JP2001233240A - 車両の衝撃吸収構造 - Google Patents
車両の衝撃吸収構造Info
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Abstract
もって車両の衝突時に所期の衝撃吸収作用を確実に発揮
できる車両の衝撃吸収構造を提供する。 【解決手段】 断面多角形の筒状をなすように一体成形
された衝撃吸収部材14を、サイドメンバ部材2の前部
から前方に延びるように配設し、この衝撃吸収部材14
を固定手段16によりサイドメンバ部材2に固定する。
サイドメンバ部材2に対して衝撃吸収部材14を別体と
することで、サイドメンバ部材2の材質や板厚等の制
約、或いはサイドメンバ部材2の製造方法等の制約を受
けることなく、衝撃吸収部材14を最適な材質及び板厚
に、且つ、最適な成形方法を適用して理想的な断面形状
に成形する。
Description
突エネルギを吸収するためにサイドメンバの前部に設け
られた車両の衝撃吸収構造に関するものである。
バの前端には衝撃吸収部材が設けられ、車両の前突時に
衝撃吸収部材を積極的に圧壊させることにより、フロン
トサイドメンバへの衝突エネルギの波及を防止してダメ
ージ低減を図っている。この種の車両の衝撃吸収構造と
しては、例えば特開平9−86438号公報に記載のも
のを挙げることができ、この衝撃吸収構造では、サイド
メンバ本体とクロージングプレートとを溶接接合して前
後方向に延びる閉断面をなすフロントサイドメンバを形
成し、そのフロントサイドメンバの前端に衝撃吸収部材
を一体的に設けている。衝撃吸収部材は、サイドメンバ
本体及びクロージングプレートをプレス成形する際に同
時に成形され、その後の溶接接合に伴って目的の断面形
状とされる。
部材の断面形状は、衝突時の圧壊状態、ひいては衝撃吸
収作用に大きく影響するため、車両設計時に定めた所期
の衝撃吸収作用を得るには、衝撃吸収部材を目標の断面
形状に正確に成形することが非常に重要となる。しかし
ながら、上記した公報に記載の衝撃吸収構造では、フロ
ントサイドメンバと一体で衝撃吸収部材を成形している
ため、同一の製造方法(上記のようにプレス成形部品を
溶接接合している)に制約されてしまい、結果として衝
撃吸収部材を理想的な断面形状に成形できないという問
題があった。
断面形状に形成し、もって車両の衝突時に所期の衝撃吸
収作用を確実に発揮させることができる車両の衝撃吸収
構造を提供することにある。
め、請求項1の発明では、車両の前後方向に延びるサイ
ドメンバ部材と、断面多角形の筒状をなすように一体成
形されて、サイドメンバ部材の前部から前方に延びるよ
うに配設された衝撃吸収部材と、衝撃吸収部材をサイド
メンバ部材に固定する固定手段とを備えた。
収部材を別体としているため、サイドメンバ部材の材質
や板厚等の制約を受けることなく、最適な材質及び板厚
で衝撃吸収部材を製造可能となり、しかも、衝撃吸収部
材を単体で製造可能なため、サイドメンバ部材の製造方
法に制約されることなく、最適な成形方法、例えばハイ
ドロフォーム成形法やバルジ成形法等を適用して、衝撃
吸収部材を理想的な断面形状に成形可能となる。
に延びるサイドメンバ部材と、折曲げ成形された一対の
分割体を接合して該接合部の少なくとも一部を連続溶接
して断面多角形の筒状をなし、サイドメンバ部材の前部
から前方に延びるように配設された衝撃吸収部材と、衝
撃吸収部材をサイドメンバ部材に固定する固定手段とを
備えた。
収部材を別体としているため、サイドメンバ部材の材質
や板厚等の制約を受けることなく、最適な材質及び板厚
で衝撃吸収部材を製造可能となり、しかも、衝撃吸収部
材を単体で製造可能なため、サイドメンバ部材の製造方
法に制約されることなく、分割体を折曲げ成形方法によ
り成形して、衝撃吸収部材を理想的な断面形状に成形可
能となる。更に、この折曲げ成形方法、及び分割体を接
合するための溶接は、安価な設備投資で実施可能であ
る。
乗用車の衝撃吸収構造に具体化した第1実施形態を説明
する。図1は第1実施形態の車両の衝撃吸収構造を示す
分解斜視図、図2は左側のフロントサイドメンバを示す
分解斜視図、図3は衝撃吸収部材の組付状態を示す斜視
図であり、図1において左方が車両の前方に該当してい
る。尚、図示はしないが、右側のフロントサイドメンバ
の構成は、図2に示す左側のものに対して左右対称の同
一構成となっている。
対のサイドメンバ1が配設され、各サイドメンバ1は、
サイドメンバ部材としての前側のフロントサイドメンバ
2、及び後側のリアサイドメンバ3から構成されてい
る。両リアサイドメンバ3は上方に開口する凹状断面を
なして、車両のフロア等の形状に応じて上下に起伏して
折曲されており、車幅方向に配設された断面円形状をな
す計4本のクロスパイプ4により相互に結合されてい
る。これらのリアサイドメンバ3上には、3分割された
フロントフロアパン5とリアフロアパン6とが配設さ
れ、リアサイドメンバ3は内部に前後方向に閉断面を形
成した状態で、これらのフロアパン5,6の下面に溶接
固定されている。
れ車幅方向の外側のアウタパネル7と内側のインナパネ
ル8とから構成されている。アウタパネル7及びインナ
パネル8はプレス成形にて製作され、周囲に形成された
フランジ部7a,7a及びフランジ部8a,8aをスポ
ット溶接により相互に接合されて、内部に前後方向に閉
断面を形成している。これらのフロントサイドメンバ2
はリアサイドメンバ3と連続するように溶接されると共
に、両フロントサイドメンバ2は、車幅方向に配設され
た断面四角形状をなす1本のクロスメンバ9により相互
に結合されている。又、両フロントサイドメンバ2上に
は、ラジエータサポート10とダッシュパネルユニット
11とが溶接固定され、これらの部材によりエンジンル
ームが形成されている。
イドメンバ2は略四角状の断面形状をなし、その前端側
には除変部12を介して断面八角形状の連結部13が形
成されている。除変部12の後側は断面四角形状をな
し、前側は断面八角形状をなしているため、フロントサ
イドメンバ2から連結部13までの断面形状は緩やかに
変化している。各フロントサイドメンバ2の連結部13
には、前方より断面八角形状で、長さ400mm程度の筒
状をなす衝撃吸収部材14が外嵌されている。
材との結合状態を示す図3のIV−IV線断面図であり、こ
の図に示すように、衝撃吸収部材14の後部両側には溶
接孔15が形成され、この溶接孔15を介して連結部1
3の外面にプラグ溶接が施され、その結果形成された固
定手段としての溶接部16により、衝撃吸収部材14が
フロントサイドメンバ2の前端に固定されている。左右
の衝撃吸収部材14の間には前記したクロスパイプ4と
同様のクロスパイプ17が配設され、このクロスパイプ
17の左右両端は、衝撃吸収部材14の前部両側に形成
された嵌入孔18内に挿入されて溶接固定され、これに
より左右の衝撃吸収部材14が相互に結合されている。
材の製造手順、及びフロントサイドメンバへの組立手順
を説明する。衝撃吸収部材14はハイドロフォーム成形
法を利用して一体的に成形されている。即ち、図5は衝
撃吸収部材の素材を示す断面図であるが、例えば外寸D
1が100mm、肉厚T1が1.2mmの衝撃吸収部材14
を成形する場合には、外径D2が42mm、肉厚T2が
1.8mmの筒状の素材Sを成形に用いる。そして、素材
Sを衝撃吸収部材14の断面と対応する成形型内に配置
して、素材S内に水圧を作用させると、素材Sは拡径さ
れると共に肉厚が減少し、結果として図4に示す目的の
断面八角形状に成形される。
部材14をフロントサイドメンバ2の連結部13に外嵌
してプラグ溶接により固定すると共に、両衝撃吸収部材
14の嵌入孔18内にクロスパイプ17の両端を挿入し
て溶接固定すると、この箇所の組立が完了する。ここ
で、成形時には加工硬化により素材Sの機械的性質が改
善されるため、衝突エネルギの吸収のために衝撃吸収部
材14に要求される機械的性質を前提とし、素材Sとし
ては、改善分を見込んで機械的性質が劣る材質のものを
用いることができる。詳述すると、車両の前突時の衝撃
吸収作用は一般に座屈強さで表されるが、ここでは、座
屈強さと相関する、より一般的な引張強さを基準として
素材Sの材質面での選択を行う。本出願人が実施した試
験では、例えば上記した例の寸法変化を生じさせて衝撃
吸収部材14を拡管製造する場合、衝撃吸収部材14の
引張強さが拡管製造前と拡管製造後とで約30%程度改
善されることを確認した。つまり、機械的性質のそれほ
ど高くない素材S、換言すれば安価な素材Sを使用し
て、要求される衝撃吸収能力を有する衝撃吸収部材14
が得られるのである。
4が座屈を受けて圧壊し、その際に衝突エネルギを吸収
することにより、フロントサイドメンバ2への衝突エネ
ルギの波及を防止してダメージが低減される。ここで、
衝撃吸収部材14の断面を八角形状としているのは、例
えば円形状や四角形状に比較して高い衝撃吸収作用が得
られるためであり、衝突時には主に衝撃吸収部材14の
計8箇所の角部が座屈に抗して圧壊することで衝撃吸収
作用が奏される。この断面形状としては八角形状に限ら
ず、六角形状や四角形状としてもよいのであるが、何れ
の場合でも目的の正確な断面形状(例えば、多角形のエ
ッジが明確に形成された断面形状等)に成形することが
非常に重要となる。そして、本実施形態では上記のよう
にハイドロフォーム成形法により、衝撃吸収部材14が
極めて正確な断面形状に成形される。
構造では、フロントサイドメンバ2に対して衝撃吸収部
材14を別体としているため、フロントサイドメンバ2
の材質や板厚等の制約を受けることなく、最適な材質及
び板厚で衝撃吸収部材14を製造できる。しかも、フロ
ントサイドメンバ2の製造方法(上記のようにプレス成
形部品を溶接接合している)とは全く関係なく、衝撃吸
収部材14を単体で製造するため、例えば特開平9−8
6438号公報に記載された技術のように、衝撃吸収部
材をフロントサイドメンバと一体で成形する故に、衝撃
吸収部材の製造方法がフロントサイドメンバと同一の製
造方法に制約されてしまうことは一切ない。
て衝撃吸収部材14を理想的な断面形状に成形でき、も
って、所期の衝撃吸収作用を確実に発揮させることがで
きる。尚、以上の説明ではハイドロフォーム成形法を適
用しているが、衝撃吸収部材14の成形法はこのハイド
ロフォームに限定されるものではなく、例えば周知のバ
ルジ成形法を用いてもよい。
によれば、機械的性質に劣る安価な素材Sを使用して、
要求される衝撃吸収能力を有する衝撃吸収部材14を製
造可能なため、結果として製造コストの低減を達成でき
るという利点もある。 [第2実施形態]次に、本発明を具体化した乗用車の衝
撃吸収構造の第2実施形態を説明する。
は、第1実施形態のものに比較して衝撃吸収部材21の
構成、及びそのフロントサイドメンバ2への取付構造が
相違しており、その他の構成は第1実施形態と同様であ
る。よって、同一構成の箇所は重複する説明を省略し、
相違点を重点的に説明する。図6は第2実施形態の車両
の衝撃吸収構造を示す分解斜視図、図7はフロントサイ
ドメンバと衝撃吸収部材との結合状態を示す図6のVII
−VII線断面図である。これらの図に示すように、本実
施形態の衝撃吸収部材21は左右一対の分割体22から
構成され、各分割体22は、八角形の5辺を構成して互
いに対向して開口する断面形状をなし、重複する2つの
辺22aを相互に重ね合わせて接合されて、第1実施形
態と同様の断面八角形状の筒状をなす衝撃吸収部材21
を構成している。衝撃吸収部材21の後部両側にはボル
ト孔23が形成され、又、このボルト孔23と対応し
て、フロントサイドメンバ2の連結部13にはナット部
24が溶接されている。衝撃吸収部材21は連結部13
に外嵌され、ナット部24を利用してボルト25により
固定されている。尚、本実施形態では、ボルト孔23、
ナット部24及びボルト25により固定手段が構成され
ている。
個別に成形され、成形後に重複する2つの辺22aを重
ね合わせた状態で、レーザ溶接等により長手方向全体に
亘って連続溶接される。即ち、第1実施形態と同じく、
この第2実施形態の衝撃吸収部材21もフロントサイド
メンバ2とは全く関係なく単体で製造される。従って、
フロントサイドメンバ2の材質や板厚等の制約を受ける
ことなく、衝撃吸収部材21を最適な材質及び板厚で製
造できると共に、フロントサイドメンバ2の製造方法に
制約されることなく、折曲げ成形を適用して理想的な断
面形状に成形でき、もって、所期の衝撃吸収作用を確実
に発揮させることができる。
るための折曲げ成形法、及び成形後の分割体22を接合
するためのレーザ溶接は、第1実施形態で衝撃吸収部材
14の成形に用いたハイドロフォーム成形法に比較し
て、実施のための設備投資が遥かに安価である。よっ
て、第1実施形態に比較して製造コストをより一層低減
することができる。尚、この第2実施形態においては、
分割体22の2つの辺22aを重ね合わせた状態で長手
方向全体に亘って連続溶接したが、必ずしも長手方向全
体に亘って連続溶接する必要はなく,所期の衝撃吸収作
用を発揮できれば、少なくとも一部のみが連続するよう
に溶接してもよい。又、短く連続溶接する箇所を長手方
向全体において複数箇所設けるようにしてもよい。
の態様はこの実施形態に限るものではない。例えば、上
記各実施形態では乗用車の衝撃吸収構造に具体化した
が、その適用車種は乗用車に限定されるものではなく、
ワゴンやワンボックス車両に適用してもよい。又、上記
各実施形態では衝撃吸収部材14,21を断面八角形状
としたが、その断面形状は任意に変更可能であり、例え
ば断面六角形状や断面四角形状としてもよい。
14をフロントサイドメンバ2に対してプラグ溶接で固
定し、第2実施形態では衝撃吸収部材21をボルト固定
したが、必要な取付強度が得られるならば固定方法は限
定されず、例えば第1実施形態と第2実施形態の固定方
法を交換してもよい。
両の衝撃吸収構造によれば、サイドメンバ部材に対して
衝撃吸収部材を別体とすることにより、サイドメンバ部
材の材質や板厚等の制約、或いはサイドメンバ部材の製
造方法等の制約を受けることなく、衝撃吸収部材を最適
な材質及び板厚に、且つ、最適な成形方法を適用して理
想的な断面形状に成形でき、もって、所期の衝撃吸収作
用を確実に発揮させることができる。
によれば、サイドメンバ部材に対して衝撃吸収部材を別
体とすることにより、サイドメンバ部材の材質や板厚等
の制約、或いはサイドメンバ部材の製造方法等の制約を
受けることなく、衝撃吸収部材を最適な材質及び板厚
に、且つ、最適な成形方法を適用して理想的な断面形状
に成形でき、もって、所期の衝撃吸収作用を確実に発揮
することができ、しかも、安価な設備投資で実施可能な
折曲げ成形方法や溶接で製造されるため、製造コストを
低減することができる。
斜視図である。
である。
状態を示す図3のIV−IV線断面図である。
斜視図である。
状態を示す図6のVII−VII線断面図である。
材) 14,21 衝撃吸収部材 16 溶接部(固定手段) 22 分割体 23 ボルト孔(固定手段) 24 ナット部(固定手段) 25 ボルト(固定手段)
Claims (2)
- 【請求項1】 車両の前後方向に延びるサイドメンバ部
材と、 断面多角形の筒状をなすように一体成形されて、上記サ
イドメンバ部材の前部から前方に延びるように配設され
た衝撃吸収部材と、 上記衝撃吸収部材を上記サイドメンバ部材に固定する固
定手段とを備えたことを特徴とする車両の衝撃吸収構
造。 - 【請求項2】 車両の前後方向に延びるサイドメンバ部
材と、 折曲げ成形された一対の分割体を接合して該接合部の少
なくとも一部を連続溶接して断面多角形の筒状をなし、
上記サイドメンバ部材の前部から前方に延びるように配
設された衝撃吸収部材と、 上記衝撃吸収部材を上記サイドメンバ部材に固定する固
定手段とを備えたことを特徴とする車両の衝撃吸収構
造。
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