JP2001234380A - 水素発生用電極 - Google Patents

水素発生用電極

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JP2001234380A
JP2001234380A JP2000037575A JP2000037575A JP2001234380A JP 2001234380 A JP2001234380 A JP 2001234380A JP 2000037575 A JP2000037575 A JP 2000037575A JP 2000037575 A JP2000037575 A JP 2000037575A JP 2001234380 A JP2001234380 A JP 2001234380A
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metal
hydrogen
hydrogen generation
reaction
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Isao Morimoto
勲 森本
Toshinori Hachitani
敏徳 蜂谷
Shuichiro Ogawa
周一郎 小川
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Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アルカリ水溶液を電解する水素発生用電極に
おいて、120mV以下の低水素過電圧を示し、かつ安定性
にも優れた電極とその製造方法を提供する。 【解決手段】 少なくとも金属表面でVolmer反応が起こ
る金属と金属表面でHeyrovsky反応あるいはTafel反応が
起こる金属を含む水素発生用電極。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、食塩電解及び水電
解等に使用される水素発生用電極に関するものである。
【0002】
【従来の技術】食塩水などのアルカリ水溶液を電解して
水素、塩素、苛性ソーダなどを製造するための電極の開
発が進んでいる。近年、食塩などのアルカリ金属塩の電
解法としてはイオン交換膜法が主流となりつつあるが、
苛性ソーダ等の製造費をさらに低減させるためには、電
解電圧を低くし、電力消費を低減することが必要であ
る。そのために、陽極における酸素過電圧の低減、イオ
ン交換膜抵抗の低減、陰極における水素過電圧の低減、
電極とイオン交換膜のゼロギャップ化など様々な検討が
されている。
【0003】イオン交換膜法で使用されている陽極はか
なり完成度の高い電極であるが、陰極は、改良の余地が
依然としてある。即ち、現在、陽極の酸素過電圧は50mV
を下回るような性能を示すが、陰極の水素過電圧は現在
120mV程度までしか改善されていないのである。又、コ
スト削減だけでなく、近年、環境問題がクローズアップ
するにつれて、省エネルギーの要請が高まっており、水
素発生電位の低く耐久性のある陰極も求められている。
【0004】現在工業化された陰極材料(水素発生電極
触媒層)としてはニッケル−イオウ合金(Ni-S合金)、
ラネーニッケル(ラネーNi)、白金(Pt)、酸化ニッケ
ル(NiO)、ニッケル錫合金(Ni-Sn合金)などが代表的
である。また製造方法としては、合金めっき、分散・複
合めっき、熱分解、溶射およびその組み合わせなどを挙
げることができる。Ni-S合金電極は合金めっき法を用い
て製造されており、低い水素過電圧特性を有している。
しかしながら、通電直後からS成分が急激に減少すると
ともに、Ni成分も緩やかに減少してゆくことが知られて
いる。(「ソーダと塩素」38巻p387(198
7)) 又、「ソーダと塩素」45巻p129(1994)に
は、ラネーNiと水素吸蔵合金を組み合わせた分散めっき
が記載されている。ラネーNiは非常に大きな有効面積を
もっているために水素過電圧を低減できるが、ラネーNi
は酸化されやすい性質をもっている為、水素吸蔵合金を
導入することで、電流遮断時に発生する逆電流による酸
化を防ぐ工夫をしなければならない。
【0005】更に造粒したNiOの微粒子をプラズマ溶射
し、Ni基材上にNiO層を形成させる陰極が開発されてい
る。(第20会ソーダ工業技術討論会講演予稿集p57
(1996))この陰極は触媒自体が酸化物のため、電
流遮断時の逆電流による酸化劣化には極めて強いという
特徴をもっている。また、J.Electrochem.Soc.,140,223
8(1993)に示されているようにNi-Sn合金めっき法で作製
された陰極が提案されている。長期にわたって安定した
電解性能を維持していると報告されている。以上のよう
に多くの取り組みがなされているが、いずれの手法をも
ってしても水素過電圧が120mVより低くかつ安定な陰極
は未だに実用化されていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】即ち、本発明は120mV
より低い水素過電圧を示し、且つ安定性の優れた水素発
生用電極を見いだすことを目的としている。
【0007】
【発明を解決するための手段】本発明は、下記の手段に
より前記の課題を解決することを達成した。即ち、本発
明は、 1,少なくとも金属表面でVolmer反応が起こる金属
(A)と、金属表面でHeyrovsky反応あるいはTafel反応
が起こる金属(B)を含むことを特徴とする水素発生用
電極。 2,1記載の金属(A)と金属(B)の水素吸着熱差が
40kJ/mol以上であることを特徴とする水素発生用電
極。 3,金属(A)、金属(B)の組み合わせがタングステ
ン、モリブデン及びこれらの金属化合物からなる群から
選択される少なくとも1種以上の金属とニッケル、コバ
ルト、鉛、銀及びこれらの金属化合物である群から選択
される少なくとも1種以上の金属との組み合わせである
ことを特徴とする1または2記載の水素発生用電極。 4,金属(A)、金属(B)の組み合わせが炭化モリブ
デン、硼化モリブデン、酸化モリブデン、モリブデン酸
ニッケル、硫化モリブデン、炭化タングステン、硼化タ
ングステン、酸化タングステンからなる群から選択され
る少なくとも1種以上の金属とニッケル、コバルトから
なる群から選択される少なくとも1種以上の金属との組
み合わせであることを特徴とする1〜3記載の水素発生
用電極。 5,1〜4記載の金属の微粉体を含む塗布液を電極基材
上に塗布し乾燥させた後、加熱処理して焼結体とするこ
とを特徴とする1〜4記載の水素発生用電極の製造方
法。 6,1〜5記載の水素発生用電極を電極を構成している
金属よりも貴な金属塩を含む溶液に浸漬させることによ
り、金属塩の金属を電極に析出させて電極表面積を増大
させることを特徴とする水素発生用電極の製造方法。 7,1〜6記載の水素発生用電極表面上にニッケルを主
成分とした補強層が形成されていることを特徴とする水
素発生用電極。 8,7に記載のニッケルを主成分とした補強層が無電解
メッキを用いて製造されることを特徴とする水素発生用
電極の製造方法に関する。
【0008】以下、本発明を詳細に説明する。先ず、本
発明の水素過電圧を低減するための考え方について説明
する。アルカリ溶液中での水素発生反応は、下記一般式
で表されるVolmer反応(1)、Heyrovsky反応(2)、T
afel反応(3)の3つの素反応を経由することが知られ
ている。 M + H2O + e- → M-H + OH- (1) M-H + H2O + e- → M + H2 + OH- (2) 2M-H → H2 (3) Volmer反応は、電極を形成する金属(M)表面への水素
の吸着反応であり、水素発生の初期過程となる。このあ
と、生成した吸着水素(M-H)と水分子の反応によ
り、水素ガスを発生するものがHeyrovsky反応(2)で
あり、一方、吸着水素同士の結合によって、水素ガスを
発生するものがTafel反応(3)である。
【0009】このように、水素発生反応は水素の吸着反
応(1)と水素分子生成の2つの反応((2)、
(3))を経由するものであり、水素発生用電極には、
金属表面に水素を吸着させる機能と、水素分子を形成
し、速やかに脱離させる機能が要求される。そこで、両
者のそれぞれの機能に優れた材料の組み合わせによっ
て、水素発生用電極における理想的な反応機構(4)が
達成され、水素過電圧の大幅な低減が可能となると考え
た。
【0010】水素吸着の起こりやすい、すなわち、水素
との親和性の大きい材料(A)の上に生成した吸着水素
が、界面を経由して、水素吸着の起こりにくい、すなわ
ち、水素との親和性の小さい材料(B)の上で水素分子
となって脱離していく反応機構である。水素と電極材料
の親和性は、水素吸着熱(水素吸着エンタルピー)が指
標となる。表1に各種金属の水素吸着熱を示す。(出
典:化学便覧)
【0011】水素吸着熱は、材料表面への水素の吸着エ
ネルギーであるから、この値の大きい材料ほど、水素と
の親和性が大きい。水素吸着熱は、昇温脱離スペクトル
の測定や、平衡吸着量と吸着速度の測定から実験的に求
めることができる。同じように表面自由エネルギー、d
電子軌道の電子密度等も、水素と電極材料の親和性を判
断する基準とすることができ、表面自由エネルギーの大
きい材料、d電子軌道の電子密度が大きい材料も水素と
の親和性が大きいということができる。
【0012】このような、水素親和性の大きな材料の表
面では、吸着水素の生成反応、すなわち、Volmer反応が
速やかに起こる。しかしながら、それに引き続いて起こ
る、水素ガスの脱離反応は、吸着した水素が安定に存在
するために比較的起こりにくいと考えられる。これに対
し、逆に水素親和性の小さな材料の表面では、前段とな
る吸着水素の生成反応が起きにくいために、水素発生反
応自体の過電圧が大きく、見かけは活性の低い材料であ
るが、Heyrovsky反応又はTafel反応による水素分子形成
及び脱離反応は極めて速やかに起こると考えられる。脱
離反応の活性の高い材料を共存させることは吸着水素生
成の逆反応を抑制することにつながり、吸着水素生成反
応をさらに加速する効果が期待できる。
【0013】従って、これら水素吸着特性の大きく異な
る材料を組み合せて、両者の界面を形成することで、水
素発生反応の過電圧が非常に小さい電極を作製すること
ができる。様々な実験の結果、水素吸着能の差が好まし
くは40kJ/cm2以上ある場合に、水素発生反応の
過電圧を低減することがわかる。これより小さい場合に
は、過電圧の低減はあまり顕著に見いだせない。
【0014】水素ガス発生がHeyrovsky反応とTafel反応
のどちらを経由するかは、それぞれの材料の電子構造、
親水性等に大きく影響を受ける。金属の場合、導電性を
有するので、Heyrovsky反応及びTafel反応の両方が起こ
っているのに対し、酸化物などの導電性を有しない材料
では、水素分子形成はTafel反応を経由すると考えられ
る。Volmer反応、Heyrovsky反応、Tafel反応のどの反応
がどちらの材料上で主に起こっているかを調べるために
交流インピーダンス法を用いることができる。この手法
をもちいることにより、それぞれの反応の反応速度を求
めることができる。反応速度が多いほどその反応がより
起こっていると判断することができる。本願では、交流
インピーダンス法はSolartron社製のSI1280B(E
lectrochemical measurement unit)を用いた測定結果か
ら反応速度を算出した。
【0015】以下、本発明の水素発生用電極について詳
細に説明する。本発明の金属とは金属及び金属化合物で
あり、様々な金属種を用いることができる。食塩電解用
として使用する場合には、苛性ソーダという強アルカリ
中で安定である必要があるため、強アルカリでかなり溶
解したり化学的に不安定なものはあまり好ましくない。
好ましい金属としては、Ni、Co、Cu、Ag、A
u、Pt、Ir、Os、Rh、Ru、Pd、Pb、B
i、Sb、W、Mo、Cr、Ti、Zr、Ta、Nbな
どを挙げることができる。更に好ましくは、Ni、C
o、Cu、Ag、Au、Pt、Ir、Os、Rh、R
u、Pd、W、Moなどを挙げることができる。更にC
は金属と呼ぶにはふさわしくないが、Cを用いることも
可能である。金属化合物としては、様々な金属の酸化
物、窒化物、硼化物、硫化物、炭化物を使用することが
できる。金属として苛性ソーダ中で不安定であったとし
ても、金属化合物では安定な材料も多く存在するために
様々な材料を用いることができる。特に窒化物、硼化
物、炭化物には安定な材料が多い。
【0016】本発明で重要な点は、上記の金属あるいは
金属化合物から選択される2種類以上の材料をどのよう
に組み合わせるかという点である。先に説明したように
水素発生はVolmer反応とそれに続くHeyrovsky反応ある
いはTafel反応を経ていることがわかっている。このVol
mer反応が積極的に進む材料と後者の反応が進む材料と
を上手く組み合わせることによって水素過電圧が低減で
きることを見いだしたのが本願である。
【0017】このような異なる2つ以上の材料を組み合
わせることにより水素過電圧の低減が可能な材料の組み
合わせの例を次に挙げることができる。組み合わせとし
てはタングステン、モリブデン及びこれらの金属化合物
からなる群から選択される少なくとも1つとニッケル、
コバルト、鉛、銀及びこれらの金属化合物である群から
選択される少なくとも1つを選ぶことができる。これら
の中で好ましい組み合わせとしては、炭化モリブデン、
硼化モリブデン、酸化モリブデン、モリブデン酸ニッケ
ル、硫化モリブデン、炭化タングステン、硼化タングス
テン、酸化タングステンからなる群から選択される少な
くとも1つとニッケル、コバルトからなる群から選択さ
れる少なくとも1つを選ぶことができる。
【0018】具体的には、Ni−W、Ni−Mo、Ni
−Ag、Ni−Ti、W−Co、W−Ag、W−Pbな
どを挙げることができる。更にNi−MgO、Ni−N
iTiO2、Ni−Bi25、Ni−TiO2、Ni−D
23、Ni−MoS2、Ni−MoB、Ni−Mo
2C、Ni−WC、Ni−Cr23、Ni−NiMo
4、Co−Nb25などを代表とする金属と炭化物、
酸化物、硫化物、硼化物などとの組み合わせを挙げるこ
とができる。
【0019】次に、水素発生用電極の製造方法について
説明する。水素発生用電極は前記した2種類以上の金属
を電極基材上に密着性よく形成できる方法であればいず
れの方法も採用できる。具体的には、電気メッキ法、無
電解メッキ法、分散メッキ法、熱融着法、プラズマ溶射
法、蒸着法、熱分解法、等の公知の様々な方法が適用で
きるが、工業生産性の面から、刷毛塗り、アプリケー
タ、バーコータ、ブレードコータ、ロールコータなどを
用いた塗布法、熱スプレー法等のスプレーを用いた塗布
法などが好ましい。
【0020】以下に本発明の塗布法による水素発生用電
極の製造方法について説明する。本発明では、2つある
いはそれ以上の選ばれた金属の微粉体とバインダー溶液
を混合させた塗布液を電極基材上に塗布し、乾燥後、加
熱処理することにより製造することを特徴とする。使用
される金属の微粉体は、粒径や形態は様々なものを用い
ることが可能である。通常は数nm〜10μmの粒径を
使用することができる。上限は、10μmより大きい粒
径であると総表面積が小さくなるために、水素過電圧を
低減できない。一方、下限は通常得られる数nmの粒径
程度に小さければ小さい程、総表面積を増大させ、水素
過電圧を低減するのには適しているが、一般にそのよう
な粒径に金属は値段が高価であるために実用上、使用す
る際には、採算性を考慮する必要が生じる。又、形態は
特に制限はなく、どのようなものであっても構わないが
できるだけ総表面積を大きくする観点から完全な球形で
ない方が好ましい。
【0021】本発明のバインダー溶液は溶媒とバインダ
ーと少量の添加剤から構成される。バインダー溶液は2
種類以上の金属の微粉体が分散でき電極基材に塗布でき
るものであれば、どのようなものであっても構わない。
通常用いられる溶媒としては水が一般的である。更に水
に様々な有機溶剤を少量添加することも可能である。ア
ルコール類、アセトンなどの水と相溶性のよい溶媒が通
常用いられる。
【0022】バインダーとしては、様々なバインダーを
使用することができる。ポリビニルアルコール、メチル
セルロース、エチルセルロース、ニトロセルロース、カ
ルボキシメチルセルロース、ポリエチルグリコール、ポ
リメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリビニルブ
チラール、ポリウレタン、ポリカーボネートなどの様々
な有機高分子を使用することができる。好ましくは主に
溶媒として水を用いているために、ポリビニルアルコー
ル、メチルセルロース、エチルセルロース、ニトロセル
ロース、カルボキシメチルセルロース、ポリエチルグリ
コールなどの水溶性バインダーが好ましい。
【0023】添加剤としては、界面活性剤などの分散性
を向上させる添加剤や、塗布性を向上させるための酸な
ど必要に応じて様々な添加剤を使用することも可能であ
る。本発明の塗布液は、前記の少なくとも2種類以上の
金属の微粉体とバインダー溶液を攪拌棒を用いて攪拌す
る方法、混練機を用いる方法、ホモジナイザーを用いる
方法、超音波ホモジナイザーを用いる方法など様々な方
法を用いることができる。
【0024】本発明に用いる電極基材としては、鉄、ニ
ッケル、ニッケル合金、ステンレス鋼、銅、又は銀など
が適している。より好ましい電極基材としてはニッケ
ル、銀およびニッケル、銀を主成分とする様々な合金を
挙げることができる。基材の形態としては、メッシュ、
網状、エキスパンドメタルまたは多孔質シートなどを使
用することができる。これらの電極基材は、それらの表
面に配置される前記金属との密着性を向上させるため
に、通常は脱脂、ブラスト処理、及び/または酸処理を
行うことが好ましい。
【0025】塗布液を電極基材に塗布した後の乾燥は通
常、室温で乾燥することも可能であるが、温風を送って
乾燥を速めることもできるし、100℃以下の乾燥機中
で乾燥させることも可能である。乾燥に引き続き行う加
熱処理の温度は用いる金属の種類によってもちろん変更
する必要があるが、使用する金属で最も低い融点よりも
低い温度で加熱することが好ましい。その温度以上では
金属の微粉体が溶融して総表面積が格段に小さくなり、
水素過電圧の低減が見られない場合が多い。何度から焼
結するかを規定することは難しいが、一つの目安として
は、ピッカース強度計を用いて測定した焼結体の強度が
80N/mm2となる温度以上で加熱することが好まし
い。
【0026】加熱処理の時間としては好ましくは10分
〜10時間程度である。10分以下であると加熱が不十
分のため充分な強度が得られない。一方、10時間を越
えると総表面積が小さくなり、水素過電圧の低減が見ら
れない場合が多く、工業生産性の面からも問題がある。
さらに好ましくは30分〜5時間程度である。また、加
熱雰囲気は様々な条件を用いることができるが、用いる
金属の種類によって選択する必要がある。例えば、酸化
が好ましくない場合には、真空中あるいは窒素やアルゴ
ンガスなどの不活性ガス雰囲気下で加熱処理をする必要
がある。更に酸化を抑制したり、酸化物を除きたい場合
には水素ガスなどの還元雰囲気下で加熱処理することが
好ましい。酸化が全く問題ない場合には空気中で加熱処
理することも可能である。また、状況に応じて、これら
の加熱処理を組み合わせることも可能である。
【0027】本発明では、塗布、乾燥、加熱処理を一度
ずつ行って水素発生用電極を製造することも可能である
が、塗布量を増大させるために、塗布、乾燥、加熱処理
を何度か繰り返すことで所定量を電極基材上に塗布する
ことも可能である。その際には加熱条件は通常先に示し
た条件よりも低温、短時間で行った後、先に示した条件
で最終的に加熱処理を行うことが好ましい。
【0028】以上のようにして水素発生用電極を製造す
ることができるが、水素発生用電極の電極をその構成し
ている金属よりも貴な金属塩を含む溶液に浸漬させるこ
とにより、金属塩と酸化還元反応を起こさせ、電極表面
から金属が溶出することで水素過電圧を更に低減するこ
とも可能である。これは、電極表面から金属が溶出する
ことで表面積が増大したことと、更に貴な金属が電極表
面に析出したためであると考えられる。通常、貴な金属
はそれ自身の水素過電圧が低い。用いられる金属塩の金
属種としては、Pt、Au、Ag、Pd、Ru、Rh、
Ir、Ag、Cuなどを挙げることができる。これらの
様々な塩を用いることができる。好ましい塩としては塩
化物、硝酸塩、硫酸塩などを挙げることができる。具体
的には塩化白金酸、塩化白金、塩化金酸、硝酸銀、塩化
パラジウム、塩化ルテニウム、塩化ロジウム、塩化イリ
ジウム、塩化銅、硝酸銅、硫酸銅などを挙げることがで
きる。
【0029】また、水素発生用電極の表面に補強層を形
成させ、電極の膜強度を強めることも可能である。代表
的なものとしてはニッケルを主成分とした補強層を無電
解メッキ法を用いて形成できる。また、ニッケル微粉末
のみを作製した水素発生用電極の表面に塗布し、加熱処
理することにより補強層を形成させることも可能であ
る。無電解メッキ法は、一般に用いられている様々な無
電解メッキ液とその作製方法を用いることができる。通
常は前処理、活性化処理、無電解メッキ処理、加熱処理
の工程を用いることができる。必要に応じて前処理、活
性化処理、加熱処理を省くことも可能である。
【0030】水素発生用電極の被覆強度を測定するため
に、ピッカース強度計を用いて測定した。測定は10点
測定し、中間の値を示した6点の平均を用いてそのサン
プルの強度とした。80N/mm2以上あれば、強度と
して使用可能と判断する。このようにして製造された水
素発生用電極は食塩電解及び水電解の陰極として使用す
ることで水素発生が伴う陰極として有用である。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例に基づい
て、さらに詳細に説明するが、本発明は、実施例に限定
されるものではない。
【0032】
【実施例1】ニッケル(Ni)粉末(粒径約1μm、高
純度化学(株)製)と、モリブデン(Mo)粉末(粒径
約1μm、高純度化学(株)製)を、モル比1:1で混
合した粉末を2g作製した。この粉末を160kg/c
2の圧で加圧成形した。そのアルゴンガス雰囲気中5
00℃で焼結し、水素発生用電極サンプルAを得た。こ
れを試験極として、90℃、33%苛性ソーダ中で、白
金金網を対極、水素電極(RHE)を参照極として、
0.4A/cm2の電流密度で電解を行った。1時間経
過後の電極電位を読みとり、ルギン毛管を用いて電流遮
断法により、溶液抵抗を測定し、電極電位の補正を行っ
て、水素過電圧値を得た。
【0033】全く同様にニッケル粉体のみのサンプル
B、モリブデン粉体のみのサンプルCを作製し、水素過
電圧を測定した。更にサンプルA、B、Cを交流インピ
ーダンス法を用いて解析し、最終的に反応速度を算出し
た。その結果を表2に示す。表2においてVolmer反応、
Heyrovsky反応、Tafel反応の反応速度をそれぞれVv、
Vh、Vtとする。この結果からわかることは、この系
ではTafel反応はほとんど起こっていないことがわか
る。また、MoのみのサンプルCではVolmer反応速度は
早いがHeyrovsky反応が非常に遅いために水素発生が充
分に起こらず、水素過電圧は高い。一方Niのみのサン
プルBではVolmer反応は比較的遅いが、Heyrovsky反応
はMoのみのサンプルCに比べて早い。NiとMoが両
方存在するサンプルAでは、Volmer反応はほぼサンプル
Cと同じ反応速度をもち、更に、Niの存在によってHe
yrovsky反応が起こり易くなったことがわかる。そのた
め水素過電圧は非常に大きく低下することができる。
【0034】MoはNiに比べて水素吸着熱が大きいた
いめにHeyrovsky反応を起こしにくいと考えられるの
で、水素吸着熱のデータもこの考え方を支持している。
これらのことから、NiとMoが両方存在するサンプル
AではMo上ではVolmer反応が主に起こり、Ni上では
Heyrovsky反応が主に起こっていることがわかる。
【0035】
【実施例2】モリブデン(Mo)ではなく、タングステ
ン(W)を使用する以外は実施例1と全く同様に水素発
生用電極サンプルDを製造し、評価解析を行った。その
結果を表2に示す。本実施例ではサンプルDはニッケル
(Ni)とWの混合物であり、サンプルEはWのみのサ
ンプルである。この結果から実施例1と同様にW上では
Volmer反応が主に起こり、Ni上ではHeyrovsly反応が
主に起こっていることがわかる。
【0036】
【実施例3】ニッケル粉末(粒径約1μm、高純度化学
(株)製)と、硼化モリブデン粉末(粒径約5μm、高
純度化学(株)製)を、重量比1:1で混合した粉末
を、同重量のポリエチレングリコール(分子量約154
0、和光純薬(株)製)の1重量%水溶液中に均一に分
散させた。続いて、アルミナでブラスト処理した後アセ
トンで脱脂した2cm角のニッケル金網(線径0.7m
m、12メッシュ)上に、上記分散液を刷毛で、塗膜重
量が0.08g/cm2になるように均一に塗布した。
これを、室温で12時間乾燥させた後、アルゴンガス雰
囲気中500℃で焼結し、水素発生用電極を得た。これ
を試験極として、90℃、33%苛性ソーダ中で、白金
金網を対極、水素電極(RHE)を参照極として、0.
4A/cm 2の電流密度で電解を行った。1時間経過後
の電極電位を読みとり、ルギン毛管を用いて電流遮断法
により、溶液抵抗を測定し、電極電位の補正を行って、
100mVの水素過電圧値を得た。
【0037】また、イオン交換膜を用いた電解試験は次
のように実施した。イオン交換膜としてはフッ素系陽イ
オン交換膜を用い、これをイオン交換膜電解槽に、イオ
ン交換膜を挟んで陽極と作製した陰極とを設置した。陽
極はイオン交換膜と密着させたが、陰極は2mmの間隔
をあけて設置した。陽極液としては200g/リットル
の食塩水を、陰極液としては33wt%の苛性ソーダ水
溶液を入れた。温度90℃、電流密度0.4A/cm2
で電解を行った。陽極としてはチタンエクスパンドメッ
シュ基材上に酸化ルテニウム、酸化イリジウム、酸化チ
タンからなる複合酸化物を被膜したものを使用した。水
素過電圧を測定する際には、水素電極(RHE)を参照
電極として用いた。8時間経過後の電極電位を読みと
り、ルギン毛管を用いて電流遮断法により、溶液抵抗を
測定し、電極電位の補正を行ったところ98mVの水素
過電圧値を得た。
【0038】
【比較例1】実施例3において、ニッケル粉末(粒径約
1μm、高純度化学(株)製)を単独で用いる。以外は
同一の条件で電極を作製し、イオン交換膜を用いて電解
行った結果、300mVの水素過電圧値を得た。
【0039】
【比較例2】実施例3において、硼化モリブデン粉末
(粒径約5μm、高純度化学(株)製)を単独で用いる
以外は同一の条件で電極を作製し、イオン交換膜を用い
て電解を行った結果、400mVの水素過電圧値を得
た。
【0040】
【実施例4】ニッケル粉末(粒径約1μm、高純度化学
(株)製)と、硼化モリブデン粉末(粒径約2μm、高
純度化学(株)製をミルで粉砕)を、重量比1:1で混
合した粉末を、同重量のポリビニルアルコール(分子量
約500、和光純薬(株)製)の5重量%水溶液中に均
一に分散させた。続いて、アルミナでブラスト処理した
後アセトンで脱脂した2cm角のニッケル金網(線径
0.7mm、12メッシュ)上に、上記分散液を刷毛
で、塗膜重量が0.08g/cm2になるように均一に
塗布した。これを、室温で8時間乾燥させた後、アルゴ
ンガス雰囲気中600℃で焼結し、水素発生用電極を得
た。実施例3と同様にイオン交換膜を用いた電解試験を
行った。その結果76mVの水素過電圧値を得た。
【0041】次に連続運転テストを実施した。始めから
測定して168時間連続運転を実施した後、10分間電
流遮断の電流遮断試験を実施した。その後の再通電した
後の水素過電圧は79mVであり、問題ないレベルであ
り陰極としての安定性を有していることがわかった。し
かしながら、陰極表面の被覆強度は電極作成直後は15
0N/mm2であったが120N/mm2まで弱くなって
いることが認められた。
【0042】
【実施例5】ニッケル粉末(粒径約1μm、高純度化学
(株)製)と、炭化モリブデン粉末(粒径約1μm、高
純度化学(株)製)を、重量比1:1で混合した粉末
を、同重量のポリビニルアルコール(分子量約500、
和光純薬(株)製)の5重量%水溶液中に均一に分散さ
せた。続いて、アルミナでブラスト処理した後アセトン
で脱脂した2cm角のニッケル金網(線径0.7mm、
12メッシュ)上に、上記分散液を刷毛で、塗膜重量が
0.08g/cm2になるように均一に塗布した。これ
を、室温で8時間乾燥させた後、アルゴンガス雰囲気中
600℃で焼結し、水素発生用電極を得た。イオン交換
膜を用いた電解試験は実施例4と全く同様に実施した。
測定した水素過電圧は91mVであり、連続運転後は9
5mVであった。
【0043】
【実施例6】ニッケル粉末(粒径約1μm、高純度化学
(株)製)、ニッケル粉末(粒径約0.1μm、川鉄鉱
業(株)製)と、硼化モリブデン粉末(粒径約1μm、
高純度化学(株)製)を、重量比1:0.3:1で混合
した粉末を、同重量のポリビニルアルコール(分子量約
500、和光純薬(株)製)の5重量%水溶液中に均一
に分散させた。続いて、アルミナでブラスト処理した後
アセトンで脱脂した2cm角のニッケル金網(線径0.
7mm、12メッシュ)上に、上記分散液を刷毛で、塗
膜重量が0.08g/cm2になるように均一に塗布し
た。これを、室温で8時間乾燥させた後、アルゴンガス
雰囲気中600℃で焼結し、水素発生用電極を得た。イ
オン交換膜を用いた電解試験は実施例4と全く同様に実
施した。測定した水素過電圧は71mVであり、連続試
験後は74mVであった。
【0044】
【実施例7】ニッケル粉末(粒径約1μm、高純度化学
(株)製)、酸化ニッケル粉末(粒径7nm、シーアイ
化成(株)製)と、硼化モリブデン粉末(粒径約1μ
m、高純度化学(株)製)を、重量比1:0.3:1で
混合した粉末を、同重量のポリビニルアルコール(分子
量約500、和光純薬(株)製)の5重量%水溶液中に
均一に分散させた。続いて、アルミナでブラスト処理し
た後アセトンで脱脂した2cm角のニッケル金網(線径
0.7mm、12メッシュ)上に、上記分散液を刷毛
で、塗膜重量が0.08g/cm2になるように均一に
塗布した。これを、室温で8時間乾燥させた後、水素ガ
ス雰囲気中500℃で焼結し、水素発生用電極を得た。
イオン交換膜を用いた電解試験は実施例4と全く同様に
実施した。測定した水素過電圧は68mVであり、連続
試験後は70mVであった。
【0045】
【実施例8】ニッケル粉末(粒径約1μm、高純度化学
(株)製)と、酸化モリブデン粉末(粒径約1μm、高
純度化学(株)製)を、重量比1:1で混合した粉末
を、同重量のポリエチレングリコール(分子量約154
0、和光純薬(株)製)の1重量%水溶液中に均一に分
散させた。続いて、アルミナでブラスト処理した後アセ
トンで脱脂した2cm角のニッケル金網(線径0.7m
m、12メッシュ)上に、上記分散液を刷毛で、塗膜重
量が0.08g/cm2になるように均一に塗布した。
これを、室温で8時間乾燥させた後、アルゴンガス雰囲
気中600℃で焼結し、水素発生用電極を得た。イオン
交換膜を用いた電解試験は実施例4と全く同様に実施し
た。8時間経過後に測定した水素過電圧は56mVであ
った。非常に低い水素過電圧を得ることができた。しか
しながら、実施例4と同様の連続運転テストを実施した
ところ、剥離強度は電極作成直後は140N/mm2
あったがテスト後は115N/mm2であった。
【0046】
【実施例9】実施例6で作製した水素発生用電極表面上
に無電解メッキ法によりニッケルメッキ層を作製した。
メッキ液としては高純度化学製の無電解ニッケルメッキ
液Niー701(リン含有〜10%)を使用した。作業
液温は75℃を用いて行い無電解メッキ時間は30分行
った。これによりニッケル・リンの合金被膜が得られ
た。リンの含有量は約8%であった。実施例4と全く同
様に水素過電圧を測定した結果、電解8時間後では65
mVであった。次に実施例4と全く同じ連続運転テスト
を実施したが、テスト後の水素過電圧は66mVであ
り、安定性に優れていることがわかった。また、電極表
面の被覆強度は180N/mm2であり、初期値(18
5N/mm2)からほとんど変化せず、強度にも優れて
いることがわかった。
【0047】
【実施例10】実施例8で作製した水素発生用電極表面
上に無電解メッキ法によりニッケルメッキ層を作製し
た。メッキ液としては高純度化学製の無電解ニッケルメ
ッキ液Niー701を使用した。作業液温は75℃を用
いて行い無電解メッキ時間は30分行った。これにより
ニッケル・リンの合金被膜が得られた。リンの含有量は
約8%であった。実施例4と全く同様に水素過電圧を測
定した結果、電解8時間後では56mVであった。次に
実施例4と全く同じ連続運転テストを実施したが、テス
ト後の水素過電圧は58mVであり、安定性に優れてい
ることがわかった。また、電極表面の被覆強度は165
N/mm2であり、初期の168N/mm2からほとんど
変化せず、強度にも優れていることがわかった。
【0048】
【実施例11】実施例4で作製した水素発生用電極を
0.5モルの硝酸銀水溶液中に3秒浸漬させ、室温で乾
燥後、水洗して、実施例4と全く同様な方法で水素過電
圧を測定した。水素過電圧は52mVであった。更に、
実施例7と同様な方法で無電解メッキを行った。メッキ
後の電極を用いた8時間経過後の水素過電圧は65mV
であった。その後、実施例4と同様な連続運転テストを
実施した結果、テスト後の水素過電圧は67mVであ
り、更に被覆強度も劣化せず、安定性のよい電極である
ことがわかった。
【0049】
【実施例12】ニッケル(Ni)粉末(粒径約1μm、
高純度化学(株)製)と、タングステン(W)粉末(粒
径約1μm、高純度化学(株)製)を、重量比1:1で
混合した粉末を、同重量のポリメチルセルロース(信越
化学製)の1重量%水溶液中に均一に分散させた。続い
て、アルミナでブラスト処理した後アセトンで脱脂した
2cm角のニッケル金網(線径0.7mm、12メッシ
ュ)上に、上記分散液を刷毛で、塗膜重量が0.08g
/cm2になるように均一に塗布した。これを、室温で
8時間乾燥させた後、アルゴンガス雰囲気中600℃で
焼結し、水素発生用電極を得た。イオン交換膜を用いた
電解試験は実施例4と全く同様に実施した。測定した8
時間経過後の水素過電圧は94mVであった。Ni、W
の水素吸着熱はそれぞれ95kJ/mol、155kJ
/molであり、その差は60kJ/molである。
【0050】
【比較例3】ニッケル(Ni)粉末(粒径約1μm、高
純度化学(株)製)と、ニオブ(Nb)粉末(粒径約1
μm、高純度化学(株)製)を、重量比1:1で混合し
た粉末を、同重量のポリメチルセルロース(信越化学
製)の1重量%水溶液中に均一に分散させた。続いて、
アルミナでブラスト処理した後アセトンで脱脂した2c
m角のニッケル金網(線径0.7mm、12メッシュ)
上に、上記分散液を刷毛で、塗膜重量が0.08g/c
2になるように均一に塗布した。これを、室温で8時
間乾燥させた後、アルゴンガス雰囲気中600℃で焼結
し、水素発生用電極を得た。イオン交換膜を用いた電解
試験は実施例4と全く同様に実施した。測定した8時間
経過後の水素過電圧は198mVであった。Ni、Nb
の水素吸着熱はそれぞれ95kJ/mol、111kJ
/molであり、その差は16kJ/molである。
【0051】
【比較例4】ニッケル(Ni)粉末(粒径約1μm、高
純度化学(株)製)と、コバルト(Co)粉末(粒径約
1μm、高純度化学(株)製)を、重量比1:1で混合
した粉末を、同重量のポリメチルセルロース(信越化学
製)の1重量%水溶液中に均一に分散させた。続いて、
アルミナでブラスト処理した後アセトンで脱脂した2c
m角のニッケル金網(線径0.7mm、12メッシュ)
上に、上記分散液を刷毛で、塗膜重量が0.08g/c
2になるように均一に塗布した。これを、室温で8時
間乾燥させた後、アルゴンガス雰囲気中600℃で焼結
し、水素発生用電極を得た。イオン交換膜を用いた電解
試験は実施例4と全く同様に実施した。測定した8時間
経過後の水素過電圧は255mVであった。Ni、Co
水素吸着熱はそれぞれ95kJ/mol、128kJ/
molであり、その差は33kJ/molである。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【発明の効果】本発明の電極はイオン交換膜を用いた食
塩水などを用いたアルカリ水溶液電解で、水素過電圧を
120mV以下に低減することができる。そのため、電解で
使用する電力を大幅に削減することができ、コスト削減
が達成でき工業生産性の面から大変有効である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4K011 AA04 AA10 AA11 AA22 AA51 DA03 4K021 AA01 AA03 AB01 BA03 DB18 DB19 DB31

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも金属表面でVolmer反応が起こ
    る金属(A)と、金属表面でHeyrovsky反応あるいはTaf
    el反応が起こる金属(B)を含むことを特徴とする水素
    発生用電極。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の金属(A)と金属(B)
    の水素吸着熱差が40kJ/mol以上であることを特徴とす
    る水素発生用電極。
  3. 【請求項3】 金属(A)、金属(B)の組み合わせが
    タングステン、モリブデン及びこれらの金属化合物から
    なる群から選択される少なくとも1種以上の金属とニッ
    ケル、コバルト、鉛、銀及びこれらの金属化合物である
    群から選択される少なくとも1種以上の金属との組み合
    わせであることを特徴とする請求項1または2記載の水
    素発生用電極。
  4. 【請求項4】 金属(A)、金属(B)の組み合わせが
    炭化モリブデン、硼化モリブデン、酸化モリブデン、モ
    リブデン酸ニッケル、硫化モリブデン、炭化タングステ
    ン、硼化タングステン、酸化タングステンからなる群か
    ら選択される少なくとも1種以上の金属とニッケル、コ
    バルトからなる群から選択される少なくとも1種以上の
    金属との組み合わせであることを特徴とする請求項1〜
    3記載の水素発生用電極。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4記載の金属の微粉体を含む
    塗布液を電極基材上に塗布し乾燥させた後、加熱処理し
    て焼結体とすることを特徴とする請求項1〜4記載の水
    素発生用電極の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5記載の水素発生用電極を電
    極を構成している金属よりも貴な金属塩を含む溶液に浸
    漬させることにより、金属塩の金属を電極に析出させて
    電極表面積を増大させることを特徴とする水素発生用電
    極の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6記載の水素発生用電極表面
    上にニッケルを主成分とした補強層が形成されているこ
    とを特徴とする水素発生用電極。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載のニッケルを主成分とし
    た補強層が無電解メッキを用いて製造されることを特徴
    とする水素発生用電極の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US10604854B2 (en) 2014-07-17 2020-03-31 The Board Of Trustees Of The Leland Stanford Junior University Heterostructures for ultra-active hydrogen evolution electrocatalysis
WO2024029595A1 (ja) * 2022-08-05 2024-02-08 Dic株式会社 モリブデン炭化物、複合体、触媒インク、モリブデン炭化物の製造方法、及び複合体の製造方法

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