JP2001247938A - 電子機器部品用オーステナイト系ステンレス鋼板 - Google Patents
電子機器部品用オーステナイト系ステンレス鋼板Info
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- Y02P10/00—Technologies related to metal processing
- Y02P10/20—Recycling
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Abstract
材料を安価かつ安定供給可能な、オーステナイト系ステ
ンレス鋼とその合理的かつ効率的製造方法の提供。 【解決手段】質量%で、C:0.01%以上0.08%以下、S
i:0.1%以上2.0%以下、Mn:3.0%以下、Cr:10.0%以
上20.0%以下、Ni:3.0%以上12.0%以下、N:0.08%
以上0.25%以下、Nb:0.01%以上0.50%以下を含み、か
つMd=500−458(C+N)−9(Si+Mn)−13Cr−19Ni−65Nb
としたときのMd値が0以上80以下、残部Fe及び不純物か
らなり、金属組織が再結晶粒と前加工の影響を残す未再
結晶部の混合組織を備え、金属組織中にNb窒化物が存在
してもよい素材に対して、熱間加工後、冷間圧延および
焼鈍を繰り返して施す鋼板の製造方法であって、圧下率
20%以上で最終の冷間圧延を行った後、650℃以上1000
℃以下でその温度での0.2%耐力以下に相当する張力を
付与し300秒以下保持する焼鈍を行う。
Description
度、低残留応力を有する高性能オーステナイト系ステン
レス鋼板とその製造方法に関する。特に、本発明は、電
子機器部品用に適する高強度、高平坦度、低残留応力を
有する高性能オーステナイト系ステンレス鋼板とその製
造方法に関する。
較的小さな寸法で採取され、必要に応じ所定の加工を施
した後に部品として完成し、その後は主に電子機器中に
組込まれて使用されるものである。具体的には、板材を
母材とする多種、多目的に渡る電子機器用のバネ部品で
あり、またメタルフィルター、リードフレーム、ジンバ
ル等を指すものである。板材からの採取は、切断やプレ
ス機等を用いての打抜き、製品以外の部分を化学的に腐
食除去するエッチング等の各種方法により行われる。
目的を有する多くの製品があり、特に高強度を必要とす
るバネ部品をはじめとして、半導体チップがその上に固
定されるリードフレーム、磁気ヘッドを支えるジンバル
はいずれも構造部品であって、充分な強度が必要とな
る。また、上記のように切断や打ち抜きにより所定寸法
の部品を高精度かつ安定して採取するためには、板材は
高平坦度であることが必要とされる。
に起因せず、周囲からの拘束が無くなることで部品に発
生する形状変化を防止するため、板材に残存する弾性歪
も低減されている( 低残留応力) 必要がある。特に、高
平坦度および低残留応力であることは、最近の電子精密
機器の小型、軽量化にともなう部品形状の高精度、複雑
化あるいは高密度化にともない必要不可欠となり、要求
が厳しくなる一方である。
加工誘起マルテンサイト変態を伴う加工硬化により比較
的容易に高強度が得られ、加工率の調整による広範囲な
強度調整も可能であり、加工性にも優れるSUS301やSUS3
04等の準安定オーステナイト系ステンレス鋼が主な素材
の一つとして使用されてきた。
IS-G-4313)においてバネ用ステンレス鋼帯としての規定
がなされ、強度、伸び、形状等に関して1/2HからEHにわ
たる多種の仕様がある。それらの中で最高強度を示すSU
S301材のEH仕様でのビッカース硬度(Hv)は 490以上にも
達する。そして、上述のような用途への拡大もあり、最
近の同鋼帯には高強度、高平坦度とともに低残留応力で
あることが要求されるようになっている。
であり、全工程は図1(a)に概略示すようである。
されたステンレス鋼鋳塊は通常の熱間加工工程を経て熱
延材となり、次いで、冷間圧延および焼鈍を繰返して所
定板厚にまで減厚される。その後、調質圧延、形状矯
正、再加熱による歪取焼鈍が施される。これらの工程の
うち、調質圧延は、製品板厚への減厚に伴う加工硬化に
より必要な強度、伸びに調整するためになされる。その
ために前工程で繰返される冷間圧延および焼鈍の最終段
階においては、この調質圧延を考慮した所定板厚への減
厚後、充分な軟化がなされる。
く変化させない塑性変形域で平坦度改善のために施さ
れ、また歪取焼鈍はその性能を大きく変化させない温度
域で残留応力低減のために施される。
効果を併せ持つ工程として、TA(Tension Annealing)処
理が施される場合もある。TA処理は、調質圧延後の性能
を大きく変化させない範囲で張力を付与しつつ加熱する
ものであり、平坦度改善と残留応力低減を同時になすこ
とを目的とする処理である。
に伴う板厚の減少、高強度化のために加工率が増加する
傾向にあり、それに伴って耳伸び等の形状悪化が増加す
る傾向にある。このため、上述の形状矯正はより高強度
かつ形状の悪化した材料に施されることとなり、充分な
改善が難しくなっている。また、矯正後に例え平坦とな
っても、高強度( 高降伏応力) 材を大きく変形させるた
め、弾性変形により平坦となっている場合も多く、歪取
焼鈍後に形状が再び悪化することも多かった。
おいて局所的かつ多量に導入された弾性歪を充分に除去
するために、引き続いて行われる歪取焼鈍工程では強
度、伸びを変化させない低温において長時間実施するこ
とが必要であり、焼鈍設備を長期間占有し、生産性阻害
の要因となっていた。
厚が薄板化する状況下では、使用量減少傾向にあり、少
量多品種をその都度調整の必要な上記のような複数工程
に通すことは極めて非効率的であり、コストアップの大
きな要因となっていた。
て説明したように、従来例では、最終冷間圧延で所定板
厚にまで減厚してから、最終焼鈍での充分な軟化後、調
質圧延を行い、製品板厚への減厚による加工硬化により
性能を調整し、その性能を変化させない範囲で精一杯の
形状矯正による高平坦度化、そして再加熱での歪取焼鈍
による低残留応力化を図るのである。
品への適用に最適な高強度、高平坦度、低残留応力を備
えたオーステナイト系ステンレス鋼とその製造方法を提
供することである。
性能材料を安価かつ安定して供給することが可能であっ
て、残留応力低減、高平坦度化をも同時になし、一工程
で薄板製品に仕上げることができる合理的かつ効率的工
程によって製造したオーステナイト系ステンレス鋼とそ
の製造方法を提供することである。
最終冷間圧延にて製品板厚へ減厚後に焼鈍し、その際の
軟化による強度、伸びの調整に着目した。以下、この軟
化による材料の強度、伸びの調整を目指した焼鈍を「調
質焼鈍」と称する。
イト系ステンレス鋼での加工誘起マルテンサイト相のオ
ーステナイトへ変態( 逆変態) を伴う再結晶に注目し、
この逆変態は数% の体積変化を伴うものであることに着
目し、そして、同材料およびその製造方法について鋭意
研究を重ね、本発明を完成したものである。
ナイト系ステンレス鋼の逆変態を伴う再結晶が張力付与
により制御できると考え、検討の結果、次のような知見
を得た。 (1) 張力付与調質焼鈍により、強度および伸びの調整
がなされること。 (2) 張力付与調質焼鈍により、効果的な平坦度改善と
残留応力低減がなされること。 (3) 従来の最終冷間圧延工程にて製品板厚とした後の
最終焼鈍工程に張力付与調質焼鈍を適用することで、従
来その後に施されていた工程を経ることなく製品に仕上
げる合理的工程が実現可能であること。 (4)更に張力付与調質焼鈍を適用した工程で製造され
た材料が従来工程により製造された材料では得ることが
困難であった高性能を示すこと。
ルを越える高強度、高平坦度および低残留応力を総称し
て言う。なお、高強度とは一般的に伸び( 加工性) 低下
を伴う単純な強度上昇とは異なり、従来材と同一の伸び
( 加工性) を確保したまま高強度を得られるという実際
の機器への材料として適用可能な実質的強度を言う。
り再結晶粒と前加工の影響を残す未再結晶部の混合組織
を示す場合に得られることを確認した。
再結晶部、つまりオーステナイト相とマルテンサイト相
からなる混合組織の比率の最適化と一部条件下で確認さ
れる結晶粒微細化に起因し、残留応力低減と平坦度向上
は逆変態での体積変化と変形抵抗の低下する高温での矯
正に起因するものと推定される。
調質焼鈍が用いられてこなかった理由は、再結晶挙動の
制御が困難なため、焼鈍での急激な軟化に対して目標性
能を達成することもまた困難と考えられていたためであ
る。しかし、本発明者らの知見によれば、調質焼鈍は従
来の歪取焼鈍に比べて高温の再結晶温度域を使用するた
め極く短時間で残留応力が消失し、一方、変形抵抗の大
きな低下を活用することで極めて効果的な平坦度の改善
も期待される。したがって、本発明により、材料の再結
晶挙動を制御し、同時に残留応力低減、平坦度改善をも
なす調質焼鈍法が確立されたということができる。
び不純物からなる化学組成を有し、金属組織が再結晶粒
と前加工の影響を残す未再結晶部の混合組織であること
を特徴とする電子機器部品用オーステナイト系ステンレ
ス鋼板。
(1) に記載のオーステナイト系ステンレス鋼板。
を備える素材に対して、熱間加工後、冷間圧延および焼
鈍を1回または2回以上行って鋼板を製造する方法であ
って、圧下率20%以上で最終の冷間圧延を行った後は、
650℃以上1000℃以下の温度でその温度での0.2 %耐力
以下に相当する張力を付与しつつ、300 秒以下の時間保
持する調質焼鈍を行うことを特徴とする電子機器部品用
オーステナイト系ステンレス鋼板の製造方法。
金属組織、そして製造条件を上述のように規定したその
限定理由について説明する。まず、材料の化学組成の限
定理由について説明する。
ト相を固溶強化する元素であり、必要な強度を得るため
少なくとも 0.01%以上とする。また、強力なオーステナ
イト安定化元素でもあり、添加量の増加にともない加工
誘起マルテンサイト変態を抑制する。
の炭化物の析出を招き、材料の加工性や耐食性を大きく
劣化させる。これらより、上限を 0.08%とした。更に好
ましくは、0.02% 以上0.07% 以下である。
溶硬化する元素である。また、高温強度を上昇させ、本
発明鋼の特徴である混合組織を得ることを容易にすると
考えられる。この意味では本発明鋼に不可避の元素であ
る。これらの効果を得るために、少なくとも0.1%以上と
する。ただし、Siはフェライト安定化元素でもあり、過
度に添加した場合には鋼中へのフェライト相の残存を招
き、加工誘起マルテンサイト相が得にくくなる。また、
介在物等の生成により材料の加工性を劣化し、性能の低
下を招く。このため、上限を2.0%とした。更に好まし
く、は0.3%以上1.8%以下である。
バランスを考えて添加されるが、過度に添加した場合、
加工誘起マルテンサイト相が得られない場合がある。ま
た、介在物等の生成により材料の加工性や性能の低下を
招く。このため、上限を3.0%以下とした。ただし、熱間
加工性を改善する効果もあり、更に好ましくは、0.3%以
上2.6%以下である。
食性を得るためには10.0% 以上を添加する。ただし、Cr
はフェライト安定化元素でもあり、過度に添加した場合
には鋼中へのフェライト相の残存を招く。このため、上
限を20.0% とした。更に好ましくは、13.0% 以上19.0%
以下である。
ーステナイト安定化元素である。室温において安定した
オーステナイト相を得るために必要不可避の元素であ
る。しかし、本発明においては加工誘起マルテンサイト
変態を起こし得る準安定オーステナイト状態とし、良好
な加工性を得るために 3.0% 以上12.0% 以下の添加とし
た。更に好ましくは、3 .5% 以上11.5% 以下である。
ト相を固溶強化する元素である。また、後述するように
Nb-N化合物の析出により再結晶粒の成長を抑制し、混合
組織を得ることを容易にする。この意味では本発明鋼に
不可避の元素である。これらの効果を得るため、0.08%
以上、特に0.1%以上とする。また、C と同様に強力なオ
ーステナイト安定化元素でもあり、添加量の増加にとも
ない加工誘起マルテンサイト変態を抑制する。更に、過
度に添加した場合、熱間加工性を阻害し、耳割れ等の発
生により製造性を低下させることとなる。これらより、
上限を0.25% とした。更に好ましくは、0.11% 以上、0.
20% 以下である。
成長を抑制し、混合組織を得ることを容易にする。この
意味では本発明鋼に不可避の元素である。これらの効果
を得るため、少なくとも0.01% 以上添加する。ただし、
極めて高価な元素であり、多量に添加した場合、材料も
高価となる。また、材料の延性が低下する。これらよ
り、上限を0.50% とした。好ましくは、0.02% 以上0.45
% 以下である。残部はFeおよび不可避的不純物元素から
なる。
添加される元素、例えば溶製時に脱酸剤として使用され
るCa、 Al 、 Ti あるいはREM(希土類金属)、熱間加工
性の改善が見込まれる B、耐食性を向上するMo等を必要
に応じてそれぞれ0.3%以下、合計量で0.5%以下含有して
も差し支えない。
るMd (℃) の値を0以上 80 以下に規定する。 Md=500 −458(C+N) −9(Si+Mn)−14Cr−20Ni−65Nb ここで元素記号は、鋼中の含有量 (質量%) を意味す
る。Md( ℃) は 0.3% の引張真ひずみを与えた時、全体
の50% がマルテンサイト変態を生じる温度( 一般的に用
いられるMd30) を一連の実験結果に基づいて補正したも
のである。
レス鋼での加工誘起マルテンサイト相の逆変態を伴う再
結晶挙動が張力付与調質焼鈍により制御可能であると考
え、諸特性の調整、向上が可能となることを発見したこ
とに基づくものであり、加工誘起マルテンサイト変態の
調整が不可避である。このため、一連の試験の結果よ
り、最適なMdを 0以上80以下に規定した。
工の影響を残す未再結晶部の混合組織のTEM 観察結果を
示すものである。本発明にあっては、高性能化のために
は混合組織とするのであって、主に高強度が材料の再結
晶粒と未再結晶粒、つまりオーステナイト相とマルテン
サイト相からなる混合組織の比率の最適化に起因するも
との考えられ、また、高平坦度と低残留応力が加工誘起
マルテンサイトの逆変態での体積変化に起因するものと
考えられる。
粒成長を抑制し、混合組織を安定して得られるようにな
ると考えられるNb-N化合物や、更なる高強度を目的とし
て別に 200℃から 600℃程度の比較的低温域で焼鈍した
場合に観察されるものと同様のN 、C ないしそれらの化
合物等がある。なお、上述の混合組織から構成される本
発明の高性能材に同様の焼鈍を施した場合、当然のこと
ながら析出強化が得られる。
のオーステナイト系ステンレス鋼を再結晶粒と前加工の
影響を残す未再結晶部の混合組織とすることで得られる
ものである。次に、製造方法の限定理由について説明す
る。
ステナイト系ステンレス鋼板の製造工程について概略示
す工程図であり、図中、従来法と同様にして溶製された
ステンレス鋼鋳塊は通常の熱間加工工程を経て熱延材と
なり、次いで、冷間圧延および焼鈍を繰返して所定板厚
にまで減厚される。これは1回または2回以上行われ
る。最終冷間圧延によって製品板厚にまで減厚された冷
延材は、次いで張力付与調質焼鈍が行われる。これは強
度、伸びを調整するとともに平坦化度の向上および残留
応力の低減を図るために行われる。なお、1回の冷間圧
延だけを行う場合は、それが最終の冷間圧延となり、そ
れに続いて単なる焼鈍ではなく、上述の張力付与焼鈍が
行われる。
工程図にしたがって、後述の表1の鋼種2材を用い、最
終冷間加工の加工率 40%で板厚0.2mm に最終冷間圧延
後、調質焼鈍した薄板材について特性評価を行ったとき
の結果をまとめて示すグラフである。
各温度にて30秒保持、張力有無にて実施した。張力は図
2に示す各温度での0.2%耐力に対して 70%の値を同温度
での焼鈍中に付与した。
通常のインストロン型引張試験機を用いてJIS 規格に準
じて測定した。
値を測定、表層部残留応力はエッチンク゛による短冊状試験片
の片面のみを全面腐食により板厚減少させることで発生
する板反りの変化を測定し、その変化より算出した。ミ
クロ組織は透過電子顕微鏡にて観察した。
焼鈍後の硬度と伸びを示す。張力無の場合には 800℃か
ら 850℃での急激な軟化(硬度低下、伸び上昇)後、10
00℃程度まで緩やかに軟化するのに対し、張力有の場合
は 650℃から1000℃まで全体に比較的緩やかな軟化を起
こす。
と本試験での最高温度である1050℃での焼鈍後の硬度の
中間値に関して見た場合、中間値を挟む前後温度(800℃
と850 ℃) での焼鈍後の値より決定される硬度減少率(/
℃)は、張力無では-3.5と大きいのに対し、張力有では
-0.8に留まり、-1.0(/℃)より小さくなる。すなわち、
張力付与により軟化が緩やかとなり、硬度調整も容易と
なり、調質焼鈍の適用が可能となる。
での調質焼鈍後の板反りと表層部残留応力との関係を示
すグラフである。張力無の場合には板反りの改善効果が
小さく、残留応力も硬度と同様に 800℃から 850℃で急
激に低下するのに対し、張力有の場合は 650℃から 750
℃において改善が認められ、 750℃以上では充分に低下
し、比較的広範囲な温度域にわたる効果を示す。
至る直前の 800℃焼鈍後の値の冷延後に対する比率(%)
は、張力無では板反りが 85%、残留応力が 71%と依然大
きな残存を示すのに対し、張力有では板反りが8%、残留
応力が 10%と小さい。すなわち、張力付与調質焼鈍によ
り、平坦度および残留応力は大きく改善される。
付与調質焼鈍により強度および伸びの調整が可能とな
り、(2) 効果的な平坦度改善と残留応力低減がなさ
れ、(3) 製品板厚に冷間圧延後、張力付与調質焼鈍を
適用することで製品に仕上げる合理的工程が実現可能と
なることが解る。
材料は、従来法により製造された材料を越える性能を示
し、高性能材を得られることが解る。
材料のミクロ組織を示す。同材は再結晶粒と未再結晶粒
からなる混合組織を示すとともに、析出したNb-N化合物
が確認される。これにより、張力付与調質焼鈍後の高性
能材が再結晶粒と未再結晶部の混合組織からなることも
確認される。
おける冷間圧延率は製品板厚において製品に要求される
所定の性能を得られるものであればよいが、充分な加工
誘起マルテンサイトの量を得るために 20%以上と規定し
た。更に好ましくは、 25%以上である。
の温度にて工業的な面より 300秒以下の保持時間とし、
焼鈍中の材料の破断を避けるため各温度での0.2%耐力以
下の張力を付与するものとした。更に好ましくは、温度
が 700℃以上、保持時間が 120秒以下、張力が0.2%耐力
の90% 以下である。次に、本発明の作用効果について実
施例に関連させて、さらに具体的に説明する。
鋼の溶製材を熱間圧延、焼鈍、脱スケール( 酸洗) 後、
複数回の冷間圧延および焼鈍を繰り返し、最終工程で図
1(b)に従い加工率30〜50% で板厚0.2mm に最終冷間
圧延後、張力付加調質焼鈍を実施した。
各温度にて30秒ないし 240秒保持し、同時に張力を付与
した。その際、各温度での0.2%耐力に対して 50%ないし
70%の値の張力を同温度での焼鈍中に付与した。その
後、得られた0. 2mmの薄板材より試験片を採取し、硬
度、板反り、表層部残留応力およびミクロ 組織を調査し
た。
3の場合と同様に、冷間圧延後と本試験での最高温度で
ある1050℃での焼鈍後の硬度の中間値を得ることを目標
と仮定し、同中間値を挟む前後温度での焼鈍後の値より
硬度減少率(/℃)を算出し、0〜-1.0を可能として○、
それ以外を困難として×にて評価した。
合と同様に、先の硬度中間値(目標)に至る直前の温度
での焼鈍後の値の冷間圧延後に対する比率(%)を算出
し、40以下を充分な効果有りとして 0〜20を○、20〜40
を△、40以上を効果が低いとして×にて評価した。
造工程、特性および評価の結果を示す。同表より明らか
ように、本発明鋼は硬度減少率が-1よりも小さく、張力
付与調質焼鈍法の適用が可能である。また、冷間圧延後
に対する同焼鈍後の板反りおよび残留応力の比率はほぼ
20以下であり、平坦度および残留応力が大きく改善され
る。なお、同焼鈍後の組織が全て再結晶粒と未再結晶部
の混合状態となっていることも確認された。
よりも大きく、張力付与調質焼鈍の適用が困難と考えら
れる。また、張力付与しても平坦度および残留応力の改
善効果は低い。更に、調質焼鈍後の組織は加工組織のみ
からなる未再結晶(回復) 状態であり、オーステナイト
安定化元素である C、 Mn 、 Ni 等の高い鋼種7ないし
9では冷間加工後に加工誘起マルテンサイト相が殆ど確
認されず、フェライト安定化元素であるSiの高い鋼種10
は中間焼鈍後に比較的多くのフェライト相が観察され、
同様に加工誘起マルテンサイト相が得られ難くなった。
これらを総合して、本発明鋼によれば従来材と比較し
て、板反りが1/2 、残留応力が1/3 となり、歩留が十数
パーセント向上した。
によって製造した電子機器部品に最適な高強度、高平坦
度、低残留応力オーステナイト系ステンレス鋼板を安価
かつ安定供給することができる。したがって、本発明に
かかるステンレス鋼板は、例えば電子機器用の各種バ
ネ、メタルフィルター、リードフレーム、ジンバル等に
用いた場合、大幅な性能の改善が期待される。
明例の製造工程の略式説明図である。
である。
を示すグラフである。
層部残留応力を示すグラフである。
図である。
Claims (3)
- 【請求項1】質量%で、 C : 0.01%以上 0.08 %以下、 Si : 0.1 %以上 2.0%以下 Mn : 3.0 %以下、 Cr : 10.0 %以上20.0%以下 Ni : 3.0 %以上12.0%以下、 N : 0.08%以上 0.25 %以下 Nb : 0.01%以上 0.50 %以下 を含み、かつ Md=500 −458(C+N) −9(Si+Mn)−14Cr−20Ni−65Nb としたときのMd値が0以上80以下を満足し、残部Feおよ
び不純物からなる化学組成を有し、金属組織が再結晶粒
と前加工の影響を残す未再結晶部の混合組織であること
を特徴とする電子機器部品用オーステナイト系ステンレ
ス鋼板。 - 【請求項2】 金属組織中にNb窒化物が存在する請求項
1に記載のオーステナイト系ステンレス鋼板。 - 【請求項3】 請求項1または2に記載の化学組成を備
える素材に対して、熱間加工後、冷間圧延および焼鈍を
1回もしくは2回以上行って鋼板を製造する方法であっ
て、圧下率20%以上で最終の冷間圧延を行った後は、 6
50℃以上1000℃以下の温度でその温度での0.2 %耐力以
下に相当する張力を付与しつつ、300秒以下の時間保持
する調質焼鈍を行うことを特徴とする電子機器部品用オ
ーステナイト系ステンレス鋼板の製造方法。
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