JP2001220472A - 低線膨脹ポリオレフィン系複合樹脂組成物、および自動車外装材用部品。 - Google Patents

低線膨脹ポリオレフィン系複合樹脂組成物、および自動車外装材用部品。

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JP2001220472A JP2000399622A JP2000399622A JP2001220472A JP 2001220472 A JP2001220472 A JP 2001220472A JP 2000399622 A JP2000399622 A JP 2000399622A JP 2000399622 A JP2000399622 A JP 2000399622A JP 2001220472 A JP2001220472 A JP 2001220472A
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キ ヨン ジョン
Yon Sobu Yu
ヨン ソブ ユ
Sung-Kun Jang
ソン グン ジャン
Sung-Hoon Kim
ソン フン キム
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Abstract

(57)【要約】 機械的剛性、耐衝撃性、耐熱性、射出成型性及び製品の
平滑性が優れているだけでなく、収縮率、線膨脹係数及
び熱による沈下現象が少なくて寸法安定性に優れた低線
膨脹ポリオレフィン系複合樹脂組成物を提供し、さらに
該低線膨脹ポリオレフィン系複合樹脂組成物を用いて、
自動車の外装材用部品を提供する。 【解決手段】 低線膨脹ポリオレフィン系複合樹脂組成
は、a)結晶性エチレン−プロピレン共重合体を組成物
の総量に対して40〜80重量%;b)エチレン−α−
オレフィン共重合体を組成物の総量に対して5〜40重
量%;c)カルシウム−メタ−シリケート系のウラスト
ナイトを組成物の総量に対して5〜30重量%;及び
d)無機質補強材を組成物の総量に対して5〜30重量
%;を含むことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は低線膨脹ポリオレフ
ィン系複合樹脂組成物に係わり、より詳しくは、機械的
剛性、耐衝撃性、耐熱性、射出成型性及び製品の平滑性
が優れているばかりでなく、収縮率、線膨脹係数及び熱
による沈下現象(Heat Sag)が少なく、寸法安
定性に優れた低線膨脹ポリオレフィン系複合樹脂組成物
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂、特にポリオレフィン系樹
脂であるポリエチレンとポリプロピレンは、比重が低
く、機械的物性や加工性などが優れ、さらに他の樹脂に
比べて価格が低いこともあって、汎用プラスチック製
品、自動車、電子、航空産業など、工業的に広く用いら
れる。しかしながら、ポリオレフィン系樹脂は、それ自
体物性に限界があるため、特殊な機能が要求される分野
には適用が難しく、特に、ポリプロピレン樹脂はガラス
転移温度が0℃で、常温及び低温での衝撃強度が弱いと
いう欠点を有し、工業的に適用するのに多くの制限があ
る。
【0003】前記の欠点を克服するために、異種の樹脂
をブレンドしたり鉱物を充填したりして新たな機能が付
与されたポリオレフィン系複合樹脂が開発され、従来の
ポリオレフィン系樹脂だけでは適用が難しかった分野に
多様に適用されている。
【0004】前記適用例においては、ポリオレフィン系
樹脂の一種であるポリプロピレンを母材とし、ここに衝
撃補強材としてエチレン−α−オレフィン共重合体、エ
ラストマーなどを添加したり、または剛性補強材として
無機充填材を添加することで必要な物性を発現させたポ
リオレフィン系樹脂組成物が、自動車部品、電子部品な
どに広く用いられており、前記ポリプロピレン樹脂の種
類と各種衝撃補強材と剛性補強材との種類及び含有量を
変化させて様々な物理的特性及び熱的特性を向上させた
組成物が多数提案されて部分的に実用化されている。
【0005】一般に複合樹脂は、ニーダー(混練機)ま
たはエクストルーダー(射出成型機)を使用し、高分子
を母材としてここに充填材または補強材を溶融混練し
て、高分子自体では具現できない新たな機能を付与した
素材である。前記複合樹脂の応用分野の用途及び特性に
応じて、樹脂、充填材または補強材の種類、性状、大き
さ及び含有量を選定しなければならず、特に、樹脂の加
工条件の変化によって樹脂の物性が大きく影響を受ける
ため、樹脂自体の加工性などをそのまま維持して充填材
により特定の物性を向上させることができるように、樹
脂の成型加工機及びその加工条件を適切に選定されなけ
ればならない。
【0006】また、樹脂の加工時に、エクストルーダー
内の高温及び高圧の雰囲気下で樹脂が変質及び劣化して
物性が低下する現象を防止したり、または成型後に特定
の性状を発現させるために添加される熱安定剤、酸化防
止剤などの添加剤の種類、含有量なども複合樹脂の特性
を決定する重要な因子である。前記高分子母材、充填
材、添加剤など互いに異なる物性の材料の間には成分間
の界面が存在するが、この界面では界面接着力の程度に
よって複合樹脂の物性が大きく影響を受けるため、この
ような点を考慮して材料、成型加工機及び加工条件を選
定しなければならない。
【0007】従来、自動車の内�外装部品及び電子部
品の製造に主に用いられる樹脂としては、アクリロニト
リル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリカーボネー
ト/アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体
の混合体、ポリカーボネート/ポリブチレンテレフタレ
ート混合体、ポリアミド、ポリウレタンなどがあるが、
前記樹脂の中でポリアミドを除いた他の樹脂は自動車の
軽量化、原価節減、リサイクルなどの面でポリオレフィ
ン系複合樹脂で代替することが可能であるが、ポリアミ
ドは、機械的物性及び熱的性質において問題があるため
ポリオレフィン系複合樹脂で代替することができないこ
とが多い。
【0008】前記記述された樹脂をポリオレフィン系複
合樹脂で代替するためにポリオレフィン系複合樹脂は、
機械的剛性、耐衝撃性、耐熱性、寸法安定性、耐スクラ
ッチ性などが優れていなければならない。しかし、自動
車の軽量化及び部品の軽量化に伴って部品の厚さも薄く
なるので、代替されるポリオレフィン系複合樹脂は成型
性が優れていなければならず、製造費用及び生産性向上
の側面から見て成型時間も短くなければならない。ま
た、部品の塗装性及び成型後の外観も優れていなければ
ならないので、現在、種々の要求物性を満たすポリオレ
フィン系複合樹脂組成物に、多くの研究が進められてい
る。
【0009】自動車部品用、特にバンパフェーシャ(B
umper Fascia)、ドアガーニッシュ(Do
or Garnish)、インストルメントパネル(I
nstrument Panel)など大型部品の成型
に用いられるポリオレフィン系複合樹脂組成物につい
て、低収縮及び低線膨脹係数を有する材料の開発が大き
な比重を占めている。自動車部品用材料に要求される性
質としては、剛性、引張強度、伸び率、密度、熱変形温
度、線膨脹係数などがあるが、この中で最も重要な性質
は材料の剛性であり、これは屈曲弾性率及び表面硬度で
表示される。バンパフェーシャ、インストルメントパネ
ルなどは比較的厚さが薄く、広い表面積を有しているた
め、材料が充分な剛性を有していないと成型品が歪んだ
り沈下することがある。最近は車両の軽量化及び材料の
節減という側面から成型品の厚さが次第に薄くなる傾向
にあるので、そのために屈曲弾性率のさらに高い材料の
開発が要求されている。また、屈曲弾性率の向上と共
に、車体への組立の容易さ、及び成型品の寸法安定性の
故に線膨脹係数または熱沈下現象(Heat Sag)
の少ない材料が要求されている。
【0010】一般にプラスチックは、鋼鉄に比べて線膨
脹係数が4〜8倍大きいため、車体の組立後に気候また
は気温の変化によって成型品が歪んだり沈下する現象が
発生する。このような現象を減少させるために、基本樹
脂であるポリプロピレン、ゴムなどに、適切な無機充填
材を含有する複合製品が開発されたが、無機充填材の添
加によって、製品の線膨脹係数が減少し、屈曲弾性率は
向上するが、低温での製品の衝撃強度が低くなるという
問題があり、添加する無機充填材の種類及び添加量を調
節して各物性を調和するようにすることが必要である。
また、製品の成型用金型の設計の容易さ、塗装時の寸法
安定性、成型後の変形が少なければならないなどの条件
を満たすためには、収縮率の小さい材料の開発が要求さ
れている。
【0011】自動車部品の成型に用いられるポリオレフ
ィン系複合樹脂組成物は、結晶性ポリプロピレン樹脂を
主成分とするものが知られている。このとき、結晶性ポ
リプロピレン樹脂として、エチレン−プロピレンゴムの
含有量が7〜12重量%であり、溶融指数が20〜45
g/10分であるエチレン−プロピレン共重合体(プロ
ピレンの含有量が92〜95重量%であり、エチレンの
含有量は5〜8重量%である)を使用されている。ま
た、結晶性ポリプロピレン樹脂の耐衝撃性を向上させる
ためには、α−オレフィンを25〜45重量%含むエチ
レン−プロピレン共重合体、またはエチレン−オクテン
共重合体などのエチレン−α−オレフィン系ゴムを添加
し、さらに剛性を高めるためには、平均粒子径が2〜4
μmであるタルク微粉体を添加してニーダーまたはエク
ストルーダーを使用して機械的に溶融混練する。この場
合、ポリプロピレン系複合樹脂組成物の衝撃強度及び剛
性を向上させるために、一般に高価なオレフィン系ゴム
が多量に使用され、タルクも多量に使用されるという問
題があった。
【0012】ヨーロッパ特許公開第557,124号公
報には、成型性を向上させるために高い溶融指数を有す
る高結晶性エチレン−プロピレン共重合体を55〜75
重量%、約30〜100℃の溶融温度を有する結晶性エ
チレン共重合体を25〜45重量%、平均粒子径が5μ
m以下であるタルク微粉体を1〜25重量%を含む超高
硬質組成物について開示されている。この場合、剛性を
向上させるために高結晶性のポリプロピレンを使用する
ので組成物の製造費用が増えることから、自動車用品に
適用するのは難しいという問題がある。また、剛性を過
度に増加させるため、相対的に低温衝撃強度が低くな
り、組成物の結晶性が増加して塗装性が低下する問題が
発生する。これと関連して、米国特許第5,311,5
42号公報、ヨーロッパ特許公開第596,621号公
報、ヨーロッパ特許公告第496,625号公報が開示
されている。
【0013】また、特開平99−33557号公報、特
開平99−33558号公報、特開平99−39953
号公報などには自動車部品用ポリオレフィン系複合樹脂
組成物が開示されているが、ここでは単に単一無機質補
強材のみを使用して複合樹脂組成物を製造しているた
め、自動車用部品で要求する物性を満たすには限界があ
る。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、機械
的剛性、耐衝撃性、耐熱性、射出成型性及び製品の平滑
性が優れているだけでなく、収縮率、線膨脹係数及び熱
による沈下現象が少なくて寸法安定性に優れた低線膨脹
ポリオレフィン系複合樹脂組成物を提供することにあ
る。
【0015】本願発明の他の目的は、従来のバンパーフ
ェーシャなどの自動車の外装部品の成型に広く用いられ
ているポリカーボネート/ポリブチレンテレフタレート
混合物に代替することができる低線膨脹ポリオレフィン
系複合樹脂組成物を用いて、自動車の外装材用部品を提
供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に本発明は、低線膨脹ポリオレフィン系複合樹脂組成物
であり、a)結晶性エチレン−プロピレン共重合体を組
成物の総量に対して40〜80重量%;b)エチレン−
α−オレフィン共重合体を組成物の総量に対して5〜4
0重量%;c)カルシウム−メタ−シリケート系のウラ
ストナイトを組成物の総量に対して5〜30重量%;及
びd)無機質補強材を組成物の総量に対して5〜30重
量%;を含むことを特徴とする。
【0017】さらに、前記低線膨脹ポリオレフィン系複
合樹脂組成物を用いて製造したことを特徴とする自動車
外装材用部品である。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに詳細に説明
する。
【0019】本発明の低線膨脹ポリオレフィン系複合樹
脂組成物は、優れた耐衝撃性、剛性、耐熱性などの基本
物性を有しながら射出成型性を改善することで、成型品
の厚さを薄くして車両の軽量化を達成することができ、
射出した製品の表面平滑性が優れていて射出成型後の成
型品の外観が良く、特に、成型収縮率及び線膨脹係数を
低くして成型品と車体との組立性及び成型品自体の寸法
安定性を向上させ、塗装及び成型後の変形を最少化し、
製品の成型のための金型の設計の容易さを最大化させる
ことができる。本発明では、従来のポリオレフィン系複
合樹脂組成物が単一の充填材を使用したのとは異なり、
異種の充填材を複合させてこれらの各充填材が有するそ
れぞれの特性を最大限発現させることができる。
【0020】まず、本発明の低線膨脹ポリオレフィン系
複合樹脂組成物を構成する各成分に対してさらに詳細に
説明する。
【0021】(1)結晶性エチレン−プロピレン共重合
【0022】一般に、結晶性エチレン−プロピレン共重
合体は、チーグラー−ナッタ(Ziegler−Nat
ta)型触媒と呼ばれる三塩化チタン及びアルキルアル
ミニウム化合物の組み合わせ触媒、チタン化合物、マグ
ネシウム化合物などの触媒下に単量体を重合させて製造
される。本発明では、エチレン1〜50重量%及びプロ
ピレン50〜99重量%を前記触媒下で重合させて製造
される結晶性エチレン−プロピレン共重合体を1種以上
使用するが、前記重合した結晶性エチレン−プロピレン
共重合体はエチレン−プロピレンゴムを0.5〜35重
量%含む。本発明の結晶性エチレン−プロピレン共重合
体は、ポリプロピレンの融点が165℃であり、ポリエ
チレンの融点が120℃であり、結晶化度が20〜30
%である樹脂である。ポリエチレンとポリプロピレンの
融点は示差走査熱量計(Differential S
canning Calorimeter)を使用して
測定することができる。結晶性エチレン−プロピレン共
重合体の重量平均分子量は190,000〜265,0
00であり、数平均分子量は37,000〜50,00
0であり、重量平均及び数平均分子量はゲルパーミエー
ションクロマトグラフィ(Gel Permeatio
n Chromatography)を使用して測定す
ることができる。結晶性エチレン−プロピレン共重合体
の溶融指数は5〜60g/10分(210℃、2.16
kg)であるものが好ましく、溶融指数が5g/10分
未満であると複合樹脂組成物の成型性が減少し、溶融指
数が60g/10分を超えると複合樹脂組成物の耐衝撃
性が減少する。
【0023】本発明の結晶性エチレン−プロピレン共重
合体は、共重合体の重合工程において、反応器内にエチ
レンを過量注入して反応器内に多量のエチレン−プロピ
レンゴムを直接製造することによって、結晶性のポリプ
ロピレンマトリックス(matrix)に前記エチレン
−プロピレンゴムが均一な大きさの粒子状態で分散さ
れ、生成されたエチレン−プロピレンゴムの中に過量に
存在するプロピレン成分がポリプロピレンマトリックス
との常用性が優れているので、界面接着力が増加して衝
撃強度が向上する。したがって、本発明の結晶性エチレ
ン−プロピレン共重合体樹脂を使用した複合樹脂組成物
は、一般的な他の複合樹脂組成物とは異なり、耐衝撃性
の補強のために付加的に添加されるエチレン−α−オレ
フィン共重合体ゴムの含有量を顕著に減少させることが
できるので、価格競争力の優れた耐衝撃性複合樹脂組成
物を製造することができるだけでなく、前記複合樹脂組
成物を利用した製品の製造時に製品のロット間の偏差を
減少させることができるので、均一な物性及び性能を有
する製品を製造することができる。
【0024】前記結晶性エチレン−プロピレン共重合体
の使用量は、組成物の総量に対して40〜80重量%を
使用することが好ましく、使用量が組成物の総量に対し
て80重量%を超過すると衝撃強度が減少し、使用量が
40重量%未満であると製品の成型性が低下する。
【0025】(2)エチレン−α−オレフィン共重合体
【0026】本発明のエチレン−α−オレフィン共重合
体は、主に衝撃強度を向上させるために用いられる。エ
チレン−α−オレフィン共重合体の重合に用いられるα
−オレフィンとしては、1−プロピレン、1−ブテン、
1−ヘキセン、1−オクテンなどがあるが、これらは用
途によって選択的に使用される。このうち、最も好まし
くは、1−プロピレンまたは1−オクテンである。本発
明のエチレン−α−オレフィン共重合体は主にチーグラ
ー−ナッタ型触媒を使用して重合させることができる
が、バナジウム系またはクロム系触媒を使用して重合さ
せることが最も好ましい。本発明では、α−オレフィン
の含有量が20〜50重量%であり溶融指数が0.1〜
15g/10分(230℃、2.16kg)であるエチ
レン−α−オレフィン共重合体を1種以上使用すること
が好ましく、最も好ましくは、エチレン−α−オレフィ
ン共重合体としてエチレン−プロピレン共重合体ゴムま
たはエチレン−オクテン共重合体ゴムを使用する。前記
エチレン−プロピレン共重合体ゴムは、プロピレンの含
有量が20〜50重量%であり、溶融指数が0.1〜5
g/10分(230℃、2.16kg)であり、ムーニ
ー粘度(MooneyViscosity)が19〜8
5ML1+4(100℃)であり、比重が0.86g/
cmであるものが使用され、前記エチレン−オクテン
共重合体ゴムは、オクテンの含有量が20〜50重量
%、好ましくは20〜30重量%であり、溶融指数が
0.1〜15g/10分(230℃、2.16kg)で
あり、ムーニー粘度が19〜50ML1+4(121
℃)であるものが使用される。
【0027】前記エチレン−α−オレフィン共重合体の
使用量は、組成物の総量に対して5〜40重量%を使用
することが好ましく、最も好ましくは、5〜20重量%
を使用するが、使用量が5重量%未満であると製品の衝
撃強度が低下し、使用量が40重量%を超過すると製品
の衝撃強度は強化されるが機械的強度が低下するので、
前記使用量を維持することが好ましい。
【0028】(3)無機質補強材
【0029】本発明の無機質補強材は製品の剛性を補強
して樹脂組成物に添加される。本発明の無機質補強材と
しては、カルシウム−メタ−シリケート系化合物である
ウラストナイトが用いられる。前記カルシウム−メタ−
シリケート系化合物としてウラストナイトが用いられる
場合、ウラストナイトのアスペクト比が10〜19であ
り、粒子の平均直径が3〜25μmである針相のものが
好ましい。前記カルシウム−メタ−シリケート系化合物
の使用量は、組成物の総量に対して5〜30重量%であ
ることが好ましく、使用量が5重量%未満であると製品
の剛性補強が十分に行われず、使用量が30重量%を超
過すると衝撃強度が低下するので、前記使用量を維持す
ることが好ましい。
【0030】(4)無機質補強材
【0031】本発明の無機質補強材は、充填材の使用に
よる製品の耐衝撃強度の低下を防止し、製品の剛性を補
強するために添加される。本発明の無機質補強材として
は、タルク、カルシウムカーボネート、雲母、ガラス繊
維、石綿、カオリンなどが用いられ、好ましくはタルク
を使用する。タルクが無機質補強材として用いられる場
合、アスペクト比が3〜20であり、粒子の平均の大き
さが2〜4μmである単片相のものを使用することが好
ましいが、用いられるタルクは、タルク原石をローラー
ミル、クラッシャーなどの粉砕機で粉砕した後に所望の
分級機を使用して分離させ、場合によっては表面を化学
処理して界面接着力を増加さたものである。
【0032】前記無機質補強材の使用量は、組成物の総
量に対して5〜30重量%であることが好ましく、使用
量が5重量%未満であると製品の剛性の補強が十分に行
われず、使用量が30重量%を超過すると剛性の補強は
十分であるが、成型性と衝撃強度とが低下するという問
題があるので、前記使用量を維持することが好ましい。
【0033】(5)添加剤
【0034】本発明の結晶性ポリオレフィン系複合樹脂
組成物は、用途によって適した添加剤をさらに含むこと
ができるが、本発明の添加剤としては、カップリング
剤、1次または2次酸化防止剤、紫外線安定剤、加工潤
滑剤及び帯電防止剤が複合樹脂組成物に必須で含まれ、
複合樹脂の用途によって耐熱安定剤、カーボンブラッ
ク、顔料などがさらに含まれ得る。前記カップリング剤
は、結晶性エチレン−プロピレン共重合体と無機質補強
材との接着強度を高めるために使用され、前記カップリ
ング剤としては、アミノシラン系、アミノチタン系など
が用いられ、好ましくは通常のアミノシラン系またはア
ミノチタン系を使用する。前記カップリング剤の使用量
は、好ましくは組成物の総量に対して0.05〜3重量
%である。
【0035】前記1次または2次酸化防止剤及び耐熱安
定剤は、本願発明のポリオレフィン系複合樹脂の加工中
に発生し得る熱的分解を防止するために用いられ、前記
1次酸化防止剤としては、通常のフェノール系化合物な
どが用いられ、好ましくはフェノール系酸化防止剤であ
る2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールを使
用し、その使用量は好ましくは組成物の総量に対して
0.05〜0.5重量%である。
【0036】前記2次酸化防止剤としては、通常のアミ
ン系化合物などが用いられ、好ましくはアミン系酸化防
止剤であるジフェニル−p−フェニレンジアミンを使用
し、その使用量は好ましくは組成物の総量に対して0.
05〜0.5重量%である。
【0037】前記耐熱安定剤としては、2,6−ジ−t
−ブチル−4−メチルフェノールなどの通常のフェノー
ル系化合物、ジフェニル−p−フェニレンジアミンなど
の通常のアミン系化合物などが用いられ、その使用量
は、好ましくは組成物の総量に対して0.05ないし
1.0である。
【0038】前記紫外線安定剤は、複合樹脂の耐候性向
上及び複合樹脂の屋外露出時の紫外線による劣化を防止
するために複合樹脂組成物に添加され、前記紫外線安定
剤としては、通常のハルス(HALS)系化合物、ベン
ゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物など
が用いられ、好ましくはハルス系化合物であるポリ−
{[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミ
ノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ディール][2
−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)−イミ
ノ]−ヘキサメチレン−[4−(2,2,6,6−テト
ラメチルピペリジル)−イミノ]}を使用し、その使用
量は、好ましくは組成物の総量に対して0.05〜0.
5である。
【0039】前記加工潤滑剤は、本発明の複合樹脂組成
物の加工性を向上させるために添加され、前記加工潤滑
剤としては、通常のステアリン酸カルシウム、ステアリ
ン酸亜鉛などが用いられ、好ましくはステアリン酸カル
シウムを使用し、その使用量は、好ましくは組成物の総
量に対して0.05〜0.1重量%である。
【0040】前記帯電防止剤は、複合樹脂の静電気防止
のために複合樹脂組成物に添加され、前記帯電防止剤と
しては、通常のアルキルアミン系化合物、ステアリン酸
系化合物などが用いられ、その使用量は、好ましくは組
成物の総量に対して0.05〜0.1重量%である。
【0041】また、本発明のポリオレフィン系複合樹脂
組成物には、色発現、耐候性向上などを目的に、カーボ
ンブラック、顔料などの付加的な添加剤が用途によって
さらに添加され得、それら添加剤の使用量は、好ましく
は組成物の総量に対して0.1〜5重量%である。
【0042】本発明の樹脂組成物を得るために、ヘンセ
ルブレンダー(Henssel Blender)、リ
ボンブレンダー(Ribbon Blender)また
はVブレンダー(V−Blender)などを使用して
原料を混合したり、または各々異なる原料供給装置から
決められた割合で各々の原料を直接加工装置に供給して
使用することができるが、前記加工装置としては、原料
及び最終組成物の特性によって1軸エクストルーダー、
2軸エクストルーダー、一つの供給口以外にエクストル
ーダーの一部を供給口として使用することのできる2軸
エクストルーダー、ニーダーミキサー(Kneader
Mixer)、バンベリーミキサー(Banbery
Mixer)などが用いられる。前記加工装置で本発
明の複合樹脂組成物の成分を溶融混合した後、ペレット
状に成型する。この時、加工条件によって樹脂組成物の
物性及び性能が変わることがあるので、主に一つの供給
口以外にエクストルーダーの一部を供給口として使用す
ることができる2軸エクストルーダーを使用し、スクリ
ューの回転数、圧出量、加工温度などを変化させて最適
な加工条件を選定して複合樹脂組成物を製造することが
好ましい。
【0043】前記製造された複合樹脂組成物は、一定の
水分及び揮発分の除去工程を経て水分及び揮発分を除去
した後、射出または圧縮試片に成型して米国標準規格
(ASTM)によって複合樹脂組成物の機械的及び熱的
物性を測定し、必要に応じては自主規格を制定して複合
樹脂組成物の物性を測定した。前記複合樹脂の物性測定
用試片は、射出成型によって製造された試片を主に用い
た。試片の射出成型は通常のエクストルーダーを使用し
て行われ、この時の射出条件としては、シリンダー温度
は200〜230℃、金型温度は30〜60℃であり、
射出圧、補圧及び射出速度は複合樹脂が優れた物性を有
する領域に固定した。前記物性測定用試片を射出した
後、温度23℃、相対湿度が50%の雰囲気下で約48
時間放置して試片の物性を測定した。製造された複合樹
脂の物性の測定は、複合樹脂の溶融指数、引張強度、屈
曲弾性率、衝撃強度、熱変形温度、線膨脹係数、成型収
縮率及び熱沈下現象に対して行い、各物性の測定方法は
米国標準規格(ASTM)に記載されている通常の方法
によった。
【0044】次に、本発明の理解のために好ましい実施
例及び比較例を提示する。しかし、下記の実施例は本発
明をより容易に理解するために提供されるものであり、
本発明が下記の実施例に限られるわけではない。
【0045】(実施例1〜8)表1に示した成分を、下
記表1の組成で一つの供給口以外にエクストルーダーエ
クストルーダーの一部を供給口として使用することがで
きる2軸エクストルーダー(スクリューL/D=52で
あり、φ=52、回転数=300rpm、射出量=10
0kg/hr、加工温度=200−220℃)を使用し
て溶融混合した後、ペレット型にポリオレフィン系複合
樹脂組成物を製造した。
【0046】
【表1】
【0047】表1で、A1〜A4は物性が相異する結晶
性エチレン−プロピレン共重合体であり、その各々に対
する物性は下記表2の通りであり、B1〜B5は物性が
相異するエチレン−α−オレフィン共重合ゴムであり、
その各々に対する物性は下記表3の通りであり、F1及
びF2は無機質補強材であり、F3はウラストナイトで
あり、その各々に対する物性は下記表4の通りである。
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】
【表4】
【0051】また、前記表1において、添加剤は下記表
5の通りの含有量で複合樹脂組成物に添加した。この
時、添加剤の含有量は組成物の総量に対する重量%であ
る。
【0052】
【表5】
【0053】(比較例1〜8)下記表6に示した成分の
組成で実施例1と同じ方法でペレット型ポリオレフィン
系複合樹脂組成物を製造した。
【0054】
【表6】
【0055】(実験例)前記実施例1〜8及び比較例1
〜8により製造されたポリオレフィン系複合樹脂組成物
に含まれていている水分及び揮発分を除去した後、エク
ストルーダー〔韓国金星射出器(モデル名:IDE90
EN)〕を使用して、シリンダー温度が220℃、金型
温度が60℃である条件で複合樹脂試片を製造した。前
記試片を温度が23℃、相対湿度が50%の雰囲気下で
約48時間放置して溶融指数、引張強度、屈曲弾性率、
衝撃強度、熱変形温度、線膨脹係数、成型収縮率及び熱
沈下現象を測定し、その結果を下記の表7及び表8に示
した。
【0056】
【表7】
【0057】
【表8】
【0058】前記物性測定方法は次のような方法に従っ
て行った。
【0059】(1)溶融指数(Melt Index、
MI):ASTM D1238(230℃、2.16k
g)に規定された方法で測定し、自動測定装置と手動測
定装置とを並用した。
【0060】(2)引張強度(Tensile Str
ength)及び伸率(Elongation):AS
TM D683(Type I、cross−head
speed =50mm/分)に規定された方法で測
定した。
【0061】(3)屈曲強度(Flexural St
rength)及び屈曲弾性率(Flexural M
odulus):ASTM D790(cross−h
ead speed =10mm/分)に規定された方
法で測定した。
【0062】(4)衝撃強度(Impact Stre
ngth):ASTM D256に規定された方法で常
温及び低温(−30℃)で測定した。この時、回転おも
りの重量は5ポンドであった。
【0063】(5)熱変形温度(Heat Defle
ction Temperature):ASTM D
648に規定された方法で測定した。この時、荷重は
4.16kgであった。
【0064】(6)金型収縮率(Mold Shrin
kage):ASTM D955に規定された方法で測
定した。
【0065】(7)線膨脹係数(Coefficien
t of Linear Thermal Expan
sion、CLTE):ASTM D696に規定され
た方法で温度を−30〜80℃に変化させながら寸法の
変化を測定した。
【0066】(8)熱沈下現象(Heat Sag):
110(L)×20(W)×3(H)mmの試片を長さ
方向に底と平行になるように固定させ、温度120℃の
オーブンに入れて約1時間放置した後、加熱前後の試片
の変形値を測定した。
【0067】(9)塗装接着性の比較:塗装接着性は、
50(L)×100(W)×2(H)mmの複合樹脂試
片に塩素化ポリプロピレンプライマーを厚さ5〜7μm
に塗装した後、ウレタン系ペイントを厚さ20〜30μ
mに塗装し、温度が85℃のオーブンで約30分間硬化
させ、常温で約24時間放置して、2mm格子を100
個製造してテープで塗装接着性を比較した。
【0068】
【発明の効果】本発明の低線膨脹ポリオレフィン系複合
樹脂組成物は、機械的剛性、耐衝撃性、耐熱性などの基
本物性がバランスよく、射出成型性が改善されるため、
これを用いて射出した製品の平滑性が優れており、特に
熱沈下現象が少なく、成型収縮率及び線膨脹係数を低下
させて成型品と車体との組立性及び成型品自体の寸法安
定性を向上することができるので、従来の自動車の外装
部品の成型に広く用いられていたポリカーボネート/ポ
リブチレンテレフタレートアロイに代替することがで
き、車両の軽量化に寄与し、優れた外観を有する自動車
用部品材料として広く用いられることができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 5/13 C08K 5/13 (72)発明者 キム ソン フン 大韓民国大田市西區關雎洞ウォンアンマウ ルアパート102棟101号

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 a)結晶性エチレン−プロピレン共重合
    体を組成物の総量に対して40〜80重量%; b)エチレン−α−オレフィン共重合体を組成物の総量
    に対して5〜40重量%; c)カルシウム−メタ−シリケート系のウラストナイト
    を組成物の総量に対して5〜30重量%;及び d)無機質補強材を組成物の総量に対して5〜30重量
    %; を含むことを特徴とする低線膨脹ポリオレフィン系複合
    樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 前記a)の結晶性エチレン−プロピレン
    共重合体は、エチレン−プロピレンゴムの含有量が0.
    5〜35重量%であり、溶融指数が5〜60g/10分
    (230℃、2.16kg)であるエチレン−プロピレ
    ン共重合体(エチレン含有量が0.5〜50重量%であ
    り、プロピレン含有量が50〜99重量%)1種以上で
    あることを特徴とする請求項1記載の低線膨脹ポリオレ
    フィン系複合樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 前記b)のエチレン−α−オレフィン共
    重合体は、α−オレフィンの含有量が20〜50重量%
    であり、溶融指数が0.1〜15g/10分(230
    ℃、2.16kg)であることを特徴とするエチレン−
    α−オレフィン共重合体1種以上である請求項1に記載
    の低線膨脹ポリオレフィン系複合樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 前記b)のエチレン−α−オレフィン共
    重合体は、α−オレフィンが1−プロピレン、1−ブテ
    ン、1−ヘキセン及び1−オクテンからなる群から選択
    される一つであることを特徴とする請求項1記載の低線
    膨脹ポリオレフィン系複合樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 前記b)のエチレン−α−オレフィン共
    重合体は、プロピレンの含有量が20〜50重量%であ
    り、溶融指数が0.1〜5g/10分(230℃、2.
    16kg)であるエチレン−プロピレン共重合体ゴムを
    5〜20重量%含むことを特徴とする請求項1記載の低
    線膨脹ポリオレフィン系複合樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 前記b)のエチレン−α−オレフィン共
    重合体は、オクテンの含有量が20〜50重量%であ
    り、溶融指数が0.1〜15g/10分(230℃、
    2.16kg)であるエチレン−オクテン共重合体ゴム
    を5〜20重量%含むことを特徴とする請求項1記載の
    低線膨脹ポリオレフィン系複合樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 前記c)のカルシウム−メタ−シリケー
    ト系のウラストナイトは、粒子の平均直径が5〜25μ
    mであり、アスペクト比が10〜19であることを特徴
    とする請求項1記載の低線膨脹ポリオレフィン系複合樹
    脂組成物。
  8. 【請求項8】 前記d)の無機質補強材は、タルク、カ
    ルシウムカーボネート、雲母、ガラス繊維、石綿及びカ
    オリンからなる群から選択される1種であることを特徴
    とする請求項1記載の低線膨脹ポリオレフィン系複合樹
    脂組成物。
  9. 【請求項9】 前記タルクは単片相であり、平均粒径が
    2〜4μmであり、アスペクト比が3〜20であること
    を特徴とする請求項8記載の低線膨脹ポリオレフィン系
    複合樹脂組成物。
  10. 【請求項10】 フェノール系1次酸化防止剤を組成物
    の総量に対して0.05〜0.5重量%またはアミン系
    2次酸化防止剤を組成物の総量に対して0.05〜0.
    5重量%、ハルス系紫外線安定剤を組成物の総量に対し
    て0.05〜0.5重量%、加工潤滑剤を組成物の総量
    に対して0.05〜0.1重量%、アミノシラン系また
    はアミノチタン系カップリング剤を組成物の総量に対し
    て0.05〜3重量%及びアルキルアミン系帯電防止剤
    を組成物の総量に対して0.05〜0.1重量%をさら
    に含むことを特徴とする請求項1記載の低線膨脹ポリオ
    レフィン系複合樹脂組成物。
  11. 【請求項11】 請求項1記載の低線膨脹ポリオレフィ
    ン系複合樹脂組成物を用いて製造したことを特徴とする
    自動車外装材用部品。
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