らかとなった。すなわち、滞留時間が長くなると、オーステナイトからのセメンタイトの析出が著しくなり、マルテンサイト相の体積率が低下して強度や延性が低下するばかりか、MoやVの析出によるHAZ軟化抵抗効果が得られなくなる。本発明者らの検討結果から、この滞留時間の上限は180秒に規定された。
【0035】
なお、その他とくに言及していないが、造塊あるいは連続鋳造によるスラブ製造法や、熱延での粗熱延バー接続による連続熱延、また、熱延過程でのインダクションヒーターを利用した200℃以内の昇温などは、本発明の効果に対して影響を及ぼさない。
【0036】
【実施例】
以下に本発明の実施例について詳細に説明する。まず、表1に成分を示す本発明成分鋼A〜Xと、表2に成分を示す比較成分鋼a〜wを転炉で出鋼し、連続鋳造によりスラブとした。これらのスラブを表2に示す加熱温度と熱延巻取り条件で熱延鋼帯とし、酸洗し、その一部は冷延率65%冷間圧延して、メッキ下地を準備した。続いて、連続溶融亜鉛メッキラインにて、表3に示す条件で溶融亜鉛メッキ鋼板又は合金化溶融亜鉛メッキ鋼板を製造した。
【0037】
なお、連続溶融亜鉛メッキラインでの熱サイクルは、請求項3に示した好ましい範囲とした。表4には、これらの鋼板の組織、引張強度(TS)と延性(El)および溶接後の加工性を評価する目的から、図3に示すようにJIS5号試験片の平行部中央にレーザー溶接をビードオンした特殊試験片を用いた場合の延性(El*)を記載した。レーザー溶接条件は、出力4kW、速度1.5m/minであり、とくに溶接速度は遅くしてHAZ軟化の生じやすい条件とした。
【0038】
図1は、表4に示した鋼のTSxEl*値を、(Mn+V)/Mnで整理した図である。(ただし、表4においては、同じ鋼板を熱延したままのものと、それを冷延したものの両方を記載しているものがある。たとえば鋼番5と鋼番6、鋼番11と鋼番12である。図1においては、このうち、熱延したままのものの値のみをプロットしてある。)表4の本発明鋼に対応するものは、TSxEl*が16000以上である。図1で、V≧0.02%、V<0.02%の2水準ごとに比較した場合、TSxEl*が16000付近で、本発明鋼と比較鋼との間に臨界的さが生じ、本発明鋼では性能(溶接後の加工性)が格段に良くなっているのが分かる。
【0039】
もちろん、表4からわかるようにこれらの鋼板では溶接していない場合でも、TSxElが19000を超えており、高延性を有している。(ただし、鋼番6のものだけが、TSxEl*が16000を若干下回っているが、これは、冷延により板厚が薄くなっており、伸びの値が小さくなっているためである。)
一方、表4より分かるように、比較鋼では、溶接していない場合ではTSxElが19000を超える場合が多数あるものの、溶接後ではTSxEl*値が13000程度のものが多く、極端に加工性が劣化しているのがわかる。
【0040】
表5、表6は、本発明成分鋼Wについて、とくに連続溶融亜鉛メッキラインでの熱サイクル条件を変化させて、特性の変化を検討した結果を示している。鋼番1や5では均熱温度が、鋼番6や11では冷却速度が適切でないため、また、鋼番15、16では400〜600℃での滞留時間が長すぎるため、本発明の規定する組織が得られておらず、所望の溶接後の加工性が得られていない。
【0041】
図2には、上述したC、Mn含有量やMn含有量に対するMo、V含有量の比率の過不足によるHAZ部での硬度変化を模式的に示している。
【0042】
なお、本発明では溶接後の加工性が良好とするために、溶接部断面の硬度分布をできるだけ均一にすることに主眼をおいている。この指標として、JIS5号試験片の平行部中央にレーザー溶接をビードオンした特殊試験片を用いた場合の延性を評価したが、これはあくまで代表例であって、本発明によれば、溶接後の加工性が良好になるばかりでなく、例えば、テーラードブランク材を成形する場合に、溶接線近傍における板厚減少が小さく、成形後の外観が良好であったり構造部材としての強度も高いという効果等も得られる。
【0043】
【表1】
Figure 0004304812
【0044】
【表2】
Figure 0004304812
【0045】
【表3】
Figure 0004304812
【0046】
【表4】
Figure 0004304812
【0047】
【表5】
Figure 0004304812
【0048】
【表6】
Figure 0004304812
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、延性および溶接後の加工性に優れる高強度な溶融亜鉛メッキ鋼板が得られ、単独板ままでの成形性に優れるのみならずテーラードブランク材でも成形性の劣化が、また、溶接で構造体となされた部材の変形強度、破断強度、高速変形強度などの性能の劣化が極めて小さい溶融亜鉛メッキ鋼板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋼のTSxEl*値を、(Mn+V)/Mnで整理した図である。
【図2】C、Mn含有量やMn含有量に対するMo、V含有量の比率の過不足によるHAZ部での硬度変化を模式的に示した図である。
【図3】延性(El*)を測定するために用いた特殊試験片を示す図である。

Claims (5)

  1. C:0.04〜0.1%、Si:0.5%以下、Mn:1〜2.5%、P:0.05%以下、S:0.01%以下(0を含む)、sol.Al:0.05%以下、N:0.007%以下、V:0.02%未満を含有し、さらにMoを0.05〜0.5%の範囲で0.085≦Mo/Mn≦0.3を満たすように含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなり、かつ組織が平均粒径20μm以下のフェライトと体積率5〜40%のマルテンサイトからなることを特徴とする溶融亜鉛メッキ鋼板。
  2. C:0.04〜0.1%、Si:0.5%以下、Mn:1〜2.5%、P:0.05%以下、S:0.01%以下(0を含む)、sol.Al:0.05%以下、N:0.007%以下を含有し、さらにMoを0.05〜0.5%の範囲で0.085≦Mo/Mn≦0.3を満たすように、Vを0.02〜0.2%の範囲でMo+V≦0.5%、0.05≦(Mo+V)/Mn≦0.25を満たすようにそれぞれ含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなり、かつ組織が平均粒径20μm以下のフェライトと体積率5〜40%のマルテンサイトからなることを特徴とする溶融亜鉛メッキ鋼板。
  3. さらにCr:0.2%以下を含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の溶融亜鉛メッキ鋼板。
  4. さらにNb:0.05%以下、Ti:0.05%以下のうち少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の溶融亜鉛メッキ鋼板。
  5. 請求項1から請求項4のいずれかに記載した成分の鋼を、鋳造後、巻取り温度500〜650℃で熱間圧延して鋼帯とし、酸洗後にそのまま、又は必要に応じて40%以上の圧下率で冷間圧延した後、連続溶融亜鉛メッキラインにおいて750〜850℃で均熱した後、1〜50℃/secの冷却速度で600℃以下の温度域まで冷却し、400〜600℃での滞留時間が180秒以内となるよう亜鉛メッキし、必要に応じてさらに合金化処理を行うことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の溶融亜鉛メッキ鋼板の製造方法。
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