JP2001226992A - 土留ブロック - Google Patents

土留ブロック

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JP2001226992A
JP2001226992A JP2000038765A JP2000038765A JP2001226992A JP 2001226992 A JP2001226992 A JP 2001226992A JP 2000038765 A JP2000038765 A JP 2000038765A JP 2000038765 A JP2000038765 A JP 2000038765A JP 2001226992 A JP2001226992 A JP 2001226992A
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JP2000038765A
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Hiroo Nakano
広雄 中野
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SENKOO KAIHATSU KK
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SENKOO KAIHATSU KK
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  • Pit Excavations, Shoring, Fill Or Stabilisation Of Slopes (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 排水性に優れ排水不良による破損や擁壁等の
崩壊を防止できるとともに、土圧の影響を抑制できる所
定の勾配で擁壁等を容易に施工することができ、また、
簡単な構造で使用性や利便性,生産性に優れるととも
に、擁壁等の施工時に緑化工事を併用して行うことがで
き環境保全性に優れる土留ブロックの提供を目的とす
る。 【解決手段】 前面壁2と、前面壁2と所定間隔で略平
行に配設された背面壁3と、前面壁2及び背面壁3と略
直角に形成され前面壁2と背面壁3の両端部を各々連結
した側壁4a,4bと、背面壁3の上端部に形成された
段差部6と、前面壁2,背面壁3,側壁4a,4bの各
々に貫通して形成された貫通孔2a,3a,5a,5b
と、を備えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、土工の切取りや盛
土をした法面等の崩壊を防止し安定を保つ擁壁等の形成
に使用される土留ブロックに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、道路や宅地造成等にかかる土
工の切取りや盛土をした法面等の崩壊を防止する擁壁の
構造の一つとして、石やコンクリートブロックを積み重
ね(段積)て形成する石積ブロック積擁壁が知られてお
り、この石積ブロック積擁壁に使用される土留ブロック
に関するものとして、以下のものが開示されている。
【0003】特開昭59−21826号公報(以下、イ
号公報という)には、法面表面に階段状に段積してあ
り、植生用土壌空間を擁壁奥行方向に限定する竪方向の
側面スラブをもつ植生用ブロック部片と、ブロック部片
から擁壁奥行方向に距離を隔てた位置で、竪方向にそし
て擁壁の等高線に平行に延びている平面を区切るアンカ
ー板部片と、ブロック部片と板部片とを結合するタイ部
片と、からなる緑化土留擁壁工、が開示されている。
【0004】特開平4−330120号公報(以下、ロ
号公報という)には、断面U字形状の長尺のコンクリー
トブロックの底面両側隅辺に、側壁頂面の厚さに合致す
る幅を有する切欠部を全長に亘って設けると共に、底面
に開孔部を設け、側壁頂面、底面両側辺および側壁側面
に繋合用の小孔を穿設した土留、境界用コンクリートブ
ロック、が開示されている。
【0005】特開平9−203058号公報(以下、ハ
号公報という)には、擁壁面が鉛直方向に対して所定の
傾斜角度となるべく、段積されて擁壁を形成する擁壁用
コンクリートブロックにおいて、段積された際に水平と
なる水平面が天面および底面に形成され、擁壁の正面を
形成する正面板部と、正面板部と所定に間隔をおいて平
行に配された背面板部と、正面板部と背面板部とを段積
された際に前者が後者よりも上方に位置するように連結
すると共に、段積された際に擁壁面の直交する方向と平
行になる傾斜面が上面および下面に形成された連結部と
を具備する擁壁用コンクリートブロック、が開示されて
いる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の土留ブロックでは、以下の課題を有していた。
【0007】イ号公報の緑化土留擁壁工では、以下の課
題を有していた。 a.ブロック部片,板部片,タイ部片からなるので、部
品点数が多く生産性や取扱性に欠け、特に作業車の入れ
ない場所の場合、ブロック部片,板部片,タイ部片の搬
送作業に手間がかかり使用性に欠ける。 b.ブロック部片と板部片をタイ部片で連結してから法
面に階段状に段積するため、ブロック部片と板部片の連
結作業を要し作業性に欠ける。 c.ブロック部片に形成された水抜穴が、タイ部片の取
付穴として使用されているため、水抜穴からの排水性に
欠け、特に、雨量の多い場合等の排水がスムーズに行わ
れ難く、段積したブロック部片の崩壊を引き起し易く安
全性に欠け、また、排水性を向上させるためには、施工
中に必要に応じて水抜き用の排水管等を配設しなければ
ならず施工作業性に欠ける。
【0008】ロ号公報の土留、境界用コンクリートブロ
ックでは、以下の課題を有していた。 a.断面U字形状の長尺なコンクリートブロックからな
るため、重量が有り、積み上げや配列等の作業を重機械
で行わなければならず、作業車の入れない場所では使用
できず汎用性や利便性に欠ける。 b.開孔部が底面にしか形成されていないため、特に、
雨量の多い場合等の排水がスムーズに行われ難く、排水
不良による崩壊を引き起し易く安全性に欠け、また、排
水性を向上させるためには、施工中に必要に応じて水抜
き用の排水管等を配設しなければならず施工作業性に欠
ける。
【0009】ハ号公報の擁壁用コンクリートブロックで
は、以下の課題を有していた。 a.正面板部と背面板部が、段積された際に前者が後者
よりも上方に位置するように連結されているので、法面
の傾斜角度等に応じて、正面板部や背面板部の高さや連
結角度等の変更を要し、汎用性や生産性に欠ける。 b.下側の擁壁用コンクリートブロックの天面の水平面
と、上側の擁壁用コンクリートブロックの底面の水平面
の当接位置を所定の位置に合わせ難く、該擁壁用コンク
リートブロックで段積して形成した擁壁の傾斜面の角度
(勾配)を所定の角度に維持し難く作業性に欠ける。
【0010】本発明は上記従来の課題を解決するもの
で、排水性に優れ排水不良による破損や擁壁等の崩壊を
防止できるとともに、土圧の影響を抑制できる所定の勾
配で擁壁等を容易に施工することができ、また、簡単な
構造で使用性や利便性,生産性に優れるとともに、擁壁
等の施工時に緑化工事を併用して行うことが容易にでき
環境保全性に優れる土留ブロックを提供することを目的
とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記従来の課題を解決す
るために本発明における土留ブロックは、以下の構成を
有している。
【0012】本発明の請求項1に記載の土留ブロック
は、前面壁と、前記前面壁と所定間隔で略平行に配設さ
れた背面壁と、前記前面壁及び前記背面壁と略直角に形
成され前記前面壁と前記背面壁の両端部を各々連結した
側壁と、前記背面壁の上端部に形成された段差部と、前
記前面壁,前記背面壁,前記側壁の各々に貫通して形成
された貫通孔と、を備えた構成を有している。
【0013】これにより、以下の作用を有する。 (1)前面壁,背面壁,側壁からなる略四角柱状に形成
されているので、構造が簡単で生産性や使用性を向上で
きるとともに、上部壁や底壁を有していないので、該土
留ブロックの軽量化を図ることができ、該土留ブロック
の運搬性や、該土留ブロックを段積する段積作業時の作
業性を向上できる。 (2)前面壁,背面壁,側壁からなる略四角柱状に形成
されているので、前面壁,背面壁,側壁に囲まれた空間
部に栗石,砕石,土砂等を中込めすることにより、該土
留ブロックを容易に設置することができるとともに、法
面等に容易に該土留ブロックを段積でき擁壁等の施工作
業性を向上できる。 (3)前面壁,背面壁,側壁に囲まれた空間部を有して
いるので、空間部に栗石,砕石,土砂等を中込めすると
ともに、木や花等の植物を植えることができ、景観の向
上を図ることができ、また、植物の根が該土留ブロック
の下方側や貫通孔を介して横方向に伸びるため、植物の
根により、該土留ブロックの設置時の安定性をさらに向
上させることができる。 (4)背面壁の上端部に段差部を有しているので、該土
留ブロックを段積する際に、下方の土留ブロックの段差
部に上方の土留ブロックの前面壁側下端部を設置して段
積することができ、上方の土留ブロックの安定性を向上
できるとともに、土留ブロックの段積作業時に土留ブロ
ックの段積位置がずれるのを防止でき段積作業性を向上
できる。 (5)前面壁,背面壁,側壁の各々に貫通孔を有してい
るので、前面壁,背面壁,側壁で囲まれた空間部の下方
側に加えて、貫通孔から雨水等の排水ができ、排水性を
著しく向上することができるとともに、空間部の下方側
や貫通孔から排水された雨水等を法面等の土壌中へ浸透
させることができ、雨水の地下水化を促すことができ
る。
【0014】ここで、前面壁,背面壁,側壁としては、
四角形状や五角形状等の多角形状等の板状体からなるも
のが用いられる。また、各壁の各下端部が略面一になる
ように形成したものが好適に用いられる。これにより、
該土留ブロックの設置時の安定性を向上できる。更に、
前面壁や側壁の表面に凹凸等からなる各種模様を形成し
たり、前面壁や側壁を着色したりしてもよく、また、前
面壁や側壁の上端部が湾曲したものや凹凸状のもの,各
種形状で突出して形成されたものや、特に前面壁や背面
壁が湾曲した板状に形成されたもの等を用いてもよい。
これにより、該土留ブロックの外観及び、該土留ブロッ
クを用いて形成した擁壁等の外観を向上できる。また、
該土留ブロックの材質としては、コンクリートや鉄筋コ
ンクリート、若しくは、強度や耐久性を有した合成樹脂
(ペットボトル等のリサイクル品等を含む)等が用いら
れる。更に、側壁の厚さを、前面壁や背面壁の厚さより
薄く形成してもよい。側壁にかかる土圧が、前面壁や背
面壁にかかる土圧より小さく、また、複数の該土留ブロ
ックで擁壁等を形成した場合、隣り合う土留ブロックの
側壁同志が重合され側壁の強度を維持することができる
ためである。段差部としては、背面壁の上端部が側壁の
上端部より低くなるように形成され、段積する土留ブロ
ックの前面壁側下端部が嵌合できる深さで形成される。
【0015】貫通孔としては、前面壁,背面壁,側壁の
各々に円形状や楕円形状,多角形状等の任意の形状で1
乃至複数形成される。尚、前面壁,背面壁,側壁に形成
される貫通孔の数は異なっていてもよい。また、該土留
ブロックの運搬時等に、貫通孔にロープ等の掛止具を挿
通して該土留ブロック同志を固定したり、該土留ブロッ
クをトラックの荷台等へ固定したりする掛止孔として貫
通孔を使用してもよい。また、貫通孔の大きさ(貫通孔
の面積、但し、貫通孔が複数の場合は全貫通孔の合計面
積)としては、該土留ブロックの材質や強度にもよる
が、前面壁,背面壁,側壁の各表面積の1%〜25%、
好ましくは8%〜12%で形成するのが好ましい。尚、
貫通孔の大きさが各表面積の8%より小さくなるにつ
れ、土留ブロックの空間部内の排水がスムーズにできず
排水不良を引き起こす傾向が認められ、貫通孔の大きさ
が各表面積の12%より大きくなるにつれ、土留ブロッ
クの強度低下を引き起こす傾向が認められ、特に1%未
満若しくは25%を超えるとこの傾向が著しいので好ま
しくない。
【0016】本発明の請求項2に記載の土留ブロック
は、請求項1に記載の発明において、前記側壁間に前記
前面壁及び前記背面壁に連設された仕切壁を備えた構成
を有している。
【0017】これにより、請求項1の作用に加えて、以
下の作用を有する。 (6)側壁間に前面壁及び背面壁に連設された仕切壁を
備えているので、該土留ブロックの強度を向上すること
ができる。
【0018】ここで、仕切壁としては、側壁と略平行に
形成してもよく、また、前面壁,背面壁,側壁で囲まれ
た空間部内に対角線状等に形成してもよい。また、仕切
壁に貫通孔を形成してもよい。これにより、仕切壁で仕
切られた空間部内の排水性や通気性を向上することがで
きる。仕切壁の高さとしては、前面壁や側壁と同一高さ
に形成してもよく、また、背面壁と同一の高さで形成し
てもよく、更に、前面壁や側壁,背面壁の高さより低く
若しくは高く形成してもよい。これにより、仕切壁の高
さを前面壁や側壁と同一高さにした場合、前面壁,側壁
の上端部に配設される後述の上面蓋部材の安定性を向上
することができ、また、仕切壁の高さを前面壁や側壁,
背面壁の高さより低く形成した場合、前面壁,側壁,仕
切壁,背面壁で囲まれた空間部に栗石,砕石,土砂等を
中込めした際に仕切壁の上端部を栗石,砕石,土砂等で
埋設することができ外観性を向上することができ、更
に、仕切壁の高さを前面壁や側壁,背面壁の高さより高
く形成した場合、仕切壁部分で分割した上面蓋部材を前
面壁,側壁の上端部に配設することができ上面蓋部材の
軽量化を図ることができる。尚、仕切壁の厚さとして
は、仕切壁にかかる土圧の影響が前面壁や背面壁より小
さいため、側壁の厚さと略同じ厚さで形成してもよい。
【0019】本発明の請求項3に記載の土留ブロック
は、請求項1又は2に記載の発明において、前記貫通孔
に着脱自在に嵌着された暗渠部材を備えた構成を有して
いる。
【0020】これにより、請求項1又は2の作用に加え
て、以下の作用を有する。 (7)貫通孔に暗渠部材を嵌着することにより、該土留
ブロックの空間部内の雨水等を、暗渠部材を介してより
スムーズに排水することができ、排水性を向上できると
ともに、雨水等を法面等の土壌中に浸透させることがで
き、雨水等の地下水化を促進できる。 (8)特に、背面壁の貫通孔に暗渠部材を嵌着した場
合、暗渠部材を法面等の土壌中に埋設して該土留ブロッ
クを法面等に設置又は、段積して擁壁等を形成すること
ができ、土留ブロックの設置安定性を向上できるととも
に、擁壁等の耐久性を向上できる。
【0021】ここで、暗渠部材としては、貫通孔の形状
に応じて少なくとも一端部が貫通孔に嵌着できる断面形
状を有し、また、一端部を貫通孔に嵌着した際に他端部
が貫通孔から突出するような筒状体や、筒状体の周壁に
集水孔を有したもの、若しくは筒状体の周壁が網目状に
形成されたもの等が用いられる。また、暗渠部材の材質
としては、コンクリートや鉄筋コンクリート,合成樹
脂,竹や草木等の植物,鉄やアルミニウム等の金属等が
用いられる。
【0022】本発明の請求項4に記載の土留ブロック
は、請求項1乃至3の内いずれか1項に記載の発明にお
いて、前記前面壁及び前記側壁の上端部に配設された上
面蓋部材を備えた構成を有している。
【0023】これにより、請求項1乃至3の作用に加え
て、以下の作用を有する。 (9)上面蓋部材を前面壁及び側壁の上端部に配設する
ことにより、該土留ブロックの上面に蓋をすることがで
きるので、該土留ブロックを段積して階段等の形成に使
用することができる。
【0024】ここで、前面壁及び側壁は、上端部を面一
にするのが好適である。これにより、上面蓋部材を前面
壁及び側壁の上端部に安定して配設することができる。
また、上面蓋部材としては、前面壁の幅と、前面壁の表
面から段差部までの長さと同じ長さの辺からなる四角形
状に形成するのが好適である。これにより、上面蓋部材
で段差部が塞がれるのを防止できるので、該土留ブロッ
クの段積が容易にできるとともに、前面壁,背面壁,側
壁で囲まれた空間部の上面を確実に塞ぐことができる。
尚、側壁間に側壁の高さより高さの低い仕切壁を備えて
いる場合、仕切壁の上端部に当接され側壁間に嵌合でき
る大きさで上面蓋部材を形成してもよい。更に、側壁間
に側壁の高さより高さの高い仕切壁を備えている場合、
仕切壁の部分で2分割された上面蓋部材を用いてもよ
い。また、上面蓋部材の材質としては、コンクリートや
鉄筋コンクリート,木材等が用いられ、セメント等で接
着固定される。
【0025】本発明の請求項5に記載の土留ブロック
は、請求項1乃至4の内いずれか1項に記載の発明にお
いて、前記前面壁の高さ(H),前記前面壁の表面から
前記背面壁の表面までの長さ(D),前記段差部の高さ
方向長さ(h),前記段差部の奥行き方向長さ(d)
が、(H−h):(D−d)=1:0.5〜1:3で形
成された構成を有している。
【0026】これにより、請求項1乃至4の作用に加え
て、以下の作用を有する。 (10)該土留ブロックを段積した際の勾配を1:0.
5〜1:3の所定の勾配で均一に保持することができる
とともに、土留ブロックにかかる法面等の土圧の影響を
抑制できる。 (11)該土留ブロックを段積した際の勾配を均一に保
持することができるので、該土留ブロックを段積して形
成した擁壁等の強度の信頼性や安全性を向上できる。 (12)該土留ブロックの大きさを規格化することがで
き、生産性を向上することができるとともに、使用性を
向上できる。
【0027】ここで、(H−h):(D−d)=1:
0.5より小さくなるにつれ、特に、土留ブロックを段
積して形成した擁壁の高さが高い場合に擁壁の耐久性や
安全性に欠ける傾向が有り、(H−h):(D−d)=
1:3より大きくなるにつれ、特に、宅地に該土留ブロ
ックを段積して擁壁等を形成した場合に土地の有効使用
面積が狭くなる傾向が有り、いずれも好ましくない。
【0028】
【発明の実施の形態】(実施の形態1)本発明の実施の
形態1における土留ブロックについて、以下図面を用い
て説明する。
【0029】図1(a)は実施の形態1における土留ブ
ロックの全体斜視図であり、図1(b)は図1(a)の
A−A線断面図である。図1において、1は実施の形態
1における鉄筋コンクリート製の土留ブロック、2は土
留ブロック1の前面壁、2aは前面壁2に貫通して形成
された通気や通水用の貫通孔、3は前面壁2と所定間隔
で前面壁2と平行に配設された背面壁、3aは背面壁3
に貫通して形成された通気や通水用の貫通孔、4a,4
bは前面壁2及び背面壁3と直角に形成され前面壁2と
背面壁3の両端部を各々連結した側壁、5a,5bは側
壁4a,4bの各々に貫通して形成された通気や通水用
の貫通孔、6は背面壁3の上端部に形成された段差部、
7は前面壁2,背面壁3,側壁4a,4bで囲まれた空
間部である。尚、図中、Hは前面壁2の高さ,Dは前面
壁2の表面から背面壁3の表面までの長さ,hは段差部
6の高さ方向長さ,dは段差部6の奥行き方向長さ,を
示し、実施の形態1では、(H−h):(D−d)=
1:0.5〜1:3で形成されている。
【0030】ここで、実施の形態1では、貫通孔2a,
3a,5a,5bは、前面壁2,背面壁3,側壁4a,
4bに各々4ヵ所ずつ形成され、また、各壁に形成され
た貫通孔2a,3a,5a,5bは、各壁の肉厚(厚
み)等にもよるが、各合計面積が各壁の面積の1%〜2
5%、好ましくは8%〜12%で、かつ、各壁及び土留
ブロック1の機械的強度が保持できる大きさで形成され
ている。尚、土留ブロック1は、設置場所や形状の大小
に応じて、鉄筋を内設しないコンクリートを用いてもよ
い。また、貫通孔2a,3a,5a,5bは、孔径を同
一にしてもよいが、湧水の多い場所に使用する場合は前
面壁2の貫通孔2a,背面壁3の貫通孔3aの孔径を側
壁4a,4bの貫通孔5a,5bの孔径よりも大きく形
成する等、設置場所に応じて適宜変えてもよい。更に、
各壁の肉厚(厚み)は一定にしてもよいが、前面壁2と
背面壁3の肉厚を厚くし、側壁4a,4bの肉厚を薄く
形成してもよい。側壁4a,4bにかかる土圧が前面壁
2や背面壁3にかかる土圧より小さいとともに、複数の
土留ブロック1で擁壁等を形成した場合、隣り合う土留
ブロックの側壁4a,4bが重合されるため、側壁4
a,4bの強度を維持することができるためである。
【0031】以上のように構成された土留ブロック1を
段積して法面に擁壁を形成した場合について、以下図面
を用いて説明する。図2は実施の形態1における土留ブ
ロックを法面に段積した状態を示す要部断面斜視図であ
り、図3は図2のB−B線断面図である。図中、8は各
土留ブロック1の空間部7内に中込めされた栗石や砕
石,土砂等の中込材、9は各土留ブロック1の空間部7
に植生された木や花等の植物、9aは植物9の根、10
は土留ブロック1が段積された法面の土壌である。
【0032】次に、土留ブロック1の段積作業について
説明する。まず、法面の下端部に土留ブロック1を図
2,図3に示すように配設し、各土留ブロック1の空間
部7内に栗石,砕石,土砂等の中込材8を中込めし、1
段目の土留ブロック1を設置する。次に、1段目の土留
ブロック1の段差部6に2段目の土留ブロック1の前面
壁2側の下端部を嵌合して、図2,3に示すように設置
し、1段目と同様に2段目の各土留ブロック1の空間部
7内に中込材8を中込めする。ここで、2段目の土留ブ
ロック1を1段目の土留ブロック1の段差部6に設置す
る際、図2に示すように、2段目の土留ブロック1の側
壁4a,4bが1段目の土留ブロック1の段差部6の略
中央に位置するように設置し、破り目地状に段積するの
が好ましい。これにより、2段目の土留ブロック1の側
壁4a,4bと1段目の土留ブロック1の側壁4a,4
bが同位置にならないので、2段目の隣り合う土留ブロ
ック1の側壁4a,4bを安定して連結でき、土留ブロ
ック1の段積の安定性を向上できる。
【0033】次いで、3段目の土留ブロック1も2段目
の土留ブロック1と同様に、2段目の土留ブロック1の
段差部6に3段目の土留ブロック1の前面壁2側の下端
部を嵌合して設置し、3段目の各土留ブロック1の空間
部7内に中込材8を中込めする。ここで、3段目の土留
ブロック1は、図2に示すように、3段目の土留ブロッ
ク1の側壁4a,4bが1段目の土留ブロック1の側壁
4a,4bと略同位置になるように設置し、破り目地状
に段積するのが好ましい。これにより、3段目の土留ブ
ロック1の側壁4a,4bを2段目の土留ブロック1の
段差部6の略中央に位置することができるため、3段目
の隣り合う土留ブロック1の側壁4a,4bを安定して
連結でき、土留ブロック1の段積の安定性を向上でき
る。以上により、1段目〜3段目の土留ブロック1が段
積される。尚、実施の形態1では土留ブロック1を3段
目まで段積した場合を例に説明したが、段積の段数は法
面の大きさ等により任意に調整され、2段目,3段目と
同様に順に設置される。また、土留ブロック1を破り目
地状に段積し、1段目〜3段目の各段の全幅を一定にす
る場合は、1段目と3段目、若しくは、2段目の両端部
に幅寸法の異なる土留ブロックを段積する。
【0034】次に、図2,3に示すように、1段目〜3
段目の各土留ブロック1の空間部7に植物9が植えられ
る。ここで、各土留ブロック1の空間部7に植物9を植
えることにより、植物9の根9aが年々大きく根張り
し、図3に示すように、各土留ブロック1の下方から法
面の土壌10へ伸びるとともに、貫通孔5a,5bから
各段の隣り合う土留ブロック1へ伸び、各土留ブロック
1の安定性が向上する。尚、土留ブロック1を段積した
後で植物9を植え付ける代わりに、各土留ブロック1を
1段づつ設置する毎に、植物9を各土留ブロック1の空
間部7に植え付けてもよい。
【0035】尚、実施の形態1では、1段目と2段目,
2段目と3段目の土留ブロック1の側壁4a,4bの位
置をずらした破り目地状に段積したが、1段目乃至3段
目の土留ブロック1の側壁4a,4bが同位置になるよ
うに段積してもよく、また、この場合は、段差部6と段
差部6に当接する土留ブロック1の前面壁2の下端面の
各々にピン孔を形成するとともにピンをピン孔に挿着し
てピンで段差部6と段差部6に設置する土留ブロック1
を連結して段積してもよく、また、段差部6に凹部又は
凸部を形成するとともに段差部6に当接する土留ブロッ
ク1の前面壁2の下端面に凸部又は凹部を形成し、段差
部6の凹部又は凸部と前面壁2の下端面の凸部又は凹部
を嵌合して段差部6と段差部6に設置する土留ブロック
1を連結して段積してもよい。これにより、段積時等に
土留ブロック1が段差部6からずれるのを確実に防止で
きる。
【0036】次に、雨が降った際の雨水の流れについ
て、以下説明する。各土留ブロック1に降った雨水は、
各土留ブロック1の空間部7に中込めされた中込材8を
介して、各土留ブロック1の下端部側(下方側)から法
面の土壌10へ浸透するとともに、前面壁2,背面壁
3,側壁4a,4bの各貫通孔2a,3a,5a,5b
から土留ブロック1の外周側へ排出される。
【0037】以上のように実施の形態1における土留ブ
ロックは構成されているので、以下の作用を有する。 (1)該土留ブロックが、前面壁,背面壁,側壁からな
る四角柱状に形成されているので、該土留ブロックの構
造が簡単で生産性や使用性に優れるとともに、上部壁や
底壁を有していないので該土留ブロックが軽量で、運搬
性や段積作業性の向上を図ることができる。 (2)前面壁,背面壁,側壁で囲まれた空間部に栗石,
砕石,土砂等の中込材を中込めすることができるので、
該土留ブロックの設置作業や段積作業が容易にでき、擁
壁の施工作業性を向上できる。 (3)空間部に中込材を中込めするとともに、空間部に
木や花等の植物を植えることができるので、該土留ブロ
ックで形成した擁壁の景観を向上できるとともに、該土
留ブロックの下方や横に伸びる植物の根張りにより、該
土留ブロックの設置安定性を更に向上することができ
る。 (4)背面壁の上端部に段差部を有しているので、該土
留ブロックを段積する際に、下方の土留ブロックの段差
部に上方の土留ブロックの前面壁側下端部を設置して段
積することができ、土留ブロックの段積の安定性を向上
できるとともに、段積作業時に各土留ブロックの段積位
置がずれるのを防止できる。 (5)前面壁,背面壁,側壁の各々に貫通孔を有してい
るので、空間部の下方側に加えて、貫通孔から雨水等の
排水ができ、排水性を著しく向上することができ、水圧
により該土留ブロックや該土留ブロックで形成された擁
壁が崩壊するのを防止でき、また、貫通孔により該土留
ブロックの空間部内の通気性や通水性を維持できるの
で、空間部に植えた植物の根が腐ったりするのを防止で
きる。 (6)空間部の下方側や貫通孔から排水された雨水を法
面の土壌中へ浸透させることができ、雨水の地下水化を
促すことができる。 (7)該土留ブロックを鉄筋コンクリートで形成した場
合は、該土留ブロックの耐久性を向上できる。 (8)該土留ブロックを鉄筋コンクリートで形成し、該
土留ブロックの空間部に中込めされる中込材として栗石
や砕石,土砂等を用いた場合は、中込材として法面形成
時の土砂等を利用することができ、擁壁形成の低コスト
化を図ることができ、また、擁壁の形成に要する部品点
数が少なく施工作業性を向上できる。 (9)該土留ブロックの前面壁の高さH,前面壁の表面
から背面壁の表面までの長さD,段差部の高さ方向長さ
h,段差部の奥行き方向長さdが、(H−h):(D−
d)=1:0.5〜1:3で形成されているので、該土
留ブロックを段積した際に、自動的に所定の勾配をとる
ことができ、擁壁の施工作業性を向上できるとともに、
擁壁の耐久性や安全性に優れる。 (10)該土留ブロックを段積する際に、下段の土留ブ
ロックと上段の土留ブロックの側壁の位置がずれた破り
目地状に段積した場合、上段の土留ブロックの側壁が下
段の土留ブロックの段差部上に設置され下段の土留ブロ
ックと上段の土留ブロックの側壁が同位置にならないた
め、上段の土留ブロックの隣り合う側壁を安定して連結
することができ、土留ブロックの段積の安定性を向上で
きる。
【0038】(実施の形態2)本発明の実施の形態2に
おける土留ブロックについて、以下図面を用いて説明す
る。
【0039】図4は実施の形態2における土留ブロック
の全体斜視図である。尚、実施の形態1と同様のものに
は同一の符号を付して説明を省略する。図4において、
20は実施の形態2における鉄筋コンクリート製の土留
ブロック、21は土留ブロック20の前面壁、21aは
前面壁21に貫通して形成された通気や通水用の貫通
孔、22は前面壁21と所定間隔で前面壁21と平行に
配設された背面壁、22aは背面壁22に貫通して形成
された通気や通水用の貫通孔、23は側壁4a,4b間
に側壁4a,4bと平行に形成され前面壁21と背面壁
22に連設された仕切壁、23aは仕切壁23に貫通し
て形成された通気や通水用の貫通孔、24aは前面壁2
1,側壁4a,背面壁22,仕切壁23で囲まれた空間
部、24bは前面壁21,側壁4b,背面壁22,仕切
壁23で囲まれた空間部である。また、図中、Hは前面
壁21の高さを示し、Dは前面壁21の表面から背面壁
22の表面までの長さを示し、hは段差部6の高さ方向
長さを示し、dは段差部6の奥行き方向長さを示し、実
施の形態2では、(H−h):(D−d)=1:0.5
〜1:3で形成されている。尚、特に、県の建築基準条
例等により、擁壁の勾配が定められている場合は、その
勾配に応じて(H−h):(D−d)の比が決定される
(例えば、山口県では(H−h):(D−d)=1:
1.5にされる)。
【0040】ここで、実施の形態2では、仕切壁23は
側壁4a,4b間の略中央に、側壁4a,4bと同じ高
さで形成されている。また、前面壁21と背面壁22に
形成された貫通孔21a,22aは、図4に示すよう
に、仕切壁23で仕切られた空間部24a,24bの各
々に貫通するように形成されている。また、実施の形態
2では、貫通孔5a,5b,21a,22aは全て同じ
大きさの円形状に形成されており、各壁に形成された貫
通孔5a,5b,21a,22aは、各壁の肉厚(厚
み)等にもよるが、各合計面積が各壁の面積の1%〜2
5%、好ましくは8%〜12%で、かつ、各壁及び土留
ブロック20の機械的強度が保持できる大きさで形成さ
れている。尚、土留ブロック20は、設置場所や形状の
大小に応じて、鉄筋を内設しないコンクリートを用いて
もよい。また、貫通孔5a,5b,21a,22aは、
孔径を同一にする他、湧水の多い場所に使用する場合は
前面壁21の貫通孔21a,背面壁22の貫通孔22a
の孔径を側壁4a,4bの貫通孔5a,5bの孔径より
も大きく形成する等、設置場所に応じて適宜変えてもよ
い。更に、各壁の肉厚(厚み)は一定にしてもよいが、
前面壁21と背面壁22の肉厚を厚くし、側壁4a,4
b,仕切壁23の肉厚を薄く形成してもよい。側壁4
a,4b,仕切壁23にかかる土圧が前面壁21や背面
壁22にかかる土圧より小さいとともに、複数の土留ブ
ロック20で擁壁等を形成した場合、隣り合う土留ブロ
ックの側壁4a,4bが重合されるため、側壁4a,4
bの強度を維持することができるためである。
【0041】次に、実施の形態2における土留ブロック
20の貫通孔5a,5b,21a,22a,のいずれか
に着脱自在に嵌着される暗渠部材について、以下図面を
用いて説明する。図5は実施の形態2における暗渠部材
の全体斜視図である。図5において、25は貫通孔5
a,5b,21a,22aのいずれかに着脱自在に嵌着
される円筒状の暗渠部材、25aは暗渠部材25の周壁
に網目状に形成された集水孔である。ここで、暗渠部材
25は、貫通孔5a,5b,21a,22aと同じ断面
形状でかつ、貫通孔5a,5b,21a,22aに嵌着
できる大きさで形成されている。
【0042】以上のように構成された土留ブロック20
に暗渠部材25を嵌着し、土留ブロック20を段積して
法面に擁壁を形成した場合について、以下図面を用いて
説明する。図6は実施の形態2における土留ブロックを
法面に段積した状態を示す要部断面図である。尚、実施
の形態1と同様のものには同一の符号を付して説明を省
略する。土留ブロック20を段積して擁壁を形成する場
合、まず、各土留ブロック20の背面壁22の貫通孔2
2aに暗渠部材25の一端部を嵌着する。ここで、各土
留ブロック20の背面壁22に形成された4ヵ所全ての
貫通孔22aに暗渠部材25を嵌着してもよく、また、
1乃至3の貫通孔22aに暗渠部材25を嵌着してもよ
い。次に、法面の下端部に土留ブロック20を設置する
とともに、図6に示すように、暗渠部材25を法面の土
壌10中に埋設する。次いで、各土留ブロック20の空
間部24a,24b内に、実施の形態1と同様に、栗
石,砕石,土砂等の中込材8を中込めし、1段目の土留
ブロック20を安定させる。
【0043】次に、1段目の土留ブロック20の段差部
6に2段目の土留ブロック20の前面壁21側の下端部
を嵌合して設置するとともに、図6に示すように、暗渠
部材25を法面の土壌10に埋設し、1段目と同様に2
段目の各土留ブロック20の空間部24a,24b内に
中込材8を中込めする。次いで、3段目の土留ブロック
20も2段目の土留ブロック20と同様に、2段目の土
留ブロック20の段差部6に3段目の土留ブロック20
の前面壁21側の下端部を嵌合して設置するとともに、
暗渠部材25を法面の土壌10に埋設し、3段目の各土
留ブロック20の空間部24a,24b内に中込材8を
中込めする。これにより、図6に示すように、1段目〜
3段目の土留ブロック20が段積される。ここで、土留
ブロック20を段積する際、実施の形態1と同様に、1
段目と2段目,2段目と3段目の土留ブロック20の側
壁4a,4bの位置をずらして破り目地状に段積しても
よく、また、各段の土留ブロック20の側壁4a,4b
が同位置になるように段積してもよい。
【0044】尚、土留ブロック20が(H−h):(D
−d)=1:0.5〜1:3で形成されているため、土
留ブロック20を段積して形成した擁壁の勾配(図6中
の仮想線)は、1:0.5〜1:3になる。次に、実施
の形態1と同様に、1段目〜3段目の各土留ブロック2
0の空間部24a,24bに植物9が植えられる。
【0045】実施の形態2では、土留ブロック20を3
段目まで段積した場合を例に説明したが、段積の段数は
法面の大きさ等により任意に調整され、2段目,3段目
と同様に順に段積される。また、暗渠部材25を背面壁
22の貫通孔22aに嵌着する代わりに、暗渠部材25
を側壁4a,4bの貫通孔5a,5bに嵌着し、隣り合
う土留ブロック20を暗渠部材25を介して連結しても
よく、また、背面壁22の貫通孔22a及び側壁4a,
4bの貫通孔5a,5bの両方に暗渠部材25を嵌着し
てもよい。側壁4a,4bの貫通孔5a,5bに暗渠部
材25を嵌着した場合、隣り合う土留ブロック20を暗
渠部材25で連結することができ、土留ブロックの設置
時に土留ブロックがずれるのを防止でき設置作業性や設
置の安定性を向上できるとともに、空間部24a,24
b内の雨水等を暗渠部材25を介して土壌10へ排水す
ることができ排水性を向上できる。
【0046】次に、雨が降った際の雨水の流れについ
て、以下説明する。各土留ブロック20に降った雨水
は、各土留ブロック20の空間部24a,24bに中込
めされた中込材8を介して、各土留ブロック20の下方
側から法面の土壌10へ排水されるともに、背面壁22
の貫通孔22aに嵌着された暗渠部材25を介して暗渠
部材25の集水孔25aから法面の土壌10へ排水され
る。また、前面壁21,側壁4a,4bの各貫通孔21
a,5a,5bからも土留ブロック20の外周側へ雨水
が排水され、土留ブロック20の空間部24a,24b
内に雨水が溜まるのを防止できるとともに、雨水の量が
多い場合等に土壌10側の他、土留ブロック20の前面
壁21側(道路側等)へ排水することができ、土壌10
の崩壊等を防止できる。更に、空間部24a,24bに
貫通された貫通孔21aにより、空間部24a,24b
内の通気性を維持でき、空間部24a,24b内に植え
られた植物9の根9aが腐ったりするのを防止できる。
【0047】以上のように実施の形態2における土留ブ
ロックは構成されているので、実施の形態1の作用に加
えて、以下の作用を有する。 (1)該土留ブロックの側壁間に仕切壁を備えているの
で、該土留ブロックの強度を向上することができ、該土
留ブロックの耐久性を向上できる。 (2)貫通孔に着脱自在に嵌着される暗渠部材を有して
いるので、暗渠部材を貫通孔に嵌着するとともに、暗渠
部材を法面の土壌中に埋設することにより、該土留ブロ
ックの空間部内の雨水をよりスムーズに法面の土壌中に
排水することができ、該土留ブロックの排水性を向上で
きる。 (3)暗渠部材を介して土留ブロックの空間部内の雨水
を法面の土壌中に排水することができるので、雨水の地
下水化を促進できる。 (4)暗渠部材を背面壁の貫通孔に嵌着しているので、
該土留ブロックの設置時に暗渠部材を法面の土壌中に埋
設することができ、土留ブロックの設置安定性を向上で
き、また、土留ブロックを段積して形成した擁壁の耐久
性や安定性を向上できる。 (5)該土留ブロックが、(H−h):(D−d)=
1:0.5〜1:3で形成されているので、該土留ブロ
ックを段積して形成した擁壁の勾配を1:0.5〜1:
3に確実に保持することができ、土留ブロックにかかる
法面の土圧の影響を抑制でき、擁壁の安定性を向上でき
る。 (6)該土留ブロックを段積するだけで、擁壁の勾配を
均一に保持することができ、該土留ブロックを段積して
形成した擁壁の強度や安全性の信頼性を向上できる。
【0048】(実施の形態3)本発明の実施の形態3に
おける土留ブロックについて、以下図面を用いて説明す
る。
【0049】図7は実施の形態3における土留ブロック
で形成した階段を示す要部斜視図である。尚、実施の形
態2と同様のものには同一の符号を付して説明を省略す
る。図7において、30は土留ブロック20を段積して
形成された階段、31は土留ブロック20の前面壁21
及び側面壁4a,4bの上端部に配設された上面蓋部材
である。尚、実施の形態3では、上面蓋部材31は、土
留ブロック20の前面壁21の幅と、前面壁21の表面
から段差部6までの長さと同じ長さの辺からなる四角形
状のものが用いられる。また、上面蓋部材31の材質と
しては、コンクリートや鉄筋コンクリート,木材等が用
いられる。ここで、階段30は、実施の形態1と同様に
各土留ブロック20を所定の段数、段積するとともに、
各土留ブロック20の前面壁21及び側面壁4a,4b
の上端部に、上面蓋部材31をセメント等で接着固定す
ることにより形成される。尚、各土留ブロック20を設
置する際、各土留ブロック20の空間部24a,24b
に中込材を中込めしなくてもよい。また、実施の形態3
では、図7に示すように、各段の土留ブロック20の側
壁4a,4bが同位置になるように段積したが、実施の
形態1と同様に、土留ブロック20を破り目地状に段積
してもよく、また、破り目地状に段積した場合は、階段
30の所定の段の両端部に幅寸法の異なる土留ブロック
を段積し、階段30の各段の全幅を一定にしてもよい。
【0050】以上のように実施の形態3における土留ブ
ロックは構成されているので、実施の形態1,2の作用
に加えて、以下の作用を有する。 (1)上面蓋部材を備えているので、該土留ブロックの
前面壁及び側壁の上端部に上面蓋部材を配設し、該土留
ブロックの上面に蓋をすることにより、該土留ブロック
を用いて容易に階段を形成することができる。
【0051】(実施の形態4)本発明の実施の形態4に
おける土留ブロックについて、以下図面を用いて説明す
る。
【0052】図8は実施の形態4における土留ブロック
で形成した花壇を示す要部斜視図である。尚、実施の形
態1と同様のものには同一の符号を付して説明を省略す
る。図8において、40は実施の形態4における鉄筋コ
ンクリート製の土留ブロック、41は湾曲した板状に形
成された土留ブロック40の前面壁、41aは前面壁4
1に貫通して形成された通気や通水用の貫通孔、42は
前面壁41と所定間隔で前面壁41と平行に配設され湾
曲した板状に形成され通気や通水用の貫通孔を有した背
面壁、43は前面壁41及び背面壁42と直角に形成さ
れ前面壁41と背面壁42の両端部を各々連結した側
壁、43aは側壁43の各々に貫通して形成された通気
や通水用の貫通孔、44は前面壁41,背面壁42,側
壁43で囲まれた空間部である。ここで、花壇は、下段
と上段の土留ブロック40の両側壁43が同位置になる
ように段積して形成され、各土留ブロック40の各空間
部44に土壌を入れて花等の植物9が植えられる。尚、
実施の形態4では前面壁41と背面壁42が湾曲した板
状に形成されたものを用いたが、前面壁41に湾曲した
板状のものを用い、背面壁42に実施の形態1乃至3に
示した板状のものを用いてもよい。この場合、段差部6
としては、前面壁41が確実に配設できる大きさに形成
される。
【0053】以上のように実施の形態4における土留ブ
ロックは構成されているので、実施の形態1,2の作用
に加えて、以下の作用を有する。 (1)前面壁が湾曲した板状に形成されているので、該
土留ブロックを花壇として使用した場合の外観性を向上
できる。 (2)該土留ブロックを段積するだけで、容易に花壇を
形成することができ、該土留ブロックの汎用性に優れ
る。
【0054】
【発明の効果】以上のように本発明における土留ブロッ
クによれば、以下の優れた効果を実現できる。
【0055】請求項1に記載の発明によれば、 (1)前面壁,背面壁,側壁からなる略四角柱状に形成
されているので、構造が簡単で生産性や使用性に優れる
とともに、上部壁や底壁を有していないので、該土留ブ
ロックの軽量化を図ることでき、該土留ブロックの運搬
性や、段積作業時の作業性に優れ、擁壁等の施工作業の
工期短縮を図ることができる。 (2)該土留ブロックが軽量なため、工事車両の進入不
可能な場所での人力による作業の作業性に優れ、該土留
ブロックの使用性に優れる。 (3)前面壁,背面壁,側壁に囲まれた空間部に栗石,
砕石,土砂等の中込材を中込めすることにより、該土留
ブロックを容易に設置することができるとともに、法面
等に容易に該土留ブロックを段積でき、少ない部品点数
で擁壁等の施工ができ、施工作業性に優れ、また、該土
留ブロックの空間部に中込めする中込材として、法面等
の形成時に出される栗石,砕石,土砂等を使用すること
ができるため、擁壁等の施工にかかるコストの低コスト
化を図ることができる。 (4)前面壁,背面壁,側壁に囲まれた空間部を有して
いるので、空間部に栗石,砕石,土砂等を中込めすると
ともに、木や花等の植物を植える緑化工事を容易に併用
して行うことができ、景観の向上を図ることができ環境
保全性に優れ、また、植物の根が該土留ブロックの下方
側の土壌中や貫通孔を介して隣り合う土留ブロックまで
伸びるため、植物の根により、該土留ブロックの設置時
の安定性をさらに向上でき、特に、該土留ブロックを段
積して形成した擁壁等の安全性や耐久性に優れる。 (5)背面壁の上端部に段差部を有しているので、該土
留ブロックを段積する際に、下方の土留ブロックの段差
部に上方の土留ブロックの前面壁側下端部を設置して段
積することができ、上方の土留ブロックの安定性に優れ
るとともに、土留ブロックの段積作業時に土留ブロック
の位置がずれるのを防止でき、段積作業性に優れる。 (6)前面壁,背面壁、側壁の各々に貫通孔を有してい
るので、前面壁,背面壁,側壁で囲まれた空間部の下方
側に加えて、貫通孔から雨水等の排水ができ排水性に優
れ、水圧により該土留ブロックや該土留ブロックで形成
された擁壁等が崩壊するのを防止でき、また、空間部の
下方側や貫通孔から排水された雨水等を法面等の土壌中
へ浸透させることができ、雨水の地下水化を促進でき
る。 (7)該土留ブロックが貫通孔を有しているので、該土
留ブロックの空間部内の排水性や通気性が高く、また、
該土留ブロックの空間部に土壌等を入れて花や木等の植
物を植えることができるため、該土留ブロックを花壇等
のガーデン用ブロックとして使用することもでき、該土
留ブロックの汎用性に優れる。
【0056】請求項2に記載の発明によれば、請求項1
の効果に加えて、 (8)側壁間に、前面壁及び背面壁に連設された仕切壁
を備えているので、該土留ブロックの強度を向上するこ
とができ、該土留ブロックの耐久性に優れる。
【0057】請求項3に記載の発明によれば、請求項1
又は2の効果に加えて、 (9)貫通孔に暗渠部材を嵌着することにより、暗渠部
材を介して、該土留ブロックの空間部内の雨水等をより
スムーズに排水させることができ、該土留ブロックの排
水性に優れるとともに、暗渠部材を法面等の土壌中に埋
設することにより、暗渠部材を介して、該土留ブロック
の空間部内の雨水等を法面等の土壌中に浸透させること
ができ、雨水の地下水化を促進できる。 (10)特に、背面壁の貫通孔に暗渠部材を嵌着した場
合、暗渠部材を法面等の土壌中に埋設して該土留ブロッ
クを法面等に設置又は、段積して擁壁等を形成すること
ができ、該土留ブロックの設置安定性を向上できるとと
もに擁壁等の安定性や耐久性を向上できる。
【0058】請求項4に記載の発明によれば、請求項1
乃至3の効果に加えて、 (11)上面蓋部材を前面壁及び側壁の上端部に配設す
ることにより、該土留ブロックの上面に蓋をすることが
できるので、該土留ブロックを段積して階段等を形成す
ることもでき、該土留ブロックの汎用性に優れる。
【0059】請求項5に記載の発明によれば、請求項1
乃至4の効果に加えて、 (12)該土留ブロックの前面壁の高さ(H)、前面壁
の表面から背面壁の表面長さ(D)、段差部の高さ方向
長さ(h)、段差部の奥行き方向長さ(d)を、(H−
h):(D−d)=1:0.5〜1:3の比で形成して
いるため、該土留ブロックを段積した際の勾配を所定の
勾配に確実に保持することができ、該土留ブロックにか
かる法面等の土圧による影響を抑制することができる。 (13)該土留ブロックを段積した際に勾配を均一に保
持することができるので、該土留ブロックを段積して形
成した擁壁等の耐久性や安全性に優れ、擁壁等の強度の
信頼性に優れる。 (14)該土留ブロックの大きさを規格化することがで
きるので、該土留ブロックの使用性に優れ、また、規格
化により、該土留ブロックの品質管理や製造工程等のシ
ステム化を図ることができ、該土留ブロックの生産性に
優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)実施の形態1における土留ブロックの全
体斜視図 (b)図1(a)のA−A線断面図
【図2】実施の形態1における土留ブロックを法面に段
積した状態を示す要部断面斜視図
【図3】図2のB−B線断面図
【図4】実施の形態2における土留ブロックの全体斜視
【図5】実施の形態2における暗渠部材の全体斜視図
【図6】実施の形態2における土留ブロックを法面に段
積した状態を示す要部断面図
【図7】実施の形態3における土留ブロックで形成した
階段を示す要部斜視図
【図8】実施の形態4における土留ブロックで形成した
花壇を示す要部斜視図
【符号の説明】
1,20,40 土留ブロック 2,21,41 前面壁 2a,3a,5a,5b,21a,22a,23a,4
1a,43a 貫通孔 3,22,43 背面壁 4a,4b 側壁 6 段差部 7,24a,24b,44 空間部 8 中込材 9 植物 9a 根 10 土壌 23 仕切壁 25 暗渠部材 25a 集水孔 30 階段 31 上面蓋部材

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 前面壁と、前記前面壁と所定間隔で略平
    行に配設された背面壁と、前記前面壁及び前記背面壁と
    略直角に形成され前記前面壁と前記背面壁の両端部を各
    々連結した側壁と、前記背面壁の上端部に形成された段
    差部と、前記前面壁,前記背面壁,前記側壁の各々に貫
    通して形成された貫通孔と、を備えていることを特徴と
    する土留ブロック。
  2. 【請求項2】 前記側壁間に前記前面壁及び前記背面壁
    に連設された仕切壁を備えていることを特徴とする請求
    項1に記載の土留ブロック。
  3. 【請求項3】 前記貫通孔に着脱自在に嵌着された暗渠
    部材を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記
    載の土留ブロック。
  4. 【請求項4】 前記前面壁及び前記側壁の上端部に配設
    された上面蓋部材を備えていることを特徴とする請求項
    1乃至3の内いずれか1項に記載の土留ブロック。
  5. 【請求項5】 前記前面壁の高さ(H),前記前面壁の
    表面から前記背面壁の表面までの長さ(D),前記段差
    部の高さ方向長さ(h),前記段差部の奥行き方向長さ
    (d)が、(H−h):(D−d)=1:0.5〜1:
    3で形成されていることを特徴とする請求項1乃至4の
    内いずれか1項に記載の土留ブロック。
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