JP2001247373A - セラミックシートおよびその製法 - Google Patents

セラミックシートおよびその製法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 平板状固体電解質型燃料電池用の電解質膜や
電極シートの如く、多数枚を積層した状態で大きな積層
荷重や熱ストレスを受ける様なセラミックシートを対象
として、大きな積層荷重や熱ストレスを受けたときで
も、クラックや割れを生じ難く、しかも高精度の電極印
刷を確実に実現できるセラミックシートとその製法を提
供すること。 【解決手段】 レーザー光学式三次元形状測定装置を使
用し、シート面にレーザー光を照射してその反射光を三
次元形状解析することにより求められるシートの最大反
り高さが300μm以下であり、且つ該最大反り高さの
最大外径長さに対する反り率が0.2%以下であり、電
極印刷等に対して優れた適性を有すると共に、積層荷重
と熱ストレスに対する耐クラック性と耐割れ性に優れた
セラミックシートとその製法を開示する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はセラミックシートと
その製法に関し、特に平板状固体電解質型燃料電池の固
体電解質膜や電極シートなどの素材として使用したとき
にクラックや割れなどを生じ難く、また表面平滑性が良
好で電極塗布や回路形成のためのスクリーン印刷などの
不均一を生じることのない品質安定性に優れたセラミッ
クシートとその製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】平板状固体電解質型燃料電池の構造は、
固体電解質の両面にアノード電極とカソード電極を付け
たセル、または、電極の表面に電解質と更に対電極を付
けたセルを縦方向に多数積層したセルスタックが基本で
あり、このとき各セルは互いに近接して配置され、且つ
燃料ガスと空気が混じり合わない様にセパレーター(イ
ンターコネクター)が各セル間に配置されると共に、電
解質膜やセルの周縁部とセパレーターはシール・固定さ
れる。また、電池セルの内部にマニホールドがある場合
は、その周縁部でもシール・固定される。
【0003】このセパレーターは、一般的に比重の大き
い耐熱合金やセラミックで構成されており、かなり厚肉
のシート状であるため相当の重量を有している。また、
上記燃料電池の構成素材として用いられるセラミックシ
ートは、相対的に軽量且つ薄肉であることが望まれてい
る。更に、固体電解質型燃料電池の作動温度は800〜
1000℃程度と高温であるので、その構成素材には大
きな積層荷重がかかると共に相当の熱ストレスを受け
る。
【0004】一方、ジルコニアシートの如きセラミック
シートは硬質で曲げ方向の外力に対して脆弱であるの
で、固体電解質膜や電極シートなどの燃料電池用構成素
材として使用されるセラミックシートの表面に凹凸等が
あると、その個所に前記積層荷重や熱ストレスが集中し
てクラックや割れを起こし、発電性能が急激に低下して
くる。
【0005】そこで本発明者らは、燃料電池の固体電解
質膜用等として用いられるセラミックシートの上記積載
荷重や熱ストレスによるクラックや割れを低減し、燃料
電池としての性能向上と寿命延長を期してかねてより研
究を進めており、その研究の一環として、シートの反り
量や最大ウネリ高さを所定値以下に抑えれば、上記クラ
ックや割れの発生が可及的に抑えられることを確認し、
先に提案した(特開平8−151270号、同8−51
271号)。
【0006】上記公開公報で提示したセラミックシート
であれば、かなり大版のシートであっても相当の積層荷
重と熱ストレスに耐えることから、燃料電池としての発
電容量の大幅な増大が可能となり、燃料電池の工業的実
用化に向けて極めて有効な技術として期待される。
【0007】ところが本発明者らが更なる改良研究を進
めるうち、下記の様な事実が次第に明らかになってき
た。即ち前記公開公報に開示した反りの小さいセラミッ
クシートであっても、セラミックシートのサイズと最大
反り量との関係によっては、スクリーン印刷などにより
電極形成を行なう際に、該印刷画像がかすれたり極端な
場合は部分的に電極印刷ができない分が生じて商品欠陥
となり、或いは積載荷重や熱ストレスの程度によってク
ラックや割れを生じることが確認された。
【0008】特に、燃料電池の実用化に向けて発電容量
を増大するため固体電解質膜などはますます大版化する
傾向があり、この様な大版セラミックシートを例えば5
0枚、あるいは100枚程度以上重ね合わせて組付け燃
料電池としたとき、該シートに大きな反りがあると、該
最大反り部分およびその周辺部に局部的な内部応力が生
じ、燃料電池の稼動時に積載荷重や熱ストレスを受けた
ときに当該個所にクラックや割れが発生し易くなる。
【0009】また該セラミックシートを燃料電池の固体
電解質膜や電極シートなどとして使用する際には、該シ
ートに電極塗布や回路形成のためのスクリーンン印刷を
施す必要があるが、該シートに大きな反りが存在する
と、印刷厚さが不均一になったり、極端な場合は一部が
かすれて印刷されない部分ができることもあり、重大な
製品欠陥を生じる原因になる。
【0010】ところでセラミックシートの一般的な製法
は、セラミック原料粉末と有機質バインダーおよび分散
媒からなるスラリーを、ドクターブレード法、カレンダ
ー法、押出し法等によってシート状に成形し、これを乾
燥し分散媒を揮発させてグリーンシートを得、これを所
定形状に打抜き加工してから焼成し、有機質バインダー
を分解除去すると共にセラミック粉末を相互に焼結させ
る方法であり、グリーンシートは焼結過程で長さにして
70〜90%程度、面積にして50〜80%程度に収縮
する。従って、該焼結時にグリーンシート表面で有機質
バインダーの分解除去速度が不均一になったり、あるい
は焼結に伴う収縮がシート表面で不均一になると、得ら
れるセラミックシート表面に大きな反りが生じる原因と
なり、これが上記の様な製品欠陥を引き起こすものと考
えられる。
【0011】セラミックシートを製造する際の焼成時の
昇温プロフィールついては、低温焼成多層配線基板を対
象として焼成雰囲気の多様性と高生産性の観点から種々
検討されている。しかし、平板状固体電解質型燃料電池
の電解質膜や電極シートに関しては、特開平4−376
46号公報に、ジルコニア系セラミックシートを焼成す
る際の昇温速度を特定し、一度の焼成のみで気密且つ平
坦な膜を製造する焼成方法が開示されている程度であ
る。
【0012】しかしながら、工業的製造に必要な大型炉
での焼成条件や、工業的実用化に向けて必要となる直径
8cm程度以上のセラミックシートを得るための焼成条
件については、より遅い昇温速度で脱脂を行なう必要が
あると指摘されているのみで具体的な条件については開
示されておらず、大版セラミックシートを工業的に生産
性良く量産化する製造方法としては尚不十分と言わざる
を得ない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の様な事
情に着目してなされたものであって、その目的は、特に
平板状固体電解質型燃料電池に用いられる固体電解質膜
や電極シートの如く、多数枚積み重ねて組付けられた状
態で大きな積層荷重や熱ストレスを受ける様なセラミッ
クシートを対象として、大きな積層荷重や熱ストレスを
受けたときでもクラックや割れを生じることがなく、ま
た電極印刷なども支障なく均一に行ない得る様なセラミ
ックシートとその製法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
のできた本発明にかかるセラミックシートとは、レーザ
ー光学式三次元形状測定装置を使用し、シート面にレー
ザー光を照射してその反射光を三次元解析することによ
り求められるシートの最大反り高さが300μm以下で
あり、且つシート最大外径長さに対する反り率が0.2
%以下であるところに要旨を有している。そしてこのセ
ラミックシートは、反りが少なくて電極印刷などを精度
良く確実に行なうことができ、しかも反りに起因する積
層荷重や熱ストレスによるクラックや割れを起こし難い
という特徴から、平板状固体電解質型燃料電池の電解質
膜または電極シートとして極めて有用である。
【0015】また本発明に係る製法は、上記特性を備え
たセラミックシートを工業的に生産性よく製造すること
のできる方法として位置付けられるもので、セラミック
グリーンシートを焼成してセラミックシートを製造する
際に、該グリーンシート内に含まれる有機物成分が、該
有機物成分全量に対して10〜90質量%減少する温度
域(以下、脱脂温度域ということがある)の平均昇温速
度を0.1〜3℃/分の範囲に制御すると共に、該グリ
ーンシートの焼結完了までの全収縮量に対して10〜9
0%収縮する温度域(以下、焼結温度域ということがあ
る)の平均昇温速度を0.5〜5℃/分に制御するとこ
ろに要旨を有している。この方法を実施する際に、上記
脱脂温度域で2〜120分間一定の温度で少なくとも1
回保持し、また、上記焼結温度域で、2〜120分間一
定の温度で少なくとも1回保持すれば、脱脂・焼結をシ
ート全面に亘って一層均一に進行させることができ、反
り高さおよび反り率を一段と小さくすることができるの
で好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明者らは前述した様な解決課
題の下で、特に平板状固体電解質型燃料電池の構成素材
として用いられるセラミックシートについて、電極印刷
不良などを生じることなく、燃料電池として稼動する際
に生じるクラックや割れを抑制し、燃料電池の性能向上
を図ると共に寿命延長を増進すべく、色々の角度から研
究を進めてきた。
【0017】その結果、前述した様な印刷不良およびセ
ラミックシートに生じるクラックや割れは、セラミック
シートの最大反り高さの絶対値と、該最大反り高さのシ
ート最大外径長さ(最大外径長さとは、円形シートの場
合は直径、正方形や長方形などの場合は対角線長さを意
味する)に対する比率に大きく影響され、該最大反り高
さを300μm以下、より好ましくは200μm以下、
更に好ましくは100μm以下に抑えると共に、該最大
反り高さの最大外径長さに対する比率(反り率)を0.
2%以下、より好ましくは0.15%以下、更に好まし
くは0.1%以下に抑えてやれば、印刷不良やクラック
・割れの発生が可及的に抑えられることを確認し、上記
本発明に想到したものである。
【0018】ちなみに、先に説明した如く燃料電池用の
固体電解質膜や電極シートとして使用する際に、前記最
大反り高さと前記反り率はスクリーン印刷などを行なう
際に印刷不良を生じる大きな原因になると共に、積層荷
重を受けたときの内部応力の局部的な集中によるクラッ
クや割れの発生にも直結しているからであり、これらの
規定により、スクリーン印刷などによる電極形成等をよ
り均一且つ精度よく行ない得ると共に、多数枚の積層に
よる積層荷重や熱ストレスを受けた時の応力集中によっ
て生じるクラックや割れを可及的に抑えることができ、
燃料電池の構成素材などとして用いることにより、その
性能向上と寿命の大幅な延長を実現し得るのである。
【0019】上記最大反り高さとは、レーザー光学式三
次元形状測定装置のワーク台にセラミックシートを載置
し、該シート面にレーザー光を照射しながら最大外径線
(円形の場合は直径、正方形や長方形の場合は対角線、
五角形以上の多角形の場合はその中心点を通る直線の周
端縁までの最大長さを表わす)上をスキャンさせて得ら
れる最大高さ位置と最低高さ位置との差を意味し、前記
反り率とは、レーザー光学式三次元形状測定装置のワー
ク台にセラミックシートを載置し、レーザー光を照射し
ながら最大外径線(同前)上をスキャンさせて得られる
前記最大外径長さに対する最大反り高さの割合(百分率)
を意味する。
【0020】そして、該最大反り高さが300μmを超
え或いは前記反り率が0.2%を超える場合は、該反り
に起因する電極印刷不良欠陥や積層荷重時のクラックや
割れの発生を確実に阻止することができず、本発明の目
的を果たすことができないのである。
【0021】尚上記レーザー光学式三次元形状測定装置
とは、被測定対象となるセラミックシート面にレーザー
光を照射してシート表面でフォーカスを結び、その反射
光をフォトダイオード上に均等に結像させるとき、シー
ト面が変位に対し像に不均等が生じると、即座にこれを
解消する信号を発して対物レンズの焦点を常にシート面
に合う様にレンズが制御される構造を備えた非接触式の
微小三次元形状解析装置であり、その移動量を検出する
ことによって、被測定対象となるシート面の凹凸を非接
触的に検出することができる。その分解能は通常1μm
以下、より好ましくは0.1μm以下のものが使用さ
れ、この様な装置を使用することによって、シートの反
り高さを正確に検知できる。
【0022】ところで、シートの反り高さや反り率が大
きくなる原因は種々考えられるが、最大の原因は、グリ
ーンシートを脱脂・焼結させてセラミックシートとする
際の脱脂の不均一(バインダー成分や可塑剤などの有機
物成分の熱分解による焼失速度の不均一)、あるいは焼
結の進行に伴う前記収縮時の不均一等が挙げられる。
【0023】従って、上記最大反り高さと反り率を抑え
るには、脱脂時における有機物成分の焼失速度(分解ガ
スの放出速度)をシート全面で均一化すると共に、焼結
をシート面内の全域で均一に進行させて収縮が万遍なく
進行する様な条件設定が重要となる。
【0024】そこで本発明者らは、脱脂時および焼結時
の昇温速度が最大反り高さや反り率に与える影響を定量
的に明らかにすべく研究を進めた。その結果、グリーン
シート内に含まれる有機物成分が、該有機物成分全量に
対して10〜90質量%焼失して減量する時の温度域
(脱脂温度域)の平均昇温速度を0.1〜3℃/分、好
ましくは0.2〜3℃/分、更に好ましくは0.4〜3
℃/分の範囲に制御すると共に、該グリーンシートが脱
脂後最終的に焼結して収縮する全収縮量に対して10〜
90%収縮する時の温度域(焼結温度域)の平均昇温速
度を0.5〜5℃/分、好ましくは1.0〜5℃/分、
更に好ましくは2〜5℃/分の範囲に制御してやれば、
脱脂および焼結時に生じる反りが可及的に抑えられ、き
わめて平滑性の高いセラミックシートが得られることを
確認した。
【0025】ちなみに、上記脱脂温度域の平均昇温速度
が0.1℃/分を下回り、或いは焼結温度域の平均昇温
速度が0.5℃/分を下回る場合は、昇温速度が遅すぎ
るため脱脂または焼結に長時間を要し、生産性が極端に
低下してくるため工業的実用化にそぐわなくなる。一
方、脱脂温度域の平均昇温速度が3℃/分を上回り、或
いは焼結温度域の平均昇温速度が5℃/分を上回る場合
は、脱脂または焼結時の昇温速度が高すぎるためシート
面内で温度不均一が生じて脱脂もしくは焼結の進行が局
部的に不均一となり、反りが生じ易くなるばかりでな
く、極端な場合はシートに割れが発生する恐れも生じて
くる。
【0026】そして、こうした好適昇温速度を、工業的
な大量生産を可能にするために用いられる大容量焼成炉
を用いた脱脂・焼結で確保するには、大容量焼成炉内の
加熱有効部位における温度分布を、予め設定した温度プ
ログラムに対して±30℃以内、より好ましくは±20
℃以内、更に好ましくは±10℃以内に抑えることが有
効となる。この時、上記脱脂温度域および/または焼結
温度域で、2〜120分間一定の温度で少なくとも1回
保持する保温工程を付加すれば、該保温工程で昇温速度
の僅かな変動を吸収することができ、それによりシート
全面における昇温速度を更に均一にすることができ、最
終的に得られるセラミックシートの反りを一段と小さく
抑えることができるので好ましい。
【0027】なお、上記昇温速度制御が行なわれる脱脂
温度域および/または焼結温度域を、それぞれ有機物成
分全量中の10〜90質量%が減量(焼失)する時期、
および全収縮量に対して10〜90%収縮する時期、と
定めたのは、夫々の時期において有機物成分の焼失除去
が急激に進行し、あるいは焼結が急激に進行するため、
この時期の昇温速度を厳密に制御することが最も効果的
であるからである。中でもこうした有機物成分の焼失除
去は、全量中の30〜70質量%が焼失する時に最も顕
著であり、また全収縮量に対して20〜80%収縮する
時に最も顕著であるので、該温度域の昇温速度を可及的
に遅くするか、或いは該温度域で少なくとも1回の定温
保持を行なえば、反りを更に効果的に抑えることができ
るので好ましい。
【0028】本発明で定める上記最大反り高さと反り率
の要件を満たす平滑度のセラミックシートをより確実に
得るには、脱脂・焼結時に使用するスペーサー或いはセ
ッターとして多孔質シートを使用することが望ましく、
更には多孔質シートとグリーンシート接触界面の滑り良
くすることが有効である。
【0029】即ちグリーンシートの焼成時にスペーサー
として介装される多孔質シートは既に焼成されたもので
あり、グリーンシートの焼結工程では殆ど収縮しないの
に対し、グリーンシートは脱脂・焼結の際に長さで70
〜90%程度、面積率にして50〜80%程度に収縮す
るので、焼結過程では両シート面の間、特にシートの外
周縁側には滑り方向のずれが生じる。この時、両シート
面は殆ど密接しているので、脱脂・焼結温度条件下では
該シート面で局部的な接合を起こす恐れがあり、かかる
接合が起こるとその部分で滑りが阻害される結果、当該
部分のグリーンシート面に圧縮力が作用すると共に、そ
の近辺には引張力が作用し、それら局部的な圧縮力や引
張力によってグリーンシート素材の移動量が不均一にな
り、これが反りを生じる原因になることがある。あるい
は、成形に用いられる有機バインダーや可塑剤の特性か
ら、セラミックグリーンシートが熱により粘着性を発現
するものである場合、焼成中に多孔質シートと付着を起
こす恐れがあり、上記と同様にグリーンシートの移動量
が不均一になり、これが反りを大きくする原因にもなっ
てくる。これら移動量の不均一は、グリーンシートにか
かる荷重が大きいほど、またグリーンシートにかかる荷
重が不均一なほど顕著に現われる。
【0030】従って、こうした局部的な接合による反り
発生原因を解消するには、該多孔質シートとグリーンシ
ートの接触面に平均粒子径が0.3〜100μm程度の
粉末を介在させ、該粉末によって接合を阻止すると共に
シート面間の滑りを円滑にし、両シート接触面で前述し
た様な局部的な引張力や圧縮力が生じる現象を抑えるこ
とも極めて有効である。即ち、該粉末自体の滑り促進作
用、更には該粉末の介在によってシート面間の隙間増大
による分解ガスの放散促進作用とも相俟って、反りを一
層小さく抑えることができる。
【0031】その様な効果を期待して使用される粉末と
しては、平均粒子径が0.3〜100μmの範囲のもの
が好ましく、0.3μm未満の粉末では余りに微細であ
るため上記接合阻止作用や滑り促進作用、分解ガスの放
散促進作用が有効に発揮され難く、また特に無機質粉末
の場合は、焼結時に粉末自体が多孔質シートやセラミッ
クシートに付着もしくは融着することがあり、一方10
0μmを超える粗粒物では、得られるセラミックシート
の表面粗度が大きくなって、固体電解質膜用として実用
化する際の電極印刷などに悪影響を及ぼす恐れがでてく
る。こうした利害得失を考慮してより好ましい粉末の平
均粒子径は1μm以上、80μm以下、更に好ましくは
2μm以上、60μm以下である。粉末として特に好ま
しいのは、粗粒子の少ないものであり、90体積%の粒
子が200μm以下、更に好ましくは100μm以下の
ものである。
【0032】該粉末としては、有機質および無機質のい
ずれであっても構わないが、中でも特に好ましいのは有
機質粉末である。しかして無機質粉末は、焼結処理後も
シート表面に残存するばかりでなく、その種類によって
はセラミックシート表面に融着することがあり、焼結後
の除去が煩雑になる恐れがあるが、有機質粉末であれ
ば、焼結条件下で焼失してしまうので後処理による除去
作業などが不要であるからである。尚セラミックシート
の焼結が完了した時点では、もはや多孔質シートとの接
合を起こす恐れはなく、また有機質バインダー成分の放
散も完了しているので、粉末が残存していなくても全く
差し支えない。しかし、セラミックシートの種類によっ
ては、有機質粉末と共に少量の無機質粉末を併用し、焼
結の末期まで少量の粉末を残存させることも有効であ
る。無機質粉末を併用する場合でも、好ましくは有機質
粉末の使用量を50重量%以上、より好ましくは60重
量%以上、更に好ましくは80重量以上とすることが望
ましい。
【0033】上記有機質粉末としては、上記の様に焼結
条件下で焼失するものであればその種類の如何は問わ
ず、天然有機質粉末もしくはアクリル樹脂粉末、メラミ
ンシアヌレートなどの昇華性樹脂粉末などの合成有機樹
脂粉末等を使用できるが、中でも特に好ましいのは、小
麦粉、トウモロコシ澱粉(コーンスターチ)、甘藷澱
粉、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉等の澱粉質粉末である。
しかして澱粉質粉末は、ほぼ球形で粒径の揃った微粉末
であり、不純物なども殆ど含まれておらず、滑剤として
の作用も非常に優れたものであるからである。これら有
機質粉末は、単独で使用してもよく或いは必要により2
種以上を適宜併用することが可能である。
【0034】また無機質粉末の種類も特に限定されない
が、好ましいのは天然もしくは合成の各種酸化物や非酸
化物、例えばシリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニ
ア、ムライトや、窒化ホウ素、窒化珪素、窒化アルミニ
ウム、炭化珪素、カーボン等であり、これらも単独で使
用し得る他、必要により2種以上を併用できるが、好ま
しくは使用するグリーンシートや多孔質シートの素材に
応じて、これらに対して接合性の低い無機質粉末を選択
使用するのがよい。
【0035】これら粉末の好ましい塗布量は焼結対象と
なるセラミックグリーンシートの面積当たり0.000
1cc/cm2以上、より好ましくは0.0002cc
/cm2以上で、0.1cc/cm2以下、より好ましく
は0.02cc/cm2以下とすることが望ましい。
【0036】尚グリーンシートの焼成に当たっては、グ
リーンシート一枚に多孔質シートを載せて焼成すること
も可能であるが、複数のグリーンシートを多孔質シート
と交互に重ね合わせて同時に焼結する方法を採用すれ
ば、焼結作業をより効率よく実施できるので有利であ
る。また、最上層の多孔質シートの重さを重くしたり、
多孔質シートの上に更に重しを載せて焼成を行なえば、
重しの効果も加わって一段と平滑で反りの少ないセラミ
ックシートを得ることができるので好ましい。
【0037】セラミックシートの素材となるセラミック
としては、ジルコニア、アルミナ、チタニア、窒化アル
ミニウム、コージェライト、ムライト、アルミナ/ホウ
珪酸ガラス、コージェライト/ホウ珪酸ガラス、酸化ニ
ッケル/ジルコニアなど様々の単独、混合もしくは複合
酸化物が挙げられる。
【0038】これらの中でも、固体電解質膜用として特
に好ましいのはジルコニア系セラミックであり、具体的
には、ジルコニアにMgO,CaO,SrO,BaOな
どのアルカリ土類金属酸化物、Y23,La23,Ce
23,Pr23,Nd23,Sm23,Eu23,Gd
23,Tb23,Dy23,Ho23,Er23,Yb
23などの希土類金属酸化物、更にはSc23,Bi2
3,In23などの安定化剤を1種もしくは2種以上
含有するジルコニア系セラミックが挙げられ、その中に
は他の添加剤としてSiO2,Al23,Ge23,S
nO2,Ta25,Nb25などが含まれていてもよ
い。
【0039】この他、CeO2またはBi23にCa
O,SrO,BaO,Y23,La2 3,Ce23,P
23,Nd23,Sm23,Eu23,Gd23,T
23,Dr23,Ho23,Er23,Yb23,P
bO,WO3,MoO3,V25,Ta25,Nb25
の1種もしくは2種以上を添加したセリア系またはビス
マス系、更にはLaGaO3の如きガレート系の固体電
解質膜も好ましいものとして例示される。
【0040】また電極シート用の構成素材としては、N
i,Co,Feあるいはこれらの酸化物等と、上記ジル
コニア及び/又はセリアとのサーメット、更にはこれら
にMgO,CaO,SrO,BaOなどのアルカリ土類
金属酸化物やMgAl24などを添加したサーメットな
どが、またカソード電極シートの構成素材としては、ぺ
ロブスカイト型結晶構造を有するランタン・マンガネー
ト、ランタン・コバルテート、あるいは、これらのうち
ランタンをCa,Srなどで一部置換し、もしくはマン
ガンをCo,Fe,Crなどで一部置換し、更にはラン
タンとコバルトの一部をCa,Sr,Co,Feなどで
置換した複合酸化物などが例示される。
【0041】なお、燃料電池の固体電解質膜用などとし
て使用されるセラミックシートにはより高度の熱的、機
械的、電気的、化学的特性が要求されるので、こうした
要求特性を満足させるには、2〜12モル%、より好ま
しくは2.5〜10モル%、更に好ましくは3〜8モル
%の酸化イットリウムで安定化された酸化ジルコニウム
(正方晶及び/又は立方晶ジルコニア)がより好ましい
ものとして推奨される。
【0042】また、これらのセラミックシートを特に燃
料電池用の固体電解質膜や電極用シートとして実用化す
る場合は、要求強度を満たしつつ電気抵抗を可及的に抑
えるため、シート厚さを10μm以上、より好ましくは
50μm以上で、500μm以下、より好ましくは30
0μm以下とするのが良い。
【0043】またシートの形状としては、円形、楕円
形、角形、R(アール)を持った角形など何れでもよ
く、これらのシート内に同様の円形、楕円形、角形、R
を持った角形などの穴を1つもしくは2つ以上有するも
のであってもよい。更にシートの面積は、50cm2
上、好ましくは100cm2以上である。なおこの面積
とは、シート内に穴がある場合は、該穴の面積を含んだ
総面積を意味する。
【0044】これらセラミックシートの製造は、常法に
従ってセラミック原料粉末と有機質もしくは無機質バイ
ンダーおよび分散媒(溶剤)、必要により分散剤や可塑
剤などを含むスラリーを、ドクターブレード法、カレン
ダーロール法、押出し法等によって平滑なシート、例え
ばポリエステルシート上に適当な厚みで塗布し、乾燥し
て分散剤を揮発除去することによりグリーンシートを
得、これを適当な大きさに打抜いた後、前述の様に多孔
質シートを載せて、あるいは多孔質シートに挟んで棚板
上に載置し、1,000〜1,600℃程度の温度で2
〜5時間程度加熱焼成する方法が採用される。
【0045】この時、出来上がりシートの均質性を高
め、最大反り高さや反り率をより小さくするには、セラ
ミックシートの原料粉末として平均粒径が0.1〜0.
8μmの範囲で、且つできるだけ粒径の揃ったもの(粒
度分布の小さなもの)、具体的には、該粉末の90体積
%以上が5μm以下であるものを使用するのがよい。
【0046】本発明で用いられるバインダーの種類にも
格別の制限はなく、従来から知られた有機質もしくは無
機質のバインダーを適宜選択して使用することができ
る。有機質バインダーとしては、例えばエチレン系共重
合体、スチレン系共重合体、アクリレート系及びメタク
リレート系共重合体、酢酸ビニル系共重合体、マレイン
酸系共重合体、ビニルブチラール系樹脂、ビニルアセタ
ール系樹脂、ビニルホルマール系樹脂、ビニルアルコー
ル系樹脂、ワックス類、エチルセルロース等のセルロー
ス類等が例示される。
【0047】これらの中でもグリーンシートの成形性や
打抜き加工性、強度、焼成時の熱分解性等の点から、メ
チルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアク
リレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレー
ト、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシル
アクリレート等の炭素数10以下のアルキル基を有する
アルキルアクリレート類、およびメチルメタクリレー
ト、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イ
ソブチルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2
−エチルヘキシルメタクリレート、デシルメタクリレー
ト、ドデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレー
ト、シクロヘキシルメタクリレート等の炭素数20以下
のアルキル基を有するアルキルメタクリレート類、ヒド
ロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリ
レート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシ
プロピルメタクリレート等のヒドロキシアルキル基を有
するヒドロキシアルキルアクリレートまたはヒドロキシ
アルキルメタクリレート類、ジメチルアミノエチルアク
リレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート等のア
ミノアルキルアクリレートまたはアミノアルキルメタク
リレート類、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、モノイ
ソプロピルマレートの如きマレイン酸半エステル等のカ
ルボキシル基含有モノマーの少なくとも1種を重合また
は共重合させることによって得られる、数平均分子量が
2,000〜200,000、より好ましくは5,00
0〜100,000の(メタ)アクリレート系共重合体
が好ましいものとして推奨される。これらの有機質バイ
ンダーは、単独で使用し得る他、必要により2種以上を
適宜組み合わせて使用することができる。これらの中で
も特に好ましいのは、イソブチルメタクリレートおよび
/または2−エチルヘキシルメタクリレートを60重量
%以上含むモノマーの共重合体である。
【0048】また無機質バインダーとしては、ジルコニ
アゾル、シリカゾル、アルミナゾル、チタニアゾル等が
単独で若しくは2種以上を混合して使用することができ
る。
【0049】セラミック原料粉末とバインダーの使用比
率は、前者100重量部に対して後者5〜30重量部、
より好ましくは10〜20重量部の範囲が好適であり、
バインダーの使用量が不足する場合は、グリーンシート
の強度や柔軟性が不十分となり、逆に多過ぎる場合はス
ラリーの粘度調節が困難になるばかりでなく、焼成時の
バインダー成分の分解放出量が多く且つ激しくなって均
質なシートが得られ難くなる。
【0050】またグリーンシートの製造に使用される分
散媒としては、水、メタノール、エタノール、2−プロ
パノール、1−ブタノール、1−ヘキサノール等のアル
コール類、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、ペン
タン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、ベン
ゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族
炭化水素類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等の
酢酸エステル類等が適宜選択して使用される。これらの
分散媒も単独で使用し得る他、2種以上を適宜混合して
使用することができる。これら分散媒の使用量は、グリ
ーンシート成形時におけるスラリーの粘度を加味して適
当に調節するのがよく、好ましくはスラリー粘度が10
〜200ポイズ、より好ましくは10〜50ポイズの範
囲となる様に調整するのがよい。
【0051】上記スラリーの調製に当たっては、セラミ
ック原料粉末の解膠や分散を促進するため、ポリアクリ
ル酸、ポリアクリル酸アンモニウム等の高分子電解質、
クエン酸、酒石酸等の有機酸、イソブチレンまたはスチ
レンと無水マレイン酸との共重合体およびそのアンモニ
ウム塩あるいはアミン塩、ブタジエンと無水マレイン酸
との共重合体およびそのアンモニウム塩等からなる分散
剤;グリーンシートに柔軟性を付与するためのフタル酸
ジブチル、フタル酸ジオクチル等のフタル酸エステル
類、プロピレングリコール等のグリコール類やグリコー
ルエーテル類からなる可塑剤など;更には界面活性剤や
消泡剤などを必要に応じて添加することができる。
【0052】かくして本発明によれば、セラミックシー
トの特に最大反り高さを300μm以下、より好ましく
は200μm以下、更に好ましくは100μm以下に抑え
ると共に、前記反り率を0.2%以下、より好ましくは
0.15%以下、さらにこのましくは0.1%以下に抑
えることによって、平板状固体電解質型燃料電池用の固
体電解質膜や電極シートなどの構成素材として安定した
電極印刷適性を確保すると共に、優れた耐積層荷重性と
耐熱ストレス性を有し、稼動時のクラックや割れの発生
を可及的に抑えて寿命を大幅に延長することができ、ま
た本発明の方法を採用すれば、その様な形状特性を備え
たセラミックシートを生産性よく製造できる。
【0053】
【実施例】以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をよ
り具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例に
よって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適
合し得る範囲で適当に変更して実施することも可能であ
り、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含され
る。
【0054】なお下記実施例において、有機質粉末およ
び無機質粉末の粒子径は、島津製作所社製のレーザー回
折式粒度分布測定装置「SALD−1100」を使用
し、試料粉末をメタリン酸水溶液に懸濁させて1分間超
音波を当てて分散させてから測定した。
【0055】実施例1 3モル%イットリア安定化ジルコニア粉末(第一希元素
社製商品名「HSY−3.0」)100質量部に対し、
メタクリル酸重合体からなるバインダー(平均分子量:
40,000、ガラス転移温度:−8℃、固形分濃度:
50質量%)固形分量で14質量部、可塑剤としてジブ
チルフタレート2質量%、分散媒としてトルエン/イソ
プロピルアルコール(質量比=3/2)の混合溶剤50
質量部を、直径5mmのジルコニアボールが装入された
ナイロンポットに入れ、臨界速度の60%の約60rp
mで40時間混練してスラリーを調製した。このスラリ
ーを濃縮脱泡して粘度を3Pa・s(23℃)に調整
し、最後に200メッシュのフィルターに通してからド
クターブレード法によりポリエチレンテレフタレートフ
ィルム上に塗工してグリーンシートを得た。
【0056】このグリーンシートを使用し、グリーンシ
ート内に含まれる有機物成分の熱分析を行なった。α−
アルミナを参照としてサンプル70mgを取り、熱分析
装置(MAC SCIENCE社製「TG−DTA20
00S」)により、空気を流量5ml/分で流通させ、
室温から450℃までの温度域を昇温速度0.2℃/分
で昇温してグリーンシート内に含まれる有機物成分を熱
分解させ、その減量曲線を求め、10%減量する温度と
90%減量する温度を読み取って表1にまとめた。同様
に空気を流量20ml/分で流通させ、昇温速度を1℃
/分に設定して10%減量する温度と90%減量する温
度を読み取り、表1にまとめた。
【0057】また、このグリーンシートを使用し、グリ
ーンシートの機械的分析による示差膨張を測定して収縮
率を算出した。α−アルミナを参照としてサンプル70
mgを取り、熱分析装置(MAC SCIENCE社製
「TMA4000S」)を用いて、900℃から150
0℃まで温度域を昇温速度0.2℃/分で昇温し、脱脂
体が焼結されていく時のセラミックシートが、セラミッ
クシート全収縮量に対して10%収縮する温度と90%
収縮する温度を読み取って表1にまとめた。同様に、昇
温速度を1℃/分に設定して10%減量する温度と90
%減量する温度を読み取り、表1にまとめた。
【0058】このグリーンシートを丸型に切断し、気孔
率30%のアルミナスペーサーの間にサンドイッチ状に
挟み込み、表2〜6に示す昇温プログラム1〜5に従っ
て1m3のスペリオキルンによって各々1800枚焼成
し、直径150mmの3モル%イットリア安定化ジルコ
ニアシートを得た。表2〜6に示した昇温プログラムの
うち、表2〜4は本発明で定める好ましい昇温条件を満
たす実施例、表5,6は好ましい昇温条件を外れる比較
例である。
【0059】各々1800枚のジルコニアシートについ
て、レーザー光学式非接触三次元形状測定装置(UBM
社製商品名「UBM1−14型」マイクロフォーカス
エキスパート)を使用し、シート面にレーザー光を照射
してその反射光を三次元解析することにより、シートの
最大反り高さとシートの最大外径長さ(150mm)に
対する反り率を求めた。
【0060】測定装置の主な仕様は、光源;半導体レー
ザー(780nm)、スポット径;1μm、垂直分離
能;0.01μmであり、スキャン速度は0.1mmと
した。結果は表7に示す通りであり、適正な昇温条件で
ある昇温プログラム1〜3を採用したものでは、最大反
り高さおよび反り率が何れも小さく、本発明の規定要件
を満たしているのに対し、適正な昇温条件を外れる昇温
プログラム4,5では、最大反り高さおよび反り率が本
発明の規定範囲を超えている。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】
【表3】
【0064】
【表4】
【0065】
【表5】
【0066】
【表6】
【0067】
【表7】
【0068】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、セ
ラミックシートの特に前記最大反り高さと反り率を特定
することによって、平板状固体電解質型燃料電池用の固
体電解質膜や電極シート等の構成素材として優れた電極
印刷性を有すると共に、耐積層荷重性と耐熱ストレス性
を与えて稼動時のクラックや割れの発生を可及的に抑え
ることができ、その結果として、例えば高性能で且つ耐
久寿命の大幅に改善された燃料電池などを提供できる。
しかも本発明の方法によれば、その様な形状特性を備え
たセラミックシートを工業的に効率よく製造し得ること
になった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ▲高▼▲崎▼ 恵次郎 兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地の 1 株式会社日本触媒内 (72)発明者 下村 雅俊 兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地の 1 株式会社日本触媒内 (72)発明者 西川 耕史 兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地の 1 株式会社日本触媒内 Fターム(参考) 4G030 AA17 BA01 CA08 GA14 PA12 4G031 AA08 AA12 BA02 BA03 CA08 GA04 GA07 5H018 AA06 AS02 AS03 BB01 BB08 EE11 HH03 HH05 HH08 HH10 5H026 AA06 BB00 BB01 BB04 EE11 HH03 HH05 HH08 HH09

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レーザー光学式三次元形状測定装置を使
    用し、シート面にレーザー光を照射してその反射光を三
    次元解析することにより求められるシートの最大反り高
    さが300μm以下であり、且つシート最大外径長さに
    対する反り率が0.2%以下であることを特徴とするセ
    ラミックシート。
  2. 【請求項2】 平板状固体電解質型燃料電池の電解質膜
    または電極シートとして使用されるものである請求項1
    に記載のセラミックシート。
  3. 【請求項3】 セラミックグリーンシートを焼成してセ
    ラミックシートを製造する際に、該グリーンシート内に
    含まれる有機物成分が、該有機物成分全量に対して10
    〜90質量%減少する温度域の平均昇温速度を0.1〜
    3℃/分の範囲に制御すると共に、該グリーンシートの
    焼結完了までの全収縮量に対して10〜90%収縮する
    温度域の平均昇温速度を0.5〜5℃/分に制御するこ
    とを特徴とするセラミックシートの製法。
  4. 【請求項4】 グリーンシート内に含まれる有機物成分
    が、該有機物成分全量に対して10〜90重量%減少す
    る前記温度域で、2〜120分間一定の温度で少なくと
    も1回保持し、また、該グリーンシートの焼結完了まで
    の全収縮量に対して10〜90%収縮する温度域で、2
    〜120分間一定の温度で少なくとも1回保持する請求
    項3に記載の製法。
  5. 【請求項5】 前記請求項1または2に記載のセラミッ
    クシートを製造する請求項3または4に記載の製法。
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