JP2001227381A - ディーゼルエンジンの制御装置 - Google Patents
ディーゼルエンジンの制御装置Info
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- Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
- Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)
Abstract
ルエンジン1の始動後に、燃費の悪化を最小限に抑えな
がら触媒30の早期昇温を促進し、併せてエンジン1の
振動騒音の低減を図る。 【解決手段】 直噴式ディーゼルエンジン1が冷間始動
後に実質的に継続してアイドル運転状態になっていると
き、まず設定期間が経過するまで(t0〜t1)、インジ
ェクタ5により燃料の主噴射に先立ってパイロット噴射
を行わせるとともに、燃料噴射量を増量補正しかつ噴射
時期を大きく遅角させて、排気温度を大幅に高めること
で、触媒の早期昇温を促進する(S5〜S8)。次に設
定期間が経過して、触媒の温度状態が所定温度域に達す
れば、吸気絞り弁26を全閉状態にさせることで、エン
ジン1の振動騒音を低減するとともに、排気中の未燃燃
料を増加させてその反応熱により触媒を暖める(S9〜
S12)。また、燃料噴射時期は相対的に進角させるこ
とで、失火等を防止する(S13)。
Description
を備えるとともに、燃料の主噴射に先だってパイロット
噴射を行うようにした直噴式ディーゼルエンジンの制御
装置に関し、特に、エンジン始動後の排気有害成分の低
減や騒音抑制のための対策に係る。
の制御装置として、例えば特開平11−93735号公
報に開示されるように、直噴式ディーゼルエンジンにお
いて、エンジンの未暖機状態でパイロット噴射を行うこ
とにより、主噴射の前に火種を形成させて着火安定性を
高め、失火の防止や燃焼騒音の低減を図るようにしたも
のが知られている。このものでは、エンジン水温が低い
ほどパイロット噴射量を増やすことにより、主噴射され
た燃料が着火するときの燃焼室の温度状態をエンジンの
未暖機状態でも暖機後と略同じに保って、上述の失火や
騒音の低減とNOx生成の抑制とを両立させるようにし
ている。
保護の観点から、エンジンの排気有害成分を従来よりも
大幅に低減することが求められており、これを受けて、
ディーゼルエンジンにも例えば排気中のNOxを除去す
るための触媒を装備することが提案されている。
はその温度状態によって大きく左右されるので、例えば
自動車用ガソリンエンジンの場合には、排気有害成分の
殆どが触媒の活性化していないエンジンの冷間始動直後
に大気中に排出されているという実状がある。この点に
ついて、熱効率に優れるディーゼルエンジンではガソリ
ンエンジンよりも排気温度が低いことから、例えばアイ
ドル運転状態等の低回転低負荷の運転状態では排気によ
って触媒の温度状態を効果的に高めることができず、前
記の問題点は極めて大きいと考えられる。
ドル運転時であっても燃料噴射量を大幅に増量したり、
或いは気筒の膨張行程ないし排気行程で追加の燃料噴射
を行うことで、意図的に排気温度を高めるようにするこ
とも考えられるが、このようにした場合、燃費の著しい
悪化を招くことは避けられない。また、一般に、エンジ
ンの未暖機状態では燃料の着火安定性を高めるために燃
料噴射時期を進角させることが多いので、前記のように
燃料噴射量を大幅に増やすと、エンジンの振動騒音が過
大になってしまう。
であり、その目的とするところは、排気浄化用触媒を備
えたディーゼルエンジンの始動後に主に燃料噴射時期や
吸入空気量の制御手順に工夫を凝らすことで、燃費の悪
化を最小限に抑えながら触媒の早期昇温を促進し、併せ
てエンジンの振動騒音の低減を図ることにある。
に、本発明の解決手段では、パイロット噴射による着火
安定性の向上を利用して、エンジン始動後にまず、燃料
噴射時期を遅角させ、排気温度を高めて触媒の早期昇温
を促進し、続いて、設定期間の経過後には燃料噴射時期
を進角させて着火安定性をさらに高めるとともに、エン
ジンの吸入空気量を強制的に減少させることで、触媒に
供給される排気中の未燃燃料を増大させて、その未燃燃
料の反応熱によって触媒の昇温を図るようにした。
ように、エンジン1の気筒内燃焼室4に燃料を直接、噴
射する燃料噴射弁5と、エンジン1からの排気を浄化す
る触媒30と、エンジン1が始動後に所定の低回転低負
荷運転状態になっているときに、前記燃料噴射弁5によ
り燃料の主噴射とこれに先立つパイロット噴射とを行わ
せる燃料噴射制御手段40aとを備えたディーゼルエン
ジンの制御装置Aを前提とする。そして、前記燃焼室4
への吸入空気量を調節する吸気量調節手段100と、エ
ンジン始動後の設定期間であることを判定する判定手段
40bと、該判定手段40bにより設定期間であると判
定されたとき、前記燃料噴射弁5によるパイロット噴射
及び主噴射の時期を、該主噴射が気筒の圧縮上死点後に
開始されるよう遅角側に設定する一方、設定期間の経過
後は該両噴射時期を相対的に進角側に変更設定する噴射
時期設定手段40cと、該設定期間の経過後、その経過
前に比べて燃焼室4への吸入空気量が減少するように、
前記吸気量調節手段100を作動制御する吸気量制御手
段40dとを備える構成とする。
所定の低回転低負荷運転状態になっているときに、設定
期間が経過するまでは燃料噴射弁5によるパイロット噴
射及び主噴射の時期が噴射時期設定手段40cにより遅
角側に設定される。すなわち、パイロット噴射により燃
焼室4の温度及び圧力状態が高められ、かつ火種が形成
されて、これに続く主噴射燃料の着火安定性及び燃焼性
が向上することを利用して、該主噴射の時期を通常の運
転状態に比べて大幅に遅角側に設定し、これにより、排
気温度を十分に高めて触媒の早期昇温を促進することが
できる。しかも、前記のように燃焼性が向上しているの
で、噴射時期の遅角によって燃費が著しく悪化すること
はない。
ロット噴射及び主噴射の時期が相対的に進角側に変更設
定されるとともに、吸気量制御手段40dによる吸気量
調節手段100の作動制御が行われて、設定期間の経過
前に比べて燃焼室4への吸入空気量が減らされる。そし
て、この吸入空気量の減少によって排気中の未燃燃料が
増え、触媒30における未燃燃料の反応熱が増大するこ
とで、該触媒30の昇温が図られる。この際、吸入空気
量の減少によって実質的に気筒の圧縮比が小さくなるの
で、エンジン1の振動騒音が低減し、しかも、圧縮損失
の低減により燃費改善が図られる。また、パイロット噴
射と噴射時期進角とによって燃料の着火安定性が確保さ
れているので、吸入空気量を減少させても失火に至る虞
れはない。
後に燃費の悪化を回避しつつ、触媒30の早期昇温を促
進することができ、併せてエンジン1の振動騒音の低減
が図られる。
燃焼室の平均的な空気過剰率λがλ<1となるように、
吸気量調節手段により燃焼室への吸入空気量を減少させ
るものとする。こうすることで、燃焼室が平均的に燃料
の過剰な状態になるので、排気中の未燃燃料が極めて多
くなり、その反応熱が十分に大きくなる。
ンの始動から触媒の温度状態が浄化性能の高い所定温度
域に達するまでの期間とする。こうすることで、触媒の
温度状態が所定温度域に達するまで、燃料噴射時期の遅
角により排気温度を高めて、触媒の早期昇温を促進でき
る。尚、前記所定温度域とは、例えば、触媒による排気
有害成分の浄化率が最高値の約80%以上になるような
温度域とすればよい。
を、吸気量制御手段による吸気量調節手段の制御によっ
て燃焼室への吸入空気量が減少した後に、燃料噴射時期
の変更設定を行う構成とする。
量の制御は燃料噴射時期の制御に比べて時間遅れが大き
いので、該両方の制御を同時に行うと、燃焼室への吸入
空気量が減少する前に燃料噴射時期が進角されてしま
い、このときに過大なショックや騒音が発生するという
弊害の生じる虞れがある。そこで、この発明では、燃焼
室への吸入空気量が実際に減少した後に、燃料噴射時期
を変更設定することで、吸気量調節手段による吸入空気
量の調節の時間遅れが大きくても、前記のような弊害の
ことを防止できる。
期間であると判定されたとき、燃料噴射弁による燃料の
噴射量を増量補正する噴射量補正手段を備えるものとす
る。こうすることで、燃料噴射量の増量補正によっても
着火安定性を向上できるとともに、排気温度をさらに高
めて、触媒の早期昇温を可及的に促進できる。
基いて説明する。
係るディーゼルエンジンの制御装置Aの全体構成を示
し、1は車両に搭載される直列4気筒ディーゼルエンジ
ンである。このエンジン1は4つの気筒2,2,2,2
を有し、その各気筒2内に往復動可能なようにピストン
(図示せず)が嵌装されていて、このピストンにより各
気筒2内に燃焼室4が区画されている。また、その各燃
焼室4の上面略中央部には、図には誇張して示すが、気
筒2の中心線に沿って延びるようにインジェクタ(燃料
噴射弁)5が配設され、この各インジェクタ5の先端部
には噴射ノズルが一体的に設けられている。これらのイ
ンジェクタ5,5,…は、それぞれ、燃料をその噴射圧
以上の高圧状態で蓄える共通のコモンレール6に対し分
岐管6a,6a,…により接続され、噴射ノズルの芯弁
が図示しないアクチュエータにより開閉作動されること
で、前記コモンレール6から供給される高圧の燃料を、
噴射ノズル先端の複数の噴孔から燃焼室4に直接、噴射
供給するようになっている。また、コモンレール6には
内部の燃圧(コモンレール圧)を検出する燃料圧力セン
サ6bが配設されている。
介して燃料供給ポンプ8に接続され、その燃料供給ポン
プ8は燃料供給管9を介して燃料タンク10に接続され
ている。この燃料供給ポンプ8は、入力軸8aにエンジ
ン1のクランク軸からの回転入力を受け入れて駆動さ
れ、燃料供給管9を介して燃料タンク10内の燃料を燃
料フィルタ11により濾過しながら吸い上げるととも
に、ジャーク式圧送系により燃料をコモンレール6に圧
送するようになっている。また、燃料供給ポンプ8には
その圧送系により送り出される燃料の一部を燃料戻し管
12に逃がして、ポンプの吐出量を調節する電磁弁が設
けられており、この電磁弁の開度が前記燃料圧力センサ
6bによる検出値に応じて制御されることによって、コ
モンレール6内の燃料の圧力状態がエンジン1の運転状
態に対応する所定の状態に保持されるようになってい
る。
所定値以上になったときに、燃料をコモンレール6から
排出させるプレッシャリミッタを示し、このプレッシャ
リミッタから排出された燃料は燃料戻し管14を流通し
て、燃料タンク10に戻される。また、符号15は燃料
の一部をインジェクタ5から燃料タンク10に戻すため
の燃料戻し管を示している。
が、クランク軸の回転角度を検出するクランク角センサ
16と、動弁系カム軸の回転角度を検出するカム角セン
サ17と、冷却水温度(エンジン水温)を検出するエン
ジン水温センサ18とが設けられている。前記クランク
角センサ16は、詳しくは図示しないが、クランク軸端
に設けた被検出用プレートと、その外周に相対向するよ
うに配置した電磁ピックアップとからなり、前記被検出
用プレートの外周部全周に亘って等間隔に形成された突
起部の通過に対応して、パルス信号を出力するものであ
る。また、前記カム角センサ17は、同様にカム軸周面
の所定箇所に設けた複数の突起部と、その各突起部が通
過するときにパルス信号を出力する電磁ピックアップと
からなる。尚、符号19は前記カム軸により駆動される
バキュームポンプを示している。
には、図外のエアクリーナで濾過した空気を燃焼室4に
供給する吸気通路20が接続されている。この吸気通路
20の下流端部にはサージタンク21が設けられ、この
サージタンク21から分岐した各通路がそれぞれ図示し
ない吸気ポートにより各気筒2の燃焼室4に連通してい
る。また、サージタンク21には、後述のターボ過給機
31により圧送される吸気の圧力状態を検出する過給圧
センサ22が配設されている。さらに、前記吸気通路2
0には、上流側から下流側に向かって順に、エンジン1
に吸入される吸気流量を検出するホットフィルム式エア
フローセンサ23と、後述のタービン29により駆動さ
れて吸気を圧縮するブロワ24と、このブロワ24によ
り圧縮した吸気を冷却するインタークーラ25と、バタ
フライバルブからなる吸気絞り弁26(吸気量調節手
段)とが設けられている。この吸気絞り弁26は、図示
しないが、弁軸がステッピングモータにより回動され
て、全閉から全開までの任意の状態に位置づけられるよ
うになっており、また、全閉状態でも空気が流入するよ
うに切り欠きが設けられている。
は、各気筒2の燃焼室4からそれぞれ燃焼ガス(排気)
を排出する排気マニホルド27が接続され、この排気マ
ニホルド27の下流端集合部に排気通路28が接続され
ている。この排気通路28には上流側から下流側に向か
って順に、排気流により回転されるタービン29と、排
気中の有害成分(未燃HC、CO、NOx、スモーク
等)を除去するための触媒コンバータ30とが配設され
ている。前記タービン29と吸気通路20のブロワ24
とからなるターボ過給機31は、詳細は図示しないが、
可動式のフラップによりタービン29への排気流路の断
面積(ノズル断面積)を変化させるようにしたVGT
(バリアブルジオメトリーターボ)であり、前記フラッ
プは、バキュームポンプ19からの負圧を利用する負圧
駆動式のアクチュエータ35によって回動されるように
なっている。
図示しないが、排気の流れる方向に沿って互いに平行に
延びる多数の貫通孔を有するハニカム構造のコージェラ
イト製担体を有するものであり、その担体の各貫通孔壁
面にいわゆるリーンNOx触媒の触媒層が形成されてい
る。このリーンNOx触媒は、排気中の酸素濃度が高い
とき、即ち燃焼室4の平均的な空気過剰率λが1よりも
大きなリーン状態であっても、排気中のNOxを還元浄
化できるとともに、理論空燃比付近では三元触媒として
も働くものである。
ば、ゼオライトに白金Ptを乾固担持させてなる触媒粉
をバインダにより前記担体に担持させることによって触
媒層を形成したものが用いられており、このリーンNO
x触媒による排気中のNOx浄化性能は、図3に一例を
示すような温度依存性を示す。すなわち、この触媒によ
る排気中のNOx浄化率は約250〜400°Cの温度
範囲(所定温度域)で極めて高くなるものの、それより
も温度状態の低いときには(未活性状態)、温度が低い
ほどNOx浄化率も急速に低下する。また、反対に触媒
の温度状態が400°C以上になると、NOx浄化率は
温度上昇とともに低下する。
9よりも排気上流側の部位で、排気の一部を吸気側に還
流させる排気還流通路(以下EGR通路という)33の
上流端に分岐接続されており、このEGR通路33の下
流端が吸気絞り弁26及びサージタンク21の中間の吸
気通路20に接続されていて、排気通路28から取り出
した排気の一部を吸気通路20に還流させるようになっ
ている。また、該EGR通路33の途中の下流端寄りに
は、開度調節可能な排気還流量調節弁(以下EGR弁と
いう)34が配置され、このEGR弁34が前記ターボ
過給機31のフラップと同様に負圧駆動式アクチュエー
タ35により開閉作動されることで、EGR通路33の
通路断面積がリニアに変化されて、吸気通路20に還流
される排気の流量が調節されるようになっている。
8、吸気絞り弁26、ターボ過給機31、EGR弁34
等は、いずれもコントロールユニット(Electronic Con
torolUnit:以下ECUという)40からの制御信号に
よって作動する。一方、このECU40には、前記燃料
圧力センサ6bからの出力信号と、クランク角センサ1
6及びカム角センサ17からの出力信号と、エンジン水
温センサ18からの出力信号と、エアフローセンサ23
からの出力信号と、車両の運転者による図示しないアク
セルペダルの操作量(アクセル開度)を検出するアクセ
ル開度センサ36からの出力信号とが少なくとも入力さ
れている。
御としては、主にアクセル開度に基づいて目標燃料噴射
量を決定し、インジェクタ5の作動制御によって燃料噴
射量及び噴射時期をエンジン1の運転状態に応じて制御
するとともに、高圧供給ポンプ8の作動によりコモンレ
ール圧、即ち燃量噴射圧力を制御する。また、吸気絞り
弁26及びEGR弁34の作動制御によって吸入空気量
を調節することで、燃焼室4の平均的な空気過剰率を制
御する。さらに、フラップの作動制御(VGT制御)に
よってターボ過給機31の過給効率を高めるようにして
いる。
は、予め、エンジン1の目標トルク及び回転数の変化に
応じて実験的に決定した基本的な燃料噴射量のマップを
ECU40のメモリに電子的に格納しておいて、アクセ
ル開度センサ36からの出力信号に基づいて求めた目標
トルクとクランク角センサ16からの出力信号に基づい
て求めたエンジン回転数とに基づいて、エンジン1の要
求出力に対応する基本的な燃料噴射量を前記燃料噴射量
マップから読み込み、その基本的な燃料噴射量のをエン
ジン水温や過給圧等に応じて補正する。また、同様のマ
ップから噴射時期の制御データを読み込む。
(a)に模式的に示すように、エンジン1が高負荷域にあ
るときにはインジェクタ5により燃料を気筒2の圧縮上
死点(TDC)近傍で一括して主噴射させる一方、エン
ジン1が低負荷ないし中負荷域にあるときには、同図
(b)に示すように、前記主噴射に先立ってインジェクタ
5により所定量(例えば主噴射量の10〜40%)の燃
料を気筒2の圧縮行程でパイロット噴射させるようにし
ている。また、エンジン高負荷側ほど、燃料噴射量の増
量に対応するように主噴射の開始時期を進角させるよう
にしている。
R制御)としては、例えば、全気筒2に共通の目標空気
過剰率をエンジン1の運転状態に応じて定めるととも
に、エアフローセンサ出力に基づいて各気筒2の燃焼室
4への実際の吸入空気量を検出し、この検出値と各気筒
2毎の燃料噴射量とに基づいて、前記目標空気過剰率に
なるように排気還流量を制御するようにしている。つま
り、気筒2毎の排気還流量を調節することにより、燃焼
室4への新気(外気)の吸入量を変化させて、各気筒2
内燃焼室4の空気過剰率を目標空気過剰率になるように
制御するものである。また、吸気絞り弁26の作動制御
としては、前記のようなEGR制御により所要量の排気
を還流させるために、主としてエンジン1のアイドル運
転時に吸気絞り弁26を全閉状態として、吸気通路20
に負圧を発生させる一方、それ以外の運転状態では吸気
絞り弁26は概ね全開状態とするようにしている。
においては、排気の還流量を増やして初期燃焼の立ち上
がりを穏やかにさせることで、NOxの生成を抑制でき
るが、排気還流量が増えればその分、新気の吸入空気量
が減少して、燃焼室の平均的な空気過剰率λが小さくな
り、図5に一例を示すようにスモークの生成量が増加す
る傾向がある。そこで、この実施形態におけるEGR弁
34の制御では、前記空気過剰率λの目標値をスモーク
のあまり増加しない範囲においてできるだけ小さな値に
設定している。
は、本発明の特徴部分として、前記エンジン1の冷間始
動後に触媒コンバータ30の早期昇温を促進できるよ
う、インジェクタ5による燃料噴射時期や吸気絞り弁2
6の開度を制御するようにした。以下、冷間始動後のエ
ンジン制御の手順を図6に示すフローチャート図に基づ
いて具体的に説明する。
ランク角信号、エアフローセンサ出力、アクセル開度、
過給圧、エンジン水温等のデータを入力する。続くステ
ップS2では、クランク角信号から求めたエンジン回転
数、アクセル開度、イグニッションのオンオフ信号等に
基づいて、エンジン1が始動後に実質的に継続してアイ
ドル運転状態になっているかどうか判定する。すなわ
ち、まずイグニッションスイッチがオン状態とされ、エ
ンジン1が吹け上がって完爆状態になった後、エンジン
回転数が所定の変動時を除いてアイドル判定回転数以下
に保たれるとともに、アクセル開度が極く短時間を除い
て零、即ちアクセルペダルの全閉状態に保持されている
とき、エンジン1が実質的に継続してアイドル運転状態
になっているYESと判定して、ステップS3に進む。
一方、それ以外の状態であれば、NOと判定して、図外
の通常制御ルーチンへ進む。
に基づいて、エンジン1が未暖機状態であるか否か判定
する。すなわち、エンジン水温が判定温度(例えば80
°C)以上であれば、エンジン1は暖機状態になってい
るNOと判定して、図外の通常制御ルーチンへ進む一
方、エンジン水温が判定温度よりも低ければ、エンジン
1は未暖機状態にあるYESと判定してステップS4に
進む。このステップS4では、前記エンジン1の始動か
らの経過時間を計測するECU40のタイマ値に基づい
て、設定期間(例えばエンジン始動から10秒間)が経
過したかどうか判定し、この判定がYESで設定期間が
経過したのであればステップS9に進む一方、判定がN
Oで設定期間の経過前であれば、ステップS5に進む。
ン1の冷間始動時に触媒コンバータ30の温度状態がリ
ーンNOx触媒によるNOx浄化率の高い所定温度域に
達するまでの時間に対応するように設定しているが、寒
冷地での使用を考慮して、もう少し長い時間に設定して
もよい。或いは、触媒コンバータ30付近の排気通路2
8に温度センサを配設し、前記ステップS4において、
該温度センサからの出力に基づいて設定期間の経過を判
定するようにしてもよい。
が全閉状態になるように、EGR制御の出力を補正し、
続くステップS6では、吸気絞り弁26が全開状態にな
るように該吸気絞り弁26への制御出力を補正する。こ
れにより、各気筒2の燃焼室4への吸入空気量が最大限
に確保される。続いて、ステップS7においてインジェ
クタ5により燃料のパイロット噴射を行う設定とし、続
くステップS8において、燃料噴射量制御における目標
燃料噴射量を増量補正するとともに、図4(c)に模式的
に示すように、パイロット噴射及び主噴射の開始時期を
いずれも遅角側に補正して(噴射時期リタード)、しか
る後にリターンする。
定期間が経過するまでは、吸入空気量を最大限に確保し
ながら、燃料噴射量も増量補正するとともに、パイロッ
ト噴射によって着火安定性を向上させ、その分、燃料噴
射時期を大きく遅角させることで、排気温度を大幅に高
めて、触媒コンバータ30の早期昇温を促進するように
している。
1の始動から設定期間が経過したYESと判定して進ん
だステップS9では、前記ステップS5と同様にEGR
制御の出力を補正し、続くステップS10では、前記ス
テップS6とは反対に吸気絞り弁26が全閉状態になる
ように、該吸気絞り弁26への制御出力を補正する。そ
して、ステップS11において、エアフローセンサ出力
に基づいて、各気筒2の燃焼室4への吸入空気量が所定
量以下に減少したかどうか判定し、この判定がNOなら
ば前記ステップS7に進む一方、判定がYESで吸入空
気量が所定量以下に減少すれば、ステップS12に進
む。
7と同様にインジェクタ5による燃料のパイロット噴射
を行う設定にするとともに、続くステップS13におい
て、図4(d)に模式的に示すように、パイロット噴射及
び主噴射の開始時期を進角側に補正して、しかる後にリ
ターンする。
如き燃料噴射時期の遅角設定によって触媒コンバータ3
0の温度状態が十分に高くなったと考えられるので、今
度は燃料噴射時期を相対的に進角させて着火安定性及び
燃焼性をさらに高める一方で、吸気絞り弁26により吸
入空気量を減少させて、燃焼室4を燃料の過剰な状態と
することで、排気中の未燃燃料を大幅に増やし、その反
応熱によって触媒コンバータ30を暖めるようにしてい
る。
12により、エンジン1が始動後にアイドル運転状態
(所定の低回転低負荷運転状態)になっているときに、
インジェクタ5により燃料の主噴射とこれに先立つパイ
ロット噴射とを行わせる燃料噴射制御手段40aが構成
されている。また、ステップS2,S4により、エンジ
ン始動後の設定期間であることを判定する判定手段40
bが構成されており、この判定手段40bは、エンジン
1の始動から所定時間が経過して、触媒コンバータ30
の温度状態が約250°C以上になるまで、設定期間で
あると判定するものである。
により、エンジン1始動後の設定期間は、インジェクタ
5によるパイロット噴射及び主噴射の時期を、該主噴射
がTDC後に開始されるよう遅角側に設定する一方、設
定期間の経過後は該両噴射時期を相対的に進角側に変更
設定する噴射時期設定手段40cが構成されている。特
に、前記ステップS8は、前記射時期設定手段40cに
より燃料噴射時期が遅角側に設定されている間、インジ
ェクタ5による燃料噴射量を増量補正する噴射量補正手
段40eにも対応している。
り、エンジン1の始動後に設定期間が経過した後で、そ
の経過前に比べて燃焼室4への吸入空気量が減少するよ
うに、吸気絞り弁26を作動制御する吸気量制御手段4
0dが構成されている。
制御装置Aによる作用効果を図7に基づいて説明する
と、エンジン1の始動後に(t=t0〜)該エンジン1
が実質的に継続してアイドル運転状態になっているとき
に、始動から設定期間が経過するまでは(t0〜t1)、
EGR弁24が全閉状態にされるとともに、図7(a)に
示すように、吸気絞り弁26が全開状態にされ、各気筒
2の燃焼室4への吸入空気量が確保される。また、イン
ジェクタ5による燃料の主噴射量が増量補正されるとと
もに、該主噴射に先立ってパイロット噴射が行われ、さ
らに、それらの噴射開始時期が、同図(c)に示すように
通常よりも大幅に遅角側に設定される。
ット噴射された燃料は、周囲の空気と混合されて予混合
燃焼し、その燃焼によって燃焼室4の温度及び圧力状態
を高めかつ火種を形成する。このため、続いて主噴射さ
れた燃料は、コモンレール式の高圧噴射によって最適に
微粒化されていることとも相俟って、着火遅れ時間が極
めて短くなり、その噴射燃料の殆どが極めて良好に拡散
燃焼されることになる。つまり、噴射圧力の高圧化とパ
イロット噴射とによって、着火安定性及び燃焼性が大幅
に向上し、このことによって、前記のように燃料噴射時
期を大幅に遅角させることが可能になるのである。
へ設定するとともに、燃料噴射量を増量補正すること
で、相対的に多い燃料が相対的に遅角側で燃焼し、同図
(d)に示すように、エンジン1の排気温度は約300°
Cと極めて高い状態になる。しかも、このときには吸気
絞り弁26が全開状態になっていて、排気流量も十分に
多いので、触媒コンバータ30の温度状態は同図(e)に
示すように急速に上昇する。尚、燃焼期間が相対的に遅
角側にずれていても、パイロット噴射によって燃焼性が
高められているので、スモークの増大を招くことはな
い。また、パイロット噴射と噴射時期の遅角とによって
燃焼初期の圧力上昇が緩和されているので、同図(f)に
示すように、エンジン1の騒音レベルは従来までの約半
分程度に低減される。
定期間が経過すると(t=t1)、前記のように急速に
上昇した触媒コンバータ30の温度状態は約250°C
に達し、このとき、吸気量制御手段40dによって吸気
絞り弁26が閉じ側に作動される。そして、吸気絞り弁
26が実際に回動されて全閉状態になり、同図(b)に示
すように各気筒2の燃焼室4への実際の吸入空気量が全
開時の半分以下(所定量以下)に減少したとき、即ち該
燃焼室4の平均的な空気過剰率λがλ<1になったとき
(t=t2)、今度は同図(c)に示すように、噴射時期設
定手段40cによってインジェクタ5による燃料噴射時
期が相対的に進角側に変更設定される。
コンバータ30の温度状態が所定以上に高くなったと
き、今度は吸気絞り弁26を閉じて各気筒2の燃焼室4
への吸入空気量を減少させることにより、気筒2の圧縮
比を実質的に小さくし、図(f)に示すように、エンジン
1の騒音レベルを従来までの1/4くらいに低減させる
ことができる。しかも、吸気絞りによって吸気損失は増
えるものの、圧縮損失が減ることで、燃費の改善が図ら
れる。
高めらることで、排気温度は約200°Cくらいまで低
下するものの、前記の吸入空気量の減少によって各気筒
2の燃焼室4を平均的に燃料の過剰な状態にすること
で、排気中の未燃燃料を急増させ、触媒コンバータ30
における未燃燃料の反応熱を増大させて、触媒の温度状
態を約250°C以上に維持することができる。しか
も、主噴射の時期を進角させていても、これに先立つパ
イロット噴射によって主噴射の初期燃焼を緩和すること
ができるので、NOxの増大を招くこともない。
イロット噴射とに加えて、燃料噴射時期の進角により燃
料の着火安定性や燃焼性が極めて高くなっているので、
吸気絞り弁26を全閉状態にして吸入空気量を大幅に減
少させても、燃焼状態が悪化したり、失火を招くことは
ない。
態に限定されるものではなく、その他の種々の実施形態
を包含するものである。すなわち、前記実施形態ではエ
ンジン1の冷間始動時にのみ、触媒コンバータ30の早
期昇温を促進するようにしているが、これに限るもので
はない。また、前記実施形態では、エンジンが始動後に
実質的にアイドル運転状態になっているときにのみ、触
媒コンバータ30の早期昇温を促進するようにしている
が、アイドル運転状態に限らず、所定の低回転低負荷運
転状態になっているときに触媒コンバータ30の早期昇
温を促進するようにしてもよい。
30の早期昇温を促進するとき、EGR弁24を強制的
に全閉状態にするようにしているが、この制御は必ずし
も行う必要はない。すなわち、前記実施形態では各気筒
2の燃焼室4の平均的空気過剰率を目標値として、エア
フローセンサ出力に基づいてEGR弁24の開度を制御
するようにしているので、エンジン1の始動後に設定期
間が経過して吸気絞り弁26を閉じれば、これによる吸
入空気量の減少に対応してEGR弁24が閉じられるか
らである。
ジン1が低負荷ないし中負荷域にあるときに、パイロッ
ト噴射を行うようにしたエンジンの制御装置Aに適用し
ているが、これに限るものではなく、エンジン1がアイ
ドル運転状態のときにのみパイロット噴射を行うように
したものや、反対にエンジン1の高負荷域でもパイロッ
ト噴射を行うようにしたものにも本発明を適用すること
ができる。
施形態のものに限られないことはもちろんであり、本発
明は、所定の温度域よりも低い温度状態で未活性になっ
て、排気浄化性能の低下するような種々の触媒に対して
適用可能である。
発明におけるディーゼルエンジンの制御装置によると、
エンジンが始動後に所定の低回転低負荷運転状態になっ
ているときに、設定期間はパイロット噴射によって燃料
の着火安定性及び燃焼性を向上させるとともに、燃料噴
射時期を大きく遅角させて、排気温度を大幅に高めるこ
とで、燃費の著しい悪化を招くことなく、触媒の早期昇
温を十分に促進できる。そして、前記設定期間の経過後
は、燃料噴射時期を相対的に進角側に変更して、燃料の
着火安定性及び燃焼性をさらに高めるとともに、吸気量
調節手段により燃焼室への吸入空気量を減少させて、排
気中の未燃燃料を増加させ、この未燃燃料の反応熱によ
って触媒の昇温を図ることができる。しかも、吸入空気
量の減少によってエンジンの振動騒音を低減させ、かつ
燃費を改善することができる。
から設定期間が経過した後に、燃焼室の平均的な空気過
剰率λがλ<1となるように、吸気量調節手段により燃
焼室への吸入空気量を減少させることで、排気中の未燃
燃料が極めて多い状態にして、触媒の温度状態を十分に
高めることができる。
から触媒の温度状態が所定温度域に達するまで、燃料噴
射時期の遅角によって排気温度を高めることで、触媒の
早期昇温を適切に促進して、排気有害成分の排出量を低
減できる。
によって燃焼室への吸入空気量が実際に減少した後に、
燃料噴射時期を変更することで、吸気量調節手段による
吸入空気量の調節の時間遅れが大きくても、そのことに
よるショックや騒音の弊害を防止できる。
前は燃料噴射時期の遅角に加えて、燃料噴射量の増量補
正によって排気温度をさらに高め、触媒の早期昇温を可
及的に促進できる。
である。
を示すグラフ図である。
る。
濃度と燃焼室の平均的な空気過剰率との対応関係を示す
グラフ図である。
ト図である。
燃料噴射時期の制御状態と、これに伴う吸入空気量、排
気温度、触媒温度及び騒音レベルの変化状態を示したタ
イムチャート図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 エンジンの気筒内燃焼室に燃料を直接、
噴射する燃料噴射弁と、 エンジンの排気を浄化する触媒と、 エンジンが始動後に所定の低回転低負荷運転状態になっ
ているときに、前記燃料噴射弁により燃料の主噴射とこ
れに先立つパイロット噴射とを行わせる燃料噴射制御手
段とを備えたディーゼルエンジンの制御装置において、 前記燃焼室への吸入空気量を調節する吸気量調節手段
と、 エンジン始動後の設定期間であることを判定する判定手
段と、 前記判定手段により設定期間であると判定されたとき、
前記燃料噴射弁によるパイロット噴射及び主噴射の時期
を、該主噴射が気筒の圧縮上死点後に開始されるよう遅
角側に設定する一方、設定期間の経過後は該両噴射時期
を相対的に進角側に変更設定する噴射時期設定手段と、 前記設定期間の経過後、その経過前に比べて燃焼室への
吸入空気量が減少するように、前記吸気量調節手段を作
動制御する吸気量制御手段とを備えていることを特徴と
するディーゼルエンジンの制御装置。 - 【請求項2】 請求項1において、 吸気量制御手段は、燃焼室の平均的な空気過剰率λがλ
<1となるように、吸気量調節手段により燃焼室への吸
入空気量を減少させるものであることを特徴とするディ
ーゼルエンジンの制御装置。 - 【請求項3】 請求項1において、 設定期間は、エンジンの始動から触媒の温度状態が浄化
性能の高い所定温度域に達するまでの期間であることを
特徴とするディーゼルエンジンの制御装置。 - 【請求項4】 請求項1において、 噴射時期設定手段は、吸気量制御手段による吸気量調節
手段の制御によって燃焼室への吸入空気量が減少した後
に、燃料噴射時期の変更設定を行うように構成されてい
ることを特徴とするディーゼルエンジンの制御装置。 - 【請求項5】 請求項1において、 判定手段により設定期間であると判定されたとき、燃料
噴射弁による燃料の噴射量を増量補正する噴射量補正手
段を備えていることを特徴とするディーゼルエンジンの
制御装置。
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