JP2001232451A - 連続鋳造鋳片の直送圧延方法 - Google Patents

連続鋳造鋳片の直送圧延方法

Info

Publication number
JP2001232451A
JP2001232451A JP2000042099A JP2000042099A JP2001232451A JP 2001232451 A JP2001232451 A JP 2001232451A JP 2000042099 A JP2000042099 A JP 2000042099A JP 2000042099 A JP2000042099 A JP 2000042099A JP 2001232451 A JP2001232451 A JP 2001232451A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
slab
temperature
continuous casting
casting machine
rolling
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2000042099A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3555538B2 (ja
Inventor
Mikio Suzuki
幹雄 鈴木
Masayuki Nakada
正之 中田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NKK Corp, Nippon Kokan Ltd filed Critical NKK Corp
Priority to JP2000042099A priority Critical patent/JP3555538B2/ja
Publication of JP2001232451A publication Critical patent/JP2001232451A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3555538B2 publication Critical patent/JP3555538B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 鋼板に表面疵を発生させることなく、又、鋳
造後の鋳片加熱を必要としない程度まで鋳片温度を高め
ることができる直送圧延方法を確立する。 【解決手段】 C濃度が0.07wt%以下で、Mn濃
度とS濃度との比が50以下の成分である連続鋳造鋳片
1の直送圧延方法であって、鋳片の凝固率が10〜50
%の鋳片を10℃/sec以上の冷却速度で連続鋳造機
内で冷却して、その表面温度を700℃以下まで低下さ
せると共に700℃以下で15秒間以上保持し、次い
で、冷却速度を調整して鋳片表面を900℃以上に復熱
させた後に鋳片を平板状に矯正し、その後、この鋳片を
連続鋳造機出側の切断機にて所定長さに切断し、切断後
30分以内に熱間圧延する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、連続鋳造機により
鋳造された無手入れの高温鋳片を直接熱間圧延する、あ
るいは表面温度を中心温度と同じにする程度の保温・加
熱を行った後に熱間圧延して鋼板を製造する、所謂直送
圧延方法に関し、詳しくは、表面性状に優れた鋼板を製
造することができる直送圧延方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】連続鋳造鋳片の表層部には、縦割れ、横
割れ、ノロカミ、ブローホール等の表面欠陥があり、連
続鋳造鋳片を無手入れのまま直送圧延する場合、鋳片に
はこれらの表面欠陥が無いことが前提条件であり、その
ため、これらの表面欠陥を回避するために様々な技術が
開発されて直送圧延が実施されている。
【0003】しかし、連続鋳造鋳片の直送圧延を行う上
で最も重要なことは、鋳造した鋳片を熱間圧延が可能な
温度で圧延機に搬送すること、換言すれば連続鋳造機で
いかにして鋳片温度を高く維持するかである。鋳造した
鋳片を全く加熱せずに熱間圧延できれば、直送圧延の省
エネルギー効果が最大となる。そのため、連続鋳造機で
は二次冷却を弱めてできるだけ鋳片温度が低下しないよ
うにして圧延温度を確保している。
【0004】しかし、鋳造から熱間圧延まで鋳片が高温
のまま保持されると、相変態の機会がないので、鋳片に
は凝固時に生成した粒径が数mmのオーステナイト組織
がそのまま残留する。又、オーステナイト粒界には溶質
元素が偏析し、析出物が形成されている。このように、
結晶粒が大きく且つ結晶粒界に析出物が形成されるた
め、オーステナイト粒界が脆くなり、熱間強度が低下
し、熱間圧延時に割れを発生して鋼板の表面疵となる。
【0005】この問題を解決する手段として、特開平2
−37941号公報には連続鋳造機の矯正点までの二次
冷却ゾーンで、鋳片表面温度を一旦フェライト相析出温
度まで下げてフェライト相を析出させ、その後復熱させ
て再度オーステナイト領域まで昇温させ、鋳片表層部の
オーステナイト粒径を0.5mm以下として熱間圧延す
る直送圧延方法が開示されている。同号公報によれば、
鋳片の割れ感受性を弱めることができ、鋼板の表面割れ
が防止可能としている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
2−37941号公報では鋳片の冷却速度、フェライト
相析出温度での保持時間、フェライト相析出温度まで冷
却時の鋳片の凝固率等の条件が明確でなく、場合によっ
ては相変態を起こすことができなかったり、又、鋳片を
過剰に冷却して鋳片温度を下げ過ぎ、省エネルギー効果
を損なう場合が発生する。
【0007】更に、本発明者等の検討結果では、オース
テナイト領域に復熱後、その温度で長時間保持すると、
粒界への溶質元素の再分配により粒界偏析が再度起こ
り、鋼板の表面疵が発生することを確認しており、従っ
て、オーステナイト領域に復熱してから熱間圧延までの
時間を規定する必要があるが、同号公報ではこれを規定
しておらず、鋼板に表面疵を発生させる危険性がある。
【0008】本発明は上記事情に鑑みなされたもので、
その目的とするところは、連続鋳造鋳片を直送圧延して
鋼板を製造する際に、鋼板に表面疵を発生させることな
く、又、鋳造後の鋳片加熱を必要としない程度まで鋳片
温度を高めることができる連続鋳造鋳片の直送圧延方法
を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】第1の発明による連続鋳
造鋳片の直送圧延方法は、C濃度が0.07wt%以下
で、Mn濃度とS濃度との比が50以下の成分である連
続鋳造鋳片の直送圧延方法であって、鋳片の凝固率が1
0〜50%の鋳片を10℃/sec以上の冷却速度で連
続鋳造機内で冷却して、その表面温度を700℃以下ま
で低下させると共に700℃以下で15秒間以上保持
し、次いで、冷却速度を調整して鋳片表面を900℃以
上に復熱させた後に鋳片を平板状に矯正し、その後、こ
の鋳片を連続鋳造機出側の切断機にて所定長さに切断
し、切断後30分以内に熱間圧延することを特徴とする
ものである。
【0010】第2の発明による連続鋳造鋳片の直送圧延
方法は、第1の発明において、前記連続鋳造機が垂直曲
げ型の連続鋳造機であり、連続鋳造機の上部矯正帯を通
過するまでに鋳片表面温度を700℃以下まで低下させ
ることを特徴とするものである。
【0011】本発明では、C濃度が0.07wt%以下
で、且つ、Mn濃度(wt%)とS濃度(wt%)との
比(Mn/S)が50以下の成分を有する鋼を対象とす
る。Mn/Sが50以下の鋼では、凝固後の冷却時に析
出する硫化物がFeとMnの複合硫化物((Fe・M
n)S)になり、溶質元素が偏析する結晶粒界ではこの
複合硫化物が生成し易い。この複合硫化物は複合硫化物
中のFe濃度により熱間圧延温度で液相となることがあ
る。そのため、Mn/Sが50以下の鋼は圧延中に特に
割れ易く、製品欠陥が発生して歩留まりが低下するとい
う問題が大きく、本発明はこの問題を解決するものであ
る。又、C濃度を0.07wt%以下に限定した理由
は、直送圧延には強度が低くて加工性が良い鋼が適して
おり、C濃度が0.07wt%以下になるとこの条件を
満たすためである。
【0012】本発明では表面温度が700℃以下になる
まで鋳片を冷却して、鋳片表層部をフェライト(以下
「α」と記す)相に一旦相変態させる。その際、700
℃以下で15秒間以上保持することで、少なくとも表層
部はα相に相変態して熱間圧延時の表面疵を防止するこ
とを確認している。次いで、冷却速度を弱めて未凝固相
の有する潜熱及び顕熱を利用して鋳片を900℃以上に
復熱させ、α相をオーステナイト(以下「γ」と記す)
相に相変態させる。このγ→α→γ変態により鋳片表層
部の結晶粒は凝固時の結晶粒に較べて大幅に微細化され
る。又、γ相の再結晶化によりγ粒が新たに生成するこ
とで、再結晶後の結晶粒界は凝固時に生成した結晶粒界
とは異なる位置になる。
【0013】その結果、鋼の高温脆化を大幅に改善する
ことができる。しかし、この効果は再結晶後高温のまま
長時間保持すると低下する。この理由は、再結晶後に高
温のまま長時間保持すると、粒界への溶質の再分配によ
り粒界偏析が再度起こり、圧延時の鋳片温度の降下によ
り前述のFeとMnの複合硫化物が析出し、これが凝固
後の冷却過程で生成するFeとMnの複合硫化物と同様
に圧延時の鋼板に割れを発生させるためである。
【0014】溶質の再分配が激しくなる前に圧延を開始
すれば、圧延中に鋳片温度が降下しても複合硫化物の析
出は少なく、圧延時の割れを防止できる。そこで、高温
状態で鋳片を保持した時、粒界に再度溶質元素が再分配
されるまでの時間を高温引張試験により調査した。
【0015】試験は次のようにして行った。C;0.0
4wt%、Si;0.01wt%、Mn;0.22wt
%、P;0.012wt%、S;0.08wt%、so
l.Al;0.032wt%の鋳片から切り出して作製
した引張試験片を室温から1420℃(δ相域)まで加
熱して溶体化処理した後、一旦700℃に冷却した。そ
の後再度加熱して1250℃に所定時間保持した。その
後1100℃まで冷却して引張試験を行った。1250
℃における保持時間と引張試験における断面収縮率との
関係から溶質元素の再分配を判定した。
【0016】調査結果を図1に示す。図1に示すように
1250℃における保持時間が長くなるにしたがい、試
験片の断面収縮率、即ち延性が低下し、30分以上保持
すると断面収縮率は50%以下になり脆化が激しくな
る。本発明では連続鋳造機出側の切断機で鋳片を切断
後、30分以内に熱間圧延を行うので、溶質の再分配に
よる脆化を防止することができる。
【0017】本発明では凝固率が10〜50%の、内部
に未凝固相を有する鋳片を強冷却するので、未凝固相の
潜熱及び顕熱により復熱時の温度上昇量を大きくするこ
と、換言すれば、高い鋳片温度で熱間圧延機に搬送する
ことができる。尚、凝固率とは鋳片厚みの半分に対する
凝固殻厚みの比率を百分率で表示したものであり、本発
明において凝固率を10〜50%の範囲に限定した理由
は、鋳型内の凝固を考慮すると凝固率が10%未満の状
態の鋳片を強冷却することが実質的に不可能であり、
又、凝固率が50%を越えると復熱が少なくなり、鋳片
を加熱することなく熱間圧延することが困難になるため
である。
【0018】そして、冷却速度が10℃/sec以上の
強冷却で鋳片を冷却するので、鋳片内部の温度を低下す
ることなく、鋳片表層部のみを効率良く冷却することが
でき、鋳片全体の熱容量を高く維持することができる。
又、700℃以下の温度での保持時間は15秒間を確保
すれば良く、この保持時間が短いので総抜熱量が少な
く、その後の復熱に及ぼす影響は極めて少なく、鋳片を
高い温度に復熱させることができる。
【0019】湾曲型連続鋳造機や垂直曲げ型連続鋳造機
では、連続鋳造機の湾曲部内の鋳片は矯正帯で円弧状か
ら平板状に矯正された後に切断される。この矯正時に矯
正応力により鋳片に横割れが発生することがある。本発
明で対象とする鋼は本来矯正応力による横割れの発生が
少ないが、本発明では鋼の脆性域より高温側の900℃
以上に復熱させてから矯正するので、横割れを完全に防
止することができる。
【0020】垂直曲げ型の連続鋳造機は介在物の浮上性
に優れており、直送圧延の省エネルギー効果を高めるた
め、高速鋳造を行っても高品質の鋳片を鋳造することが
できるので、垂直曲げ型の連続鋳造機を用いることが好
ましい。そして、垂直曲げ型連続鋳造機を用いた場合、
鋳片の十分な復熱量を確保するために、上部矯正帯を通
過するまでに鋳片表面温度を700℃以下まで低下させ
ることが好ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して本発明
を説明する。図2は本発明の実施の形態の例を示す図で
あって、垂直曲げ型のスラブ連続鋳造機の側面概要図で
ある。
【0022】C濃度が0.07wt%以下で、Mn濃度
とS濃度との比が50以下の成分である溶鋼を転炉や二
次精錬炉等により溶製し、この溶鋼を図2に示すように
連続鋳造機にて鋳造する。
【0023】浸漬ノズル5を介して鋳型6内に鋳造され
た溶鋼は、鋳型6内で冷却されて凝固殻3を形成し、内
部に未凝固相2を有する鋳片1として、鋳型6の下方に
設けたサポートロール7、ガイドロール8、及びピンチ
ロール9に支持されつつ、ピンチロール9の駆動力によ
り鋳型6の下方に連続的に引き抜かれる。この間鋳片1
は複数のガイドロール8からなる上部矯正帯10で平板
状から円弧状に曲げられ、又、複数のガイドロール8か
らなる下部矯正帯11で円弧状から平板状に曲げ戻され
る。鋳片1は、これらのロール間に設けられた水スプレ
ー又はエアーミストスプレーから構成される二次冷却帯
(図示せず)で冷却され、下方に引き抜かれつつ凝固殻
3の厚みを増大する。
【0024】上部矯正帯10の範囲には鋳片表層部を強
冷却するための強冷却装置4が設置されている。強冷却
装置4は、例えば水スプレーノズルで構成され、鋳片表
面1m2 当たりの1分間の冷却水量が200〜2000
lで、10℃/sec以上の冷却速度で鋳片表面を冷却
可能であり、通常の二次冷却帯に較べて鋳片表面を急速
に冷却することが可能な装置である。鋳型直下の鋳片1
を強冷却すると鋳型6と鋳片1との間隙に冷却水が入る
ことがあり危険であるので、強冷却装置4の上端は鋳型
6の下端から0.5m程度下方とすることが好ましい。
尚、強冷却装置4は水スプレーノズルに限るものではな
く、例えば鋳片表面に層流の冷却水を流すような冷却方
法としても良い。
【0025】この強冷却装置4を用いて鋳片表面を急速
に冷却し、鋳片表面温度を700℃以下まで低下させ、
700℃以下で15秒間以上保持する。保持時間は15
秒間以上であれば上限値は特に限定されないが、冷却し
過ぎると鋳片1の温度が下がり、直送圧延の省エネルギ
ー効果が低下するので60秒程度で十分である。又、強
冷却中の鋳片1の凝固率を10〜50%の範囲に制御す
る。図2のように強冷却装置4を鋳型6に近づけた場合
には、この条件は容易に達成されるが、強冷却装置4を
連続鋳造機の湾曲部に設置した場合には、この条件を満
足させるために、鋳片引き抜き速度及び鋳型直下から強
冷却装置4までの二次冷却強度を制御して凝固殻3の厚
みを調整することが必要である。
【0026】鋳片1が強冷却装置4を通過したならば二
次冷却強度を調整して、鋳片表面を復熱させる。鋳片1
は多量の未凝固相2を内部に有しているので、二次冷却
強度を調整することで、未凝固相2の凝固潜熱及び顕熱
により容易に復熱する。そして、連続鋳造機の湾曲部で
鋳片表面温度が900℃以上となるまで復熱させ、次い
で、下部矯正帯11で矯正する。
【0027】その後、鋳片中心部まで完全に凝固させ、
凝固した鋳片1を連続鋳造機出側に設置した切断機(図
示せず)で所定長さに切断し、高温の鋳片1を搬送台車
等により熱間圧延機に搬送して、鋳片切断後30分以内
に熱間圧延機にて圧延する。尚、鋳片1を熱間圧延機で
圧延する前に必要に応じて表面温度を中心温度と同じに
する程度の保温・加熱を行っても、又、同調カッターの
切断時に形成されるバリを除去しても良い。
【0028】このようにして直送圧延を行うことで、表
面疵が極めて少なく、表面性状に優れた鋼板を直送圧延
により製造することが可能となる。又、一旦鋳片表面を
700℃以下まで低下させるが、その後の復熱により鋳
片は容易に900℃以上となり、鋳造後の鋳片加熱を必
要としない程度まで鋳片温度を高めることができる。
【0029】尚、上記説明では垂直曲げ型の連続鋳造機
について説明したが、矯正帯が一箇所の湾曲型連続鋳造
機においても本発明を適用することができる。湾曲型連
続鋳造機の場合も強冷却装置4を鋳型付近に設け、凝固
率がなるべく小さい時期に強冷却することが好ましい。
【0030】
【実施例】垂直部長さが2.8m、連続鋳造機の湾曲部
の半径が10m、連続鋳造機の長さが42m、上部矯正
帯が2.8〜4.0mの範囲、下部矯正帯が18.0〜
22.0mの範囲である垂直曲げ型のスラブ連続鋳造機
を用い、C;0.03〜0.05wt%、Si;0.0
2wt%以下、Mn;0.015〜0.25wt%、
P;0.008〜0.015wt%、S;0.005〜
0.015wt%、sol.Al;0.025〜0.0
38wt%の化学成分の鋼を厚み250mmの鋳片に引
き抜き速度2.0〜2.3m/minで鋳造し、この鋳
片を熱間圧延して熱延コイルを製造した。尚、上記の垂
直部等の長さは鋳型内のメニスカスを起点にした長さで
ある。
【0031】その際に、連続鋳造機内の強冷却装置の設
置位置をメニスカスから1.5〜4mの上部矯正帯まで
の範囲(水準1)と、4〜8mの上部矯正帯を通過後の
湾曲部の範囲(水準2)の2水準に変更し、更に、鋳造
した鋳片を熱間圧延するまでのルートを、直送圧延する
場合(水準A)と一旦加熱炉に装入して1〜4時間加熱
してから熱間圧延する場合(水準B)の2水準で行い、
熱延コイルの表面疵に及ぼす影響を調査した。又、比較
のために、連続鋳造機で強冷却を行わずに鋳片表面温度
を900℃以上に保持して鋳造(水準3)した鋳片も水
準A及び水準Bの2水準のルートで搬送して熱間圧延
し、熱延コイルの表面疵を調査した。表1に各水準の連
続鋳造機における二次冷却条件を示し、表2に各水準の
熱間圧延までの鋳片搬送ルートを示す。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】3水準の二次冷却条件と2水準の鋳片搬送
ルートとの組合せにより合計6種のケースで熱延コイル
を製造し、製造した熱延コイルの表面疵を調査した。表
3に各ケースの連続鋳造から熱間圧延までの組合せを示
す。表3に示すように、ケース1及びケース2は二次冷
却条件が水準1で、ケース3及びケース4は二次冷却条
件が水準2で、ケース5及びケース6は二次冷却条件が
水準3であり、又、ケース1、ケース3、及びケース5
は鋳片搬送ルートが水準Aで、ケース2、ケース4、及
びケース6は鋳片搬送ルートが水準Bである。
【0035】
【表3】
【0036】図3は、ケース1及びケース2の条件で、
強冷却時の鋳片表面温度を700〜900℃の範囲に変
更して、強冷却時の鋳片表面温度と熱延コイルの表面疵
発生指数との関係を調査した結果を示す図である。図3
で明らかなように、強冷却により鋳片表面温度を700
℃まで低下させ且つ鋳片切断後直ちに熱間圧延した鋳片
では熱延コイルの表面疵が防止されるが、鋳片表面温度
が800℃以上の場合、及び、700℃まで鋳片表面温
度を低下させても鋳片切断後加熱炉に装入した場合には
熱延コイルに表面疵が発生した。この結果から、γ→α
→γ変態により鋳片表層部の結晶粒を微細化して熱延コ
イルの表面疵を防止するためには、鋳片を700℃以下
に低下し、その鋳片を鋳片切断から30分以内に圧延す
る必要があることが分かった。
【0037】図4は、ケース1において強冷却時の鋳片
表面温度を700℃及び800℃まで低下させ、その温
度での保持時間を変化させて保持時間と熱延コイルの表
面疵発生指数との関係を調査した結果を示す図である。
図4で明らかなように700℃における保持時間が15
秒間以上になると熱延コイルの表面疵が防止されること
が分かる。表面温度を800℃まで低下した鋳片では保
持時間を長くしても疵を防止することができなかった。
この結果から、γ→α→γ変態により鋳片表層部の結晶
粒を微細化して熱延コイルの表面疵を防止するために
は、鋳片を700℃以下に低下し、その温度で15秒間
以上保持する必要があることが分かった。
【0038】図5は、ケース1からケース6の各条件に
より製造した熱延コイルの表面疵を比較して示す図であ
る。ここで、ケース1〜ケース4では鋳片表面温度を一
旦700℃以下に低下し、その後、その温度で15秒間
以上保持してから復熱させている。ケース3では強冷却
装置が鋳型から離れた湾曲部に設置されているので鋳片
コーナー部の復熱量が少なく、熱間圧延時の鋳片コーナ
ー部の温度が低めであったが、鋳片を加熱炉に装入した
ケース2、ケース4、ケース6は当然ながら、直送圧延
したケース1及びケース5でも鋳片を加熱することなく
熱間圧延することができた。
【0039】図5から明らかなように、二次冷却条件を
同一として熱延コイルの表面疵を比較すると、加熱炉で
加熱したケースの方が表面疵が多発していた。又、γ→
α→γ変態のないケース5及びケース6では熱延コイル
に表面疵が多発した。ケース3は鋳片コーナーの温度が
低く、これが表面疵発生の原因となった可能性がある
が、表面疵の発生は抑えられていた。ケース1では切断
後鋳片を加熱することなく表面疵の少ない熱延コイルを
製造することができ、ケース1が最も優れた製造条件で
あることが分かった。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、C濃度が0.07wt
%以下で、Mn濃度とS濃度との比が50以下の連続鋳
造鋳片の直送圧延において、鋳片の凝固組織に起因する
熱延コイルの表面疵を完全に防止することが可能とな
る。又、一旦700℃以下まで鋳片表面を冷却するもの
の、限られた範囲で冷却すると共に多量に残留する未凝
固相の潜熱及び顕熱を利用して鋳片を復熱させるので、
鋳片を加熱することなく直送圧延することができ、省エ
ネルギー効果を増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】高温引張試験における1250℃での保持時間
と断面収縮率との関係を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態の例を示す図であって、垂
直曲げ型のスラブ連続鋳造機の側面概要図である。
【図3】ケース1及びケース2の条件で強冷却時の鋳片
表面温度と熱延コイルの表面疵発生指数との関係を調査
した結果を示す図である。
【図4】ケース1において700℃及び800℃での保
持時間を変化させ、保持時間と熱延コイルの表面疵発生
指数との関係を調査した結果を示す図である。
【図5】ケース1からケース6の条件により製造した熱
延コイルの表面疵を比較して示す図である。
【符号の説明】
1 鋳片 2 未凝固相 3 凝固殻 4 強冷却装置 5 浸漬ノズル 6 鋳型 7 サポートロール 8 ガイドロール 9 ピンチロール 10 上部矯正帯 11 下部矯正帯

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C濃度が0.07wt%以下で、Mn濃
    度とS濃度との比が50以下の成分である連続鋳造鋳片
    の直送圧延方法であって、鋳片の凝固率が10〜50%
    の鋳片を10℃/sec以上の冷却速度で連続鋳造機内
    で冷却して、その表面温度を700℃以下まで低下させ
    ると共に700℃以下で15秒間以上保持し、次いで、
    冷却速度を調整して鋳片表面を900℃以上に復熱させ
    た後に鋳片を平板状に矯正し、その後、この鋳片を連続
    鋳造機出側の切断機にて所定長さに切断し、切断後30
    分以内に熱間圧延することを特徴とする連続鋳造鋳片の
    直送圧延方法。
  2. 【請求項2】 前記連続鋳造機が垂直曲げ型の連続鋳造
    機であり、連続鋳造機の上部矯正帯を通過するまでに鋳
    片表面温度を700℃以下まで低下させることを特徴と
    する請求項1に記載の連続鋳造鋳片の直送圧延方法。
JP2000042099A 2000-02-21 2000-02-21 連続鋳造鋳片の直送圧延方法 Expired - Fee Related JP3555538B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000042099A JP3555538B2 (ja) 2000-02-21 2000-02-21 連続鋳造鋳片の直送圧延方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000042099A JP3555538B2 (ja) 2000-02-21 2000-02-21 連続鋳造鋳片の直送圧延方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001232451A true JP2001232451A (ja) 2001-08-28
JP3555538B2 JP3555538B2 (ja) 2004-08-18

Family

ID=18565215

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000042099A Expired - Fee Related JP3555538B2 (ja) 2000-02-21 2000-02-21 連続鋳造鋳片の直送圧延方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3555538B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006116591A (ja) * 2004-10-25 2006-05-11 Jfe Steel Kk 鋼の鋳造方法
JP2007181861A (ja) * 2006-01-06 2007-07-19 Sumitomo Metal Ind Ltd 連続鋳造鋳片
JP2009522110A (ja) * 2006-01-11 2009-06-11 エス・エム・エス・デマーク・アクチエンゲゼルシャフト 連続鋳造をするための方法及び装置
KR101623242B1 (ko) 2013-12-24 2016-05-20 주식회사 포스코 초내식성 듀플렉스 스테인리스강 및 그 제조방법
CN113275532A (zh) * 2021-05-25 2021-08-20 重庆钢铁股份有限公司 预防连铸板坯纵裂纹漏钢的方法

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006116591A (ja) * 2004-10-25 2006-05-11 Jfe Steel Kk 鋼の鋳造方法
JP4613579B2 (ja) * 2004-10-25 2011-01-19 Jfeスチール株式会社 鋼の鋳造方法
JP2007181861A (ja) * 2006-01-06 2007-07-19 Sumitomo Metal Ind Ltd 連続鋳造鋳片
JP2009522110A (ja) * 2006-01-11 2009-06-11 エス・エム・エス・デマーク・アクチエンゲゼルシャフト 連続鋳造をするための方法及び装置
US8522858B2 (en) 2006-01-11 2013-09-03 Sms Siemag Aktiengesellschaft Method and apparatus for continuous casting
US8596335B2 (en) 2006-01-11 2013-12-03 Sms Siemag Aktiengesellschaft Method and apparatus for continuous casting
KR101623242B1 (ko) 2013-12-24 2016-05-20 주식회사 포스코 초내식성 듀플렉스 스테인리스강 및 그 제조방법
CN113275532A (zh) * 2021-05-25 2021-08-20 重庆钢铁股份有限公司 预防连铸板坯纵裂纹漏钢的方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3555538B2 (ja) 2004-08-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5893769B2 (ja) ストリップ鋳造法による550MPa級高強度耐候性鋼帯の製造方法
JP5893768B2 (ja) ストリップ鋳造法による700MPa級高強度耐候性鋼の製造方法
JP5893770B2 (ja) ストリップ連続鋳造法による700MPa級高強度耐候性鋼の製造方法
JP6872616B2 (ja) 耐水素誘起割れ性に優れた圧力容器用鋼材及びその製造方法
JP5531109B2 (ja) 双ロール式薄板鋳造工程により製造されたマルテンサイト系ステンレス鋼及びその製造方法
JP2014505172A (ja) 熱間圧延平鋼製品の製造方法
JP6484716B2 (ja) リーン二相系ステンレス鋼及びその製造方法
JP2019527774A (ja) 材質ばらつきが少なく表面品質に優れた高強度熱延鋼板及びその製造方法
JP2007160341A (ja) 鋼の連続鋳造設備及び連続鋳造方法
JP3555538B2 (ja) 連続鋳造鋳片の直送圧延方法
KR102482121B1 (ko) 박판 강판의 제조 장치 및 박판 강판의 제조 방법
JP7332859B2 (ja) スラブの製造方法
JP3575400B2 (ja) 連続鋳造鋳片の直送圧延方法
JP2007245232A (ja) 連続鋳造鋳片の表面割れ防止方法
KR101286213B1 (ko) 마르텐사이트계 스테인리스 박판의 주조 방법 및 마르텐사이트계 스테인리스 박판의 주조 장치
JP2001137901A (ja) 連続鋳造鋳片のホットチャージ圧延方法
JP2004237291A (ja) 連続鋳造鋳片の製造方法及びその鋳片を加工した鋼材
JPH0810919A (ja) 含ニッケル鋼の連続鋳造方法
JP3298519B2 (ja) 水素性欠陥のない鋼板およびその製造方法
JP2872034B2 (ja) 薄鋳片の製造方法
JP2022175638A (ja) スラブ鋳片の連続鋳造方法
KR100331233B1 (ko) 스케일의기계적박리성이고탄소강선재의제조방법
JP2004237292A (ja) 連続鋳造鋳片の製造方法
JPH06246414A (ja) 高炭素鋼の連続鋳造方法
JPS63278647A (ja) 連続鋳造薄鋳片の巻取り方法

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040127

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040325

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040420

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040503

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 3555538

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090521

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090521

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100521

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110521

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120521

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120521

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130521

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140521

Year of fee payment: 10

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees