JP2001250676A - 複合基板、複合基板の製造方法、およびel素子 - Google Patents

複合基板、複合基板の製造方法、およびel素子

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JP2001250676A
JP2001250676A JP2000059520A JP2000059520A JP2001250676A JP 2001250676 A JP2001250676 A JP 2001250676A JP 2000059520 A JP2000059520 A JP 2000059520A JP 2000059520 A JP2000059520 A JP 2000059520A JP 2001250676 A JP2001250676 A JP 2001250676A
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layer
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film
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Taku Takeishi
卓 武石
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    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
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    • C04B41/00After-treatment of mortars, concrete, artificial stone or ceramics; Treatment of natural stone
    • C04B41/45Coating or impregnating, e.g. injection in masonry, partial coating of green or fired ceramics, organic coating compositions for adhering together two concrete elements
    • C04B41/50Coating or impregnating, e.g. injection in masonry, partial coating of green or fired ceramics, organic coating compositions for adhering together two concrete elements with inorganic materials
    • C04B41/5025Coating or impregnating, e.g. injection in masonry, partial coating of green or fired ceramics, organic coating compositions for adhering together two concrete elements with inorganic materials with ceramic materials
    • C04B41/5041Titanium oxide or titanates

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 人体に有害な鉛を含まない誘電体材料を用
い、厚膜プロセスを用いて作製された電極と厚膜誘電体
を設けた複合基板であって、その厚膜誘電体の表面が平
滑である複合基板、その製造法、これを用いたEL素子
を提供する。 【解決手段】 電気絶縁性を有する基板と、この基板上
に厚膜法により形成された電極と絶縁体層とを有する複
合基板であって、前記絶縁体層上にチタン酸バリウム
(BaTiO3 )を主成分とする誘電体薄膜がゾル−ゲ
ル法により形成されている構成の複合基板、その製造方
法、EL素子とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、誘電体と電極を有
する複合基板、およびその複合基板を用いたエレクトロ
ルミネセンス素子(EL素子)、およびその製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】電界の印加によって物質が発光する現象
をエレクトロルミネセンス(EL)といい、この現象を
用いた素子は液晶ディスプレイ(LCD)や時計のバッ
クライトとして実用化されている。
【0003】EL素子には粉末蛍光体を有機物やホウロ
ウに分散させ、上下に電極を設けた構造をもつ分散型素
子と、電気絶縁性の基板上に2つの電極と2つの薄膜絶
縁体の間に挟む形で形成した薄膜蛍光体を用いた薄膜型
の素子がある。また、それぞれについて、駆動方式によ
り直流電圧駆動型、交流電圧駆動型がある。分散型EL
素子は古くから知られており、製造が容易であるという
利点があるが、輝度が低く寿命も短いのでその利用は限
られていた。一方、薄膜型EL素子は高輝度、長寿命と
いう特性をもち、EL素子の実用範囲を大きく広げた。
【0004】従来、薄膜型EL素子においては基板とし
て液晶ディスプレイやPDPなどに用いられている青板
ガラスを用い、かつ基板に接する電極をITOなどの透
明電極とし、蛍光体で生じた発光を基板側から取り出す
方式が主流であった。また蛍光体材料としては黄橙色発
光を示すMnを添加したZnSが、成膜のしやすさ、発
光特性の観点から主に用いられてきた。カラーディスプ
レイを作製するには、赤色、緑色、青色の3原色に発光
する蛍光体材料の採用が不可欠である。これらの材料と
しては青色発光のCeを添加したSrSやTmを添加し
たZnS、赤色発光のSmを添加したZnSやEuを添
加したCaS、緑色発光のTbを添加したZnSやCe
を添加したCaSなどが候補に上げられており、研究が
続けられている。しかし現在までのところ、発光輝度、
発光効率、色純度の点に問題があり、実用化にはいたっ
ていない。
【0005】これらの問題を解決する手段として、高温
で成膜する方法や成膜後に高温で熱処理を行うことが有
望であることが知られている。このような方法を用いた
場合、基板として青板ガラスを用いることは耐熱性の観
点から不可能である。耐熱性のある石英基板を用いるこ
とも検討されているが、石英基板は非常に高価であり、
ディスプレーなどの大面積を必要とする用途には適さな
い。
【0006】近年、特開平7−50197号公報や、特
公平7−44072号公報に記載されているように、基
板として電気絶縁性のセラミック基板を用い、蛍光体下
部の薄膜絶縁体のかわりに厚膜誘電体を用いた素子の開
発が報告された。
【0007】この素子の基本的な構造を図6に示す。図
6に示されるEL素子は、セラミックなどの基板11上
に、下部電極12、厚膜誘電体層13、発光層14、薄
膜絶縁体層15、上部電極16が順次形成された構造と
なっている。このように、従来の構造とは異なり、蛍光
体の発光を基板とは反対側の上部から取り出すため、透
明電極は上部に設けられている。
【0008】この素子では厚膜誘電体は数10μm と薄
膜絶縁体の数100〜数1000倍の厚さをもってい
る。そのためピンホールなどに起因する絶縁破壊が少な
く、高い信頼性と高い製造時の歩留まりを得ることがで
きるという利点を有している。
【0009】厚い誘電体を用いることによる蛍光体層へ
の電圧降下は高誘電率材料を誘電体層として用いること
により克服している。またセラミック基板と厚膜誘電体
を用いることにより、熱処理温度を高めることができ
る。その結果、従来は結晶欠陥の存在により不可能であ
った高い発光特性を示す発光材料の成膜が可能となっ
た。
【0010】厚膜誘電体に用いられる誘電材料の条件と
して、高誘電率で誘電抵抗、耐電圧が高いことが好まし
い。しかし基板材料として一般的に広く用いられている
結晶化ガラスやAl23 を用い、誘電材料として高い
誘電特性から広くキャパシター材料に用いられているB
aTiO3 を用いると、焼成時にBaTiO3 誘電体層
にクラックが入ってしまうという問題が生じていた。こ
のクラックにより誘電体層の耐電圧が低くなるので、こ
の複合基板を用いてEL素子を作製すると容易に素子が破
壊してしまう。この原因は誘電体を高温で焼成しなけれ
ばならないとともに、基板材料と誘電体の熱膨張率が違
うため、焼成時に誘電体層に大きな引張り応力が働くた
めと考えられている。この問題と基板材料の誘電体材料
の反応を最小限に抑える必要性から、過去には特開平7
−50197号公報や特開平7−44072号公報に記
されているように誘電体材料として焼成温度の比較的低
い鉛系の誘電材料が主に検討されてきた。
【0011】ところで、厚膜誘電体層上に形成される発
光層は数100nmと厚膜誘電体層の1/100程度の厚
さしかない。そのため発光層の剥離をなくし、均一に形
成させるには厚膜誘電体層は発光層の厚み以下のレベル
でその表面が平滑でなければくてはならない。しかしな
がら鉛系の誘電体材料を用いた場合でも、印刷法やシー
ト法といった通常の厚膜工程で厚膜誘電体層を作製する
と、誘電体層表面を十分平滑にすることは困難であっ
た。
【0012】従来のプロセスでは特開平7−50197
号公報に記されているように、厚膜誘電体層表面にジル
コン酸−チタン酸鉛やランタン酸−ジルコン酸−チタン
酸鉛からなる鉛系からなる薄膜誘電体層をゾル−ゲル工
程などにより形成し、表面平滑化を実現していた。
【0013】しかし、人体に有害な鉛を原料に用いるこ
とは製造上および廃品回収コストを増大させるので好ま
しくない。また、鉛系の誘電体材料は一般に焼成温度が
BaTiO3 より低いゆえに、EL素子としたときの蛍
光体層の熱処理温度を高めることができず、十分な発光
特性を得ることができなかった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、人体
に有害な鉛を含まない誘電体材料を用い、厚膜プロセス
を用いて作製された電極と厚膜誘電体を設けた複合基板
であって、その厚膜誘電体の表面が平滑である複合基
板、その製造法、これを用いたEL素子を提供すること
である。
【0015】
【課題を解決するための手段】すなわち、上記目的は以
下の構成により達成される。 (1) 電気絶縁性を有する基板と、この基板上に厚膜
法により形成された電極と絶縁体層とを有する複合基板
であって、前記絶縁体層上にチタン酸バリウム(BaT
iO3 )を主成分とする誘電体薄膜がゾル−ゲル法によ
り形成されている複合基板。 (2) 前記誘電体層と基板との主成分が同一である上
記(1)の複合基板。 (3) 前記誘電体層の主成分がチタン酸バリウム(B
aTiO3 )である上記(1)または(2)の複合基
板。 (4) 前記絶縁体層上に、機能性薄膜が形成されてい
る上記(1)〜(3)のいずれかの複合基板。 (5) 上記(1)〜(4)のいずれかの複合基板の絶
縁体層上に、少なくとも発光層と透明電極とを有するE
L素子。 (6) 前記発光層と透明電極との間に薄膜絶縁層を有
する上記(5)のEL素子。 (7) シート状の基板ペーストから形成された基板前
駆体に、電極ペーストと絶縁体ペーストとを順次厚膜形
成して電極グリーンおよび絶縁体グリーンが積層形成さ
れた複合基板前駆体を得、これを圧着処理した後、チタ
ン酸バリウム(BaTiO3 )を主成分とする誘電体薄
膜をゾル−ゲル法により形成し、その後焼成して複合基
板を得る複合基板の製造方法。
【0016】
【作用】本発明においては、非鉛系のゾル−ゲル溶液を
厚膜誘電体層上に塗布、乾燥、焼成することにより、表
面が平滑な誘電体層を有する基板/電極/絶縁体層から
なる複合基板を作製することが出来る。このような表面
が平滑な複合基板を用いてEL素子を作製すると、その上
に形成される発光層を剥離無しに均一に形成することが
できる。その結果、発光特性、信頼性に優れたEL素子
を作製することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の複合基板は、電気絶縁性
を有する基板と、この基板上に厚膜法により形成された
電極と絶縁体層とを有する複合基板であって、前記絶縁
体層上にチタン酸バリウム(BaTiO3 )を主成分と
する誘電体薄膜がゾル−ゲル法により形成されているも
のである。
【0018】このように、非鉛系のチタン酸バリウム
(BaTiO3 )を主成分とする誘電体薄膜をゾル−ゲ
ル法により形成することで、簡単な工程で、絶縁層の表
面を均一に平坦化でき、EL素子としたときに優れた特
性を得ることができる。このチタン酸バリウム(BaT
iO3 )を主成分とする誘電体薄膜は、高い温度で焼結
を行うことができるため、緻密な発光層を得ることがで
きる。また、非鉛系の材料であるため環境にも優しい複
合基板とすることができる。
【0019】また、このような複合基板を用いて薄膜E
L素子を構成することにより、簡単な工程で、高性能の
ディスプレイを形成することができる。なお、このよう
な平坦な表面を有する複合基板は、後述する方法により
容易に形成することができる。
【0020】以下、本発明の具体的構成を説明する。図
1には本発明による電極、絶縁体層付き複合基板を用い
たEL素子の断面図を示す。複合基板は電気絶縁性のセ
ラミック基板1上に、所定のパターンで形成された厚膜
電極2と、その上に厚膜法により形成された高誘電率セ
ラミック焼結体3、およびゾル−ゲル法を用いて作製さ
れたチタン酸バリウムを主成分とする薄膜誘電体層4か
らなる積層セラミック構造体となっている。
【0021】また、複合基板を使用したEL素子は複合
基板上に真空蒸着、スパッタリング法、CVD法等で形成
された薄膜発光層5、上部薄膜絶縁体層6、上部透明電
極7からなる基本構造を有している。また、上部薄膜絶
縁体層を省略した片絶縁構造としてもよい。
【0022】上記の複合基板前駆体は、通常の厚膜法に
より製造することができる。すなわち、例えばAl23
や結晶化ガラスなどの電気絶縁性を有するセラミック
基板上に、PdやAg/Pdのような導体粉末にバイン
ダーや溶媒を混合して作製された電極ペーストを、スク
リーン印刷法等により所定のパターンに印刷する。次い
で、その上に粉末状の絶縁体材料に、バインダーと溶媒
を混合して作製された絶縁体ペーストを上記同様に印刷
する。あるいは、絶縁体ペーストをキャスティング成膜
することによりグリーンシートを形成し、これを電極上
に積層してもよい。さらには、絶縁体のグリーンシート
上に電極を印刷し、これを基板上に積層してもよい。
【0023】以上の構造を電極および誘電体層に適した
温度で焼成を行う。
【0024】薄膜誘電体層形成に用いられるチタン酸バ
リウムゾル−ゲル溶液はよく知られているように、チタ
ニウム・アルコキシドやバリウム・アルコキシドをアル
コール類に溶解させて作製してもよいが、溶媒にプロパ
ンジオールなどのジオール類を用い、金属原料として酢
酸塩やアセチルアセトネート化合物を用いると、析出沈
殿の少ない高濃度の溶液を作製することが出来る。ゾル
−ゲルの主成分であるチタン酸バリウム(BaTiO
3 )は、溶媒1000ml中に、0.1〜5.0 mol、特
に0.5〜1.0 mol含有することが好ましい。
【0025】また、副成分として、酸化マグネシウム
(MgO)、酸化マンガン(Mn34 )、酸化タングス
テン(WO3 )、酸化カルシウム(CaO)、酸化ジル
コニウム(ZrO2 )、酸化ニオブ(Nb25 )、酸
化コバルト(Co34 )、酸化イットリウム(Y
23 )、および酸化バリウム(BaO)から選択され
る1種または2種以上を総計0.001〜30wt%程度
含有されていてもよい。また、焼成温度、線膨張率の調
整等のため、副成分としてSiO2 、MO(ただしMは
Mg,Ca,SrおよびBaから選択される1種または
2種以上の元素)、Li2O、B23 から選択される少
なくとも1種を含有していてもよい。
【0026】このようにして作製されたチタン酸バリウ
ムゾル−ゲル溶液をスピンコートあるいはディップコー
ト等の塗布法により前記の厚膜誘電体層上に塗布する。
【0027】次にゾルーゲル溶液を塗布した複合基板を
乾燥させ、さらには焼成を行う。平滑な薄膜誘電体層表
面を得るにはゾルーゲル溶液塗布/乾燥/焼成からなる
工程を数回繰り返せばよい。あるいは溶液塗布/乾燥を
繰り返した後に焼成を行ってもよい。または焼成前の複
合基板上にゾルーゲル溶液を塗布し、電極,厚膜誘電体
層、薄膜誘電体層を同時に焼成を行ってもよい。
【0028】乾燥温度としては、好ましくは400〜5
00℃程度で、1〜10分間程度であり、焼成温度とし
ては、好ましくは600〜1200℃程度で、5〜30
分間程度である。
【0029】本発明の基板は、絶縁性を有し、その上に
形成される絶縁層(誘電体層)、電極層を汚染すること
なく、所定の強度を維持できるものであれば特に限定さ
れるものではない。具体的な材料としては、アルミナ
(Al23)、石英ガラス(SiO2 )、マグネシア
(MgO)、フォルステライト(2MgO・Si
2)、ステアタイト(MgO・SiO2)、ムライト
(3Al23・2SiO2)、ベリリア(BeO)、ジ
ルコニア(ZrO2 )、窒化アルミニウム(AlN)、
窒化シリコン(SiN)、炭化シリコン(SiC+Be
O)等のセラミック基板を挙げることができる。その
他、Ba系、Sr系、およびPb系ペロブスカイトを用
いることができ、この場合、絶縁層と同じ組成物を用い
ることができる。これらのなかでも特にアルミナ基板が
好ましく、熱伝導性が必要な場合にはベリリア、窒化ア
ルミニウム、炭化シリコン等が好ましい。基板材料とし
て絶縁層と同じ組成物を用いた場合、熱膨張の違いによ
るそり、はがれ現象等を生じないので好ましい。
【0030】これらの基板の焼結温度は800℃以上、
特に800℃〜1500℃、さらには1200℃〜14
00℃程度である。
【0031】基板には、焼成温度を低下させるなどの目
的から、ガラス材を含有していてもよい。具体的には、
PbO,B23 ,SiO2 ,CaO,MgO,TiO
2 、ZrO2 の1種または2種以上である。基板材に対
するガラスの含有量としては、20〜30wt%程度であ
る。
【0032】基板用のペーストを調整する場合、有機バ
インダーを有していてもよい。有機バインダーとして
は、特に限定されるものではなく、セラミックス材のバ
インダーとして一般的に使用されているものの中から、
適宜選択して使用すればよい。このような有機バインダ
ーとしては、エチルセルロース、アクリル樹脂、ブチラ
ール樹脂等が挙げられ、溶剤としてはα−ターピネオー
ル、ブチルカルビトール、ケロシン等が挙げられる。ペ
ースト中の有機バインダーおよび溶剤の含有量は、特に
制限されるものではなく、通常使用されている量、例え
ば有機バインダー1〜5wt%、溶剤10〜50wt%程度
とすればよい。
【0033】さらに、基板用ペースト中には、必要に応
じて各種分散剤、可塑剤、絶縁体等の添加物が含有され
ていてもよい。これらの総含有量は、1wt%以下である
ことが好ましい。
【0034】基板の厚みとしては、通常、1〜5mm、好
ましくは1〜3mm程度である。
【0035】電極材料としては、還元性雰囲気で焼成を
行う場合、卑金属を用いることができる。好ましくは、
Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Si,W,Mo等の1
種または2種以上を用いたものやNi−Cu,Ni−M
n,Ni−Cr,Ni−Co、Ni−Al合金のいずれ
か、より好ましくはNi,CuおよびNi−Cu合金等
である。
【0036】また、酸化性雰囲気中で焼成する場合に
は、酸化性雰囲気中で酸化物とならない金属が好まし
く、具体的にはAg,Au,Pt,Rh,Ru,Ir,
PbおよびPdの1種または2種以上であり、特にA
g,PdおよびAg−Pd合金が好ましい。
【0037】電極層には、ガラスフリットを含有してい
てもよい。下地となる基板との接着性を高めることがで
きる。ガラスフリットは、中性ないし還元性雰囲気中で
焼成される場合、このような雰囲気中でもガラスとして
の特性を失わないものが好ましい。
【0038】このような条件を満たすものであれば、そ
の組成は特に限定されるものではないが、例えば、ケイ
酸ガラス(SiO2 :20〜80wt%、Na2O:80
〜20wt%)、ホウケイ酸ガラス(B23 :5〜50w
t%、SiO2 :5〜70wt%、PbO:1〜10wt
%、K2O:1〜15wt%)、アルミナケイ酸ガラス
(Al23 :1〜30wt%、SiO2 :10〜60wt
%、Na2O:5〜15wt%、CaO:1〜20wt%、
23 :5〜30wt%)から選択されるガラスフリッ
トの、1種または2種以上を用いればよい。これに必要
に応じて、CaO:0.01〜50wt%,SrO:0.
01〜70wt%,BaO:0.01〜50wt%,Mg
O:0.01〜5wt%,ZnO:0.01〜70wt%,
PbO:0.01〜5wt%,Na2 O:0.01〜10
wt%,K2 O:0.01〜10wt%,MnO2 :0.0
1〜20wt%等の添加物の一種以上を所定の組成比とな
るように混合して用いればよい。金属成分に対するガラ
スの含有量は特に限定されるものではないが、通常、
0.5〜20wt%、好ましくは1〜10wt%程度であ
る。なお、ガラス中における上記添加物の総含有量は、
ガラス成分を100としたとき50wt%以下であること
が好ましい。
【0039】電極層用のペーストを調整する場合、有機
バインダーを有していてもよい。有機バインダーとして
は、上記基板と同様である。さらに、電極層用ペースト
中には、必要に応じて各種分散剤、可塑剤、絶縁体等の
添加物が含有されていてもよい。これらの総含有量は、
1wt%以下であることが好ましい。
【0040】電極層の膜厚としては、通常、0.5〜5
μm 、好ましくは1〜3μm 程度である。
【0041】絶縁体層を構成する絶縁体材料としては、
特に限定されるものではなく、種々の絶縁体材料を用い
てよいが、例えば、酸化チタン系、チタン酸系複合酸化
物、あるいはこれらの混合物などが好ましく、特に上記
薄膜絶縁層と同一材料である酸化チタン系が好ましい。
【0042】酸化チタン系としては、必要に応じ酸化ニ
ッケル(NiO),酸化銅(CuO),酸化マンガン
(Mn34 ),アルミナ(Al23 ),酸化マグネシ
ウム(MgO),酸化ケイ素(SiO2 )等を総計0.
001〜30質量%程度含む酸化チタン(TiO2 )等
が、チタン酸系複合酸化物としては、チタン酸バリウム
(BaTiO3 )等が挙げられる。チタン酸バリウムの
Ba/Tiの原子比は、0.95〜1.20程度がよ
い。
【0043】チタン酸系複合酸化物(BaTiO3 )に
は、酸化マグネシウム(MgO)、酸化マンガン(Mn
34 )、酸化タングステン(WO3 )、酸化カルシウ
ム(CaO)、酸化ジルコニウム(ZrO2 )、酸化ニ
オブ(Nb25 )、酸化コバルト(Co34 )、酸化
イットリウム(Y23 )、および酸化バリウム(Ba
O)から選択される1種または2種以上を総計0.00
1〜30wt%程度含有されていてもよい。また、焼成温
度、線膨張率の調整等のため、副成分としてSiO2
MO(ただしMはMg,Ca,SrおよびBaから選択
される1種または2種以上の元素)、Li2O、B23
から選択される少なくとも1種を含有していてもよい。
絶縁体層の厚さは特に限定されないが、通常5〜100
0μm 、特に5〜50μm 、さらには10〜50μm 程
度である。
【0044】絶縁層は誘電体材料で形成されていてもよ
い。特に複合基板を薄膜EL素子に応用する場合には誘
電体材料が好ましい。誘電体材料としては、特に限定さ
れるものではなく、種々の誘電体材料を用いてよいが、
例えば、上記酸化チタン系、チタン酸系複合酸化物、あ
るいはこれらの混合物などが好ましい。
【0045】酸化チタン系としては、上記と同様であ
る。また、焼成温度、線膨張率の調整等のため、副成分
としてSiO2 、MO(ただしMはMg,Ca,Srお
よびBaから選択される1種または2種以上の元素)、
Li2O、B23 から選択される少なくとも1種を含有
していてもよい。
【0046】特に好ましい誘電体材料として次に示すも
のが挙げられる。誘電体層(絶縁層)の主成分としてチ
タン酸バリウム、副成分として酸化マグネシウムと、酸
化マンガンと、酸化バリウムおよび酸化カルシウムから
選択される少なくとも1種と、酸化ケイ素とを含有す
る。チタン酸バリウムをBaTiO3 に、酸化マグネシ
ウムをMgOに、酸化マンガンをMnOに、酸化バリウ
ムをBaOに、酸化カルシウムをCaOに、酸化ケイ素
をSiO2 にそれぞれ換算したとき、誘電体層中におけ
る各化合物の比率は、BaTiO3 100モルに対しM
gO:0.1〜3モル、好ましくは0.5〜1.5モ
ル、MnO:0.05〜1.0モル、好ましくは0.2
〜0.4モル、BaO+CaO:2〜12モル、SiO
2 :2〜12モルである。
【0047】(BaO+CaO)/SiO2 は特に限定
されないが、通常、0.9〜1.1とすることが好まし
い。BaO、CaOおよびSiO2 は、(Bax Ca
1-x O)y ・SiO2 として含まれていてもよい。この
場合、緻密な焼結体を得るためには0.3≦x≦0.
7、0.95≦y≦1.05とすることが好ましい。
(Bax Ca1-x O)y ・SiO2 の含有量は、BaT
iO3 、MgOおよびMnOの合計に対し、好ましくは
1〜10重量%、より好ましくは4〜6重量%である。
なお、各酸化物の酸化状態は特に限定されず、各酸化物
を構成する金属元素の含有量が上記範囲であればよい。
【0048】誘電体層には、BaTiO3 に換算したチ
タン酸バリウム100モルに対し、Y2 3 に換算して
1モル以下の酸化イットリウムが副成分として含まれる
ことが好ましい。Y2 3 含有量の下限は特にないが、
十分な効果を実現するためには0.1モル以上含まれる
ことが好ましい。酸化イットリウムを含む場合、(Ba
x Ca1-x O)y ・SiO2 の含有量は、BaTi
3 、MgO、MnOおよびY2 3 の合計に対し好ま
しくは1〜10重量%、より好ましくは4〜6重量%で
ある。
【0049】上記各副成分の含有量の限定理由は下記の
とおりである。
【0050】酸化マグネシウムの含有量が前記範囲未満
であると、容量の温度特性を所望の範囲とすることがで
きない。酸化マグネシウムの含有量が前記範囲を超える
と、焼結性が急激に悪化し、緻密化が不十分となってI
R加速寿命が低下し、また、高い比誘電率が得られな
い。
【0051】酸化マンガンの含有量が前記範囲未満であ
ると、良好な耐還元性が得られずIR加速寿命が不十分
となり、また、損失 tanδを低くすることが困難とな
る。酸化マンガンの含有量が前記範囲を超えている場
合、直流電界印加時の容量の経時変化を小さくすること
が困難となる。
【0052】BaO+CaOや、SiO2 、(Bax
1-x O)y ・SiO2 の含有量が少なすぎると直流電
界印加時の容量の経時変化が大きくなり、また、IR加
速寿命が不十分となる。含有量が多すぎると比誘電率の
急激な低下が起こる。
【0053】酸化イットリウムはIR加速寿命を向上さ
せる効果を有する。酸化イットリウムの含有量が前記範
囲を超えると、静電容量が減少し、また、焼結性が低下
して緻密化が不十分となることがある。
【0054】また、誘電体層中には、酸化アルミニウム
が含有されていてもよい。酸化アルミニウムは比較的低
温での焼結を可能にする作用をもつ。Al2 3 に換算
したときの酸化アルミニウムの含有量は、誘電体材料全
体の1重量%以下とすることが好ましい。酸化アルミニ
ウムの含有量が多すぎると、逆に焼結を阻害するという
問題を生じる。
【0055】好ましい誘電体層の一層あたりの厚さは、
100μm 以下、特に50μm 以下、さらには2〜20
μm 程度とする。誘電体層が厚すぎると容量が減少し発
光層への印可電圧が減少するのみならず、内部電界の拡
がりにより表示素子とした場合に像がにじんだり、クロ
ストークが発生する可能性があるので300μm 以下が
好ましい。
【0056】絶縁層用のペーストを調整する場合、有機
バインダーを有していてもよい。有機バインダーとして
は、上記基板と同様である。さらに、絶縁層用ペースト
中には、必要に応じて各種分散剤、可塑剤、絶縁体等の
添加物が含有されていてもよい。これらの総含有量は、
1wt%以下であることが好ましい。
【0057】本発明においては、基板の材料と絶縁体層
の材料の主成分が同一であることが好ましい。この場
合、主成分としてはチタン酸バリウム(BaTiO3
が好ましく、両者の主成分の組成が同一であり、これに
副成分が40 mol%以下の範囲で含まれていれば同一の
範囲であるとする。この場合の副成分は同一でも異なっ
ていてもよい。
【0058】上記基板、および誘電体層の焼結温度は、
薄膜誘電体層の焼結温度より高いことが好ましく、特に
これらの焼結温度に50℃を加えた温度以上であること
が好ましい。その上限としては特に規制されるものでは
ないが、通常1500℃程度である。
【0059】本発明では複合基板前駆体に加圧処理を施
し、表面を平滑化することが好ましい。加圧の方法とし
て、大面積の金型を用いて複合基板をプレスする方法
や、複合基板上の厚膜絶縁体層にロールを強く押しつ
け、ロールの回転とともに複合基板を移動させる方法な
どが考えられる。加圧圧力としては、10〜5000ト
ン/m2 程度が好ましい。
【0060】電極や絶縁体ペーストを作製するとき、好
ましくはバインダーに熱可塑性樹脂を用い、加圧時に加
圧用の金型やロールを加熱すると効果的である。
【0061】この場合、金型やロールに絶縁体グリーン
が付着・癒着するのを防止するため、金型やロールと絶
縁体グリーンとの間に剥離材を有する樹脂フィルムを介
して加圧するとよい。
【0062】このような樹脂フィルムとして、テトラア
セチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレ
ート(PET),ポリエチレンナフタレート(PE
N)、シンジオクタチックポリステレン(SPS)、ポ
リフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート
(PC)、ポリアリレート(PAr)、ポリスルフォン
(PSF)、ポリエステルスルフォン(PES)、ポリ
エーテルイミド(PEI)、環状ポリオレフィン、ブロ
ム化フェノキシ等が挙げ得られ、特にPETフィルムが
好ましい。
【0063】剥離材としては、例えば、ジメチルシリコ
ーンを主体とするもののように、シリコーン系材料を用
いることができる。剥離材は、通常、上記樹脂フィルム
上に塗布されている。
【0064】金型やロールを加熱する場合、金型やロー
ルの温度は用いるバインダーの種類、特に融点、ガラス
転移点、熱可塑性樹脂の種類等により異なるが、通常、
50〜200℃程度である。加熱温度が低すぎると、十
分な平滑化効果が得られず、高すぎるとバインダーが一
部分解したり、絶縁体グリーンと金型やロール、または
樹脂フィルムと癒着する恐れが生じてくる。
【0065】得られた、複合基板グリーンの絶縁体層の
表面粗さRaは、好ましくは0.1μm 以下である。こ
のような表面粗さは、金型の表面粗さを調整することで
達成できる。また、表面が平坦な樹脂フィルムを介して
加圧することにより、容易に達成できる。
【0066】以上のようにして、複合基板を得ることが
できる。
【0067】本発明の複合基板は、その上に発光層、他
の絶縁層、他の電極層等の機能性膜を形成することによ
り、薄膜EL素子とすることができる。特に、本発明の
複合基板の絶縁層に誘電体材料を用いることで良好な特
性の薄膜EL素子を得ることができる。本発明の複合基
板は焼結材料であるため、機能性膜である発光層を形成
した後に加熱処理を行うような薄膜EL素子にも適して
いる。
【0068】本発明の複合基板を用いて薄膜EL素子を
得るには、絶縁層(誘電体層)上に発光層/他の絶縁層
(誘電体層)/他の電極層の順で形成すればよい。
【0069】発光層の材料としては、例えば、月刊ディ
スプレイ ’98 4月号 最近のディスプレイの技術
動向 田中省作 p1〜10に記載されているような材料を
挙げることができる。具体的には、赤色発光を得る材料
として、ZnS、Mn/CdSSe等、緑色発光を得る
材料として、ZnS:TbOF、ZnS:Tb、Zn
S:Tb等、青色発光を得るための材料として、Sr
S:Ce、(SrS:Ce/ZnS)n、Ca2Ga2
4:Ce、Sr2Ga24:Ce等を挙げることができ
る。
【0070】また、白色発光を得るものとして、Sr
S:Ce/ZnS:Mn等が知られている。
【0071】これらのなかでも、上記IDW(Internati
onal Display Workshop)’97 X.Wu"Multicolor Thin-Fi
lm Ceramic Hybrid EL Displays" p593 to 596 で検討
されている、SrS:Ceの青色発光層を有するELに
本発明を適用することにより特に好ましい結果を得るこ
とができる。
【0072】発光層の膜厚としては、特に制限されるも
のではないが、厚すぎると駆動電圧が上昇し、薄すぎる
と発光効率が低下する。具体的には、蛍光材料にもよる
が、好ましくは100〜1000nm、特に150〜50
0nm程度である。
【0073】発光層の形成方法は、気相堆積法を用いる
ことができる。気相堆積法としては、スパッタ法や蒸着
法等の物理的気相堆積法や、CVD法等の化学的気相堆
積法を挙げることができる。これらのなかでもCVD法
等の化学的気相堆積法が好ましい。
【0074】また、特に上記IDWに記載されているよ
うに、SrS:Ceの発光層を形成する場合には、H2
S雰囲気下、エレクトロンビーム蒸着法により形成する
と、高純度の発光層を得ることができる。
【0075】発光層の形成後、好ましくは加熱処理を行
う。加熱処理は、基板側から電極層、絶縁層、発光層と
積層した後に行ってもよいし、基板側から電極層、絶縁
層、発光層、絶縁層、あるいはこれに電極層を形成した
後にキャップアニールしてもよい。通常、キャップアニ
ール法を用いることが好ましい。熱処理の温度は、好ま
しくは600〜基板の焼結温度、より好ましくは600
〜1300℃、特に800〜1200℃程度、処理時間
は10 〜600分、特に30〜180分程度である。
アニール処理時の雰囲気としては、N2 、Ar、Heま
たはN2 中にO 2 が0.1%以下の雰囲気が好ましい。
【0076】発光層上に形成される絶縁層は、その抵抗
率として、108 Ω・cm以上、特に1010〜1018Ω・
cm程度が好ましい。また、比較的高い誘電率を有する物
質であることが好ましく、その誘電率εとしては、好ま
しくはε=3〜1000程度である。
【0077】この絶縁層の構成材料としては、例えば酸
化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiN)、酸
化タンタル(Ta25)、チタン酸ストロンチウム(S
rTiO3)、酸化イットリウム(Y23)、チタン酸
バリウム(BaTiO3)、チタン酸鉛(PbTi
3)、ジルコニア(ZrO2)、シリコンオキシナイト
ライド(SiON)、アルミナ(Al23)、ニオブ酸
鉛(PbNb26)等を挙げることができ。
【0078】これらの材料で絶縁層を形成する方法とし
ては、上記発光層と同様である。この場合の絶縁層の膜
厚としては、好ましくは50〜1000nm、特に100
〜500nm程度である。
【0079】次に本発明の複合基板の製造工程につい
て、好ましい態様を図を参照しつつ説明する。
【0080】先ず、図2に示すように、表面が平滑なフ
ィルムシート21を用意し、その上に絶縁層(誘電体
層)グリーンシートを積層して、絶縁層(誘電体層)前
駆体3を形成する。
【0081】次いで、図3に示すように、電極層用ペー
スト(電極層前駆体)2を所定のパターンに印刷する。
【0082】さらに、図4に示すように、基板用グリー
ンシート1を必要な厚さ分積層して、基板前駆体とし、
複合基板グリーンを得る。
【0083】その後、図5に示すように、得られた複合
基板グリーンからフィルムシート21を剥離し、必要に
より複合基板前駆体を反転して、脱バインダした後焼成
する。脱バインダ、焼成の条件は下記の通りであり、そ
の際にアニールを行ってもよい。
【0084】あるいはセルロースを含むシート、例えば
紙を用い、シートごと焼成することも可能である。
【0085】焼成前に行なう脱バインダ処理の条件は、
通常のものであってよいが、還元性雰囲気雰囲気で焼成
を行う場合、特に下記の条件で行うことが好ましい。 昇温速度:5〜500℃/時間、特に10〜400℃/
時間 保持温度:200〜400℃、特に250〜300℃ 温度保持時間:0.5〜24時間、特に5〜20時間 雰囲気:空気中
【0086】焼成時の雰囲気は、電極層用ペースト中の
導電材の種類に応じて適宜決定すればよいが、還元性雰
囲気で焼成を行う場合、焼成雰囲気はN2 を主成分と
し、H 2 1〜10%、および10〜35℃における水蒸
気圧によって得られるH2Oガスを混合したものが好ま
しい。そして、酸素分圧は、10-8〜10-12 気圧とす
ることが好ましい。酸素分圧が前記範囲未満であると、
電極層の導電材が異常焼結を起こし、途切れてしまうこ
とがある。また、酸素分圧が前記範囲を超えると、電極
層が酸化する傾向にある。酸化性雰囲気中で焼成を行う
場合、通常の大気中焼成を行えばよい。
【0087】焼成時の保持温度は、好ましくは1100
〜1400℃、より好ましくは1200〜1300℃、
特に1000〜1100℃とすることが好ましい。保持
温度が前記範囲未満であると緻密化が不十分であり、前
記範囲を超えると、電極層が途切れやすくなる。また、
焼成時の温度保持時間は、0.5〜8時間、特に1〜3
時間が好ましい。
【0088】還元性雰囲気中で焼成した場合、複合基板
にはアニールを施すことが好ましい。アニールは、絶縁
体層を再酸化するための処理であり、これによりIR加
速寿命を著しく長くすることができる。
【0089】アニール雰囲気中の酸素分圧は、10-6
圧以上、特に10-6〜10-8気圧とすることが好まし
い。酸素分圧が前記範囲未満であると絶縁体層または誘
電体層の再酸化が困難であり、前記範囲を超えると内部
導体が酸化する傾向にある。
【0090】アニールの際の保持温度は、1100℃以
下、特に1000〜1100℃とすることが好ましい。
保持温度が前記範囲未満であると絶縁体層または誘電体
層の酸化が不十分となって寿命が短くなる傾向にあり、
前記範囲を超えると電極層が酸化し、電流容量が低下す
るだけでなく、絶縁体素地、誘電体素地と反応してしま
い、寿命も短くなる傾向にある。
【0091】なお、アニール工程は昇温および降温だけ
から構成してもよい。この場合、温度保持時間は零であ
り、保持温度は最高温度と同義である。また、温度保持
時間は、0〜20時間、特に2〜10時間が好ましい。
雰囲気用ガスには、加湿したH2 ガス等を用いることが
好ましい。
【0092】なお、上記した脱バインダ処理、焼成およ
びアニールの各工程において、N2、H2 や混合ガス等
を加湿するには、例えばウェッター等を使用すればよ
い。この場合、水温は5〜75℃程度が好ましい。
【0093】脱バインダ処理工程、焼成工程およびアニ
ール工程は、連続して行なっても、独立に行なってもよ
い。
【0094】これらを連続して行なう場合、脱バインダ
処理後、冷却せずに雰囲気を変更し、続いて焼成の保持
温度まで昇温して焼成を行ない、次いで冷却し、アニー
ル工程での保持温度に達したときに雰囲気を変更してア
ニールを行なうことが好ましい。
【0095】また、これらを独立して行なう場合は、脱
バインダ処理工程は、所定の保持温度まで昇温し、所定
時間保持した後、室温にまで降温する。その際の脱バイ
ンダ雰囲気は、連続して行う場合と同様なものとする。
さらにアニール工程は、所定の保持温度にまで昇温し、
所定時間保持した後、室温にまで降温する。その際のア
ニール雰囲気は、連続して行う場合と同様なものとす
る。また、脱バインダ工程と、焼成工程とを連続して行
い、アニール工程だけを独立して行うようにしてもよ
く、脱バインダ工程だけを独立して行い、焼成工程とア
ニール工程を連続して行うようにしてもよい。
【0096】焼成後、この焼結体上にゾル−ゲル法によ
り薄膜誘電体層を形成し、乾燥し、焼成して複合基板が
得られる。
【0097】なお、本発明のEL素子は、単一発光層の
みならず、膜厚方向に発光層を複数積層してもよいし、
マトリクス状にそれぞれ種類の異なる発光層(画素)を
組み合わせて平面的に配置するような構成としてもよ
い。
【0098】本発明の薄膜EL素子は、焼成により得ら
れる基板材料を用いることにより、高輝度の青色発光が
可能な発光層も容易に得られ、しかも、発光層が積層さ
れる絶縁層の表面が平滑であるため、高性能、高精細の
カラーディスプレイを構成することもできる。また、比
較的製造工程が容易であり、製造コストを低く押さえる
ことができる。そして、効率のよい、高輝度の青色発光
が得られることから、白色発光の素子としてカラーフィ
ルターと組み合わせてもよい。
【0099】カラーフィルター膜には、液晶ディスプレ
イ等で用いられているカラーフィルターを用いれば良い
が、EL素子の発光する光に合わせてカラーフィルター
の特性を調整し、取り出し効率・色純度を最適化すれば
よい。
【0100】また、EL素子材料や蛍光変換層が光吸収
するような短波長の外光をカットできるカラーフィルタ
ーを用いれば、素子の耐光性・表示のコントラストも向
上する。
【0101】また、誘電体多層膜のような光学薄膜を用
いてカラーフィルターの代わりにしても良い。
【0102】蛍光変換フィルター膜は、EL発光の光を
吸収し、蛍光変換膜中の蛍光体から光を放出させること
で、発光色の色変換を行うものであるが、組成として
は、バインダー、蛍光材料、光吸収材料の三つから形成
される。
【0103】蛍光材料は、基本的には蛍光量子収率が高
いものを用いれば良く、EL発光波長域に吸収が強いこ
とが望ましい。実際には、レーザー色素などが適してお
り、ローダミン系化合物・ペリレン系化合物・シアニン
系化合物・フタロシアニン系化合物(サブフタロシアニ
ン等も含む)ナフタロイミド系化合物・縮合環炭化水素
系化合物・縮合複素環系化合物・スチリル系化合物・ク
マリン系化合物等を用いればよい。
【0104】バインダーは、基本的に蛍光を消光しない
ような材料を選べば良く、フォトリソグラフィー・印刷
等で微細なパターニングが出来るようなものが好まし
い。
【0105】光吸収材料は、蛍光材料の光吸収が足りな
い場合に用いるが、必要のない場合は用いなくても良
い。また、光吸収材料は、蛍光性材料の蛍光を消光しな
いような材料を選べば良い。
【0106】本発明の薄膜EL素子は、通常、パルス駆
動、交流駆動され、その印加電圧は、50〜300V 程
度である。
【0107】なお、上記例では、複合基板の応用例とし
て、薄膜EL素子について記載したが、本発明の複合基
板はこのような用途に限定されるものではなく、種々の
電子材料等に適用可能である。例えば、薄膜/厚膜ハイ
ブリッド高周波用コイル素子等への応用が可能である。
【0108】
【実施例】以下に、本発明の実施例を示す。以下の実施
例で用いたEL構造体は、複合基板の絶縁層表面に、薄
膜法により発光層、上部絶縁膜、上部電極を順次積層し
た構造をもつものである。
【0109】<実施例1>Pd粉末にバインダー(エチ
ルセルロース)や溶媒(ターピネオール)を混合させて
作製したペーストを99.5%のAl23 基板上に
1.5mm幅、ギャップ1.5mmのストライプ状にパター
ン印刷し、110℃で数分間乾燥を行った。
【0110】これとは別にBaTiO3 粉末にMnO、
MgO、Y23 、V25 、(Ba,Ca)SiO3 、L
2SiO3 を所定量添加し水中で混合を行った。混合
した粉末を乾燥した後にバインダー(アクリル樹脂)や
溶媒(アクリル樹脂)と混合し誘電体ペーストを作製し
た。作製した誘電体ペーストを前記の電極のパターンを
印刷した基板上に30μm の厚さとなるよう印刷、乾燥
を行った後、シリコンを塗布したPETフィルムを誘電
体前駆体上に置き、120℃の熱をかけながら500ト
ン/m2 の圧力で10分間加熱加圧した。次いで、大気
中1200℃で2時間焼成を行った。焼成後の厚膜誘電
体層の厚みは17μm であった。
【0111】薄膜誘電体層形成用のゾルーゲル溶液は次
のようにして作製した。すなわちバリウム・アセチルア
セトネートが60℃で12時間以上減圧雰囲気中で脱水
された。脱水したバリウム・アセチルアセトネートと
1、3プロパンジオールを120℃で2時間混合し、溶液
を作製した。この溶液とは別に、チタニウム・ジイソプ
ロポキシド・ビスアセチルアセトネートと1、3プロパン
ジオールを120℃で2時間混合し、溶液を作製した。
2つの溶液を80℃で5時間混合を行った。作製された
溶液に1−プロパノールを加え、濃度を調製した。溶液
中のBa/Ti比は1.005となるように溶液を調整
した。
【0112】このようにして作製されたゾルーゲル溶液
を、0.2ミクロンのフィルターを通し、析出物等をろ
過した後、先ほどの複合基板上に1500rpmで1分間ス
ピンコートした。溶液をスピンコートした複合基板は4
20℃に保持されたホットプレート上に3分間置かれ、
溶液が乾燥された。その後複合基板は1100℃に保持
された電気炉中に挿入され、15分間焼成が行われた。
スピンコート/乾燥/焼成は3回繰り返された。
【0113】<実施例2>実施例1において、バリウム・
アセチルアセトネートの代わりに酢酸バリウムを用い
た。それ以外は実施例1と同様にして複合基板を得た。
【0114】以上の各実施例において、誘電体の表面粗
さは、タリステップを用い、0.1mm/秒の速さで0.
8mmプローブを移動させることにより測定を行った。ま
た、誘電体層の電気的特性を測定するために誘電体層上
に上部電極を形成した。上部電極は、前記の電極ペース
トを、1.5mm幅、ギャップ1.5mmのストライプ状の
パターンで前記の基板上の電極パターンと直交するよう
に印刷、乾燥を行い、その後850℃で15分間の焼成
を行うことにより形成した。
【0115】誘電特性は、LCRメータを用い、1kHz
の周波数で測定した。また、絶縁抵抗は、25V の電圧
を15秒間印加した後、1分間保持した後の電流値を測
定することにより求めた。さらに、試料に印加する電圧
を100V/秒の速度で上げていき、0.1mA以上の電
流が流れた電圧値を破壊電圧とした。表面粗度および電
気特性は、1つの試料につき異なった部位で3回行い、
その平均値を測定値とした。
【0116】EL素子は、上部電極のない複合基板を用
い、250℃に加熱した状態でMnをドープしたZnS
ターゲットを用い、ZnS蛍光薄膜を厚さ0.7μm と
なるようスパッタ法により形成した後、真空中600℃
で10分間熱処理した。次に第2絶縁層としてSi34
薄膜と第2電極としてITO薄膜をスパッタ法により
順次形成することによりエレクトロルミネセンス素子と
した。発光特性は、得られた素子構造の印刷焼成電極、
ITO透明電極から配線を引き出し、1kHzのパルス幅
50μsの電界を印加して測定した。
【0117】以上のようにして作製した複合基板上の誘
電体層の電気特性とこれらの複合基板を用いて作製した
EL素子の発光特性を表1に示す。比較のため、薄膜誘電
体層を設けていない複合基板についての特性も示す。
【0118】
【表1】
【0119】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、人体に有
害な鉛を含まない誘電体材料を用い、厚膜プロセスを用
いて作製された電極と厚膜誘電体を設けた複合基板であ
って、その厚膜誘電体の表面が平滑である複合基板、そ
の製造方法、これを用いたEL素子を提供することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の薄膜EL素子の基本構成を示した部分
断面図である。
【図2】本発明の複合基板の製造工程を示した部分断面
図である。
【図3】本発明の複合基板の製造工程を示した部分断面
図である。
【図4】本発明の複合基板の製造工程を示した部分断面
図である。
【図5】本発明の複合基板の製造工程を示した部分断面
図である。
【図6】従来の薄膜EL素子の構造を示した部分断面図
である。
【符号の説明】
1 基板 2 下部電極層 3 下部絶縁層 4 発光層 5 上部絶縁層 6 上部電極層 21 フィルムシート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G09F 9/30 365 G09F 9/30 365Z H05B 33/10 H05B 33/10 H05K 1/09 H05K 1/09 A Fターム(参考) 3K007 AB00 AB18 CA02 CB01 CC00 DA02 EA02 EC01 FA01 4E351 AA07 BB01 BB24 BB31 CC11 CC33 DD05 DD20 DD43 DD51 GG20 5C094 AA21 AA43 AA44 AA55 AA60 BA29 CA19 DA13 EA05 EB01 FB02 FB16 5G435 AA00 AA17 BB05 HH16 KK05

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気絶縁性を有する基板と、この基板上
    に厚膜法により形成された電極と絶縁体層とを有する複
    合基板であって、 前記絶縁体層上にチタン酸バリウム(BaTiO3 )を
    主成分とする誘電体薄膜がゾル−ゲル法により形成され
    ている複合基板。
  2. 【請求項2】 前記誘電体層と基板との主成分が同一で
    ある請求項1の複合基板。
  3. 【請求項3】 前記誘電体層の主成分がチタン酸バリウ
    ム(BaTiO3 )である請求項1または2の複合基
    板。
  4. 【請求項4】 前記絶縁体層上に、機能性薄膜が形成さ
    れている請求項1〜3のいずれかの複合基板。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかの複合基板の絶
    縁体層上に、少なくとも発光層と透明電極とを有するE
    L素子。
  6. 【請求項6】 前記発光層と透明電極との間に薄膜絶縁
    層を有する請求項5のEL素子。
  7. 【請求項7】 シート状の基板ペーストから形成された
    基板前駆体に、 電極ペーストと絶縁体ペーストとを順次厚膜形成して電
    極グリーンおよび絶縁体グリーンが積層形成された複合
    基板前駆体を得、 これを圧着処理した後、 チタン酸バリウム(BaTiO3 )を主成分とする誘電
    体薄膜をゾル−ゲル法により形成し、 その後焼成して複合基板を得る複合基板の製造方法。
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JP2007035348A (ja) * 2005-07-25 2007-02-08 Sharp Corp エレクトロルミネッセンス表示装置及びその製造方法

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