JP2001244519A - 圧電素子の製造方法 - Google Patents

圧電素子の製造方法

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JP2001244519A
JP2001244519A JP2000055784A JP2000055784A JP2001244519A JP 2001244519 A JP2001244519 A JP 2001244519A JP 2000055784 A JP2000055784 A JP 2000055784A JP 2000055784 A JP2000055784 A JP 2000055784A JP 2001244519 A JP2001244519 A JP 2001244519A
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JP
Japan
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piezoelectric
electrode
piezoelectric element
manufacturing
piezoelectric material
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JP2000055784A
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Yasuyoshi Saito
康善 齋藤
Hiroaki Makino
浩明 牧野
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Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い特性を持ち,圧電材料と電極との接合強
度に優れて信頼性が高く,製作コストが安価で製作容易
である圧電素子の製造方法を提供すること。 【解決手段】 圧電材料と該圧電材料に設けた電極とよ
りなる圧電素子を製造する方法であって,上記電極とし
てはCu電極を用い,該Cu電極と上記圧電材料とを接
触させた状態で500〜700℃の温度範囲に保持する
ことにより両者を直接接合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は,電極と圧電材料とよりなる単層
や積層型の圧電素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】圧電素子は電気的信号と力学的信号とを結
ぶ変換器として広く用いられ,時計用,通信用の水晶振
動子,各種フィルタ,アクチュエータ,マイクロホン等
の数多くの応用例がある。圧電素子は圧電効果を呈する
PZT(ジルコンチタン酸鉛)等の各種圧電材料に各種
電極を取り付けて構成されるが,この電極としては従来
Agペースト焼きつけ電極が広く用いられてきた。ま
た,上記圧電素子は一枚の圧電材料に電極を設けて構成
した単層タイプの他,多数の圧電材料と電極とを交互に
積み重ねて構成した積層タイプとが知られている。
【0003】
【解決しようとする課題】しかしながらAgペースト焼
きつけ電極には次のような問題が知られている。まず,
積層型の圧電素子を製作する際にAgペーストを焼きつ
けた各圧電材料間に別途電極用金属板を配置する必要が
あり,コスト高で信頼性が低かった。また,Agぺース
ト焼きつけ電極にはBi,Zn元素等の不純物よりなる
ガラス成分が含まれており,焼きつけ時にこれらガラス
成分と圧電材料とが互いに反応するため,スパッタ法等
で形成したAu電極を利用した圧電素子と比較してd3
1や電界誘起変位量(実施形態例2,3参照)等の圧電
素子の性能にかかわる特性が低くなりがちであった。ま
た,スパッタ法で形成したAu電極はコストが高く,製
造も面倒であった。
【0004】更に,金属/PZTの直接接合が報告され
ているが(H.C.Cao,M.D.Graef, andA.G.Evans:J.Am. Ce
ram. Soc.,[12],3019(1993)),この時の接合温度は10
50℃であり,しばしば特性の劣化が認められた。ま
た,圧電素子の信頼性向上のためには電極と圧電材料と
の間に高い接合強度が必要であるが,従来技術で作製し
た圧電素子の接合強度は不充分であった。
【0005】本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてな
されたもので,高い特性を持ち,圧電材料と電極との接
合強度に優れて信頼性が高く,製作コストが安価で製作
容易である圧電素子の製造方法を提供しようとするもの
である。
【0006】
【課題の解決手段】請求項1に記載の発明は,圧電材料
と該圧電材料に設けた電極とよりなる圧電素子を製造す
る方法であって,上記電極としてはCu電極を用い,該
Cu電極と上記圧電材料とを接触させた状態で500〜
700℃の温度範囲に保持することにより両者を直接接
合することを特徴とする圧電素子の製造方法にある。
【0007】本発明において最も注目すべきことは,C
u電極を用い,該Cu電極と圧電材料とを接触させた状
態で500〜700℃の温度範囲に保持することにより
両者を直接接合することである。温度が700℃より高
くなるとCu電極と圧電材料とが相互反応して圧電材料
が変質するおそれがある。よって,得られた圧電素子の
誘電損失が大きくなり,電圧駆動したときにロスが大き
く,発熱が大きくなるおそれがある。
【0008】500℃未満である場合は,電極と圧電材
料との接合強度が弱く,圧電素子の使用時に短時間で電
極の剥離が生じてしまうおそれがある。なお,この問題
は特に圧電素子を積層型として利用した場合,また圧電
素子をアクチュエータとして利用する場合に顕著であ
る。なお,上記Cu電極とはCuのみよりなる電極の
他,Cu合金よりなる電極も指している。この場合のC
u合金としては,ニッケルシルバー,リン青銅,マンガ
ニン,銅ニッケル,ベリリウム銅,真鍮等が挙げられ
る。
【0009】次に,本発明の作用につき説明する。この
製造方法により,特に圧電材料に対し電極を直接接合す
ることが可能となるため,積層型の圧電素子を製作する
際に圧電材料間に電極用金属板等を配置する必要がなく
なり,安価なコストで強度に優れた高信頼性の圧電素子
を得ることができる。また,上述の温度範囲においてC
u電極を直接接合しているため,Cuと圧電材料との間
での相互反応を防止することができ,誘電損失が従来の
Agペースト焼きつけ電極等と同等以下で,電界誘起変
位量が高い等という特性に優れた圧電素子を得ることが
できる。
【0010】以上,本発明によれば,高い特性を持ち,
圧電材料と電極との接合強度に優れて信頼性が高く,製
作コストが安価で製作容易である圧電素子の製造方法を
提供することができる。
【0011】なお,圧電材料の特性としては,後述の実
施形態例で測定した,静電容量,誘電損失,誘電率,電
気機械結合定数〔Kp〕,圧電電圧出力センサ定数〔g
33〕,圧力電荷センサ定数〔d31〕,電界誘起変位
量等のパラメータが挙げられる。これらパラメータの詳
細は各実施形態例に記載した。
【0012】また,上記圧電材料としては,Pb(Zr
xTi1-x)O3(ここでx=0〜1),(KxNa1-x)N
bO3(ここでx=0〜1),{BixK(1-x)/2Na
(1-x)/2}TiO3(ここでx=0〜1)等を使用でき
る。
【0013】次に,請求項2に記載の発明は,圧電材料
と該圧電材料に設けた電極よりなる圧電素子を製造する
方法であって,上記圧電材料に対しろう材を配置し,該
ろう材の融点の±100℃の温度範囲に維持することに
より上記ろう材より電極を圧電材料に対し直接形成する
ことを特徴とする圧電素子の製造方法にある。温度がろ
う材の融点の±100℃の範囲外である場合は,圧電材
料とろう材とが反応し,両者の間に界面反応物が生成
し,圧電電荷センサ定数d31(圧電ひずみ定数)や電
界誘起変位量等が小さくなるおそれがある。
【0014】この製造方法により,特に圧電材料に対し
電極を直接設けることが可能となるため,積層型の圧電
素子を製作する際に圧電材料間に電極用金属板等を配置
する必要がなくなり,安価なコストで強度に優れた高信
頼性の圧電素子を得ることができる。また,ろう材はガ
ラス成分やBi等の不純物元素を含まないため界面反応
物等が生じず,大きな圧電電荷センサ定数d31(圧電
ひずみ定数)や電界誘起変位量等を持つ圧電素子を得る
ことができる。また,上述の温度範囲においてろう材よ
り電極を直接形成しているため,ろう材と圧電材料との
反応が生じ難く界面反応物等が生じず,大きな圧電電荷
センサ定数d31(圧電ひずみ定数)や電界誘起変位量
等を持つ圧電素子を得ることができる。
【0015】以上,本発明によれば,高い特性を持ち,
圧電材料と電極との接合強度に優れて信頼性が高く,製
作コストが安価で製作容易である圧電素子の製造方法を
提供することができる。
【0016】また,上記ろう材としては,例えばBAg
8(Ag79%,Cu21%)を用いることができる。
その他,銀ろう(JIS規格Z3261),銅ろうおよ
び黄銅ろう(JISZ3262),アルミニウムろう
(JISZ3263),リン銅ろう(JISZ326
4),ニッケルろう(JISZ3265),金どう(J
ISZ3266),パラジウムろう(JISZ326
7)等も使用することができる。
【0017】次に,請求項3に記載の発明は,圧電材料
と該圧電材料に設けた電極よりなる圧電素子を製造する
方法であって,上記電極としては金属電極を用い,上記
圧電材料に対しろう材を介して金属電極を配置し,上記
ろう材の融点の±100℃の温度範囲に保持することに
より上記圧電材料に上記金属電極を接合することを特徴
とする圧電素子の製造方法にある。温度がろう材の融点
の±100℃の範囲外である場合は,圧電材料とろう材
とが反応し,両者の間に界面反応物が生成し,圧電素子
の圧電電荷センサ定数d31(圧電ひずみ定数)や電界
誘起変位量等が小さくなるおそれがある。
【0018】この製造方法により,特に圧電材料に対し
電極を直接設けることが可能となるため,積層型の圧電
素子を製作する際に圧電材料間に電極用金属板等を配置
する必要がなくなり,安価なコストで強度に優れた高信
頼性の圧電素子を得ることができる。また,ろう材はガ
ラス成分やBi等の不純物元素を含まないため界面反応
物等が生じず,大きな圧電電荷センサ定数d31(圧電
ひずみ定数)や電界誘起変位量等を持つ圧電素子を得る
ことができる。また,上述の温度範囲においてろう材よ
り電極を直接形成しているため,ろう材と圧電材料との
反応が生じ難く界面反応物等が生じず,大きな圧電電荷
センサ定数d31(圧電ひずみ定数)や電界誘起変位量
等を持つ圧電素子を得ることができる。
【0019】以上,本発明によれば,高い特性を持ち,
圧電材料と電極との接合強度に優れて信頼性が高く,製
作コストが安価で製作容易である圧電素子の製造方法を
提供することができる。
【0020】なお,上記ろう材としては前述したものと
同様のろう材を使用することができる。また,上記金属
電極としては,Cu電極の他,ニッケルシルバー,リン
青銅,マンガニン,銅ニッケル,ベリリウム銅,真鍮等
を使用することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】実施形態例1 本発明の実施形態例にかかる圧電素子の製造方法につき
説明する。本例にかかる製造方法は,圧電材料と該圧電
材料に設けた電極とよりなる圧電素子を製造する方法で
あって,上記電極としてはCu電極を用い,該Cu電極
と上記圧電材料とを接触させた状態で500〜700℃
の温度範囲に保持することにより両者を直接接合するも
のである。
【0022】以下詳細に説明する。LaとNbとを添加
したPb(Zr0.5Ti0.5)O3を1200℃で焼結し
た後,得られた焼結体をダイヤモンドパッド#600番
で研磨して,直径20mm,厚み500μmの試料片を
作成した。この試料片を本例の圧電材料として利用す
る。
【0023】本例にかかる製造方法について詳細に説明
する。Cu電極として,純度99.9%で厚み40μm
の銅箔を用いた。上記銅箔を試料片の上下に貼着した
後,真空度1.333Paで500℃から1000℃の
間の所定の処理温度(500℃,600℃,700℃,
750℃,800℃,900℃,1000℃の7種類,
図1及び図2のプロット点参照)まで200℃/時間で
昇温した後,10分間保持し,上下のパンチ棒により荷
重を10MPa加えて銅箔の加熱接合を行った。その後
200℃/時間で室温まで温度を下げた。その後,シリ
コンオイル中で温度100℃で10分間,直流電圧20
00V/mmを印加して,分極処理を施した。
【0024】次に,比較例にかかる製造方法による圧電
素子について説明する。この圧電素子はAgペーストを
焼きつけて作成した電極を持った圧電素子である。Ag
ペーストは昭栄化学のPZT用銀電極H4510を用い
た。上記Agペーストを#200番のメッシュで圧電材
料にスクリーン印刷した後,空気中700℃で10分の
熱処理を施して焼きつけた。その後,シリコンオイル中
で温度100℃で10分間,直流電圧2000V/mm
を印加して,分極処理を施した。
【0025】(静電容量,誘電損失,誘電率)シリコン
オイル中で分極処理する前の各圧電素子をヒューレット
パッカード社(以下HP社)製のインピーダンスアナラ
イザーHP4194Aを用いて,周波数1KHzで測定
し,静電容量については図1にかかる線図に,誘電損失
については図2にかかる線図にプロットした。また,本
例の製造方法にかかる圧電素子で処理温度が700℃で
あったもの(以下試料1とする),比較例の製造方法に
かかる圧電素子(以下比較試料C1とする)の誘電率,
誘電損失について,表1に記載した。なお,静電容量が
大きい場合,小さな体積で大きな静電容量を持つ小型で
大容量のコンデンサ素子を得ることができる。また,誘
電損失は電圧出力型加速度センサの電圧ノイズ源と関係
があるため,誘電損失が小さければ小さい程,S/N比
が大きく高感度の電圧出力型加速度センサを得ることが
できる。また,誘電率が大きい場合,小さな体積で大き
な静電容量を持つ小型で大容量のコンデンサ素子を得る
ことができる。
【0026】(電気機械結合定数〔Kp〕,圧電電圧出
力センサ定数〔g33〕)試料1及び比較試料C1をH
P社製のインピーダンスアナライザーHP4194Aを
用いて共振反共振法により直径方向振動モードを測定し
た。測定結果を表1に記載した。なお,電気機械結合定
数〔Kp〕が大きい場合,昇圧比が大きく,電気変換損
失が少ない,優れた圧電トランス素子を得ることができ
る。また,圧電電圧出力センサ定数〔g33〕は,圧電
素子よりなる圧電型加速度センサの出力電圧に比例する
ため,g33が大きければ大きいほど感度の高い加速度
センサを得ることができる。
【0027】(電界誘起変位量)試料1及び比較試料C
1は,圧縮応力20MPaのもとで厚み1mmあたり−
400Vから2000Vの高電圧をサイン波で,0.0
1Hzで印加したときの変位量をレーザー変位計で測定
した。測定結果を表1に記載した。なお,電界誘起変位
量が大きい場合,小型で大きな変位量を発生する優れた
圧電アクチュエータ変位素子を得ることができる。
【0028】以下,測定結果について説明する。図1の
線図から本例及び比較例にかかる製造方法による圧電素
子の静電容量と処理温度との関係が分かる。つまり,本
例にかかる製法において,Cu電極と圧電材料とを接合
する際の温度が800℃を越えると静電容量が大きく低
下することが分かった。これはCuと圧電材料との界面
に誘電率の低い物質が生成するためと考えられる。ま
た,従来品であるAgペーストからなる電極を設けた圧
電素子と同程度の静電容量を確保するためには,接合の
温度を500℃〜700℃とする必要があることが分か
った。また,同図より接合の温度が600℃である場合
に従来のAgペーストの電極を持った圧電素子と同程度
の静電容量が得られることが分かった。
【0029】次に,図2の線図から本例及び比較例にか
かる製造方法による圧電素子の誘電損失と処理温度との
関係が分かる。つまり,本例にかかる製法において,C
u電極と圧電材料とを接合する際の温度が800℃を越
えると誘電損失が大きく上昇することが分かった。ま
た,従来品であるAgペーストからなる電極を設けた圧
電素子と同程度の誘電損失を維持するためには,接合の
温度を500℃〜700℃とする必要があることが分か
った。また,同図より接合の温度が600℃である場合
に従来のAgペーストの電極を持った圧電素子と同程度
の誘電損失が得られることが分かった。
【0030】表1より知れるごとく,電気機械結合係数
Kpは比較試料C1と試料1は,68%以上の高い値を
持つことが分かった。また,比較試料C1と比べて試料
1のほうがg33が大きかった。圧電加速度センサの出
力電圧はg33に比例するので,本例にかかる製造方法
より得た圧電素子を利用することで,Agペーストより
なる電極の従来圧電素子よりも感度の高い圧電加速度セ
ンサを得ることができる。
【0031】また,比較試料C1と試料1の誘電損失は
同等の大きさの約2%であった。本例にかかる製造方法
により得た圧電素子を利用することで,ノイズの小さな
圧電型加速度センサが作成可能であることが分かった。
【0032】また,比較試料C1と比べて試料1は電界
誘起変位量が大きかった。本例にかかる製造方法により
得た圧電素子を利用することで,変位量の大きな圧電ア
クチュエータ変位素子が作成可能であることが分かっ
た。
【0033】(接合強度)また,本例にかかる製造方法
による圧電素子に対し粘着テープを用いた引き剥がし試
験を行った。その結果,400℃で接合したものはCu
電極がはがれてしまったが,600℃以上の接合ではは
がれなかった。
【0034】本例にかかる作用効果について説明する。
本例の製造方法により,特に圧電材料に対し電極を直接
接合することが可能となるため,積層型の圧電素子を製
作する際に圧電材料間に電極用金属板等を配置する必要
がなくなり,安価なコストで強度に優れた高信頼性の圧
電素子を得ることができる。また,上述の温度範囲にお
いてCu電極を直接接合しているため,Cuと圧電材料
との間での相互反応を防止することができ,誘電損失が
小さく,電界誘起変位量が高い特性に優れた圧電素子を
得ることができる。
【0035】以上,本例によれば,高い特性を持ち,圧
電材料と電極との接合強度に優れて信頼性が高く,製作
コストが安価で製作容易である圧電素子の製造方法を提
供することができる。
【0036】
【表1】
【0037】実施形態例2 本例は圧電材料に対しろう材を配置し,該ろう材の融点
の±100℃の温度範囲に維持することにより上記ろう
材より電極を圧電材料に対し直接形成することで製造す
る圧電素子について説明する。
【0038】本例で使用する圧電材料は実施形態例1と
同じものである。ろう材として,ろう材金属粉末をペー
スト状にしたAg79%Cu21%組成のろう材である
BAg8を用いた。融点は780℃である。このろう材
ペーストを#200番のメッシュで圧電材料にスクリー
ン印刷した後,真空中(1.333Pa)700℃また
は800℃で10分の熱処理を施してろう材を圧電材料
に溶融付け(800℃)または拡散接合(700℃)さ
せることで電極を形成した。その後シリコンオイル中
で,温度100℃で10分間,直流電圧2000V/m
mを印加して,分極処理を施した。
【0039】得られた圧電素子で,800℃で溶融付け
したものを試料2,700℃で拡散接合したものを試料
3とする。これら試料2,試料3にかかる圧電素子のK
p,誘電率,誘電損失,電界誘起変位量を実施形態例1
と同様の方法で測定し,表2に記載した。また,圧電電
荷センサ定数d31(圧電ひずみ定数)の測定は,HP
社製のインピーダンスアナライザーHP4194Aを用
いて共振反共振法により,直径方向振動モードを測定し
た。この結果も表2に記載した。また,実施形態例1に
かかる比較試料C1の測定値も比較のために表2に記載
した。
【0040】表2より知れるごとく,比較試料C1と試
料2,3はほぼ同じ大きさの電気機械結合定数Kpを有
することが分かった。
【0041】また,比較試料C1と比べて試料2,試料
3のほうがd31が大きかった。電荷あるいは電流出力
型圧電加速度センサの出力電圧は圧電電荷センサ定数d
31に比例するので,本例にかかる製造方法より得た圧
電素子を利用することで,Agペーストよりなる電極の
従来圧電素子よりも感度の高い電荷あるいは電流出力型
圧電加速度センサが作成可能となることが分かった。更
に,700℃の拡散接合より,800℃の溶融ろう付け
のほうが,より感度の高い電荷あるいは電流出力型圧電
加速度センサが得られることが分かった。
【0042】また,比較試料C1に対して,試料2,試
料3は大きな誘電率となった。また,700℃の拡散接
合により,800℃の溶融ろう付けの方が大きな誘電率
であり,より小型で大容量のコンデンサ素子が作成可能
であることが分かった。
【0043】また,比較試料C1と試料2,試料3は同
等の誘電損失であった。誘電損失は電圧加速度センサの
ノイズ源であるので,拡散接合,溶融,ろう付け接合に
よりノイズの小さいセンサが作成可能であることが分か
った。
【0044】また,比較試料C1に対して,試料2,試
料3は同等以上の大きさの電界誘起変位量であることが
分かった。拡散接合および溶融ろう付け接合により変位
量の大きな圧電アクチュエータ素子が作成可能であるこ
とが分かった。
【0045】
【表2】
【0046】実施形態例3 本例は電極としては金属電極を用い,圧電材料に対しろ
う材を介して金属電極を配置し,上記ろう材の融点の±
100℃の温度範囲に保持することにより上記圧電材料
に上記金属電極を接合することで作製した圧電素子につ
いて説明する。
【0047】以下,詳細に説明する。本例で使用する圧
電材料は実施形態例1と同じものである。ろう材とし
て,ろう材金属粉末をペースト状にしたAg79%Cu
21%組成のろう材であるBAg8を用いた。融点は7
80℃である。このろう材ペーストを#200番のメッ
シュで圧電材料の上下の面にスクリーン印刷した後,厚
み10μmの銅金属箔よりなる金属電極をろう材上に配
置した。このものに対し,銅金属箔に対し荷重10MP
aを付与し,1.333Paの真空中700℃で10分
間熱処理を施した。これにより,圧電材料と金属電極を
ろう材により接合した。その後シリコンオイル中で,温
度100℃で10分間,直流電圧2000V/mmを印
加して,分極処理を施した。得られた圧電素子を試料4
とする。
【0048】この試料4にかかる圧電素子のKp,誘電
率,誘電損失,電界誘起変位量を実施形態例1と同様の
方法で測定し,表2に記載した。また,圧電電荷センサ
定数d31(圧電ひずみ定数)の測定を,実施形態例2
と同様に行い,結果を表2に記載した。
【0049】表2より知れるごとく,比較試料C1と試
料4は同等の大きさの電気機械結合係数Kpを有するこ
とが分かった。
【0050】また,比較試料C1と比べて試料4のほう
がd31が大きかった。電荷あるいは電流出力型圧電加
速度センサの出力電圧は圧電電荷センサ定数d31に比
例するので,本例にかかる製造方法より得た圧電素子を
利用することで,Agペーストよりなる電極の従来圧電
素子よりも感度の高い電荷あるいは電流出力型圧電加速
度センサが作成可能となることが分かった。
【0051】また,比較試料C1に比べ試料4は大きな
誘電率であった。これにより,本例にかかる製造方法に
より得た素子により,小型で容量の大きいコンデンサ素
子が作成可能であることが分かった。
【0052】また,比較試料C1に対し,試料4は大き
な電界誘起変位量であった。本例にかかる製造方法によ
り,小型で変位量の大きな圧電アクチュエータ変位素子
が作成可能となることが分かった。
【0053】
【発明の効果】上述のごとく,本発明によれば,高い特
性を持ち,圧電材料と電極との接合強度に優れて信頼性
が高く,製作コストが安価で製作容易である圧電素子の
製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例1における,製造時の温度と静電容
量との関係を示す線図。
【図2】実施形態例1における,製造時の温度と誘電損
失との関係を示す線図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G026 BA02 BB22 BB28 BF15 BF16 BF17 BF18 BF20 BF22 BF44 BG02 BG22 BH09

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧電材料と該圧電材料に設けた電極とよ
    りなる圧電素子を製造する方法であって,上記電極とし
    てはCu電極を用い,該Cu電極と上記圧電材料とを接
    触させた状態で500〜700℃の温度範囲に保持する
    ことにより両者を直接接合することを特徴とする圧電素
    子の製造方法。
  2. 【請求項2】 圧電材料と該圧電材料に設けた電極より
    なる圧電素子を製造する方法であって,上記圧電材料に
    対しろう材を配置し,該ろう材の融点の±100℃の温
    度範囲に維持することにより上記ろう材より電極を圧電
    材料に対し直接形成することを特徴とする圧電素子の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 圧電材料と該圧電材料に設けた電極より
    なる圧電素子を製造する方法であって,上記電極として
    は金属電極を用い,上記圧電材料に対しろう材を介して
    金属電極を配置し,上記ろう材の融点の±100℃の温
    度範囲に保持することにより上記圧電材料に上記金属電
    極を接合することを特徴とする圧電素子の製造方法。
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