JP2001231490A - 醤油原料用丸大豆の製造方法及び装置 - Google Patents

醤油原料用丸大豆の製造方法及び装置

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竜一 黒江
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宗樹 山田
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啓介 竹澤
Toshio Furukawa
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高品質な醤油を製造するための原料を提供す
る。 【解決手段】過熱水蒸気が通気されている加熱パイプ
9、該加熱パイプ9の上流側18においてこれに連結さ
れ原料を系内へ供給する投入バルブ6、前記加熱パイプ
9の下流側13において連結され過熱水蒸気と原料とに
分離するサイクロン、10及び該サイクロン10の原料
排出口21に連結され原料を系外へ排出させる排出バル
ブ8よりなる原料加熱装置2、並びにその原料入口26
が前記排出バルブ8に連結された搾油機3で醤油原料製
造装置1を構成し、醤油の製造工程の前に原料の油分を
除去する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願発明は、醤油の原料となる丸
大豆の加熱処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】丸大豆の加熱処理方法として本出願人は
先に、「大豆の処理方法」(特開平2−174646)
を出願した。本出願は、丸大豆を割砕し水を加えた後蒸
煮圧力2.0kg/cm2・G以上で蒸煮する大豆の処理方法
である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の大豆の処理方法
は、排水処理が不要となり、また溶解利用率も向上する
等の効果があり有用な方法ではあった。しかし、大豆が
保有する油分がそのまま原料処理、製麹、仕込み、発酵
等の工程に持ち込まれることになる。この油分は、酸化
により醤油の品質を劣化させたり諸味の圧搾効率を悪く
するものであり、製成工程で分離されたものは通称醤油
油と称され、ボイラー等の燃焼用として利用されるか、
あるいは産業廃棄物として処理されているのが現状であ
る。さらに、大豆の油分は、原料中約20%(w/w)
含有されており、このまま原料中に含有させたままであ
ると本来不要の油の分量だけエネルギー損失、かつその
分量だけ大容量の設備が必要になる等解決すべき問題点
が残っていた。
【0004】そこで本願発明者は鋭意研究の結果、丸大
豆を過熱水蒸気により加熱処理した後搾油すれば、醤油
工程中に油分を持ち込むことなく、しかも搾油した油分
は精油としても利用することができること、及び本願発
明により得られた原料を用いれば麹の酵素活性、並びに
醤油の収量が向上することを知見して本願発明を完成さ
せた。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち本願発明は、丸
大豆を割砕し過熱水蒸気により加熱した後搾油すること
を特徴とする醤油原料用丸大豆の製造方法であり、また
過熱水蒸気が通気されている加熱パイプ、該加熱パイプ
の上流部においてこれに連結され原料を系内へ供給する
投入バルブ、前記加熱パイプの下流部において連結され
過熱水蒸気と原料とに分離するサイクロン、及び該サイ
クロンの原料排出口に連結され原料を系外へ排出させる
排出バルブよりなる原料加熱装置、並びにその原料入口
が前記排出バルブに連結された搾油機とから構成される
ことを特徴とする醤油原料用丸大豆の製造装置である。
【0006】
【発明の実施の形態】本願発明で用いられる丸大豆は、
丸大豆そのままか脱皮したものを適宜な方法例えば割砕
機、粉砕機等で割砕する。この場合割砕する前に適度例
えば水分7%前後に乾燥することにより割砕が容易とな
り、割砕後の発熱、結露、ブリッジ現象等を防止するこ
とができる。丸大豆の割砕の度合いは、あまり粗い割砕
であると加熱した場合内部が未変性となったり、またあ
まり細かすぎると搾油の効果が悪くなる。両者の調和を
考慮し、粒度が全部そろえば理想的であるが、6メッシ
ュの粒度が65〜85%(w/w)程度存在する割砕度
合いであればよい。
【0007】次ぎにこのようにして得られた割砕丸大豆
を過熱水蒸気により加熱処理するわけであるが、過熱水
蒸気の気流中に該大豆を投入して加熱処理する方法が好
適に利用できる。加熱処理の条件は、過熱水蒸気の圧力
が2〜10kg/cm2・G、温度が172〜250℃、そし
て加熱時間は3秒〜3分が適当である。このように過熱
水蒸気の気流に乗せて割砕丸大豆を加熱処理すると、加
熱が短時間で可能なため油分の劣化が少なく、かつ無酸
素下であるため割砕丸大豆全体の酸化も防止できる。
【0008】そして次ぎに加熱処理された割砕丸大豆を
絞り搾油するわけであるが、搾油手段は通常の搾油機を
利用すればよく、その後冷却し団塊状になった割砕丸大
豆をほぐし、醤油原料として利用する。
【0009】次ぎに添付図面に従って本願発明をさらに
詳細に説明する。図1において、1は醤油原料製造装置
で、主に原料加熱装置2、搾油機3、冷却機4、及び解
砕機5より構成されている。原料加熱装置2は、投入バ
ルブ6、気流式加熱機7、及び排出バルブ8より構成さ
れている。気流加熱機7は、過熱水蒸気が通気され原料
を気流輸送しながら加熱処理する加熱パイプ9、加熱処
理後の原料と過熱水蒸気を分離するサイクロン10、過
熱水蒸気を循環させる送風機11、及び循環する過熱水
蒸気を加熱するスーパーヒータ12より構成されてい
る。加熱パイプの9の下流側13はサイクロン10のガ
ス入口14と、サイクロン10のガス出口15は送風機
11の吸引口16と、さらに送風機11の吐出口17と
加熱パイプ9の上流側18は、過熱水蒸気循環パイプ1
9によりそれぞれ連通連結され、スーパーヒータ12
は、循環パイプ19に介装される。
【0010】一方加熱パイプ9の上流側18は、原料投
入パイプ20が分岐されていて、そこに投入バルブ6が
設置される。また、排出バルブ8は、サイクロン10の
原料排出口21に設置され、その下流側には膨化缶22
と定量排出バルブ23が順次連結されている。この膨化
缶22は、加圧部である加熱パイプ9から急激に放出さ
れる原料の衝撃を吸収するためのもので、加圧部の圧力
が低くその衝撃が弱い場合は必ずしも設置する必要はな
い。27は循環パイプ19に連結された飽和水蒸気の供
給パイプで、消費された水蒸気を補充しかつ系内の圧力
を維持するためのものである。
【0011】搾油機3は、特に型式は問わないが、例え
ば円筒状に形成されたケーシング24とその内部に回転
自在に設けられたスクリュー25より成るエキスペラー
式搾油機を好適に利用できる。そして搾油機3の原料入
口26は、前記定量排出バルブ23もしくは排出バルブ
8に連結される。そしてさらに、搾油機3のさらに下流
側には、冷却機4及び解砕機5が設けられており、搾油
機3で高温かつ団塊状になった原料は冷却されほぐされ
る。
【0012】
【作用】通常の割砕機で割砕された割砕丸大豆は、投入
バルブ6を通って過熱水蒸気が循環されている加熱パイ
プ9に投入され、過熱水蒸気の気流に乗り分散浮遊しな
がら加熱される。次いでサイクロン10により過熱水蒸
気から分離され、排出バルブ8、膨化缶22、及び定量
バルブ23を順次通って搾油機3に導入される。搾油機
3に導入された割砕丸大豆は、圧搾され原料から油分が
搾油され、その後割砕丸大豆は、さらに冷却次いで解砕
機5により割砕丸大豆はほぐされ醤油原料として利用さ
れる。
【0013】次ぎに本願発明の効果を実験例により数値
的に示す。
【実験例1】1.実験装置 (1)原料加熱装置:図1に示す装置(加熱管内径;5
4.9mm、長さ;60m) (2)搾油機:(株)スエヒロ製、型式;V−05S−A 2.実験条件 原料 原料:丸大豆 粒度:6メッシュ上が75.3% 供給量:85.5kg/hr (2)過熱水蒸気の条件 入口温度:215℃(図1のの温度) 出口温度:182℃(図1のの温度) 循環量:3.1m3/min 圧力:6.5kg/cm2・G (3)搾油条件 原料入口温度:90℃ 3.実験方法 (1)本願発明方法:上記作用の説明に従って実施した。 (2)従来の方法:本願発明方法から搾油の工程と、次の
解砕工程を省略した ※加水後の重量の比較は、製麹する場合は加水してから
実施するため加水後の重量の比較をした。 4.実験結果
【表1】 上記表1より製麹時の重量は、本願発明方法によるもの
の方が軽いため、製麹時に要するエネルギーは少量で済
み、設備も小型化できる。
【0014】
【実験例2】1.実験方法 実験例1で得られた本願発明により得られた醤油原料と
従来の方法により得られた醤油原料を各々用いて、常法
により製麹、仕込、圧搾等を実施し醤油を製造した。図
2は、本願発明による方法で原料処理したものを常法に
より醤油を製造するフローシートを示し、物質収支も記
載した。また図3は、従来方法により原料処理したもの
を同様に常法により醤油を製造するフローシートを示
し、物質収支も記載した。2.実験結果
【表2】 得られた麹を「アンソン−荻原法」により酵素活性を分
析した結果を表2に示す。表2より本願発明の方が、3
3%程度向上することがわかる。
【表3】
【表4】 次ぎに、得られた醤油すなわち収量等を表3に示す。ま
た、表4は醤油の収量に関し醤油のうまみ成分の指標と
なる総窒素量を同一に換算したものを示した。表4より
本願発明の方が収量において6%強増加することがわか
る。
【0015】
【実施例1】丸大豆を割砕し割砕丸大豆を用意する(6
メッシュ上が75.3%)。この割砕丸大豆を図1に示
す原料加熱装置2の加熱管(内径:54.9mm、長さ:
60m)9へ投入バルブ6を介して85.5kg/hrの割
合で投入する。加熱パイプ9には圧力6.5kg/cm2・G
で入口温度215℃に設定された過熱水蒸気が3.1kg
/hrの割合で循環されている。このときの出口温度は1
82℃であった。加熱処理された割砕丸大豆を搾油機3
に導き搾油し、脱脂された大豆を64.0kg/hr、大豆
油を7.9kg/hrの割合で得た。その後脱脂された大豆
を20℃に冷却後解砕し醤油原料として利用した。
【0016】
【発明の効果】本願発明は以上のように構成されてお
り、原料処理あるいは製麹等の醤油の加工工程に油分を
持ち込まないので省エネが達成でき、油分による醤油の
劣化も防止できる。また得られる醤油の収量も向上す
る。さらに製麹工程での酵素活性も向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の実施例を示す工程図
【図2】本願発明による醤油製造工程のフローシート
【図3】従来の方法による醤油製造工程のフローシート
【符号の説明】
1 醤油原料製造装置 2 原料加熱装置 3 搾油機 4 冷却機 5 解砕機 6 投入バルブ 7 気流式加熱機 8 排出バルブ 9 加熱パイプ 10 サイクロン 11 送風機 12 スーパーヒータ 19 循環パイプ 22 膨化缶 23 定量排出バルブ
フロントページの続き (72)発明者 竹澤 啓介 千葉県野田市野田250番地 キッコーマン 株式会社内 (72)発明者 古川 俊夫 千葉県野田市野田250番地 キッコーマン 株式会社内 Fターム(参考) 4B020 LC09 LG01 LP04 LP14 LP30 4B039 LC16 LG03 LP02 LP10 LP30

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】丸大豆を割砕し過熱水蒸気により加熱した
    後搾油することを特徴とする醤油原料用丸大豆の製造方
    法。
  2. 【請求項2】過熱水蒸気が通気されている加熱パイプ、
    該加熱パイプの上流部においてこれに連結され原料を系
    内へ供給する投入バルブ、前記加熱パイプの下流部にお
    いて連結され過熱水蒸気と原料とに分離するサイクロ
    ン、及び該サイクロンの原料排出口に連結され原料を系
    外へ排出させる排出バルブよりなる原料加熱装置、並び
    にその原料入口が前記排出バルブに連結された搾油機と
    から構成されることを特徴とする醤油原料用丸大豆の製
    造装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5977876B1 (ja) * 2015-10-23 2016-08-24 秋田県醗酵工業株式会社 醪の製造方法及び酒類又はしょう油の製造方法
CN107927709A (zh) * 2018-01-11 2018-04-20 福建农林大学 一种用过热蒸汽膨化的豆粕制曲酿造高鲜酱油的方法

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