JP2001238556A - アミノ酸組成が改良されたトランスジェニック植物の作出法 - Google Patents

アミノ酸組成が改良されたトランスジェニック植物の作出法

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Abstract

(57)【要約】 【解決課題】 植物の可食部分における遊離アミノ酸、
特にグルタミン酸、アルパラギン、アスパラギン酸、セ
リン、スレオニン、アラニン、およびヒスチジンの少な
くとも一つの遊離アミノ酸を高度に蓄積するトランスジ
ェニック植物およびその作出方法を提供する。 【解決手段】 グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(GD
H)遺伝子をコード配列を植物細胞において発現させる
ために適切な制御配列と共に植物に導入し、GDH遺伝
子を過剰発現させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、遊離アミノ酸が増
強されたトランスジェニック植物およびその作成方法に
関する。より具体的には、本発明は、アスパラギン、ア
スパラギン酸、セリン、スレオニン、アラニン、ヒスチ
ジンおよびグルタミン酸の少なくとも1つを高蓄積する
トランスジェニック植物およびその作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】植物に特定の遺伝子を導入し形質転換さ
せる技術が世界で初めて報告されたのは土壌細菌、Ag
robacterium tumefaciensを用
いてタバコに遺伝子を導入した研究であり、その後多く
の有用農業形質を付与した作物が作出され、植物に有用
成分を作らせる試みも行われてきた。このようなトラン
スジェニック植物作成技術を用いた植物育種法は、交配
等による従来の伝統的な育種に代わるものとして有望視
されている。その中で、窒素同化に関する植物の特性改
良の研究も進められてきており、特に、アミノ酸は窒素
代謝産物の中でも、果実、根菜類の根、種子などにおい
て重要な成分であり、また食味にも大きく影響を与える
ことから盛んに研究が行われてきている。
【0003】アミノ酸の生合成に関する研究としては、
例えば、大腸菌由来DHDPS遺伝子をタバコに導入
し、遊離リジンが200倍上昇したという報告(米国特
許第5258300号、Molecular Gene
tics Res.& Development)、A
K遺伝子の導入により遊離リジンが増加したという報告
(EP485970,WO9319190)、AS遺伝
子をタバコに導入し、アスパラギン含量が100倍上昇
したという報告(WO 9509911,Univ N
ew York,WO 9013533,Univ R
ockfeller)、アントラニル酸合成酵素をイネ
に導入しトリプトファン含量が90倍上昇したという報
告(WO 9726366,DEKALB Genet
ic Corp)がなされている。遺伝子導入の対象と
なる植物はタバコ、シロイヌナズナ等のモデル植物に限
られず、トマトなどの果実をもつ植物も利用されてい
る。例えば、トマトについては1986年にアグロバク
テリウム法を用いて形質転換体が作出され(S.McC
ormick,J.Niedermeyer,J.Fr
y,A.Barnason,R.Horsch and
R.Fraley,Plant Cell Repo
rts,5,81−84(1986);Y.S.Chy
i,R.A.Jorgenson,D.Goldste
rn,S.D.Tarksley and F.Loa
iza−Figueroe,Mol.Gen.Gene
t.,204,64−69(1986))、それ以来形
質転換系の改良がなされてきている。また、アミノ酸生
合成、窒素同化に関与する遺伝子は上述の他にも多数知
られており、アスパラギナーゼ、GOGAT等が含ま
れ、これらの塩基配列も報告されている。
【0004】ここで、特にα−アミノ酸の一種であるグ
ルタミン酸は、一般にタンパク質中に広く分布し、調味
用途として使用されている、トマトのうま味成分や、ダ
イズではその醸造食品(例えば、醤油、ミソなど)中の
うま味成分は、いずれもグルタミン酸であることが知ら
れており、高等植物では窒素代謝の最初の段階で合成さ
れることが知られている。また、グルタミン酸より生じ
たグルタミン、アスパラギンが篩管を経由して各組織に
分配されその他のアミノ酸合成、タンパク質合成に用い
られることが分かっている。植物においては、スクロー
スやアミノ酸などの光合成産物の輸送経路である篩管に
は高濃度に存在する例が報告されている(茅野充男ら、
植物栄養・肥料学p125(1993))が、可食部分
に高濃度に含まれる例としては、トマト果実に0.25
g/100g f.w.程度含まれる例(ときめき2
号、日本食品工業学会誌、第39巻、p64−67(1
992))が知られている。しかしながら、グルタミン
酸の場合は、ソース器官での生合成能が向上できたとし
てもアミノ基供与の出発物質であり、前述のように種々
の生合成経路で代謝されるため、植物体中でグルタミン
酸を高濃度に蓄積させるのは容易ではない。交配育種、
遺伝子操作を問わず、これまでグルタミン酸の濃度を植
物体中で飛躍的に高めるのに成功した例は出願人の知る
限り見当たらない。
【0005】無機窒素を有機体に同化する第一段階は、
上述したように主にグルタミンを生成するためのグルタ
ミン酸へのアンモニアの取り込みであり、これはグルタ
ミンシンテターゼ酵素(GS)により触媒される。次い
で、このグルタミンは、グルタミン酸シンターゼ(GO
GAT)に触媒され、α−ケトグルタル酸とから2分子
のグルタミン酸が生成される。このGS/GOGATサ
イクルが、植物における窒素同化の主要な経路と考えら
れている(文献:MiflinおよびLea,197
6,Phytochemistry,15;873−8
85)。一方、アンモニアの取り込みが、GSにより触
媒される経路以外の代謝経路により進行する事が知られ
ている(Knight and Langston−U
nkefer,1988,Science,241:9
51−954)。即ち、グルタミン酸を生成するための
α−ケトグルタル酸へのアンモニアの取り込みであり、
これはグルタミン酸デヒドロゲナーゼ(GDH)により
触媒される。しかし、植物のGDHは、アンモニアに対
して高いKm値を有しており、一方、アンモニアは毒性
があり、細胞内アンモニアは通常低濃度であるため、正
常な生育条件下でのこの窒素同化経路の役割については
未だ充分には明らかにされていないが、ある研究では、
細胞内のアンモニウム濃度が正常レベルを越えて上昇し
た時の窒素同化に寄与しているとの報告がある(Kni
ght and Langston−Unkefer、
前掲)。
【0006】植物におけるグルタミン酸デヒドロゲナー
ゼ酵素(GDH)は上記の様にグルタミン酸を生成する
ためα−ケトグルタル酸へアンモニアを取り込ませる場
合と逆にα−ケトグルタル酸を生成するためにグルタミ
ン酸からアンモニアを解離させる場合と可逆的な反応を
触媒する。前者はアンモニア量が高い場合に、また後者
は窒素含量が高い場合に機能すると考えられており(R
obinsonら、1991,Plant Physi
ol.95;809−816:Robinsonら,1
992,Plant Physiol.98;1190
−1195)、微生物に見られるようなグルタミン酸を
合成する方向に機能する酵素GDH−Aや分解する方向
に機能する酵素GDH−B等のように方向性が明確でな
い。また、植物ではクロロプラストで機能するNADP
依存型GDHとミトコンドリアで機能するNAD依存型
GDHの2種類があると考えられているが、GDHはア
ンモニアに対して高いKm値を示し、また、光呼吸時に
おけるアンモニアレベルとの相関性が高いことから、ミ
トコンドリアに局在するNAD依存型GDHがアンモニ
アの同化に重要な働きをしていると考えられている(S
rivastavaおよびSingh RP,198
7,Phytochemistry,26;597−6
10)。
【0007】植物のGDHは、2種類の異なるポリペプ
チド(α−サブユニット、β−サブユニット)がランダ
ムに結合し、ヘキサマーを形成し、さらに、結合の程度
により7つのアイソザイムパターンを示すことが知られ
ている。Grapevineのカルス細胞を用いた研究
において、硝酸塩やグルタミン酸を加えた培地で培養し
たカルスは、電気泳動した際β−サブユニットから成る
アイソザイムが陰極側に増加し、アンモニアやグルタミ
ンを加えた培地で培養したカルスはα−サブユニットか
ら成るアイソザイムが陽極側に増加すること、さらに、
硝酸塩培地からアンモニア源培地に移した場合、GDH
活性が3倍増加し(α−サブユニット4倍増加し、β−
サブユニット減少)、活性が陰極側から陽極側に移行し
たことが報告され(LoulakakisおよびPou
belakis−Angelakis,1996,Pl
ant Physiol.97;104−1111)、
アンモニアの同化にα−サブユニットが重要な働きをし
ていると考えられている。
【0008】1995年Sakakibaraら(Pl
ant Cell Physiol,33;1193−
1198)によりトウモロコシの根から7つのアイソザ
イムバンドのうち陰極側の2つのバンドを元にGDH遺
伝子が植物で初めて単離され、その後Grapevin
e(Syntichakiら,1996,Gene16
8;87−92)、Arabidopsis(Melo
−Oliveraら、1996,Proc Natl
Acad Sci USA 93;4718−472
3)、トマト(Purnellら、1997,Gene
186;249−254)からGDH遺伝子が単離さ
れてきた。特に、Grapevineのカルスから単離
された遺伝子はアンモニア処理した細胞において発現し
てきたアイソザイムを元に単離されており、α−サブユ
ニットをコードする遺伝子であると考えられている。い
ずれの遺伝子においてもミトコンドリアで機能するため
のトランジェットペプチドを有しているが、トウモロコ
シやトマトのGDH遺伝子は根で多量に発現しているの
に対し、Arabidopsisでは葉や花での発現が
高い。またトウモロコシ、Arabidopsis、G
rapevineでは複数個の遺伝子の存在が示唆され
ているのに対し、トマトでは1コピーであることが報告
されているように植物においても遺伝子構成や機能に違
いを有しており、複雑であることが予測されている。
【0009】このGDH遺伝子を導入したトランスジェ
ニック植物も作製されており、大腸菌由来グルタミン酸
デヒドロゲナーゼ酵素GDH(NADP−GDH)を除
草剤フォスフィノスリシン耐性付与を目的としてタバコ
とトウモロコシに導入したところ、根でグルタミン酸含
量が1.3〜1.4倍増加したことが報告されている
(Lightfoot Davidら、CA21807
86(1996)。この報告では、タバコの根におい
て、14.7mg/100gf.w.であったグルタミ
ン酸含量が20.6mg/100gf.wに、トウモロ
コシの根において16.2mg/100gf.wであっ
たグルタミン酸含量が19.1mg/100gf.w.
に増大した。これ以外に、GDH遺伝子の利用について
記載された報告もあるが、実施例は示されていない(W
O9509911、クロレラ由来のα、β−サブユニッ
ト(WO9712983))。またグルタミン酸族アミ
ノ酸についての分析値も示されていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、植物
の貯蔵器官の遊離アミノ酸含量、特に根、果実、種子を
含む植物の可食部分における遊離アミノ酸、特にグルタ
ミン酸、アスパラギン、アスパラギン酸、セリン、スレ
オニン、アラニンおよびヒスチジンの少なくとも1つの
蓄積を増強する方法、および、遊離アミノ酸が高度に蓄
積されたトランスジェニック植物を提供することであ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、窒素の
同化および利用に関わる主要な酵素の発現レベルおよび
/または細胞特異的な発現バランスを変化させた植物お
よびその作製方法を提供することによって達成される。
このような植物は、窒素同化または利用酵素をコードす
る1以上の遺伝子を適切な制御配列と共に導入し、これ
を過剰発現または発現抑制することによって作製され
る。本発明の方法による遊離アミノ酸を高度に蓄積する
トランスジェニック植物、特にグルタミン酸、アスパラ
ギン、アスパラギン酸、セリン、スレオニン、アラニン
およびヒスチジンの少なくとも1つ、とりわけグルタミ
ン酸を高度に蓄積する植物は、真核生物由来のグルタミ
ン酸デヒドロゲナーゼ(GDH)遺伝子を適切な制御配
列と共に植物に導入し、これを過剰発現させることによ
って得られる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明は、植物における窒素代謝
の遺伝子操作に関する。特に、本発明は、果実、根菜類
の根、種子など有用植物の可食部分の遊離アミノ酸、特
にうま味成分であるグルタミン酸の高蓄積を図るために
窒素同化および利用に関与する酵素の発現量を変化させ
ることに関する。これらの酵素はその発現が増強され、
あるいは修飾され、あるいは抑制され、所望の性質を有
する植物が作製される。本発明において使用される標的
遺伝子は、アンモニアのアミノ酸への同化に関係する酵
素をコードする遺伝子である。標的遺伝子としては例え
ば、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(GDH)が挙げら
れる。この酵素はその発現が増進され、またそれ以外に
修飾(例えばトランジット配列付加による異所性発現)
されて所望の性質を有する植物が作製される。操作は植
物を本明細書に記載された核酸構築物で形質転換するこ
とにより行うことができる。形質転換された植物または
それらの子孫は所望の改変された酵素を発現し、相当す
るmRNAの発現変化、窒素同化または利用能の変化、
および/または植物の遊離アミノ酸含量増加についてス
クリーニングされる。
【0013】簡単には本発明の方法は以下の手順を含
み、また本発明のトランスジェニック植物はこのような
方法によって作製されたトランスジェニック植物であ
る: a)目的とする遺伝子をクローニングするステップ; b)得られた遺伝子を必要により適切なベクターへ再ク
ローニングするステップ; c)植物細胞へ上記ベクターを導入し、形質転換体を得
るステップ; d)得られた形質転換体を植物体へ再生させ栽培するス
テップ;
【0014】本発明の実施態様の一つにおいては、窒素
同化または利用酵素をコードする1個または数個の遺伝
子が強力な構成的プロモーター制御下に置かれ、植物体
中で過剰発現される。このような発現の改変は、例え
ば、 a)酵素のコーディング配列が強力な構成プロモーター
に機能し得る状態で結合されているトランスジーン、 b)所望の酵素をコードする、多コピー数の天然遺伝
子、 c)窒素同化または利用のための目的遺伝子の発現を活
性化する調節遺伝子、 d)発現を高めるように修飾され調節領域を有する1コ
ピーの天然遺伝子、および、 e)変異型、改変型またはキメラ型の窒素同化または利
用酵素を発現するトランスジーン、の少なくとも1つを
用いて植物を遺伝子操作することによって達成され得
る。
【0015】本発明の別の実施態様においては、窒素同
化または利用酵素の発現パターンが改変される。このよ
うな発現パターンの改変は、例えば、 a)酵素のコーディング配列が所望の発現パターンを有
するプロモーター(例えば、器官特異的または生育ステ
ージ特異的発現パターンを示すプロモーター)に機能し
得る状態で結合されているトランスジーン、 b)酵素をコードする遺伝子の好ましいパターンでの発
現を活性化する修飾調節遺伝子、 c)好ましいパターンで発現するように修飾された調節
領域を有する、1コピーの天然遺伝子、の少なくとも1
つを用いて植物を遺伝子操作することによって達成され
得る。
【0016】本発明のさらに別の実施態様においては、
窒素同化または利用経路において改変された酵素または
異なる型の酵素が発現される。この型の実施態様には、
宿主植物の窒素同化または利用酵素の触媒作用とは異な
る触媒作用を有する対応酵素をコードする、植物細胞中
で発現可能な遺伝子構築物を作製し、これにより植物を
遺伝子操作することが含まれる。このような手段をとる
ことにより、増強された遊離アミノ酸を含有する植物が
得られる。また、このような植物を育成するために伝統
的な作物育種法では大きな分離集団のスクリーニングを
必要とし、多大の時間を要するところ、本発明によれば
このような手段をとることによりこうしたことを回避す
ることができる。
【0017】以下は本明細書において使用される用語お
よび略語の定義である。 CaMV35S = カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーター NADP−GDH = NADP依存型グルタミン酸デヒドロゲナーゼ NAD−GDH = NAD依存型グルタミン酸デヒドロゲナーゼ 遺伝子融合体 = 異種遺伝子が連結されたプロモーターを含む遺伝子構 築物(前記プロモーターは異種遺伝子の転写を調節する) 異種遺伝子 = 遺伝子構築において、異種遺伝子はその遺伝子が自然 に連結されていないプロモーターに連結されていることを意味する。異種遺伝子 は前記プロモーターを寄与する生物からのものであってもよく、またそうでなく てもよい。 GABA = γ−アミノ酪酸
【0018】本発明に使用できる酵素遺伝子は、細菌、
酵母、藻類、動物および植物由来であってよく、これら
に限定されず、様々な供給源から得ることができる。そ
のような供給源から得られた配列は植物細胞内で機能す
る適切なプロモーターと機能可能に連結させることがで
き、また宿主植物におけるそれらの翻訳効率を高めるた
め、あるいはコードされた酵素の触媒作用を変えるため
にin vitro突然変異誘発またはde novo
合成によって改変してもよい。これらの改変には基質お
よび/または触媒作用に関与する残基の修飾が含まれる
が、これらに限られない。さらに、導入遺伝子は発現さ
れる宿主あるいはオルガネラのコドン使用頻度に応じて
最適なコドンを有するように改変してもよい。また、必
要に応じてこれらの遺伝子配列に適切なトランジットペ
プチドをコードする核酸配列を連結してもよい。好まし
い改変には、ハイブリッド酵素の構築も含まれる。例え
ば、同一の、または異なる生物から得られた関連酵素の
異なるドメインを組み合わせて新規な性質を有する酵素
が作製されることもある。さらに、所望の活性を有する
限り、上述した様々な核酸配列にストリンジェントな条
件でハイブリダイズする核酸断片も本発明に使用するこ
とができる。したがって、1以上のアミノ酸が欠失、付
加、置換されたタンパク質をコードする核酸断片が含ま
れる。「ストリンジェントな条件」とはSambroo
kら(1989、前述)に記載されているような、当業
者によく知られた一般的な条件をいう。そのような条件
でハイブリダイズする核酸配列は一般に60%、好まし
くは80%、特に好ましくは90%以上のホモロジーを
互いに有しているであろう。
【0019】本発明に使用できる窒素同化または利用酵
素遺伝子には既に述べたような種々の遺伝子が含まれる
が、グルタミン酸を蓄積させるために利用できる好まし
い遺伝子の一つの例としては、グルタミン酸デヒドロゲ
ナーゼ(GDH)遺伝子が挙げられる。GDH遺伝子が
使用される場合はセンス方向で発現される。GDH遺伝
子が選ばれる場合は、5’側にトランジットペプチドを
結合した融合遺伝子として発現させるのが好ましく、特
に好ましいトランジットペプチドはミトコンドリアへの
トランジットペプチドおよびクロロプラストへのトラン
ジットペプチドである。本発明の好ましい実施態様の一
つにおいては、カビ(Aspergillusnidu
lans)由来のNADP依存型GDH遺伝子(Mo
l.Gen.Genetics,218,105,19
89)または、トマト由来のNAD依存型GDH遺伝子
(Purnellら、1997,Gene 186;2
49−254)をコードする配列に、機能的に連結され
た強力な構成的植物プロモーターであるカリフラワーモ
ザイクウイルス(CaMV)35Sプロモーターをコー
ドする組換え構築物を用いて、トマト植物を遺伝子工学
的に操作した実施例により説明される。GDHを過剰発
現する系統は、対象の親植物よりも遊離アミノ酸含量の
増加、特にグルタミン酸含量の増加(2〜3倍)が見ら
れる。
【0020】本発明に使用し得る核酸構築物は当業者に
公知の方法を使用して作成し得る。例えば、構築物の成
分を単離、特性決定、その操作および構築物それ自体を
作るのに使用しうる組換えDNA法については、Sam
brookら、Molecular cloning−
Laboratory manual、第2版、Col
d Spring Harbor Laborator
y Pressのような出典を参考にし得る。所望の成
分の塩基配列が知られているような場合には生物起源か
らそれを単離するのではなく合成することが有利であ
る。この様な場合当業者はCaruthersら、19
80,Nuc.Acids.Res.Symp.Se
r.7:215−233及びChow及びKempe,
1981,Nuc.Acids.Res.9:2807
−2817のような文献を参考にすることができる。そ
の他の場合、所望の成分はポリメラーゼ連鎖反応(PC
R)増幅により有利に生産しうる。PCR法について
は、当業者は、Gelfand,1989,PCR技
術、DNA増幅に関する原理及び応用、H.A.Erl
ich編集、ストックトンプレス,N.Y.、分子生物
学における現行のプロトコル、2巻、15章、Ausu
belら編集、ジョンウイリイ&サンズ,1988を参
考にし得る。
【0021】本発明に使用される遺伝子構築物は、一般
に、目的遺伝子の他に植物細胞内で機能する適切なプロ
モーター、ノパリン合成酵素遺伝子ターミネーターのよ
うな適切なターミネーター、その他の発現制御に有用な
エレメント、および、形質転換体を選抜するための適切
なマーカー遺伝子、例えばカナマイシン耐性、G418
耐性、ハイグロマイシン耐性などの薬剤耐性遺伝子を含
んでいる。この構築物に含まれるプロモーターは構成的
プロモーターであっても器官特異的若しくは生育特異的
であってもよく、使用する宿主、遺伝子、必要とする発
現量、発現させるべき器官、生育ステージ等に応じて選
択することができる。本発明によれば、窒素同化または
利用酵素の過剰発現を示す植物は、所望の酵素をコード
する配列に連結された植物プロモーターを含む遺伝子構
築物で植物細胞を形質転換することにより作製すること
ができる。本発明の好ましい実施態様において使用され
る関連プロモーターは強力かつ非器官特異的または非生
育ステージ特異的プロモーター(例えば、多くまたは全
ての組織中で強く発現するプロモーター)である。この
様な強力な構成的プロモーターの例として、CaMV3
5Sプロモーターが挙げられる。
【0022】本発明の別の実施態様において、器官特異
的または生育ステージ特異的プロモーターを所望の酵素
をコードする配列に結合させた遺伝子構築物で植物を操
作するのが有利なことがある。例えば、光合成組織及び
器官中の発現が所望される場合は、リブロースビスフォ
スフェートカルボキシラーゼ(RuBisCO)遺伝子
又は葉緑体a/b結合蛋白質(CAB)遺伝子のプロモ
ーターが使用しうる。種子中の発現が所望される場合
は、種々の種子貯蔵蛋白質遺伝子のプロモーターを使用
することができ、果実中での発現が所望される場合は、
果実特異的プロモーター(例えばトマトの2A11)を
使用することができ、塊茎中での発現が所望される場合
は、塊茎貯蔵蛋白質遺伝子のプロモーター(例えばポテ
トのパタチン)を使用することができる。
【0023】本発明の更に別の実施態様において、誘導
プロモーターを所望の酵素をコードする配列に結合させ
た遺伝子構築物で植物を形質転換する事が有利であり得
る。この様なプロモーターの例は多岐にわたる。例え
ば、熱ショック遺伝子、防御応答遺伝子(例:フェニル
アラニンアンモニアリアーゼ遺伝子)、傷害応答遺伝子
(例:ヒドロキシプロリンに富む細胞壁蛋白質遺伝
子)、化学誘導遺伝子(例:ニトレート還元酵素遺伝
子、キチナーゼ遺伝子)、暗所誘導遺伝子(例:アスパ
ラギンシンテターゼ遺伝子(CoruzziおよびTs
ai、US5,256,558)が挙げられるがこれら
に限定されない。
【0024】本発明の組換え核酸構築物は、その構築物
の伝達追跡のための選択可能なマーカーを含んでもよ
い。例えば、細菌中で伝達される構築物は抗生物質耐性
遺伝子、例えばカナマイシン、テトラサイクリン、スト
レプトマイシン、またはクロラムフェニコール対する耐
性を与える遺伝子を含むことが好ましい。構築物を伝達
するのに適したベクターとして、プラスミッド、コスミ
ド、バクテリオファージまたはウイルスが挙げられる。
加えて、組換え構築物は、これらの構築物により形質転
換された植物細胞の単離、同定または追跡のための植物
発現性の選択可能なマーカー遺伝子又はスクリーニング
可能なマーカー遺伝子を含んでも良い。選択可能なマー
カーとして、抗生物質耐性(例えば、カナマイシンまた
はハイグロマイシンに対する耐性)、または除草剤耐性
(例えば、スルフォニル尿素、フォスフィノスリシン、
またはグリフォセートに対する耐性)を与える遺伝子が
挙げられるが、これらに限定されない。スクリーニング
可能なマーカーとして、β−グルクロニダーゼをコード
する遺伝子(Jefferson,1987,Plan
t Mol.Biol.Rep 5:387−40
5)、ルシフェラーゼをコードする遺伝子(Owら、1
986,Science 234:856−859)、
アントシアニン色素産生を調節するB及びC1遺伝子産
物(Goffら、1990,EMBO J,9:251
7−2522)が挙げられるがこれらに限定はされな
い。
【0025】本発明に使用できる遺伝子導入法は特に限
定されず、植物細胞あるいは植物体への遺伝子導入法と
して当業者に知られるいずれの方法を使用してもよい。
例えば、本発明の実施態様の一つにおいて、アグロバク
テリウムが遺伝子構築物を植物に導入するのに用いられ
る。この様な形質転換は2成分アグロバクテリウムT−
DNAベクター (Bevan,1984,Nuc.a
cid Res.12:8711−8721)、および
同時培養操作(Horschら、1985,Scien
ce,227:1229−1231)を使用することが
望ましい。一般に、アグロバクテリウム形質転換系が双
子葉植物を操作するのに使用される(Bevansら、
1982,Ann.Rev.Genet.,16 :3
57−384;Rogersら、1986,Metho
ds Enzymol.,118:627−641)。
アグロバクテリウム形質転換系はまた単子葉植物および
植物細胞を形質転換するのに使用することもできる(H
ernalsteenら、1984, EMBO
J.,3:3039−3041;Hoykass−Va
n Slogterenら、1984,Nature,
311:763−764;Grimsleyら、98
7,Nature,325 :167−1679;Bo
ultonら、1989,Plant Mol.Bio
l.,12:31−40; Gouldら、1991,
Plant Physiol.,95: 426−43
4)。植物を形質転換するためにアグロバクテリウム系
を利用する場合は、組換えDNA構築物は植物細胞に導
入すべきDNA配列に隣接する位置に、T−DNA領域
の少なくとも右ボーダー配列を更に含む。好ましい実施
態様においては、移入される配列は左右のT−DNAボ
ーダー配列の間に挿入される。この様なT−DNAをベ
ースとする形質転換ベクターの適切な設計及び構築は当
業者に公知である。
【0026】別の実施態様において、組換え核酸構築物
を植物および植物細胞に導入する為の種々の別法を使用
することができる。別の遺伝子導入法および形質転換方
法として、裸のDNAの、カルシウム、ポリエチレング
リコール(PEG)またはエレクトロポレーション介在
性取り込みによるプロトプラスト形質転換(Paszk
owskiら、1984,EMBO J.,3:271
7−2722;Potrykusら、1985,Mo
l.Gen.Genet.,199:169−177;
Frommら、1985,Proc.Nat.Aca
d.Sci.USA,82:5824−5828 ;S
himamotoら、1989,Nature,33
8:274−276)が挙げられる。本発明によれば、
多種の植物及び植物細胞系が本発明の核酸構築物および
上記の形質転換方法を使用して本明細書に記載された所
望の生理学的特性につき操作しうる。これらの方法は、
標的が単子葉植物または植物細胞である場合に特に有益
である。好ましい実施態様において、操作のための標的
植物および植物細胞として、トマト、ポテト、ビート、
ダイズ、アラビドプシス、トウモロコシ、小麦、イネ、
サトウキビ等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】本発明によれば、本明細書に開示されたよ
うな遺伝子構築物を、プロトプラスト、組織培養細胞、
組織及び器官外殖体、花粉、胚ならびに植物全体を含む
がこれらに限定されない種々の植物細胞型に導入および
操作することにより所望の植物が得られる。本発明の実
施態様において、操作された植物体は下記のアプローチ
および方法に従って形質転換体につき選択又はスクリー
ニングされる。次に単離された形質転換体を植物個体に
再生させてもよい。植物細胞、組織または器官から植物
個体に再生するための方法は、多くの植物種において当
業者に公知である。
【0028】形質転換された植物細胞、カルス、組織ま
たは植物は、形質転換に用いた遺伝子構築物に存在する
マーカー遺伝子によりコードされた形質につき選択又は
スクリーニングする事により同定され、単離することが
できる。例えば、形質転換遺伝子構築物が耐性を与える
ような抑制量の抗生物質または除草剤を含む培地で操作
された植物体を生育させることにより、選択を行うこと
ができる。更に形質転換された植物細胞および植物は、
本発明の組換え核酸構築物に存在しうる可視のマーカー
遺伝子(例えば、β−グルクロニダーゼ遺伝子、ルシフ
ェラーゼ遺伝子、B遺伝子またはC1遺伝子)の活性に
つきスクリーニングする事により同定しうる。この様な
選択方法およびスクリーニング方法は当業者に公知であ
る。
【0029】また、本発明の遺伝子構築物を含む植物ま
たは植物細胞形質転換体を同定するために物理的方法お
よび生化学的方法が使用しうる。そのような方法とし
て、 1)組換えDNAインサートの構造を検出および測定す
るためのサザン分析またはPCR増幅; 2)遺伝子構築物のRNA転写産物を検出および測定す
るためのノーザンブロット、S1RNase保護、プラ
イマー伸長PCR増幅または逆転写酵素PCR(RT−
PCR)増幅; 3)遺伝子構築産物が蛋白質である場合は、蛋白質ゲル
電気泳動、ウエスタンブロット、免疫沈殿、またはエン
ザイムイムノアッセイが挙げられるが、これらに限定さ
れない。これらのアッセイ方法は全て当業者に公知であ
る。
【0030】本発明によれば、改良された成分特性を有
する植物を得るため、形質転換された植物を所望の生理
学的変化に関してスクリーニングしてよい。例えば、G
DH酵素の過剰発現に関して操作した場合、形質転換さ
れた植物は、所望のレベルで所望の組織および生育段階
でGDH酵素を発現する植物について試験されるであろ
う。次に、所望の生理学的変化、例えば、GDH遺伝子
の過剰発現を示す植物を、所望の成分変化について引き
続きスクリーニングすることができる。本発明によれ
ば、窒素同化プロセスまたは利用プロセスの変化で操作
された植物は、改良された成分特性、すなわち、遊離ア
ミノ酸高含有、特にグルタミン酸、アスパラギン、アス
パラギン酸、セリン、スレオニン、アラニン、ヒスチジ
ン、とりわけうま味成分であるグルタミン酸高含有を示
しうる。この様な改良された特性を有する操作された植
物および植物系統は、植物の遊離アミノ酸含量を測定す
る事により同定しうる。この分析のための操作および方
法は当業者に公知である。本発明によって得られる植物
は、遊離アミノ酸含量において対照植物(非形質転換植
物)に対して増加した植物である。好ましい実施態様に
おいて、所望の植物は、その果実、根、種子等の可食部
分での遊離アミノ酸含量、とりわけうま味成分であるグ
ルタミン酸含量が2倍以上の増加を示し、全アミノ酸量
も2〜4倍に増加する。グルタミン酸以外のアミノ酸に
ついては、特に、アスパラギン酸、アスパラギン、アラ
ニン、セリン、スレオニンおよびヒスチジンの増加が著
しい。
【0031】
【実施例】本発明は、NADP−GDH遺伝子またはN
AD−GDH遺伝子の過剰発現につき操作された植物の
作製に関する以下の実施例により具体的かつ詳細に説明
される。実施例1:Aspergillus nidulans
およびトマトのGDH遺伝子の単離とTiプラスミッド
の構築 (1)Aspergillus nidulans由来
NADP依存型GDH遺伝子(AN−gdh−17)お
よびトマト由来NAD依存型GDH遺伝子(T−gdh
−4)の単離 A.nidulansをポテトデキストロース寒天培地
にまき、一晩30℃で培養し、さらに得られたコロニー
をデキストロース液体培地で2日間培養した。増殖した
菌よりTotal RNAを調製した。70%エタノー
ル(30秒)、2%次亜塩素酸ナトリウム(15分)を
用いて表面殺菌したトマト種子を植物ホルモンを含まな
いMS寒天培地(MurashigeおよびSkoo
g、1962,Physiol.Plant.15:4
73−479)に植え、16時間日長、25℃で1週間
培養し、無菌植物を得た。得られた幼植物の根よりTo
tal RNAを調製した。
【0032】Total RNAはPoly(A)Qu
ick mRNA Isolation Kit(St
ratagene社)を用いてmRNAを精製した後、
First−Strand cDNA Synthes
is Kit(Amersham Pharmacia
Biothech社)を用いてFirst−Stra
nd cDNAを作成した。作成したFirst−St
rand cDNAをテンプレートに用いてPCR反応
を行ったPCR反応条件は94℃−3分;94℃−45
秒、59℃−30秒、72℃−90秒、35サイクル;
72℃−10分とし、パーキンエルマー社のPCRsy
stem 2400を用いて行った。用いたプライマー
を表−1に示した。その結果、A.nidulans由
来の約1.4kbpのバンド、およびトマト由来の約
1.2kbのバンドが増幅され、それぞれ予測される目
的遺伝子サイズと一致した。得られたPCR産物はTA
−Cloning Kit(Invitrogen社)
を用いてクローニングした。
【0033】A.nidulans由来の目的サイズの
遺伝子がクローニングできたプラスミッド2クローンお
よびトマトの根由来の目的サイズの遺伝子がクローニン
グできたプラスミッド5クローンの配列をシークエンサ
ー(ABI社377A)を用いて決定し、既知のA.n
idulans由来NADP依存型GDH遺伝子(Al
astairら、Mol.Gen.Genet,198
9,218;105−111)およびトマト由来GDH
遺伝子(Purnellら、1997,Gene18
6;249−254)との相同性について調査した。
A.nidulans由来の2クローン中1クローン
(AN−gdh−17)の塩基配列が既知のNADP−
GDH遺伝子配列と一致した(図1,2).しかし、そ
の遺伝子には2箇所存在するスプライシングサイトのう
ち、約50bpのスプライシングサイトが1つ残存して
いることが分かった。A.nidulansは真核生物
型のスプライシングサイト認識部位を持つため、本実験
では残存するスプライシングサイトを残したまま次の操
作に入ることにした。一方、トマトの根由来の5クロー
ン中、2クローン(T−gdh−4,T−gdh−2
2)の塩基配列が既知のlegdh1配列と一致した。
AN−gdh−17の塩基配列を配列表の配列番号1
に、T−gdh−4の塩基配列を配列表の配列番号2に
示した。
【0034】
【表1】 a.NADP−GDH遺伝子特異的プライマー(Ala
stairら、Mol.Gen.Genet,198
9,218;105−111,PCR産物、約1.4k
bp) b.legdh1特異的プライマー(Purnell
ら、1997,Gene186;249−254,PC
R産物、約1.2kbp) <配列表フリーテキスト> 配列番号3および4:NADP−GDH特異的PCRプ
ライマー 配列番号5および6:legdh1特異的PCRプライ
マー
【0035】(2)AN−gdh−17遺伝子のTiプ
ラスミッド(pMAT037)へのサブクローニング PCR2.1ベクターにクローニングしたAN−gdh
−17遺伝子を、植物形質転換用ベクターである、Ti
プラスミッド(pMAT037)(Matsuokaお
よび Nakamura,1991,Proc Nat
l.AcadSci USA 88:834−838)
にサブクローニングした。直接挿入するするのに適切な
制限酵素サイトがpMAT037に無いため、一度pU
C18につなぎ(XbaI,EcoRIサイト使用)、
E.coli JM109を形質転換した。さらにpU
C18中のPstIサイトとEcoRIサイトを用いて
Tiプラスミッドへ連結しプラスミッドpAN−gdh
−17を得(図3、表2)E.coli DH5αにト
ランスフォーメーションした。AN−gdh−17を導
入したTiプラスミッドpAN−gdh−17(図3)
でグロバクテリウム株EHA101を形質転換し、得ら
れたアグロバクテリウムをトマトに感染させるために用
いた。
【0036】(3)pCt−AN−gdh、pCt−d
AN−gdh、pMt−dAN−gdhの構築 Aspergillus nidurans由来NAD
P−GDH遺伝子には本来、スプライシングサイトが2
箇所存在する。cDNAを用いてPCR法によりGDH
遺伝子の増幅を行ったので、これらのスプライシングサ
イトは除かれ、存在しないはずであるが、本実験で取得
したAN−gdh−17遺伝子には、約50bpのスプ
ライシングサイトが1箇所残ったままであった(図1、
塩基配列中に記載)。そこでPCR法を用いて、残った
ままであった約50bpの塩基配列を取り除いた(表
2、図4、5)
【0037】これらの遺伝子構築物の構築手順の概略は
図5に示した通りである。すなわち、最初に、クローニ
ングされた上記遺伝子配列の5’端を含むプライマーP
1およびスプライシング領域の5’側と3’側を含むが
スプライシング領域を含まないプライマーP2、および
スプライシング領域の5’側と3’側を含むがスプライ
シング領域を含まないプライマーP3とAN−gdh−
17遺伝子の3’端を含むプライマーP4を用いて、そ
れぞれAN−gdh−17遺伝子を鋳型としてPCRに
よってDNA断片を増幅した。次に、電気泳動によりP
CR産物のサイズの確認およびゲルからの再抽出を行っ
た。それぞれの再抽出PCR産物を混合し、プライマー
P1およびP4を用いて再度PCR反応を行った。得ら
れたPCR産物をクローニングし、シークエンシングを
行い、スプライシング領域が正しく除去されていること
を確認した。
【0038】上述のP1〜P4の配列を以下に示す。 これらの操作により、スプライシングサイトを除去した
dAN−gdh−17遺伝子を得た(表2、図4、
5)。更に導入遺伝子を適所でより機能的に働かせるた
めに、ミトコンドリアまたはクロロプラストへのトラン
ジットペプチド配列をAN−gdh−17遺伝子又はd
AN−gdh−17遺伝子の開始コドンの上流側に連結
させた(表2、図4)。用いたペプチド配列はミトコン
ドリアへのトランジットペプチド配列としてトマト由来
GDH遺伝子に付加している約70bpからなる塩基配
列を、クロロプラストへのトランジットペプチド配列と
して、トマト由来RuBisCOの小サブユニット遺伝
子に付加している約120bpからなる塩基配列を用い
た。また、これらの遺伝子とAN−gdh−17遺伝子
又はdAN−gdh−17遺伝子の連結はPCR法を用
いて行った。ミトコンドリアへのトランジットペプチド
配列は、2種のプライマー(5’−GGATCCATG
AATGCTTTAGCAGCAAC−3’:配列番号
11、5’−TCTAGATAAACCAAGAAGC
CTAGCTG−3’:配列番号12)を使用しPCR
によって得た。クロロプラストへのトランジットペプチ
ド配列は、2種のプライマー(5’−CTGCAGAT
GGCTTCCTCAATTGTCTCATCG−
3’:配列番号13、5’−TCTAGAGCATCT
AACGCGTCCACCATTGCT−3’:配列番
号14)を使用しPCRによって得た。
【0039】これらのトランジットペプチド配列のAN
−gdh−17遺伝子又はdAN−gdh−17遺伝子
への結合は図6に示したように行った。すなわち、トラ
ンジットペプチドの5’側に対応するプライマーP5と
トランジットペプチドの3’端およびAN−gdh−1
7遺伝子又はdAN−gdh−17遺伝子の5’端の配
列を含むプライマーP6、およびトランジットペプチド
の3’端およびAN−gdh−17遺伝子またはdAN
−gdh−17遺伝子の5’端の配列を含むプライマー
P7およびAN−gdh−17遺伝子またはdAN−g
dh−17遺伝子の3’端配列を含むプライマーP8を
用いてそれぞれのDNA断片を増幅後、電気泳動により
PCR産物のサイズの確認およびゲルからの抽出を行っ
た。抽出したそれぞれの断片を混合し、プライマーP5
とP8を用いて再度PCRを行った。増幅された断片を
クローニングしシーケンシングを行い、トランジットペ
プチドの塩基配列がAN−gdh−17遺伝子またはd
AN−gdh−17遺伝子に正しく付加されていること
を確認した(図6)。
【0040】ここで、P5からP8の配列は以下に対応
する。ミトコンドリアへのトランジットペプチド配列と
の連結の際に用いたプライマーの場合は であり、クロロプラストへのトランジットペプチド配列
との連結の際用いたプライマーの場合は である。
【0041】ここで、AN−gdh−17遺伝子はTi
プラスミッドpMAT037のマルチクローニングサイ
トにセンス方向に導入したが(図2)、pCt−AN−
gdh、pCt−dAN−gdh、pMt−dAN−g
dhの構築に際してはCaMV35Sプロモーターを用
いた場合と後述する果実特異的プロモーター遺伝子(2
A11)を用いた場合との導入遺伝子の効果を比較する
ためTiプラスミッドpIG121−Hmを用いてクロ
ーニングを行い、遺伝子導入を行った(表2、図4)。 <配列表フリーテキスト> 配列番号7〜10:スプライシング領域除去のためのP
CRプライマー 配列番号11および12:ミトコンドリアへのトランジ
ットペプチドをコードする配列増幅用のPCRプライマ
ー 配列番号13および14:クロロプラストへのトランジ
ットペプチドをコードする配列増幅用のPCRプライマ
ー 配列番号15〜18:ミトコンドリアトランジットペプ
チド−GDHをコードする配列の作製のためのPCRプ
ライマー 配列番号19〜22:クロロプラストトランジットペプ
チド−GDHをコードする配列の作製のためのPCRプ
ライマー
【0042】(4)果実特異的プロモーター(2A11
プロモーター)を用いた遺伝子構築 果実特異的発現プロモーター(2A11)はトマトの幼
植物より調製したTotal DNAをテンプレートに
用いて、PCR法により取得した。用いたプライマー
(配列番号23および配列番号24)にはTiプラスミ
ッドに導入する際に用いる制限酵素サイト、HindI
IIおよびXbaIの配列を各々のプライマーに設計し
た。プライマーの配列を以下に示す: 得られたPCR産物はTAクローニングキットを用いて
クローニングした後、シークエンス分析によって塩基配
列の確認を行った。得られた2A11プロモーターは上
記、制限酵素HindIIIおよびXbaIを用いてT
iプラスミッドpIG121−HmのGUS遺伝子前の
CaMV35Sプロモーターと置換した。その後、GU
S部分とCt−dAN−gdh遺伝子またはMt−dA
N−gdh遺伝子との置換を行った。Ct−dAN−g
dh遺伝子またはMt−dAN−gdh遺伝子の置換手
順についてはCaMV 35Sプロモーターを用いた場
合と同様である。これにより、プラスミッドp2ACt
−dAN−gdhおよびP2AMt−dAN−gdhを
得た(図7)。 <配列表フリーテキスト> 配列番号23および24:2A11プロモーター配列増
幅用PCRプライマー上述した手順により作製したプラ
スミッドの重要な構造を以下の表2にまとめた。
【0043】
【表2】
【0044】(5)T−gdh−4遺伝子のTiプラス
ミッド(pIG121−Hm)へのサブクローニング クローニングしたトマト由来GDH遺伝子(T−gdh
−4)をTiプラスミッド(pIG121−Hm)に導
入しプラスミッドpT−gdh−4を得た。導入に際し
ては、単離の際に使用したプライマーに予め設けておい
たXbaIサイトおよびSacIサイトを用いた。T−
gdh−4遺伝子を導入したTiプラスミッド(図8)
は、アグロバクテリウム株EHA101に形質転換し
た。
【0045】(6)変異型トマトGDH遺伝子のTiプ
ラスミッド(pIG121−Hm)へのサブクローニン
グ トマト由来NAD−GDHにおいて、グルタミン酸結合
部位の90番目のアミノ酸リジンをアラニンに置換し、
その効果について調査した(図9)。これは、高等植物
のGDH遺伝子がアンモニアイオン濃度や栄養条件によ
って、グルタミン酸を減少させる方向に働く可能性が有
るため、結合できなくすることを目的とした改変であ
る。1アミノ酸の置換はPCRを利用した部位特異的変
異導入により、LysをコードするAAGをAlaをコ
ードするGCGに変換することによって行った。得られ
た改変遺伝子をTd−gdhと命名した。次に、Td−
gdh遺伝子配列をTiプラスミッドへ導入してプラス
ミッドpTd−gdhを得た(図9)。この手順はT−
dgh−4遺伝子の場合と同様である。
【0046】実施例2.トマトの子葉片へのアグロバク
テリウム感染による形質転換体の作製 トマト(栽培品種、ミニトマト)の種子を70%エタノ
ール(30秒)、2%次亜塩素酸ナトリウム(15分)
を用いて表面殺菌した後、植物ホルモンを含まないMS
寒天培地に置床し、16時間日長、25℃で1週間培養
した。得られた無菌幼植物より子葉を切り取り、2mg
/lゼアチンと0.1mg/lインドール酢酸を加えた
MS寒天培地(再分化培地、9cmシャーレ使用)に置
床し2日間同条件で培養した。構築した遺伝子を含むア
グロバクテリウム(EHA101)はYEP培地(表−
3)で一晩培養したものを感染に用いた。2日間培養し
た子葉を滅菌シャーレに集めアグロバクテリウム液を加
え感染させた。滅菌したろ紙を用いて余分なアグロバク
テリウム液を子葉から取り除き、さらに、アグロバクテ
リウムの急激な増殖を防ぐため、先に用いたシャーレ培
地に滅菌ろ紙を敷き、その上に感染させた子葉を乗せ、
24時間共存培養した。
【0047】その後、子葉を50mg/lカナマイシ
ン、500mg/lクラフォランを含むMS再分化培地
(選抜培地)に移し、形質転換体の選抜を行った。再分
化したシュートを新しい選抜培地に移し再選抜を行っ
た。緑色で旺盛に生育したシュートを茎の部分で切り取
り、植物ホルモンを含まないMS培地(発根培地,試験
管)に移した。発根した再分化植物を順次土壌に馴化さ
せた。
【表3】
【0048】実施例3.減圧浸潤法によるアラビドプシ
スの形質転換 アラビドプシスへの遺伝子導入はBechtold N
(C.R.Acad.Sci.Paris,Life
Science 316;1194−1199,199
3)の方法を改編して用いた。培養土にアラビドプシス
の種子をまき10日間、16時間日長、22℃栽培した
幼植物をロックウール(3cm×3cm)1個に1株ず
つ移植し、3週間同条件で栽培した。植物が抽だいを始
めたら摘心し、さらに一週間栽培を行った。アグロバク
テリウムは抗生物質を含むYEP培地で24時間、28
℃で培養し、遠心(7000rpm、10分)によって
集菌し、浸潤用懸濁培地(1/2 MS塩、1/2 G
amborg B5ビタミン、5%ショ糖、0.5g/
l MES、0.044μM ベンジルアミノプリン、
pH 5.7)に懸濁した。すでに開花・結実している
花を取り除き、アグロバクテリウム懸濁液に漬け、デシ
ケーター中に入れ、15分間減圧(40mmHg)処理
を行った。処理した植物は1カ月間栽培した後種子を収
穫した。採取した種子は50mg/lカナマイシン、2
00mg/lクラフォランを添加したMS培地にまき、
形質転換体の選抜を行った。
【0049】実施例4.導入遺伝子の確認 AN−gdh−17遺伝子を含むアグロバクテリウムを
感染させて得られた選抜個体4個体、T−gdh−4遺
伝子を含むアグロバクテリウムを感染させて得られた選
抜個体4個体、目的遺伝子を含まないTiプラスミッド
のみのアグロバクテリウムを感染させて得られた植物各
々3個体、およびアグロバクテリウムで処理せずに子葉
より直接再分化させた植物体2個体からそれぞれTot
al DNAを本田らの方法に従い抽出した(Hond
aおよびHirai、1990、Jpn J Bree
d 40,339−348)。抽出したDNAはRNA
ase処理、フェノール/クロロホルム処理、さらにP
EG沈殿させ精製した。0.01μg/μlになるよう
に希釈し、PCR用のテンプレートとした。PCRはN
os−PromoterからNPTIIの領域を増幅す
るプライマーP9およびP10(PCR産物、1.0k
bp)を用いて行なった。反応条件は、94℃−1分、
55℃−1分、72℃−2分、35サイクルで行った。
PCR産物は1%アガロースゲルを用いて電気泳動し、
エチジウムブロマイドで染色した(図10および1
1)。使用したプライマーは以下の通りである。
【0050】その結果、AN−gdh−17遺伝子を感
染させた4系統に、T−gdh−4遺伝子を感染させた
4系統に目的サイズのバンド(1.0kb)が観察さ
れ、非形質転換体2系統には検出されなかった。以上の
結果から、AN−gdh−17遺伝子を含むTiプラス
ミッドを用いて感染させた4系統およびT−gdh−4
遺伝子を含むTiプラスミッドを用いて感染させた4系
統に各々の遺伝子が導入されていることが確認された。 <配列表フリーテキスト> 配列番号25、26:Nos−Promoter−NP
TII領域増幅用PCRプライマー
【0051】実施例5. 導入遺伝子の発現の確認 次に、目的の遺伝子が導入されたことが確認できた形質
転換トマトにつき、導入遺伝子が発現されていることを
RT−PCRによって確認した。AN−gdh−17ま
たはT−gdh−4遺伝子を含むアグロバクテリウムを
感染させ、実施例5において遺伝子導入が確認された系
統、および非形質転換トマトの葉または果実から全RN
Aを抽出し、First−Strand cDNAを作
製した。次にFirst−Strand cDNAをテ
ンプレートとして各々の遺伝子を単離する際に用いたプ
ライマー(配列番号3と4、及び5と6)を用いてPC
Rを行なった。反応条件は94℃−1分、55℃−1
分、72℃−2分、30サイクルとした。その結果、そ
れぞれにおいて、導入した遺伝子が葉および果実のいず
れにおいても発現していることが確認された(図12、
13)。
【0052】実施例6. 遊離アミノ酸の抽出と定量 馴化させた形質転換トマトの開花後6週目の果実を収穫
し、−80℃に保存した。果実は約1/6にカットし、
重さを測定した後、乳鉢に入れ液体窒素で凍らせすりつ
ぶした。さらに3mlの80%エタノールを加え、丁寧
にすりつぶした後、遠心チューブに移し、80℃で20
分間インキュベートした。10,000rpmで20分
間遠心し、上澄を新しいチューブに移し、残ったペレッ
トに2mlの80%エタノールを加え、再度乳鉢ですり
つぶし、80℃で20分間インキュベートした。遠心
後、上澄をチューブに移し、先の上澄と併せ、80%エ
タノールを用いて総量を5mlに調製した。良く混合し
た後、20μl取り乾燥させた後、0.02N塩酸に溶
解した。0.45μmのフィルターでろ過し、分析用サ
ンプルとした。アミノ酸分析は日立高速アミノ酸分析計
(L−8800)を用いて行った。AN−gdh−17
遺伝子を導入した株の開花後6週間目の果実(赤色)を
用いてアミノ酸分析を行った結果を非形質転換体植物
(対照植物)の分析結果とともに表4に示した。顕著な
グルタミン酸含量の増加が見られた系統においては、N
o.6で1.75倍、No.15で2.54倍、No.
17で2.48倍グルタミン酸含量が増加した(図1
4)。グルタミン酸以外のアミノ酸、例えば、アスパラ
ギン、アスパラギン酸、アラニン、セリン、スレオニ
ン、ヒスチジン等の増加も見られた。
【0053】
【表4】
【0054】
【表5】
【0055】トマト由来のT−gdh−4遺伝子を導入
した4株についても同じく開花後6週間目の果実を用い
てアミノ酸分析を行った(表5)。顕著なグルタミン酸
含量の増加が見られた系統においては、No.2で2.
28倍、No.7−2で3.52倍、No.9−2で
2.74倍、No.10で2.53倍グルタミン酸含量
が増加した(図15)。グルタミン酸含量が高かった系
統においては、他のアミノ酸、例えば、アスパラギン
酸、アスパラギン、スレオニン、セリン、アラニン、ヒ
スチジンの含量も高く、Totalアミノ酸含量におい
て、No.7−2は4倍も増加していることが分かっ
た。これらの結果を以下の表5にまとめた。
【0056】
【表6】
【0057】
【表7】
【0058】実施例7.トマト形質転換体後代(T
世代の解析 1)T世代の選抜 アグロバクテリウム法により遺伝子導入を行ったトマト
形質転換植物(T世代)より得られた種子を、80%
エタノールで30秒,2%次亜塩素酸ナトリウムで15
分間表面殺菌した後、カナマイシン350mg/lを含
むMS寒天培地に無菌播種した。1ヵ月後、生育の良い
植物を選抜した結果、AN−gdh−17遺伝子導入系
統では、No.1、No.3、No.15、No.2.
1から選抜個体が得られた。T−gdh−4遺伝子導入
系統では、No.1、No.3、No.8から選抜個体
が得られた。株当たりの果実数を増加させるため、屋外
の閉鎖系温室で栽培を行った。栄養条件を同じにするた
め、馴化時に1kgの培養土(パワーソイル,サカタの
タネ)に移植した後は、追肥を行わなかった。また、同
化能を同一にするために以下の分析では葉を摘み取ら
ず、腋芽を同一条件で栽培し,その葉組織を用いた。
【0059】2)サザン分析による導入遺伝子の確認 馴化させた植物の腋芽の葉組織より全DNAを抽出した
(Honda andHirai 1990,Jpn
J Breed 40,339−348)。15μgの
DNAを制限酵素BamHIとEcoRIの組み合わせ
とXbaIで処理し、電気泳動後、ナイロンメンブラン
にトランスファーした。DIG−Labeling a
nd Detection Kit(Roche Mo
lecular Biochemicals)を用い
て、AN−gdh−17遺伝子またはT−gdh−4遺
伝子をプローブにし、サザンハイブリダイゼーションを
行った。AN−gdh−17遺伝子をプローブに用いて
サザンハイブリダイゼーションを行った結果、AN−g
dh−17遺伝子導入系統No.1、3、15、2.1
系統に目的サイズのバンド(1.8kb、0.8kb)
が検出され、導入遺伝子が確認できた(図16)。同様
にT−gdh−4遺伝子をプローブに用いてサザンハイ
ブリダイゼーションを行った結果、T−gdh−4遺伝
子と同じサイズのバンド(1.2kbp)が確認され
た。20kbp付近にバンドが見られるものもあり内在
性のgdh遺伝子と考えられた(図17)。
【0060】3)NADP−GDHとNAD−GDH活
性の測定 形質転換トマト(T)の腋芽の葉組織(0.2g)を
液体窒素で凍結させ、乳鉢で破砕した後、重量の5倍量
の抽出緩衝液{200mM Tris(pH8.0),
14mM β−メルカプトエタノール,10mM L−
システイン−HCl,0.5mM PMSF,0.5%
TritonX−100}を加えた。遠心チューブに
移し、4℃、12,000rpmで10分間遠心した
後、上清を限外ろ過(Millipore、ウルトラフ
リー0.5フィルターユニット、バオイマックス−1
0)し、抽出緩衝液で3回洗浄した。抽出した酵素は反
応液{100mM Tris(pH8.0),20mM
2−α−ケトグルタル酸,1.0mM CaCl
0.2mM NADPH(NADP−GDH活性測定)
又は0.2mM NADH(NAD−GDH活性測
定),200mM塩化アンモニウム}に混合し、室温で
反応させ、340nmにおける吸光度の減少を測定し
た。
【0061】AN−gdh−17遺伝子を導入した形質
転換トマト(T)の葉組織を用いて、NADP−GD
H活性を測定した結果、非形質転換体では活性が認めら
れないのに対し、形質転換体は230−400nmol
/(分・mgタンパク質)の活性が測定できた(表
6)。T−gdh−4遺伝子を導入した系統ではNAD
−GDH活性が非形質転換体に比べて約2倍以上増加し
ていた(表7)。
【0062】
【表8】
【0063】
【表9】
【0064】4)果実中のアミノ酸含量の測定 第一果房の開花後6週目の果実3個を分析に用いた。
果実に80℃に熱した80%エタノールを重量の3倍量
加え、乳鉢ですりつぶした後、再度80℃で20分間加
熱した。7、000rpmで遠心して、上清を回収した
後、再度80%エタノールを加え、80℃に加温した。
エタノールによる抽出を3回行い、総量を80%エタノ
ールで100mlに合わせた。良く混合した後、抽出液
200μlをエッペンドルフチューブに取り、乾燥さ
せ、200μlの滅菌水に溶かした。エチルエーテル2
00μl加え混合後、12,000rpmで遠心し、エ
ーテル層を取り除いた。水層を再度乾燥させた後、20
0μlの0.02N HClに溶解し、0.45μmの
ろ過フィルターを用いてろ過したろ液をサンプルとし、
日立高速アミノ酸計測器(L−8800)を用いて分析
を行った。
【0065】結果は3個の果実の平均値を示した。AN
−gdh−17遺伝子導入系統においては、非形質転換
体に比べて、AN−gdh−17 No.1系統由来の
AN1−1−2、AN1−1−3のグルタミン酸含量が
それぞれ、2.1倍、2.8倍増加し、AN−gdh−
17 No.3系統由来のAN3−1−2、AN3−1
−3が2.8倍,2.5倍それぞれ増加していた。AN
−gdh−17 No.15系統由来のAN−gdh−
17 No.2.1系統由来のAN2.1−1−1も
2.1倍、1.9倍増加していた(表8、図18)。形
質転換当代(T)で高いグルタミン酸含量を示したN
o.15系統の後代においても同様な傾向が示された。
Mt−dAN−gdh遺伝子を導入した系統、MtdA
N−24−4においては非形質転換体のグルタミン酸含
量と有意差は認められなかった。
【0066】
【表10】
【0067】
【表11】
【0068】
【表12】
【0069】T−gdh−4遺伝子導入系統では、調査
したT−gdh−4 No.1,3,8系統の後代TG
DH1−2、3−1、8−1で、非形質転換体のグルタ
ミン酸含量に比べて、2.3倍,2.1倍、2.4倍増
加していた。(表9、図19)。また、グルタミン酸以
外のアミノ酸ではアスパラギン酸、グルタミン、γ−ア
ミノ酪酸含量の顕著な増加が見られ、結果として全遊離
アミノ酸含量も非形質転換体と比較して2−3倍増加し
た。
【0070】
【表13】
【0071】
【表14】
【0072】
【表15】
【0073】実施例8.ポテト形質転換体の作出と解析 1)形質転換体の作出(実施例4参照) 茎頂培養によってポテト(バレイショ)の無菌植物を
得、茎頂を継代することによって材料を増やした。MS
培地に2%ショ糖を加えた液体培地(10ml)に茎頂
を入れ、発根を誘導した。発根後、16%ショ糖を含む
MS液体培地を10ml加え、暗所培養を行い、マイク
ロチューバーを誘導した。6−8週後のマイクロチュー
バーをディスク状に切り、皮をむいた後、28℃で一晩
培養したアグロバクテリウム液(Ti−プラスミッド、
pMt−dAN−gdh又はpCt−AN−gdhを含
む)を感染させた。滅菌ろ紙を敷いたMS寒天培地(M
S培地、2.0mg/lゼアチン,0.1mg/lイン
ドール酢酸,0.3%ゲルライト)上に乗せ、25℃、
16時間日長で2日間共存培養した。その後選抜培地
{MS培地、2.0mg/lゼアチン,0.1mg/l
インドール酢酸,0.3%ゲルライト,50mg/lカ
ナマイシン,500mg/lクラフォラン}に移し、同
条件で培養した。1週間ごとに新しい選抜培地に移し、
再分化したシュートを植物ホルモンを含まない選抜培地
に移し、発根を誘導した。Ti−プラスミッドpMt−
dAN−gdhおよびpCt−AN−gdhを持つアグ
ロバクテリウムを感染させ、カナマイシン50mg/l
を含む培地で選抜を行った結果、Mt−dAN−gdh
No.2,5,8,Ct−AN−gdh No.1の
4系統が選抜できた。
【0074】2)サザン分析による導入遺伝子の確認 馴化させた植物の葉組織よりTolal DNAを抽出
した(Honda and Hirai 1990、J
pn J Breed 40,339−348)。15
μgのDNAを制限酵素EcoRIで処理し、電気泳動
後、ナイロンメンブランにトランスファーした。サザン
ハイブリダイゼーションはDIG−Labeling
and Detection Kit (Roche
Molecular Biochemicals)を用
いて行った。プローブにAN−gdh−17遺伝子を用
いた。その結果、4系統すべてに導入遺伝子サイズのバ
ンド(約1.5kb)が確認され(図20)、トランジ
ェットペプチドを付加したgdh遺伝子が導入されてい
ることが示唆された。
【0075】3)NADP−GDH活性の測定 形質転換ポテトの葉組織(約0.1g)を液体窒素で凍
結させ、乳鉢で破砕した後、重量の5倍量の抽出緩衝液
{200mM Tris(pH8.0),14mM β
−メルカプトエタノール、10mM L−システイン−
HCl,0.5mM PMSF,0.5% Trito
nX−100}を加えた。遠心チューブに移し、12,
000rpmで10分間遠心した後、上清を限外ろ過
(Millipore、ウルトラフリー0.5フィルタ
ーユニット、バオイマックス−10)し、抽出緩衝液で
3回洗浄した。抽出した酵素は反応液{100mM T
ris(pH8.0),20mM 2−α−ケトグルタ
ル酸,1.0mM CaCl,0.2mM NADP
H,200mM 塩化アンモニウム}に混合し、室温で
反応させ、340nmにおける吸光度の減少を測定し
た。サザン分析で導入遺伝子が確認できた形質転換ポテ
トおよび非形質転換ポテトの葉組織を用いて、NADP
−GDH活性を測定した結果、非形質転換体では活性が
認められないのに対し、形質転換体では150−300
nmol/(分mgタンパク質)の活性が測定できた
(表10)。Ct−AN−gdh系統よりMt−dAN
−gdh系統の方が高い活性を示した。
【0076】
【表16】
【0077】4)マイクロチュバーのアミノ酸含量の測
定 非形質転換体と形質転換体4系統の茎頂を液体培養し、
発根誘導した後、16%ショ糖を加え、暗所処理後6週
目のマイクロチューバーを用いて、アミノ酸含量を測定
した。80℃に熱した80%エタノールを重量の3倍量
加え、乳鉢ですりつぶした後、再度80℃で20分間加
熱した。7,000rpmで遠心して、上清を回収した
後、再度80%エタノールを加え、80℃に加温した。
エタノールによる抽出を3回行い、総量を80%エタノ
ールで5mlに合わせた。よく混合した後、抽出液20
0μlをエッペンドルフチューブに取り、乾燥させ、2
00μlの滅菌水に溶かした。エチルエーテル200μ
l加え混合後、12,000rpmで遠心し、エーテル
層を取り除いた。水層を再度乾燥させた後、400μl
の0.02N HClに溶解し、0.45μmのろ過フ
ィルターを用いてろ過したろ液をサンプルとし、日立高
速アミノ酸計測器(L−8800)を用いて分析を行っ
た。
【0078】遺伝子導入系統より誘導したマイクロチュ
ーバーを用いてアミノ酸分析を行った。それぞれの株は
2個以上のマイクロチュバーを分析し,統計処理を行っ
た。Mt−dAN−gdh遺伝子を導入したNo.2,
5,8系統由来Mt2−2,Mt5−1,Mt5−2,
Mt8−1,Mt8−2株はそれぞれグルタミン酸含量
が非形質転換体に比べて、1.7倍,2.2倍,2.5
倍,3.0倍,2.2倍増加していることが分かった
(表11、図21)。Ct−AN−gdh遺伝子導入系
統においては、非形質転換体と比べてグルタミン酸含量
に有意差は認められなかった。グルタミン酸以外のアミ
ノ酸ではグルタミンやプロリンの顕著な増加が示され、
結果として全遊離アミノ酸含量も非形質転換体と比較し
て2−3倍増加した。
【0079】
【表17】
【0080】
【表18】
【0081】
【表19】
【0082】
【発明の効果】本発明により、遊離アミノ酸を高濃度に
含有する植物が得られ、付加価値の高い原料作物および
食品素材が提供される。本発明により全アミノ酸量が2
〜4倍に増加し、特にグルタミン酸、アスパラギン、ア
スパラギン酸、セリン、スレオニン、アラニンおよびヒ
スチジンの少なくとも1つについてアミノ酸含量の高い
作物が提供され、これらのアミノ酸の後添加を必要とし
ない付加価値の高い原料作物が提供される。また、本発
明により、直接調理するような野菜類で高濃度にグルタ
ミン酸を蓄積したもの、すなわち、うま味の優れた食品
素材が提供される。さらに、本発明により、そのような
遊離アミノ酸を高度に蓄積する植物を育種するための期
間が大幅に短縮される。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】Aspergillus nidulans由
来グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(GDH)遺伝子AN
−gdh−17と既知のNADP−GDH遺伝子配列を
比較したものである。上段がNADP−GDH遺伝子の
塩基配列、下段がAN−gdh−17遺伝子の塩基配列
である。
【図2】Aspergillus nidulans由
来グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(GDH)遺伝子AN
−gdh−17と既知のNADP−GDH遺伝子配列の
比較(図1続き)。上段がNADP−GDH遺伝子の塩
基配列、下段がAN−gdh−17遺伝子の塩基配列。
【図3】AN−gdh−17遺伝子のTiプラスミッド
(pMAT037)へのクローニング手順を示したもの
である。図中、35S ProはCaMV35Sプロモ
ーター、Termはターミネータを表す。
【図4】トランジットペプチドを結合したAsperg
illus由来NADP−GDHA遺伝子をコードする
配列を含む遺伝子構築物、pCt−AN−gdh、pC
t−dAN−gdh、pMt−dAN−gdhの構築手
順およびそれらの構造を模式的に示したものである。
【図5】NADP−GDH遺伝子中のスプライシング領
域を除去する手順の概略を示したものである。図中、太
い線はスプライシング領域、P1〜P4はPCRプライ
マーを表す。
【図6】Aspergillus由来NADP−GDH
A遺伝子配列へのトランジットペプチド配列結合手順
の概略を示したものである。図中Aはトランジットペプ
チドの塩基配列、BはAN−gdh−17遺伝子の塩基
配列を表す。P5〜P8はそれぞれPCRプライマーを
表す。
【図7】2A11プロモーターに接続されたAsper
gillus nidulans由来NADP−GDH
遺伝子を有する、遺伝子構築物p2ACt−dAN−g
dhおよびp2AMt−dAN−gdhの構造を模式的
に示したものである。
【図8】トマト由来NAD−GDH遺伝子(T−gdh
−4)のTiプラスミッド(pIG121−Hm)への
クローニング手順を示したものである。図中、35Sは
CaMV 35Sプロモーター、NosはNos−ター
ミネーターを表す。
【図9】トマト由来NAD−GDH遺伝子、T−gdh
−4の改変手順の概略を示したものである。
【図10】Aspergillus nidulans
由来AN−gdh−17遺伝子を導入した形質転換体の
PCR解析。レーン2、3:非形質転換トマト、レーン
4〜6:プラスミッド(pMAT037)遺伝子を導入
した形質転換トマト;レーン7〜10:AN−gdh−
17遺伝子を導入した形質転換トマト(No−6,No
−8−2,No−15,No−17)。
【図11】トマト由来NAD−GDH遺伝子GDH(T
−gdh−4)遺伝子を導入した形質転換体のPCR解
析。レーン2,3:非形質転換トマト;レーン4〜6:
プラスミッド(pIG121−Hm)遺伝子を導入した
形質転換トマト;レーン7〜10:T−gdh−4遺伝
子を導入した形質転換トマト(No.2、No.7−
2、No.9−2、No.10)。
【図12】Aspergillus nidulans
由来AN−ghd−17遺伝子を導入した形質転換体の
RT−PCR分析。No.6、No.15は形質転換ト
マトを表し、()内は全RNAを抽出した組織を表す。
【図13】トマト由来T−gdh−4遺伝子を導入した
形質転換体のRT−PCR分析。No.2、No.7−
2、No.9−2、No.10は形質転換トマトを表
し、()内は全RNAを抽出した組織を表す。
【図14】AN−gdh−17遺伝子を導入した形質転
換体(No.6、No.15、No.17)のアミノ酸
(グルタミン酸−Glu、グルタミン−Gln、γ−ア
ミノ酪酸−GABA、リジン−Lys)含量を比較した
グラフである。
【図15】T−gdh−4遺伝子を導入した形質転換体
(No.2、No.7−2、No.9−2、No.1
0)のアミノ酸(グルタミン酸−Glu、グルタミン−
Gln、γ−アミノ酪酸(GABA)、リジン−Ly
s)含量を比較した結果である。
【図16】AN−gdh−17遺伝子を導入した形質転
換トマトのサザン分析の結果を示したものである。全D
NA(15μg)をBamHIおよびEcoRIで消化
した(A)、または全DNA(15μg)をXbaIで
消化した(B)サンプルを使用した。レーン1:非形質
転換トマト、レーン2:AN−gdh−17 No.
1、レーン3:AN−gdh−17 No.3、レーン
4:AN−gdh−17 No.15、レーン5:AN
−gdh−17 No.2.1。
【図17】T−gdh−4遺伝子を導入した形質転換ト
マト(T1)のサザン分析の結果を表す。全DNA15
μgをXbaIおよびSacIで消化したサンプルを使
用した。レーン1:非形質転換トマト、レーン2:T−
gdh No.1−2、レーン3:T−gdh No.
3−1、レーン4:T−gdh No.8−1。矢印は
導入遺伝子(1.2kb)に対応するバンドの位置を示
す。
【図18】AN−gdh−17遺伝子を導入した形質転
換トマトの後代(T)における果実中のアミノ酸含量
を比較したグラフである。対照は非形質転換トマトを使
用した。測定は3個体ずつ行なった。
【図19】T−gdh−4遺伝子を導入した形質転換ト
マトの後代(T)における果実中のアミノ酸含量を比
較したグラフである。測定は3個体ずつ行なった。
【図20】Ct−AN−gdhとMt−dAN−gdh
遺伝子を導入したポテトのサザン分析の結果を示したも
のである。全DNA(15μg)のEcoRI消化物を
使用した。レーン1:非形質転換ポテト−1、レーン
2:非形質転換ポテト−2、レーン3〜6はそれぞれの
遺伝子構築物を導入した形質転換ポテトに対応する。レ
ーン3:Ct−AN−gdh No.1、レーン4:M
t−dAN−gdh No.2、レーン5:Mt−dA
N−gdh No.5、レーン6:Mt−dAN−gd
h No.8。矢印は導入遺伝子の断片に対応するバン
ドの位置を示す。
【図21】Ct−AN−gdhとMt−dAN−gdh
遺伝子を導入したポテトのマイクロチューバー中のグル
タミン酸(Glu)含量を示したグラフである。対照と
しては非形質転換ポテトを使用した。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 同条件で栽培した天然の同種植物と比べ
    て、植物の可食部分における1以上の遊離アミノ酸をよ
    り多く蓄積するトランスジェニック植物を作出する方法
    であって、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(GDH)の
    過剰発現を与える遺伝子構築物で植物を形質転換し、該
    遺伝子構築物に連結されたマーカー遺伝子により付与さ
    れた形質に基づいて前記形質転換植物を選択または同定
    し、1以上のアミノ酸をより多く蓄積する植物について
    前記形質転換植物をスクリーニングし、前記形質転換植
    物を選別することを含む、前記方法。
  2. 【請求項2】 遺伝子構築物が、強力な構成的プロモー
    ターまたは果実特異的プロモーターに機能可能に連結さ
    れたGDHをコードする遺伝子を含む、請求項1記載の
    方法。
  3. 【請求項3】 構成的プロモーターがCaMV35Sプ
    ロモーターであり、果実特異的プロモーターが2A11
    プロモーターである、請求項2記載の方法。
  4. 【請求項4】 遺伝子構築物がAspergillus
    nidulans由来のNADP−GDH遺伝子を含
    む、pAN−gdh−17またはpCt−AN−gdh
    またはpCt−dAN−gdhまたはpMt−dAN−
    gdhまたはp2ACt−dAN−gdhまたはp2A
    Mt−dAN−gdhである、請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】 遺伝子構築物がトマト由来のNAD−G
    DH遺伝子を含む、pT−gdh−4またはpTd−g
    dhである、請求項1記載の方法。
  6. 【請求項6】 遊離アミノ酸が、アスパラギン、アスパ
    ラギン酸、セリン、スレオニン、アラニン、ヒスチジン
    およびグルタミン酸からなる群より選ばれる、請求項1
    〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 【請求項7】 遊離アミノ酸の一つが遊離グルタミン酸
    である、請求項6に記載の方法。
  8. 【請求項8】 トランスジェニック植物がトランスジェ
    ニックトマトである、請求項1〜7のいずれか1項に記
    載の方法。
  9. 【請求項9】 トランスジェニック植物がトランスジェ
    ニックポテトである7のいずれか1項に記載の方法。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれか1項に記載の
    方法により作出されたトランスジェニック植物および、
    グルタミン酸デヒドロゲナーゼを過剰発現する遺伝子構
    築物を含有する、前記植物の子孫。
  11. 【請求項11】 請求項1〜9のいずれか1項に記載の
    方法により作出された、可食部分のグルタミン酸含量が
    2倍以上に増加したトランスジェニック植物および、可
    食部分のグルタミン酸含量が2倍以上に増加したその子
    孫植物。
  12. 【請求項12】 請求項1〜9のいずれか1項に記載の
    方法により作出された、可食部分の全遊離アミノ酸含量
    が2倍以上に増加したトランスジェニック植物および、
    可食部分の全遊離アミノ酸含量が2倍以上に増加したそ
    の子孫植物。
  13. 【請求項13】 請求項10〜12のいずれか1項に記
    載のトランスジェニック植物またはその子孫植物の種子
    であって、グルタミン酸デヒドロゲナーゼを過剰発現す
    る遺伝子構築物を含有する前記種子。
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