JP2001234371A - ゴムとの接着性に優れた銅合金めっき付きスチールワイヤ、コードおよびゴム物品 - Google Patents
ゴムとの接着性に優れた銅合金めっき付きスチールワイヤ、コードおよびゴム物品Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 ゴムとスチールコードとの初期接着性および
湿熱接着性を向上させる。 【解決手段】 銅合金めっき付きスチールコードをリン
酸水溶液、水酸化ナトリウム水溶液等の酸性あるいはア
ルカリ性水溶液で洗浄処理し、接着阻害をもたらすリン
化合物を含む、伸線工程で使用する潤滑剤の残留量を減
少させる。
湿熱接着性を向上させる。 【解決手段】 銅合金めっき付きスチールコードをリン
酸水溶液、水酸化ナトリウム水溶液等の酸性あるいはア
ルカリ性水溶液で洗浄処理し、接着阻害をもたらすリン
化合物を含む、伸線工程で使用する潤滑剤の残留量を減
少させる。
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、ゴムとの接着性に
優れた銅合金めっき付きスチールワイヤ、スチールコー
ドおよびゴム物品に関する。
優れた銅合金めっき付きスチールワイヤ、スチールコー
ドおよびゴム物品に関する。
【０００２】
【従来の技術】従来、タイヤや工業用ベルト等のゴム物
品補強用に使用されるスチールワイヤ、またはこのスチ
ールワイヤを複数本撚りあわせたスチールコードにおい
ては、補強効果を発揮させるためにゴムとの接着性に優
れることが要求される。このために、例えば、ブラスめ
っき付きのスチールワイヤやこれを複数本撚りあわせた
コードでは、ブラスめっきの銅と亜鉛の割合またはブラ
スめっきの厚さを適正化することにより、ゴムとの接着
性を改善する方法が広く知られている。一方、めっき後
のコードの伸線工程では、通常、極圧剤（リン酸塩、ア
ルキルリン酸エステル等）や油性剤（脂肪酸塩等）等を
主成分とし、水分を添加した水溶性（エマルジョンタイ
プ）の潤滑剤が使用されている。
品補強用に使用されるスチールワイヤ、またはこのスチ
ールワイヤを複数本撚りあわせたスチールコードにおい
ては、補強効果を発揮させるためにゴムとの接着性に優
れることが要求される。このために、例えば、ブラスめ
っき付きのスチールワイヤやこれを複数本撚りあわせた
コードでは、ブラスめっきの銅と亜鉛の割合またはブラ
スめっきの厚さを適正化することにより、ゴムとの接着
性を改善する方法が広く知られている。一方、めっき後
のコードの伸線工程では、通常、極圧剤（リン酸塩、ア
ルキルリン酸エステル等）や油性剤（脂肪酸塩等）等を
主成分とし、水分を添加した水溶性（エマルジョンタイ
プ）の潤滑剤が使用されている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】しかし、最終伸線工程
が終了した後、スチールワイヤ表面に潤滑剤が残留し付
着していると、潤滑剤に含まれるリン化合物（例えば、
リン酸亜鉛）は接着を阻害する作用があるので、スチー
ルワイヤとゴムとの間に所望の接着性が得られないとい
う不都合がある。また、伸線性向上の目的で、湿式潤滑
剤中のリン化合物の濃度を上げると、ワイヤ表面に多量
の潤滑剤成分が残留し、めっき層の反応性が抑制され、
著しく初期接着性が劣るという不都合がある。そこで、
本発明は、上記不都合を解消して、伸線性を損なうこと
なく、ゴムとの接着性に優れた銅合金めっき付きスチー
ルワイヤ、コードおよびゴム物品を提供することを目的
とする。
が終了した後、スチールワイヤ表面に潤滑剤が残留し付
着していると、潤滑剤に含まれるリン化合物（例えば、
リン酸亜鉛）は接着を阻害する作用があるので、スチー
ルワイヤとゴムとの間に所望の接着性が得られないとい
う不都合がある。また、伸線性向上の目的で、湿式潤滑
剤中のリン化合物の濃度を上げると、ワイヤ表面に多量
の潤滑剤成分が残留し、めっき層の反応性が抑制され、
著しく初期接着性が劣るという不都合がある。そこで、
本発明は、上記不都合を解消して、伸線性を損なうこと
なく、ゴムとの接着性に優れた銅合金めっき付きスチー
ルワイヤ、コードおよびゴム物品を提供することを目的
とする。
【０００４】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するため、以下の構成とする。本発明の銅合金めっき
付スチールワイヤは、酸性あるいはアルカリ性水溶液で
表面を洗浄処理されたものであることを特徴とする。好
ましくは、酸性水溶液がリン酸水溶液、アルカリ性水溶
液が水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム、または
酢酸ナトリウム水溶液等の無機アルカリ性水溶液であ
る。また、本発明のスチールコードは、上記のスチール
ワイヤを撚り合わせてなることを特徴とする。さらに、
本発明のゴム物品は、上記のスチールコードまたはスチ
ールコードで補強したことを特徴とする。好ましくは、
前記ゴム物品が空気入りタイヤ用のゴム部材である。
成するため、以下の構成とする。本発明の銅合金めっき
付スチールワイヤは、酸性あるいはアルカリ性水溶液で
表面を洗浄処理されたものであることを特徴とする。好
ましくは、酸性水溶液がリン酸水溶液、アルカリ性水溶
液が水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム、または
酢酸ナトリウム水溶液等の無機アルカリ性水溶液であ
る。また、本発明のスチールコードは、上記のスチール
ワイヤを撚り合わせてなることを特徴とする。さらに、
本発明のゴム物品は、上記のスチールコードまたはスチ
ールコードで補強したことを特徴とする。好ましくは、
前記ゴム物品が空気入りタイヤ用のゴム部材である。
【０００５】
【発明の実施の形態】本発明は、伸線工程で使用する潤
滑剤に含まれ、ゴムとの接着阻害をもたらすリン化合物
の、伸線工程後における付着量を、銅合金めっき付きス
チールワイヤあるいはスチールコードの表面を酸性ある
いはアルカリ性水溶液で洗浄して減少させることによ
り、ゴムとの接着性の向上を図るものであり、洗浄は湿
式伸線後でも、撚線加工後のいずれで行っても差し支え
ない。しかし、洗浄に供する水溶液の濃度が高過ぎる
と、めっきに悪影響を及ぼし、結果として、ゴムとの接
着性が低下するので、希薄な濃度（０．０１Ｎ程度）が
好ましい。洗浄条件は、例えば水酸化ナトリウム水溶液
の場合、０．０１Ｎでは３０〜６０秒が好ましく、水溶
液の濃度に応じて洗浄時間は適宜決定される。銅合金め
っき組成は、特に限定されないが、Ｃｕ％＝６０〜７０
ｗｔ％、Ｚｎ％＝３０〜４０ｗｔ％が好ましく、これ
に、さらにニッケルやコバルトを添加した３元系の合金
でもよい。コード構造はいずれでの構造であっても、差
し支えない。リンの残留量を減少させることで、初期に
強固な接着層が形成され、同時に湿熱接着性も改善され
る。
滑剤に含まれ、ゴムとの接着阻害をもたらすリン化合物
の、伸線工程後における付着量を、銅合金めっき付きス
チールワイヤあるいはスチールコードの表面を酸性ある
いはアルカリ性水溶液で洗浄して減少させることによ
り、ゴムとの接着性の向上を図るものであり、洗浄は湿
式伸線後でも、撚線加工後のいずれで行っても差し支え
ない。しかし、洗浄に供する水溶液の濃度が高過ぎる
と、めっきに悪影響を及ぼし、結果として、ゴムとの接
着性が低下するので、希薄な濃度（０．０１Ｎ程度）が
好ましい。洗浄条件は、例えば水酸化ナトリウム水溶液
の場合、０．０１Ｎでは３０〜６０秒が好ましく、水溶
液の濃度に応じて洗浄時間は適宜決定される。銅合金め
っき組成は、特に限定されないが、Ｃｕ％＝６０〜７０
ｗｔ％、Ｚｎ％＝３０〜４０ｗｔ％が好ましく、これ
に、さらにニッケルやコバルトを添加した３元系の合金
でもよい。コード構造はいずれでの構造であっても、差
し支えない。リンの残留量を減少させることで、初期に
強固な接着層が形成され、同時に湿熱接着性も改善され
る。
【０００６】
【実施例】以下に、実施例を説明する。径が１．２４ｍ
ｍの鋼線材に、組成Ｃｕ：６３ｗｔ％、Ｚｎ：３７ｗｔ
％のブラスめっきを施し、湿式伸線を行い、０．２３ｍ
ｍφのスチールワイヤを作製し、それを５本撚り合わせ
てスチールコードを製造した。次いで、このコードを表
１記載の各種酸性あるいはアルカリ性水溶液中で洗浄
し、水洗した。ブラスめっき付きスチールコードを複数
本平行に並べて帯状に未加硫ゴムで被覆し、未加硫ゴム
付きコード帯を形成し、これを１４５℃で３０分加圧加
硫して、ゴム付きコード帯を得る。初期接着性は、この
後、スチールコードの一端を掴んで前記加硫ゴム付きコ
ード帯からコードを引き剥がす。そして、この引き剥が
したスチールコードの表面に付着して残っているゴムの
割合で評価した。一方、湿熱接着性は、ゴム付きコード
帯を得た後、これを７５℃×９５％相対湿度の条件下に
７日間放置し、同様にして、引き剥がしたスチールコー
ドの表面に付着して残っているゴムの割合で評価した。
ｍの鋼線材に、組成Ｃｕ：６３ｗｔ％、Ｚｎ：３７ｗｔ
％のブラスめっきを施し、湿式伸線を行い、０．２３ｍ
ｍφのスチールワイヤを作製し、それを５本撚り合わせ
てスチールコードを製造した。次いで、このコードを表
１記載の各種酸性あるいはアルカリ性水溶液中で洗浄
し、水洗した。ブラスめっき付きスチールコードを複数
本平行に並べて帯状に未加硫ゴムで被覆し、未加硫ゴム
付きコード帯を形成し、これを１４５℃で３０分加圧加
硫して、ゴム付きコード帯を得る。初期接着性は、この
後、スチールコードの一端を掴んで前記加硫ゴム付きコ
ード帯からコードを引き剥がす。そして、この引き剥が
したスチールコードの表面に付着して残っているゴムの
割合で評価した。一方、湿熱接着性は、ゴム付きコード
帯を得た後、これを７５℃×９５％相対湿度の条件下に
７日間放置し、同様にして、引き剥がしたスチールコー
ドの表面に付着して残っているゴムの割合で評価した。
【０００７】
【表１】
【０００８】
【発明の効果】本発明によると、残留潤滑剤の量を減少
させることにより、ゴムと銅合金めっき付きスチールコ
ード等の初期接着性および湿熱接着性を著しく向上させ
ることができ、これで補強したゴム物品の耐久性をも向
上させることができる。
させることにより、ゴムと銅合金めっき付きスチールコ
ード等の初期接着性および湿熱接着性を著しく向上させ
ることができ、これで補強したゴム物品の耐久性をも向
上させることができる。
Claims (7)
- 【請求項１】 酸性あるいはアルカリ性水溶液で表面を
洗浄処理された銅合金めっき付スチールワイヤ。 - 【請求項２】 酸性水溶液がリン酸水溶液であることを
特徴とする請求項１記載の銅合金めっき付きスチールワ
イヤ。 - 【請求項３】 アルカリ性水溶液が無機アルカリ性水溶
液であることを特徴とする請求項１記載の銅合金めっき
付スチールワイヤ。 - 【請求項４】 アルカリ性水溶液が水酸化ナトリウム水
溶液、水酸化カリウム、および酢酸ナトリウム水溶液で
あることを特徴とする請求項１記載の銅合金めっき付き
スチールワイヤ。 - 【請求項５】 請求項１〜４のうちいずれか１項に記載
のスチールワイヤを撚り合わせてなることを特徴とする
スチールコード。 - 【請求項６】 請求項１〜５のうちいずれか１項に記載
のスチールワイヤまたはスチールコードで補強したこと
を特徴とするゴム物品。 - 【請求項７】 前記ゴム物品が空気入りタイヤ用のゴム
部材であることを特徴とする請求項６記載のゴム物品。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2000042327A JP2001234371A (ja) | 2000-02-21 | 2000-02-21 | ゴムとの接着性に優れた銅合金めっき付きスチールワイヤ、コードおよびゴム物品 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2000042327A JP2001234371A (ja) | 2000-02-21 | 2000-02-21 | ゴムとの接着性に優れた銅合金めっき付きスチールワイヤ、コードおよびゴム物品 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2001234371A true JP2001234371A (ja) | 2001-08-31 |
Family
ID=18565413
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2000042327A Pending JP2001234371A (ja) | 2000-02-21 | 2000-02-21 | ゴムとの接着性に優れた銅合金めっき付きスチールワイヤ、コードおよびゴム物品 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2001234371A (ja) |
Cited By (14)
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-
2000
- 2000-02-21 JP JP2000042327A patent/JP2001234371A/ja active Pending
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