JP2001227750A - 加熱調理機器 - Google Patents

加熱調理機器

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JP2001227750A
JP2001227750A JP2000039504A JP2000039504A JP2001227750A JP 2001227750 A JP2001227750 A JP 2001227750A JP 2000039504 A JP2000039504 A JP 2000039504A JP 2000039504 A JP2000039504 A JP 2000039504A JP 2001227750 A JP2001227750 A JP 2001227750A
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zirconia
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film
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Application number
JP2000039504A
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English (en)
Inventor
Kunihiro Tsuruta
邦弘 鶴田
Masao Maki
正雄 牧
Katsuhiko Uno
克彦 宇野
Takashi Niwa
孝 丹羽
Takahiro Umeda
孝裕 梅田
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 調理物の汚れ低減効果を高めた耐熱性蓋を有
する、ハロゲンランプなどの加熱調理機器を提供するこ
と。 【解決手段】 収納箱4と、収納箱4に収納された加熱
熱源5と、収納箱4の上部に配置された耐熱性蓋6で加
熱調理機器を構成する。耐熱性蓋6は、耐熱性母材7
と、ジルコニアを主成分とするジルコニア薄膜8とから
なる。そして耐熱性蓋6の表面を、ジルコニア薄膜8で
コーテイングしたため、耐摩耗性や耐熱性さらに耐溶出
性に優れ、しかもその表面凹凸が小さい緻密な膜とな
る。そのため、傷が付きにくくなり、長期間使用しても
調理吹きこぼれ物が水洗いで簡単に拭きとることが可能
となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、調理物の汚れ低減
効果を高めた耐熱性蓋を有するハロゲンランプなどの加
熱調理機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】各種の加熱調理機器が普及しているなか
で最近、封入したハロゲンガスの中でフィラメントを発
光させるハロゲンランプを加熱熱源としたハロゲン調理
機器が注目を集めている。この調理機器は、特開平10
−153320号公報に記載されており、図2に示すよ
うに収納箱1と、収納箱に収納されたハロゲンランプ2
と、収納箱の上部に配置された耐熱ガラス3とから構成
させる。
【0003】一方、撥水性を有する塗膜を加熱調理機器
に応用する提案がある。従来から知られている技術は、
フッ素樹脂を主成分とする撥水塗料で調理残さ付着面を
覆うことである。また、特許番号第2778322号公
報には、エポキシ樹脂と無水トリメリット酸とフルオロ
アルキルシロキサン化合物からなる熱硬化型撥水性塗膜
とこれを用いた調理器が記載されている。同様の内容は
特開平5−186736号公報にも記載されており、レ
ゾール型ホルムアルデヒド樹脂とフルオロアルキルシロ
キサン化合物熱硬化型撥水性塗膜とこれを用いた調理器
が記載されている。
【0004】また、ジルコニアなどの金属酸化物とフッ
ソ系樹脂の複合膜からなる撥水性ハードコード被膜の提
案もある。この提案は、特開平7−166324号公報
に記載されており、フッソ樹脂とジルコニアなどの金属
酸化物からなる撥水性ハードコード被膜をスパッタリン
グ法で形成し、フッソ系樹脂で撥水性を付与し、ジルコ
ニアなどの金属酸化物で耐摩擦性を付与している。さら
に最近では、基板の表面を凹凸化してその表面に撥水膜
を形成する提案がある。例えば特開平9−100141
号公報では、ガラス基材表面に、シリカやジルコニアな
どの金属アルコシドの加水分解物と、直径0.0002
〜0.5μmのシリカやジルコニアなど金属酸化物微粒
子を含有する凹凸層と、フルオロアルキル基を有する撥
水層を、順に積層する旨が記載されている。同様の内容
は特開平4−288349号公報および特開平4−23
9633号公報にも記載されており、シリケートガラス
と微粒子の混合で形成した0.5〜10μmの凹凸層
と、フルオロカーボン基やシロキサン基を有するポリマ
ー膜層または化学吸着単分子層を、順に積層する旨が記
載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
技術は次の様な課題があった。
【0006】まず、従来構成の特開平10−15332
0号公報の加熱調理機器について説明する。長期間使用
すると調理時の吹きこぼれ物が耐熱ガラスの上部にこび
りついて水洗いで簡単に拭きとれず、その汚れ物が残留
固着する問題があった。この理由は、調理容器を耐熱ガ
ラスの上部に何回も設置することで、ガラス表面が傷つ
いて大きな凹凸ができること、ガラス中の溶解成分が徐
々に溶出して親水性のシリカ成分割合が多くなり防汚性
が低下するためである。
【0007】一方、耐熱ガラスをフッ素樹脂の撥水塗料
で被覆する提案について説明する。この構成の加熱調理
機器では、耐熱ガラスが300℃程度の高温になるため
にフッ素樹脂が熱劣化することと、調理容器の設置によ
る傷付きでその表面に深い凹凸ができることで、長期間
使用すると汚れがこの凹凸に残留固着して拭き取ること
ができない課題がある。同様の試みを従来例記載の、フ
ルオロアルキルシロキサン化合物を含む熱硬化型撥水性
塗膜、ジルコニアなどの金属酸化物とフッソ系樹脂の複
合膜からなる撥水性ハードコード被膜、フルオロアルキ
ル基を有する撥水層を最上層部に配置した積層膜、フル
オロカーボン基やシロキサン基を有するポリマー膜層ま
たは化学吸着単分子層を最上層部に配置した積層膜で行
ってもその結果は良好でない。つまり、これらの膜は長
期間使用すると熱劣化と傷付きによりその表面に深い凹
凸ができ、汚れがこの凹凸に残留付着して拭き取ること
ができない。
【0008】本発明は、上記従来の課題を解決し、長期
間使用しても調理吹きこぼれ物が水洗いで簡単に拭きと
れる耐熱性防汚膜を形成した、耐熱性蓋を有する加熱調
理機器を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために、収納箱と、前記収納箱に収納された加熱熱
源と、前記収納箱の上部に配置され調理容器をその上部
に設置するための耐熱性蓋とを備え、前記耐熱性蓋を、
耐熱性母材と、前記耐熱性母材の調理容器設置側の表面
に形成したジルコニアを主成分とするジルコニア薄膜と
から構成した加熱調理機器とした。
【0010】耐熱性蓋の表面をジルコニア薄膜でコーテ
イングしたため、その表面は耐摩耗性や耐熱性さらに耐
溶出性に優れ、しかも緻密で凹凸が小さい。そのため、
耐熱性蓋は傷が付きにくくなってその表面の緻密な微少
凹凸が長期間維持されて、長期間使用しても調理吹きこ
ぼれ物が水洗いで簡単に拭きとることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】請求項1に記載の発明は、収納箱
と、前記収納箱に収納された加熱熱源と、前記収納箱の
上部に配置され調理容器をその上部に設置するための耐
熱性蓋とを備え、前記耐熱性蓋を、耐熱性母材と、前記
耐熱性母材の調理容器設置側の表面に形成したジルコニ
アを主成分とするジルコニア薄膜とから構成するもので
ある。
【0012】耐熱性蓋の表面を、ジルコニアを主成分と
するからジルコニア薄膜でコーテイングしたため、その
表面は耐摩耗性や耐熱性さらに耐溶出性に優れ、しかも
その表面凹凸が小さい。そのため、傷が付きにくくな
り、長期間使用しても調理吹きこぼれ物が水洗いで簡単
に拭きとれる。
【0013】請求項2に記載の発明は、耐熱性母材が、
表面粗さが3μmを超えない凹凸構造を有する請求項1
記載の加熱調理機器とするものである。
【0014】耐熱性母材の表面粗さを、その上部に形成
するジルコニア薄膜に落下した調理吹きこぼれ物が水洗
いで簡単に拭きとれる、3μmを超えない凹凸構造にし
たため、長期間使用しても調理吹きこぼれ物が水洗いで
非常に簡単に拭きとれる。
【0015】請求項3に記載の発明は、ジルコニア薄膜
を、ジルコニアと、シリカであるゾルゲル膜とから構成
し、ジルコニアを少なくとも60wt%以上含むものであ
る。
【0016】ジルコニア薄膜には、耐摩耗性や耐熱性さ
らに耐溶出性に優れその表面凹凸が小さい特徴を持つジ
ルコニアが多く含まれており残部が結合力の優れたシリ
カであるため、調理吹きこぼれ物が水洗いで非常に簡単
に拭きとれる。
【0017】請求項4に記載の発明は、ジルコニア薄膜
が、ジルコニアを主成分とするゾルゲル膜を300〜9
00℃で焼成して形成したものである。
【0018】ゾルゲル膜を300〜900℃で焼成する
ことで、耐摩耗性や耐熱性さらに耐溶出性そして表面凹
凸が小ささに最も優れるジルコニア薄膜が、簡単に得ら
れるため、調理吹きこぼれ物が水洗いで非常に簡単に拭
きとれる。
【0019】請求項5に記載の発明は、耐熱性母材が、
ジルコニアを少なくとも5〜15wt%含有する耐熱強化
ガラスとしたものである。
【0020】耐熱性母材が、結合性に優れるジルコニア
が含有される耐熱強化ガラスであるため、ジルコニア薄
膜との密着性が良好となる。
【0021】請求項6に記載の発明は、耐熱性母材が、
酸化チタンを少なくとも1〜5wt%含有する耐熱強化ガ
ラスとしたものである。
【0022】耐熱性母材が、結合性に優れる酸化チタン
がさらに含有される耐熱強化ガラスであるため、ジルコ
ニア薄膜との密着性が非常に良好となる。
【0023】請求項7に記載の発明は、耐熱性母材が赤
外線通過性の耐熱強化ガラスでありその加熱熱源側表面
に、金を主成分とする可視光反射膜を形成したものであ
る。
【0024】赤紫色の金を主成分とする可視光反射膜
を、赤外線通過性の耐熱強化ガラスからなる耐熱性母材
の加熱熱源側表面に形成しているため、調理吹きこぼれ
物が多量に付着しても見えにくくなって目立たない。
【0025】請求項8に記載の発明は、可視光反射膜
が、金の含有量に対してビスマスを少なくとも20〜4
0wt%含有したものである。
【0026】赤紫色の金に対して、帯赤銀白色のビスマ
スが少なくとも20〜40wt%含有されるため、際立っ
た赤紫色の可視光反射膜となる。このため、調理吹きこ
ぼれ物が多量に付着しても見えにくくなって目立たない
効果を引き立てる。
【0027】
【実施例】以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて
説明する。
【0028】(実施例1)図1は本発明の実施例である
加熱調理機器の断面である。加熱調理機器は、収納箱4
と、収納箱に収納された加熱熱源5と、収納箱の上部に
配置された耐熱性蓋6で構成されており、この耐熱性蓋
6は、耐熱性母材7と、耐熱性母材の調理容器設置側の
表面に形成させたジルコニアを主成分とするからジルコ
ニア薄膜8とから構成される。
【0029】耐熱性蓋6は、ジルコニア薄膜8を介し
て、調理容器9をその上部に設置している。そして、加
熱熱源5から発生される熱を介して、調理容器9の中に
収納した調理物が効果的に加熱される様にしている。
【0030】加熱調理機器を試作しその効果の確認を行
った。
【0031】加熱熱源5は、タングステンフィラメント
をアルゴンガスとともに石英筒の中に封止したハロゲン
ヒータであり、赤外線を発する。
【0032】耐熱性母材7は、アルミナ18部とジルコ
ニア10部と酸化チタン2部と珪酸64部と硼酸6部か
らなる結晶化ガラスである。この耐熱性母材7は、加熱
熱源5から発生される赤外光を良好に通過させる耐熱強
化ガラスであり、このことで効果的に熱を調理容器9に
伝達させている。また、その調理容器9の設置側表面
は、表面粗さが1μmの凹凸構造を有する。そして、そ
の表面にジルコニアのゾルゲル膜を600℃焼成してジ
ルコニア薄膜8を形成した。この耐熱性母材7とジルコ
ニア薄膜8で耐熱性蓋6が構成される。
【0033】砂糖醤油液が入った金属製調理容器を耐熱
性蓋6に設置し、加熱熱源5を作動させて300℃高温
に保持した。そして、砂糖醤油を沸騰させその沸騰液を
耐熱性蓋6に滴下し、室温まで冷却後に濡れたフキンで
砂糖醤油滴下液を拭き取って、耐熱性蓋6の汚れ具合を
評価した。耐熱性蓋6の汚れ具合は、砂糖醤油滴下液が
フキンで簡単に拭き取れれば汚れ難いと判断し、砂糖醤
油滴下液が耐熱性蓋6にこびり付いてフキンで拭き取る
ことが出来なければ汚れ易いと判断して、その防汚特性
を表現した。この耐熱性蓋6の汚れ具合検定試験は、使
用初期と、前述の調理容器設置と砂糖醤油滴下フキン拭
き取りの50回試験後(以下、50回耐久試験後と称
す)に行った。その結果を(表1)に示す。参考のた
め、水を室温で滴下した際の接触角も同時に評価した。
また比較のため、耐熱強化ガラスのみの場合、フッソ樹
脂を塗布した場合、酸化チタン薄膜を形成した場合も同
様に評価した。
【0034】
【表1】
【0035】ジルコニア薄膜8を形成した本発明品は、
従来の強化ガラスだけと比較して汚れ難くて接蝕角が大
きく、良好な膜であることがわかる。この理由を説明す
る。ジルコニア薄膜8は、ジルコニア特有の結晶粒子径
の小ささとその薄膜化のため、その表面は凹凸が少ない
緻密膜となっている。しかも、ジルコニア薄膜8は、耐
摩耗性や耐熱性さらに耐溶出性に優れた疎水性膜であ
る。このため、長期間使用して表面は傷が付きにくく、
調理吹きこぼれ物が濡れたフキンで簡単に拭きとること
ができ、表面が汚れ難い。一方、耐熱強化ガラスのみの
場合、親水性の優れたシリカがガラスに含有されている
ため接触角が小さい親水膜となり、さらに長期間使用す
ると表面に傷が付いて汚れ易い。また、フッソ樹脂の場
合も、フッ素樹脂が300℃高温により熱劣化するとと
もに調理容器で傷付いてしまってその表面に深い凹凸が
でき、長期間使用すると汚れがこの凹凸に残留付着して
拭き取ることができず、汚れ易い。酸化チタン薄膜の場
合、ポーラス膜であるため汚れが残留付着して拭き取る
ことができず汚れ易かった。
【0036】なお、ジルコニア薄膜8は、加熱熱源5の
ハロゲンヒータから発生される赤外光を良好に通過さ
せ、その調理特性に悪影響を及ぼすことはなかった。ま
た、ジルコニア薄膜8は、スパッタ法で形成しても同様
の防汚効果が確認できた。さらに、ジルコニア薄膜8
は、ジルコニアを60wt%以上含有する薄膜であり、他
の40wt%未満の成分はシリカやアルミナさらに酸化チ
タンなどの金属酸化物である。なお、ハロゲンヒータだ
けでなく一般的な赤外線ヒータや電磁誘導加熱などの加
熱熱源5を用いた同様の構成の加熱調理機器でも、ジル
コニア薄膜8は同様の防汚効果が確認でき、これら構成
の耐熱防汚膜として有効であった。
【0037】(実施例2)実施例2は、耐熱性母材の表
面粗さについて検討した。実施例1と異なる点は、耐熱
性母材の材質とその表面粗さであり、他は同じである。
【0038】耐熱性母材7は、前述組成の耐熱強化ガラ
スと金属(SUS304)の2種類であり、その表面粗
さが3μm以上の物と3μm未満の物を各々4種類準備し
た。そして、この耐熱性母材7の調理容器設置側表面
に、ジルコニアのゾルゲル膜を600℃焼成してジルコ
ニア薄膜8を形成して耐熱性蓋6を得た。評価方法は、
前述と同じであり、50回耐久試験後の防汚特性を(表
2)に示す。
【0039】
【表2】
【0040】表面粗さが3μm未満の耐熱性母材7にジ
ルコニア薄膜8を形成した耐熱性蓋6は、非常に汚れ難
いことがわかる。この理由について説明する。これは、
表面が平滑な面であるため、その微小凹凸面に調理吹き
こぼれ物が非常にこびりつき難くなり、長期間使用して
も調理吹きこぼれ物が水洗いで非常に簡単に拭きとるこ
とができるためである。一方、表面粗さが3μmを超え
た耐熱性母材7にジルコニア薄膜8を形成した耐熱性蓋
6は、表面が大きな凹凸面であるのだが、ジルコニア薄
膜8特有の凹凸が少ない緻密膜の効果で、長期間使用す
ると調理吹きこぼれ物が水洗いで簡単に拭きとることが
できる程度であった。なお、耐熱性母材7の材質は、前
述組成の耐熱強化ガラスと金属(SUS304)に特に
限定するものでなく、他の組成のガラスや金属材質でも
同様の効果があることは言うまでもない。
【0041】(実施例3)実施例3は、ジルコニア薄膜
の組成について検討したものである。実施例1と異なる
点は、ジルコニア薄膜の組成であり、他は同じである。
【0042】耐熱性母材7は、前述の耐熱強化ガラスで
ありその表面粗さが1μmの物を準備した。この耐熱性
母材7の調理容器設置側表面に、ジルコニアとシリカの
配合割合を変えたゾルゲル膜を600℃焼成してジルコ
ニア薄膜8を形成して耐熱性蓋6を得た。評価方法は、
前述と同じであり、50回耐久試験後の防汚特性を(表
3)に示す。
【0043】
【表3】
【0044】ジルコニアが60wt%以上含まれるジルコ
ニア薄膜8は、長期間使用しても調理吹きこぼれ物が水
洗いで非常に簡単に拭きとれることができ、汚れ難いこ
とがわかる。これは、疎水性であり耐摩耗性や耐熱性さ
らに耐溶出性に優れたジルコニアが多く含まれるためで
ある。一方、ジルコニアが60wt%未満のジルコニア薄
膜8は、親水性のシリカが多く含まれるため水の接蝕角
が小さくなり、長期間使用すると調理吹きこぼれ物が付
着して水洗いでも簡単に拭きとれることができず、汚れ
易いことがわかる。
【0045】(実施例4)実施例4は、ジルコニアを主
成分とするゾルゲル膜からなるジルコニア薄膜の焼成温
度について検討したものである。実施例1と異なる点
は、ジルコニア薄膜の焼成温度であり、他は同じであ
る。
【0046】耐熱性母材7は、前述の耐熱強化ガラスで
ありその表面粗さが1μmの物を準備した。この耐熱性
母材7の調理容器設置側表面に、ジルコニア(100
%)ゾルゲル膜の焼成温度を異ならせたジルコニア薄膜
8を形成して耐熱性蓋6を得た。評価方法は、前述と同
じであり、50回耐久試験後の防汚特性および接蝕角を
(表4)に示す。また、50回耐久試験後のジルコニア
薄膜の蜜着性もテープ剥離法で評価した。
【0047】
【表4】
【0048】ジルコニアゾルゲル焼成膜は、300〜9
00℃で焼成することで、汚れ難くしかも密着も良好な
膜ができることがわかる。一方、300℃未満である
と、焼成不充分のため結晶水を含んだポーラスな膜がで
きて、やや汚れ易くしかも密着も不充分な膜となった。
また、900℃を超えると、焼成が充分過ぎて結晶化が
すすんでクラックの多い膜ができて、やや汚れ易い膜と
なった。
【0049】(実施例5)実施例5は、耐熱性母材に使
用される耐熱強化ガラスの組成について検討したもので
ある。実施例1と異なる点は、耐熱強化ガラスの組成で
あり、他は同じである。
【0050】耐熱性母材7は、前述組成の耐熱強化ガラ
スを基本とし、ジルコニア量の増減にあわせて珪酸およ
び硼酸の量を増減させ、残部化合物は同じ配合としたも
のである。その表面粗さが1μm以下である。この耐熱
性母材の調理容器設置側表面に、ジルコニア(100
%)のゾルゲル膜を600℃焼成してジルコニア薄膜8
を形成して耐熱性蓋6を得た。評価方法は、前述と同じ
であり、50回耐久試験後の防汚特性および密着性を
(表5)に示す。
【0051】
【表5】
【0052】ガラスに含まれるジルコニア量が5〜15
%であると、ジルコニア薄膜8がガラス中のジルコニア
と反応して緻密で硬く密着性の優れる膜が得られるた
め、非常に汚れ難くなることがわかる。一方、ガラスに
含まれるジルコニア量が5%未満であると、ジルコニア
薄膜8とガラスとの密着性が充分程度であった。また、
ガラスに含まれるジルコニアの量が15%を超えると、
ガラス中のシリカ量が減少するためその膜物性が変化し
て汚れ難い程度の膜となった。
【0053】(実施例6)実施例6は、耐熱性母材に使
用される耐熱強化ガラスの組成についてさらに検討した
ものである。実施例1と異なる点は、耐熱強化ガラスの
組成であり、他は同じである。
【0054】耐熱性母材7は、前述組成の耐熱強化ガラ
スを基本とし、酸化チタン量の増減にあわせて珪酸およ
び硼酸の量を増減させ、残部化合物は同じ配合としたも
のである。その表面粗さが1μm以下である。この耐熱
性母材7の調理容器設置側表面に、ジルコニア(100
%)のゾルゲル膜を600℃焼成してジルコニア薄膜8
を形成して耐熱性蓋6を得た。評価方法は、前述と同じ
であり、50回耐久試験後の防汚特性および密着性を
(表6)に示す。
【0055】
【表6】
【0056】ガラスに含まれる酸化チタン量が1〜5%
であると、ジルコニア薄膜8がガラス中の酸化チタンと
反応して緻密で硬く密着性の優れた膜が得られるため、
非常に汚れ難くなることがわかる。一方、ガラスに含ま
れる酸化チタン量が1%未満であると、ジルコニア薄膜
8とガラスとの密着性は充分程度であった。また、ガラ
スに含まれる酸化チタンの量が5%を超えると、ガラス
中のシリカ量が減少するためその膜物性が変化して汚れ
難い程度の膜となった。
【0057】(実施例7)実施例7は、耐熱性母材の加
熱熱源側表面に形成する可視光反射膜について検討した
ものである。実施例1と異なる点は、可視光反射膜の有
無であり、他は同じである。
【0058】耐熱性母材7は、前述組成の赤外線透過性
の耐熱強化ガラスを基本としその加熱電気熱源側表面
に、金を主成分とする可視光反射膜を薄く予め形成した
ものである。この耐熱性母材7の調理容器設置側表面
に、ジルコニア(100%)のゾルゲル膜を600℃焼
成してジルコニア薄膜8を形成して耐熱性蓋6を得た。
評価方法は、前述と同じであり、50回耐久試験後の防
汚特性および汚れの目視度を(表7)に示す。
【0059】
【表7】
【0060】赤紫色である金を主成分とする可視光反射
膜を、赤外線透過性(一般に、赤外線透過性があると可
視光も良く透過させる性質が有る)耐熱強化ガラスから
なる耐熱性母材の加熱電気熱源側表面に形成しているた
め、調理吹きこぼれ物が多量に付着しても見えにくくな
って目立たない。なお、この可視光反射膜は薄いため、
加熱熱源5のハロゲンヒータから発生される赤外光を良
好に通過させ、その調理特性に悪影響を及ぼすことはな
かった。
【0061】(実施例8)実施例8は、耐熱性母材の加
熱熱源側表面に形成する可視光反射膜の組成について検
討したものである。実施例7と異なる点は、可視光反射
膜の組成であり、他は同じである。
【0062】耐熱性母材7は、前述組成の強化ガラスを
基本としその加熱電気熱源側表面に、金にビスマスが少
なくとも混合された可視光反射膜を予め薄く形成したも
のである。その表面粗さが1μmである。この耐熱性母
材の調理容器設置側表面に、ジルコニア(100%)の
ゾルゲル膜を600℃焼成してジルコニア薄膜8を形成
して耐熱性蓋6を得た。評価方法は、前述と同じであ
り、50回耐久試験後の防汚特性および汚れの目視度を
(表8)に示す。
【0063】
【表8】
【0064】金の含有量に対してビスマスが20〜40
wt%含有される可視光反射膜は、際立った赤紫色となる
ため、調理吹きこぼれ物が多量に付着しても非常に見え
にくくなって目立たない。しかも、融点750〜900
℃の可視光反射膜となるため、耐熱性母材の加熱電気熱
源側表面に簡単に形成することができる利点があった。
なお、この組成の可視光反射膜は薄いため、加熱熱源5
のハロゲンヒータから発生される赤外光を良好に通過さ
せ、その調理特性に悪影響を及ぼすことはなかった。
【0065】一方、ビスマスが20wt%未満含有される
可視光反射膜は、ビスマス量が少ないため見え難い程度
であった。また、ビスマスが40wt%を超える可視光反
射膜は、ビスマスの持つ帯赤銀白色の影響により見え難
い程度であった。
【0066】なお、可視光反射膜は、金およびビスマス
以外の金属が他に少量混合された系(例えば、パラジウ
ムが約10wt%混合された、金の約70wt%とビスマス
の約20wt%の混合系)でも、同様の効果が有ることは
言うまでもない。
【0067】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、次の効果が得られる。
【0068】請求項1記載の発明によれば、調理容器を
設置するための耐熱性蓋の表面を、ジルコニアを主成分
とするからジルコニア薄膜でコーテイングしたため、耐
摩耗性や耐熱性さらに耐溶出性に優れしかも表面凹凸が
小さい緻密膜となっている。そのため、傷が付きにくく
なり、長期間使用しても調理吹きこぼれ物が水洗いで簡
単に拭きとれる。
【0069】請求項2記載の発明によれば、耐熱性母材
の表面粗さを、その上部に形成するジルコニア薄膜に落
下した調理吹きこぼれ物が水洗いで簡単に拭きとれる、
3μmを超えない凹凸構造にしたため、長期間使用して
も調理吹きこぼれ物が水洗いで非常に簡単に拭きとれる
ことができる。
【0070】請求項3記載の発明によれば、ジルコニア
薄膜は、耐摩耗性や耐熱性さらに耐溶出性に優れその表
面凹凸が小さい緻密膜となるジルコニアが60wt%以上
含まれるため、調理吹きこぼれ物が水洗いで非常に簡単
に拭きとれる。
【0071】請求項4記載の発明によれば、ジルコニア
のゾルゲル膜を300〜900℃で焼成することで、耐
摩耗性や耐熱性さらに耐溶出性に優れその表面凹凸が小
さい緻密膜となるジルコニア薄膜が簡単に得られるた
め、調理吹きこぼれ物が水洗いで非常に簡単に拭きとれ
る。
【0072】請求項5記載の発明によれば、耐熱性母材
が結合性良好のジルコニアを多く含有する耐熱強化ガラ
スであるため、密着性が優れたジルコニア薄膜が得られ
る。
【0073】請求項6記載の発明によれば、耐熱性母材
が、結合性に優れる酸化チタンを多く含有する耐熱強化
ガラスであるため、密着性が優れたジルコニア薄膜が得
られる。
【0074】請求項7記載の発明によれば、赤紫色であ
る金を主成分とする可視光反射膜を、赤外線透過性の耐
熱強化ガラスからなる耐熱性母材の加熱熱源側表面に形
成しているため、調理吹きこぼれ物が多量に付着しても
見えにくくなって目立たない。
【0075】請求項8記載の発明によれば、可視光反射
膜は、赤紫色の金に帯赤銀白色のビスマスが少なくとも
混合されるため、際立った赤紫色となる。このため、調
理吹きこぼれ物が多量に付着しても非常に見えにくくな
り、目立たない効果を引き立てる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例である加熱調理機器の断面図
【図2】従来の加熱調理機器の断面図
【符号の説明】
4 収納箱 5 加熱熱源 6 耐熱性蓋 7 耐熱性母材 8 ジルコニア薄膜 9 調理容器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宇野 克彦 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 丹羽 孝 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 梅田 孝裕 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 3L087 AA03 AB11 AC06 AC23 CA09 CC03 DA08 4G048 AA02 AA03 AB02 AC08 AD02

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】収納箱と、前記収納箱に収納された加熱熱
    源と、前記収納箱の上部に配置され調理容器をその上部
    に設置するための耐熱性蓋とを備え、前記耐熱性蓋を、
    耐熱性母材と、前記耐熱性母材の調理容器設置側の表面
    に形成したジルコニアを主成分とするジルコニア薄膜と
    から構成した加熱調理機器。
  2. 【請求項2】耐熱性母材は、表面粗さが3μmを超えな
    い凹凸構造を有する請求項1に記載の加熱調理機器。
  3. 【請求項3】ジルコニア薄膜を、ジルコニアと、シリカ
    であるゾルゲル膜とから構成し、ジルコニアを少なくと
    も60wt%以上含む請求項1に記載の加熱調理機器。
  4. 【請求項4】ジルコニア薄膜は、ジルコニアを主成分と
    するゾルゲル膜を300〜900℃で焼成して形成した
    請求項1に記載の加熱調理機器。
  5. 【請求項5】耐熱性母材は、ジルコニアを少なくとも5
    〜15wt%含有する耐熱強化ガラスである請求項1に記
    載の加熱調理機器。
  6. 【請求項6】耐熱性母材は、酸化チタンを少なくとも1
    〜5wt%含有する耐熱強化ガラスである請求項5に記載
    の加熱調理機器。
  7. 【請求項7】耐熱性母材が赤外線透過性の耐熱強化ガラ
    スであり、その加熱熱源側表面に、金を主成分とする可
    視光反射膜を形成した請求項1に記載の加熱調理機器。
  8. 【請求項8】可視光反射膜は、金の含有量に対してビス
    マスを少なくとも20〜40wt%含有する請求項7に記
    載の加熱調理機器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010019491A (ja) * 2008-07-10 2010-01-28 Sumitomo Osaka Cement Co Ltd 保護膜付き製品

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