JP2001247532A - 脂肪酸アミド化合物およびその用途 - Google Patents

脂肪酸アミド化合物およびその用途

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JP2001247532A
JP2001247532A JP2000064113A JP2000064113A JP2001247532A JP 2001247532 A JP2001247532 A JP 2001247532A JP 2000064113 A JP2000064113 A JP 2000064113A JP 2000064113 A JP2000064113 A JP 2000064113A JP 2001247532 A JP2001247532 A JP 2001247532A
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fatty acid
acid amide
amide compound
toner
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JP2000064113A
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Toshiyuki Okuda
敏行 奥田
Hiroshi Suda
浩 須田
Yoshitaka Taguchi
義高 田口
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Chukyo Yushi Co Ltd
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Chukyo Yushi Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 トナー用離型剤、熱転写インクシート用ビヒ
クル成分、または感熱記録材料用成分として有効な、熱
溶融特性の優れた脂肪酸アミド化合物を提供する。 【解決手段】 下記一般式(1)又は(2)又は(3)
で示される脂肪酸アミド化合物とする。 【化1】 【化2】 【化3】 ただし、式(1)〜(3)中、R〜Rは、炭素数1
2〜50のアルキル基又はアルケニル基からそれぞれ独
立に選択されるものである。また、式(1)および
(3)において、m、nは1〜3の整数を、lは1〜4
の整数を意味し、式(2)においては、m、nは1〜3
の整数を、lは0もしくは1〜4の整数を意味する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な脂肪酸アミ
ド化合物と、その用途に関する。より詳しくは、電子写
真用トナー、熱転写インクシートおよび感熱記録材料な
どにおける加工助剤として有用な、脂肪酸アミド化合物
およびその用途に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真用トナーなどの印写材料におい
ては、加工助剤としてワックス状化合物を配合すること
が広く行われている。
【0003】例えば電子写真用トナーは、近年、急速に
普及してきている電子写真方式によるフルカラー複写機
やプリンターにおいて使用される、着色粒子などを含有
する印写材料である。電子写真方式による印刷では、光
伝導体や絶縁性樹脂などの上に形成された静電潜像を電
子写真用トナーによって現像し、これを転写材に加熱融
解して転写し、熱ローラーなどにより圧着加熱して定着
させることによって、可視画像を形成する。このような
電子写真用トナーでは、加熱時の溶融性および混色性が
良いこと、軟化温度および溶融粘度が低いこと、また、
鮮明なカラー画像を得るためにシャープメルト性が高い
ことなどが要求される。さらに、定着工程において熱ロ
ーラーなどの表面に溶融状態のトナー像の一部が付着す
ることに起因するオフセット現象が発生しにくいこと、
すなわち耐オフセット性が高いことも重要である。旧来
は、オフセットを防止するために付属の補助装置によっ
てオイル状離型剤を定着ローラーに塗布することが行わ
れてきたが、最近では、複写機やプリンターの多機能化
や機械コストの低減などを目的として、トナー中にワッ
クス状の離型剤を内添する技術が種々提案されてきてい
る。すなわち、加熱時にトナー中からオフセット防止成
分を供給しようとするものである。
【0004】また、熱転写インクシートは、熱転写プリ
ンタやファクシミリなどで使用されており、基材上に熱
溶融性インクを塗布したシートの背面よりサーマルヘッ
ドなどの記録ヘッドでインク層を選択的に加熱して普通
紙などの被転写体上に転写して文字、模様、図柄などを
形成するものである。このような熱溶融性インクの塗布
方法には大別して溶剤塗布法と溶融塗布法とがあるが、
このうち環境に与える負荷が小さい溶融塗布法は、着色
顔料と熱溶融性ビヒクルからなる熱溶融性インクを溶融
状態で塗布する方法であり、この方法に使用される熱溶
融性インクでは、高精度でかつ十分な濃度の印像を得る
ために高い顔料含有量が要求される一方、良好な塗布性
を発現させるために、塗布時、すなわち溶融時の粘度を
低く抑えることが必要となる。このような要求性能を満
たすために、顔料分散剤を別に添加したり、熱溶融性ビ
ヒクル中に着色顔料の分散機能を有するワックス状成分
を含有させたりすることが行われている。これらのう
ち、顔料分散剤を添加する方法ではコストがかなり上昇
してしまうため、ワックス状成分に顔料分散能を持たせ
る方法の方が、より好ましいといえる。
【0005】さらに、感熱記録材料においても、ワック
ス状成分が添加されている。感熱記録材料は、一般に、
無色もしくは淡色の染料前駆体とフェノール性物質等の
顕色剤をそれぞれ別個に微粒子状に分散化した後、両者
を混合しこれに結合剤などの所定の添加剤を添加してな
る組成物である。これらの組成物を水などの分散媒に分
散し、基材に塗布して感熱記録材料の層を形成して感熱
記録体(感熱紙など)とする。感熱記録材料の層がサー
マルヘッドなどにより加熱されると、染料前駆体と顕色
剤の一方又は両者が溶融、接触して化学反応を起こし、
発色画像が得られるのである。ここで、ワックス状成分
は、発色反応を促進し、さらに滑性を付与することによ
りサーマルヘッドの走行性を向上する目的で使用され
る。
【0006】このようなワックス状成分として、例えば
電子写真用トナーや熱転写インクシートでは、従来カル
ナバワックスなどの天然物や、或いは、パラフィンワッ
クス、ポリエチレンワックス、又はオレフィン/無水マ
レイン酸のコポリマーなどの重合体が使用されることが
多かった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
のワックス状化合物はいずれも、適当な温度範囲に融点
を有する、熱溶融特性がシャープである、分子が硬い、
分散性がある、などの要求性能を全て満足させるバラン
ス良いものではなく、アミド化合物を含めた様々な化合
物が新たに提案されてきているが、本発明が意図するよ
うな用途に適した性質のものは未だ得られておらず、よ
り効果的なワックス状化合物の開発・選定が望まれてい
た。
【0008】アミド系のワックス状化合物としてこれま
でに提案されてきたもののうち、例えば飽和脂肪酸モノ
アミドは、総じて、融点が100℃〜110℃程度と比
較的高く、65℃〜90℃程度の融点を有することが望
ましい熱転写リボンのような用途には不向きである。ま
た、アルキル鎖部分の炭素数の少ないものでは融点が8
7℃という化合物もあるが、アルキル鎖長があまり短い
と、トナー用途ではオフセットし易くなるという虞があ
った。
【0009】また、不飽和脂肪酸アミドは、融点は60
〜80℃程度と比較的低いが、熱安定性にやや劣る傾向
にある。熱酸化などによって着色すると、その程度によ
ってはカラー用途では使用できなくなる。また、一般に
柔らかいのでトナー粉の凝集や熱転写インクシートのブ
ロッキングを引き起こす可能性があった。
【0010】他にも、置換アミドや、メチロールアミ
ド、ビスアミドの利用も提案されているが、融点が高す
ぎたり、経済性などの点から、満足できるものではなか
った。
【0011】以上のような状況に鑑み、本発明は、トナ
ー用内添離型剤成分、熱転写インクシート用ビヒクル成
分、または感熱記録材料用増感剤成分などとして有用
な、熱溶融特性に優れた脂肪酸アミド化合物を提供する
ことを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
の結果、脂肪酸アミド化合物の中でも、以下の構造を有
する化合物が特に望ましい性質を発現することを確認
し、本発明に至ったものである。すなわち、上記課題を
解決するため、本発明は以下の構成を有する。
【0013】請求項1に関る発明は、分子内にアミド基
を3つ以上もつ、下記一般式(1)で示される化合物で
ある。
【0014】
【化4】 (式中、R〜Rは、炭素数12〜50のアルキル基
又はアルケニル基からそれぞれ独立に選択されるもので
あり、m、nは1〜3の整数を、lは1〜4の整数を意
味する)
【0015】また、請求項2に関る発明は、分子内にエ
ステル基および1つ以上のアミド基をもつ、下記一般式
(2)で示される化合物である。
【0016】
【化5】 (式中、R〜Rは、炭素数12〜50のアルキル基
又はアルケニル基からそれぞれ独立に選択されるもので
あり、m、nは1〜3の整数を、lは0もしくは1〜4
の整数を意味する)
【0017】請求項3に関る発明は、分子内にアミド基
および1つ以上のエステル基をもつ、下記一般式(3)
で示される化合物である。
【0018】
【化6】 (式中、R〜Rは、炭素数12〜50のアルキル基
又はアルケニル基からそれぞれ独立に選択されるもので
あり、m、nは1〜3の整数を、lは1〜4の整数を意
味する)
【0019】さらに、請求項4に関る発明は、前記請求
項1、2、3の何れかに記載の化合物を、単独で、又は
複数種組み合わせて含有する電子写真用トナーである。
【0020】請求項5に関る発明は、前記請求項1、
2、3の何れかに記載の化合物を、単独で、又は複数種
組み合わせて含有する熱転写インクシートである。
【0021】請求項6に関る発明は、前記請求項1、
2、3記載の何れかに記載の化合物を、単独で、又は複
数種組み合わせて含有する感熱記録材料である。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。本発明の実施形態の1つである脂肪酸アミ
ド化合物は、分子内に3つ以上のアミド基を有する、下
記一般式(1)で表される化合物である。
【0023】
【化7】
【0024】ただし、上式において、R〜Rは、炭
素数12〜50のアルキル基又はアルケニル基からそれ
ぞれ独立に選択されるものであり、m、nは1〜3の整
数を、lは1〜4の整数を示す。
【0025】R〜Rとしてのアルキル基は、直鎖
状、分岐鎖状のいずれであってもよく、好適な例として
具体的には、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル
基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル
基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘン
イコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル
基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基、ヘプタコシル
基、オクタコシル基、ノナコシル基、トリアコンチル
基、ヘントリアコンチル基、ドトリアコンチル基、トリ
トリアコンチル基、テトラトリアコンチル基、ペンタト
リアコンチル基、ヘキサトリアコンチル基、ヘプタトリ
アコンチル基、オクタトリアコンチル基、ノナトリアコ
ンチル基、テトラアンコンチル基、ヘンテトラアコンチ
ル基、ドテトラアコンチル基、トリテトラアコンチル
基、テトラテトラアコンチル基、ペンタテトラアコンチ
ル基、ヘキサテトラアコンチル基、ヘプタテトラアコン
チル基、オクタテトラアコンチル基、ノナテトラアコン
チル基、ペンタコンチル基などの直鎖アルキル基、或い
は、2−ヘキシルデシル基、2−オクチルドデシル基、
2−デシルテトラデシル基、2−ヘキサデシルオクタデ
シル基、またはイソステアリン酸を由来とする1−
(1,3,3−トリメチルブチル)−4,6,6−トリ
メチルヘプチル基などの分岐を含むアルキル基などの、
炭素数12〜50のアルカンの残基が挙げられる。アル
ケニル基もまた、直鎖状、分岐状のいずれであってもよ
く、具体的には、ドデセニル基、トリデセニル基、テト
ラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、
ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル
基、イコセニル基、ヘンイコセニル基、ドコセニル基、
トリコセニル基、テトラコセニル基、ペンタコセニル
基、ヘキサコセニル基、ヘプタコセニル基、オクタコセ
ニル基、ノナコセニル基、トリアコンテニル基、ヘント
リアコンテニル基、ドトリアコンテニル基、トリトリア
コンテニル基、テトラトリアコンテニル基、ペンタトリ
アコンテニル基、ヘキサトリアコンテニル基、ヘプタト
リアコンテニル基、オクタトリアコンテニル基、ノナト
リアコンテニル基、テトラアンコチル基、ヘンテトラア
コンテニル基、ドテトラアコンテニル基、トリテトラア
コンテニル基、テトラテトラアコンテニル基、ペンタテ
トラアコンテニル基、ヘキサテトラアコンテニル基、ヘ
プタテトラアコンテニル基、オクタテトラアコンテニル
基、ノナテトラアコンテニル基、ペンタコンテニル基な
どの炭素数12〜50の直鎖状アルケン残基のほか、炭
素数12〜50の分岐を含むアルケン残基であっても良
い。ただし、R〜Rは、ここに例示した残基に限定
されるものではない。尚、電子写真用トナーや熱転写イ
ンクシート成分としての利用を想定した場合、R〜R
がアルキル基である化合物の方が、アルケニル基であ
る化合物に比較して耐熱性、耐ブロッキング性などに優
れるため、R〜Rはアルキル基であることがより好
ましい。
【0026】また、R〜Rは、それぞれ独立に選択
されるものであり、互いに同一であっても、異なってい
ても良い。
【0027】本発明の一般式(1)で表される脂肪酸ア
ミド化合物の好ましい具体例としては、N,N−ジ(2
−オクタデカノイルアミノエチル)オクタデカイミド、
N,N−ジ(2−ドコサノイルアミノエチル)ドコサイ
ミド、およびN,N’−ビス(2−ドコサノイルアミノ
エチル)エチレンジドコサイミドなどが挙げられるが、
勿論これらに限定されるものではない。
【0028】本発明の別の実施形態による脂肪酸アミド
化合物は、分子内にエステル基および1つ以上のアミド
基をもつ、下記一般式(2)で示される化合物である。
【0029】
【化8】
【0030】ただし、上式において、R〜Rは、炭
素数12〜50のアルキル基又はアルケニル基からそれ
ぞれ独立に選択されるものであり、m、nは1〜3の整
数を、lは0もしくは1〜4の整数を示す。R〜R
としてのアルキル基又はアルケニル基は、炭素数12〜
50のものであれば直鎖状、分岐鎖状のいずれであって
もよく、具体例としては、一般式(1)におけるアルキ
ル基又はアルケニル基と同様の残基を挙げることができ
る。また、R〜Rは、それぞれ独立に選択されるも
のであり、互いに同一であっても、異なっていても良
い。
【0031】本発明の一般式(2)で表される脂肪酸ア
ミド化合物の好ましい具体例としては、例えばN−(2
−オクタデカノイルオキシエチル)オクタデカアミド、
N−(2−オクタデカノイルアミノエチル)−N−(2
−オクタデカノイルオキシエチル)オクタデカイミド、
N−(2−ドコサノイルアミノエチル)−N−(2−ド
コサノイルオキシエチル)ドコサイミドなどが挙げられ
るが、勿論これらに限定されるものではない。
【0032】本発明の別の実施形態による脂肪酸アミド
化合物は、アミド基および分子内に1つ以上のエステル
基をもつ、下記一般式(3)で示される化合物である。
【0033】
【化9】
【0034】ただし、上式において、R〜Rは、炭
素数12〜50のアルキル基又はアルケニル基からそれ
ぞれ独立に選択されるものであり、m、nは1〜3の整
数を、lは0もしくは1〜4の整数を示す。R〜R
としてのアルキル基又はアルケニル基は、炭素数12〜
50のものであれば直鎖状、分岐鎖状のいずれであって
もよく、具体例としては、一般式(1)および(2)に
おけるアルキル基又はアルケニル基と同様の残基を挙げ
ることができる。また、R〜Rは、それぞれ独立に
選択されるものであり、互いに同一であっても、異なっ
ていても良い。
【0035】本発明の一般式(3)で表される脂肪酸ア
ミド化合物の好ましい具体例としては、例えばN,N−
ジ(2−ドコサノイルオキシエチル)ドコサイミド、
N,N−ジ(2−ノナコシルオキシエチル)ノナコシミ
ドなどが挙げられるが、勿論これらに限定されるもので
はない。
【0036】本発明の脂肪酸アミド化合物は、60℃〜
120℃の範囲に示差走査熱量測定(DSC)による主
たる吸収熱量ピーク、すなわち融点を有していることが
好ましい。上記範囲を外れると、トナー中での使用に際
してオフセット現象を生じ易くなる。また、熱転写イン
クシート中での使用時には、融点が120℃よりも高く
なると転写不良を、60℃よりも低くなるとブロッキン
グを、それぞれ起こし易くなる傾向にある。さらに、感
熱記録材料では、融点が高すぎると発色感度不良を、低
すぎると地肌発色を起こし易くなる。上記範囲の中で
も、70℃〜100℃の範囲に主たる吸収熱量ピークを
有していることが、より好ましい。
【0037】本発明の一般式(1)又は(2)又は
(3)で表される脂肪酸アミド化合物では、分子の主鎖
が分岐している構造であるが故に、R〜Rで表され
る部分が飽和で長鎖であっても、全体が直鎖状のものよ
りも融点は低くなる。また、R〜Rで表される長鎖
のアルキル基又はアルケニル基部分が多いため、離型性
に優れたものとなる。また、分子内に存在するアミド基
の水素結合や、アミド基とエステル基との相互作用のた
めに固体では硬いものとなるため、耐オフセット性や耐
ブロッキング性を損なうことなく、60℃〜120℃の
望ましい範囲に融点を調整することができるのである。
一方で、分子内に多くの極性基を有するために、顔料分
散性にも優れ、熱転写インクシートなどにおけるビヒク
ル成分として非常に適している。
【0038】本発明の一般式(1)、(2)、(3)の
何れかで表される脂肪酸アミド化合物は、例えば、各種
脂肪酸と、アミンもしくはアミノアルコール類とをその
まま反応させる方法のほか、各種脂肪酸を塩化チオニル
や塩化ホスホニルなどと反応させて得た脂肪酸塩化物
と、アミンもしくはアミノアルコール類とを反応させる
方法、脂肪酸エステルと、アミンもしくはアミノアルコ
ール類とのエステル交換による方法、又は、各種脂肪酸
無水物と、アミンもしくはアルコール類とを反応させる
方法などにより合成することができる。これらの中で
も、環境への負荷、反応性及び経済性などの面から、脂
肪酸や脂肪酸エステルを利用する方法が最も好ましいと
考えられる。ただし、本発明の脂肪酸アミドの合成法は
これらに限定されるものではない。
【0039】上記反応に使用できる脂肪酸は、炭素数が
12〜50のものであり、飽和脂肪酸であっても、不飽
和脂肪酸であっても良いが、飽和脂肪酸の方がより好ま
しい。また、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよ
く、特に好適な例としては、ドデカン酸、トリデカン
酸、テトラデカン酸(ミリスチン酸)、ペンタデカン
酸、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、ヘプタデカン
酸、オクタデカン酸(ステアリン酸)、ノナデカン酸、
イコサン酸、ヘンイコサン酸、ドコサン酸(ベヘン
酸)、トリコサン酸、テトラコサン酸、ペンタコサン
酸、ヘキサコサン酸、ヘプタコサン酸、オクタコサン
酸、ノナコサン酸、トリアコンタン酸、ヘントリアコン
タン酸、ドトリアコンタン酸、トリトリアコンタン酸、
テトラトリアコンタン酸、ペンタトリアコンタン酸、ヘ
キサトリアコンタン酸、ヘプタトリアコンタン酸、オク
タトリアコンタン酸、ノナトリアコンタン酸、テトラア
ンコンチル酸、ヘンテトラアコンタン酸、ドテトラアコ
ンタン酸、トリテトラアコンタン酸、テトラテトラアコ
ンタン酸、ペンタテトラアコンタン酸、ヘキサテトラア
コンタン酸、ヘプタテトラアコンタン酸、オクタテトラ
アコンタン酸、ノナテトラアコンタン酸、ペンタコンチ
ル酸などを挙げることができる。
【0040】また、アミンもしくはアミノアルコール類
の好適な例としては、エタノールアミン、プロパノール
アミン、ジエタノールアミン、N−アミノメチルメタノ
ールアミン、N−アミノメチルエタノールアミン、N−
アミノメチルプロパノールアミン、N−アミノエチルメ
タノールアミン、N−アミノエチルエタノールアミン、
N−アミノメチルプロパノールアミン、N−アミノプロ
ピルメタノールアミン、N−アミノプロピルエタノール
アミン、N−アミノプロピルプロパノールアミン、ジエ
チレントリアミン、ジプロピレンテトラミン、トリエチ
レンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエ
チレンヘキサミンなどを挙げることができる。
【0041】本発明の脂肪酸アミドの合成においては、
反応時間の短縮、反応温度の低下、反応率の向上などを
目的として、各種触媒を併用してもよい。このような触
媒としては、塩化アルミや塩化亜鉛などのルイス酸、活
性(酸性)アルミナ、酸性白土、パラトルエンスルホン
酸など利用することができる。他にも、ジシクロヘキシ
ルカルボジイミドもしくはN−エチル−N′−(3−ジ
メチルアミノプロピル)カルボジイミドなどのアミド化
剤や、トリフェニルホスフィンもしくはトリブチルホス
フィンなどのリン系縮合剤なども用いることができる。
ただし、経済性などを考慮すると、前者のルイス酸、活
性アルミナ、酸性白土、パラトルエンスルホン酸などの
利用が、より好ましい。
【0042】本発明は、以上述べたような一般式
(1)、(2)、(3)の何れかで表される脂肪酸アミ
ド化合物を含む電子写真用トナーとして実施することが
できる。電子写真用トナーの組成は、特に限定されるも
のではなく、一般式(1)、(2)、(3)の何れかで
表される脂肪酸アミド化合物のほかに、バインダー樹
脂、着色剤などに加えて、荷電制御剤や外添剤などを適
宜含むことができる。また、溶融粉砕トナーに限らず、
重合トナーであってもよい。
【0043】バインダー樹脂としては、一般に使用され
るポリエステルやスチレンアクリル系樹脂を含むさまざ
まな低軟化点熱可塑性樹脂を用いる事ができる。一般式
(1)、(2)、(3)の何れかで表される脂肪酸アミ
ド化合物は、各種バインダー樹脂への分散性が良好であ
り、トナー粉砕時における離型剤の離脱現象を防止する
ことができる。
【0044】本発明のトナーに使用される着色剤として
は、カーボンブラック、ランプブラック、鉄黒、群青、
ニグロシン染料、アニリンブルー、フタロシアニンブル
ー、フタロシアニングリーン、ハンザイエローG、ロー
ダミン6G、レーキ、カルコオイルブルー、クロムイエ
ロー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベン
ガル、トリアリルメタン系染料、モノアゾ系、ジスアゾ
系、染顔料など従来知られているいかなる染顔料をも単
独もしくは混合して使用することができる。これら着色
剤の使用量はバインダー樹脂に対して通常1〜30wt
%、好ましくは3〜20wt%である。
【0045】荷電制御剤は、できるだけ無色のものが好
ましく、サリチル酸やサリチル酸誘導体などの亜鉛塩な
どを使用することができる。
【0046】外添剤としては、シリカ、アルミナ、チタ
ニアなどの無機微粒子およびそれらを疎水化したもの、
シリコーン樹脂、フッ素系樹脂などの有機微粒子、高級
脂肪酸の金属塩等の滑剤などがある。
【0047】本発明のトナーは、上記の各成分に加え
て、一般式(1)、(2)、(3)の何れかで表される
脂肪酸アミド化合物を含むものである。トナーは、これ
らの脂肪酸アミド化合物の一種のみを含むものであって
も良く、また、同時に複数種の脂肪酸アミド化合物を組
み合わせて含むもの、または他のワックス状化合物との
組み合わせであっても良い。トナー中におけるこれらの
化合物の含有量は、特に限定されるものではないが、バ
インダー樹脂に対して通常0.5〜20wt%であり、
1〜10wt%であることが望ましい。
【0048】本発明はまた、以上述べたような一般式
(1)、(2)、(3)の何れかで表される脂肪酸アミ
ド化合物を含む熱転写インクシートとして実施すること
ができる。熱転写インクシートの構成および着色層の組
成は、特に限定されるものではなく、着色層には、一般
式(1)、(2)、(3)の何れかで表される脂肪酸ア
ミド化合物のほかに、熱可塑性樹脂、着色剤などを適宜
含むことができる。
【0049】本発明の熱転写インクシートに使用できる
熱可塑性樹脂類としては、エチレン−酢酸ビニル共重合
体、エチレン−酪酸ビニル共重合体、エチレン−(メ
タ)アクリル酸共重合体、エチレン−アクリルアミド共
重合体、エチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリ
ル酸エステル樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−ビニ
ルアルコール共重合体、ポリエステル系樹脂、ポリアミ
ド系樹脂、エポキシ系樹脂、セルロース系樹脂、天然ゴ
ム、スチレン−ブタジエン共重合体、石油系樹脂、イソ
プレン重合体、スチレン系樹脂、ロジン系樹脂、テルペ
ン系樹脂、テルペンフェノール樹脂、クマロン−インデ
ン樹脂などがある。
【0050】着色剤としては、カーボンブラック、各種
有機、無機の顔料、染料を用いることができ、着色層に
は、その他必要に応じて分散剤などのは配合剤を適宜配
合することができる。着色層は、前記成分を適宜の溶剤
に溶解、分散した塗工液を基材上に塗布、乾燥すること
によって形成することができる。また、ホットメルト塗
工法によっても形成できる。着色層の厚さは0.5〜4
μmが適当である。
【0051】本発明の熱転写インクシートの基材として
は、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリカーボ
ネートフィルム、ポリアミドフィルム、アラミドフィル
ムなどのプラスチックフィルムが適宜使用できる。基材
の厚さは、2〜6μm程度が望ましい。また、必要に応
じて、基材の背面(サーマルヘッドに接する側の面)に
シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ニトロセルロース樹脂な
どで形成されたスティック防止層を設けてもよい。
【0052】本発明の熱転写インクシートは、上記の各
成分に加えて、一般式(1)、(2)、(3)の何れか
で表される脂肪酸アミド化合物を含むものである。イン
クシートは、これらの脂肪酸アミド化合物の一種のみを
含むものであっても良く、また、同時に複数種の脂肪酸
アミド化合物を組み合わせて含むもの、または他のワッ
クス状化合物との組み合わせであっても良い。熱転写イ
ンクシート中におけるこれらの化合物の含有量は、特に
限定されるものではないが、インクに対して通常40〜
90wt%であり、50〜80wt%であることが望ま
しい。
【0053】さらに本発明は、以上述べたような一般式
(1)、(2)、(3)の何れかで表される脂肪酸アミ
ド化合物を含む感熱記録材料としても実施することがで
きる。感熱記録材料の構成および感熱記録材料層の組成
は、特に限定されるものではなく、感熱記録材料層に
は、一般式(1)、(2)、(3)の何れかで表される
脂肪酸アミド化合物のほかに、染料前駆体、顕色剤に加
えて、結合剤などの助剤を適宜含むことができる。
【0054】本発明の感熱記録材料に含まれる無色ない
し淡色の染料前駆体としては、例えば、2−アニリノ−
3−メチル−6−ジエチルアミノフラン、2−アニリノ
−3−メチル−6−(メチルシクロヘキシルアミノ)フ
ルオラン、2−アニリル−3−メチル−6−(エチルイ
ソベンチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メ
チル−6−ジブチルアミノフルオラン、2−(p−フル
オロアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフル
オラン、2−(p−トルイジノ)−3−メチル−6−ジ
エチルアミノフルオラン、2−(o−フルオロアニリ
ノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−
3−メチル−6−ピペリジノフルオラン、2−アニリノ
−3−メチル−6−ピペロジノフルオラン、2−エトキ
シエチルアミノ−3−クロロ−6−ジエチルアミノフル
オラン、2−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、3−(N
−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−
アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル
−7−アニリノフルオラン、3,3−ビス(p−ジメチ
ルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリ
ド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,
2−ジメチルアミノインドール−3−イル)フタリド、
3−メチル−3−スピロジナフトピラン、1,3,3
−トリメチル−6′−ニトロ−8′−メトキシスピロ
(インドリン−2,2′−ベンゾピラン、3,6−ビス
(ジメチルアミノ)フルオレンスピロ(9,3′)−
6′−ジメチルアミノフタリド、N−ハロフェニル−ロ
イコオーラミン、ベンゾイルロイコメチレンブルーなど
を挙げることができるが、これらに限定されるものでは
ない。
【0055】顕色剤としては、例えばp−オクチルフェ
ノール、p−tert−ブチルフェノール、1,1−ビ
ス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス
(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス
(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4′
−チオビスフェノール、4,4′−スルホニルジフェノ
ール、ビス−(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)
スルホン、ノボラック型フェノール樹脂、p−ヒドロキ
シ安息香酸エチル、4−ヒドロキシフタル酸ジメチル、
4,4′−イソプロピリデンジフェノール、4−ヒドロ
キシ−4′−イソプロポキシフェニルスルホンなどを例
示することができる。
【0056】本発明の感熱記録材料は、上記の染料前駆
体、顕色性物質のほかに、次のような助剤を配合したも
のであることができる。すなわち、結合剤としては、メ
チルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、カルボ
キシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、アクリ
ル酸スチレン共重合体のアルカリ塩、イソブチレン−無
水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、ポリスチレンエマ
ルジョン、ポリアクリル酸エステルエマルジョンなど
を、また、充填剤としては、炭酸カルシウム、炭酸マグ
ネシウム、シリカ、タルク、クレー、アルミナ、水酸化
アルミニウム、ポリスチレン樹脂、尿素−ホルマリン樹
脂などを、画像安定剤としては、1,1,3−トリス
(2−メチル−4−ヒドロキシル−5−シクロヘキシ
ル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒ
ドロキシル−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、
1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−
4−ヒドロキシ−ベンジル)−S−トリアジン−2,
4,6−(1H,3H,5H)トリオンなどを、助剤の
例として挙げることができる。さらに、その他の助剤と
して、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ス
テアリン酸アルミニウムなどの滑剤、各種の界面活性
剤、消泡剤などが適宜添加されたものであってもよい。
【0057】本発明の感熱記録材料を製造するには、ま
ず、上記染料前駆体、顕色剤及び必要な助剤を、水や有
機溶剤などの分散媒へ分散させて、感熱記録材料層を形
成する組成液を得る。この際、染料前駆体、顕色剤及び
その他をそれぞれ個別に分散させて、その後混合するこ
ともできる。分散にはボールミル、サンドミル、アトラ
イターなどを適宜利用できる。このようにして得た組成
液を用いて、塗布や吹付けなどの汎用な方法によって、
紙などの基材上に感熱記録材料層を形成し、乾燥して感
熱記録紙を得る。基材としては、紙のほかに合成紙、不
織紙、布、不織布、プラスチックシートなどが利用可能
である。基材と感熱記録材料層との間には中間層を設け
てもよく、また、感熱記録材料層の上に保護層を形成す
ることもできる。
【0058】本発明の感熱記録材料は、その感熱記録層
中に、上記の各成分に加えて、一般式(1)、(2)、
(3)の何れかで表される脂肪酸アミド化合物を含むも
のである。感熱記録材料は、これらの脂肪酸アミド化合
物の一種のみを含むものであっても良く、また、同時に
複数種の脂肪酸アミド化合物を組み合わせて含むもので
あっても良い。感熱記録材料中におけるこれらの化合物
の含有量は、特に限定されるものではないが、染料前駆
体に対して通常10〜1000wt%であり、50〜5
00wt%であることが望ましい。
【0059】
【実施例】以下、実施例を用いて、本発明をさらに詳細
に説明する。尚、以下の実施例で合成した化合物の融点
は、示差走査熱量(DSC)測定器(島津製作所社製)
を用い、10℃/minで30〜150℃まで昇温して
測定した。
【0060】<実施例1:N−(2−オクタデカノイル
アミノエチル)−N−(2−オクタデカノイルオキシエ
チル)オクタデカイミドの合成>ステアリン酸300g
およびN−アミノエチルエタノールアミン45gをトル
エン90gに溶解させ、パラトルエンスルホン酸2gを
加えて、窒素気流下で攪拌しながら120℃から160
℃まで2時間かけて徐々に加熱昇温した。その後、16
0℃で4時間攪拌を継続し、溶剤を減圧留去した後、温
水洗浄、乾燥して、淡褐色固体の下記化学式(7)で表
される化合物を得た。
【0061】
【化10】
【0062】融点(DSC):69℃ IR(Neat):3324cm−1、1736cm
−1、1634cm−1、1541cm−1
【0063】<実施例2:N−(2−ドコサノイルアミ
ノエチル)−N−(2−ドコサノイルオキシエチル)ド
コサイミドの合成>ステアリン酸の代わりにベヘン酸3
00gを用い、N−アミノエチルエタノールアミン32
gを使用したほかは、実施例1と同様にして反応を行
い、淡褐色固体の下記化学式(8)で表される化合物を
得た。
【0064】
【化11】
【0065】融点(DSC):82℃ IR(Neat):3276cm−1、1734cm
−1、1607cm−1、1555cm−1
【0066】<実施例3:N,N−ジ(2−オクタデカ
ノイルアミノエチル)オクタデカイミドの合成>ステア
リン酸300gおよびN−アミノエチルエタノールアミ
ン45gをキシレン100gに溶解させ、活性白土5g
を加えて、窒素気流下で攪拌しながら130℃から18
0℃まで3時間かけて徐々に加熱昇温した。その後、1
80℃で6時間攪拌を継続し、溶剤を減圧留去した後、
濾過、冷却して、淡褐色固体の下記化学式(9)で表さ
れる化合物を得た。
【0067】
【化12】
【0068】融点(DSC):74℃ IR(Neat):3272cm−1、1653cm
−1、1549cm−1
【0069】<実施例4:N,N−ジ(2−ドコサノイ
ルオキシエチル)ドコサイミドの合成>ステアリン酸の
代わりにベヘン酸300gを用い、ジエタノールアミン
31gを使用したほかは、実施例1と同様にして反応を
行い、淡褐色固体の下記化学式(10)で表される化合
物を得た。
【0070】
【化13】
【0071】<評価例1>上記実施例1、2、3で合成
した脂肪酸アミド化合物のトナー用内添離型剤ワックス
としての効果を、比較としてカルナバワックス(融点8
3℃、針入度1>)、ポリプロピレンワックス(軟化点
150℃、針入度1>、平均分子量4000)とともに
以下に示す方法により評価した。
【0072】上記の各種ワックス状化合物3重量部、ポ
リエステル樹脂(Tg62℃)90重量部およびキナク
リドン顔料10重量部を150℃で溶融混練し、冷却後
に粉砕分級し、平均粒子径12μmのトナーを得た。こ
のトナーを10g/m処理されるようにPPC紙に塗
布し、ヒートロール温度を可変可能に改造した市販複写
機の定着部(ヒートロール径:25mm、材質:フッ素
樹脂コート)に紙送り速度120mm/secにて送
り、定着可能な温度域を目視にて確認した。上記トナー
を50℃で24時間放置した後、トナーの入った容器を
ゆっくりと傾ける事により流動性を評価した。上記トナ
ーをOHPシートにヒートロール温度190℃で定着さ
せ、オーバーヘッドプロジェクターにて投影し、目視に
て透明性を評価した。結果を、まとめて表1に示す。
【0073】
【表1】
【0074】表1から、本発明の脂肪酸アミド化合物を
用いたトナーは、カルナバワックス、ポリプロピレンワ
ックスを用いたものと比較しても、透明性に優れてお
り、ワックスの融点が低いために低温定着性が良好なト
ナーが得られることがわかる。ワックスとして、融点が
低くても分子量分布が広く、かつ、柔らかい化合物をト
ナーに添加した場合には、トナー粒子同士が凝集して流
動性を失うが、本発明の脂肪酸アミド化合物は分子量分
布が狭く、さらに硬いために、トナーの流動性が維持さ
れるものと考えられる。
【0075】<評価例2>上記実施例1、2、3で合成
した脂肪酸アミド化合物の熱転写リボン用ワックスとし
ての効果を、比較としてカルナバワックス(融点83
℃、針入度1>)、パラフィンワックス(融点67℃)
とともに以下に示す方法により評価した。
【0076】上記の各種ワックス状化合物75重量部、
EVA(VA含有量28wt%、MFR400g/10
min)10重量部を加熱攪拌し溶融混合した。これに
カーボンブラック15重量部およびビヒクルとほぼ同体
積のガラスビーズ(直径3mm)を加え、120℃〜1
30℃で3時間ディスパー攪拌してインクを作製した。
このインクを厚さ4.6μmのPETフィルムに2〜3
μm塗布して熱転写リボンを作製し、これを印字エネル
ギー可変のバーコードプリンター(ゼブラ社製、Zeb
ra XiII)を用いてキャストコート紙に転写し、印
字可能な最低印字濃度より転写感度の評価を行った。上
記作製リボンの塗布面とPETフィルムとを800g/
cmの荷重をかけて圧着させ、50℃、湿度80%の
条件下で24時間放置した。つぎにリボンからPETフ
ィルムを剥がし、PETフィルムの汚れ具合から耐ブロ
ッキング性を評価した。上記化合物10重量部、トルエ
ン40重量部を加熱して溶解させ、ついでカーボンブラ
ック1重量部および溶液の1/2体積程度のガラスビー
ズ(直径3mm)を加え、30分間ディスパー攪拌し
た。この分散液を50℃で放置し、24時間後の分散状
態を目視にて確認した。結果をまとめて表2に示す。
【0077】
【表2】
【0078】表2から、パラフィンワックスは融点が低
いので、これを用いた熱転写リボンの転写感度は良い
が、低分子量成分(移行成分)が多いために耐ブロッキ
ング性に劣ったものであった。また、ワックス分子の極
性が低いため、リボン中の顔料の分散性が悪いという結
果が得られた。また、カルナバワックスは硬いために、
これを用いると耐ブロッキング性に優れた熱転写リボン
が得られるものの、ワックスの融点が高いためにリボン
の感度は悪かった。また、パラフィンワックスと同様
に、分散性にも劣ったものであった。これらに対し、本
発明の脂肪酸アミド化合物は分子内に多くの極性基を有
しているために、これらを用いた熱転写リボンは何れも
分散性に優れていた。また、硬いために耐ブロッキング
性についても良好な結果が得られた。中でも、実施例1
の化合物を用いたものは、融点が低いため低エネルギー
で転写でき、低分子量成分(移行成分)が少なく、さら
に硬いために耐ブロッキング性にも優れていた。
【0079】<評価例3>上記実施例1、2、3で合成
した脂肪酸アミド化合物の感熱記録材料用増感剤ワック
スとしての効果を、比較として無添加の場合とともに以
下に示す方法により評価した。
【0080】 A液 3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ) −6−メチル−7−アニリノフルオラン 20部 10%ポリビニルアルコール水溶液 20部 水 60部 B液 4、4′−イソプロピリデンジフェノール 20部 10%ポリビニルアルコール水溶液 20部 水 60部 C液 実施例1、2又は3の化合物 20部 10%ポリビニルアルコール水溶液 20部 水 60部 D液 1、1、3−トリス(2−メチル−4− ヒドロキシ−5−シクロヘキシル)ブタン 20部 10%ポリビニルアルコール水溶液 20部 水 60部 E液 ジンクステアレート 4部 炭酸カルシウム 25部 10%ポリビニルアルコール水溶液 10部 水 61部
【0081】上記の各組成物の内A液〜D液をサンドグ
ラインダーで平均粒子径2μ以下になるように粉砕し、
またE液もサンドグラインダーで均一になるまで粉砕し
て各液を調製した。次いで、A液10部、B液20部、
C液20部、D液10部、E液40部を混合して感熱記
録発色層形成液を調製し、これを坪量約50g/m2
上質紙表面に乾燥固形分が約6g/m2となるよう塗
布、乾燥し、感熱記録シートを得た。
【0082】このように得られた感熱記録シートの試験
結果は以下の通りとなった。
【0083】
【表3】
【0084】なお、表3中、「発色濃度」は薄膜ヘッド
を有する感熱印字実験装置にて、パルス巾20msec
における印字物の発色濃度をマクベス反射濃度計RD−
914で測定した。「地肌発色濃度」は印字前の感熱記
録紙を、マクベス反射濃度計RD−914で印字濃度を
測定した。「60℃、24時間保存後の地肌発色濃度」
は印字前の感熱記録紙を60℃の雰囲気温度条件下で2
4時間保存した後、マクベス反射濃度計RD−914で
印字濃度を測定した。
【0085】表3から、本発明の脂肪酸アミド化合物を
用いることにより、発色感度に優れ、地肌発色がほとん
どなく、また熱安定性の良い感熱記録シートが得られる
ことが知られた。
【0086】
【発明の効果】本発明の一般式(1)又は(2)又は
(3)で表される脂肪酸アミド化合物は、分子の主鎖が
分岐している構造であるが故に、R〜Rで表される
部分が飽和で長鎖であっても、全体が直鎖状のものより
も融点は低くなる。また、R〜Rで表される長鎖の
アルキル基又はアルケニル基部分が多いため、離型性に
も優れたものとなる。したがって、耐オフセット性や耐
ブロッキング性を損なうことなく、60℃〜120℃の
望ましい範囲に融点を調整することができるのである。
一方で、分子内に存在するアミド基の水素結合や、アミ
ド基とエステル基との相互作用のために、固体での硬さ
は維持される。また、分子内に多くの極性基を有するた
めに、顔料分散性にも優れている。以上のように、本発
明によれば、電子写真用トナーの離型成分、熱転写イン
クシートのビヒクル成分、感熱記録材料の増感剤成分な
どとして好適な脂肪酸アミド化合物を得ることができ
る。
フロントページの続き (72)発明者 田口 義高 愛知県名古屋市中川区富川町2丁目1番地 中京油脂株式会社内 Fターム(参考) 2H005 AA06 AB02 CA14 2H026 AA07 BB01 DD02 DD34 2H111 AA33 BA54 4H006 AA01 AB60 AB68 BT12 BV22

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の一般式(1) 【化1】 (式中、R〜Rは、炭素数12〜50のアルキル
    基、又はアルケニル基からそれぞれ独立に選択されるも
    のであり、m、nは1〜3の整数を、lは1〜4の整数
    を意味する)で示される、分子内にアミド基を3つ以上
    もつ脂肪酸アミド化合物。
  2. 【請求項2】 下記の一般式(2) 【化2】 (式中、R〜Rは、炭素数12〜50のアルキル
    基、又はアルケニル基からそれぞれ独立に選択されるも
    のであり、m、nは1〜3の整数を、lは0ないしもし
    くは1〜4の整数を意味する)で示される、分子内にエ
    ステル基および1つ以上のアミド基をもつ脂肪酸アミド
    化合物。
  3. 【請求項3】 下記の一般式(3) 【化3】 (式中、R〜Rは、炭素数12〜50のアルキル
    基、又はアルケニル基からそれぞれ独立に選択されるも
    のであり、m、nは1〜3の整数を、lは1〜4の整数
    を意味する)で示される、分子内にアミド基および1つ
    以上のエステル基をもつ脂肪酸アミド化合物。
  4. 【請求項4】 請求項1、2、3の何れかに記載の脂肪
    酸アミド化合物を、単独で、又は複数種組み合わせて含
    有する電子写真用トナー。
  5. 【請求項5】 請求項1、2、3の何れかに記載の脂肪
    酸アミド化合物を、単独で、又は複数種組み合わせて含
    有する熱転写インクシート。
  6. 【請求項6】 請求項1、2、3の何れかに記載の脂肪
    酸アミド化合物を、単独で、又は複数種組み合わせて含
    有する感熱記録材料。
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