JP2001234185A - トラクションドライブ流体用低温流動性向上剤及びトラクションドライブ流体組成物 - Google Patents

トラクションドライブ流体用低温流動性向上剤及びトラクションドライブ流体組成物

Info

Publication number
JP2001234185A
JP2001234185A JP2000045362A JP2000045362A JP2001234185A JP 2001234185 A JP2001234185 A JP 2001234185A JP 2000045362 A JP2000045362 A JP 2000045362A JP 2000045362 A JP2000045362 A JP 2000045362A JP 2001234185 A JP2001234185 A JP 2001234185A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
traction drive
drive fluid
low
temperature fluidity
fluid composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2000045362A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3703358B2 (ja
Inventor
Shankar Shuresuta Kedaaru
シャンカール シュレスタ ケダール
Shigehiko Yoshimura
成彦 吉村
Noboru Umemoto
昇 梅本
Fumio Ueda
文雄 植田
Kazushige Kubono
一茂 窪野
Atsushi Suzuki
厚 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tonen General Sekiyu KK
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Tonen General Sekiyu KK
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tonen General Sekiyu KK, Toyota Motor Corp filed Critical Tonen General Sekiyu KK
Priority to JP2000045362A priority Critical patent/JP3703358B2/ja
Publication of JP2001234185A publication Critical patent/JP2001234185A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3703358B2 publication Critical patent/JP3703358B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Lubricants (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 低温流動性に優れ、かつトラクション係数が
高く、実用的に優れたトラクションドライブ流体を提供
すること。 【解決手段】 化学式[1]で表されるトラクションド
ライブ流体用低温流動性向上剤、及び該低温流動性向上
剤を含有することを特徴とするトラクションドライブ流
体組成物を提供した。 【化1】 (式中、Rは、C〜C20の単環性若しくは二環性
のシクロアルカン、又はそれらの環を有するアルキル基
を示し、Rは、C〜Cのアルキル基を示す。ま
た、Xは、酸素原子又はCOO基を示し、nは、1〜1
0の整数である。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なトラクショ
ンドライブ流体用低温流動性向上剤、及び該低温流動性
向上剤を含有するトラクションドライブ流体組成物に関
し、さらに詳しくは、トラクション係数が高く、かつ低
温流動性に優れるトラクションドライブ流体用の低温流
動性向上剤として有用なシリコーン変性物、及び該低温
流動性向上剤を含有するトラクションドライブ流体組成
物に関する。
【0002】
【従来の技術】トラクションドライブ流体は、トラクシ
ョンドライブによる動力伝達機構に使用される流体であ
る。トラクションドライブ流体は、自動車無段変速機
(CVT)等のトラクションドライブ装置において、転
がり接触面に介在し、動力を伝達するとともに、転動体
同士の直接の接触を防止する潤滑油としての役割を果た
している。トラクションドライブは、転がり伝動である
ため、歯車伝動に比べて機構が簡単であり、低騒音で、
滑らかな無段変速ができるため、自動車用トラクション
ドライブヘの発展が期待されている。
【0003】トラクションドライブで重要な性能は、動
カ伝達能であって、法線荷重(垂直力)Pに対する接線
カ(トラクションカ)Tの比で定義されるトラクション
係数μ(μ=T/P)で表され、このトラクション係数
が大きいほど、伝達容量が大きい。トラクションドライ
ブ流体は、一般に、液状の潤滑油と半固体状又は固体状
のグリースに大別されるが、主成分となる基油によって
鉱油系と合成油系とがあり、種々の用途に使用されてい
る。このように、無段変速機等のトラクションドライブ
装置においては、動力伝達能の観点から、トラクション
係数の高いトラクションドライブ流体が望まれている。
特に近年、自動車用途を中心に高性能化あるいは小型軽
量化の研究が進み、トラクションドライブ流体も、粘度
温度特性や低温流動性などの性能に優れた実用的で、か
つ高いトラクション係数を示すものが要求されている。
【0004】従来より、トラクションドライブ流体につ
いては、特公昭53−36105号公報、特公平2−1
1639号公報、特公平5−87117号公報、特公平
5−88918号公報、特公平6−31373号公報、
特公平7−47752号公報、特開平6−271588
号公報、特開平7−242891号公報、特開平9−5
9660号公報、特開平10−25489号公報など数
多くの特許や文献等で種々の化合物が提案されている。
【0005】例えば、特公昭53−36105号公報に
は、2,4−ジシクロヘキシル−2−メチルペンタンに
例示される化合物を動力伝達流体として利用した動力伝
達方法が提案されている。特公平5−87117号公報
には、ポリシクロヘキシルアルカンと、スクワラン又は
ポリオレフィン油とを混合したトラクションドライブ用
流体組成物が提案されている。特公平5−88918号
公報には、ナフテン系炭化水素とポリイソブテンを混合
した基油に、ホスフェタン誘導体を配合した、トラクシ
ョンドライブ機構を備えた伝動装置用潤滑剤が提案され
ている。特公平6−31373号公報には、シクロヘキ
サノールシクロヘキサンカルボン酸エステル又はその誘
導体にポリブテンを混合したトラクションドライブ用流
体が提案されている。また、特公平7−47752号公
報には、シクロペンタジエン系の3〜6量体で、ノルボ
ルネン環二重結合上とシクロペンテン環二重結合上の水
素量の比(ND/CD)が0.9〜1.3であるシクロ
ペンタジエン系縮合炭化水素の水素化物と、分岐を有す
るポリα−オレフィンとを混合したトラクションドライ
ブ用流体組成物が提案されている。特開平7−2428
91号公報には、シクロペンタジエン系の3〜6量体
で、ノルボルネン環二重結合上とシクロペンテン環二重
結合上の水素量の比(ND/CD)が0.9〜1.3で
あるシクロペンタジエン系縮合環炭化水素の水素化物
と、アルキル基中に炭素原子を1〜3個有するα−アル
キルスチレンの二量体水素化物とを混合したトラクショ
ンドライブ用流体組成物が提案されている。さらに、特
開平9−59660号公報や特開平10−25489号
公報には、ジシクロヘキシル化合物と、シクロペンタジ
エン類とビニル芳香族炭化水素類との熱共重合物又はそ
の水素化物とを混合したトラクションドライブ用流体が
提案されている。さらにまた、シリコーン系化合物を用
いたトラクションドライブ流体も若干ではあるが、特公
平2−11639号公報、特開平6−271588号公
報などに検討され、例えば、特開平6−271588号
公報では、シクロヘキシルメチルシリコーンを用いたト
ラクションドライブ流体が提案されている。
【0006】しかしながら、これらの提案にも拘わら
ず、トラクション係数が高いことに加えて、実用的なト
ラクションドライブ流体は、少なかった。特に、2,4
−ジシクロヘキシル−2−メチルペンタンに例示される
α−アルキルスチレンの二量体水素化物は、トラクショ
ン係数は高いものの、低温における流動性が劣るため、
自動車用無段変速機油としての実用化が困難となってい
る。そのため、低温流動性に優れた実用的なトラクショ
ンドライブ流体の開発が強く望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、低温
流動性に優れ、かつトラクション係数が高く、実用的に
優れたトラクションドライブ流体を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記従来
技術の問題点を克服するために鋭意研究した結果、新規
に合成した特定の構造を有するシリコーン変性物が、ト
ラクション係数が高く、かつ低温流動性に優れるため、
トラクションドライブ流体用の低温流動性向上剤として
有用であることを見い出した。本発明は、これらの知見
に基づいて完成するに至ったものである。
【0009】すなわち、本発明によれば、下記の化学式
[1]で表されるトラクションドライブ流体用低温流動
性向上剤が提供される。
【0010】
【化2】
【0011】(式中、Rは、C〜C20の単環性若
しくは二環性のシクロアルカン、又はそれらの環を有す
るアルキル基を示し、Rは、C〜Cのアルキル基
を示す。また、Xは、酸素原子又はCOO基を示し、n
は、1〜10の整数である。) さらに、本発明によれば、化学式[1]において、R
は、シクロヘキシル基であり、Rは、メチル基であ
り、Xは、酸素原子である上記の低温流動性向上剤が提
供される。また、上記の低温流動性向上剤を含有するこ
とを特徴とするトラクションドライブ流体組成物が、ま
た、2,4−ジシクロヘキシル−2−メチルペンタンか
らなる基油に、上記の低温流動性向上剤を配合してなる
ことを特徴とするトラクションドライブ流体組成物が、
さらに、配合割合は、基油60〜95重量%に対して、
上記の低温流動性向上剤5〜40重量%であることを特
徴とするトラクションドライブ流体組成物が提供され
る。さらに、平均分子量が300〜3500のポリブテ
ンからなる基油を配合することを特徴とする上記のトラ
クションドライブ流体組成物が提供される。さらにま
た、摩耗防止剤、極圧剤、摩擦調整剤、酸化防止剤、粘
度指数向上剤、清浄分散剤、金属不活性化剤、消泡剤か
らなる群より選ばれる少なくとも1種の添加剤をトラク
ションドライブ流体組成物に配合することを特徴とする
上記のいずれかに記載のトラクションドライブ流体組成
物が提供される。
【0012】そして、本発明は、前述したように、特定
のシリコーン変性物であるトラクションドライブ流体用
低温流動性向上剤及び該低温流動性向上剤を配合したト
ラクションドライブ流体組成物に係るものであるが、好
ましい態様として下記のものも包含される。 (1)2,4−ジシクロヘキシル−2−メチルペンタン
とシクロヘキサンカルボン酸シクロヘキシルエステルと
を混合した基油に、上記の低温流動性向上剤を配合して
なることを特徴とするトラクションドライブ流体組成
物。 (2)2,4−ジシクロヘキシル−2−メチルペンタン
と、平均分子量が190〜250のシクロペンタジエン
オリゴマー水添物とを混合した基油に、上記の低温流動
性向上剤を配合してなることを特徴とするトラクション
ドライブ流体組成物。 (3)シクロペンタジエンオリゴマー水添物が、ノルボ
ルネン環二重結合量Xとシクロペンテン環二重結合量Y
の比X/Yが0.10〜0.90のシクロペンタジエン
オリゴマーを水素添加したものである前記のトラクショ
ンドライブ流体組成物。 (4)シクロペンタジエンオリゴマー水添物が、シクロ
ぺンタジエンの三量体と四量体との混合物の水添物であ
る前記のトラクションドライブ流体組成物。 (5)化学式[1]において、Rは、デカリル基であ
り、Rは、メチル基であり、Xは、酸素原子である前
記の低温流動性向上剤。 (6)化学式[1]において、Rは、シクロヘキシル
環を有するメチレン基であり、Rは、メチル基であ
り、Xは、酸素原子である上記の低温流動性向上剤。 (7)化学式[1]において、Rは、シクロヘキシル
基であり、Rは、メチル基であり、Xは、COO基で
ある上記の低温流動性向上剤。 (8)トラクション係数が0.09以上、−40℃にお
ける低温粘度が100Pa・s以下である前記のトラク
ションドライブ流体組成物。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。 1.トラクションドライブ流体用低温流動性向上剤 本発明のトラクションドライブ流体用低温流動性向上剤
は、次の化学式[1]で表される特定構造を有するシリ
コーン変性物である。
【0014】
【化3】
【0015】(式中、Rは、C〜C20の単環性若
しくは二環性のシクロアルカン、又はそれらの環を有す
るアルキル基を示し、Rは、C〜Cのアルキル基
を示す。また、Xは、酸素原子又はCOO基を示し、n
は、1〜10の整数である。)
【0016】本発明の化学式[1]で表されるシリコー
ン変性物の構造上の第1の特徴は、シロキサン結合の骨
格を形成するケイ素原子と、置換基Rの間に、X基と
して、酸素原子又はCOO基が結合していることであ
る。本発明者らは、この酸素原子又はCOO基の働きに
より、低温流動性が向上するものと推察している。次
に、構造上の第2の特徴は、シリコーン変性物が高いト
ラクション係数を有するために、置換基Rが、シクロ
アルカン又はシクロアルカンを有するアルキル基である
ことである。シクロアルカンとしては、C〜C20
単環性又は二環性のものであり、具体的には、例えば、
単環性のものでは、C〜Cのものが好ましく、C
のシクロヘキシル環(シクロヘキシル基)が特に好まし
い。また、これらのシクロヘキシル環などには、炭素数
1〜6のアルキル基等の置換基を有していてもよい。ま
た、二環性のものでは、C10のデカリン、又は炭素数
1〜6のアルキル基等の置換基を有したその誘導体など
が挙げられる。置換基Rとしては、単環性と二環性の
ものを、1種類でも、2種以上を混合して用いてもよ
い。シクロアルカンを有するアルキル基としては、具体
的に、例えば、C11−CH−基やC11
CH−CH−基などであり、前者のものが好まし
い。
【0017】さらに、本発明の化学式[1]で表される
シリコーン変性物の、シロキサン結合の骨格を形成する
ケイ素原子に結合した置換基Rは、C〜Cの炭化
水素基であり、好ましくはアルキル基であり、特に低温
粘度の観点からメチル基が好ましい。また、本発明の化
学式[1]で表されるシリコーン変性物は、nが1〜1
0の整数であり、好ましくは1〜6の整数であり、特に
1〜4の整数、すなわち、合計ケイ素原子数が2、3、
4または5であるジシロキサン、トリシロキサン、テト
ラシロキサン、ペンタシロキサン骨格を有するものが、
他のトラクションドライブ流体などの潤滑剤に対する溶
解性の観点から好ましい。
【0018】本発明のトラクションドライブ流体用低温
流動性向上剤として用いられる化学式[1]で表される
特定構造を有するシリコーン変性物は、原料および製造
方法について特に制限はなく、例えば、次の方法により
製造することができる。原料としては、化学式[1]の
−X基に対応する化合物としての、例えばシクロヘ
キサノールやシクロヘキサンカルボン酸と、両末端が塩
素であるシロキサン化合物、例えば1,5−ジクロロ−
1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン
や1,7−ジクロロオクタメチルテトラシロキサンとを
用い、溶媒としてピリジンを用いて、両者を反応させ
る。反応が活性であるため、反応条件としては、水分な
どを避け、窒素等のイナートガス雰囲気で行い、反応温
度は、低温の0〜5℃とする。反応生成物として、化学
式[1]で表される特定構造を有するシリコーン変性物
と、発生した塩化水素がピリジンと反応した塩化ピリジ
ンとが生成される。生成した反応生成物をろ過や蒸留な
どで精製して、化学式[1]で表される特定構造を有す
るシリコーン変性物を得ることができる。
【0019】このようにして製造された化学式[1]で
表される特定構造を有するシリコーン変性物は、低温流
動性に優れ、トラクション係数も高く、かつ公知のトラ
クションドライブ流体や、通常使われる鉱油、合成油及
び潤滑油用添加剤との相溶性にも優れているため、トラ
クションドライブ流体用の低温流動性向上剤として有用
である。
【0020】2.トラクションドライブ流体組成物 本発明の化学式[1]で表される特定構造を有するシリ
コーン変性物は、通常、公知のトラクションドライブ流
体に、低温流動性向上剤として配合され、トラクション
ドライブ流体組成物に用いられる。本発明の低温流動性
向上剤が配合されるトラクションドライブ流体として
は、先ず、2,4−ジシクロヘキシル−2−メチルペン
タンが挙げられる。この2,4−ジシクロヘキシル−2
−メチルペンタンは、次の一般式[2]で表される化合物
で、トラクションドライブ流体として極めて公知のもの
であり、優れたトラクション係数を有するものの、−4
0℃における低温粘度が高く、低温流動性に劣るという
欠点を有する。
【0021】
【化4】
【0022】上記以外の公知のトラクションドライブ流
体としては、シクロペンタジエンオリゴマー(CPオリ
ゴマー)の水添物やポリブテンなども挙げることができ
る。
【0023】CPオリゴマー水添物としては、公知のも
のを使用することができるが、好ましくは、平均分子量
が190〜250のものであって、シクロペンタジエン
の三量体及び四量体の水添物を主成分とするものであ
る。二量体以下又は五量体以上のCPオリゴマー水添物
が少量含まれていてもよい。一般に、CPオリゴマー水
添物の平均分子量が上記範囲内にあることによって、ト
ラクションドライブ流体のトラクション係数を安定で高
いものとすることができ、平均分子量が190未満で
は、引火点が低下し、一方、250超過では、低温流動
性が悪化する。CPオリゴマーは、通常、ノルボルネン
環とシクロペンテン環を含むが、トラクションドライブ
流体として用いられるCPオリゴマー水添物は、CPオ
リゴマーであって、ノルボルネン環二重結合量Xと、シ
クロペンテン環二重結合量Yの比X/Yが0.10〜
0.90の範囲内にあるものの水添物が好ましい。
【0024】ポリブテンとしては、平均分子量が300
〜3500のものが好適に用いることができ、特に好ま
しくは450〜1500のものである。ポリブテンの平
均分子量が300未満では、高温での蒸発損失が増加
し、蒸発によるトラクションドライブ流体の物性変化が
大きくなる。一方、ポリブテンの平均分子量が3500
を超えると、流動性が低下し、低温粘度が高くなり、低
温流動性が悪化する。ポリブテンとしては、炭素炭素二
重結合を水素添加して飽和したものも含まれる。ポリブ
テンは、好ましくはポリイソブチレン又はその水添物で
ある。また、ポリブテンは、特に、2,4−ジシクロヘ
キシル−2−メチルペンタンと組合せることにより、許
容しうる範囲の高いトラクション係数を維持しながら、
実用性能、例えばオイルシールゴム適合性などを改善す
ることができる。
【0025】本発明では、トラクションドライブ流体組
成物の基油として、上記の2,4−ジシクロヘキシル−
2−メチルペンタン、平均分子量が190〜250のシ
クロペンタジエンオリゴマー水添物、及びポリブテンな
どを用いることができ、これらの基油は、種々の用途に
応じたトラクションドライブ流体の要求性能に合わせ
て、適宜、単独でも、種々組合せて用いることもでき
る。これらの基油に又はこれらの基油の組合せたもの
に、化学式[1]で表される特定構造を有するシリコー
ン変性物を低温流動性向上剤として配合することによ
り、トラクション係数を高く保持しつつ、低温流動性を
向上させることができる。
【0026】本発明のトラクションドライブ流体組成物
の配合例としては、例えば、基油として、2,4−ジシ
クロヘキシル−2−メチルペンタン単独を用いた場合、
配合割合は、基油60〜95重量%に対して、低温流動
性向上剤5〜40重量%の範囲が好適である。低温流動
性向上剤の配合割合が、5重量%未満では、低温流動性
が改善できず、一方、40重量%を超えると、若干トラ
クション係数が低下する。このように、化学式[1]で
表される特定構造を有するシリコーン変性物、すなわち
低温流動性向上剤の配合割合は、種々の基油の組合せに
より、性能のバランスに応じて、適宜変えることができ
る。すなわち、低温流動性向上剤の配合割合を適宜変え
ることによって、トラクション係数を高く保持すると共
に、低温粘度が低く、寒冷地や冬期でも使用可能である
実用的なトラクションドライブ流体ができる。
【0027】本発明のトラクションドライブ流体組成物
には、トラクションドライブ流体の基油に、上記の特定
構造を有するシリコーン変性物の低温流動性向上剤を配
合するものであるが、種々の用途に適応した実用性能を
確保するため、さらに必要に応じて、自動車用動力伝達
油、例えば自動変速機油やミッションギヤ油に用いられ
ている各種添加剤、すなわち摩耗防止剤、極圧剤、摩擦
調整剤、酸化防止剤、粘度指数向上剤、清浄分散剤、金
属不活性化剤、消泡剤等を本発明の目的を損なわない範
囲で適宜添加することができる。
【0028】本発明のトラクションドライブ流体組成物
は、トラクション係数が高いこと、−40℃における低
温粘度が低く、低温流動性に優れていること、蒸発特性
に優れていること等の特徴を有している。本発明のトラ
クションドライブ流体組成物は、トラクション係数が、
通常、0.09以上の高い値を示す。また、本発明のト
ラクションドライブ流体組成物は、−40℃における低
温粘度が100Pa・s以下であり、低温での使用が可
能である。すなわち、寒冷地や冬期に装置を作動する場
合、屋外では0℃以下、場合によっては−40℃付近に
なることがある。そのため、本発明のトラクションドラ
イブ流体組成物は、低温流動性が優れているため、−4
0℃付近の低温条件下でもトラクションドライブ装置を
作動することができる。なお、−40℃における低温粘
度は、ASTM D2983−80に規定するブルック
フィールド粘度計で測定したブルックフィールド粘度で
ある。
【0029】さらに、本発明のトラクションドライブ流
体組成物は、前記のような特徴を活かして、自動車無段
変速機等のトラクションドライブ装置において、動力を
伝達するとともに、転動体同士の直接の接触を防止する
潤滑油としての役割を果たす潤滑剤として好適に使用す
ることができる。しかも、本発明のトラクションドライ
ブ流体組成物は、トラクション係数が高いため、前記し
たように、転動体の押し付け荷重を低減させることがで
き、トラクションドライブ装置本体の疲労寿命を大幅に
延長することができるため、装置の信頼性が向上し、装
置の小型化に寄与することができる。
【0030】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明に
ついてより具体的に説明するが、本発明は、これらの実
施例のみに限定されるものではない。なお、実施例及び
比較例で得たトラクションドライブ流体組成物の評価
は、下記の方法で行った。
【0031】1.物性の評価、測定法 <トラクション係数測定装置及び測定条件> 四円筒型トラクション試験機 周 速 :5m/sec すべり率 :2% 平均ヘルツ圧:1.0GPa ローラー温度:室温 トラクション係数は、0.090以上を開発目標とし
た。<低温粘度の測定方法>ASTM D2983−8
0に規定するブルックフィールド粘度計で、−40℃に
おけるブルックフィールド粘度を測定した。低温粘度
は、−40℃におけるブルックフィールド粘度が100
Pa・s以下を開発目標とした。
【0032】2.特定構造を有するシリコーン変性物の
合成 [実施例1]原料として、シクロヘキサノールと1,5
−ジクロロ−1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルト
リシロキサンとを用いた。ピリジンを溶媒として用い、
2.1モルのシクロヘキサノールを、0℃で攪拌しなが
ら、1時間の間に、1モルの1,5−ジクロロ−1,
1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサンを窒
素雰囲気で滴下して反応を開始させる。滴下終了後、反
応温度を低温の0〜5℃に保って、3時間攪拌し、反応
を終了させる。反応中に発生した塩化水素は、ピリジン
と結合して塩化ピリジンになる。この塩化ピリジンと、
1,5−ジシクロヘキシル−1,1,3,3,5,5−
ヘキサメチルトリシロキサンとの反応生成物の混合物
に、ヘプタン500mlを加え、ろ紙により塩化ピリジ
ンをろ過する。ろ液に精製のため、水を400ml加え
洗浄する。分液ロートで有機部分を分離した後、20g
の硫酸マグネシウムで12時間乾燥し、その後ろ過す
る。このろ液を減圧蒸留(122℃、2mmHg)し
て、純度98%の1,5−ジシクロヘキシル−1,1,
3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサンを収率9
0%で得た。この得られた1,5−ジシクロヘキシル−
1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン
の物性等の評価結果を表1に示す。
【0033】[実施例2]原料として、シクロヘキサノ
ールと1,5−ジクロロ−1,1,3,3,5,5−ヘ
キサメチルトリシロキサンとを用い、反応条件を若干マ
イルドにした以外は、実施例1と同様にして、化学式
[1]で表されるシリコーン変性物(A)を得た。得ら
れたシリコーン変性物(A)は、化学式[1]におい
て、Rは、シクロヘキシル基であり、Rは、メチル
基であり、Xは、酸素原子であり、nは、1〜5の混合
したものであり、この物性等の評価結果も表1に示す。
【0034】[比較例1]上記、実施例1、2と比較す
るため、低温流動性向上剤として、市販のジメチルシリ
コーン油も、評価した。この物性等の評価結果も表1に
示す。
【0035】
【表1】
【0036】3.トラクションドライブ流体組成物 [実施例3]トラクションドライブ流体組成物におい
て、基油と低温流動性向上剤の全量基準で、基油として
の2,4−ジシクロヘキシル−2−メチルペンタン90
重量%に、低温流動性向上剤として、実施例2で合成し
たシリコーン変性物(A)10重量%を配合したトラク
ションドライブ流体組成物を調製し、さらに、トラクシ
ョンドライブ流体組成物全量基準で、各種添加剤、すな
わち、酸化防止剤(アルキル化ジフェニルアミン)、摩
耗防止剤(酸性リン酸エステル)、清浄分散剤(コハク
酸イミド)及び金属不活性化剤(ベンゾトリアゾール)
の一定量、合計3.41重量%を処方した。トラクショ
ンドライブ流体組成物の組成及び物性の測定結果を表2
に示す。
【0037】[実施例4〜10]表2に示すような基油
及び低温流動性向上剤の配合割合で、実施例3と同様な
方法にてトラクションドライブ流体組成物を調製し、い
ずれも実施例3と同様の添加剤を同量処方した。尚、実
施例7〜10には、分子量が1000のポリブテンを配
合している。トラクションドライブ流体の組成及び物性
の測定結果を表2に示す。
【0038】[比較例2〜4]比較例2は、表2に示す
ような基油、すなわち2,4−ジシクロヘキシル−2−
メチルペンタンのみに、実施例3と同様の添加剤を同量
処方した。比較例3及び4は、表2に示すような基油及
び低温流動性向上剤の配合割合で、実施例3と同様な方
法にてトラクションドライブ流体組成物を調製し、いず
れも実施例3と同様の添加剤を同量処方した。これらの
トラクションドライブ流体の組成及び物性の測定結果を
表2に示す。
【0039】
【表2】
【0040】これらの評価結果から、低温流動性に優
れ、かつトラクション係数が高く、実用的に優れたトラ
クションドライブ流体組成物は、公知のトラクションド
ライブ流体に、低温流動性向上剤として特定構造のシリ
コーン変性物を配合することにより得られることが判明
した。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、低温流動性に優れ、か
つトラクション係数が高く、実用的に優れたトラクショ
ンドライブ流体組成物が提供される。本発明のトラクシ
ョンドライブ流体組成物は、自動車無段変速機等のトラ
クションドライブ装置において、動力を伝達するととも
に、転動体同士の直接の接触を防止する潤滑油としての
役割を果たす潤滑剤として使用することができる。ま
た、本発明のトラクションドライブ流体組成物は、トラ
クション係数が高く、低温流動性に優れ、実用的である
ため、装置の小型化及び信頼性に寄与することができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C10N 30:08 C10N 30:08 40:04 40:04 (72)発明者 吉村 成彦 埼玉県入間郡大井町西鶴ヶ岡一丁目3番1 号 東燃株式会社総合研究所内 (72)発明者 梅本 昇 埼玉県入間郡大井町西鶴ヶ岡一丁目3番1 号 東燃株式会社総合研究所内 (72)発明者 植田 文雄 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 窪野 一茂 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 鈴木 厚 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 Fターム(参考) 4H104 BA02A BJ03C CA04A EA03A EB05 EB07 EB08 EB09 EB11 EB13 LA01 LA04 PA03

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の化学式[1]で表されるトラクシ
    ョンドライブ流体用低温流動性向上剤。 【化1】 (式中、Rは、C〜C20の単環性若しくは二環性
    のシクロアルカン、又はそれらの環を有するアルキル基
    を示し、Rは、C〜Cのアルキル基を示す。ま
    た、Xは、酸素原子又はCOO基を示し、nは、1〜1
    0の整数である。)
  2. 【請求項2】 化学式[1]において、Rは、シクロ
    ヘキシル基であり、Rは、メチル基であり、Xは、酸
    素原子である請求項1記載の低温流動性向上剤。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2のいずれか1項に記載の
    低温流動性向上剤を含有することを特徴とするトラクシ
    ョンドライブ流体組成物。
  4. 【請求項4】 2,4−ジシクロヘキシル−2−メチル
    ペンタンからなる基油に、請求項1又は2のいずれか1
    項に記載の低温流動性向上剤を配合してなることを特徴
    とするトラクションドライブ流体組成物。
  5. 【請求項5】 配合割合は、基油60〜95重量%に対
    して、低温流動性向上剤5〜40重量%であることを特
    徴とする請求項4記載のトラクションドライブ流体組成
    物。
  6. 【請求項6】 さらに、平均分子量が300〜3500
    のポリブテンからなる基油を配合することを特徴とする
    請求項4記載のトラクションドライブ流体組成物。
  7. 【請求項7】 摩耗防止剤、極圧剤、摩擦調整剤、酸化
    防止剤、粘度指数向上剤、清浄分散剤、金属不活性化
    剤、消泡剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の添
    加剤をトラクションドライブ流体組成物に配合すること
    を特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載のトラ
    クションドライブ流体組成物。
JP2000045362A 2000-02-23 2000-02-23 トラクションドライブ流体用低温流動性向上剤及びトラクションドライブ流体組成物 Expired - Fee Related JP3703358B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000045362A JP3703358B2 (ja) 2000-02-23 2000-02-23 トラクションドライブ流体用低温流動性向上剤及びトラクションドライブ流体組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000045362A JP3703358B2 (ja) 2000-02-23 2000-02-23 トラクションドライブ流体用低温流動性向上剤及びトラクションドライブ流体組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001234185A true JP2001234185A (ja) 2001-08-28
JP3703358B2 JP3703358B2 (ja) 2005-10-05

Family

ID=18567959

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000045362A Expired - Fee Related JP3703358B2 (ja) 2000-02-23 2000-02-23 トラクションドライブ流体用低温流動性向上剤及びトラクションドライブ流体組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3703358B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6623399B2 (en) 2001-12-28 2003-09-23 Dow Corning Corporation Traction fluids
JP2004315611A (ja) * 2003-04-14 2004-11-11 Sanyo Chem Ind Ltd 流動点降下剤
JP2005281524A (ja) * 2004-03-30 2005-10-13 Railway Technical Res Inst 潤滑剤組成物
KR101457602B1 (ko) 2012-10-12 2014-11-07 (주) 칼톤테크 자동변속기유 조성물

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6623399B2 (en) 2001-12-28 2003-09-23 Dow Corning Corporation Traction fluids
JP2004315611A (ja) * 2003-04-14 2004-11-11 Sanyo Chem Ind Ltd 流動点降下剤
JP2005281524A (ja) * 2004-03-30 2005-10-13 Railway Technical Res Inst 潤滑剤組成物
JP4553182B2 (ja) * 2004-03-30 2010-09-29 財団法人鉄道総合技術研究所 潤滑剤組成物
KR101457602B1 (ko) 2012-10-12 2014-11-07 (주) 칼톤테크 자동변속기유 조성물

Also Published As

Publication number Publication date
JP3703358B2 (ja) 2005-10-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3261340B2 (ja) 潤滑油組成物
JP3520198B2 (ja) 潤滑油組成物
JP2001234185A (ja) トラクションドライブ流体用低温流動性向上剤及びトラクションドライブ流体組成物
JPS62283192A (ja) 合成トラクシヨン用フル−ド
EP3766946B1 (en) Lubricating oil composition, method for producing lubricating oil composition, and continuously variable transmission
FR2687165A1 (fr) Lubrifiant pour automobile.
JP4416921B2 (ja) トラクションドライブ用流体
JP4340420B2 (ja) 架橋飽和環を有するエステル化合物を含有するトラクションドライブ用流体組成物
JPS62177098A (ja) トラクシヨンフル−ド
JP2956944B2 (ja) 多機能性耐摩耗性添加剤としての硫黄結合ヒドロカルビル誘導メルカプトベンゾチアゾール付加物およびそれを有する組成物
JP4256996B2 (ja) トラクションドライブ流体用低温流動性向上剤、トラクションドライブ流体組成物及び該低温流動性向上剤の製造方法
JP4287993B2 (ja) エーテル化合物及びエーテル化合物を含有するトラクションドライブ用流体組成物
JPS62283195A (ja) 合成トラクシヨンフル−ド
JP2003129076A (ja) トラクションドライブ用流体組成物
EP0328642B1 (en) Traction fluid
JP3282880B2 (ja) シクロヘキシルメチルシリコーンを用いたトラクションドライブ用流体
JPH0323593B2 (ja)
JP6077954B2 (ja) ポリ(メタ)アクリレート系粘度指数向上剤、並びに該粘度指数向上剤を含有する潤滑油添加剤及び潤滑油組成物
JP3775986B2 (ja) トラクションドライブ用流体
JP2003183682A (ja) トラクションドライブ用流体
JPS62153395A (ja) トラクシヨン用流体
JP2016030803A (ja) 潤滑油
JP3977635B2 (ja) エステル化合物を含有するトラクションドライブ用流体組成物
WO2016039235A1 (ja) 潤滑油添加剤および潤滑油組成物
JP2000239682A (ja) トラクションドライブ流体

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Effective date: 20050601

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Effective date: 20050628

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050719

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees