JP2022175638A - スラブ鋳片の連続鋳造方法 - Google Patents

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Makoto Ishii
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慎 高屋
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Abstract

【課題】設備および鋼種の制約を受けにくくして、スラブ鋳片の表面割れを抑制することができる連続鋳造方法を提供する。【解決手段】この連続鋳造方法では、垂直曲げ型または湾曲型の連続鋳造機を用い、950℃以下のAr3変態点を有するスラブ鋳片を鋳造する。この連続鋳造方法は、急冷工程と、復熱工程と、矯正工程とを含む。急冷工程では、急冷帯(8)におけるスラブ鋳片(4)に比水量Qを0.4~0.95(L/kg-steel)として水を吹き付けることにより、スラブ鋳片(4)の表面温度をAr3変態点以下に下げる。復熱工程では、復熱帯(9)におけるスラブ鋳片(4)に比水量Qを0.1~0.2(L/kg-steel)として水を吹き付けながら、スラブ鋳片(4)の表面温度をAr3変態点以上に回復させる。矯正工程では、矯正部(7)において950℃以上の表面温度を有するスラブ鋳片を矯正する。【選択図】図1

Description

本発明は、スラブ鋳片の連続鋳造方法に関し、特に、厚鋼板を製造するためのスラブ鋳片の連続鋳造方法に関する。
厚鋼板は、連続鋳造により得られるスラブ鋳片(以下、単に、「スラブ」ともいう。)から製造される。この際、スラブの表面に割れ(以下、「表面割れ」という。)が生じることがある。垂直曲げ型または湾曲型の連続鋳造機により、厚鋼板用のスラブを製造する場合には、表面割れとして、鋳造方向にほぼ垂直な方向に沿う割れが生じやすい。この割れは、「横割れ」又は「横ひび割れ」と称される。横割れは、スラブが矯正部を通過するとき、すなわち、スラブにおいて湾曲した部分を平板状に伸ばすときに生じる。これは、矯正部では、スラブの表面近傍にかかる応力が、スラブを構成する鋼材固有の限界応力を超えるためである。
スラブを構成する材料の熱間延性は、ある温度域において低い。以下、熱間延性が低下する温度域を「脆化温度域」という。脆化温度域は、スラブの表面を基準とした温度では、たとえば、600~850℃の範囲である。矯正部におけるスラブの温度が脆化温度域にあれば、横割れが生じやすい。このため、従来の連続鋳造方法では、矯正部におけるスラブの温度は、脆化温度域を回避、すなわち、脆化温度域よりも低くまたは高くなるように制御されることがあった。このような制御は、スラブの二次冷却(水冷)の条件を適切に設定することにより行うことができる。
しかし、連続鋳造の操業条件、たとえば、鋳造速度、二次冷却の条件等が変動することにより、スラブの表面温度は変化する。このため、脆化温度域が広く、横割れを生じやすい鋼種のスラブを連続鋳造する際には、矯正部におけるスラブの温度を高くまたは低くする上述の方法によっては、横割れの発生を抑制できないことがあった。
特許文献1では、矯正部におけるスラブの温度を、脆化温度域を回避するように制御しなくても、横割れを抑制できる連続鋳造方法が提案されている。具体的には、特許文献1の連続鋳造方法では、鋳型直下でのスラブの二次冷却により、スラブの表面温度を一旦Ar変態点以下に下げ、スラブの表面付近に微細組織を形成する。微細組織により、横割れの発生が抑制される。この技術は、鋳型直下急冷復熱法(SSC;Surface Structure Control cooling)と称される。鋳型直下急冷復熱法によって、表面から深さ数mm程度までの領域に微細組織を形成することができ、この領域に割れが生じることを抑制できる。
特許文献2には、厚鋼板用の連続鋳造スラブ(鋳片)が開示されている。このスラブでは、長辺面(連続鋳造時にロールと接触する面)から深さ方向に20~30mmまでの範囲において、γ粒径(オーステナイト相の結晶粒の径)は2mm未満である。すなわち、特許文献2のスラブでは、SSCにより製造される一般的なスラブに比して、より深い領域まで微細組織が形成されている。これにより、特許文献2のスラブは、横割れが生じ難くなっている。このように表面から深い領域まで微細組織が形成されたスラブは、鋳型直下でのスラブの二次冷却を強化することにより得られる。
特開2002-086252号公報 特開2015-182110号公報
特許文献1の連続鋳造方法では、スラブの表面から7mmまでの範囲(以下、「表層」という。)に微細組織を形成することができる。しかし、それより深い領域(以下、「表層下」という。)には、必ずしも微細組織を形成することができない。この場合、スラブの矯正部で、表層下に割れが生じ得る。表層下で生じる割れは、「表層下割れ」と称される。表層下割れは、発生する位置、発生する密度等により、鋳造工程以降での圧延時にスラブの表面まで到達(伝搬)し、開口して、表面割れとなることがある。近年、鋼の高品質化が要求されている。この要求に応えるためには、表層下割れに起因する表面割れの発生を抑制する必要がある。
特許文献2の連続鋳造スラブは、スラブの鋼種によっては、製造できないことがある。また、特許文献2の連続鋳造スラブを製造可能な条件は、用いる設備によっては実現できない場合がある。
特許文献1および2のいずれにおいても、表層下割れについての記載はなく、表層下割れに起因する表面割れについては、なんら考慮されていない。本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、設備および鋼種の制約を受けにくくして、スラブ鋳片の表面割れを抑制することができる連続鋳造方法を提供することである。
本発明の実施形態の連続鋳造方法は、鋳型の出口から鋳造方向に沿って順に、急冷帯、復熱帯および矯正部を有し、前記急冷帯が前記鋳型の出口から2.5mまでの範囲内にある垂直曲げ型または湾曲型の連続鋳造機を用い、950℃以下のAr変態点を有するスラブ鋳片を連続鋳造する方法であって、
前記急冷帯における前記スラブ鋳片に下記式(A)で定義される比水量Qを0.4~0.95(L/kg-steel)とした条件で水を吹き付けることにより、前記スラブ鋳片の表面温度をAr変態点以下に下げる急冷工程と、
前記復熱帯における前記スラブ鋳片に前記比水量Qを0.1~0.2(L/kg-steel)とした条件で水を吹き付けながら、前記スラブ鋳片の表面温度をAr変態点以上に回復させる復熱工程と、
前記矯正部において950℃以上の表面温度を有する前記スラブ鋳片を矯正する矯正工程と、を含む、連続鋳造方法である。
Q=W/(H×D×Vc×ρ)・・・(A)
ここで、
W:前記スラブ鋳片に吹き付ける水量(L/分)
H:前記スラブ鋳片の幅(m)
D:前記スラブ鋳片の厚さ(m)
Vc:鋳造速度(m/分)
ρ:溶鋼の密度(kg-steel/m
である。
本発明の実施形態の連続鋳造方法によれば、設備および鋼種の制約を受けにくくして、スラブ鋳片の表面割れを抑制することができる。
図1は、本発明の実施形態の連続鋳造方法を実施するために用いることができる連続鋳造機の断面図である。 図2は、復熱帯における比水量と、表層下割れの平均個数との関係を示す図である。 図3は、表層下割れの平均個数と、降格率との関係を示す図である。 図4は、急冷帯における比水量と微細部厚さとの関係を示す図である。 図5は、微細部厚さと降格率との関係を示す図である。
本明細書で、「スラブ」とは、溶鋼が完全に凝固した部分のみならず、鋳造方向において、溶鋼と、溶鋼が凝固して得られるシェルとが共存する部分も含むものとする。スラブにおいて「表層」とは、スラブの表面から深さ7mmまでの領域をいう。また、スラブにおいて「表層下」とは、スラブの表面から7mmよりも深い領域をいう。「表層」および「表層下」のいずれに関しても、鋳造後未加工の状態のスラブの表面を基準とする。たとえば、連続鋳造を実施した後、スラブ表面の手入れ(溶削または研削)を行う場合は、連続鋳造実施後、手入前の表面を基準として、「表層」および「表層下」を規定する。
表層下の代表位置は、スラブの表面から10mmの深さ位置とする。これに基づき、たとえば、「表層下の温度」とは、スラブの表面から10mmの深さ位置における温度をいうものとする。表面割れには、表層で生じた割れ、および表層下割れがスラブの表面に到達したものが含まれる。
本発明者らは、表層下割れに関する試験および検討を行った結果、以下の知見を得た。
(i)従来の連続鋳造方法では、矯正部における表層下の温度が低く、これにより、表層下割れが発生することが多かった。矯正部において、表層下の温度を十分に高くすれば、必ずしも、表面から深い領域まで微細組織を形成しなくても、表層下割れの発生を抑制できる。
(ii)矯正部における表層下の温度は、復熱帯、すなわち、スラブにおいて急冷帯の下流側の部分に供給する水量(比水量)により制御することができる。
(iii)微細組織が表面から深い領域まで形成されているほど、鋳造工程以降での圧延時に表層下割れが表面に到達することを抑制できる。
本発明は、以上の知見に基づいて完成したものである。本発明の実施形態の連続鋳造方法は、鋳型の出口から鋳造方向に沿って順に、急冷帯、復熱帯および矯正部を有し、急冷帯が鋳型の出口から2.5mまでの範囲内にある垂直曲げ型または湾曲型の連続鋳造機を用い、950℃以下のAr変態点を有するスラブ鋳片を連続鋳造する方法である。この連続鋳造方法は、急冷工程と、復熱工程と、矯正工程とを含む。急冷工程では、急冷帯におけるスラブ鋳片に下記式(A)で定義される比水量Qを0.4~0.95(L/kg-steel)とした条件で水を吹き付けることにより、スラブ鋳片の表面温度をAr変態点以下に下げる。復熱工程では、復熱帯におけるスラブ鋳片に比水量Qを0.1~0.2(L/kg-steel)とした条件で水を吹き付けながら、スラブ鋳片の表面温度をAr変態点以上に回復させる。矯正工程では、矯正部において950℃以上の表面温度を有するスラブ鋳片を矯正する。
Q=W/(H×D×Vc×ρ)・・・(A)
ここで、
W:スラブ鋳片に吹き付ける水量(L/分)
H:スラブ鋳片の幅(m)
D:スラブ鋳片の厚さ(m)
Vc:鋳造速度(m/分)
ρ:溶鋼の密度(kg-steel/m
である。
この連続鋳造方法によれば、復熱帯における比水量は、従来の連続鋳造方法の復熱帯における比水量に比して低減されている。これにより、矯正工程において、スラブ鋳片の表面温度を950℃以上とし、表層下の温度を950℃より高くすることができる。その結果、表層下での割れ、およびこの割れに起因する表面割れの発生を抑制できる。このような効果を得るにあたって、設備および鋼種の制約を受けにくい。
急冷工程における比水量Qは0.85~0.95(L/kg-steel)であることが好ましい。この場合、スラブ鋳片の表面近傍に、微細組織を厚く形成することができる。これにより、表層下で発生した割れが、鋳造工程以降での圧延時にスラブ鋳片の表面に到達することを抑制できる。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。以下で、化学組成についての「%」は、質量%を意味する。
[連続鋳造機]
本実施形態の連続鋳造方法では、垂直曲げ型または湾曲型の連続鋳造機を用いる。これらの連続鋳造機は、スラブ鋳片(以下、単に、「スラブ」という。)において湾曲した部分を水平な平板状に矯正する矯正部を有する。本実施形態の連続鋳造方法は、スラブの矯正を行わない連続鋳造機、たとえば、垂直型の連続鋳造機を用いた連続鋳造方法は対象とはしない。
図1は、本発明の実施形態の連続鋳造方法を実施するために用いることができる、垂直曲げ型の連続鋳造機の断面図である。連続鋳造機1は、鋳型2と、複数対のサポートロール5とを備えている。鋳型2内には、図示しないタンディッシュに備えられた浸漬ノズル3を介して溶鋼Mが供給される。溶鋼Mにおいて鋳型2に隣接する部分は、凝固してシェル4sとなる。鋳型2下端の出口(開口)からは、スラブ4が、図示しないピンチロールにより引き出される。鋳型2の近傍では、スラブ4は、シェル4sと、その内部の溶鋼Mとを含む。スラブ4に占める溶鋼Mの割合は、鋳造方向に沿って、鋳型2から離れるほど少なくなり、鋳型2からある程度離れた位置で0になる。
連続鋳造機1は、鋳型2の出口から鋳造方向に沿って、順に、急冷帯8、復熱帯9、および矯正部7を有する。急冷帯8は、鋳型2の出口から2.5mの範囲内にある。連続鋳造機1は、図示しない二次冷却スプレーノズル群(複数の二次冷却スプレーノズル)をさらに備えている。急冷帯8、および復熱帯9では、二次冷却スプレーノズル(以下、単に、「スプレーノズル」という。)群により、スラブ4に水(冷却水)を吹き付けることができる。復熱帯9は、急冷帯8と矯正部7との間に配置されたスプレーノズルにおいて、急冷帯8の下流側端部に配置されたスプレーノズルに最も近いスプレーノズルと矯正部7の上流側端部に配置されたロールに最も近いスプレーノズルとの間の範囲である。
スプレーノズルは、スラブ4の一方表面および他方表面、すなわち、各サポートロール5対を構成する一方のロールおよび他方のロールにそれぞれ対向する面に近接して設けられている。この実施形態では、急冷帯8および復熱帯9の各々について、スラブ4の一方表面側に設けられたスプレーノズルの数と、スラブ4の他方表面側に設けられたスプレーノズルの数とは、ほぼ同じである。スプレーノズルによりスラブ4に吹き付けられる水の量として、急冷帯8および復熱帯9の各々で、スラブ4の一方表面に対する比水量と他方表面に対する比水量とは、ほぼ同じである。
サポートロール5は、鋳型2直下の領域では、垂直方向に配列されている。そして、鋳型2から遠くなるに従い、サポートロール5の配列方向は、徐々に変わり、最終的に水平方向となる。スラブ4は、各対のサポートロール5の間を、サポートロール5に支持されて移動する。したがって、スラブ4の形状は、サポートロール5が垂直に配列されている部分(垂直部)、およびサポートロール5が水平に配列されている部分(水平部)では、平板状(ストレート)である。垂直部と水平部との間の部分(湾曲部)では、スラブ4は湾曲している。
連続鋳造機1において、垂直部から湾曲部へ移行する曲げ部6では、平板状のスラブ4を湾曲させるように、スラブ4に力が働く。また、湾曲部から水平部へ移行する矯正部7では、湾曲したスラブ4を平板状に伸ばすように、スラブ4に力が働く。本実施形態のように、連続鋳造機1が垂直曲げ型である場合は、急冷帯8は垂直部に含まれ、曲げ部6は復熱帯9に含まれる。連続鋳造機が湾曲型である場合は、急冷帯および復熱帯は、湾曲部に含まれる。
[連続鋳造方法]
本実施形態の連続鋳造方法は、急冷工程と、復熱工程と、矯正工程とを含む。この連続鋳造方法では、Ar変態点が950℃以下である鋼種のスラブ4を鋳造する。スラブ4の鋼種は、Ar変態点の要件を満たす限り特に限定されないが、たとえば、JISのSM490(SM490A、SM490BもしくはSM490C)またはSM570として規定される組成、強度等を有する。
SM490Aは、
C:0.20以下、
Si:0.55%以下、
Mn:1.65%以下、
P:0.035%以下、および
S:0.035%以下
を含有し、残部はFeおよび不純物からなる。
SM490は、JIS G3106で規定される強度等の要件(たとえば、SM490Aで、引張強さが490~610N/mmであること)を満たす限り、上記以外の任意の種類および量の添加元素を含有し得る。
SM570は、
C:0.18%以下、
Si:0.55%以下、
Mn:1.70%以下、
P:0.035%以下、および
S:0.035%以下
を含有し、残部はFeおよび不純物からなる。
SM570は、JIS G3106で規定される強度等の要件(たとえば、引張強さが570~720N/mmであること)を満たす限り、上記以外の任意の種類および量の添加元素を含有し得る。
後述のように、本実施形態の連続鋳造方法により、割れ感受性が高い鋼種、たとえば、Ni含有量が0.6%以上であるか、N含有量が0.0040%以上である鋼種についても、スラブの表面割れを抑制できるという効果を奏することができる。SM490およびSM570を含め、この方法で連続鋳造する対象の鋼種は、任意添加元素または不純物として、1.0%以下のNi、および0.0080%以下のNを含有していてもよい。
〈急冷工程〉
急冷工程では、急冷帯8におけるスラブ4に下記式(A)で定義される比水量Qを0.4~0.95(L/kg-steel)とした条件で水を吹き付ける。これにより、スラブ4の表面温度を、スラブ4のAr変態点以下に下げる。
Q=W/(H×D×Vc×ρ)・・・(A)
ここで、
W:スラブ4に吹き付ける水量(L/分)
H:スラブ4の幅(図1の断面に垂直な方向の長さ)(m)
D:スラブ4の厚さ(図1の断面でスラブ4の長さ方向に直交する方向の長さ)(m)
Vc:スラブ4の鋳造速度(スラブ4を引き出す速度)(m/分)
ρ:スラブ4の溶鋼Mの密度(kg-steel/m
である。
急冷帯8には、複数のスプレーノズルが含まれる。また、本実施形態のように、連続鋳造機1が曲げ部6を有する場合は、連続鋳造機1は、曲げ部6より上流側(鋳型2に近い側)に、急冷帯8を有する。
溶鋼過熱度は、たとえば、15~50℃である。鋳造速度Vcは、たとえば、0.5~0.8(m/分)である。比水量Qは、単位質量(kg)あたりのスラブ(steel)4に供給する水の量(L(リットル))である。急冷工程でスラブ4に供給する水量Wは、急冷帯8でスラブ4に吹き付けられる、単位時間あたりの水量(L/分)である。急冷帯8に複数のスプレーノズルが設けられている場合は、水量Wは、これらのスプレーノズルにより供給される水量の合計であり、スラブ4の一方表面および他方表面に対する水量を含む(後述の復熱工程についても、同様)。急冷工程でスラブ4に供給する水量Wは、たとえば、2800~3200(L/分)である。急冷帯では、スラブ4の表面は、700~1000℃の温度域を、たとえば、8~12℃/秒の冷却速度で冷却される。
スラブ4の表面割れは、スラブ4の厚さDが250mm以上である場合、特に、厚さDが300mm以上である場合に生じやすい。本実施形態の連続鋳造方法において、スラブ4の厚さDは特に限定されない。もっとも、本実施形態の連続鋳造方法は、厚さDが250mm以上、特に300mm以上である場合に、表面割れを効果的に抑制することができる。
急冷帯8における水の吹き付けにより、少なくとも急冷帯8の下流側端部(復熱帯9より上流側で、復熱帯9に最も近いスプレーノズル近傍の位置)において、スラブ4の表面温度を、スラブ4を構成する鋼のAr変態点より低い温度に下げる。これにより、スラブ4において、少なくとも表層、すなわち、実質的に表面から深さ7mmまでの領域の全体に、微細組織が形成される。「微細組織」とは、オーステナイト粒界(γ粒界)が不明瞭なフェライトおよびパーライトの混合した凝固組織をいう。
急冷工程における比水量Qが0.4(L/kg-steel)未満であれば、スラブ4の表層に、微細組織が十分に形成されなくなる。急冷工程における比水量Qが0.95(L/kg-steel)を超えれば、スラブ4の表面近傍に、過冷却による割れが発生するおそれがあるとともに、後述の復熱工程および矯正工程においてスラブ4の表面温度が所定の温度まで回復しないおそれがある。
急冷工程における比水量Qは、0.85~0.95(L/kg-steel)とすることが好ましい。これにより、微細組織を、スラブ4の表面から7mmを超える領域、すなわち、表層から表層下の一部に渡る領域に形成することができる。
〈復熱工程〉
復熱工程では、復熱帯9におけるスラブ4に、比水量Qを0.1~0.2(L/kg-steel)とした条件で水を吹き付ける。これにより、スラブ4の表面温度を、スラブ4のAr変態点以上に回復させる。スラブ4の表面温度は、少なくとも復熱帯9の下流側端部(矯正部7より上流側で、矯正部7に最も近いスプレーノズル近傍の位置)において、スラブ4のAr変態点より高い温度に回復していればよい。復熱工程でスラブ4に供給する水量Wは、たとえば、500~600(L/分)である。復熱帯9には、少なくとも1つのスプレーノズルが含まれる。復熱帯9には、複数のスプレーノズルが含まれることが好ましい。
復熱工程における比水量Qが0.1(L/kg-steel)未満であれば、復熱によりスラブ4の温度が高くなりすぎる。これにより、設備負荷が大きくなり、設備、特に、サポートロール5を含む各種ロールの寿命が短くなる。復熱工程における比水量Qが0.2(L/kg-steel)を超えれば、復熱帯9の下流側端部においても、スラブ4の表面温度が、スラブ4を構成する鋼のAr変態点より高い温度に回復しないおそれがある。
〈矯正工程〉
矯正工程では、矯正部7において、950℃以上の表面温度を有するスラブ4を矯正する。スラブ4の表面温度は、矯正部7の上流側端部と下流側端部との間に渡って、950℃以上であることが好ましい。しかし、矯正部7の上流側端部と下流側端部との間の一部において、スラブ4の表面温度は950℃未満であってもよい。
上述のように、復熱帯9の下流側端部は、矯正部7に最も近いスプレーノズルが配置されている位置であるため、復熱帯9の下流側端部と矯正部7の上流側端部とが離間している場合がある。この場合、通常、復熱帯9の下流側端部から矯正部7の上流側端部までの間で、復熱により、スラブ4の表面温度は上昇する。
スラブ4の表面温度は、復熱帯9の下流側端部において950℃以上であってもよい。この場合、スラブ4の表面温度は、通常、スラブ4が矯正部7に到達するまで950℃以上に維持される。また、復熱帯9の下流側端部において、スラブ4の表面温度はAr変態点以上950℃未満であってもよい。この場合、スラブ4の表面温度は、スラブ4が矯正部7に到達するまで950℃以上に回復していればよい。
[効果]
急冷工程でスラブ4の表層に形成された微細組織は、急冷工程の後も維持される。したがって、矯正部7で矯正されるスラブ4の表層には、微細組織が形成されている。この微細組織により、矯正工程で表層に割れが生じることを抑制できる。また、スラブ4の温度は、表面から深い部分ほど高い。そして、スラブ4は、Ar変態点が950℃以下である鋼種からなることにより、矯正されるスラブ4の表層および表層下の温度は、いずれも、Ar変態点以上である。このような温度は、通常、脆化温度域より高い。このため、表層下で微細組織が形成されていない深さにおいても、割れ(表層下割れ)が生じることを抑制できる。
また、表層下割れが生じても、表層には微細組織が形成されているために、鋳造工程以降での圧下によっても、表層下割れはスラブ4の表面に到達しにくい。特に、急冷帯8における比水量Qが0.85~0.95(L/kg-steel)である場合は、スラブ4の表面から7mmを超える領域にまで微細組織が形成されているので、この領域に割れが生じることを抑制できるとともに、表層下割れが表面に到達することを十分に抑制することができる。このような効果は、矯正部7の上流側端部と下流側端部との間に渡ってスラブ4の表面温度が950℃以上である場合に、十分に得られる。
以上の効果は、割れ感受性が高い鋼種、たとえば、下記(a)および(b)の条件の少なくとも一方を満たす鋼種についても得られる。
(a)Ni含有量が0.6%以上である。
(b)N含有量が0.0040%以上である。
また、本実施形態において、急冷工程における比水量Q(0.4~0.95(L/kg-steel))等の製造条件(鋳造条件)は、一般的な連続鋳造機で実現可能である。したがって、この連続鋳造方法は、設備および鋼種の制約を受けにくくして、スラブの表面割れを抑制することができる。
本実施形態の効果を確認するため、溶鋼からスラブを連続鋳造する試験を行い、得られたスラブの表面割れ発生について調査した。この調査において、各試験時のスラブの表面温度は、コンピュータによるシミュレーションにより算出した。その際、各試験時の諸条件をコンピュータに入力して、シミュレーションを実施した。各試験時の諸条件は以下の通りであった。
本試験では、図1に示す構成の垂直曲げ型の連続鋳造機を用いた。この連続鋳造機について、垂直部の長さは2.5mであり、ストランド半径(湾曲部の曲率半径)は、9.4mであった。スラブに沿って鋳型の出口から矯正部までの距離は、15.4mであった。スラブに沿って、急冷帯は、鋳型の出口から0.0~1.0mの範囲であり、復熱帯は、鋳型の出口から1.0~15.4mの範囲とした。
表1に、スラブの化学組成を示す。表2に、急冷帯および復熱帯における比水量、ならびにスラブの評価結果を示す。比較例1~3の復熱帯における比水量は、従来の連続鋳造方法における一般的な比水量であった。スラブを構成する鋼のAr変態点は850~865℃であった。この鋼の脆化温度域は、600~1000℃であった。この脆化温度域の上限は、平均的な鋼種の脆化温度域の上限に比して高い。比水量を計算するにあたって、鋼の融液(溶鋼)の密度ρは、7.8(kg-steel/m)とした。
Figure 2022175638000002
Figure 2022175638000003
溶鋼過熱度は、30~50℃であった。鋳造速度Vcは、0.7m/分とした。鋳造したスラブの寸法は、厚さDが298~304mmであり、幅Hが2300mmであった。本発明例および比較例の各々について、複数本(たとえば、10本程度)のスラブを得た。
表2の「矯正部の表面温度」の欄には、矯正部におけるスラブ表面の平均温度を示す。本発明例では、いずれも、スラブの表面温度は、急冷帯の下流側端部ではAr変態点より低く、復熱帯の下流側端部ではAr変態点より高く、矯正部では950℃以上であった。一方、比較例では、スラブの表面温度は、急冷帯の下流側端部ではAr変態点より低かったが、復熱帯の下流側端部ではAr変態点より低く、矯正部では950℃未満であった。
微細組織を有する部分の厚さ(以下、「微細部厚さ」という。)、および表層下割れの平均個数を、以下の手順により求めた。まず、スラブを長さ方向に垂直に切断し、切断面を鏡面研磨した。この鏡面において、組織を観察し、微細部厚さ(スラブの当初の表面に垂直な方向の長さ)を、スラブの幅方向に関して100mmピッチで測定した。微細組織を有する部分とそれ以外の部分との間では、結晶粒の径が急激に変化するので、微細組織を有する部分を容易に特定することができる。
また、その鏡面において、浸透探傷を行った。より詳細には、その鏡面において、スラブの当初表面から15mmの深さ位置、すなわち、表層の下面から8mmの深さ位置に直線を引いた。そして、その直線を横切る割れの個数を、スラブの全幅(2300mm)に渡って測定した。表2の「表層下割れ」の欄に、100mmあたりの割れの個数を示す。
降格率は、以下の手順により求めた。本発明例および実施例の鋳造方法の各々について、製造したスラブを圧延して、複数の板材(厚鋼板)を得た。板材の個数をN0とし、板材のうち表面割れが発生しているものの数をN1として、N1/N0×100(%)を降格率とした。
本発明例および比較例のいずれのスラブにおいても、表層、すなわち、スラブの表面から7mmまでの範囲の全域に渡って、微細組織が形成されていた。表層下割れの数は、比較例について平均すると5.9個/100mmであったのに対して、本発明例について平均すると2.4個/100mmであった。すなわち、本発明例では、比較例に対して、表層下割れの数が半分以下であった。
図2は、復熱帯における比水量と、表層下割れの平均個数との関係を示す図である。復熱帯における比水量が小さいほど、表層下割れの平均個数は少なくなる。より詳細には、表層下割れの平均個数は、復熱帯における比水量が0.2L/kg-steel以下である場合(本発明例)は、5個/100mm以下であり、その大部分は、4個/100mm以下であった。これに対して、復熱帯における比水量が0.2L/kg-steelを超える場合(比較例)は、いずれも、表層下割れの平均個数は3個/100mm以上であった。
図3は、表層下割れの平均個数と、降格率との関係を示す図である。概ね、表層下割れの平均個数が少なくなるほど、降格率は低くなる。すなわち、表層下割れの平均個数が少ないほど、圧延ロールによる圧下により、表面に到達する表層下割れの個数は少なくなる。図2および図3の結果より、復熱帯における比水量が小さいほど、表面に到達する表層下割れの個数を少なくできることがわかる。
図4は、急冷帯における比水量と微細部厚さとの関係を示す図である。急冷帯における比水量が大きいほど、微細部厚さは大きくなる。図5は、本発明例について、微細部厚さと降格率との関係を示す図である。本発明例ではいずれも表層下割れの数が5個/100mm以下と同等であるところ、微細部厚さが厚くなるほど、表面割れは少なくなる。図4および図5の結果より、以下のことがわかる。すなわち、復熱帯における比水量を0.1~0.2L/kg-steelとする場合には、急冷帯における比水量を大きくして微細部厚さを大きくするほど、表層下割れを表面に到達しにくくすることができる。
この連続鋳造方法は、鋼の連続鋳造に広く適用できる。
1:連続鋳造機
2:鋳型
3:浸漬ノズル
4:スラブ
4s:シェル
5:サポートロール
6:曲げ部
7:矯正部
8:急冷帯
9:復熱帯
M:溶鋼

Claims (2)

  1. 鋳型の出口から鋳造方向に沿って順に、急冷帯、復熱帯および矯正部を有し、前記急冷帯が前記鋳型の出口から2.5mまでの範囲内にある垂直曲げ型または湾曲型の連続鋳造機を用い、950℃以下のAr変態点を有するスラブ鋳片を連続鋳造する方法であって、
    前記急冷帯において前記スラブ鋳片に下記式(A)で定義される比水量Qを0.4~0.95(L/kg-steel)とした条件で水を吹き付けることにより、前記スラブ鋳片の表面温度をAr変態点以下に下げる急冷工程と、
    前記復熱帯において前記スラブ鋳片に前記比水量Qを0.1~0.2(L/kg-steel)とした条件で水を吹き付けながら、前記スラブ鋳片の表面温度をAr変態点以上に回復させる復熱工程と、
    前記矯正部において950℃以上の表面温度を有する前記スラブ鋳片を矯正する矯正工程と、を含む、連続鋳造方法。
    Q=W/(H×D×Vc×ρ)・・・(A)
    ここで、
    W:前記スラブ鋳片に吹き付ける水量(L/分)
    H:前記スラブ鋳片の幅(m)
    D:前記スラブ鋳片の厚さ(m)
    Vc:鋳造速度(m/分)
    ρ:溶鋼の密度(kg-steel/m
    である。
  2. 請求項1に記載の連続鋳造方法であって、
    前記急冷工程における前記比水量Qが0.85~0.95(L/kg-steel)である、連続鋳造方法。
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