JP2001239768A - 平版印刷版用支持体の製造方法 - Google Patents

平版印刷版用支持体の製造方法

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JP2001239768A
JP2001239768A JP2000074749A JP2000074749A JP2001239768A JP 2001239768 A JP2001239768 A JP 2001239768A JP 2000074749 A JP2000074749 A JP 2000074749A JP 2000074749 A JP2000074749 A JP 2000074749A JP 2001239768 A JP2001239768 A JP 2001239768A
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aluminum
aqueous solution
treatment
acid
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JP2000074749A
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Masaya Matsuki
昌也 松木
Hirokazu Sawada
宏和 澤田
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 印刷条件の変動に依らず、非画像部に汚れを
発生させない。 【解決手段】 アルミニウム材もしくは、アルミニウム
合金材を粗面化処理し、塩酸を1重量%以上5重量%未
満含む水溶液に10秒以上3分以下浸漬し、次いで陽極
酸化処理することを特徴とする平版印刷版用支持体の製
造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は非画像部に汚れが発
生しない印刷性能に優れた平版印刷版用支持体の製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、平版印刷版用支持体は、アルミニ
ウム合金板の片面あるいは両面に、粗面化処理を施し、
所望により陽極酸化皮膜処理を施し、感光層を塗布して
製造される。この平版印刷版用支持体は、画像露光、現
像、水洗などの製版処理により、印刷版となる。
【0003】作成された平版印刷版は印刷機の円筒状の
版胴に取り付けられて、インキと湿し水を版胴に供給す
ることで親油性の画像部にはインキが付着し、親水性の
非画像部には水が付着し、画像部のインキをブランケッ
ト胴に転写した上で、ブランケット胴から紙に画像を印
刷する。しかし、非画像部に点状あるいは円環状にイン
キが付着し、結果的に紙面に点状あるいは円環状のイン
キ汚れが発生する場合が有った。
【0004】このインキ汚れを防止するために多くの提
案がなされている。例えば、支持体に含まれるMg,M
n,Si,Ga,Ti,Cu等の合金成分の含有率を規
定する方法(特開平5−309964号、同3−177
528号等)、FeとSiの比を限定する方法(特開平
4−254545号、同7−197162号等)、Fe
の固溶量を限定する方法(特開平4−165041号
等)、単体Si量を限定する方法(特開平3−1775
29号、特開昭62−148295号等)、金属間化合
物の量や大きさをや分布を限定する方法(特開平4−1
65041号、同3−234594号、同4−2545
45号、同3−177529等)、陽極酸化皮膜の特徴
を限定する方法(特開平7−197293号、同7−2
6393号等)が提案されている。
【0005】しかし、非画像部の汚れの発生程度は、印
刷を行う時の条件の影響を非常に受けやすいことがわか
った。すなわち、先に述べた種々の提案によって望まし
いとされている支持体を使用しても時として非画像部の
汚れが発生する場合があった。平版印刷版は現在、世界
中で、非常に幅広く使用されており、印刷条件も様々で
ある。従って、印刷条件の変動に依らず、非画像部の汚
れが発生しない平版印刷版用支持体が望まれる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、印刷条件の
変動に依らず、非画像部に汚れが発生しない印刷性能に
優れた平版印刷版用支持体の製造方法を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明はアルミニ
ウム材もしくは、アルミニウム合金材を粗面化処理し、
塩酸を1重量%以上5重量%未満含む水溶液に10秒以
上3分以下浸漬し、次いで陽極酸化処理することを特徴
とする平版印刷版用支持体の製造方法を提供する。
【0008】塩酸を含む水溶液による処理時間は30秒
以上3分以下が好ましい。
【0009】本発明では、陽極酸化処理の前に塩酸を含
む水溶液による浸漬処理を行っているので陽極酸化皮膜
の欠陥起点になりやすい物質が除去され、その結果、極
めて皮膜欠陥が少ない陽極酸化皮膜を設けることがで
き、印刷条件の変動に依らず非画像部の汚れを防止する
ことができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】本発明では、平版印刷版用支持体の基材と
してアルミニウム材又はアルミニウムを主成分として微
量の異元素を含むアルミニウム合金材を使用する。微量
の異元素を含む合金板には、所定の異元素を担持させた
ものや除去し難い微量元素を含む合金板も含まれる。こ
のような合金板は、元素周期表に記載されているものの
中から選択された1種以上を、0.001重量%〜1.
5重量%含有する合金板である。該アルミニウム合金に
含まれる異元素の代表例には、珪素、鉄、ニッケル、マ
ンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、
チタン、バナジウムなどがある。通常はアルミニウムハ
ンドブック第4版(1990、軽金属協会)に記載の、
従来より公知の素材のもの、例えばJIS A1050
材、JIS A3103材、JIS A3005材、J
IS A1100材、JIS A3004材または引っ
張り強度を増す目的でこれらに5重量%以下のマグネシ
ウムを添加した合金を用いることが出来る。
【0012】アルミニウム材又はアルミニウム合金材に
適用される粗面化処理とは、機械的な粗面化処理、バフ
研磨処理、ポリッシング処理、酸またはアルカリ水溶液
中での化学的なエッチング処理、酸またはアルカリ水溶
液中での電解研磨処理、中性塩水溶液中でアルミニウム
板を陽極または陰極にした電解処理、酸性水溶液中で直
流または交流を用いておこなう電気化学的な粗面化処理
のうち一つ以上を組み合わせて行うことを特徴とするも
のであるが、特に好ましい粗面化処理工程としては以下
に記載のものが挙げられる。
【0013】即ち、アルミニウム基材を、(a)機械的
に粗面化処理する工程、(b)酸もしくはアルカリ水溶
液中で化学的にエッチング処理する工程、又は酸もしく
はアルカリ水溶液中での電解研磨処理する工程、(c)
硝酸を主体とする水溶液中での電気化学的に粗面化処理
する工程、(d)酸もしくはアルカリ水溶液中で化学的
にエッチング処理する工程、又は酸もしくはアルカリ水
溶液中での電解グレイニングを行う工程、を含む粗面化
処理する方式である。
【0014】次に、前記した各粗面化工程について詳細
に説明する (a)機械的に粗面化処理する工程、機械的な粗面化処
理は電気化学的な粗面化と比較して、より安価に、0.
3〜1.5μmの平均表面粗さを持つ表面を形成するこ
とができる。
【0015】機械的な粗面化処理においては、毛径が
0.2〜0.9mmの回転するナイロンブラシローラ
と、アルミニウム板表面に供給されるスラリー液とで機
械的に粗面化処理する方式が有利である。研磨剤として
は公知の物が使用できるが、珪砂、石英、水酸化アルミ
ニウムまたはこれらの混合物が好ましい。これらの方式
は、特開平6−135175号、特公昭50−4004
7号各公報に詳しく記載されている。スラリー液の比重
は1.05〜1.3が好ましい。スラリー液を吹き付け
る方式、ワイヤーブラシを用いた方式、凹凸を付けた圧
延ローラの表面形状をアルミニウム板に転写する方式な
どを用いても良い。その他の方式としては、特開昭55
−074898号、特開昭61−162351号、特開
昭63−104889号各公報等に記載されている。 (b)酸もしくはアルカリ水溶液中でアルミニウム板を
化学的にエッチング処理する工程、又は酸もしくはアル
カリ水溶液中で電解研磨処理する工程表面の自然酸化皮
膜や汚れ、圧延油等を取り除き、なおかつ機械的な粗面
化で生成した急峻な凹凸を滑らかにする目的でアルミニ
ウム(合金)材を0.1〜20g/m2、好ましくは5
〜20g/m2溶解する。 1)酸もしくはアルカリ水溶液中でアルミニウム板を化
学的にエッチング処理する工程 酸性水溶液に含まれる酸としては、燐酸、硝酸、硫酸、
クロム酸、塩酸、またはこれらの2つ以上の酸を含む混
酸を用いることが出来る。酸性水溶液の濃度は0.5〜
65wt%が好ましい。液温は30〜95℃で、1〜1
20秒間処理することが好ましい。酸性水溶液としては
とくに硫酸が好ましい、硫酸濃度とアルミニウム濃度は
常温で晶出しない範囲から選択することが好ましい。
【0016】アルカリ水溶液の濃度は1〜30wt%が
好ましい。アルカリ水溶液としては、特に苛性ソーダを
主体とする水溶液が好ましい。苛性ソーダ濃度とアルミ
ニウム濃度は常温で晶出しない範囲から選択することが
好ましい。
【0017】特に好ましくは、苛性ソーダ濃度4〜6w
t%、且つ、アルミニウムイオン濃度1〜1.5wt
%、または、苛性ソーダ濃度25〜28wt%、且つ、
アルミニウムイオン濃度5〜9wt%である。液温は3
0〜80℃で、0.1〜60秒間処理することが好まし
い。
【0018】エッチング処理が終了した後には、処理液
を次工程に持ち込まないためにニップローラによる液切
りとスプレーによる水洗を行うことが好ましい。
【0019】また、化学的なエッチングをアルカリの水
溶液を用いて行った場合は一般にアルミニウムの表面に
はスマットが生成するので、この場合には燐酸、硝酸、
硫酸、クロム酸、塩酸、またはこれらの2つ以上の酸を
含む混酸でデスマット処理する。酸性水溶液の濃度は
0.5〜60wt%が好ましい。さらに酸性水溶液中に
はアルミニウムは勿諭アルミニウム合金中に含有する他
の合金成分を0〜5wt%溶解していても良い。液温は
常温から95℃で実施され、処理時間は1〜60秒が好
ましい。デスマット処理が終了した後には、処理液を次
工程に持ち込まないためにニップローラによる液切りと
スプレーによる水洗を行うことが好ましい。
【0020】最も好ましい酸性水溶液中でのデスマット
処理とは、塩酸または硝酸0.5〜3wt%にアルミニ
ウムイオンを0〜1wt%含有する水溶液(15℃〜5
0℃)、または、硫酸5〜30wt%にアルミニウムイ
オンを0〜1wt%含有する水溶液(15℃〜70℃)
である。 2) 酸もしくはアルカリ水溶液中で電解処理する工程酸性水溶液中での電解研磨処理 本発明でいう酸性水溶液中でのアルミニウム(合金)材
の電解研磨処理は、公知の電解研磨に用いる水溶液が使
用できるが、好ましくは硫酸または燐酸を主体とする水
溶液である。特に好ましくは、硫酸または燐酸を20〜
90wt%(好ましくは40〜80wt%)含有する水
溶液である。液温は10〜90℃(好ましくは50〜8
0℃)、電流密度1〜200A/dm2(好ましくは5
〜80A/dm2)、電解時間は1〜180秒の範囲か
ら選択できる。前記水溶液中に、硫酸、燐酸、クロム
酸、過酸化水素、クエン酸、硼酸、フッ化水素酸、無水
フタール酸などを1〜50wt%添加してもよい。ま
た、アルミニウムはもちろんアルミニウム合金中に含有
する合金成分を0〜10wt%含有していてもよい。硫
酸イオンまたは燐酸イオンの濃度と、アルミニウムイオ
ン濃度は、常温でも晶析しない濃度で用いることが好ま
しい。アルカリ水溶液中での電解研磨処理 本発明でいうアルカリ水溶液中での電解研磨処理は、水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムおよ
び燐酸ナトリウムのようなアルカリ性物質のた単独か、
またはそれらの混合物、またはアルカリ性物質と水酸化
亜鉛、水酸化アルミニウムとの混合物、またはこれらア
ルカリ性物質と塩化ナトリウムあるいは塩化カリウム等
の塩類との混合物の水溶液を使用し、しかも電気的に脱
酸素材になるような電解液組成、温度および濃度でアル
ミニウムを陽極にして電解処理することをいう。均一な
酸化皮膜を安定的に生成するために、過酸化水素、燐酸
塩などを1wt%以下の濃度で添加してもよい。公知の
電解研磨に用いる水溶液が使用できるが、好ましくは水
酸化ナトリウムを主体とする水溶液である。好ましく
は、水酸化ナトリウムを2〜30wt%含有する水溶液
であり、特に水酸化ナトリウムを3〜20wt%含有す
る水溶液である。液温は10〜90℃(好ましくは35
〜60℃)、電流密度1〜200A/dm2(好ましく
は20〜80A/dm2)、電解時間は1〜180秒の
範囲から選択できる。
【0021】酸性もしくはアルカリ水溶液中での電解研
磨処理において、電流は、直流、パルス電流、交流を用
いることが可能であるが、連続直流が好ましい。電解処
理装置はフラット型槽、ラジアル型槽など公知の電解処
理に使われているものを用いることができる。処理が終
了した後には、処理液を次工程にもちこまないためにニ
ップローラーによる液切りとスプレーによる水洗を行う
ことが好ましい。また、電解研磨処理の前もしくは後、
またはその両方において、アルミニウム(合金)材を
0.01〜3g/m2溶解する、酸またはアルカリ水溶
液中での化学的なエッチングを行うことがさらに好まし
い。 (c)硝酸を主体とする水溶液中で電気化学的に粗面化
処理する工程 アルミニウム(合金)材表面に、平均直径0.1〜20
μmのクレーターまたはハニカムピットをアルミニウム
表面に30〜100%の面積率で生成する目的で行う。
印刷版の非画像部の汚れにくさと耐刷力を向上する作用
がある。
【0022】なお、本発明において、「硝酸を主体とす
る水溶液」とは、通常の直流または交流を用いた電気化
学的な粗面化処理に用いるものを使用でき、濃度5〜2
0g/リットルの硝酸水溶液に、硝酸アルミニウム、硝
酸ナトリウム、硝酸アンモニウム、等の硝酸イオン、塩
化アルミニウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、
等の塩酸イオンを有する塩酸または硝酸化合物の1つ以
上を1g/リットル〜飽和まで添加して使用することが
できる。硝酸を主体とする水溶液中には、鉄、銅、マン
ガン、ニッケル、チタン、マグネシウム、シリカ等のア
ルミニウム合金中に含まれる金属が溶解していてもよ
い。とくに好ましくは、硝酸5〜20g/リットル水溶
液中にアルミニウムイオンが3〜50g/リットルとな
るように塩化アルミニウム、硝酸アルミニウムを添加し
た液を用いることが好ましい。温度は10〜95℃が好
ましく、40〜80℃がより好ましい。
【0023】また、この粗面化は交流を用いて行なうこ
とができる。
【0024】電気化学的な粗面化に周いる交流電源波形
は、サイン波、矩形波、台形波、三角波などを用いるこ
とができるが、矩形波または台形波が好ましく、台形波
が特に好ましい。周波数は0.1〜250Hzが好まし
い。台形波において、電流が0からピークに達するまで
の時間tpは0.1〜10msecが好ましく、0.3
〜2msecがとくに好ましい。電源回路のインピーダ
ンスの影響のため、tpが0.1msec未満であると
電流波形の立ち上がり時に大きな電源電圧が必要とな
り、電源の設備コストが高くなる。10msecより大
きくなると、電解液中の微量成分の影響を受けやすくな
り均一な粗面化がおこなわれにくくなる。
【0025】電気化学的な粗面化に用いる交流の1サイ
クルの条件が、アルミニウム板のアノード反応時間ta
とカソード反応時間tcの比tc/taが1〜20、ア
ルミニウム板がアノード時の電気量Qcとアノード時の
電気量Qaの比Qc/Qaが0.3〜20、アノード反
応時間taが0.5〜1000msec、の範囲にある
ことが好ましい。tc/taは2.5〜15であること
がより好ましい。Qc/Qaは2.5〜15であること
がより好ましい。電流密度は台形波のピーク値で電流の
アノードサイクル側Ia、カソードサイクル側Icとも
に10〜200A/dm2が好ましい。Ic/Iaは
0.3〜20の範囲にあることが好ましい。
【0026】電気化学的な粗面化が終了した時点でのア
ルミニウム板のアノード反応にあずかる電気量の総和は
1〜1000C/dm2が好ましく、10〜300C/
dm2が更に好ましい。電気量が多ければ、より大きな
表面粗さとなる。電気化学的な粗面化に用いる電源波形
は、交流または直流が用いられる。本発明で交流を用い
た電気化学的な粗面化に用いる電解槽は、縦型、フラッ
ト型、ラジアル型など公知の表面処理に用いる電解槽が
使用可能であるが、特開平5−195300号公報に記
載のようなラジアル型電解槽がとくに好ましい。電解槽
内を通過する電解液はアルミニウムウェブの進行とパラ
レルでもカウンターでもよい。ひとつの電解槽には1個
以上の交流電源を接続することができる。電解槽は2個
以上を用いることもできる。 (d)酸もしくはアルカリ水溶液中でアルミニウム板を
化学的にエッチング処理する工程、又は酸もしくはアル
カリ水溶液中で電解研磨処理する工程 電気化学的な粗面化処理で生成した水酸化アルミニウム
を主体とするスマット成分の除去と、ピットのエッジの
部分を滑らかにする目的で行われる。アルミニウム板の
溶解量は0.01〜20g/m2が好ましく、0.05
〜5g/m2がより好ましく、0.1〜3g/m2がさら
に好ましい。
【0027】各工程での条件は(b)の1)、2)と同
様である。
【0028】本発明では、上記の粗面化処理後に塩酸を
含む水溶液中で化学的処理を行う。
【0029】この処理は粗面化したアルミ表面に陽極酸
化皮膜を付与する前にインキ汚れの原因物質を除去する
事を目的とする。
【0030】塩酸の濃度は1重量%以上5重量%未満が
良い。また処理時間は10秒以上3分以下であり、望ま
しくは30秒以上3分以下が良い。その後、表面のスマ
ット成分の除去のために硫酸もしくは硝酸の主体の水溶
液に浸漬することが望ましい。
【0031】本発明ではアルミニウム(合金)材の表面
の耐磨耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。
【0032】アルミニウム板の表面の耐磨耗性を高める
ために陽極酸化処理が施される。アルミニウム板の陽極
酸化処理に用いられる電解質としては多孔質酸化皮膜を
形成するものならば、いかなるものでも使用することが
できる。一般には硫酸、リン酸、シュウ酸、クロム酸、
またはそれらの混合液が用いられる。それらの電解質の
濃度は電解質の種類によって適宜決められる。陽極酸化
の処理条件は用いる電解質によって変わるので一概に特
定し得ないが、一般的には電解質の濃度が1〜80wt
%、液温は5〜70℃、電流密度1〜60A/dm2
電圧1〜100V、電解時間10秒〜300秒の範囲に
あれば適当である。
【0033】硫酸水溶液中での陽極酸化については、特
開昭54−12853号、特開昭48−45303号各
公報に詳しく記載されている。硫酸濃度10〜300g
/リットル、アルミニウム濃度1〜25g/リットルと
することが好ましく、50〜200g/リットルの硫酸
水溶液中に硫酸アルミニウムを添加してアルミニウムイ
オン濃度を2〜10g/リットルとすることが特に好ま
しい。液温は30〜60℃が好ましい。直流法を用いる
ときは、電流密度が1〜60A/dm2、特に5〜40
A/dm2が好ましい。連続的にアルミニウムシートを
陽極酸化する場合は、アルミニウム(合金)材の焼けと
呼ばれる電流集中を防ぐために、最初5〜10A/dm
2の低電流密度で陽極酸化処理を行い、後半にゆくに従
い徐々に電流密度を上げて30〜40A/dm2になる
まで、あるいはそれ以上に電流密度を設定することが特
に好ましい。
【0034】硫酸法では通常、直流電流で処理がおこな
われるが、交流を用いることも可能である。陽極酸化皮
膜の量は1〜10g/m2の範囲が適当である。一般的
平版印刷版材料の場合、陽極酸化皮膜量は1〜5g/m
2で、1g/m2よりも少ないと耐刷性が不十分であった
り、平版印刷版の非画像部に傷が付きやすくなって、同
時に傷の部分にインキが付着する、いわゆる傷汚れが生
じやすくなる。また、陽極酸化皮膜量が多くなると、ア
ルミニウム(合金)材のエッジ部分へ酸化皮膜が集中し
やすくなるので、アルミニウム(合金)材のエッジの部
分と中心部分の酸化皮膜量の差は、1g/m2以下であ
ることが好ましい。
【0035】連続的な陽極酸化処理は液給電方式を用い
るのが一般的である。アルミニウム(合金)材に電流を
通電するための陽極としては、鉛、酸化イリジウム、白
金、フェライトなどを用いることができるが、酸化イリ
ジウムを主体とするものが特に好ましい。酸化イリジウ
ムは熱処理により基材に被覆される。
【0036】基材としてはチタン、タンタル、ニオブ、
ジルコニウムなどの所謂バルブ金属が用いられるが、チ
タンまたはニオブが特に好ましい。前記バルブ金属は比
較的電気抵抗が大きいため、芯材に銅を用い、その周囲
にバルブ金属をクラッドすることが特に好ましい。銅の
芯材にバルブ金属をクラッドする場合は、あまり複雑な
形状のものは作れないので、各パーツに分割して作成し
た電極部品を、酸化イリジウムを被覆した後にボルト・
ナット等で希望の構造となるように組み立てるのが一般
的である。
【0037】上記製造方法で作成された支持体上には感
光層が塗布される。感光層が塗布された平版印刷版は通
常の方法で、画像の焼き付け、現像、ガム引きを行って
印刷版とし、印刷機の版胴に取り付け、印刷を行う。
【0038】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 (実施例1〜3、比較例1〜5)以下の手順で支持体を
作成した。 (1)機械的粗面化:比重1.12のパミスと水の懸濁
液を研磨スラリー液としてアルミニウム板(厚さ0.2
4mm、幅1030mmの、JIS A1050アルミ
ニウム板)の表面に供給しながら、回転するローラー状
ナイロンブラシにより機械的な粗面化を行った。ナイロ
ンブラシには6,10ナイロンを使用し、毛長は50m
m、毛の直径は0.48mmであった。ナイロンブラシ
を直径300mmのステンレス製の筒に形成された穴に
密になるように植毛した。使用したブラシの本数は3本
であった。ブラシ下部の2本の支持ローラ(直径200
mm)の距離は300mmであった。ブラシローラは、
ブラシを回転させる駆動モータの負荷がブラシローラを
アルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して6kw
プラスになるまでアルミニウム板を押さえつけた。ブラ
シの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じであっ
た。アルミニウム板の移動速度は50m/minであっ
た。その後、水洗した。 (2)アルカリ水溶液中でのエッチング処理 アルミニウム板を、NaOH27wt%、アルミニウム
イオン6.5wt%含有する60℃の水溶液に浸漬して
エッチング処理を行った。アルミニウム板の溶解量は1
0g/m2であった。その後、水洗処理を行った。 (3)デスマット処理 次にアルミニウム板を35℃の硝酸1wt%(アルミニ
ウムイオン0.5wt%、アンモニウムイオン0.00
7wt%含む)水溶液に10秒間浸漬してデスマット処
理を行った。その後、水洗処理を行った。 (4)硝酸水溶液中での電気化学的な粗面化処理 アルミニウム板に液温50℃の硝酸1wt%水溶液(ア
ルミニウムイオン0.5wt%、アンモニウムイオン
0.007wt%含む)中で電気化学的な粗面化処理を
施した。電流値がゼロからピークに達するまでの時間T
Pが1msec、duty比1:1、60Hzの台形の
矩形波交流を用い、対極にはカーボン電極を、補助アノ
ードにはフェライトをそれぞれ用いた。電流密度は電流
のピーク値で60A/dm2、電気量(アルミニウム板
が陽極時の電気量の総和)は65C/dm2であった。
補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。
その後、スプレーによる水洗を行った。 (5)アルカリ水溶液中でのエッチング処理 アルミニウム板を、NaOH27wt%、アルミニウム
イオン6.5wt%含有する45℃の水溶液に浸漬して
エッチング処理を行った。アルミニウム板の溶解量は4
g/m2であった。その後、水洗処理を行った。 (6)デスマット処理 次いで、アルミニウム板を硫酸25wt%含有する60
℃の水溶液に浸漬してデスマット処理を行った。その
後、水洗処理を行った。 (7)塩酸水溶液中での化学的処理 アルミニウム板を下記表中に示すような条件の液温60
℃の塩酸水溶液に浸漬して、インキ汚れ原因物質を除去
した。その後、水洗処理を行った。 (8)デスマット処理 アルミニウム板を硫酸25wt%含有する60℃の水溶
液に浸漬してデスマット処理を行った。その後、水洗処
理を行った。 (9)陽極酸化処理 液温35℃の硫酸濃度15wt%水溶液(アルミニウム
イオンを0.5wt%含む)で、直流電源を用い、電流
密度2A/dm2で陽極酸化皮膜量が1.1g/m2にな
るように陽極酸化処理を行った。その後、スプレーによ
る水洗を行った。
【0039】このように作成したアルミニウム支持体
(サンプル)に感光層を塗布し、露光及び現像した後、
実際の中印刷機(ハマダ社製、商品名:ハマダ900C
DX)を使って塩素イオンを含む湿し水とインクを平版
印刷版に供給し、1000枚印刷し、一旦放置し、再度
数十枚印刷したときの印刷物の非画像部の汚れの発生状
況と印刷版表面の原因物質の個数をSEM写真(N=5
/1水準)から調べた。
【0040】
【表1】
【0041】表中、原因物質減少の欄の数値は比較例1
における原因物質の個数を100としたときの指数を示
す。また、インキ汚れ評価の◎は汚れがまったく発生し
ていないことを示し、○は若干汚れが発生しているもの
の実用可能なレベルであることを示し、△は実用上許容
できない汚れが発生したことを示し、×は汚れが極めて
目立つことを示す。
【0042】表から本発明の実施例では、インキ汚れが
殆ど発生していないことがわかる。
【0043】
【発明の効果】本発明は粗面化処理後陽極酸化処理前に
塩酸を含む水溶液でアルミニウム材又はアルミニウム合
金材を処理しているため、インキ汚れ性に優れた平版印
刷版支持体が製造できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03F 7/00 503 G03F 7/00 503 7/09 501 7/09 501 Fターム(参考) 2H025 AA00 AB03 DA18 EA01 2H096 AA07 CA01 CA03 2H114 AA04 AA14 BA10 DA04 EA02 GA03 GA05 GA06 GA08 GA09

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム材もしくは、アルミニウム
    合金材を粗面化処理し、塩酸を1重量%以上5重量%未
    満含む水溶液に10秒以上3分以下浸漬し、次いで陽極
    酸化処理することを特徴とする平版印刷版用支持体の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 アルミニウム材もしくは、アルミニウム
    合金材を粗面化処理し、塩酸を1重量%以上5重量%未
    満含む水溶液に30秒以上3分以下浸漬し、次いで陽極
    酸化処理することを特徴とする平版印刷版用支持体の製
    造方法。
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