JP2001220142A - ペロブスカイト型又はBi層状ペロブスカイト型酸化物薄膜形成用原料溶液、ペロブスカイト型又はBi層状ペロブスカイト型酸化物薄膜の形成方法及びペロブスカイト型又はBi層状ペロブスカイト型酸化物薄膜 - Google Patents

ペロブスカイト型又はBi層状ペロブスカイト型酸化物薄膜形成用原料溶液、ペロブスカイト型又はBi層状ペロブスカイト型酸化物薄膜の形成方法及びペロブスカイト型又はBi層状ペロブスカイト型酸化物薄膜

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JP2001220142A
JP2001220142A JP2000035539A JP2000035539A JP2001220142A JP 2001220142 A JP2001220142 A JP 2001220142A JP 2000035539 A JP2000035539 A JP 2000035539A JP 2000035539 A JP2000035539 A JP 2000035539A JP 2001220142 A JP2001220142 A JP 2001220142A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 経時安定性、成膜後の酸化物特性が良好であ
る上に、特に塗布後のストリエーションの問題のないペ
ロブスカイト型又はBi層状ペロブスカイト型酸化物薄
膜形成用原料溶液と、この原料溶液を用いるペロブスカ
イト型又はBi層状ペロブスカイト型酸化物薄膜の形成
方法及びペロブスカイト型又はBi層状ペロブスカイト
型酸化物薄膜を提供する。 【解決手段】 Ba及び/又はSrを含有するペロブス
カイト型又はBi層状ペロブスカイト型酸化物薄膜を成
膜するための原料溶液において、該溶液中にシリコーン
を含有するペロブスカイト型又はBi層状ペロブスカイ
ト型酸化物薄膜形成用原料溶液。この原料溶液を基板に
塗布した後、焼成するペロブスカイト型又はBi層状ペ
ロブスカイト型酸化物薄膜の形成方法。この方法で形成
されたペロブスカイト型又はBi層状ペロブスカイト型
酸化物薄膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気的及び/又は
光学的性質により各種のデバイスへの応用が期待できる
金属酸化物系のペロブスカイト型又はBi層状ペロブス
カイト型酸化物薄膜を、ゾルゲル法等により形成するた
めのBa及び/又はSrを含有するペロブスカイト型又
はBi層状ペロブスカイト型酸化物薄膜形成用原料溶
液、このペロブスカイト型又はBi層状ペロブスカイト
型酸化物薄膜の形成方法及びペロブスカイト型又はBi
層状ペロブスカイト型酸化物薄膜に関する。
【0002】
【従来の技術】Ba及び/又はSrを含むペロブスカイ
ト型又はBi層状ペロブスカイト型酸化物薄膜、例えば
BST薄膜やSBT薄膜は、その高い誘電率、優れた強
誘電特性から種々の誘電体デバイスへの応用が期待され
ている。また、Srを含むペロブスカイト型又はBi層
状ペロブスカイト型酸化物薄膜のうち、例えば、SRO
薄膜やLSCO薄膜は、その優れた導電特性から電極材
等として注目されており、種々のデバイスへの応用が期
待されている。
【0003】これらの金属酸化物薄膜の成膜法として
は、スパッタリング法、MOCVD法などがあるが、比
較的安価で簡便に薄膜を作製する手法として、有機金属
溶液を基板に塗布するゾルゲル法がある。
【0004】ゾルゲル法は、原料となる各成分金属の加
水分解性の化合物、その部分加水分解物及び/又はその
部分重縮合物を含有する原料溶液を基板に塗布し、塗膜
を乾燥させた後、例えば空気中で約400℃に加熱して
金属酸化物の膜を形成し、さらにその金属酸化物の結晶
化温度以上(例えば、約700℃)で焼成して膜を結晶
化させることにより強誘電体薄膜を成膜する方法であ
る。
【0005】このゾルゲル法に似た方法として、有機金
属分解(MOD)法がある。MOD法では、熱分解性の
有機金属化合物、例えば、金属のβ−ジケトン錯体(例
えば、金属アセチルアセトネート)やカルボン酸塩(例
えば、酢酸塩)を含有する原料溶液を基板に塗布し、例
えば空気中又は含酸素雰囲気中等で加熱して、塗膜中の
溶媒の蒸発及び金属化合物の熱分解を生じさせて金属酸
化物の膜を形成し、さらに結晶化温度以上で焼成して膜
を結晶化させる。従って、原料化合物の種類が異なるだ
けで、成膜操作はゾルゲル法とほぼ同様である。
【0006】このようにゾルゲル法とMOD法は成膜操
作が同じであるので、両者を併用した方法も可能であ
る。即ち、原料溶液が加水分解性の金属化合物と熱分解
性の金属化合物の両方を含有していてもよく、その場合
には塗膜の加熱中に原料化合物の加水分解と熱分解が起
こり、金属酸化物が生成する。
【0007】従って、以下において、ゾルゲル法、MO
D法、及びこれらを併用した方法を包含して「ゾルゲル
法等」と称す。
【0008】ゾルゲル法等は、安価かつ簡便で量産に適
しているという利点に加えて、膜の組成制御が容易で、
成膜厚みが比較的均一であるという優れた特長を有す
る。従って、比較的平坦な基板上に強誘電体薄膜を形成
するのには最も有利な成膜法であると言える。
【0009】このゾルゲル法等の有機金属原料としては
金属アルコキシド又は有機酸塩が一般に使用されてい
る。また、これらの有機金属原料を溶解する溶媒として
は、アルコール、カルボン酸、エステル、ケトン、エー
テル、シクロアルカン、芳香族系溶媒等の有機溶媒があ
るが、水溶液等の無機溶媒でも良い。また、溶液中の金
属原料を安定化させるために、β−ジケトン類、ケトン
酸類、ケトン酸のメチル,プロピル,ブチル等の低級ア
ルキルエステル類、オキシ酸類、オキシ酸類の低級アル
キルエステル類、オキシケトン類、α−アミノ酸類、ア
ルカノールアミン類等の安定化剤を配合する場合もあ
る。
【0010】これらの溶媒及び安定化剤の重要な選択基
準として、原料溶液塗布後のストリエーションの有無が
挙げられる。原料溶液の経時安定性、成膜後の酸化物特
性(例えばボイドが無く緻密化されていること、クラッ
クが生じないこと、低温で結晶化すること、表面モフォ
ロジーが良好である等)が良好な原料溶液であっても、
ストリエーションが生じるために薄膜形成用原料として
用い得ない場合があり、また、限定されたスピン条件で
塗布する必要があるために、工業生産に不適当である場
合がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来の実
情に鑑みてなされたものであって、経時安定性、成膜後
の酸化物特性が良好である上に、特に塗布後のストリエ
ーションの問題のないペロブスカイト型又はBi層状ペ
ロブスカイト型酸化物薄膜形成用原料溶液と、この原料
溶液を用いるペロブスカイト型又はBi層状ペロブスカ
イト型酸化物薄膜の形成方法及びペロブスカイト型又は
Bi層状ペロブスカイト型酸化物薄膜を提供することを
目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明のペロブスカイト
型又はBi層状ペロブスカイト型酸化物薄膜形成用原料
溶液は、Ba及び/又はSrを含有するペロブスカイト
型又はBi層状ペロブスカイト型酸化物薄膜を成膜する
ための原料溶液において、該溶液中にシリコーンを含有
することを特徴とする。
【0013】即ち、本発明者らは、ストリエーションの
問題のないペロブスカイト型又はBi層状ペロブスカイ
ト型酸化物薄膜形成用原料溶液を開発すべく鋭意研究を
重ねた結果、原料溶液中にシリコーンを含有させること
により、ストリエーションが解消されることを見出し、
本発明を完成させた。
【0014】シリコーンを用いることによりストリエー
ションが解消することの作用機構の詳細は明らかではな
いが、シリコーンは化学的安定性が非常に高く、他の有
機物と反応しにくいこと、及び非常に低い表面張力を有
するため、ストリエーションが消滅するものと考えられ
る。
【0015】本発明において、用いるシリコーンとして
は、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコ
ーンオイル及びメチル水素シリコーンオイルよりなる群
から選ばれる1種又は2種以上、好ましくは、ポリジメ
チルシロキサン及び/又はジメチルシロキサン、或い
は、ポリアルキレンオキシド変性シリコーン、極性シリ
コーン、ヒドロキシタイプシリコーン、カチオンタイプ
シリコーン及び両性タイプシリコーンよりなる群から選
ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
【0016】このようなシリコーンの含有量は1000
ppm以下であることが好ましい。
【0017】本発明のペロブスカイト型又はBi層状ペ
ロブスカイト型酸化物薄膜形成用原料溶液は、特に、B
a及び/又はSrとTiを含有するペロブスカイト型酸
化物薄膜、Bi,Sr及びTaを含有するBi層状ペロ
ブスカイト型酸化物薄膜、Sr及びRuを含有するペロ
ブスカイト型酸化物薄膜、La,Sr及びCoを含有す
るペロブスカイト型酸化物薄膜を成膜するための原料溶
液として好適である。
【0018】本発明のペロブスカイト型又はBi層状ペ
ロブスカイト型酸化物薄膜の形成方法は、このような本
発明の原料溶液を基板に塗布した後、焼成することを特
徴とする。
【0019】本発明のペロブスカイト型又はBi層状ペ
ロブスカイト型酸化物薄膜は、このような本発明の酸化
物薄膜の形成方法により形成されたものである。
【0020】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
【0021】まず、本発明で用いるシリコーンについて
説明する。
【0022】シリコーンとは無機質のシロキサン結合
(Si−O−Si)を骨格としており、天然には存在し
ないポリマーで、その骨格構造、重合度、側鎖の有機基
を変えることにより、無色透明なオイル状物、弾性を示
すゴム状物、加熱により硬化するレジンが得られる。特
に、シリコーンオイルの分子構造は次の通りであり、そ
の反応性により非反応性シリコーンと反応性シリコーン
とに大別される。
【0023】
【化1】 (Rはメチル基、エチル基、その他のアルキル基、フェ
ニル基、水素、アラルキル基、プロピル基を介在したポ
リアルキレンオキシ基、ヒドロキシ基、第四級アンモニ
ウム基、ビニル基などを示す。)
【0024】非反応性シリコーンオイルとしては、ポリ
ジメチルシロキサンベースの一般オイル(ポリジメチル
シロキサン又はジメチルシロキサン)と主な下記の特殊
オイルがある。
【0025】 耐熱性オイル ・ジメチルシロキサン−ジフェニルシロキサンコポリマ
ー ・ジメチルシロキサン−フェニルメチルシロキサンコポ
リマー ・フェニルメチルシロキサンホモポリマー ・フェニルメチルシロキサン−ジフェニルシロキサンコ
ポリマー ・フェニルメチルシロキサンオリゴマー(1,1,5,
5−テトラフェニル−1,3,3,5−テトラメチルト
リシロキサン) ・フェニルメチルシロキサンオリゴマー(1,1,3,
5,5−ペンタフェニル1,3,5−トリメチルトリシ
ロキサン) ・テトラクロロフェニルシルセスキオキサン−ジメチル
シロキサンコポリマー
【0026】 有機変性シリコーンオイル ・アルキルメチルシロキサンコポリマー(ポリオクチル
メチルシロキサン、ポリテトラデシルメチルシロキサ
ン、ポリオクタデシルメチルシロキサン) ・アルキルメチルシロキサン−アラルキルメチルシロキ
サンコポリマー(エチルメチル−2−フェニルプロピル
メチル、ヘキシルメチル−2−フェニルプロピルメチ
ル、デシルメチル−ブチル化アリロキシプロピルメチ
ル、ドデシルメチル−2−フェニルプロピルメチル) ・アルキルメチルシロキサン−ジメチルシロキサンコポ
リマー(オクタデシルメチル−ジメチルシロキサン、ト
リアコンチルメチル−ジメチルシロキサン) ・ジアルキルシロキサンホモポリマー(ジシクロペンチ
ルシロキサン)
【0027】 フロロシリコーンオイル ・ポリ(3,3,3−トリフルオロプロピルメチルシロ
キサン) ・3,3,3−トリフルオロプロピルメチルシロキサン
−ジメチルシロキサンコポリマー ・ビス(トリデカフロロオクチル)テトラメチルシロキ
サン ・フロロカーボン−フロロシリコーングリース
【0028】 親水性シリコーンオイル (1) ポリアルキレンオキシド変性シリコーン ・ジメチルシロキサン−エチレンオキシドブロックコポ
リマー ・ジメチルシロキサン−(プロピレンオキサイド−エチ
レンオキサイド)ブロックコポリマー (2) 極性シリコーン ・(N−ピロリドンプロピル)メチルシロキサン−ジメ
チルシロキサンコポリマー ・シアノプロピルメチルシロキサン−ジメチルシロキサ
ンコポリマー (3) ヒドロキシ及びカチオンタイプシリコーン ・ヒドロキシシリコーン ・カチオニックシリコーン (4) 両性タイプシリコーン ・ドデシルメチルシロキサン−ヒドロキシポリアルキレ
ンオキシプロピルメチルシロキサンコポリマー
【0029】 低温用シリコーンオイル ・ジエチルシリコーンオイル(トリエチルシロキシ末端
ポリジエチルシロキサン) ・分岐シリコーンオイル(トリエチルシロキシ末端ポリ
ジエチルシロキサン)また、主な反応性シリコーンオイ
ルは次の通りである。 <1> ビニルシリコーン ・末端ビニルポリジメチルシロキサン ・ヒュームドシリカ強化ビニル末端ポリジメチルシロキ
サン ・ビニル末端ジフェニルシロキサン−ジメチルシロキサ
ンコポリマー ・ビニル末端ポリフェニルメチルシロキサン ・ビニル末端トリクロロプロピルメチルシロキサン−ジ
メチルシロキサンコポリマー ・ビニル末端ジエチルシロキサン−ジメチルシロキサン
コポリマー ・ビニルメチルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリ
マー、トリメチルシロキシ基末端 ・ビニルガム(ジメチルシロキサン) ・ビニルQレジンディスパージョン ・ビニルメチルシロキサンホモポリマー ・ビニルT構造ポリマー ・ビニルメチルシロキサン三元ポリマー ・ビニルメトキシシロキサンホモポリマー <2> Hシリコーン ・H末端ポリジメチルシロキサン ・メチルHシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー ・ポリメチルHシロキサン ・ポリエチルHシロキサン ・ポリフェニル(ジメチルHシロキシ)シロキサンH末
端 ・メチルHシロキサン−フェニルメチルシロキサンコポ
リマー ・メチルHシロキサン−オクチルメチルシロキサンコポ
リマー ・HシロキサンQレジン <3> シラノールシリコーン ・シラノール末端ポリジメチルシロキサン ・シラノール末端ジフェニルシロキサン−ジメチルシロ
キサンコポリマー ・シラノール末端ポリジフェニルシロキサン ・シラノール末端ポリトリフロロプロピルメチルシロキ
サン <4> アミノシリコーン ・アミノプロピル末端ポリジメチルシロキサン ・アミノプロピルメチルシロキサン−ジメチルシロキサ
ンコポリマー ・アミノプロピルメチルシロキサン−ジメチルシロキサ
ンコポリマー ・アミノエチルアミノイソブチルメチルシロキサン−ジ
メチルシロキサンコポリマー ・アミノエチルアミノプロピルメトキシシロキサン−ジ
メチルシロキサンコポリマー ・(テトラメチルピペリジニル)オキシプロピルメチル
シロキサン <5> エポキシシリコーン ・エポキシプロポキシプロピル末端ポリジメチルシロキ
サン ・(エポキシシクロヘキシルエチル)メチルシロキサン
−ジメチルシロキサンコポリマー <6> カルビノールシリコーン ・カルビノール(ヒドロキシ)末端ポリジメチルシロキ
サン <7> メタクリレート・アクリレートシリコーン ・メタクリロキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン ・アクリロキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン ・(メタクリロキシプロピル)メチルシロキサン−ジメ
チルシロキサンコポリマー ・(アクリロキシプロピル)メチルシロキサン−ジメチ
ルシロキサンコポリマー ・メタクリロキシプロピルT構造シロキサン <8> メルカプトシリコーン ・(メルカプトプロピル)メチルシロキサン−ジメチル
シロキサンコポリマー <9> クロロプロピルシリコーン ・(クロロプロピル)メチルシロキサン−ジメチルシロ
キサンコポリマー <10> カルボキシルシリコーン ・(カルボキシプロピル)ジメチル末端ポリジメチルシ
ロキサン ・コハク酸無水物末端ポリジメチルシロキサン <11> 加水分解性シリコーン ・クロル末端ポリジメチルシロキサン ・ジアセトキシメチル末端ポリジメチルシロキサン ・ジメチルアミノ末端ポリジメチルシロキサン ・メトキシ末端ポリジメチルシロキサン ・メトキシメチルシロキサン−ジメチルシロキサンコポ
リマー(メトキシ末端分岐ポリマー) <12> マクロマー:片末端反応性シリコーン ・ビニル片末端 ・メタクリロキシ片末端 ・カルビノール片末端 ・エポキシ片末端 ・アリル−トリメチルシロキサン末端PEO ・メタクリロキシ−トリメチルシロキシ末端PEO ・カルボキシデシル片末端 <13> 反応性シリコーンエマルジョン ・シラノールエマルジョン ・ジアミノアルコキシシロキサンエマルジョン <14> 水系−シルセスキオキサンオリゴマー これらのシリコーンの中でも、常温で流動性のあるシリ
コーンオイル、例えば、25℃の粘度が10〜1000
0cSt程度のシリコーンオイルが取り扱い性の面で好
ましく、その中でも特に一般のシリコーンオイル(ポリ
ジメチルシロキサン、ジメチルシロキサン)、親水性シ
リコーンオイルが、入手性、溶解性、純度、コストの面
から適している。
【0030】これらのシリコーンは、予め調整されたも
のを用いても良く、原料溶液中でシリコーンを調製して
も良い。原料溶液中でシリコーンを調製する場合には、
次のようなシリコーン用触媒、修飾剤及び架橋剤を原料
溶液中に配合することができる。 (1) Si−H付加反応用触媒 ・白金カルボニルビニルメチル錯体 ・白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体 ・白金−シクロビニルメチルシロキサン錯体 ・白金−オクチルアルデヒド/オクタノール錯体 (2) ビニル付加シリコーン用修飾剤 (2-1) ヒドロシリル化の抑制剤,調整剤 ・1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン ・1,3,5,7−テトラビニル−1,3,5,7−テ
トラメチル−シクロテトラシロキサン (2-2) 接着向上剤 ・アリルトリメトキシシラン (2-3) 特殊架橋剤 ・1,3−ジフェニル−1,1,3,3−テトラキス
(ジメチルシロキシ)−ジシロキサン (2-4) ゲル硬度及び指触乾燥度調節用希釈剤 ・ポリジメチルシロキサン ・ポリオクチルメチルシロキサン (3) 縮合硬化シリコーン用架橋剤 (3-1) アセトキシタイプ架橋剤 ・ジ−t−ブトキシジアセトキシシラン ・エチルトリアセトキシシラン ・メチルトリアセトキシシラン ・メチルトリアセトキシシラン−エチルトリアセトキシ
シラン混合物 ・ビニルトリアセトキシシラン (3-2) アルコキシタイプ架橋剤 ・ビス(トリエトキシシリル)エタン ・メチルトリエトキシシラン ・メチルトリメトキシシラン ・テラトエトキシシラン ・テトラ−n−プロポキシシラン ・ビニルトリメトキシシラン (3-3) オキシムタイプ架橋剤 ・メチルトリス(メチルエチルケトキシム)シラン ・ビニルトリス(メチルエチルケトキシイミノ)シラン (3-4) フェノキシ(アセトン)タイプ架橋剤 ・ビニルトリイソプロペノキシシラン (3-5) アミノ及びベンゾアミドタイプ架橋剤 ・ビス(N−メチルベンゾアミド)エトキシメチルシラ
ン ・トリス(シクロヘキシルアミノ)メチルシラン このようなシリコーンの原料溶液中の含有量は1000
ppm以下とするのが好ましい。シリコーンの含有量が
1000ppmを超えるとSiを意図的に含有させない
場合では、ペロブスカイト酸化物薄膜にSiのドーピン
グ効果が認められる可能性があるため好ましくない。シ
リコーンの含有量が少な過ぎると十分なストリエーショ
ン防止効果が得られないため、シリコーンは特に、原料
溶液に対して1〜100ppm添加するのが好ましい。
【0031】本発明で成膜するペロブスカイト型又はB
i層状ペロブスカイト型酸化物薄膜は、Ba及び/又は
Srを含有する酸化物材料である。かかるペロブスカイ
ト型又はBi層状ペロブスカイト型酸化物薄膜の例とし
ては、Ba及び/又はSrとTiとからなるペロブスカ
イト型酸化物薄膜、例えばBST薄膜、Bi,Sr及び
Taを含有するSBT薄膜、Sr及びRuを含有するS
RO薄膜、La,Sr及びCoを含有するLSCO薄膜
が挙げられる。
【0032】この酸化物材料には、主構成元素以外に微
量のドープ元素を含有させることができる。ドープ元素
の例としては、Ca、Ba、Sr、Hf、Sn、Th、
Y、Sm、Dy、Ce、Bi、Sb、Nb、Ta、W、
Mo、Cr、Co、Ni、Fe、Cu、Si、Ge、
U、Sc、V、Pr、Nd、Eu、Gd、Tb、Ho、
Er、Tm、Yb、Lu、Laなどが挙げられ、その含
有量は薄膜中の金属原子の原子分率で0.1以下とする
のが好ましい。
【0033】本発明で用いる有機溶媒としては、アルコ
ール、カルボン酸、エステル、ケトン、エーテル、シク
ロアルカン、芳香族系溶媒などが挙げられ、このうち、
アルコールとしては、エタノール、1−プロパノール、
2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、
2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロ
パノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、2−
メチル−2−ペンタノールなどのアルカノール類、シク
ロヘキサノールといったシクロアルカノール類、ならび
に2−メトキシエタノール、1−エトキシ−2−プロパ
ノールといったアルコキシアルコール類が使用できる。
【0034】また、カルボン酸溶媒の例としては、n−
酪酸、α−メチル酪酸、i−吉草酸、2−エチル酪酸、
2,2−ジメチル酪酸、3,3−ジメチル酪酸、2,3
−ジメチル酪酸、3−メチルペンタン酸、4−メチルペ
ンタン酸、2−エチルペンタン酸、3−エチルペンタン
酸、2,2−ジメチルペンタン酸、3,3−ジメチルペ
ンタン酸、2,3−ジメチルペンタン酸、2−エチルヘ
キサン酸、3−エチルヘキサン酸などが挙げられる。
【0035】エステル系溶媒としては、酢酸エチル、酢
酸プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢
酸tert−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸n−アミ
ル、酢酸sec−アミル、酢酸tert−アミル、酢酸
イソアミルなどが挙げられる。
【0036】ケトン系溶媒としては、アセトン、メチル
エチルエトン、メチルイソブチルケトンが挙げられ、エ
ーテル系溶媒としては、ジメチルエーテル、ジエチルエ
ーテルといった鎖式エーテル、並びにテトラヒドロフラ
ン、ジオキサンといった環式エーテルが挙げられる。ま
た、シクロアルカン系溶媒としては、シクロヘプタン、
シクロヘキサンなどが挙げられ、芳香族系溶媒として
は、トルエン、キシレンなどが挙げられる。
【0037】なお、本発明において、溶媒は上記有機溶
媒に限らず、水、酢酸、硝酸、塩酸、アンモニアの水溶
液等の無機溶媒であっても良い。
【0038】また、本発明においては、原料溶液中に安
定化剤としてβ−ジケトン類を配合するのが好ましく、
安定化剤の配合により、原料溶液の加速分解速度、重縮
合速度が抑えられ、その保存安定性が改善される。この
場合、安定化剤としてのβ−ジケトン類の添加量は、原
料溶液中に存在する金属元素の合計原子数に対するβ−
ジケトン類の分子数で0.1〜5倍の量が好ましく、よ
り好ましくは0.2〜3倍である。β−ジケトン類は添
加量が多すぎると安定性の低下が危惧され、少なすぎる
とβ−ジケトン類の効果が十分に得られない。使用する
β−ジケトン類としては、アセチルアセトン、ベンゾイ
ルアセトン、ジベンゾイルアセトン、ジイソブチルメタ
ン、ジピバロイルメタン、3−メチルペンタン−2,4
−ジオン、2,2−ジメチルペンタン−3,5−ジオ
ン、ヘプタフルオロブタノイルピバロイルメタン、トリ
フルオロアセチルアセトン等が挙げられるが、これらの
中でも特に経済性、膜の緻密性、ハロゲン化物を含まな
い等の観点からアセチルアセトンが望ましい。
【0039】安定化剤としてのβ−ジケトン類は、原料
溶液の製造工程のどの段階で添加しても良いが、後述す
る共沸蒸留を行う場合には、この蒸留後に添加すること
が好ましい。また、金属アルコキシドの部分加水分解を
行う場合には、その前にβ−ジケトン類を添加しておく
方が、加水分解速度の制御が容易となることから好まし
い。なお、β−ジケトン類を添加した場合には、塗布後
の加水分解を促進させるために、原料溶液に少量の水を
添加しても良い。
【0040】本発明のペロブスカイト型又はBi層状ペ
ロブスカイト型酸化物薄膜形成用原料溶液は、シリコー
ンを配合すること以外は常法に従って調製することがで
きる。
【0041】原料金属化合物としては、各成分金属又は
2以上の成分金属を含む金属化合物、その部分加水分解
物並びにその部分重縮合物を用いることができるが、特
に好ましい金属化合物は、加水分解性又は熱分解性の有
機金属化合物である。例えば、アルコキシド、有機酸
塩、β−ジケトン錯体などが代表例であるが、金属錯体
については、アミン錯体をはじめとして、各種の他の錯
体も利用できる。ここでβ−ジケトンとしては、アセチ
ルアセトン(=2,4−ペンタンジオン)、ヘプタフル
オロブタノイルピバロイルメタン、ジピバロイルメタ
ン、トリフルオロアセチルアセトン、ベンゾイルアセト
ンなどが挙げられる。
【0042】原料として好適な有機金属化合物の具体例
を示すと、バリウム化合物、ストロンチウム化合物、チ
タン化合物は、金属アルコキシド、その部分加水分解物
や有機酸が挙げられ、このうち、ストロンチウム化合物
としては、例えば2−エチルヘキサン酸ストロンチウム
などの有機酸塩、ストロンチウムジイソプロポキシドな
どのアルコキシドが挙げられる。バリウム化合物、チタ
ン化合物、ビスマス化合物としても、このようなストロ
ンチウム化合物と同様の有機酸塩やアルコキシドなどを
用いることができる。タンタル化合物としては、タンタ
ルペンタエトキシド等のアルコキシドが挙げられる。ル
テニウム化合物としては、オクチル酸ルテニウム等の有
機酸塩が挙げられる。ランタン化合物としてはランタン
−2−メトキシエトキシド等のアルコキシドが挙げら
れ、コバルト化合物としては、オクチル酸コバルト等の
有機酸塩が挙げられる。
【0043】なお、原料の金属化合物は、上述したよう
な1種類の金属を含有する化合物の他に、2種以上の成
分金属を含有する複合化した金属化合物であってもよ
い。
【0044】本発明では、これらの各成分金属の原料と
して使用する金属化合物を、有機溶媒又は無機溶媒に溶
解し、好ましくは、安定化剤としてβ−ジケトン類を添
加して、更にシリコーンを添加して、形成するペロブス
カイト型又はBi層状ペロブスカイト型酸化物薄膜の複
合金属酸化物(2以上の金属を含有する酸化物)の前駆
体を含有する原料溶液を調製する。
【0045】原料溶液中に含有させる各金属化合物の割
合は、成膜しようとするペロブスカイト型又はBi層状
ペロブスカイト型酸化物薄膜の金属原子比とほぼ同じで
よい。但し、一般に鉛化合物は揮発性が高く、金属酸化
物に変化させるための加熱中又は結晶化のための焼成中
に蒸発による鉛の欠損が起こることがある。そのため、
この欠損を見越して、鉛をやや過剰(例えば、2〜20
%過剰)に存在させても良い。この鉛の欠損の程度は、
鉛化合物の種類や成膜条件によって異なり、予め実験に
より求めることができる。
【0046】なお、原料溶液の金属化合物濃度は特に制
限されず、利用する塗布法や部分加水分解の有無によっ
ても異なるが、一般に金属酸化物換算の合計金属含有量
として0.1〜20重量%の範囲が好ましい。
【0047】金属化合物をシリコーンと共に有機溶媒又
は無機溶媒中に溶解させた溶液は、そのまま原料溶液と
してゾルゲル法等による成膜に使用することができる。
或いは、造膜を促進させるため、この溶液を加熱して、
加水分解性の金属化合物(例えば、アルコキシド)を部
分加水分解ないし部分重縮合させて成膜に使用してもよ
い。即ち、この場合には、原料溶液は、少なくとも一部
の金属化合物については、その部分加水分解物及び/又
は部分重縮合物を含有することになる。
【0048】部分加水分解のための加熱は、温度や時間
を制御して、完全に加水分解が進行しないようにする。
完全に加水分解すると、原料溶液の安定性が著しく低下
し、ゲル化し易くなる上、均一な成膜も困難となる。加
熱条件としては、温度80〜200℃で、0.5〜50
時間程度が適当である。加水分解中に、加水分解物が−
M−O−結合(M=金属)により部分的に重縮合するこ
とがあるが、このような重縮合は部分的であれば許容さ
れる。
【0049】原料溶液が、金属アルコキシドと金属カル
ボン酸塩の両者を含有する場合には、金属アルコキシド
と混合する前に、金属カルボン酸塩に付随する結晶水を
除去しておくことが好ましい。この結晶水の除去は、金
属カルボン酸だけをまず溶媒に溶解させ、この溶液を蒸
留して溶媒との共沸蒸留により脱水することにより実施
できる。従って、この場合の溶媒は水と共沸蒸留可能な
ものを使用する。金属カルボン酸塩の結晶水を除去せず
に金属アルコキシドと混合すると、金属アルコキシドの
加水分解が進行しすぎたり、その制御が困難となること
があり、部分加水分解後に沈殿を生ずることがある。
【0050】このような本発明のペロブスカイト型又は
Bi層状ペロブスカイト型酸化物薄膜形成用原料溶液に
よれば、従来のゾルゲル法等と同様にして、本発明の方
法に従って、次のような手順に従ってペロブスカイト型
又はBi層状ペロブスカイト型酸化物薄膜を成膜するこ
とができる。
【0051】まず、本発明のペロブスカイト型又はBi
層状ペロブスカイト型酸化物薄膜形成用原料溶液を基板
上に塗布する。塗布は、スピンコーティングにより行う
のが一般的であるが、ロール塗布、噴霧、浸漬、カーテ
ンフローコート、ドクターブレードなど他の塗布法も適
用可能である。塗布後、塗膜を乾燥させ、溶媒を除去す
る。この乾燥温度は溶媒の種類によっても異なるが、通
常は80〜200℃程度であり、好ましくは100〜1
80℃の範囲でよい。但し、原料溶液中の金属化合物を
金属酸化物に転化させるための次工程の加熱の際の昇温
中に、溶媒は除去されるので、塗膜の乾燥工程は必ずし
も必要とされない。
【0052】その後、仮焼工程として、塗布した基板を
加熱し、有機金属化合物を完全に加水分解又は熱分解さ
せて金属酸化物に転化させ、金属酸化物からなる膜を形
成する。この加熱は、一般に加水分解の必要なゾルゲル
法では水蒸気を含んでいる雰囲気、例えば、空気又は含
水蒸気雰囲気(例えば、水蒸気を含有する窒素雰囲気)
中で行われ、熱分解させるMOD法では含酸素雰囲気中
で行われる。加熱温度は、金属酸化物の種類によっても
異なるが、通常は150〜550℃の範囲であり、好ま
しくは、300〜450℃である。加熱時間は、加水分
解及び熱分解が完全に進行するように選択するが、通常
は1分ないし2時間程度である。
【0053】ゾルゲル法等の場合は、1回の塗布で、ペ
ロブスカイト型又はBi層状ペロブスカイト型酸化物薄
膜に必要な膜厚とすることは難しい場合が多いので、必
要に応じて、上記の塗布と(乾燥と)仮焼を繰返して、
所望の膜厚の金属酸化物の膜を得る。こうして得られた
膜は、非晶質であるか、結晶質であっても結晶性が不十
分であるので、分極性が低く、強誘電体薄膜として利用
できない。そのため、最後に結晶化アニール工程とし
て、その金属酸化物の結晶化温度以上の温度で焼成し
て、ペロブスカイト型の結晶構造を持つ結晶質の金属酸
化物薄膜とする。なお、結晶化のための焼成は、最後に
一度で行うのではなく、各塗布した塗膜ごとに、上記の
仮焼に続けて行ってもよいが、高温での焼成を何回も繰
返す必要があるので、最後にまとめて行う方が経済的に
は有利である。
【0054】この結晶化のための焼成温度は通常は50
0〜800℃の範囲であり、例えば500〜750℃で
ある。従って、基板としては、この焼成温度に耐える程
度の耐熱性を有するものを使用する。結晶化のための焼
成(アニール)時間は、通常は1分から2時間程度であ
り、焼成雰囲気は特に制限されないが、通常は空気又は
酸素である。
【0055】このようなペロブスカイト型又はBi層状
ペロブスカイト型酸化物薄膜の形成に用いられる耐熱性
の基板材料としては、シリコン(単結晶又は多結晶)、
白金、ニッケルなどの金属類、酸化ルテニウム、酸化イ
リジウム、ルテニウム酸ストロンチウム(SrRu
)又はコバルト酸ランタンストロンチウム((La
Sr1−X)CoO)などのぺロブスカイト型導電
性酸化物など、石英、窒化アルミニウム、酸化チタンな
どの無機化合物が挙げられる。キャパシター膜の場合に
は、基板は下部電極であり、下部電極としては、例え
ば、Pt、Pt/Ti、Pt/Ta、Ru、RuO
Ru/RuO、RuO/Ru、Ir、IrO、I
r/IrO、Pt/Ir、Pt/IrO、SrRu
又は(La Sr1−X)CoOなどのぺロブス
カイト型導電性酸化物などとすることができる(なお、
「/」を用いた2層構造のものは「上層/下層」として
示してある。)。
【0056】このようにして成膜される本発明のペロブ
スカイト型又はBi層状ペロブスカイト型酸化物薄膜の
膜厚は、誘導体デバイスの用途によっても異なるが、通
常は50〜400nm程度が好ましく、得られた強誘電
体薄膜は、各種の誘導体デバイスに有用である。
【0057】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をよ
り具体的に説明する。
【0058】なお実施例及び比較例で用いた原料金属化
合物は次の通りである。
【0059】Ba原料化合物:2−エチルヘキサン酸バ
リウム Sr原料化合物:2−エチルヘキサン酸ストロンチウム
(BST薄膜及びSBT薄膜の場合) ストロンチウム−2−メトキシエトキシド(SRO薄膜
及びLSCO薄膜の場合) Ti原料化合物:チタンジn−ブトキシビスアセチルア
セトネート Bi原料化合物:2−エチルヘキサン酸ビスマス Ta原料化合物:タンタルペンタエトキシド La原料化合物:ランタン−2−メトキシエトキシド Co原料化合物:2−エチルヘキサン酸コバルト Ru原料化合物:2−エチルヘキサン酸ルテニウム 実施例1〜8、比較例1〜4(BST薄膜) 有機溶媒として、表1に示す溶媒を使用し、これにBa
原料化合物、Sr原料化合物及びTi原料化合物を溶解
させ、溶媒の沸点下で24時間還流して複合化を行い、
更に、表1に示すシリコーンを表1に示す量添加して
(ただし、比較例1〜4ではシリコーン添加せず)酸化
物換算で5重量%濃度の金属化合物を含有するゾルゲル
液を得た。このゾルゲル液の金属原子比はBa/Sr/
Ti=50/50/100であった。
【0060】このゾルゲル液をPt(2000Å)/S
iO(5000Å)/Si(100)ウェーハの基板
上にスピンコート法により塗布し(2000rpm、1
5秒)、400℃で5分間空気中で仮焼した。この塗
布、仮焼を5回繰返して行った後、700℃で1分間酸
素雰囲気中で焼成して結晶化アニール処理して強誘電体
薄膜を形成した。
【0061】この強誘電体薄膜のX線回折像により、薄
膜のペロブスカイト相への結晶化の有無を調べ、結果を
表1に示した。
【0062】また、膜のストリエーションについては、
各ゾルゲル液をPt(2000Å)/SiO(500
0Å)/Si(100)ウェーハの基板上にスビンコー
ト法により塗布し(2000rpm,3000rpm,
4000rpm、15秒)、400℃で5分間空気中で
仮焼したもの(1回塗り)について光学顕微鏡で観察す
ることにより調べた。
【0063】
【表1】
【0064】実施例9〜16、比較例5〜8(SBT薄
膜) 有機溶媒として、表2に示す溶媒を使用し、これにSr
原料化合物、Bi原料化合物及びTa原料化合物を溶解
させ、溶媒の沸点下で24時間還流して複合化を行い、
更に、表2に示すシリコーンを表2に示す量添加して
(ただし、比較例5〜8ではシリコーン添加せず)酸化
物換算で約12重量%濃度の金属化合物を含有するゾル
ゲル液を得た。このゾルゲル液の金属原子比はSr/B
i/Ta=50/50/100であった。
【0065】このゾルゲル液を用いて、実施例1と同様
にして強誘電体薄膜を形成し、同様に薄膜のペロブスカ
イト相への結晶化の有無及び膜のストリエーションを調
べ、結果を表2に示した。
【0066】
【表2】
【0067】実施例17〜24、比較例9〜12(LS
CO薄膜) 有機溶媒として、表3に示す溶媒を使用し、これにLa
原料化合物、Sr原料化合物及びCo原料化合物を溶解
させ、溶媒の沸点下で24時間還流して複合化を行い、
更に、表3に示すシリコーンを表3に示す量添加して
(ただし、比較例9〜12ではシリコーン添加せず)酸
化物換算で約8重量%濃度の金属化合物を含有するゾル
ゲル液を得た。このゾルゲル液の金属原子比はLa/S
r/Co=50/50/100であった。
【0068】このゾルゲル液を用いて、実施例1と同様
にして強誘電体薄膜を形成し、同様に薄膜のペロブスカ
イト相への結晶化の有無及び膜のストリエーションを調
べ、結果を表3に示した。
【0069】
【表3】
【0070】実施例25〜32、比較例13〜16(S
RO薄膜) 有機溶媒として、表4に示す溶媒を使用し、これにSr
原料化合物及びRu原料化合物を溶解させ、溶媒の沸点
下で24時間還流して複合化を行い、更に、表4に示す
シリコーンを表4に示す量添加して(ただし、比較例1
3〜16ではシリコーン添加せず)酸化物換算で約7重
量%濃度の金属化合物を含有するゾルゲル液を得た。こ
のゾルゲル液の金属原子比はSr/Ru=100/10
0であった。
【0071】このゾルゲル液を用いて、実施例1と同様
にして強誘電体薄膜を形成し、同様に薄膜のペロブスカ
イト相への結晶化の有無及び膜のストリエーションを調
べ、結果を表4に示した。
【0072】
【表4】
【0073】表1〜4より、シリコーンを配合すること
により、成膜性や結晶化等に悪影響を及ぼすことなく、
ストリエーションを解消することができることがわか
る。
【0074】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明によれば、経
時安定性、成膜後の酸化物特性が良好である上に、特に
塗布後のストリエーションの問題のないペロブスカイト
型又はBi層状ペロブスカイト型酸化物薄膜形成用原料
溶液により、高特性ペロブスカイト型又はBi層状ペロ
ブスカイト型酸化物薄膜が提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 曽山 信幸 兵庫県三田市テクノパーク12−6 三菱マ テリアル株式会社三田工場内 Fターム(参考) 4G048 AA05 AB05 AC02 AD02 AD08 AE05 AE08 4J002 CP031 CP041 EC076 EE046 EG036 EG046 FD140 FD200 HA05 HA08 (54)【発明の名称】 ペロブスカイト型又はBi層状ペロブスカイト型酸化物薄膜形成用原料溶液、ペロブスカイト型 又はBi層状ペロブスカイト型酸化物薄膜の形成方法及びペロブスカイト型又はBi層状ペロブ スカイト型酸化物薄膜

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Ba及び/又はSrを含有するペロブス
    カイト型又はBi層状ペロブスカイト型酸化物薄膜を成
    膜するための原料溶液において、 該溶液中にシリコーンを含有することを特徴とするペロ
    ブスカイト型又はBi層状ペロブスカイト型酸化物薄膜
    形成用原料溶液。
  2. 【請求項2】 請求項1において、シリコーンがジメチ
    ルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル
    及びメチル水素シリコーンオイルよりなる群から選ばれ
    る1種又は2種以上であることを特徴とするペロブスカ
    イト型又はBi層状ペロブスカイト型酸化物薄膜形成用
    原料溶液。
  3. 【請求項3】 請求項2において、シリコーンがポリジ
    メチルシロキサン及び/又はジメチルシロキサンである
    ことを特徴とするペロブスカイト型又はBi層状ペロブ
    スカイト型酸化物薄膜形成用原料溶液。
  4. 【請求項4】 請求項2において、シリコーンがポリア
    ルキレンオキシド変性シリコーン、極性シリコーン、ヒ
    ドロキシタイプシリコーン、カチオンタイプシリコーン
    及び両性タイプシリコーンよりなる群から選ばれる1種
    又は2種以上であることを特徴とするペロブスカイト型
    又はBi層状ペロブスカイト型酸化物薄膜形成用原料溶
    液。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれか1項におい
    て、シリコーンの含有量が1000ppm以下であるこ
    とを特徴とするペロブスカイト型又はBi層状ペロブス
    カイト型酸化物薄膜形成用原料溶液。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれか1項におい
    て、Ba及び/又はSrとTiを含有するペロブスカイ
    ト型酸化物薄膜を成膜するための原料溶液であることを
    特徴とするペロブスカイト型酸化物薄膜形成用原料溶
    液。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし5のいずれか1項におい
    て、Bi,Sr及びTaを含有するBi層状ペロブスカ
    イト型酸化物薄膜を成膜するための原料溶液であること
    を特徴とするBi層状ペロブスカイト型酸化物薄膜形成
    用原料溶液。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし5のいずれか1項におい
    て、Sr及びRuを含有するペロブスカイト型酸化物薄
    膜を成膜するための原料溶液であることを特徴とするペ
    ロブスカイト型酸化物薄膜形成用原料溶液。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし5のいずれか1項におい
    て、La,Sr及びCoを含有するペロブスカイト型酸
    化物薄膜を成膜するための原料溶液であることを特徴と
    するペロブスカイト型酸化物薄膜形成用原料溶液。
  10. 【請求項10】 請求項1ないし9のいずれか1項に記
    載される原料溶液を基板に塗布した後、焼成することを
    特徴とするペロブスカイト型又はBi層状ペロブスカイ
    ト型酸化物薄膜の形成方法。
  11. 【請求項11】 請求項10の方法で形成されたペロブ
    スカイト型又はBi層状ペロブスカイト型酸化物薄膜。
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