JP2001228624A - パターン形成体の製造方法 - Google Patents

パターン形成体の製造方法

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JP2001228624A JP2000045126A JP2000045126A JP2001228624A JP 2001228624 A JP2001228624 A JP 2001228624A JP 2000045126 A JP2000045126 A JP 2000045126A JP 2000045126 A JP2000045126 A JP 2000045126A JP 2001228624 A JP2001228624 A JP 2001228624A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基板上に外部刺激により濡れ性が変化する濡
れ性可変層を、容易にパターン形成することができるパ
ターン形成体の製造方法を提供することを主目的とする
ものである。 【解決手段】 本発明は、基板上に外部刺激により濡れ
性が変化する濡れ性可変層を形成する濡れ性可変層形成
工程と、上記濡れ性可変層が形成された基板上にパター
ン状に外部刺激を付加して濡れ性可変層に濡れ性の異な
るパターンを形成する外部刺激付加工程と、上記濡れ性
の異なるパターンが形成された濡れ性可変層上に上記濡
れ性可変層を溶解することができる現像液を塗布するこ
とにより、濡れ性のよい部分にのみ現像液を付着させる
現像液塗布工程と、上記現像液により現像液が付着した
部分の濡れ性可変層を溶解させて濡れ性可変層のパター
ンを形成後、濡れ性可変層上を洗浄する洗浄工程とを少
なくとも有することを特徴とするパターン形成体の製造
方法を提供することにより上記課題を解決する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばカラーフィ
ルタ等の種々の用途において有効に利用することができ
るパターン形成体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、外部刺激により濡れ性が変化する
濡れ性可変層、特に光を照射することにより濡れ性の変
化する光触媒含有層を基板上に形成し、これをパターン
状に露光することにより濡れ性の異なるパターンを設
け、この濡れ性の差を利用して種々の機能性材料を付着
させることにより、機能性素子、例えばカラーフィルタ
等を形成する研究が、本発明者等によりなされている。
【0003】このような研究において、通常光触媒含有
層は基板上の全面に形成され、これに光をパターン照射
することにより濡れ性の異なるパターンを形成するよう
にしているが、複数の機能性材料を付着させる等複雑な
パターンを形成したい場合には、光触媒含有層自体が基
板上にパターン状に形成されていることが好ましい場合
がある。
【0004】また、光触媒含有層は、光により濡れ性が
変化する特性を有すると同時に光触媒としての特性を有
するものであるので、種々の機能性素子においては、こ
のような光触媒含有層が部分的に除去されていることが
好ましい場合がある。例えば、機能性素子がカラーフィ
ルタの場合、主として複数の色の画素部を所定のパター
ンで設けた表示領域を形成するために光触媒含有層が透
明基板上の全面に形成される。このようなカラーフィル
タは、対向電極基板と共にカラー液晶表示媒体を形成す
るものであるが、この対向電極基板との接着は、上記表
示領域の外側にシール部材を形成し、このシール部材に
より行われ、これによりカラーフィルタと対向電極基板
とを接着させると同時に、両基板の間に液晶材料を密封
させるようにしている。しかしながら、このシール部材
を形成する部位に光触媒含有層が形成されていると、シ
ール部材との接着性に問題が生じる可能性がある。した
がって、このシール部材が形成される表示領域外側の所
定の領域の光触媒含有層は除去されていることが好まし
い。
【0005】また、上述したようにカラー液晶表示装置
においては、両基板間に液晶材料が封入されているが、
この液晶材料が光触媒含有層に接触することは、液晶材
料の特性を変化させる可能性があり好ましくない。した
がって、液晶材料と接触する可能性のある部位の光触媒
含有層は除去されていることが好ましい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
に鑑みてなされたもので、基板上に外部刺激により濡れ
性が変化する濡れ性可変層を、容易にパターン形成する
ことができるパターン形成体の製造方法を提供すること
を主目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は請求項1において、基板上に外部刺激によ
り濡れ性が変化する濡れ性可変層を形成する濡れ性可変
層形成工程と、上記濡れ性可変層が形成された基板上に
パターン状に外部刺激を付加して濡れ性可変層に濡れ性
の異なるパターンを形成する外部刺激付加工程と、上記
濡れ性の異なるパターンが形成された濡れ性可変層上に
上記濡れ性可変層を溶解することができる現像液を塗布
することにより、濡れ性のよい部分にのみ現像液を付着
させる現像液塗布工程と、上記現像液により現像液が付
着した部分の濡れ性可変層を溶解させて濡れ性可変層の
パターンを形成後、濡れ性可変層上を洗浄する洗浄工程
とを少なくとも有することを特徴とするパターン形成体
の製造方法を提供する。
【0008】このように、本発明においては、濡れ性可
変層上に濡れ性の異なる領域のパターンを形成し、この
うちの濡れ性の良好な部分に濡れ性可変層を溶解するこ
とがきでる現像液を付着させ、この部分を溶解させて濡
れ性可変層のパターンを形成するものであるので、フォ
トリソグラフィー法等のようにフォトレジストを付着さ
せる等の処置をすることなく、簡便に濡れ性可変層のパ
ターンを基板上に形成することができる。
【0009】上記請求項1に記載のパターン形成体の製
造方法においては、請求項2に記載するように、上記外
部刺激の付加がエネルギーの照射であり、上記濡れ性可
変層が、少なくとも光触媒とバインダとからなる光触媒
含有層であり、かつこのエネルギーの照射により水との
接触角が低下するように濡れ性が変化する層であること
が好ましい。
【0010】このように、エネルギーの照射により水と
の接触角が低下するように濡れ性の変化する光触媒含有
層が形成されれば、エネルギーのパターン照射等を行う
ことにより容易にこの層の濡れ性を変化させ、水等との
接触角の小さい領域とすることができ、この部分に現像
液を付着させて溶解すれば、容易に光触媒含有層のパタ
ーンを形成することが可能となる。したがって、効率的
に光触媒含有層のパターン形成体が製造でき、コスト的
に有利となるからである。
【0011】上記請求項2に記載された発明における上
記光触媒含有層に照射するエネルギーとしては、請求項
3に記載するように、通常は紫外光を含む光が好まし
い。これは、後述するように、本発明に用いられる光触
媒としては二酸化チタンが好適に用いられるものであ
り、この二酸化チタンのバンドギャップの関係から紫外
光を含む光が好ましいからである。
【0012】一方、上記請求項2に記載された発明にお
いて、光描画照射によるパターンの形成等を行う場合
は、請求項4に記載するように、このエネルギーとして
光触媒反応開始エネルギーおよび反応速度増加エネルギ
ーを用い、上記光触媒反応開始エネルギーを照射した部
分に上記反応速度増加エネルギーを照射することによ
り、露光部分を形成するようにしてもよい。
【0013】これは、光触媒含有層に対し、光触媒反応
開始エネルギーを加え、この光触媒反応開始エネルギー
が加えられた領域内に反応速度増加エネルギーをパター
ン状に加えることにより露光部分のパターンを形成する
ものである。すなわち、いままで発明者等によって提案
されてきた光描画照射によるパターンの形成は、上記紫
外線等の光触媒反応開始エネルギーを用いるものであっ
たため、装置が高価、取り扱いが困難、さらには連続出
力ができない等の問題を有する場合があった。しかしな
がら、この方法においては紫外線等の光触媒反応開始エ
ネルギーを加え、この光触媒反応開始エネルギーが加え
られた領域に対して赤外線等の反応速度増加エネルギー
を用いてパターンを形成するようにしたものであるの
で、パターン形成に際して、赤外線レーザ等の比較的安
価で取り扱いが容易である反応速度増加エネルギーを用
いることができるという利点を有するのであるからであ
る。
【0014】上記請求項4に記載された発明において
は、請求項5に記載するように、上記光触媒反応開始エ
ネルギーが紫外光を含む光であり、上記反応速度増加エ
ネルギーが熱エネルギーであることが好ましい。これ
は、本発明においては二酸化チタンが光触媒として好適
に用いられるのであるが、この二酸化チタンのバンドギ
ャップの関係から光触媒反応開始エネルギーとしては紫
外光が好ましいからである。また、反応速度増加エネル
ギーとしては熱エネルギーが好ましく、この熱エネルギ
ーは、比較的安価でかつ取り扱いが容易である点から赤
外線レーザにより加えられることが好ましい。
【0015】上記請求項2から請求項5までのいずれか
の請求項に記載されたパターン形成体の製造方法におい
ては、請求項6に記載されているように、上記光触媒含
有層がフッ素を含み、上記光触媒含有層に対しエネルギ
ーを照射した際に、上記光触媒の作用により上記光触媒
含有層表面のフッ素含有量がエネルギー照射前に比較し
て低下するように上記光触媒含有層が形成されているこ
とが好ましい。
【0016】このように、光触媒含有層のエネルギー照
射部分におけるフッ素含有量が低下するように構成され
ているので、エネルギーをパターン照射することによ
り、フッ素含有量の低下した部分からなるパターンを形
成することができる。フッ素含有量が低下するとその部
分は、他の部分と比較して親水性の高い領域となるの
で、現像液を付着させる部分のみ容易に親水性領域とす
ることが可能となり、容易に光触媒含有層のパターン形
成体を製造することができる。
【0017】上記請求項2から請求項6に記載されたパ
ターン形成体の製造方法において、光触媒含有層は少な
くとも光触媒とバインダとからなるものであるが、この
うち光触媒は、請求項7に記載するように酸化チタン
(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(Sn
2)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、酸化
タングステン(WO3)、酸化ビスマス(Bi23)、
および酸化鉄(Fe23)から選択される1種または2
種以上の物質であることが好ましく、中でも請求項8に
記載するように酸化チタン(TiO2)であることが好
ましい。これは、酸化チタンのバンドギャップエネルギ
ーが高いため光触媒として有効であり、かつ化学的にも
安定で毒性もなく、入手も容易だからである。
【0018】上記請求項2から請求項8までのいずれか
の請求項に記載された発明においては、請求項9に記載
されるように、上記光触媒含有層は、エネルギーが照射
されていない部分における水との接触角が、エネルギー
が照射された部分における水との接触角より1度以上大
きい接触角となる光触媒含有層であることが好ましい。
【0019】エネルギーが照射されていない部分におけ
る水との接触角と、エネルギーが照射された部分におけ
る水との接触角との差が1度未満である場合は、濡れ性
の差を利用して現像液をパターン状に塗布することが困
難となり、光触媒含有層をパターン状に形成することが
困難となるからである。
【0020】また、請求項2から請求項9までのいずれ
かの請求項に記載されたパターン形成体の製造方法にお
いては、請求項10に記載するように、光触媒含有層を
構成する他の成分であるバインダは、YnSiX
(4-n)(ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル
基、ビニル基、アミノ基、フェニル基またはエポキシ基
を示し、Xはアルコキシル基またはハロゲンを示す。n
は0〜3までの整数である。)で示される珪素化合物の
1種または2種以上の加水分解縮合物もしくは共加水分
解縮合物であるオルガノポリシロキサンであることが好
ましい。バインダとしては光触媒により分解されること
がなく、かつ所定の強度を有し、加工が容易であり、さ
らには透明であることが好ましい。この点を考慮すると
上述したようなシロキサン結合を有する加水分解縮合物
が好ましいのである。
【0021】請求項10に記載するようなバインダを用
いた場合は、請求項11に記載するように、現像液はシ
ロキサン結合を分解することができるアルカリ性溶液で
あることが好ましい。
【0022】上記請求項2から請求項11までのいずれ
かの請求項に記載のパターン形成体の製造方法において
は、請求項12に記載するように、上記現像液が、上記
光触媒含有層上におけるエネルギー未照射部分の臨界表
面張力よりも大きい表面張力を有する現像液であること
が好ましい。このような現像液を用いることにより、エ
ネルギー未照射部分において、現像液と光触媒含有層と
の接触角は少なくとも0度を超える角度を有するものと
なる。したがって、エネルギー未照射部分において現像
液が無制限に伸び広がることがない。また接触角が0度
を超える角度であるので、エネルギー照射部分と接触角
差を形成することが可能となり、現像液をパターン状に
塗布することが可能となる。したがって、精度良くパタ
ーン形成体を製造することができるからである。
【0023】上記請求項1から請求項12までのいずれ
かの請求項に記載された発明においては、請求項13に
記載するように、上記現像液塗布工程が、ノズル吐出方
式を用いて行われることが好ましい。インクジェット、
ディスペンサー等のノズル吐出方式で行うことにより、
濡れ性の良い部分にのみ現像液を塗布することができ
る。したがって、ディップコート方式等による塗布の場
合と比較して、濡れ性の悪い領域に現像液が残存する可
能性を低くすることができ、得られる濡れ性可変層のパ
ターンの精度を向上させることができるからである。
【0024】本発明においては、請求項14に記載する
ように、基板と、この基板上にパターン形成された外部
刺激により濡れ性が変化する濡れ性可変層とを少なくと
も有するパターン形成体を提供する。このような濡れ性
可変層のパターンを基板上に有するパターン形成体は、
このパターン形成体にパターン状に外部刺激を付加し
て、必要な機能性材料を塗布することにより、より複雑
なパターンの機能性素子を製造することができる。ま
た、機能性素子によっては、濡れ性可変層の存在が不具
合の原因となる部分がある場合がある。このような場合
は、不必要な部分の濡れ性可変層を取り除いたパターン
形成体とすることにより、その後製造する機能性素子の
品質を向上させることができる。
【0025】上記請求項14に記載するようなパターン
形成体においては、請求項15に記載するように、上記
濡れ性可変層が、少なくとも光触媒とバインダとからな
り、エネルギーの照射により水との接触角が低下するよ
うに濡れ性が変化する光触媒含有層であることが好まし
い。光触媒含有層を用いることにより、パターン状のエ
ネルギー照射により、容易に濡れ性の異なるパターンを
形成することができるからである。
【0026】本発明においては、請求項16に記載する
ように、透明基板上に設けられた光触媒含有層上に複数
色の画素部を所定のパターンで形成してなる表示領域を
少なくとも有するカラーフィルタの製造方法において、
前記透明基板上に前記光触媒含有層を形成する工程と、
前記表示領域外側の所定の領域の光触媒含有層にエネル
ギーをパターン照射する工程と、前記エネルギーが照射
された光触媒含有層上に前記光触媒含有層を溶解する現
像液を塗布する工程と、前記現像液により表示領域外側
の所定の領域の光触媒含有層を溶解させた後、洗浄する
工程とを少なくとも有するカラーフィルタの製造方法を
提供する。
【0027】これは、上述したパターン形成体の製造方
法を、その用途の一つであるカラーフィルタに適用した
例である。このようにしてカラーフィルタを製造するこ
とにより、光触媒含有層を形成することが好ましくない
表示領域の外側の所定の領域において、容易に光触媒含
有層を除去することが可能である。したがって、カラー
フィルタと対向電極基板とをこの表示領域外側の部分で
接着させるシール部材の接着不良を防止することがで
き、さらには上記両基板間に封入される液晶材料と光触
媒含有層との接触を防止することが容易となる等の効果
を有する。
【0028】また本発明においては、請求項17に記載
するように、透明基板と、上記透明基板上に形成された
光触媒含有層と、この光触媒含有層上に複数色の画素部
を所定のパターンで形成してなる表示領域とを少なくと
も有するカラーフィルタにおいて、上記表示領域外側の
所定の領域の光触媒含有層が除去されていることを特徴
とするカラーフィルタを提供する。この場合は、上述し
たパターン形成体を、その用途の一つとしてのカラーフ
ィルタに適用したものであり、これにより上述したカラ
ーフィルタの製造方法に記載したものと同様の作用効果
を得ることができる。
【0029】本発明においては、請求項18に記載する
ように、上記請求項17記載のカラーフィルタと、これ
に対向して配置された対向電極基板と、上記表示領域の
外側に配置され、上記両基板間の間隙を密封するシール
部材と、このシール部材により密封された両基板間の間
隙に液晶材料が注入されて形成された液晶層とを少なく
とも有することを特徴とするカラー液晶表示装置をも提
供する。このようねカラー液晶表示装置は、上述したカ
ラーフィルタを用いていることから、表示領域外側にお
けるシール部材による接着に際しても問題が生じるおそ
れがなく、また封入された液晶材料との接触も、最小限
の処理、例えば一部に保護層を形成する等の処理によ
り、容易に防止することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】1.パターン形成体の製造方法 まず、本発明のパターン形成体の製造方法について詳細
に説明する。本発明のパターン形成体の製造方法は、基
板上に外部刺激により濡れ性が変化する濡れ性可変層を
形成する濡れ性可変層形成工程と、上記濡れ性可変層が
形成された基板上にパターン状に外部刺激を付加して濡
れ性可変層に濡れ性の異なるパターンを形成する外部刺
激付加工程と、上記濡れ性の異なるパターンが形成され
た濡れ性可変層上に上記濡れ性可変層を溶解することが
できる現像液を塗布することにより、濡れ性のよい部分
にのみ現像液を付着させる現像液塗布工程と、上記現像
液により現像液が付着した部分の濡れ性可変層を溶解さ
せて濡れ性可変層のパターンを形成後、濡れ性可変層上
を洗浄する洗浄工程とを少なくとも有することを特徴と
するものである。
【0031】このように、本発明のパターン形成体の製
造方法は、外部刺激を加えることにより濡れ性の異なる
パターンを形成し、このうち濡れ性の良好な部分に上記
濡れ性可変層を溶解することができる現像液を塗布し、
その部分を溶解して濡れ性可変層のパターンを形成する
ことができる。したがって、通常のパターン形成に用い
られるフォトリソグラフィー法等のようにフォトレジス
ト層を設けることなくパターン形成が可能であるので、
簡便な工程で濡れ性可変層のパターンが形成されたパタ
ーン形成体を製造することができる。また、現像液を、
濡れ性可変層の溶解する部分にのみ塗布すればよいこと
から、現像工程で基板全体を現像液に浸す等の他の部分
を現像液に接触させる必要はない。したがって、基板上
の他の部分に現像液に耐性のない機能性材料が付着して
いる場合においても、濡れ性可変層のパターンを形成す
ることが可能となる。
【0032】以下、図面を用いて本発明のパターン形成
体の製造方法について具体的に説明する。なお、本発明
におけるパターンとは、図案、画像、回路、文字等の種
々の模様を示すものであり、特に限定されるものではな
い。
【0033】図1は、本発明におけるパターン形成体の
製造方法の一例を概略示すものである。この製造方法に
おいては、まず濡れ性可変層である光触媒含有層1を基
板2上に形成する(A.濡れ性可変層形成工程 図1
(a))。次いで、この光触媒含有層1が形成された基板
2上に、この例ではマスク3を用いて外部刺激に相当す
る紫外光4をパターン状に照射する(B.外部刺激付加
工程 図1(b))。そして、紫外光4が照射されて濡れ
性が良好となった部分に、濡れ性可変層を溶解させる現
像液、この例では光触媒含有層1を溶解させるアルカリ
性溶液5を、ノズル吐出装置(インクジェット装置、デ
ィスペンサー等)6により塗布する(C.現像液塗布工
程 図1(c))。最後に、このアルカリ性溶液5が光触
媒含有層1を溶解して、光触媒含有層1からなるパター
ンが形成され後、洗浄することにより、濡れ性可変層で
ある光触媒含有層1からなるパターンが基板2上に形成
されたパターン形成体7が得られる(D.洗浄工程 図
1(d))。
【0034】次に、上記各工程毎に、用いられる材料や
方法などについて詳細に説明する。
【0035】A.濡れ性可変層形成工程 本発明のパターン形成体の製造方法においては、まず基
板上に濡れ性可変層が形成される濡れ性可変層形成工程
が行われる。以下、ここで用いられる濡れ性可変層およ
び基板について説明する。
【0036】(濡れ性可変層)本発明に用いられる濡れ
性可変層は、その表面の濡れ性を、外部刺激、例えば物
理的刺激、化学的刺激等により変化させることができる
層であれば特に限定されるものではない。例えば、酸ま
たはアルカリ等により表面の粗さの状態が変化し、濡れ
性が変化する層等であってもよいし、また紫外線や可視
光、さらには熱等のエネルギーの照射により濡れ性可変
層内の物質が変化して濡れ性が変化する層等であっても
よい。
【0037】また濡れ性の変化に関しては、刺激が加え
られる前が液体との接触角が大きく(濡れ性が悪く)、
刺激が加えられた後に液体との接触角が小さくなる(濡
れ性が向上する)ように変化するような濡れ性可変層で
あってもよいし、また逆に刺激が加えられる前が液体と
の接触角が小さく(濡れ性が良好であり)、刺激が加え
られた後に液体との接触角が大きく変化する(濡れ性が
悪化する)ような濡れ性可変層であってもよい。
【0038】(光触媒含有層)本発明においては、この
濡れ性可変層が、エネルギーの照射により水との接触角
が低下するように濡れ性が変化する光触媒含有層である
ことが好ましい。このように、露光(本発明において
は、光が照射されたことのみならず、エネルギーが照射
されたことをも意味するものとする。)により水との接
触角が低下するように濡れ性が変化する光触媒含有層を
設けることにより、エネルギーのパターン照射等を行う
ことにより容易に濡れ性を変化させ、水との接触角の小
さい親水性領域とすることができ、光触媒含有層を除去
する領域のみ容易に親水性領域とすることが可能とな
る。したがって、効率的にパターン形成体が製造でき、
コスト的に有利となるからである。なお、この場合のエ
ネルギーとしては、通常紫外光を含む光が用いられる。
【0039】ここで、親水性領域とは、水との接触角が
小さい領域であり、後述する光触媒含有層を溶解させる
アルカリ性溶液等に対する濡れ性の良好な領域をいうこ
ととする。また、撥水性領域とは、水との接触角が大き
い領域領域であり、後述する光触媒含有層を溶解させる
アルカリ性溶液等に対する濡れ性が悪い領域をいうこと
とする。
【0040】本発明における光触媒含有層は、エネルギ
ーが照射されていない部分における水との接触角が、エ
ネルギーが照射された部分における水との接触角より1
度以上大きい接触角となる光触媒含有層であることが好
ましく、特に好ましくは5度以上、最も好ましくは10
度以上となる光触媒含有層が用いられる。
【0041】エネルギーが照射されていない部分におけ
る水との接触角と、エネルギーが照射された部分におけ
る水との接触角との差が所定の範囲未満である場合は、
濡れ性の差を利用して現像液をパターン状に塗布するこ
とが困難となり、光触媒含有層をパターン状に形成する
ことが困難となるからである。
【0042】このような光触媒含有層における具体的な
水との接触角としては、露光していない部分における水
との接触角が30度以上、特に60度以上、中でも90
度以上であることが好ましく、このような水との接触角
を有する光触媒含有層が好適に用いられる。これは、露
光していない部分は、本発明においては撥水性が要求さ
れる部分である。したがって、水との接触角が小さい場
合は撥水性が十分でなく、後述するアルカリ性溶液等
が、光触媒含有層を基板上に残す部分にまで残存する可
能性が生じ、パターン形成体の精度を低下させるおそれ
があるからである。
【0043】また、光触媒含有層を露光した場合の接触
角としては、具体的には、30度未満、特に20度以
下、中でも10度以下となるような光触媒含有層である
ことが好ましい。露光した部分の水との接触角が高い
と、この部分での光触媒含有層を溶解させるアルカリ性
溶液等の広がりが劣る可能性があり、光触媒含有層を溶
解させるべき領域にすべて広がらずに光触媒含有層が残
存し、結果として得られる光触媒含有層のパターン形成
体の精度を低下させる可能性があるからである。
【0044】なお、ここでいう水との接触角は、水との
接触角を接触角測定器(協和界面科学(株)製CA−Z
型)を用いて測定(マイクロシリンジから水滴を滴下し
て30秒後)し、その結果から得たものである。
【0045】上記光触媒含有層は、少なくとも光触媒と
バインダとから構成されていることが好ましい。このよ
うな層とすることにより、エネルギー照射によって光触
媒の作用で臨界表面張力を高くすることが可能となり、
水との接触角を低くすることができるからである。
【0046】このような光触媒含有層における、後述す
るような酸化チタンに代表される光触媒の作用機構は、
必ずしも明確なものではないが、光の照射によって生成
したキャリアが、近傍の化合物との直接反応、あるい
は、酸素、水の存在下で生じた活性酸素種によって、有
機物の化学構造に変化を及ぼすものと考えられている。
【0047】本発明において濡れ性可変層として光触媒
含有層を用いた場合、光触媒により、バインダの一部で
ある有機基や添加剤の酸化、分解等の作用を用いて、エ
ネルギー照射部の濡れ性を変化させて親水性とし、未照
射部との濡れ性に大きな差を生じさせることができる。
よって、光触媒含有層を溶解させるアルカリ性溶液等の
水溶液などとの受容性(親水性)および反撥性(撥水
性)を高めることによって、精度が良好でかつコスト的
にも有利なパターン形成体を得ることができる。
【0048】また、本発明においてこのような光触媒含
有層を用いた場合、この光触媒含有層が少なくとも光触
媒とフッ素とを含有し、さらにこの光触媒含有層表面の
フッ素含有量が、光触媒含有層に対しエネルギーを照射
した際に、上記光触媒の作用によりエネルギー照射前に
比較して低下するように上記光触媒含有層が形成されて
いてもよい。
【0049】このような特徴を有するパターン形成体に
おいては、エネルギーをパターン照射することにより、
容易にフッ素の含有量の少ない部分からなるパターンを
形成することができる。ここで、フッ素は極めて低い表
面エネルギーを有するものであり、このためフッ素を多
く含有する物質の表面は、臨界表面張力がより小さくな
る。したがって、フッ素の含有量の多い部分の表面の臨
界表面張力に比較してフッ素の含有量の少ない部分の臨
界表面張力は大きくなる。これはすなわち、フッ素含有
量の少ない部分はフッ素含有量の多い部分に比較して親
水性領域となっていることを意味する。よって、周囲の
表面に比較してフッ素含有量の少ない部分からなるパタ
ーンを形成することは、撥水性域内に親水性領域のパタ
ーンを形成することとなる。
【0050】したがって、このような光触媒含有層を用
いた場合は、エネルギーをパターン照射することによ
り、撥水性領域内に親水性領域のパターンを容易に形成
することができるので、この親水性領域のみに光触媒含
有層を溶解するアルカリ性溶液等を塗布することが容易
に可能となり、精度が良好なパターン形成体とすること
ができる。
【0051】エネルギーが照射されて形成されたフッ素
含有量が低い親水性領域におけるフッ素含有量は、エネ
ルギー照射されていない部分のフッ素含有量を100と
した場合に10以下、好ましくは5以下、特に好ましく
は1以下であることが好ましい。
【0052】このような範囲内とすることにより、エネ
ルギー照射部分と未照射部分との親水性に大きな違いを
生じさせることができる。したがって、このような光触
媒含有層に光触媒含有層を溶解させるアルカリ性溶液等
を塗布することにより、フッ素含有量が低下した親水性
領域のみ正確に溶解することが可能となり、精度良くパ
ターン形成体を得ることができるからである。なお、こ
の低下率は重量を基準としたものである。
【0053】このような光触媒含有層中のフッ素含有量
の測定は、一般的に行われている種々の方法を用いるこ
とが可能であり、例えばX線光電子分光法(X-ray Phot
oelectron Spectroscopy, ESCA(Electron Spectroscop
y for Chemical Analysis)とも称される。)、蛍光X線
分析法、質量分析法等の定量的に表面のフッ素の量を測
定できる方法であれば特に限定されるものではない。
【0054】本発明で使用する光触媒としては、光半導
体として知られる例えば酸化チタン(TiO2)、酸化
亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)、チタン酸スト
ロンチウム(SrTiO3)、酸化タングステン(W
3)、酸化ビスマス(Bi23)、および酸化鉄(F
23)を挙げることができ、これらから選択して1種
または2種以上を混合して用いることができる。
【0055】本発明においては、特に酸化チタンが、バ
ンドギャップエネルギーが高く、化学的に安定で毒性も
なく、入手も容易であることから好適に使用される。酸
化チタンには、アナターゼ型とルチル型があり本発明で
はいずれも使用することができるが、アナターゼ型の酸
化チタンが好ましい。アナターゼ型酸化チタンは励起波
長が380nm以下にある。
【0056】このようなアナターゼ型酸化チタンとして
は、例えば、塩酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル
(石原産業(株)製STS−02(平均粒径7nm)、
石原産業(株)製ST−K01)、硝酸解膠型のアナタ
ーゼ型チタニアゾル(日産化学(株)製TA−15(平
均粒径12nm))等を挙げることができる。
【0057】光触媒の粒径は小さいほど光触媒反応が効
果的に起こるので好ましく、平均粒径か50nm以下が
好ましく、20nm以下の光触媒を使用するのが特に好
ましい。また、光触媒の粒径が小さいほど、形成された
光触媒含有層の表面粗さが小さくなるので好ましく、光
触媒の粒径が100nmを越えると光触媒含有層の中心
線平均表面粗さが粗くなり、光触媒含有層の非露光部の
撥水性が低下し、また露光部の親水性の発現が不十分と
なるため好ましくない。
【0058】本発明のパターン形成体は、上述したよう
に光触媒含有層表面にフッ素を含有させ、この光触媒含
有層表面にエネルギーをパターン照射することにより光
触媒含有層表面のフッ素含有量を低下させ、これにより
撥水性領域中に親水性領域のパターンを形成し、ここに
光触媒含有層を溶解させるアルカリ性溶液等を塗布して
部分的に光触媒含有層を溶解して得られるパターン形成
体であってもよい。この場合であっても、光触媒として
上述したような二酸化チタンを用いることが好ましい
が、このように二酸化チタンを用いた場合の、光触媒含
有層中に含まれるフッ素の含有量としては、X線光電子
分光法で分析して定量化すると、チタン(Ti)元素を
100とした場合に、フッ素(F)元素が500以上、
このましくは800以上、特に好ましくは1200以上
となる比率でフッ素(F)元素が光触媒含有層表面に含
まれていることが好ましい。
【0059】フッ素(F)が光触媒含有層にこの程度含
まれることにより、光触媒含有層上における臨界表面張
力を十分低くすることが可能となることから表面におけ
る撥水性を確保でき、これによりエネルギーをパターン
照射してフッ素含有量を減少させたパターン部分におけ
る表面の親水性領域との濡れ性の差異を大きくすること
ができ、最終的に得られる光触媒含有層のパターン形成
体の品質を向上させることができるからである。
【0060】さらに、このようなパターン形成体におい
ては、エネルギーをパターン照射して形成される親水領
域におけるフッ素含有量が、チタン(Ti)元素を10
0とした場合にフッ素(F)元素が50以下、好ましく
は20以下、特に好ましくは10以下となる比率で含ま
れていることが好ましい。
【0061】光触媒含有層中のフッ素の含有率をこの程
度低減することができれば、光触媒含有層を溶解させる
ためのアルカリ性溶液を付着させ、領域内に十分に広が
らせるためには十分な親水性を得ることができ、上記エ
ネルギーが未照射である部分の撥水性との濡れ性の差異
により、光触媒含有層のパターンを精度良く形成するこ
とが可能となり、品質の良好なパターン形成体を得るこ
とができる。
【0062】本発明において、光触媒含有層に使用する
バインダは、主骨格が上記の光触媒の光励起により分解
されないような高い結合エネルギーを有するものが好ま
しく、例えば、(1)ゾルゲル反応等によりクロロまた
はアルコキシシラン等を加水分解、重縮合して大きな強
度を発揮するオルガノポリシロキサン、(2)撥水牲や
撥油性に優れた反応性シリコーンを架橋したオルガノポ
リシロキサン等を挙げることができる。
【0063】上記の(1)の場合、一般式: YnSiX(4-n) (ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニ
ル基、アミノ基、フェニル基またはエポキシ基を示し、
Xはアルコキシル基、アセチル基またはハロゲンを示
す。nは0〜3までの整数である。)で示される珪素化
合物の1種または2種以上の加水分解縮合物もしくは共
加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサンであるこ
とが好ましい。なお、ここでYで示される基の炭素数は
1〜20の範囲内であることが好ましく、また、Xで示
されるアルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、プロ
ポキシ基、ブトキシ基であることが好ましい。
【0064】具体的には、メチルトリクロルシラン、メ
チルトリブロムシラン、メチルトリメトキシシラン、メ
チルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシ
ラン、メチルトリt−ブトキシシラン;エチルトリクロ
ルシラン、エチルトリブロムシラン、エチルトリメトキ
シシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソ
プロポキシシラン、エチルトリt−ブトキシシラン;n
−プロピルトリクロルシラン、n−プロピルトリブロム
シラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピ
ルトリエトキシシラン、n−プロピルトリイソプロポキ
シシラン、n−プロピルトリt−ブトキシシラン;n−
ヘキシルトリクロルシラン、n−へキシルトリブロムシ
ラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシル
トリエトキシシラン、n−へキシルトリイソプロポキシ
シラン、n−へキシルトリt−ブトキシシラン;n−デ
シルトリクロルシラン、n−デシルトリブロムシラン、
n−デシルトリメトキシシラン、n−デシルトリエトキ
シシラン、n−デシルトリイソプロポキシシラン、n−
デシルトリt−ブトキシシラン;n−オクタデシルトリ
クロルシラン、n−オクタデシルトリブロムシラン、n
−オクタデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシル
トリエトキシシラン、n−オクタデシルトリイソプロポ
キシシラン、n−オクタデシルトリt−ブトキシシラ
ン;フェニルトリクロルシラン、フェニルトリブロムシ
ラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエト
キシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、フェ
ニルトリt−ブトキシシラン;テトラクロルシラン、テ
トラブロムシラン、テトラメトキシシラン、テトラエト
キシシラン、テトラブトキシシラン、ジメトキシジエト
キシシラン;ジメチルジクロルシラン、ジメチルジブロ
ムシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエト
キシシラン;ジフェニルジクロルシラン、ジフェニルジ
ブロムシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニ
ルジエトキシシラン;フェニルメチルジクロルシラン、
フェニルメチルジブロムシラン、フェニルメチルジメト
キシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン;トリク
ロルヒドロシラン、トリブロムヒドロシラン、トリメト
キシヒドロシラン、トリエトキシヒドロシラン、トリイ
ソプロポキシヒドロシラン、トリt−ブトキシヒドロシ
ラン;ビニルトリクロルシラン、ビニルトリブロムシラ
ン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシ
ラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリt
−ブトキシシラン;トリフルオロプロピルトリクロルシ
ラン、トリフルオロプロピルトリブロムシラン、トリフ
ルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロ
ピルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリイ
ソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルトリt−ブ
トキシシラン;γ−グリシドキシプロピルメチルジメト
キシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ
−グリシドキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ
−グリシドキシプロピルトリt−ブトキシシラン;γ−
メタアクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ
−メタアクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、
γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ
−メタアクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−
メタアクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラン、
γ−メタアクリロキシプロピルトリt−ブトキシシラ
ン;γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−
アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプ
ロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエ
トキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキシ
シラン、γ−アミノプロピルトリt−ブトキシシラン;
γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−
メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メル
カプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプ
ロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルト
リイソプロポキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリ
t−ブトキシシラン;β−(3,4−エポキシシクロヘ
キシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エ
ポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン;お
よび、それらの部分加水分解物;および、それらの混合
物を使用することができる。
【0065】また、バインダとして、特にフルオロアル
キル基を含有するポリシロキサンが好ましく用いること
ができ、具体的には、下記のフルオロアルキルシランの
1種または2種以上の加水分解縮合物、共加水分解縮合
物が挙げられ、一般にフッ素系シランカップリング剤と
して知られたものを使用することができる。CF3(C
23CH2CH2Si(OCH33;CF3(CF25
CH2CH2Si(OCH33;CF3(CF27CH2
2Si(OCH33;CF3(CF29CH2CH2Si
(OCH33;(CF32CF(CF24CH2CH2
i(OCH33;(CF32CF(CF26CH2CH2
Si(OCH33;(CF32CF(CF28CH2
2Si(OCH33;CF3(C64)C24Si(O
CH33;CF3(CF23(C64)C24Si(O
CH33;CF3(CF25(C64)C24Si(O
CH33;CF3(CF27(C64)C24Si(O
CH33;CF3(CF23CH2CH2SiCH3(OC
32;CF3(CF25CH2CH2SiCH3(OCH
32;CF3(CF27CH2CH2SiCH3(OC
32;CF3(CF29CH2CH2SiCH3(OCH
32;(CF32CF(CF24CH2CH2SiCH3
(OCH32;(CF32CF(CF26CH2CH2
i CH3(OCH32;(CF32CF(CF28
2CH2Si CH3(OCH32;CF3(C64)C
24SiCH3(OCH32;CF3(CF23(C
64)C24SiCH3(OCH32;CF3(CF25
(C64)C24SiCH3(OCH32;CF3(CF
27(C64)C24SiCH3(OCH32;CF
3(CF23CH2CH2Si(OCH2CH33;CF3
(CF25CH2CH2Si(OCH2CH33;CF
3(CF27CH2CH2Si(OCH2CH33;CF3
(CF29CH2CH2Si(OCH2CH33;CF
3(CF27SO2N(C25)C24CH2Si(OC
33 上記のようなフルオロアルキル基を含有するポリシロキ
サンをバインダとして用いることにより、光触媒含有層
のエネルギー未照射部の撥水性が大きく向上し、現像液
の付着を妨げる機能を発現する。
【0066】また、上記の(2)の反応性シリコーンと
しては、下記一般式で表される骨格をもつ化合物を挙げ
ることができる。
【0067】
【化1】
【0068】ただし、nは2以上の整数であり、R1
2はそれぞれ炭素数1〜10の置換もしくは非置換の
アルキル、アルケニル、アリールあるいはシアノアルキ
ル基であり、モル比で全体の40%以下がビニル、フェ
ニル、ハロゲン化フェニルである。また、R1、R2がメ
チル基のものが表面エネルギーが最も小さくなるので好
ましく、モル比でメチル基が60%以上であることが好
ましい。また、鎖末端もしくは側鎖には、分子鎖中に少
なくとも1個以上の水酸基等の反応性基を有する。
【0069】また、上記のオルガノポリシロキサンとと
もに、ジメチルポリシロキサンのような架橋反応をしな
い安定なオルガノシリコン化合物をバインダに混合して
もよい。
【0070】本発明のパターン形成体の製造方法におい
ては、このようにオルガノポリシロキサン等の種々のバ
インダを光触媒含有層に用いることができる。本発明に
おいては、上述したように、このようなバインダおよび
光触媒を含む光触媒含有層にフッ素を含有させ、エネル
ギーをパターン照射することにより光触媒含有層表面の
フッ素を低減させ、これにより撥水性領域内に親水性領
域を形成するようにしてもよい。この際、光触媒含有層
中にフッ素を含有させる必要があるが、このようなバイ
ンダを含む光触媒含有層にフッ素を含有させる方法とし
ては、通常高い結合エネルギーを有するバインダに対
し、フッ素化合物を比較的弱い結合エネルギーで結合さ
せる方法、比較的弱い結合エネルギーで結合されたフッ
素化合物を光触媒含有層に混入させる方法等を挙げるこ
とができる。このような方法でフッ素を導入することに
より、エネルギーが照射された場合に、光触媒の作用に
よりまず結合エネルギーが比較的小さいフッ素結合部位
が分解され、これによりフッ素を光触媒含有層中から除
去することができるからである。
【0071】上記第1の方法、すなわち、高い結合エネ
ルギーを有するバインダに対し、フッ素化合物を比較的
弱い結合エネルギーで結合させる方法としては、上記オ
ルガノポリシロキサンにフルオロアルキル基を置換基と
して導入する方法等を挙げることができる。
【0072】例えば、オルガノポリシロキサンを得る方
法として、上記(1)として記載したように、ゾルゲル
反応等によりクロロまたはアルコキシシラン等を加水分
解、重縮合して大きな強度を発揮するオルガノポリシロ
キサンを得ることができる。ここで、この方法において
は、上述したように上記一般式: YnSiX(4-n) (ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニ
ル基、アミノ基、フェニル基またはエポキシ基を示し、
Xはアルコキシル基、アセチル基またはハロゲンを示
す。nは0〜3までの整数である。)で示される珪素化
合物の1種または2種以上を、加水分解縮合物もしくは
共加水分解縮合することによりオルガノポリシロキサン
を得るのであるが、この一般式において、置換基Yとし
てフルオロアルキル基を有する珪素化合物を用いて合成
することにより、フルオロアルキル基を置換基として有
するオルガノポリシロキサンを得ることができる。この
ようなフルオロアルキル基を置換基として有するオルガ
ノポリシロキサンをバインダとして用いた場合は、エネ
ルギーが照射された際、光触媒含有層中の光触媒の作用
により、フルオロアルキル基の炭素結合の部分が分解さ
れることから、光触媒含有層表面におけるエネルギーを
照射した部分のフッ素含有量を低減させることができ
る。
【0073】この際用いられるフルオロアルキル基を有
する珪素化合物としては、フルオロアルキル基を有する
ものであれば特に限定されるものではないが、少なくと
も1個のフルオロアルキル基を有し、このフルオロアル
キル基の炭素数が4から30、好ましくは6から20、
特に好ましくは6から16である珪素化合物が好適に用
いられる。このような珪素化合物の具体例は上述した通
りであるが、中でも炭素数が6から8であるフルオロア
ルキル基を有する上記珪素化合物、すなわちフルオロア
ルキルシランが好ましい。
【0074】本発明においては、このようなフルオロア
ルキル基を有する珪素化合物を上述したフルオロアルキ
ル基を有さない珪素化合物と混合して用い、これらの共
加水分解縮合物を上記オルガノポリシロキサンとして用
いてもよいし、このようなフルオロアルキル基を有する
珪素化合物を1種または2種以上用い、これらの加水分
解縮合物、共加水分解縮合物を上記オルガノポリシロキ
サンとして用いてもよい。
【0075】このようにして得られるフルオロアルキル
基を有するオルガノポリシロキサンにおいては、このオ
ルガノポリシロキサンを構成する珪素化合物の内、上記
フルオロアルキル基を有する珪素化合物が0.01モル
%以上、好ましくは0.1モル%以上含まれていること
が好ましい。
【0076】フルオロアルキル基がこの程度含まれるこ
とにより、光触媒含有層上の撥水性を高くすることがで
き、エネルギーを照射して親水性領域とした部分との濡
れ性の差異を大きくすることができるからである。
【0077】また、上記(2)に示す方法では、撥水牲
や撥油性に優れた反応性シリコーンを架橋することによ
りオルガノポリシロキサンを得るのであるが、この場合
も同様に、上述した一般式中のR1,R2のいずれかもし
くは両方をフルオロアルキル基等のフッ素を含有する置
換基とすることにより、光触媒含有層中にフッ素を含ま
せることが可能であり、またエネルギーが照射された場
合に、シロキサン結合より結合エネルギーの小さいフル
オロアルキル基の部分が分解されるため、エネルギー照
射により光触媒含有層表面におけるフッ素の含有量を低
下させることができる。
【0078】一方、後者の例、すなわち、バインダの結
合エネルギーより弱いエネルギーで結合したフッ素化合
物を導入させる方法としては、例えば、低分子量のフッ
素化合物を導入させる方法が挙げられ、具体的にはフッ
素系の界面活性剤を混入する方法等を挙げることができ
る。また、高分子量のフッ素化合物を導入させる方法と
しては、バインダ樹脂との相溶性の高いフッ素樹脂を混
合する等の方法を挙げることができる。
【0079】本発明において光触媒含有層には上記の光
触媒、バインダの他に、界面活性剤を含有させることが
できる。具体的には、日光ケミカルズ(株)製NIKK
OLBL、BC、BO、BBの各シリーズ等の炭化水素
系、デュポン社製ZONYL FSN、FSO、旭硝子
(株)製サーフロンS−141、145、大日本インキ
化学工業(株)製メガファックF−141、144、ネ
オス(株)製フタージェントF−200、F251、ダ
イキン工業(株)製ユニダインDS−401、402、
スリーエム(株)製フロラードFC−170、176等
のフッ素系あるいはシリコーン系の非イオン界面活性剤
を挙げることかでき、また、カチオン系界面活性剤、ア
ニオン系界面活性剤、両性界面活性剤を用いることもで
きる。
【0080】また、光触媒含有層には上記の界面活性剤
の他にも、ポリビニルアルコール、不飽和ポリエステ
ル、アクリル樹脂、ポリエチレン、ジアリルフタレー
ト、エチレンプロピレンジエンモノマー、エポキシ樹
脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、ポ
リカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイ
ミド、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポ
リプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン、ポリ酢酸
ビニル、ポリエステル、ポリブタジエン、ポリベンズイ
ミダゾール、ポリアクリルニトリル、エピクロルヒドリ
ン、ポリサルファイド、ポリイソプレン等のオリゴマ
ー、ポリマー等を含有させることができる。
【0081】光触媒含有層中の光触媒の含有量は、5〜
60重量%、好ましくは20〜40重量%の範囲で設定
することができる。また、光触媒含有層の厚みは、0.
05〜10μmの範囲内が好ましい。
【0082】上記光触媒含有層は、光触媒とバインダを
必要に応じて他の添加剤とともに溶剤中に分散して塗布
液を調製し、この塗布液を塗布することにより形成する
ことができる。使用する溶剤としては、エタノール、イ
ソプロパノール等のアルコール系の有機溶剤が好まし
い。塗布はスピンコート、スプレーコート、ディッブコ
ート、ロールコート、ビードコート等の公知の塗布方法
により行うことができる。バインダとして紫外線硬化型
の成分を含有している場合、紫外線を照射して硬化処理
を行うことにより光触媒含有層を形成することかでき
る。
【0083】(基板)本発明のパターン形成体において
は、上述した濡れ性可変層、中でも好ましくは光触媒含
有層は基板上に形成される。このような基板としては、
得られるパターン形成体もしくはパターン形成体により
形成された機能性素子の用途に応じて、ガラス、アルミ
ニウム、およびその合金等の金属、プラスチック、織
物、不織布等を挙げることができる。本発明において
は、得られるパターン形成体の最も好適な応用例である
カラーフィルタに好適であることから、基板としては透
明基板を用いることが好ましい。この透明基板としては
特に限定されるものではないが、例えば石英ガラス、パ
イレックスガラス、合成石英板等の可撓性のない透明な
リジット材、あるいは透明樹脂フィルム、光学用樹脂板
等の可撓性を有する透明なフレキシブル材を用いること
ができる。
【0084】B.外部刺激付加工程 次に、濡れ性可変層が形成された基板に対し、パターン
状に外部刺激を付加して濡れ性可変層に濡れ性の異なる
パターンを形成する外部刺激付加工程について説明す
る。図1に示す例では、光触媒含有層1が形成された基
板2上に、この例ではマスク3を用いて外部刺激に相当
する紫外光4をパターン状に照射する工程に相当する
(図1(b))。
【0085】本発明において用いられる外部刺激とは、
対応する濡れ性可変層により決定されるものであり、物
理的刺激、化学的刺激等種々のものがある。例えば、酸
またはアルカリ等により表面の粗さの状態を変化させて
濡れ性を変化させるような濡れ性可変層の場合は、外部
刺激は酸またはアルカリであり、これらをパターン状に
濡れ性可変層に接触させることにより濡れ性を変化させ
るのである。
【0086】外部刺激による濡れ性の変化は、濡れ性を
悪化させるものであっても、濡れ性を向上させるもので
あってもよく特に限定されるものではない。外部刺激に
より濡れ性が悪化する場合は、外部刺激が加えられなか
った領域に濡れ性可変層を溶解する現像液を塗布すれば
よく、また外部刺激により濡れ性が向上する場合は、外
部刺激が加わった領域に、濡れ性可変層を溶解させる現
像液を塗布すればよい。
【0087】また、外部刺激をパターン状に付加する方
法は、外部刺激の種類に応じて決定される。
【0088】(光触媒含有層に加える外部刺激につい
て)本発明においては、上述したように濡れ性可変層が
光触媒含有層であることが好ましい。以下、この場合の
外部刺激について説明する。
【0089】本発明のパターン形成体の製造方法におい
て、濡れ性可変層が上述した光触媒含有層である場合
は、付加する外部刺激としては、光触媒に対して作用す
るエネルギーを挙げることができ、具体的には、紫外光
を含む光を用いることができる。このような紫外光を含
む光の光源としては、例えば、水銀ランプ、メタルハラ
イドランプ、キセノンランプ等を挙げることができる。
この露光に用いる光の波長は400nm以下の範囲、好
ましくは380nm以下の範囲から設定することがで
き、また、露光に際しての光の照射量は、露光された部
位が光触媒の作用により親水性を発現するのに必要な照
射量とすることができる。
【0090】エネルギーの照射際してパターン照射が必
要な場合は、上述したような光源を用い、フォトマスク
を介したパターン照射により行うことができるが、他の
方法として、エキシマ、YAG等のレーザーを用いてパ
ターン状に描画照射する方法を用いることも可能であ
る。しかしながら、このような方法は、装置が高価、取
り扱いが困難、さらには連続出力ができない等の問題を
有する場合がある。
【0091】したがって、本発明においては、光触媒含
有層に対し、光触媒反応開始エネルギーを加え、この光
触媒反応開始エネルギーが加えられた領域内に反応速度
増加エネルギーをパターン状に加えることにより親水性
領域のパターンを形成するようにしてもよい。このよう
なエネルギーの照射方法を用いてパターンを形成するこ
とにより、パターン形成に際して、赤外線レーザ等の比
較的安価で取り扱いが容易である反応速度増加エネルギ
ーを用いることができ、これにより上述したような問題
が生じないからである。
【0092】このようなエネルギーを加えることにより
濡れ性の変化した親水性領域のパターンが形成できるの
は、以下の理由による。すなわち、まずパターンを形成
する領域に対して光触媒反応開始エネルギーを加えるこ
とにより、光触媒含有層に対する光触媒の触媒反応を開
始させる。そして、この光触媒反応開始エネルギーが加
えられた領域内に、反応速度増加エネルギーを加える。
このように反応速度増加エネルギーを加えることによ
り、既に光触媒反応開始エネルギーが加えられ、光触媒
の触媒作用により反応が開始されている光触媒含有層内
の反応が、急激に促進される。そして所定の時間、反応
速度増加エネルギーを加えることにより、光触媒含有層
内の特性の変化を所望の範囲まで変化させ、反応速度増
加エネルギーが加えられたパターンを濡れ性の変化した
親水性領域のパターンとすることができるのである。
【0093】a.光触媒反応開始エネルギーについて このエネルギー照射方法に用いられる光触媒反応開始エ
ネルギーとは、光触媒が光触媒含有層中の化合物に対し
て、その濡れ性を変化させるための触媒反応を開始させ
るエネルギーをいう。
【0094】ここで加える光触媒反応開始エネルギーの
量は、光触媒含有層中の濡れ性の変化を急激に生じない
程度の量である。加えられる光触媒反応開始エネルギー
の量が少ない場合は、反応速度増加エネルギーを加えて
パターンを形成する際の感度が低下するため好ましくな
く、またこの量が多すぎると、光触媒反応開始エネルギ
ーを加えた光触媒含有層における特性の変化の度合いが
大きくなりすぎて、反応速度増加エネルギーを加えた領
域との差異が不明確となってしまうため好ましくない。
この加えるエネルギーの量に関しては、予めエネルギー
を加える量と光触媒含有層中の濡れ性の変化量とを予備
実験等を行うことにより決定される。
【0095】この方法における光触媒反応開始エネルギ
ーとしては、光触媒反応を開始させることができるエネ
ルギーであれば特に限定されるものではないが、中でも
光であることが好ましい。
【0096】本発明において用いられる光触媒は、その
バンドギャップによって触媒反応を開始する光の波長が
異なる。例えば、硫化カドニウムであれば496nm、
また酸化鉄であれば539nmの可視光であり、二酸化
チタンであれば388nmの紫外光である。したがっ
て、光であれば可視光であれ紫外光であれ本発明で用い
ることができる。しかしながら、上述したようにバンド
ギャップエネルギーが高いため光触媒として有効であ
り、かつ化学的にも安定で毒性もなく、入手も容易とい
った理由から光触媒としては二酸化チタンが好適に用い
られる関係上、この二酸化チタンの触媒反応を開始させ
る紫外光を含む光であることが好ましい。具体的には、
400nm以下の範囲、好ましくは380nm以下の範
囲の紫外光が含まれることが好ましい。
【0097】このような紫外光を含む光の光源として
は、水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンラン
プ、エキシマランプ等の種々の紫外線光源を挙げること
ができる。
【0098】本発明においては、この光触媒反応開始エ
ネルギーが加えられる範囲は、光触媒含有層の一部分で
あってもよく、例えばこの光触媒反応開始エネルギーを
パターン状に加え、さらに後述する反応速度増加エネル
ギーもパターン状に加えることにより、濡れ性が変化し
た親水性領域のパターンを形成することも可能である
が、工程の簡略化、単純化等の理由から、この光触媒反
応開始エネルギーをパターンを形成する領域全面にわた
って加えることが好ましく、このように全面にわたって
光触媒反応開始エネルギーが加えられた領域に反応速度
増加エネルギーをパターン状に加えることにより、光触
媒含有層上に親水性領域のパターンを形成するようにす
ることが好ましい。
【0099】b.反応速度増加エネルギーについて 次に、この方法に用いられる反応速度増加エネルギーに
ついて説明する。この方法に用いられる反応速度増加エ
ネルギーとは、上記光触媒反応開始エネルギーによって
開始された光触媒含有層の濡れ性を変化させる反応の反
応速度を増加させるためのエネルギーをいう。本発明に
おいては、このような作用を有するエネルギーであれば
いかなるエネルギーであっても用いることができるが、
中でも熱エネルギーを用いることが好ましい。
【0100】このような熱エネルギーをパターン状に光
触媒含有層に加える方法としては、光触媒含有層上に熱
によるパターンが形成できる方法であれば特に限定され
るものではないが、赤外線レーザによる方法や感熱ヘッ
ドによる方法等を挙げることができる。このような赤外
線レーザとしては、例えば指向性が強く、照射距離が長
いという利点を有する赤外線YAGレーザ(1064n
m)や、比較的安価であるという利点を有するダイオー
ドレーザ(LED;830nm、1064nm、110
0nm)等の他、半導体レーザ、He−Neレーザ、炭
酸ガスレーザ等を挙げることができる。
【0101】この方法においては、上述した光触媒反応
開始エネルギーを加えることにより、光触媒を活性化さ
せて光触媒含有層内の触媒反応による濡れ性の変化を開
始させ、この濡れ性の変化が生じた部分に反応速度増加
エネルギーを加えてその部分の触媒反応を促進させるこ
とにより、反応速度増加エネルギーが加えられた領域
と、加えられなかった領域との反応速度の差により、親
水性領域のパターンを形成することができる。
【0102】C.現像液塗布工程 次に、上記外部刺激付加工程において濡れ性の異なるパ
ターンが形成された濡れ性可変層上に、上記濡れ性可変
層を溶解することができる現像液を塗布することによ
り、濡れ性のよい部分にのみ現像液を付着させる現像液
塗布工程について説明する。この工程は、図1において
は、紫外光が照射されて濡れ性が良好となった部分に、
濡れ性可変層を溶解させる現像液、この例では光触媒含
有層1を溶解させるアルカリ性溶液5を、ノズル吐出装
置(インクジェット装置、ディスペンサー等)6により
塗布する工程に相当する(図1(c))。
【0103】本発明に用いられる現像液としては、対応
する濡れ性可変層によって決定され、その濡れ性可変層
を溶解することが可能な溶液であれば特に限定されるも
のではない。
【0104】本発明におけるこの現像液を濡れ性可変層
上に塗布する方法は、特に限定されるものではなく、通
常のディップコート法等の方法により塗布することによ
り、濡れ性の良好な部分に現像液を塗布するようにして
もよい。しかしながら、濡れ性が良好な部分にのみ選択
的に塗布することができ、濡れ性可変層を除去しない部
分、すなわち濡れ性の悪い部分に現像液が残存する可能
性が低い点、さらには濡れ性可変層上に既に他の部材が
形成されている場合等においては、全体を現像液にさら
すことがなく、他の部材と現像液とを接触させることな
く塗布領域に選択的に現像液を塗布することができる点
等から、ノズル吐出による方法を用いることが好まし
い。このようなノズル吐出方法としては、例えばマイク
ロシリンジ、ディスペンサー、インクジェット、針先よ
り現像液を電界などの外部刺激により飛ばす方法、外部
刺激により振動するピエゾ素子などの振動素子を用いて
素子より現像液を飛ばす方法、針先に付着させた現像液
を基板表面に付着させる方法等を用いることができる。
【0105】本発明では、上述した塗布方法の中でも、
塗布の正確性および迅速性等の観点からインクジェット
方式で現像液を塗布することが好ましい。この場合用い
られるインクジェット装置としては、特に限定されるも
のではないが、帯電したインクを連続的に噴射し磁場に
よって制御する方法、圧電素子を用いて間欠的にインク
を噴射する方法、インクを加熱しその発泡を利用して間
欠的に噴射する方法等の各種の方法を用いたインクジェ
ット装置を用いることができる。
【0106】本発明において濡れ性可変層が光触媒含有
層である場合は、特に現像液が、上記光触媒含有層上に
おけるエネルギー未照射部分の臨界表面張力よりも大き
い表面張力を有する現像液であることが好ましい。この
ような現像液を選択することにより、エネルギー未照射
部分では、現像液と光触媒含有層との接触角は少なくと
も0度を超える角度を有するものとなる。したがって、
エネルギー未照射部分において現像液が無制限に伸び広
がることがない。また、エネルギー未照射部分において
0度を超える角度を有するものであるので、エネルギー
照射部分との間で必ず接触角差を設けることが可能とな
り、現像液をパターン状に塗布することができる。これ
により、精度良くパターン形成体を製造することができ
るのである。
【0107】本発明においては、光触媒含有層がシロキ
サン結合を有するバインダーで形成されている場合は、
現像液はこのようなシロキサン結合を分解することがで
きるアルカリ性溶液であることが好ましい。このような
アルカリ性溶液としては、有機アルカリと無機アルカリ
の水溶液を挙げることができる。
【0108】好ましいアルカリ性溶液としては、水酸化
ナトリウム水溶液および水酸化カリウム水溶液を挙げる
ことができ、好ましいpHとしては、pH7〜14、特
に好ましくはpH10〜14、最も好ましいpHとして
は、pH12〜14である。
【0109】D.洗浄工程 最後に、上記現像液により現像液が付着した部分の濡れ
性可変層を溶解させて濡れ性可変層のパターンを形成
後、濡れ性可変層上を洗浄する洗浄工程を行う。この工
程は、図1に示す例では、図1(d)に相当し、アルカリ
性溶液5が光触媒含有層1を溶解して光触媒含有層1か
らなるパターンが形成され後、洗浄することにより、濡
れ性可変層である光触媒含有層1からなるパターンが基
板2上に形成されたパターン形成体7を得る工程であ
る。
【0110】本発明における洗浄工程は、特に限定され
るものでなく、一般にフォトリソグラフィー工程等にお
いて行われている洗浄工程と同様にして行うことができ
る。
【0111】2.パターン形成体 次に、上記パターン形成体の製造方法によって得られる
パターン形成体について説明する。
【0112】本発明のパターン形成体は、基板と、基板
上にパターン形成された濡れ性可変層とを少なくとも有
するものである。ここで基板の材料および濡れ性可変層
の材料等は、上記パターン形成体の製造方法において詳
述したものと同様であるので、ここでの説明は省略す
る。
【0113】本発明においては、特に濡れ性可変層が光
触媒含有層であるパターン形成体が特に好ましい。この
光触媒含有層に関しても、上記パターン形成体の製造方
法において詳述したものと同様であるので、ここでの説
明は省略する。
【0114】このようなパターン形成体は、濡れ性可変
層がパターン状に形成されているため、ここにさらにパ
ターン状に外部刺激を加えることにより、さらに複雑な
パターンとすることが可能であり、このようなパターン
形成体上に機能性材料を選択的に付着させることにより
機能性素子を形成することができるので、設計の自由度
を大幅に向上させることができる。
【0115】また、濡れ性可変層上に機能性材料を選択
的に付着させて、機能性素子とした場合に、部分的に濡
れ性可変層が形成されていない部分を設けることが好ま
しい場合がある。このような場合は、上記パターン形成
方法により部分的に濡れ性可変層の除去されたパターン
形成体とすることにより、得られる機能性素子の要求に
合致した濡れ性可変層パターンを有するパターン形成体
とすることができる。
【0116】(機能性素子)上述した機能性素子とは、
上記濡れ性可変層のパターン形成体において、さらに外
部刺激により濡れ性の異なるパターンを形成し、このよ
うなパターン上に種々の機能性材料を塗布することによ
り得られるものである。
【0117】ここで機能性とは、光学的(光選択吸収、
反射性、偏光性、光選択透過性、非線形光学性、蛍光あ
るいはリン光等のルミネッセンス、フォトクロミック性
等)、磁気的(硬磁性、軟磁性、非磁性、透磁性等)、
電気・電子的(導電性、絶縁性、圧電性、焦電性、誘電
性等)、化学的(吸着性、脱着性、触媒性、吸水性、イ
オン伝導性、酸化還元性、電気化学特性、エレクトロク
ロミック性等)、機械的(耐摩耗性等)、熱的(伝熱
性、断熱性、赤外線放射性等)、生体機能的(生体適合
性、抗血栓性等)な各種の機能を意味するものである。
【0118】また用いられる機能性材料は、機能性素子
の機能、機能性素子の形成方法等によって大きく異なる
ものである。また、その態様も、紫外線硬化型モノマー
等に代表される溶剤で希釈されていない組成物や、溶剤
で希釈した液体状の組成物等種々のものが考えられる。
【0119】このような機能性素子としては、具体的に
は、カラーフィルタ、マイクロレンズ等を挙げることが
できる。
【0120】3.カラーフィルタ 次に、上記パターン形成体の製造方法およびパターン形
成体自体の適用例として、上記機能性素子がカラーフィ
ルタである場合について説明する。図2は、本発明のパ
ターン形成体の製造方法を適用したカラーフィルタの製
造方法および得られるカラーフィルタを説明するもので
ある。
【0121】図2(a)は、遮光部(ブラックマトリック
ス)11が形成された透明基板12上に光触媒含有層1
3が形成され、さらにその上に画素部14が形成された
状態、すなわち、光触媒含有層が部分的に除去され、パ
ターンが形成されていない状態を示すものである。
【0122】ここで透明基板12は、上記パターン形成
体の製造方法で詳述した基板の内、透明基板として説明
したものを用いることができる。また遮光部11は、通
常用いられる遮光部であれば特に限定されるものではな
く、例えばスパッタリング法、真空蒸着法等により厚み
1000〜2000Å程度のクロム等の金属薄膜を形成
し、この薄膜をパターニングすることにより形成された
遮光部や、樹脂バインダ中にカーボン微粒子、金属酸化
物、無機顔料、有機顔料等の遮光性粒子を含有させた遮
光部が用いられる。この遮光部11は、上記画素部14
により形成される表示領域Aの上記画素部14間に設け
られる表示領域遮光部11aと、表示領域の外周部Bに
形成される外周遮光部11bとの2種類が形成される。
【0123】このような遮光部11が形成された透明基
板12上に光触媒含有層13がスピンコート等の公知の
塗布方法により形成される。この光触媒含有層の組成に
関しては、上記パターン形成体の製造方法において詳述
したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
この透明基板12はこのようにスピンコート等の方法に
より塗布されるものであるので、通常は図2(a)に示す
ように透明基板12の表面全面にわたって塗布される。
【0124】そして、この光触媒含有層上の表示領域A
の画素部形成部に紫外光等によりパターン露光を行うこ
とにより、画素部形成部を親インク性領域として、ここ
にインクジェット装置等を用いて各色のインクを塗布す
ることにより画素部14が形成される。この画素部14
は、通常赤(R)、緑(G)、および青(B)の3色で
形成され、着色パターン、着色面積は任意に設定するこ
とができる。画素部を構成するインクは通常のインクジ
ェット方式に用いられるインクが用いられる。
【0125】この図2(a)に示される状態において
は、外周部Bにも全面にわたって光触媒含有層13が形
成されている。この外周部Bは、カラー液晶表示装置を
製造する際、カラーフィルタとこれに対向する対向電極
基板とを接着させるためのシール部材が配置される領域
である。ここで、シール部材が光触媒含有層上に形成さ
れた場合は、光触媒含有層とシール部材との間で接着不
良が生じる可能性がある。したがって、外周部の少なく
ともシール部材が形成される部位では光触媒含有層が除
去されていることが望ましい。
【0126】また、上記表示領域A上では、光触媒含有
層13上に画素部14が形成されており、このため、こ
のカラーフィルタと対向電極基板とが上記シール部材に
より接着され、このカラーフィルタと対向電極基板間に
液晶材料が封入された場合でも、光触媒含有層と液晶材
料とが接触する面積は少ない。また、この表示領域Aで
は、画素部上に通常透明電極や配向膜が形成される。し
たがって、直接液晶材料と光触媒含有層とが接触する場
合は少ない。一方、外周部Bは光触媒含有層が露出して
おり、かつ配向膜等がこの外周部全域を覆うように形成
することは困難であることから、光触媒含有層と液晶材
料とが大きな面積で接触する可能性が高い。液晶材料と
光触媒含有層と液晶材料とが接触した場合は、光触媒含
有層中の光触媒の影響により、液晶材料が変質する可能
性があり、得られるカラー液晶表示装置の画像品質を低
下させるおそれがある。したがって、光触媒含有層は、
液晶材料と直接接触する可能性の高い外周部Bからは除
去されることが好ましい。
【0127】このような理由から外周部Bの必要な領域
の光触媒含有層は除去されることが望まれる。この外周
部Bの必要な領域の光触媒含有層の除去に際して、上記
本発明のパターン形成体の製造方法が適用できる。すな
わち、このような図2(a)に示す状態の基板に対し、フ
ォトマスク等を利用して、外周部の所定の領域のみエネ
ルギーが照射されるようにエネルギーのパターン照射を
行う。そしてパターン照射が行われた表示領域の外側、
すなわち外周部Bの所定の領域上に、この光触媒含有層
を溶解させる現像液を塗布し、そしてこの現像液により
上記外周部Bの所定の領域を溶解させる。これを洗浄す
ることにより、図2(b)に示すような外周部Bの所定の
領域の光触媒含有層が除去された、言い換えれば光触媒
含有層がパターン状に形成されたカラーフィルタ16を
得ることができる。
【0128】上記カラーフィルタの製造方法において用
いられるエネルギー、エネルギーのパターン照射方法、
現像液、現像液の塗布方法、洗浄方法等に関しては、カ
ラーフィルタ特有のものを除いて、全て上述したパター
ン形成体の製造方法で説明したものと同様であるので、
ここでの説明は省略する。
【0129】外周部Bにおける光触媒含有層の除去を行
う所定の領域とは、少なくともシール部材が配置される
部分を含むものであれば特に限定されるものではない。
しかしながら、液晶材料との接触を極力少なくするため
に、表示領域A以外の部分の光触媒含有層は全て除去さ
れることが好ましい。
【0130】なお、図2に示した例では、光触媒含有層
13が除去される工程が、画素部が形成された後となっ
ているが、本発明はこれに限定されるものではなく、画
素部形成前に予め上述したようにして、外周部Bの必要
な領域の光触媒含有層13を除去した後に、画素部12
を形成するようにしてもよい。
【0131】また、図2に示した例では、遮光部11が
透明基板12上に形成された例を示したが、本発明はこ
れに限定されるものではなく、遮光部が形成されていな
いものであっても、また遮光部が光触媒含有層上に形成
されたものであってもよい。また、得られるカラーフィ
ルタに、カラーフィルタと対向電極基板との間のギャッ
プを一定に保つための柱状のスペーサが形成されていて
もよい。さらには、上述したように、画素部上にITO
電極等の透明電極が形成されていてもよいし、また配向
膜が形成されていてもよく、必要であれば保護層が形成
されていてもよい。
【0132】図2(b)に示すカラーフィルタ16は、上
述したように、外周部Bの所定の領域に光触媒含有層が
形成されていない。したがって、このカラーフィルタと
対向電極基板とを接着させる際に、両者を接着密封する
ためのシール部材を光触媒含有層12の除去された部分
に形成することができる。これにより、光触媒含有層上
にシール部材が形成されることによる接着不良といった
問題が生じるおそれがなくなる。また、このように光触
媒含有層が除去されているため、外周部Bにおける液晶
材料との接触面積が小さくなり、これにより例えば透明
電極、配向膜さらには必要であれば保護層等により光触
媒含有層を容易に覆うことが可能となり、液晶材料と光
触媒含有層との接触を防止することができる。よって、
液晶材料の変質によるカラー液晶表示装置における品質
の低下を防止することができる。
【0133】4.カラー液晶表示装置 図3は、上述した外周部Bにおける所定の領域の光触媒
含有層を除去したカラーフィルタ16を用いたカラー液
晶表示装置の一例を示すものである。この例では、上記
光触媒含有層が除去された外周部Bの所定の領域に、シ
ール部材15が配置され、このシール部材15によりカ
ラーフィルタ16と対向電極基板17とが接着され、こ
のカラーフィルタ16と対向電極基板17との間は液晶
材料が密封されて液晶層18とされる。カラーフィルタ
16と対向電極基板17との間隙は、ビーズ状のスペー
サが分散されて一定に保たれている。なお、スペーサは
これに限定されるものではなく、カラーフィルタ16も
しくは対向電極17のいずれかもしくは両者に形成され
た柱状凸部形状のスペーサであってもよい。
【0134】このようなカラー液晶表示装置は、カラー
フィルタと対向電極基板とを密封接着するためのシール
部材が光触媒含有層上に形成されていない。したがっ
て、光触媒含有層上にシール部材が形成された場合に生
じる可能性のあるシール部材と光触媒含有層との間の接
着不良を防止することができる。また、カラーフィルタ
16の外周部全面にわたって光触媒含有層が形成されて
いないので、例えば透明電極や配向膜、必要であれば保
護層等を用いて光触媒含有層を覆うことにより、容易に
液晶材料と光触媒含有層とが接触しないようにすること
が可能となり、液晶材料の光触媒に起因する変質等を防
止することができる。したがって、このような構成とす
ることにより、光触媒含有層を用いたカラーフィルタを
一方の基板として用いても、不具合の少ない高品質のカ
ラー液晶表示装置とすることができる。
【0135】なお、本発明は、上記実施形態に限定され
るものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明
の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同
一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いか
なるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0136】
【実施例】イソプロピルアルコール3g、フルオロアル
キルシラン(トーケムプロダクツ(株)製;MF−16
0E(商品名)、N−[3−(トリメトキシシリル)プ
ロピル]−N−エチルパーフルオロオクタンスルホンア
ミドのイソプロピルエーテル50重量%溶液)0.07
g、酸化チタンゾル(石原産業(株)製;STK−01
(商品名))3g、シリカゾル(日本合成ゴム(株)
製;グラスカHPC7002(商品名))0.6g、お
よびアルキルアルコキシシラン(日本合成ゴム(株)
製;HPC402H(商品名))0.2gを混合し、1
00℃で20分間撹拌した。この溶液を厚さ0.7mm
の無アルカリガラス基板上にスピンコーティング法によ
りコートし、20分間150℃で加熱後、厚さ0.15
μmの光触媒含有層を得た。
【0137】この光触媒含有層表面に格子状のフォトマ
スクを介して超高圧水銀ランプにより70mW/cm2
(365nm)の照度で3分間紫外線照射を行い、水に
対する接触角を接触角測定器(協和界面科学社製CA−
Z型)を用い、上述した方法により測定した。未露光部
の水との接触角は70度であり、露光部の水との接触角
は9度であった。
【0138】次に、ディスペンサーを用いてpH13、
上記光触媒含有層の未露光部との接触角が55度、露光
部との接触角が5度の水酸化カリウム水溶液を露光部に
吐出すると露光部内に濡れ広がり、未露光部には侵入す
ることは無かった。2分後、純水にてリンスすることに
より、未露光部のみが残ったパターニングされた光触媒
含有層を得た。
【0139】
【発明の効果】本発明は、濡れ性可変層上に濡れ性の異
なる領域のパターンを形成し、このうちの濡れ性の良好
な部分に濡れ性可変層を溶解することがきでる現像液を
付着させ、この部分を溶解させて濡れ性可変層のパター
ンを形成するものであるので、フォトリソグラフィー法
等のようにフォトレジストを付着させる等の処置をする
ことなく、簡便に濡れ性可変層のパターンを基板上に形
成することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(d)は、本発明のパターン形成体の
製造方法を概略例示する工程図である。
【図2】(a)および(b)は、本発明のカラーフィル
タの製造方法および本発明のカラーフィルタの一例を示
す概略断面図である。
【図3】本発明のカラー液晶表示装置の一例を示す概略
断面図である。
【符号の説明】
1…濡れ性可変層 2…基板 3…マスク 4…エネルギー 5…アルカリ性溶液 6…吐出装置 7…パターン形成体 11…遮光部 12…透明基板 13…光触媒含有層 14…画素部 15…シール部材 16…カラーフィルタ 17…対向電極基板 18…液晶層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 富雄 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 Fターム(参考) 2H025 AA00 AB13 AC01 AD01 AD03 BH00 BH03 FA03 FA15 2H048 BA02 BA11 BA64 BA66 BB01 BB02 BB42 2H091 FA02Y FC01 FC10 FC24 FC25 GA01 2H096 AA00 BA16 BA20 EA02 GA02 GA06 GA08 GA17 LA16

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に外部刺激により濡れ性が変化す
    る濡れ性可変層を形成する濡れ性可変層形成工程と、前
    記濡れ性可変層が形成された基板上にパターン状に外部
    刺激を付加して濡れ性可変層に濡れ性の異なるパターン
    を形成する外部刺激付加工程と、前記濡れ性の異なるパ
    ターンが形成された濡れ性可変層上に前記濡れ性可変層
    を溶解することができる現像液を塗布することにより、
    濡れ性のよい部分にのみ現像液を付着させる現像液塗布
    工程と、前記現像液により現像液が付着した部分の濡れ
    性可変層を溶解させて濡れ性可変層のパターンを形成
    後、濡れ性可変層上を洗浄する洗浄工程とを少なくとも
    有することを特徴とするパターン形成体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記外部刺激の付加がエネルギーの照射
    であり、前記濡れ性可変層が、少なくとも光触媒とバイ
    ンダとからなる光触媒含有層であり、かつこのエネルギ
    ーの照射により水との接触角が低下するように濡れ性が
    変化する層であることを特徴とする請求項1記載のパタ
    ーン形成体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記光触媒含有層に照射するエネルギー
    が、紫外光を含む光であることを特徴とする請求項2に
    記載のパターン形成体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記光触媒含有層に照射するエネルギー
    が、光触媒反応開始エネルギーおよび反応速度増加エネ
    ルギーであり、前記光触媒反応開始エネルギーを照射し
    た部分に前記反応速度増加エネルギーを照射することに
    より、露光部分を形成することを特徴とする請求項2に
    記載のパターン形成体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記光触媒反応開始エネルギーが紫外光
    を含む光であり、前記反応速度増加エネルギーが熱エネ
    ルギーであることを特徴とする請求項4記載のパターン
    形成体の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記光触媒含有層がフッ素を含み、前記
    光触媒含有層に対しエネルギーを照射した際に、前記光
    触媒の作用により前記光触媒含有層表面のフッ素含有量
    がエネルギー照射前に比較して低下するように前記光触
    媒含有層が形成されていることを特徴とする請求項2か
    ら請求項5までのいずれかの請求項に記載のパターン形
    成体の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記光触媒が、酸化チタン(Ti
    2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)、チ
    タン酸ストロンチウム(SrTiO3)、酸化タングス
    テン(WO3)、酸化ビスマス(Bi23)、および酸
    化鉄(Fe23)から選択される1種または2種以上の
    物質であることを特徴とする請求項2から請求項6まで
    のいずれかの請求項に記載のパターン形成体の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 前記光触媒が酸化チタン(TiO2)で
    あることを特徴とする請求項7記載のパターン形成体の
    製造方法。
  9. 【請求項9】 前記光触媒含有層は、エネルギーが照射
    されていない部分における水との接触角が、エネルギー
    が照射された部分における水との接触角より1度以上大
    きい接触角となる光触媒含有層であることを特徴とする
    請求項2から請求項8までのいずれかの請求項に記載の
    パターン形成体の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記バインダが、YnSiX(4-n)(こ
    こで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル
    基、アミノ基、フェニル基またはエポキシ基を示し、X
    はアルコキシル基またはハロゲンを示す。nは0〜3ま
    での整数である。)で示される珪素化合物の1種または
    2種以上の加水分解縮合物もしくは共加水分解縮合物で
    あるオルガノポリシロキサンであることを特徴とする請
    求項2から請求項9までのいずれかの請求項に記載のパ
    ターン形成体の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記現像液が、シロキサン結合を分解
    することができるアルカリ性溶液であることを特徴とす
    る請求項10に記載のパターン形成体の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記現像液が、前記光触媒含有層上に
    おけるエネルギー未照射部分の臨界表面張力よりも大き
    い表面張力を有する現像液であることを特徴とする請求
    項2から請求項11までのいずれかの請求項に記載のパ
    ターン形成体の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記現像液塗布工程が、ノズル吐出方
    式を用いて行われることを特徴とする請求項1から請求
    項12までのいずれかの請求項に記載のパターン形成体
    の製造方法。
  14. 【請求項14】 基板と、この基板上にパターン形成さ
    れた外部刺激により濡れ性が変化する濡れ性可変層とを
    少なくとも有するパターン形成体。
  15. 【請求項15】 前記濡れ性可変層が、少なくとも光触
    媒とバインダとからなり、エネルギーの照射により水と
    の接触角が低下するように濡れ性が変化する光触媒含有
    層であることを特徴とする請求項14記載のパターン形
    成体。
  16. 【請求項16】 透明基板上に設けられた光触媒含有層
    上に複数色の画素部を所定のパターンで形成してなる表
    示領域を少なくとも有するカラーフィルタの製造方法に
    おいて、前記透明基板上に前記光触媒含有層を形成する
    工程と、前記表示領域外側の所定の領域の光触媒含有層
    にエネルギーをパターン照射する工程と、前記エネルギ
    ーが照射された光触媒含有層上に前記光触媒含有層を溶
    解する現像液を塗布する工程と、前記現像液により表示
    領域外側の所定の領域の光触媒含有層を溶解させた後、
    洗浄する工程とを少なくとも有するカラーフィルタの製
    造方法。
  17. 【請求項17】 透明基板と、前記透明基板上に形成さ
    れた光触媒含有層と、この光触媒含有層上に複数色の画
    素部を所定のパターンで形成してなる表示領域とを少な
    くとも有するカラーフィルタにおいて、前記表示領域外
    側の所定の領域の光触媒含有層が除去されていることを
    特徴とするカラーフィルタ。
  18. 【請求項18】 請求項17記載のカラーフィルタと、
    これに対向して配置された対向電極基板と、前記表示領
    域の外側に配置され、前記両基板間の間隙を密封するシ
    ール部材と、このシール部材により密封された両基板間
    の間隙に液晶材料が注入されて形成された液晶層とを少
    なくとも有することを特徴とするカラー液晶表示装置。
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