JP2001247400A - 有機単結晶の形成方法 - Google Patents
有機単結晶の形成方法Info
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Abstract
結晶の製造方法を提供。 【解決手段】 溶液中で有機物の自然核から種結晶を成
長させる際に、前記溶液の入った容器を運動させること
によって、前記溶液を攪拌し、前記種結晶を結晶成長さ
せることを特徴とする有機単結晶の形成方法。
Description
方法に関し、特に、非線形光学効果を有する有機単結晶
の形成方法に関する。本発明によって形成された有機単
結晶は、通信波長帯赤外光の波長変換デバイス、電界セ
ンサー、光サンプリング、光メモリー用フォトクロミッ
ク材料などに用いることができる。
然核形成法及び種結晶成長法がある。自然核成長法は、
有機単結晶を構成する有機物をメタノールなどの溶媒に
溶解し、結晶を成長させる方法である。自然核成長法
は、小型の単結晶を結晶性良く形成できるという利点が
ある。
によって得られた有機単結晶を種結晶として、この種結
晶をSeed棒先端に接着させた後、飽和状態の溶液中に投
入し、温度を降下させることにより大型化を図って前記
種結晶をさらに成長させる方法である。種結晶成長法
は、電子部品などに供することができる大型の単結晶を
得ることができるという利点がある。
成長法は結晶性の高い単結晶を形成することができる
が、核発生位置の制御が困難であるという問題がある。
このため、成長過程において近接した個所に発生した結
晶同士が付着して多結晶化したり、育成容器の側に(00
1)面を接して成長した場合は、結晶内部に大きな応力が
加わり結晶欠陥が発生したりする。
よって得た単結晶を種結晶として、さらに単結晶の育成
を行なうもので、自然核成長法によって得られた結晶の
欠陥をそのまま引き継いでしまう傾向が強い。このた
め、最終的に得られる結晶は、多結晶化したり、内部に
多くの結晶欠陥が取り入られたりする場合が多く、結晶
性の高い大型の単結晶を得ることは極めて困難であっ
た。
プロペラや磁気スターラなどの攪拌機を用いて、飽和状
態の溶液を攪拌していたため、種結晶成長の阻害となる
雑晶の発生を抑制することができないという問題があっ
た。すなわち、雑晶が発生すると、溶液の栄養が雑晶の
成長に使われ、種結晶の成長を著しく阻害するという問
題があった。この結果、種結晶は成長せず、光デバイス
などに有用な単結晶の大型化も困難となっていた。した
がって、雑晶の発生を抑制し、種結晶の成長を促進させ
て、大型の単結晶を形成することが望まれる。しかし、
このような雑晶を抑制する単結晶の形成方法は、これま
で知られていない。
結晶性に優れた有機単結晶の製造方法を提供することを
目的とする。
に、発明者らは、溶液の攪拌に着目し、成長しにくい結
晶面に垂直方向の溶液の流速を大きくすることで、本発
明の有機単結晶の製造方法を見出すに至った。
結晶を成長させる有機単結晶の形成方法であって、前記
溶液の入った容器を運動させることによって前記溶液の
攪拌を行うことを特徴とする。
運動が、回転運動であることを特徴とする。
前記有機物の自然核を、前記容器の少なくとも1部に形
成した溝部で成長させることを特徴とする。
前記溝部が、前記容器の底面に存在することを特徴とす
る。
は、前記有機物が、4-ジメチルアミノ-N-メチル-4-スチ
ルバゾリウムトシラートであることを特徴とする。
機物は、結晶化する有機物であれば特に限定されること
はない。本発明の形成方法は、例えば、DAST単結晶
の他、DNAPH,DAD及びLAPなどの有機物に対
して使用することができる。
物の自然核から種結晶を成長させる有機単結晶の形成方
法であって、溶液の攪拌を前記溶液の入った容器を運動
させることによって行なう。
メタノールなどの溶媒に溶かして作製する。その後、作
製した溶液を、後述するクラスター分解によって、雑晶
の発生を抑制しておくことが好ましい。
してDASTを用いて調査した。DAST溶液の電気伝導率を測
定した。DASTは、イオン性材料であるため、溶液内では
アニオンとカチオンに電離する。そのため、DAST溶液は
電気伝導性を持ち、これはDAST粒子の分解度に依存す
る。したがって、電気伝導率を測定すれば、肉眼では確
認できないサイズの粒子分解度(クラスター状態)を知る
ことができる。実際、ACRTで攪拌中のDAST溶液の電気伝
導率を測定したところ、図4のようになった。この結
果、温度は一定(図4点線部分)であるにも関わらず、電
気伝導率(図4実線部分)はある段階までは上昇を続ける
ことが判明した。即ち、DAST粒子が、臨界核(外部エネ
ルギーを必要とせずに自然に成長する最小の粒子)未満
に分解されていることが確認された。
機物粒子のサイズを臨界核未満に分解することにより、
雑晶を抑制できることが確認された。これによって、前
記自然核以外の有機物の粒子のサイズを臨界核未満に分
解させた溶液中で、種結晶を結晶成長させることが好ま
しいと判明した。
くとも前記溶液の飽和点以上の温度で、有機物の粒子サ
イズが自然核未満、又は臨界核未満に分解するまで行う
ことが好ましい。育成する有機物を含む溶液の温度は、
その溶液の飽和点以上の温度であれば、特に限定されな
いが、好ましくは、50℃〜60℃、さらに好ましくは、52
℃〜57℃である。
に分解するまでの時間については、育成する単結晶の種
類にもよるが、20時間〜80時間、好ましくは、30時間〜
50時間である。有機物の粒子を自然核未満に分解するこ
とにより、その後の雑晶の発生をより抑制することがで
きる。
ーや磁気プロペラなどを利用した常法の攪拌方法により
行なっても良く、後述する容器の運動による攪拌方法に
より行なっても良い。 自然核の形成 有機物の自然核は、常法により有機単結晶を構成する有
機物をメタノールなどの溶媒に溶解して、結晶を成長さ
せて得ることができる。
も1部に形成した溝部で成長させて得ることができる。
ここで、容器の少なくとも1部に形成した溝部を利用し
て自然核を得る方法について図1を用いて説明する。
説明する。溶液中に有機物に対して潤滑な材料で作った
斜面を設置すると、溶液中に生じた自然核が斜面上に微
結晶として析出する (図1のIの状態)。次に、この微結
晶が斜面上を滑り落ちて溝に到達後、溝にはまり、有機
物の(001)面を縦にした状態で結晶の位置が安定する
(図1のIIの状態)。この位置が安定した結晶を自然核と
して単結晶を形成することができる。
物に対して潤滑であれば、特に限定されないが、テフロ
ン(登録商標)などを挙げることができる。
れず、前記潤滑な材料と同質の材料を用いても良く、別
の材料を用いても良い。傾斜の角度θは、所望とする単
結晶の種類に応じて適宜設定変更することができ、特に
限定されない。自然核成長によって潤滑な材料の主面に
形成された有機物の微結晶が、その析出位置に留まる割
合を減少させ、主面を滑って溝部に捕らえられる割合を
増大させるという観点から、傾斜角度を20〜50度、より
好ましくは、30〜50度とすることができる。
又は斜面に形成した溝部の形状は、結晶の位置を固定で
きれば特に限定されない。例えば、楔型、半円形状、半
楕円形状、矩形状等、いかなる形状のものも使用するこ
とができる。微結晶が、潤滑な材料の主面を滑る際の溝
部のアンカー効果が増大するという観点から、溝部の形
状は、好ましくは、楔型である。
い。一般的には、溝部の大きさは、結晶成長させる有機
物の1/10〜1、好ましくは、1/5〜1である。例えば、楔
型の溝を形成する場合には、その開口幅rが、0.5〜2mm
であることが好ましく、さらには、0.5〜1mmであること
が好ましい。これによって、有機物微結晶の捕獲効果が
増大する。
潤滑な材料の主面又は容器の内面に1又は2以上の溝部を
形成することができる。
数形成する場合、隣接して存在する溝部において成長し
た単結晶が互いに付着して多結晶化することなく自然核
を固定できるという観点から、そのピッチPが5〜20mmで
あることが好ましく、さらに5〜10mmであることが好ま
しい。容器の内面に溝部を形成する場合も、同様のピッ
チ幅を用いることができる。
上の温度に保持した溶液の温度を、その溶液の飽和点よ
り1〜2℃高い温度まで下げる。この時点では、結晶の成
長は生じない。次に、溶液を攪拌させながら、0.1〜0.5
℃/日の割合で、温度降下させる。すると、1週間〜2週
間経過後、a軸、b軸のみならずc軸に対して成長した大
型の単結晶を得ることができる。この点を更に説明す
る。
成する分子が大きいため、結晶の育成速度が遅い。さら
に、構成する分子が大きいため、a軸、b軸方向に結晶成
長し平板状結晶になりやすいという性質を有する。
界センサー、光サンプリング、光メモリー用フォトクロ
ミック材料などの用途に見合った単結晶を育成するに
は、a、b及びc軸方向に垂直な面への溶液の供給が必要
であり、かつ、溶液の供給を制御できることが必要であ
る。容器を運動させることによって、種結晶を含む溶液
の過飽和度を均一化し、雑晶の発生を抑制すると共に、
種結晶のa、b軸方向ばかりでなくc軸方向に垂直な面に
対して溶液が十分供給され、かつ、溶液の供給を制御す
ることができる。その結果、a、b及びc軸方向に結晶成
長させることが可能となり、大型の単結晶を育成するこ
とができる。
溶液の衝撃、例えば、プロペラや磁気スターラなどによ
る衝撃が主な原因である。したがって、直接的に溶液に
作用を及ぼすことなく、間接的に溶液を攪拌することが
のぞまれる。
溶液を攪拌し、溶液の対流を作り出すことができれば、
特に限定されない。容器の運動には、例えば、振動、振
り子運動、回転運動などを挙げることができる。
を、一例として説明する。図2は、容器を回転運動させ
て溶液の攪拌を行なう場合の一例を示す。5は、水槽
で、主として有機物の溶液の温度を調製するために用い
る。6は、容器である。この容器2中で単結晶を育成す
ることができる。7は、種結晶である。この図では、自
然核を別個に用意して、Seed棒に取り付けた状態を示す
が、上述したように、容器内で自然核を成長させて、そ
のまま容器内で種結晶を成長させて単結晶を作製するこ
ともできる。
部を設け、場合により傾斜させることによって、自然核
を発生させることができる。8は溶液である。この溶液
の調製については後述する。9は、モータである。モー
タ9は、容器を回転運動させるために用いる。10は、
温度センサであり、11は、温度コントローラである。
これらは、溶液の温度を調製するために用いる。
転させても良く、回転と反転を繰り返して行なっても良
い。容器を回転運動させることにより、溶液内に衝撃を
与える原因となる物(プロペラ、磁気スターラ)が全くな
い状態で攪拌できるため、雑晶の発生を大幅に軽減する
ことが可能となる。
が、好ましくは、20〜60回転/分、より好ましくは、30
〜50回転/分である。反転させる場合、反転周期は、20
〜100回/時間、好ましくは、40〜70回/時間である。
ば、特に限定されず、水平方向、垂直方向であってもよ
い。
り、雑晶の発生を抑制でき、種結晶の成長が促進され
る。
発明は、下記の実施例に限定して解釈されるものではな
い。
順で行なった。下記式(1)及び(2)に示すように2段階の
反応過程を経てDASTを合成した。 (1) (2) まず、p-トルエンスルホン酸メチルと4-ビコリンをエ
チレングリコールジメチルエーテルに等モルずつ溶か
し、攪拌した。ついで、 (1)の反応によって得られる白
色の析出物(4-メチル-N-メチルピリジニウム トシラー
ト)を濾過により取り出し、乾燥させた。その後、得ら
れた前記析出物とp-ジメチルアミノベンズアルデヒドを
メタノールに等モルずつ溶かし、触媒としてピペリジン
を5〜10%モル加え、攪拌した。(2)の反応によって得
られる暗赤色の析出物がDASTであり、これを濾過するこ
とで取り出し、乾燥させてDAST粉末を得た。
て、溶液を作製した。溶液温度を降下させて過飽和状態
にし、自然核を発生、成長させて、3mm程度の小型結晶
を育成した。この小型結晶を種結晶とする。溶液を攪拌
しつつ55℃で36時間以上保持した後、DAST溶液の飽和点
(42℃)+1〜2℃まで温度を下げた。その後、前記種結晶
を育成容器内に投入し、さらに温度降下によって、溶液
を攪拌しながら0.1℃/日の低速成長させて単結晶を作製
した。
核(雑晶)が発生していた温度(溶液の飽和点より4〜5℃
低い温度)においても、本発明によれば、全く核発生は
起こらなかった。さらに温度降下させても核発生は確認
されなかった。本発明によれば、飽和点以下13℃でも核
発生を完全に抑制することに成功した(図3(b))。
型DAST結晶が得られた(図5)。この方法により作製した
単結晶の品質を調べるために、育成した結晶のロッキン
グカーカーブ測定を行ない、結晶内の分子配向性を調べ
た。その結果、得られた結晶の(001)面の半値幅分布
は、15秒〜20秒であり、これまでの育成方法で得ら
れた結晶の半値幅分布50秒〜130秒と比較しても高品質
であることが示された。
は実施例1と同様に、単結晶を作製した。その結果、得
られた結晶の(001)面の半値幅分布は、30秒〜40秒
であり、従来より高品質であることが示された。
55℃で36時間以上保持した。溝部を設けた育成容器内
で、容器温度を温度を降下させて過飽和状態にし、自然
核を発生、成長させて前記溝部に小型結晶を育成した。
この小型結晶を種結晶として、引き続き温度を降下させ
ることによって、溶液を攪拌しながら0.5℃/日の低速成
長させて単結晶を作製した。結晶内の分子配向性を調べ
た結果、(001)面の半値幅分布は、15秒〜20秒であ
った。その結果、高品質の単結晶が得られたことが証明
された。
は実施例3と同様に、単結晶を作製した。その結果、得
られた結晶の(001)面の半値幅分布は、20秒〜40秒であ
り、従来より高品質であることが示された。
の発生を抑制でき、かつ、成長しにくい結晶面に垂直方
向の溶液の流速を大きくすることによって、通常の方法
では平板状になり易い結晶でも立方体状にできるという
有利な効果を奏する。
攪拌効果が優れているため、種結晶の結晶成長が促進さ
せるという有利な効果を奏する。特に、成長が困難とさ
れていたc軸方向への結晶成長が促進され、高品質の大
型有機単結晶を得ることができるという有利な効果を有
する。
拌しない場合の結晶を示す図である(溶液温度は36
℃。黒い部分が雑晶を示す。)。(b)は、攪拌した場合
の結晶を示す図である(溶液温度は29℃。)。
である。
す図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 溶液中で有機物の自然核から種結晶を成
長させる有機単結晶の形成方法であって、前記溶液の入
った容器を運動させることによって前記溶液の攪拌を行
うことを特徴とする有機単結晶の形成方法。 - 【請求項2】 運動が、回転運動であることを特徴とす
る請求項1記載の方法。 - 【請求項3】 前記有機物の自然核を、前記容器の少な
くとも1部に形成した溝部で成長させたことを特徴とす
る請求項1又は2に記載の方法。 - 【請求項4】 前記溝部が、前記容器の底面に存在する
ことを特徴とする請求項3に記載の方法。 - 【請求項5】 前記有機物が、4-ジメチルアミノ-N-メ
チル-4-スチルバゾリウムトシラートであることを特徴
とする請求項1又は2に記載の方法。
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-
2000
- 2000-03-01 JP JP2000055895A patent/JP3421739B2/ja not_active Expired - Lifetime
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