JP2001220753A - 法面密着部材を用いた法面安定化構造およびその施工方法 - Google Patents

法面密着部材を用いた法面安定化構造およびその施工方法

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JP2001220753A
JP2001220753A JP2000029865A JP2000029865A JP2001220753A JP 2001220753 A JP2001220753 A JP 2001220753A JP 2000029865 A JP2000029865 A JP 2000029865A JP 2000029865 A JP2000029865 A JP 2000029865A JP 2001220753 A JP2001220753 A JP 2001220753A
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air mortar
pressure receiving
anchor
ground
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Junichi Takio
順一 瀧尾
Tomoyasu Watanabe
知保 渡辺
Hiroshi Abe
大志 安部
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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  • Piles And Underground Anchors (AREA)
  • Pit Excavations, Shoring, Fill Or Stabilisation Of Slopes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 アンカーによって定着する受圧体と地山法面
との間隙を埋める法面安定化工法において、施工工程が
長くなったり、施工が法面環境の影響を受けたり、間隙
の充填が不充分であったりした従来工法での問題点を解
決し、施工工程を簡易化し、適正に法面を安定化できる
法面安定化構造およびその施工方法を提供する。 【解決手段】 法面安定化構造において、受圧体の接地
面側に法面密着部材としてエアモルタル層を配し、該エ
アモルタル層の原料を水、固化材、砕石粉または/およ
び石灰石粉、ならびに発泡剤または起泡剤とし、さら
に、その固化後の気孔体積率を10〜60%、好ましく
は30〜50%として、前記受圧体を地山法面に設置
し、アンカーに緊張力を導入することで前記エアモルタ
ル層を圧縮して塑性変形させ、前記受圧体の接地面と地
山法面との間隙を埋める法面安定化工法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、土砂崩れ防止等の
地盤安定化手段として、アンカーを介して地山法面に受
圧体を定着させることにより構成される法面安定化構造
に関する。
【0002】
【従来の技術】アンカー工法は、プレキャストコンクリ
ート製等の受圧体により地山に挿入されたグランドアン
カーを緊張させ、法面を安定させる工法である。しか
し、地山法面には通常不陸があり、受圧体と地山との間
には間隙が生じることが多い。このような場合、受圧体
と地山との間に所定の接地面積が確保できなくなるため
受圧体の地山との接地部分に応力集中が生じ、この結
果、アンカーに所定の緊張力を導入できなかったり、あ
るいは、受圧体自体に亀裂、破損等の障害が発生するこ
とがあった。さらに、間隙への雨水等の浸入による間隙
の拡大により、これらの傾向が一層助長されることもあ
った。
【0003】これらの問題の対策として、従来、以下の
ような工法が提案されている。 地山に予めモルタル等を打設して均し、不陸を平坦
にする不陸調整工法。 コンクリートブロック設置またはアンカー定着後、
コンクリートブロック底面と地山面との間隙部分に硬化
材を充填孔より注入して、コンクリートブロックと地山
面とを密着させる工法。(特開平7−138960号公
報) 地山面に流体注入袋体を設置し、コンクリートブロ
ック設置後、この流体注入袋体にセメントミルク、モル
タル等を注入して硬化させ、コンクリートブロックと地
山面とを密着させる工法。(特開平7−166555号
公報) コンクリートブロック底面に易変形性の弾性体を設
置し、アンカーで押圧することでコンクリートブロック
と地山面とを密着させる工法。(特開平8−15837
4号公報) コンクリートブロック接地面に凹凸を設けること、
または/および低強度モルタルを設けることによりコン
クリートブロックを安定させる工法、さらに加えて、モ
ルタル保持のために金網類やシート類を設置したり、硬
化補助剤としてモルタル内に樹脂類を配する工法。(特
開平9−137455号公報)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述のような
従来工法には、以下のような問題点がある。まず、上記
の工法では、準備工やモルタル硬化に時間を要するた
め、法面上での作業工程が長くなるとともに、施工が法
面環境の影響を受けやすいという問題がある。
【0005】また、上記およびの工法では、上記
の工法と同様に法面上での作業工程が長くなるととも
に、間隙を完全には埋めることができないという施工品
質の問題がある。
【0006】また、上記の工法では、弾性体の経時的
な劣化という材料品質の問題がある。
【0007】また、上記の工法では、次のような問題
点がある。すなわち、通常のモルタルはセメント量によ
って強度設定を行うが、設定可能な強度の最低値は一軸
圧縮強度で50〜60kgf/cm2程度であり、一般的なまたは
アンカー工法の施工が必要な地山の強度と比較して大き
すぎる。したがって、アンカーの緊張により地山との間
隙を充分に埋めることが難しく、また、地山の不陸によ
る応力集中によりモルタル部分自体が破壊し、緩衝材と
しての機能を果たしにくい。
【0008】本発明は、上記のような従来工法の問題点
を解決するためになされたものであり、その目的は、受
圧体を地山法面との間で間隙を生じることなく安定的に
定着させることができ、しかも施工が簡単でかつ法面環
境による影響が少ない法面安定化構造およびその施工方
法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本願の請求項1〜4に係る発明の特徴は以下の通りで
ある。 (1)受圧体を、地山法面に設置されたアンカーに装着
するとともに、該アンカーに緊張力を導入して地山法面
に定着させてなる法面安定化構造において、受圧体の接
地面側に法面密着部材としてエアモルタル層を有し、該
エアモルタル層が、アンカーへの緊張力の導入により圧
縮され、受圧体と地山法面との間に充填されたエアモル
タルからなることを特徴とする法面密着部材を用いた法
面安定化構造。 (2)前記エアモルタル層が、水、固化材、砕石粉また
は/および石灰石粉、ならびに発泡剤を混練して得られ
たエアモルタルを固化させたものであることを特徴とす
る前項(1)に記載の法面密着部材を用いた法面安定化
構造。 (3)前記エアモルタルの固化後、アンカーへの緊張力
導入前の気孔体積率が10〜60%であることを特徴と
する前項(1)または(2)に記載の法面密着部材を用
いた法面安定化構造。 (4)受圧体を、その接地面側にエアモルタル層を配し
て地山法面に設置されたアンカーに装着し、該アンカー
に緊張力を導入することで前記エアモルタル層を圧縮し
て塑性変形させ、前記受圧体の接地面と地山法面との間
にエアモルタルが充填された構造を得ることを特徴とす
る法面密着部材を用いた法面安定化構造の施工方法。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施形態を示
す。図1は、本発明による法面安定化構造の一実施形態
を示すものである。この実施形態の法面安定化構造は、
地山法面に設置されたアンカー1と、このアンカー1に
装着される受圧体2と、この受圧体2と地山法面との間
に配されたエアモルタル層3と、前記アンカー1に装着
されるアンカー緊張力導入部材4とから構成される。
【0011】前記アンカー1は、地山法面の地盤に定着
されるもので、グランドアンカー等、各種のアンカーが
適用可能である。アンカー1の定着方法については特に
限定するものではなく、公知の工法によることができ
る。本実施形態では、アンカー1は地山法面の地盤に植
設された棒鋼により構成され、この棒鋼の先端部側には
前記アンカー緊張力導入部材4を取り付けるための雄ネ
ジ部10が形成されている。
【0012】前記受圧体2は、その中央の貫通孔20を
介して前記アンカー1に装着される。この受圧体2の構
成材料としては、プレキャストプレストレストコンクリ
ート等のコンクリート製、鋼製、コンクリートと鋼の複
合体、およびその他の材料によるもののいずれでもよ
い。
【0013】図2は、前記受圧体2の平面形状の数例を
示している。すなわち、平面形状としては、図2の
(a)〜(c)に示すような円形または多角形状等の盤
状形状、図2の(d)に示すような放射状に延びる複数
の腕をもつ形状、図2の(e)〜(g)に示すような前
記盤状形状と前記放射状形状の複合形状、および平板上
にリブ等の補強材を有する形状等、任意の形態が適用で
きる。
【0014】前記アンカー緊張力導入部材4は、前記ア
ンカー1に締結された状態で受圧体2に圧接させること
によりアンカー1に緊張力を導入するもので、本実施形
態ではアンカー1に装着するための雌ネジ部40が貫設
されたナット状部材から構成されている。このアンカー
緊張力導入部材4は、その雌ネジ部40を介してアンカ
ー1の雄ネジ部10に締結され、受圧体2に圧接され
る。これによりアンカー1に緊張力を付与する。
【0015】前記エアモルタル層3は、受圧体2と地山
法面との間にあって、法面密着部材として機能するもの
で、受圧体2の接地面側に予め一体的に設けたものでも
よいし、独立したブロック体としてアンカー1に装着さ
れるものでもよい。これらの場合には、エアモルタル層
3にアンカー挿入用の貫通孔30が形成される。また、
エアモルタル層3は、地山法面に現場打ちされたもので
もよい。このエアモルタル層3は、前記アンカー緊張力
導入部材4によるアンカー1への緊張力の導入により圧
縮されて塑性変形し、法面密着部材として受圧体2と地
山法面との間に間隙を生じることなく充填される。
【0016】このエアモルタル層3が法面密着部材とし
て機能する理由および好ましい条件について以下に述べ
る。すなわち、気泡を含むエアモルタルは、通常のモル
タルと比較して強度特性が構造的に弱い。このため、受
圧体2の接地面側と地山法面との間に配されたエアモル
タル層3は、アンカー1への緊張力の導入によって圧縮
され、塑性変形することにより受圧体2と地山法面との
間に間隙(特に、地山法面の不陸による間隙)を生じる
ことなく充填された状態となる。
【0017】エアモルタルは、含有する気泡量を調整す
ることにより、アンカー1への緊張力の導入により破壊
(圧潰)されるような所望の低強度を得ることが可能で
ある。エアモルタルの強度が大きすぎる場合には、アン
カーの緊張力のみではエアモルタルの破壊が生じないた
め、受圧体2と地山法面との間隙を埋めることができ
ず、受圧体2を安定させることができない。また、エア
モルタルの強度が小さすぎる場合には、アンカー1に導
入される緊張力の伝達が不能となり、受圧体2が、当接
した地山の凸部のみで前記緊張力を負担してしまうた
め、局部的な応力集中を受ける可能性がある。したがっ
て、地山強度に合わせた適正な強度のエアモルタルを使
用する必要がある。このエアモルタルを受圧体2の接地
面側に配すると、アンカー1に導入された緊張力によっ
てエアモルタルは気泡が潰されながら破壊され塑性変形
を生じる。この時、エアモルタルの破壊は、当初から接
している地山凸部近傍から始まり、徐々に凹部へと拡大
し、アンカー1に導入された緊張力とエアモルタルを介
して伝わる地山からの反力とが釣り合うまで進行する。
破壊終了時には、受圧体2と地山法面との間隙はエアモ
ルタルによって埋められる。この作用により、受圧体2
は均等分布荷重を受け、安定性が向上する。また、エア
モルタルの使用により、受圧体2の重量増加を最小限に
押さえることができ、通常のモルタルを使用した場合と
比較し、施工性が向上する。
【0018】さらに、エアモルタルの原料として砕石粉
または/および石灰石粉を用いたエアモルタルは、通常
の砂を用いたエアモルタルと区別してミクロサンドエア
モルタルと呼ばれるが、このミクロサンドエアモルタル
を使用することにより、一般的なモルタルおよび通常の
エアモルタルと比較して次のような効果が得られる。す
なわち、砕石粉および石灰石粉は粒度が細かくセメント
とほぼ等しいため、セメントおよび水と混合した場合
に、砂の場合と比較してより均質でかつ粘性の高いモル
タルを製造することができる。この特性により、気孔体
積率(エアモルタル全量に対する混合可能な気泡の固化
後の体積率)を、通常の砂を用いた場合は最大30%程
度であるのに対し、最大60%程度とすることができ
る。エアモルタル中の気泡量の増加はさらなる低強度化
および軽量化を可能とする。また、気孔体積率が30%
程度以上になると、エアモルタルは荷重強さと変形量と
の関係において、破壊強度までは弾性変形で、気泡が潰
れ始めた破壊時以降は変形の進行に関わらず破壊強度を
維持し続けるいわゆる完全弾塑性的な挙動を示す。ま
た、この場合のエアモルタルのポアソン比はほぼ0とな
る。これらの特性は、エアモルタルの緩衝材およびアン
カー緊張力伝達材としての機能に以下のような効果をも
たらす。すなわち、アンカー1の緊張力は、入力当初は
受圧体2と地山凸部との間で局部的に伝達されるが、破
壊の進行にともなってその伝達面積が拡大していく。こ
の場合、破壊されたエアモルタルが伝達し得るアンカー
緊張力は、破壊の進行つまり圧縮変位の増加に関わらず
破壊強度を維持しているため、アンカー緊張力はエアモ
ルタルを介して均等に地山に伝達される。
【0019】なお、ミクロサンドエアモルタルにおける
圧潰前の気孔体積率は、10〜60%、望ましくは30
〜50%の範囲とすることが好ましい。また、エアモル
タルの透水係数は気泡量に関わらずk=1×10-5cm/secの
オーダーであり、気泡中に水が浸入することはない。
【0020】図3は、モルタル、低強度モルタル、エア
モルタルおよびミクロサンドエアモルタルの各材料特性
の対比を示すため、それらの荷重強さと変位との関係を
定性的に表わしたグラフである。
【0021】同図に示されるように、通常のモルタル
は、強度が高く、ヤング率も大きいが、破壊後は塑性領
域がほとんどない脆性材料である。
【0022】また、通常の低強度モルタルは、通常のモ
ルタルに比べて強度が低いが、破壊特性は同様であり、
破壊後は塑性領域がほとんどない脆性材料である。
【0023】これに対して、エアモルタルは、通常の低
強度モルタルに比べてさらに強度が低く、かつ、空隙が
徐々に潰れるような破壊性状を示し、塑性領域をもつ材
料である。
【0024】また、ミクロサンドエアモルタルは、基本
特性はエアモルタルと同様だが、気孔体積率を増加でき
るため一層の低強度化が可能で、塑性領域も広くなり、
完全弾塑性体的な特性をもつ材料である。
【0025】図4〜図6は、それぞれ本発明の施工方法
の実施形態を示すものである。なお、アンカー1とアン
カー緊張力導入部材4とは、図1の実施形態と同様の構
成を有している。
【0026】図4に示す施工形態では、エアモルタルブ
ロック3aを予め受圧体2の接地面側に一体的に成形、
固着させ、この一体化した受圧体2とエアモルタルブロ
ック3aをアンカー1に装着する。
【0027】本実施形態のように、予め受圧体2とエア
モルタルブロック3aとが一体化されている場合には、
受圧体2およびエアモルタルブロック3aの中央部に設
けられた貫通孔20および30にアンカー1を挿通さ
せ、地山法面に設置する。次いで、アンカー緊張力導入
部材4をアンカー1に締結してアンカー1に緊張力を導
入すると、その圧力によりエアモルタルブロック3aは
圧潰され、地山法面と受圧体2との間に間隙を生じるこ
となく充填されるエアモルタル層3が形成される。この
作用により、アンカー緊張力は受圧体2の地山接地面で
ほぼ一様となり、受圧体2は地山に安定的に定着され
る。
【0028】前記エアモルタルブロック3aは予め工場
等で製造するが、その製造方法は特に限定されるもので
はなく、強度特性、変形特性、気孔体積率等の所望の性
能を満足できる方法であれば如何なる製造方法によって
も構わない。また、ブロック内に所望の気孔を形成する
には、発泡剤または起泡剤を用いて製造すれば容易であ
る。エアモルタルの成形方法および受圧体2への取付け
方法は、受圧体2の接地面側にエアモルタルを流し込み
固化させる方法や、エアモルタルを別途固化成形後、受
圧体2に取付ける方法などがある。受圧体2の接地面上
に流し込む方法では、予め受圧体2側に型枠を設置して
おくとエアモルタルの流出を防止することができる。ま
た、この型枠を設置したまま工事現場まで輸送すること
により、輸送中のエアモルタルブロック3aの破損防止
にも有効となる。一方、エアモルタルを別途固化成形す
る方法では、成形後、工場等において受圧体2に固着し
ても、また、工事現場において受圧体2に固着してもよ
い。取付け方法は、接着剤による方法、ボルト等の取付
け冶具による方法等任意である。つまり、エアモルタル
ブロック3aと受圧体2との固定は、輸送時および施工
時における利便性からの両者の一体化が主目的であっ
て、エアモルタルブロック3aと受圧体2との固定度が
アンカー1の緊張時における受圧体2の設置安定性に影
響することはない。このことより、後述の図5に示すよ
うな、エアモルタルブロック3aと受圧体2とを予め一
体化せず、工事現場において地山にエアモルタルブロッ
ク3aを設置後、受圧体2をエアモルタルブロック3a
の上に設置するという施工形態も可能となる。
【0029】図5に示す施工形態では、受圧体2とエア
モルタルブロック3aとは一体化されておらず別々に製
造、成形されており、それぞれの中央部にはアンカー1
装着用の貫通孔20、30が設けられている。地山法面
に植設されたアンカー1に対して、まずエアモルタルブ
ロック3aを、その貫通孔30を介して装着し、続いて
受圧体2を、その貫通孔20を介して装着して、エアモ
ルタルブロック3aの上に設置する。次いで、アンカー
緊張力導入部材4をアンカー1に締結してアンカー1に
緊張力を導入すると、前述の一体化された場合と同様の
作用により、エアモルタルブロック3aが圧潰され、受
圧体2はエアモルタル層3を介して地山法面に安定させ
られる。
【0030】図6に示す施工形態では、エアモルタルを
工事現場において現場打ちし、これを固化させた後、受
圧体2を設置する。別途製造、成形された受圧体2を、
その貫通孔20を介してアンカー1に装着して現場打ち
エアモルタル3b上に設置した後、アンカー緊張力導入
部材4をアンカー1に締結し、上記と同様にして地山法
面に定着させる。現場打ちエアモルタル3bとアンカー
1との地山への設置順序はどちらを先行させても本発明
による工法の性能には影響なく、したがって、工事ごと
に状況に合わせて決定することができる。現場打ちエア
モルタル3bの打設完了から受圧体2の設置までの養生
期間は、一般的には7日程度であるが、気温、湿度等の
気象条件により多少異なる。また、セメントに早強セメ
ント等を使用すること、急結剤等のセメントの固化反応
を促進させる混和剤等を使用することにより、固化時間
を短縮することも可能である。
【0031】現場打ちエアモルタル3bの製造、打設方
法としては、例えば工事現場においてエアモルタルを製
造し、このエアモルタルを配管で圧送し、地山表面の所
定位置に打設する。この時、エアモルタル中の細骨材と
して通常の砂に替えて砕石粉または石灰石粉を用いる
と、エアモルタルの流動性および粘性を高めることがで
きる。したがって、配管による圧送可能距離を数百メー
トルにまで延長することができ、また、法面に打設する
際に型枠の不要化も可能となり、施工効率および歩留り
の向上が期待できる。さらに、前述のエアモルタルの低
強度および変形特性により、図6に示すような、不陸の
ある現場打ちエアモルタル3bの打設表面上に受圧体2
を設置した場合でも、アンカー1の緊張力導入により受
圧体2を安定させることが可能であるため、現場打ちエ
アモルタル3bの打設表面の仕上げ、均し作業は不要で
あり、施工能率を向上させることができる。
【0032】図4のように受圧体2とエアモルタルブロ
ック3aとを予め一体化するか、図5のようにエアモル
タルブロック3aを別途製造、成形するか、または図6
のように現場打ちエアモルタル3bを工事現場において
製造、打設するかの選択は、工事現場の立地条件、製造
工場の条件、工程、予算等、工事の諸条件により決定す
ることができる。
【0033】以上に述べたように、本発明に係る法面密
着部材を用いた法面安定化構造およびその施工方法に関
する技術は、受圧体2の地山接地面側にエアモルタル層
3を形成することにより、法面における施工を簡易に
し、かつ、地山面に凹凸があっても適正に受圧体2を安
定させることができるものであり、したがって、受圧体
2の構成材料および形状、アンカー1の種類、アンカー
1の地山への固定方法、アンカー1の受圧体2への取付
け方法、アンカー1への緊張力の導入方法等については
特に限定するものではなく、任意の形態が適用できる。
【0034】
【発明の効果】以上に述べた本発明によれば、受圧体の
接地面と地山法面との間にエアモルタル層を設けたた
め、地山法面に不陸がある場合でも受圧体を地山法面に
安定して定着させることができ、しかも施工が簡単でか
つ法面環境に影響されることなく施工することができ
る。このため、 アンカーの緊張力を均等に地山に伝達することが可
能になり、応力集中による受圧体の損傷を防止できる。 エアモルタル層が受圧体と地山との間隙を充分に埋
めることにより、地山の洗掘を防止できる。また、その
他に従来工法と比較して次のような利点がある。 軽量なエアモルタルを使用するため、一般的なモル
タル等と比較し、施工性が向上する。特に、請求項2お
よび3に係る発明によれば、次のような効果が得られ
る。 エアモルタル中の気泡量を増加させることができる
ため、更なる軽量化が可能となり、施工性が更に向上す
る。 完全弾塑性体的性質が付加され、アンカー緊張力の
地山への均等伝達特性が向上するため、受圧体の更なる
安定化を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る法面安定化構造の側
面図である。
【図2】本発明で用いる受圧体の平面形状の態様を示す
説明図である。
【図3】モルタル、低強度モルタル、エアモルタルおよ
びミクロサンドエアモルタルの荷重強さと変位との関係
を示すグラフである。
【図4】本発明の施工方法の一実施形態を示す説明図で
ある。
【図5】本発明の施工方法の他の実施形態を示す説明図
である。
【図6】本発明の施工方法の他の実施形態を示す説明図
である。
【符号の説明】
1 アンカー 10 雄ネジ部 2 受圧体 20 貫通孔 3 エアモルタル層 30 貫通孔 3a エアモルタルブロック 3b 現場打ちエアモルタル 4 アンカー緊張力導入部材 40 雌ネジ部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安部 大志 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 2D041 GC11 2D044 DB51 EA01

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 受圧体を、地山法面に設置されたアンカ
    ーに装着するとともに、該アンカーに緊張力を導入して
    地山法面に定着させてなる法面安定化構造において、受
    圧体の接地面側に法面密着部材としてエアモルタル層を
    有し、該エアモルタル層が、アンカーへの緊張力の導入
    により圧縮され、受圧体と地山法面との間に充填された
    エアモルタルからなることを特徴とする法面密着部材を
    用いた法面安定化構造。
  2. 【請求項2】 前記エアモルタル層が、水、固化材、砕
    石粉または/および石灰石粉、ならびに発泡剤または起
    泡剤を混練して得られたエアモルタルを固化させたもの
    であることを特徴とする請求項1に記載の法面密着部材
    を用いた法面安定化構造。
  3. 【請求項3】 前記エアモルタルの固化後、アンカーへ
    の緊張力導入前の気孔体積率が10〜60%であること
    を特徴とする請求項1または2に記載の法面密着部材を
    用いた法面安定化構造。
  4. 【請求項4】 受圧体を、その接地面側にエアモルタル
    層を配して地山法面に設置されたアンカーに装着し、該
    アンカーに緊張力を導入することで前記エアモルタル層
    を圧縮して塑性変形させ、前記受圧体の接地面と地山法
    面との間にエアモルタルが充填された構造を得ることを
    特徴とする法面密着部材を用いた法面安定化構造の施工
    方法。
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