JP2001240033A - 食品用紙製容器およびその製造方法 - Google Patents

食品用紙製容器およびその製造方法

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    • Y02W90/10Bio-packaging, e.g. packing containers made from renewable resources or bio-plastics

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐水性に優れ、かつ樹脂塗工層と基紙との接
着が強固な食品用紙製容器を提供する。 【解決手段】 少なくともシェラックを含む溶液が塗布
された基紙を、容器形状に成型した後/成型する前/成
型と同時に加熱工程に付して食品用紙製容器を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、食品用容器、特
に、少なくともその一方の面にシェラック樹脂層が形成
(コーティング)された基紙を利用して得られる食品用
紙製容器とその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術および発明が解決しようとする課題】熱湯を
注加するだけで調理および喫食できる即席食品を収容
し、かつ調理器具・食器としても機能する容器として、
従来より、加工適性に優れた発泡スチロール、ポリプロ
ピレンなどが、その加工原料として主に利用されてい
た。 紙製の容器も流通しているものの、紙製容器の場
合では耐水性等の問題がどうしても残るため、通常は、
ポリエチレンなどの合成樹脂が積層されている。 これ
ら発泡スチロール、ポリプロピレン、それにポリエチレ
ンなどは、環境中に放置してもそのままでは分解され
ず、焼却などの処理工程が必要であるなど、廃棄物処理
が困難な面がある。
【0003】そこで、発泡スチロール、ポリプロピレ
ン、ポリエチレンなどの人工合成物から離れて、環境中
でのその生分解性に着目して、例えば、食品用容器にも
使える包装積層板の芯層(紙または板紙)の片面または
両面に、天然物であるキトサンからなる第一水溶性多糖
類と、寒天などの第二水溶性多糖類との化学的生成物ま
たは化学的複合物のフィルムを積層してなる包装積層板
が提案されている[特開平7−1645号公報参照]。
【0004】この他にも、環境中での容器構成材料の生
分解性と容器用途での耐水性の観点から、コハク酸ポリ
エステル系、ポリエステルアミド、PCL(ポリカプロ
ラクトン)系、ポリ乳酸系、酢酸セルロース系などの合
成ポリマーを、紙製容器の器壁に積層あるいは被覆する
試みがなされている。
【0005】このように、生分解性材料を容器に利用す
る技術がこれまでに種々提案されているが、容器として
の耐水性が不十分であったり、あるいは容器の形状を形
成するための接着剤が乏しいなどの理由で、所望の性状
を備えた紙製容器、特に、食品用容器の実現には至って
いないのが実情である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述した従来
技術での課題に鑑みて発明されたものであり、その要旨
とするところは; (A) 少なくともその一方の面にシェラック樹脂層が形成
(コーティング)された基紙を利用して得られた食品用
紙製容器、(B) 少なくともシェラックを含む溶液を基紙
に塗布し、溶液塗布された基紙を容器形状に成型する、
との工程を含む食品用紙製容器の製造方法、および(C)
少なくともシェラックを含む溶液を基紙に塗布し、溶液
塗布された基紙を容器形状に成型した後、成型容器を加
熱する、との工程を含む食品用紙製容器の製造方法にあ
る。
【0007】すなわち、前述した本発明の構成により、
容器成型時の基紙の貼着部分(シール部分)の接着が強
固で、耐水性にも優れた、生分解性の食品用紙製容器が
提供されるのである。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に、本発明について詳述す
る。
【0009】当該技術分野にあっては、物質の「生分解
性」を、生分解試験の試験方法や、合成プラスチックま
たは合成樹脂の分解過程で生じる中間体に関する安全性
などを考慮して、その基準・定義付けがなされている。
【0010】そして、目下のところ、生分解性容器とし
ては、その素材に応じて2種類に大別されている。 す
なわち、生分解性を有する合成プラスチックや合成化合
物を含有あるいは構成成分とする容器と、容器の構成素
材に天然物を用いた(人工的な化学合成処理が施されて
いない)容器とに分類されている。 しかしながら、前
者の容器では、合成プラスチックや合成化合物の処理工
程において生じる中間体物質に起因する有害性にかかる
問題が残ることから、後者の方が望ましいと考えられ
る。 そこで、本発明においては、後者の考えに沿った
容器として、容器基材に紙を選択し、その表面に天然物
の生分解性のシェラック樹脂層を形成した基紙から成型
された生分解性紙製容器を開発した。
【0011】生分解性材料を用いた紙製容器、特に、本
発明で意図している熱湯を注加して食品を調理・喫食す
るタイプの即席食品用の紙製容器には、その生分解性の
みならず、以下の諸性能を兼ね備えておく必要がある。
すなわち; (1) 容器成型時の基紙同士の貼着部分(シール部分)で
の良好な接着性; (2) 容器の印刷適性; (3) 輸送時の容器の耐衝撃性; (4) 熱湯を漏水無く注加でき、かつ食器として機能する
に十分な耐水性; (5) 容器内に収容した食品を貯蔵するに十分な密封性、
透湿性および遮光性、 などの性能が求められる。
【0012】次に、本発明を、食品用紙製容器の製造方
法に沿って説明する。
【0013】まず、本発明の食品用紙製容器で使用する
紙(基紙)としては、通常、この種の容器には、その表
面に優れた印刷適性が求められるため、例えば、片面ア
ート紙や両面アート紙の他、同程度の厚さの他のコート
紙や、上質紙などが好適に利用でき、また、合成紙も適
用可能である。
【0014】次に、この基紙の少なくとも一方の表面に
シェラック樹脂層が形成(コーティング)される。 こ
のシェラック樹脂層は、溶液コーティング法、エマルジ
ョンコーティング法、ホットメルトコーティング法など
の常法に従ってシェラックを含む溶液を塗布して形成さ
れる。
【0015】この中でも、塗布溶液の調製が容易で、ま
たシェラックを含む溶液が比較的均質に分散塗布でき
る、などの理由から溶液コーティング法が好ましい。
【0016】ところで、溶液コーティング法とは、紙や
プラスチックフィルムに対して最もよく利用されている
方法であって、コーティング剤(本発明の場合、シェラ
ックを含む溶液)を有機溶媒に溶解して得た溶液を、ド
クターコーティング法や、エアーナイフコーティング法
などの常法に従って、塗膜の均一性を維持しながら、紙
上に塗布する方法である。 また、コーティング時の塗
工厚み(濡れ)としては、シェラック樹脂層を構成する
素材の種類や溶液濃度などのコーティング条件によって
も変化するが、一般的に、約15μm〜約100μm、好まし
くは約40μm〜約60μmの厚みで塗布する。
【0017】溶液コーティング法で用いる有機溶媒とし
ては、少なくともシェラックが溶解するものであればよ
く、通常、エタノールや、イソプロピルアルコールなど
が利用される。
【0018】また、有機溶媒に溶解するシェラックの濃
度は、シェラック樹脂層を構成するシェラックの種類
や、溶液濃度などのコーティング条件によっても変化す
るが、一般的に、約3〜約50重量%、好ましくは約20〜
約50重量%(シェラックだけを溶解する場合は、約25〜
約50重量%、好ましくは約35〜約45重量%)の濃度に調
整する。
【0019】ところで、本発明の紙製食品用容器でのシ
ェラック樹脂層では、シェラックだけを樹脂成分とする
こともできるが、必要に応じて他の樹脂を混合すること
も可能である。 このような樹脂としては、例えば、天
然樹脂、ガム、ゴムおよびこれらの組み合わせ、具体的
には、ダンマル樹脂、コーパル樹脂、コーパイババルサ
ム、ニューコウ、ベンゾインガム、オポパナックス樹
脂、サンダラック樹脂、グアヤック樹脂、マスチック、
ミルラ、ゴム分解樹脂、レチェデバカ、カウリガム、ロ
ジン、ファーバルサムなどがあるが、これらに限定され
ない。
【0020】あるいは、シェラック以外の樹脂成分を含
んだ溶液を紙面に塗布して樹脂層を形成し、この樹脂層
の上に、前述したようなシェラックを含む溶液をさらに
塗布して積層することもできる。 シェラック以外の天
然樹脂層、例えば、アラビアガム等を塗布した上にシェ
ラック樹脂層を形成する方法によると、シェラックが基
紙に吸収されるのを防止でき、シェラックの使用量の減
量や、長期間の保存による耐水性の低下を防止すること
が可能となる。
【0021】ところで、シェラック(シェラック樹脂)
とは、無臭性で、人体に対する安全性も確認されてお
り、また、熱硬化したシェラック樹脂は、耐水性に優れ
ている樹脂でもある。 そして、シェラック樹脂の主要
構成成分であるシェラックとは、セラックとも称され
る、インドやタイを主要な原産国とする物質であり、南
洋の植物(アメリカネム:豆科、桑科の代表的母樹)に
寄生する貝殻虫(Lacciferlacca KEER)が分泌する樹脂状
物質で、スチックラックを原料としている。 そして、
この樹脂状物質を精製して得た樹脂酸エステルを成分と
するものを精製シェラック、また、この樹脂状物質を精
製および漂白して得た樹脂酸エステルを成分とするもの
を白シェラックと総称している。
【0022】一般に、シェラックの性状は、淡黄色〜暗
褐色の粒状または鱗片状で、堅くて脆く、無臭またはわ
ずかに特有の甘い臭いがある。 エタノールに可溶で、
またエーテルには5〜10%溶ける。 水には溶けない
が、アルカリ水溶液には溶ける。また、シェラックの軟
化点は70〜80℃である。
【0023】本発明にあっては、市販のシェラックも使
用でき、例えば、乾燥透明ラック(日本シェラック工業
株式会社)などが、本発明において好適に利用できる。
【0024】また、シェラック(シェラック樹脂)は、
従来より、ヒートシール性(熱融着性)、耐油性、耐水
性を呈することが知られているが、本発明者らは、さら
にシェラックを含む溶液を塗布した基紙を、加熱して熱
硬化せしめることで、食品用紙製容器として重要な要素
である耐水性が格段に良くなることを知見した。 すな
わち、シェラックを含む溶液を塗布した基紙を容器形状
に成型した後/成型する前/成型と同時に、当該技術分
野で周知の方法に従って、容器/基紙を加熱・硬化する
ことにより、耐水性が格段に改善され、さらには光沢の
ある外観が得られるのである。
【0025】さらに、容器/基紙を加熱・硬化すること
で、容器に熱湯を注加した時のワックス成分の浮遊を解
消することもできる。
【0026】具体的には、少なくともシェラックを有機
溶媒に溶解せしめて得た溶液を、基紙に均一に塗布して
シェラック樹脂層を形成した後に、加熱・硬化を行う。
【0027】この硬化工程とは、一般に、基紙に対して
熱を与えるものであり、熱硬化のための加熱温度は、シ
ェラックの種類や、塗布溶液量などによっても変化する
が、一般的には、約100〜約300℃、好ましくは約120〜
約200℃の温度に調整する。
【0028】同様に、熱硬化のための加熱時間は、シェ
ラックの種類や、塗布溶液量などによっても変化する
が、一般的には、約0.1〜約10分、好ましくは約0.5〜約
5分の時間に設定する。
【0029】通常は、基紙の裁断(型抜き)および容器
の組立工程を経て、ヒートシール等の常法に従って容器
をシール成型した後に、成型容器を加熱して、シェラッ
ク樹脂層を硬化する。
【0030】
【実施例】以下に、本発明をその実施例に沿って説明す
るが、これら実施例の開示によって本発明が限定的に解
釈されるべきでないことは勿論である。
【0031】実施例1:食品用紙製容器の作製 まず、シェラック(乾燥透明シェラック:日本シェラッ
ク工業株式会社の商品)を準備した。 次に、シェラッ
クをエタノールで溶解して、シェラック濃度50%の溶液
を調製し、これを刷毛で、坪量230g/m2のバージンパル
プ(基紙)上に均一に塗布した。
【0032】溶液が塗布された基紙を風乾し、これを所
定の大きさに裁断し、次いで、箱型を形成するように、
折れ目部分に折り筋をつけた。 そして、折り筋を折り
込んで、箱型に組み立てた後に、シェラックの溶液が塗
布されている基紙同士が重なり合う部分をインパルスシ
ーラー(接着部温度 180℃)で熱貼着させて、食品用紙
製容器(幅16cm、奥行き10cm、高さ2.5cm)を作製し
た。
【0033】この紙製容器は、基紙が重なり合う部分
(熱貼着部分)が良好に接着しており、その中に熱湯を
注加しても箱型は崩れず、また、熱湯の漏れはほとんど
無かった。
【0034】次に、この紙製容器を200℃の恒温乾燥機
内に約1分間置いたところ、熱湯漏れの全く無い容器が
得られた。
【0035】実施例2:シェラックによる接着性の検討 シェラック(乾燥透明シェラック)以外に、コーパル、
ダンマル、ジェルトン、ゴム(以上、いずれも日本シェ
ラック工業株式会社の商品)、およびシェラックとゴム
の混合物(シェラック:ゴム=10:1の重量比率)の各
生分解性試料を準備した。 また、ポリエチレン塗工紙
(PE40μm+坪量230g/m2のバージンパルプ)を、対照試
料とした。
【0036】次に、各試料をエタノールで溶解して、試
料濃度が30〜50%の溶液を調製し、これを坪量230g/m2
のバージンパルプ(基紙)上に刷毛で均一に塗布し、そ
して、風乾した。
【0037】次いで、溶液塗布面同士が当接する部分
を、超音波ウエルダ(日本エマソン株式会社ブランソン
事業本部)を用いて、20kHzの周波数、20PSIGの圧力、6
3Nのトリガーフォース、80%の振幅の条件下で溶着を行
い、その接着の可否を確認した。
【0038】同様の条件下で、基紙の溶液塗布面と溶液
非塗布面との間での接着の可否についても確認を行っ
た。 その結果を、以下の表1にまとめた。
【0039】
【表1】
【0040】上記表1に記載の結果から、シェラックを
含む溶液を塗布した事例についてのみ、従来のポリエチ
レンと同様の接着性が認められた。 なお、シェラック
とゴムの混合物を含む溶液での事例でも、塗布面同士の
当接部分に関しては接着性が認められた。
【0041】次に、溶着機を、超音波ウエルダからイン
パルスシーラー(FUJI IMPULSE Sealer; FUJI IMPULSE
Co., Ltd.:接着部温度 180℃)に代えて、超音波ウエ
ルダの場合と同じ試料について、同じ条件下でその接着
性を確認した。 その結果を、以下の表2にまとめた。
【0042】
【表2】
【0043】上記表2に記載の結果から、シェラックを
含む溶液を塗布した事例についてのみ、従来のポリエチ
レンと同様の接着性が認められ、前出の超音波ウエルダ
による試験結果を再現する結果が得られた。 これらの
結果から、生分解性試料の溶液を塗布した基紙の内、シ
ェラックを含む溶液を塗布した事例だけが、容器を形成
する(組み立てる)ための接着性を有するものと考えら
れた。
【0044】実施例3:シェラックによる接着強度の検
実施例2での結果を踏まえて、シェラックを含む溶液を
塗工した場合の接着強度の測定を行った。
【0045】まず、カゼインアンモニウム溶液、透明白
ラックエタノール溶液、乳状白ラックエタノール溶液、
水性シェラック溶液、それに、カゼインアンモニウム溶
液と水性シェラック溶液との混合液が塗工された紙を準
備し、これを基紙とした。また、対照として、ポリエチ
レン塗工紙(PE40μm+坪量230g/m2のバージンパルプ)
を準備した。
【0046】つまり、各紙試料には、50%試料濃度の溶
液を、基紙(坪量230g/m2のバージンパルプ)上に、バ
ーコーターによって、16μmの塗り厚(濡れ)で塗布
し、そして、風乾した。 これら紙試料を、所定の溶着
温度で、3kg/cm2の圧力で10秒間溶着した。 そして、
得られた基紙から幅15mmの試験片を切り出した。
【0047】次に、これら試験片に関して、熱傾斜試験
機(TOYOSEIKI、SHIMADZU AUTOGRAPH AGS-500D)を用い
て、300mm/分の試験速度で、10kgの負荷の測定条件下
で、接着強度を測定した。 その結果を、以下の表3に
まとめた。
【0048】
【表3】
【0049】上記表3に記載の結果から、カゼインアン
モニウム溶液による接着性は乏しい反面、水性シェラッ
ク溶液、それに、カゼインアンモニウム溶液と水性シェ
ラック溶液との混合液では、対照のポリエチレンと比較
しても遜色の無い、良好な接着性が認められた。
【0050】なお、一般的に言って、成型容器として必
要とする接着強度は概ね0.2kgf程度であり、シェラック
を塗工した本発明品はこの条件を満たしていた。
【0051】実施例4:シェラックの耐水性の検討 生分解性試料として、シェラック(乾燥透明シェラッ
ク)、コーパル、ダンマル、ジェルトン、およびゴム
(以上、いずれも日本シェラック工業株式会社の商品)
の各試料を準備した。 そして、各試料をエタノールで
溶解して、試料濃度50%の溶液を調製し、それらを刷毛
で、坪量230g/m2のバージンパルプ(基紙)上に均一に
塗布した。 溶液が塗布された基紙を風乾し、これを所
定の大きさに裁断し、次いで、箱型を形成するように、
折れ目部分に折り筋をつけた。
【0052】そして、折り筋を折り込んで、箱型に組み
立てた後に、溶液が塗布されている基紙同士が重なり合
う部分をホッチキスで留めて食品用紙製容器(幅16cm、
奥行き10cm、高さ2.5cm)を作製した。 なお、シェラ
ックの溶液を塗布した容器は2個作成し、その内の一方
については、溶液を塗布・乾燥した後に、200℃で1分
間加熱処理した。
【0053】そして、これら各容器に、250ccの熱湯
(沸騰水)を注ぎ、容器からの漏水の有無を確認した。
すなわち、A6サイズの大きさの濾紙(Whatman GRADE
17CHROMA)を容器の下に敷き、熱湯を注加して20分後の
濾紙の重量増加に基づいて、容器からの漏水の有無を確
認した。 なお、漏水が認められなかった容器について
は、6分間さらに電子レンジ加熱を行った。
【0054】各容器に関して、漏水の有無をはじめと
し、生分解性試料成分の出現、芳香の各項目についても
確認を行い、その結果を、以下の表4にまとめた。
【0055】
【表4】
【0056】上記表4に記載の結果から、耐水性の観点
からすれば、熱湯を注加して20分以内に漏水が認められ
たダンマル以外は、食品用容器への用途に適用可能であ
ると考えられる。 その中でも、容器の外観、色彩、臭
気などの点を総合的に判断すれば、食品用容器への利用
にあっては、シェラックが最も適していると考えられ
た。 特に、シェラックの溶液を塗布し、これに熱硬化
処理を施して得た容器では耐水性の改善が認められた。
【0057】実施例5:シェラック濃度の検討 実施例4での結果を踏まえて、シェラック溶液を利用す
るに際してのシェラックの濃度と塗工厚み(シェラック
樹脂層の厚み)との関係について検討を行った。
【0058】すなわち、シェラック(乾燥透明シェラッ
ク:日本シェラック工業株式会社)とエタノールとの構
成比率の異なる3種類の溶液を調製し、一対の基紙(バ
ージンパルプ:坪量230g/m2)上に刷毛で均一に塗布し
た。 すなわち、一方の基紙は、溶液が塗布された基紙
を200℃で1分間加熱した基紙とし、他方を、未処理
(熱硬化処理無し)の基紙とした。
【0059】そして、各基紙を用いて、実施例1に記載
の手順に従って、食品用紙製容器(幅16cm、奥行き10c
m、高さ2.5cm)を作製し、この容器に、250ccの熱湯
(沸騰水)を注ぎ、容器からの漏水の有無を確認した。
すなわち、A6サイズの大きさの濾紙(Whatman GRADE
17CHROMA)を容器の下に敷き、熱湯を注加して20分後の
濾紙の重量増加に基づいて、容器からの漏水の有無を確
認した。 その結果を、以下の表5にまとめた。
【0060】
【表5】
【0061】上記表5に記載の結果から、シェラック溶
液でのシェラックの濃度を約37重量%以上、好ましく
は、約37〜約50重量%の濃度に設定することで、溶液塗
布された基紙の加熱・硬化工程の有無にかかわらず、食
品用容器に通常求められる耐水性が認められた。 な
お、シェラックの濃度を約25重量%に調整した溶液で
も、本発明に従って、加熱硬化処理を経ることで、食品
用容器に必要とされる耐水性が付与されることが明らか
となった。
【0062】
【発明の効果】このように、本発明によれば、ポリエチ
レン等の合成樹脂を使用せずとも、以下のような諸性
能、すなわち; (1) 容器成型時の基紙同士の貼着部分(シール部分)で
の良好な接着性; (2) 容器の印刷適性; (3) 輸送時の容器の耐衝撃性; (4) 熱湯を漏水無く注加でき、かつ食器として機能する
に十分な耐水性; (5) 容器内に収容した食品を貯蔵するに十分な密封性、
透湿性および遮光性、 などの諸性能を兼ね備えた生分解性の食品用紙製容器が
提供されるのである。
【0063】そして、本発明の食品用紙製容器によれ
ば、その構成素材すべてを生分解性素材とすることも可
能であるため、環境汚染の懸念もなく、容器の廃棄処理
が行えるなどの効果をも奏するのである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉山 信行 大阪府大阪市淀川区西中島4丁目1番1号 日清食品株式会社内 (72)発明者 武田 敏裕 大阪府大阪市淀川区三津屋南3丁目7番18 号 日本シェラック工業株式会社内 (72)発明者 上田 玲三 大阪府大阪市淀川区三津屋南3丁目7番18 号 日本シェラック工業株式会社内 Fターム(参考) 3E033 BA10 BA13 BA30 BB08 EA12 GA03 3E067 AA11 AB01 BB01A BB26A BB30A CA07 CA12 CA23 EE35 GD05 3E086 BA04 BA14 BA15 BA24 BB71 BB90 CA01 4L055 AJ02 BE08 GA05

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともその一方の面にシェラック樹
    脂層が形成された基紙を、容器形状に成型して得られる
    食品用紙製容器。
  2. 【請求項2】 前記シェラック樹脂層が、前記基紙上に
    予め形成されたシェラック樹脂以外の天然樹脂の樹脂層
    上に形成される請求項1に記載の食品用紙製容器。
  3. 【請求項3】 前記食品用紙製容器が、基紙を容器形状
    に成型した後にさらに熱硬化してなる容器である請求項
    1または2に記載の食品用紙製容器。
  4. 【請求項4】 前記シェラック樹脂層が、ダンマル樹
    脂、コーパル樹脂、コーパイババルサム、ニューコウ、
    ベンゾインガム、オポパナックス樹脂、サンダラック樹
    脂、グアヤック樹脂、マスチック、ミルラ、ゴム分解樹
    脂、レチェデバカ、カウリガム、ロジン、ファーバルサ
    ムおよびこれらの組み合わせからなるグループから選択
    された天然樹脂をさらに含む請求項1乃至3のいずれか
    に記載の食品用紙製容器。
  5. 【請求項5】 食品用紙製容器の製造方法であって; (a) 基紙の少なくとも一方の面に、シェラックを含む溶
    液を塗布し、および(b) 該基紙を容器形状に成型する、 工程を含む、ことを特徴とする食品用紙製容器の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 前記製造方法が、前記工程(b) の後に、
    (c) 容器形状に成型してなる基紙を加熱する、工程をさ
    らに含む請求項5に記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記溶液が、ダンマル樹脂、コーパル樹
    脂、コーパイババルサム、ニューコウ、ベンゾインガ
    ム、オポパナックス樹脂、サンダラック樹脂、グアヤッ
    ク樹脂、マスチック、ミルラ、ゴム分解樹脂、レチェデ
    バカ、カウリガム、ロジン、ファーバルサムおよびこれ
    らの組み合わせからなるグループから選択された天然樹
    脂をさらに含む溶液である請求項5または6に記載の食
    品用紙製容器の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記シェラックの量が、前記溶液の20〜
    50重量%の量である請求項5乃至7のいずれかに記載の
    食品用紙製容器の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記工程(c) での加熱が、100〜300℃の
    温度での0.1〜10分間の基紙の加熱である請求項6乃至
    8のいずれかに記載の食品用紙製容器の製造方法。
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