JP2001243969A - 固体高分子型燃料電池 - Google Patents

固体高分子型燃料電池

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JP2001243969A
JP2001243969A JP2000052045A JP2000052045A JP2001243969A JP 2001243969 A JP2001243969 A JP 2001243969A JP 2000052045 A JP2000052045 A JP 2000052045A JP 2000052045 A JP2000052045 A JP 2000052045A JP 2001243969 A JP2001243969 A JP 2001243969A
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solid polymer
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Koji Hamano
浩司 浜野
Hisatoshi Fukumoto
久敏 福本
Hideo Maeda
秀雄 前田
Kenro Mitsuta
憲朗 光田
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Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 固体高分子型燃料電池の電極膜接合体におけ
る電極部内の触媒の結着性と撥水性を向上させ、発電性
能が高くまた長時間発電性能の維持が可能な固体高分子
型燃料電池を提供すること。 【解決手段】 電極部の触媒バインダー材を、固体高分
子電解質材と、液体に溶解した形態で導入したイオン伝
導性の無いフッ素樹脂との混合体とする。なお、イオン
伝導性の無いフッ素樹脂は、それ単独で非水系溶剤に溶
解する材料であることが好ましい。より具体的には、ポ
リフッ化ビニリデンであることが好ましく、その重量分
率は、前記触媒バインダー材の全重量に対して5%以上
かつ80%以下であることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固体高分子型燃料
電池に関し、特に、プロトン伝導性を有する固体高分子
電解質膜を挟んで正極と負極を対向させた構造を有する
固体高分子型燃料電池において、発電部位である電極部
の構成に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、環境問題に関する意識の高まりか
らクリーンな発電システムが要求されており、そのシス
テムの一つとして燃料電池が注目されている。この燃料
電池には、使用される電解質の種類から、リン酸型、溶
融炭酸塩型、固体電解質型、固体高分子型などがある
が、中でも発電温度の低さや小型化の点で優位である固
体高分子型については、研究開発が盛んに進められつつ
ある。
【0003】この固体高分子型燃料電池の主要な構成要
素は、正極、負極、この両電極間に挟まれた固体高分子
電解質膜と呼ばれるプロトン伝導性の高分子膜、両電極
の外側には形成されるガス拡散層、さらにその外側に設
けられるセパレータである。また、この固体高分子型燃
料電池は、次のような発電反応を行う。セパレータ内の
通路およびガス拡散層を介して、負極に燃料(例えば水
素ガス)を、正極に酸化剤(例えば酸素ガス)をそれぞ
れ供給し、両電極を外部回路で接続すると、燃料電池と
して作動する。すなわち、負極では、水素ガスが触媒に
よる酸化反応によりプロトンと電子を発生する。このプ
ロトンは固体高分子電解質膜を通過して正極に移動す
る。一方、電子は外部回路を通って正極に到達する。正
極では、固体高分子電解質膜中を通過してきたプロト
ン、外部回路から送られてきた電子、および、セパレー
タ内の通路およびガス拡散層を介して供給される酸素ガ
スが、正極中の触媒による反応により水に変換される。
その際、電極間に起電力が発生するため、電気エネルギ
ーとして取り出すことが可能となる。
【0004】現在研究開発が進められている固体高分子
型燃料電池において、固体高分子電解質膜には、スルホ
ン酸基を側鎖に含むフッ素系高分子が主に使用されてい
る。また、正極には、白金などの貴金属をカーボンブラ
ック微粒子に担持させた触媒粒子を、触媒バインダー材
樹脂とで混合してカーボンペーパー等のガス拡散基材上
に塗布して、多孔体状としたものが使用され、また、負
極には、白金または白金とルテニウムとの合金などの貴
金属をカーボンブラック微粒子に担持させた触媒微粒子
を、触媒バインダー材樹脂とで混合し、カーボンペーパ
ー等のガス拡散基材上に塗布して、多孔体状としたもの
が使用されている。
【0005】ところで、この固体高分子型燃料電池の発
電性能を長期間維持、向上させるために、電極部に要求
される性質の一つに、電極部内の触媒の結着性と撥水性
との両立という問題がある。
【0006】上記の固体高分子型燃料電池における発電
反応は、前記説明から分かるように、触媒としての貴金
属表面と、固体高分子電解質と、反応ガス(水素または
酸素)とが相互に接触した界面でのみ起こる。したがっ
て、この接触部分が多いほど発電性能は向上する。この
ため、触媒バインダー材として固体高分子電解質材料を
使用して、触媒を結着する方法が用いられている。この
ように構成することにより、電極内部において、触媒
と、反応ガスと、発電反応により生成する水素イオンの
輸送体である固体高分子電解質との界面部分が多数生成
され、発電反応が促進される。また、触媒バインダー材
としての固体高分子電解質材料は、その機能であるイオ
ン伝導を起こすためには、材料中に水を含む必要があ
る。しかし、この含水量は発電量の変動に伴い変化し、
この含水量の変化に伴い固体高分子電解質材料の伸縮が
激しく起こる。すなわち、発電量を変動させると、発電
反応に関与する水の量が変動するため固体高分子電解質
中の含水量も同時に変動する。その結果、固体高分子電
解質材料の伸縮が生じ、この固体高分子電解質からなる
触媒バインダー材により結着されていた触媒が触媒バイ
ンダー材から外れるという現象が起こり、反応界面の面
積が低下するため、発電性能が低下してしまうという問
題があった。
【0007】また、電極部の撥水性が低い場合、反応ガ
スに含まれる水や発電により生じる水により電極部の濡
れが進行する。その結果、この水が反応場である触媒表
面を被覆してしまい、反応ガスである水素あるいは酸素
が触媒表面に接触できなくなり発電反応が停止してしま
う。また、この水が電極中の細孔を流れるガスの流路を
塞ぎ、水素や酸素の供給または排出を妨げて発電反応を
停止させてしまうという問題がある。特に、負極側で水
素の供給が滞った場合には、電極基材として使用するカ
ーボンペーパーや触媒を担持するカーボンブラック粒子
の腐食が起こり、電池の寿命を縮めるなどの問題を引き
起こす虞がある。
【0008】これらの問題を解消するためには、電極部
の結着性や撥水性をさらに向上させる必要がある。その
ための方法として、触媒バインダー材にポリテトラフル
オロエチレン(PTFE)またはその誘導体を使用する
手法が一般に知られている。この方法は特にリン酸型燃
料電池では汎用の手法として実施されている。
【0009】その公知例としては例えば次のようなもの
がある。特開平2−82455号公報には、炭素等のガ
ス拡散電極材料の表面にPTFEを被覆または分散させ
る技術が開示されている。また、特開昭58−1666
47号公報には、電極部の撥水能を向上させる方策とし
て、加熱したフッ素ガス雰囲気下で電極材料を置き、カ
ーボン表面をフッ素化することにより撥水能を向上させ
る技術が開示されている。また、特開平10−2700
53号公報には、撥水性能を向上させる手法として、低
圧雰囲気下でカーボン材料の表面または内部にPTFE
蒸気を接触させて、撥水性フッ化被膜を形成する方法が
開示されている。さらに、特開平10−241700号
公報には撥水性能を向上させる手法として、PTFEに
加えてPTFEの低分子量体であるTFEOを発電部に
導入するとの技術が開示されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このP
TFEは溶剤に全く不溶であり結晶性も高いため、凝集
性が高く、さらに、融点も非常に高いために融解するこ
とも困難である。このため、それ単独で電極部に均一に
添加することは非常に困難である。このため、例えばリ
ン酸型燃料電池の場合では、触媒バインダー材および撥
水材としてPTFEまたはその誘導体が一般に使用され
ているが、この場合、当該樹脂を、界面活性剤を添加し
た溶剤に分散させた乳液状態で触媒部に導入した後に加
熱処理を行い、溶剤と界面活性剤を除去した後、電解質
である液体リン酸塩を注入するという手法が主に行われ
ている。
【0011】上記リン酸型燃料電池の場合では、発電温
度が200℃程度と比較的高く、耐熱性の優れた部材を
電池材料に使用しており、このような熱処理を行っても
発電性能の低下等の問題を起こすことはない。しかし、
固体高分子型燃料電池の場合は、発電性能の向上のため
に電極部の触媒バインダー材として固体高分子電解質を
使用しており電極の結着性や撥水性向上のために、電極
作製時にPTFEの分散溶液と固体高分子電解質とを混
合した後に溶剤や界面活性剤を除去する手法を用いた場
合は、界面活性剤を除去するために約400℃まで温度
を上げて加熱焼成を行わなければならず、このような高
温の加熱処理を行うと、触媒バインダー材である固体高
分子電解質材料の熱分解が起こり電池性能が極端に低下
してしまうという問題が発生する。
【0012】そのため、固体高分子型燃料電池では、電
極部は、触媒を担持したカーボンブラック粒子にPTF
E分散溶液を添加して加熱焼成処理を行い触媒部を結着
させた電極材を形成し、その後固体高分子電解質材料の
溶液をこの電極材表面に展開して溶媒を乾燥して除去す
るという手法により作製したものを使用している。しか
し、この方法では、カーボンブラック粒子と触媒バイン
ダー材間に絶縁体であるPTFE粒子が入り込む構造に
なるため、触媒の結着性や撥水性は向上するものの触媒
表面と触媒バインダー材間のイオンの授受が妨げられて
発電反応が起こりにくくなり、発電性能の低下が起こっ
てしまう。
【0013】本発明は、上記問題点を鑑みて本発明者ら
が電極部の構成を改良して発電性能を向上させるために
検討を行った結果実施されたものであり、従来困難であ
った固体高分子型燃料電池の電極膜接合体における電極
部内の触媒の結着性と撥水性を向上させ、発電性能が高
くまた長時間発電性能の維持が可能な固体高分子型燃料
電池を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の固体高分子型燃
料電池は、触媒を担持したカーボン粉体材料と触媒バイ
ンダー材とを含む正極および負極からなる電極部と、こ
の両電極に挟まれたプロトン伝導性固体高分子電解質膜
と、前記両電極の外側に設けられたガス拡散層とを有す
る固体高分子型燃料電池において、前記触媒バインダー
材は、固体高分子電解質材と、液体に溶解した形態で導
入したイオン伝導性の無いフッ素樹脂との混合体である
ことを特徴とする。
【0015】このような構成にすることにより、この触
媒バインダー材を触媒粒子と混合したペーストを作製
し、このペーストを電極基材に塗布するという簡易な方
法で電極部を製造することができる。この場合には、従
来のように触媒表面と触媒バインダー材を構成する固体
高分子電解質材料との間に絶縁体であるフッ素樹脂が入
り込むという問題を生ずることもなく、発電性能を向上
させることができる。また、触媒バインダー材としてイ
オン伝導性の無いフッ素樹脂を混合しているので、電極
部の撥水性が良好となり、高発電電流密度時においても
起電力の低下が少なくなる。また、固体高分子電解質材
料のみを使用した場合に比べて触媒バインダー材の伸縮
を低減させることが可能となり、触媒部の脱離を抑制す
ることができ、発電性能を長時間維持することができ
る。
【0016】また、前記イオン伝導性の無いフッ素樹脂
は、それ単独で非水系溶剤に溶解する材料であることが
好ましい。このような構成にすると、触媒バインダー材
を固体高分子電解質材料と当該フッ素樹脂とを均一に混
合した状態にすることが可能になり、電極各部位におけ
る発電反応の不均一性を低減することができ、発電性能
をより一層向上させることができる。
【0017】また、前記イオン伝導性が無いフッ素樹脂
は、ポリフッ化ビニリデンであることが好ましい。 こ
のようにすると、触媒バインダー材の伸縮抑制や均一混
合による発電能の不均一化を低減できるだけでなく、ポ
リフッ化ビニリデンの有する優れた撥水性に基づき電極
内部からの液体水の排出が起こりやすくなり、電極内の
多孔体中に液体水が滞ることによる反応ガスの拡散不良
をより確実に回避することでき、発電性能をより一層向
上させることができる。
【0018】また、前記ポリフッ化ビニリデンの重量分
率は、前記触媒バインダー材の全重量に対して5%以上
かつ80%以下であることが好ましい。このようする
と、触媒バインダー材中の固体高分子電解質材料中を通
過するイオンの伝導を妨げることなく、触媒バインダー
材の伸縮抑制や均一混合による発電能の均一化をより確
実化し、発電性能をより一層向上することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、図面を参
照しながら説明する。図1は本発明における固体高分子
型燃料電池の一実施の形態を示す発電部に関する主要模
式図である。11は触媒である貴金属を担持したカーボ
ンブラック材と触媒バインダー材とを含む正極、12は
触媒である貴金属を担持したカーボンブラック材と触媒
バインダー材とを含む負極、13は正極11と負極12
との間に配置されたプロトン伝導性を有する固体高分子
電解質膜であり、両電極11、12とこの固体高分子電
解質膜13は構造的にも電気的も接合されている。また
正極11と負極12とは、多孔性カーボン基材である正
極ガス拡散層14および負極ガス拡散層15に対してそ
れぞれ電気的に接合されている。そして、この正極ガス
拡散層14を介して酸素を含むガスを導入し、また、負
極ガス拡散層15を介して水素を含むガスを導入するこ
とにより、正極11、負極12間に起電力が生じ、発電
が行われる。なお、正極11、12、固体高分子電解質
膜13、正極ガス拡散層14、負極ガス拡散層15によ
り構成される部分は電極膜接合体(MEA)と呼ばれ
る。
【0020】上記のように構成されたMEAを、水素を
含むガス(燃料ガス)及び酸素を含むガス(酸化ガス)
の流路17、19を刻んだセパレータ板16、18で挟
み込むことにより、固体高分子型燃料電池が得られる。
またこれらを積層することにより、より大きい起電力が
得られる固体高分子型燃料電池スタックを得ることがで
きる。
【0021】本発明に使用される電極部11、12の触
媒としては、正極11においては例えば白金をカーボン
ブラック微粒子に担持させたものや白金黒が使用され
る。また、負極12においては白金および白金と貴金属
類(ルテニウム、ロジウム、イリジウムなど)との合
金、白金と卑金属(バナジウム、クロム、コバルト、ニ
ッケルなど)との合金をカーボンブラック微粒子に担持
させたものが使用される。
【0022】また、触媒を担持するカーボンブラック微
粒子を電極化するために使用される触媒バインダー材と
しては、プロトン伝導性があり電池内部で不可逆電気化
学反応を起こさない樹脂とイオン伝導性の無いフッ素樹
脂(フッ素原子を含む樹脂)との混合体が使用可能であ
る。具体的には、Nafion(デュポン社の商標)、Flemio
n(旭硝子株式会社の商標)、Aciplex(旭化成工業株式
会社の商標)などの固体高分子電解質材料とポリフッ化
ビニリデンまたはその共重合体との混合物などが使用可
能である。
【0023】また、固体高分子電解質材料と混合するポ
リフッ化ビニリデンとしては、市販の粉末状のものが使
用可能であるが、結晶化度が高いポリフッ化ビニリデン
の方がより望ましい。具体的には、ポリフッ化ビニリデ
ンは、その主鎖中の構成単位の結合形態として化1に示
すように Head to tail 結合と、化2に示す Head tohe
ad 結合の2種類を含むが、Head to tail 結合を主鎖中
に数多く含むものほど主鎖中の構成単位の配列は規則的
となり、結晶化度が高くなることから、Headto tail 結
合を数多く含むものほどより望ましい。
【0024】
【化1】-(CH2-CF2)-(CH2-CF2)-
【化2】-(CH2-CF2)-(CF2-CH2)-
【0025】また、ガス拡散層14、15としては、電
子抵抗が低く機械的強度が大きく電池内部で電気化学的
に安定な多孔体が使用可能であるが、材質としては正極
ガス拡散層14、負極ガス拡散層15ともにカーボン材
が好ましい。ガス拡散層14、15の形状としては、多
孔質紙状、布状、不織布状などガス透過性を有するもの
が使用可能であるが、耐久性の観点から現時点では多孔
質紙状のもの(カーボンペーパー)が好ましい。
【0026】また、正極11と負極12との間に挟まれ
る固体高分子電解質膜13としては、機械的強度が強
く、電解質内部に含まれる水の保持性が良く、プロトン
伝導性の高いものが使用される。具体的には、Nafion
(デュポン社の商標)、Flemion(旭硝子株式会社の商
標)、Aciplex(旭化成工業株式会社の商標)などの膜
が使用可能である。
【0027】
【実施例】以下、実施例を示し本発明を説明するが、勿
論これらにより本発明が限定されるものではない。 実施例1.正極11の作製方法について説明する。カー
ボンブラック粒子に白金を担持させた触媒粒子2重量部
に、触媒バインダー材の構成材としてポリパーフルオロ
スルホン酸(デュポン社製、Nafion115)をエタノー
ルに溶解したもの(樹脂濃度10重量%)10重量部を
混合した後、触媒バインダー材の他の構成材であるポリ
フッ化ビニリデン(PVdF)をN−メチルピロリドン
(NMP)に対して10重量%溶解させた溶液を1重量
部添加して混合しペーストを作製した。このペーストを
電極基材としての所定の厚さのカーボンペーパー上に塗
着した後に真空下で加熱を行い、ペースト中に含まれる
エタノールとNMPとを除去して正極11を作製した。
なお、この場合、ペースト中には界面活性剤が含まれて
いないので、エタノールとNMPを除去するための加熱
は、ポリパーフルオロスルホン酸の熱分解温度以下の温
度で良い。また、この場合は真空化で加熱されるので、
さらに温度を低くしており、具体的には約80℃での加
熱を行った。
【0028】負極12の作製方法について説明する。カ
ーボンブラック粒子に白金とルテニウムの合金を担持さ
せた触媒粒子10重量部に、触媒バインダー材を構成す
るポリパーフルオロスルホン酸(デュポン社製、Nafion
115)をエタノールに溶解したもの(樹脂濃度10重
量%)55重量部を混合した後、PVdFをNMPに対
して10重量%溶解させた溶液を5.5重量部添加して
負極ペーストを作製した。このペーストをカーボンペー
パー上に塗着した後に真空下で加熱(前記正極の場合と
同様約80℃に加熱)を行い、ペースト中に含まれるエ
タノールとNMPを除去して、負極12を作製した。
【0029】次に、MEAの作製方法について説明す
る。上述の正極11と負極12とを、その触媒塗着面が
対向面側となるように対向させ、この両極11、12の
対向面間にポリパーフルオロスルホン酸製の固体高分子
電解質膜(デュポン社製、Nafion115)13を挟みこ
み、その後所定の条件でこれらをホットプレスして、M
EAを作製した。
【0030】このMEAをセパレータ板16、18で挟
み込み、負極12側に水素ガス、正極11側に空気を、
セパレータ板16、18に刻んだ流路17、19を介し
てMEAに導入し、常圧下で発電試験を実施した。
【0031】本実施例により得た電池及び従来の触媒バ
インダー材として固体高分子電解質材のみを使用した電
池の発電特性を図2に示す。本実施例の電池は、従来の
撥水材を添加しない電池に比べて起電力の低下が少な
く、特に0.5A/cm2以上の高電流密度時の放電特
性が良好であることが分かる。また、本実施例により得
た電池及び従来の触媒バインダー材として固体高分子電
解質材のみを使用した電池の発電電流密度0.5A/c
2における電圧の時間変化を図3に示す。本実施例の
電池は、従来の電池比べて長時間経過後の電圧の低下が
小さいことが分かる。
【0032】以上のように、本実施例により得た固体高
分子型燃料電池では、電極触媒部の触媒バインダー材と
して固体高分子電解質とポリフッ化ビニリデンとの混合
体を使用することにより触媒バインダー材の伸縮が抑制
され、撥水性の向上も実現できるため、触媒部の脱離が
低減され、高発電電流密度時においてもより起電力の低
下が少なく、発電性能を長時間維持できる電池を得るこ
とができる。
【0033】実施例2〜7.実施例1で作製したMEA
において、触媒バインダー材(すなわち、ポリパーフル
オロスルホン酸とポリフッ化ビニリデンとの混合体)中
のPVdF重量組成を0重量%から100重量%まで段
階的に変えたMEAを作製し、その特性評価を行った。
電流密度が1A/cm2時における電池の電圧のPVd
F重量組成依存性を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】表1より、実施例2〜7のように、触媒バ
インダー材樹脂中のPVdF重量が5%以上かつ80%
以下であれば、電流密度が1A/cm2時でも0.5V
以上の起電力が得られることが分かった。
【0036】以上のように、触媒バインダー材中のポリ
フッ化ビニリデンの重量比率を5%以上かつ80%以下
にすることにより、触媒バインダー材の伸縮が抑制され
て撥水性の向上も実現できるため、触媒部の脱離が低減
され、高発電電流密度時においてもより起電力低下の少
ない電池を得ることができる。
【0037】比較例4.正極11の作製方法について説
明する。カーボンブラック粒子に白金を担持させた触媒
粒子2重量部に、触媒バインダー材を構成するポリパー
フルオロスルホン酸(デュポン社製、Nafion115)を
エタノールに溶解したもの(樹脂濃度10重量%)10
重量部を混合した後、PVdFを粉末状態のまま0.1
重量部添加して混合し、正極ペーストを作製した。この
ペーストを所定の厚さのカーボンペーパー上に塗着した
後に真空下で加熱を行い、ペースト中に含まれるエタノ
ールを除去して、正極11を作製した。
【0038】負極12の作製方法について説明する。カ
ーボンブラック粒子に白金とルテニウムの合金を担持さ
せた触媒粒子10重量部に、ポリパーフルオロスルホン
酸(デュポン社製、Nafion115)をエタノールに溶解
したもの(樹脂濃度10重量%)55重量部を混合した
後、PVdFを粉末状態のまま0.55重量部添加して
負極ペーストを作製した。このペーストをカーボンペー
パー上に塗着した後に真空下で加熱を行い、ペースト中
に含まれるエタノールを除去して、負極12を作製し
た。
【0039】次に、MEAの作製方法について説明す
る。上述の正極11と負極12とを、その触媒塗着面が
対向面側となるように対向させ、この両極11、12の
対向面間にポリパーフルオロスルホン酸製の固体高分子
電解質膜(デュポン社製、Nafion115)13を挟みこ
み、その後所定の条件でこれらをホットプレスして、M
EAを作製した。
【0040】このMEAをセパレータ板16、18で挟
み込み、負極12側に水素ガス、正極11側に空気を、
セパレータ板16、18に刻んだ流路17、19を介し
てMEAに導入し、常圧下で発電試験を実施した。
【0041】本比較例により得た電池の発電特性を図4
に示す。本比較例の電池は実施例1で示したPVdFを
非水系溶剤であるNMPに溶解させた場合と異なり、発
電特性は触媒バインダー材として固体高分子電解質材の
みを使用した従来の電池とほぼ同等であり、発電性能は
向上していないことが分かる。また、本比較例により得
た電池の発電電流密度0.5A/cm2における電圧の
時間変化を図5に示す。本比較例の電池は長時間経過後
の電圧の低下の程度が従来の電池とほぼ同等であり、実
施例1との比較からも電池の性能低下が著しいことが分
かった。
【0042】以上より、PVdFを触媒バインダー材と
して使用するためには、PVdFを液体、例えばNMP
などの非水系溶剤に溶解した形態で導入する必要があ
り、本比較例の形態では発電性能の大幅な向上は実現で
きないことが分かった。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、触媒を担持したカーボ
ン粉体材料と触媒バインダー材とを含む正極および負極
からなる電極部と、この両電極に挟まれたプロトン伝導
性固体高分子電解質膜と、前記両電極の外側に設けられ
たガス拡散層とを有する固体高分子型燃料電池におい
て、前記触媒バインダー材は固体高分子電解質材と液体
に溶解させた形態で導入したイオン伝導性の無いフッ素
樹脂との混合体であるので、触媒と触媒バインダー材間
のイオン授受を活発化し、発電反応を活性化でき、発電
性能を向上させることができる。また、電極部の撥水性
が良好となり、高発電電流密度時においても起電力の低
下が少なくなる。さらに、発電中に生じる触媒バインダ
ー材の伸縮に伴う触媒の脱離を低減し、高電流密度時の
発電性能を長期間維持可能とした燃料電池を実現するこ
とができる。
【0044】また、本発明によれば、前記イオン伝導性
の無いフッ素樹脂はそれ単独で非水系溶剤に溶解するも
のであるので、高温焼成処理すること無しに他方の触媒
バインダー構成材である固体高分子電解質材との均一な
混合が実現され、発電中電極各部位における発電反応の
不均一性を低減し、電極各部位における発電反応の不均
一性を低減し、発電性能をより一層向上させることがで
きるきる。
【0045】また、本発明によれば、前記イオン伝導性
の無いフッ素樹脂はポリフッ化ビニリデンであるので、
触媒バインダー材の伸縮抑制や均一混合による発電能の
不均一化を低減できるだけでなく、ポリフッ化ビニリデ
ンの有する撥水性に基づく電極内部からの液体水の排出
が起こりやすくなり、電極内の多孔体中に液体水が滞る
ことによる反応ガスの拡散不良が起こりにくくなり、発
電性能をより一層向上させることができるきる。。
【0046】また、本発明によれば、前記ポリフッ化ビ
ニリデンの重量分率は、前記触媒バインダー材の全重量
に対し5%以上かつ80%以下であるので、触媒バイン
ダー材中の固体高分子電解質材料中を通過するイオンの
伝導を妨げることなく触媒バインダー材の伸縮抑制や均
一混合による発電反応の均一化を確実に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明により得た固体高分子型燃料電池の基
本構成である単電池の断面図である。
【図2】 実施例1で得た電池と触媒バインダー材とし
て固体高分子電解質のみを使用した従来電池との発電性
能を示す電流電圧曲線図である。
【図3】 実施例1で得た電池の発電性能の維持を示す
電圧−時間曲線図である。
【図4】 比較例4で得た電池と実施例1及び従来電池
との発電性能を示す電流電圧曲線図である。
【図5】 比較例4で得た電池と実施例1及び従来電池
の発電性能の維持を示す電圧−時間曲線図である。
【符号の説明】
11 正極、12 負極、13 固体高分子電解質膜、
14 正極ガス拡散層、15 負極ガス拡散層、16
(正極側)セパレータ板、17 流路、18(負極側)
セパレータ板、19流路。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 前田 秀雄 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 光田 憲朗 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 Fターム(参考) 5H018 AA06 AS01 BB08 DD06 EE03 EE05 EE18 HH05 5H026 AA06 EE05 EE19 HH05

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 触媒を担持したカーボン粉体材料と触媒
    バインダー材とを含む正極および負極からなる電極部
    と、この両電極に挟まれたプロトン伝導性固体高分子電
    解質膜と、前記両電極の外側に設けられたガス拡散層と
    を有する固体高分子型燃料電池において、前記触媒バイ
    ンダー材は、固体高分子電解質材と、液体に溶解した形
    態で導入したイオン伝導性の無いフッ素樹脂との混合体
    であることを特徴とする固体高分子型燃料電池。
  2. 【請求項2】 前記イオン伝導性の無いフッ素樹脂は、
    それ単独で非水系溶剤に溶解する材料であることを特徴
    とする請求項1記載の固体高分子型燃料電池。
  3. 【請求項3】 前記イオン伝導性の無いフッ素樹脂は、
    ポリフッ化ビニリデンであることを特徴とする請求項1
    または請求項2記載の固体高分子型燃料電池。
  4. 【請求項4】 前記ポリフッ化ビニリデンの重量分率
    は、前記触媒バインダー材の全重量に対し5%以上かつ
    80%以下であることを特徴とする請求項3記載の固体
    高分子型燃料電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006318757A (ja) * 2005-05-12 2006-11-24 Gs Yuasa Corporation:Kk 固体高分子形燃料電池用触媒層およびそれを備えた固体高分子形燃料電池。

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JP2006318757A (ja) * 2005-05-12 2006-11-24 Gs Yuasa Corporation:Kk 固体高分子形燃料電池用触媒層およびそれを備えた固体高分子形燃料電池。

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