JP2001219259A - ダイカスト鋳造用金型装置 - Google Patents

ダイカスト鋳造用金型装置

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JP2001219259A
JP2001219259A JP2000402053A JP2000402053A JP2001219259A JP 2001219259 A JP2001219259 A JP 2001219259A JP 2000402053 A JP2000402053 A JP 2000402053A JP 2000402053 A JP2000402053 A JP 2000402053A JP 2001219259 A JP2001219259 A JP 2001219259A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 キャビティ内に突出部を備えるものにあっ
て、射出充填される溶湯による突出部の過大な温度上昇
を抑える。 【解決手段】 固定型と可動型13とからなる金型の型
締め状態で、それらの間にキャビティ27が構成され
る。可動型13に、鋳造品(切換作動体)の筒状部の中
空部に対応した円柱状の中子45を設け、その中子45
の途中部に、小孔形成用の中子ピンが出没移動して貫通
する嵌合孔を設ける。前記可動型13の型材26にキャ
ビティを形成するチェイス42を凹設し、上端が前記チ
ェイス42に連なる湯口28aとされた湯道28を形成
する。この湯道28の上端部を、中子45及び中子ピン
から外れた位置を、上方に扇状に拡開(噴射角度θ)す
る形態とし、湯口28aから射出された金属溶湯が中子
45及び中子ピン部分に直接当たらずに、キャビティの
他の内壁部に当たった後に到達するようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋳造品の凹部或い
は穴部を形成するための突出部をキャビティ内に備えた
金型に対し、キャビティ内に開口する湯口を有する湯道
を通して金属溶湯を射出充填するようにしたダイカスト
鋳造用金型装置に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】ダイカスト鋳造により
製造される製品として、例えば図10及び図11に示す
ような、変速歯車装置(トランスミッション)に用いら
れる切換作動体1がある。この切換作動体1は、ほぼ円
弧板状をなす主部2と、この主部2に直交する方向(図
10で左右方向)に延びる円筒状をなす筒状部3とを一
体的に備えている。また、前記主部2には円形孔4が形
成され、さらに、前記筒状部3にはねじ挿通用の小孔5
が上下方向に貫通するように形成されている。尚、図1
0に示すように、前記筒状部3は、シャフトaに嵌挿さ
れた状態で前記小孔5を通してねじ等により固定され、
また、前記円形孔4がガイドシャフトbに摺動可能に挿
通されるようになっている。
【0003】一般に、ダイカスト鋳造においては、金型
のキャビティ内にアルミ等の金属溶湯を射出充填し、溶
湯の凝固後に型開きを行って製品を取出すことが行われ
る。この場合、上記のような小孔5を有した筒状部3を
有する鋳造品にあっては、キャビティ内に、筒状部3の
中空部3aに対応した中子を設け、さらに、小孔5に関
しては、中子にその軸方向に交差する嵌合孔を形成し、
その嵌合孔に挿通される中子ピンをキャビティに対して
出没可能に設けることが行われる。
【0004】また、金型のキャビティ内に金属溶湯を射
出充填するにあたっては、金型には、先端にキャビティ
内に開口する湯口を有し、基端側が射出機構に接続され
る湯道が形成され、これと共に、キャビティ内の空気
(ガス)を排出するためのガス抜き路が形成されてい
る。そして、前記ガス抜き路からキャビティ内のガスを
吸引して負圧状態とされ、その状態で、金属溶湯が湯道
を通じて湯口からキャビティ内に射出充填されるように
なるのである。
【0005】ところで、この射出充填においては、高温
の金属溶湯が高圧で射出され、湯口から噴流状態でキャ
ビティ内に充填されるようになるのであるが、ここで、
上述のようにキャビティ内に配置される中子や中子ピン
は、細長く構成されていてキャビティの他の部分に比べ
ていわば熱容量が小さい事情があるため、湯口から射出
された溶湯がそれら中子や中子ピンに直接的に当たるよ
うなことがあると、過大に温度上昇してしまい、焼付き
や溶着等が発生する虞があった。
【0006】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、その目的は、キャビティ内に突出部を備えるものに
あって、射出充填される溶湯による突出部の過大な温度
上昇を抑えることができ、ひいては焼付きや溶着を未然
に防止することができるダイカスト鋳造用金型装置を提
供するにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のダイカスト鋳造
用金型装置は、鋳造品の外形に相当するキャビティを形
成し、そのキャビティ内に突出配置され鋳造品の凹部或
いは穴部を形成するための突出部を備えた金型と、この
金型に形成されキャビティ内に開口する湯口を有する湯
道とを備え、湯道を通してキャビティ内に金属溶湯を射
出充填するものにあって、湯口から射出された金属溶湯
がキャビティの他の内壁部に当たった後に突出部に到達
するように、湯道及び湯口を配置したところに特徴を有
する。
【0008】これによれば、湯口からキャビティ内に高
圧で射出された高温の金属溶湯は、直接的に突出部に当
たることなく、キャビティの他の内壁部に一旦当たった
後に、少なくともいわばワンクッションおいた状態で、
突出部に至るようになる。このため、金属溶湯は、その
温度がある程度低下していると共に、その流れの勢いも
低下した状態で、突出部に至ることになる。従って、射
出充填される溶湯による突出部の過大な温度上昇を抑え
ることができ、ひいては焼付きや溶着を未然に防止する
ことができる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を、変速歯車装置
(トランスミッション)に用いられる切換作動体の鋳造
に適用した一実施例について、図面を参照しながら説明
する。
【0010】まず、図10及び図11は、本実施例にお
いて鋳造される鋳造品たる切換作動体1の構成を示して
いる。この切換作動体1は、例えばアルミニウム合金か
ら構成され、ほぼ円弧板状をなす主部2と、この主部2
の両側に直交する方向(図10で左右方向)に延びる直
管円筒状をなす筒状部3とを一体的に備えている。従っ
て、筒状部3は、両端が開口し軸線が左右方向に延びる
中空部3aを有している。また、前記主部2には円形孔
4が形成されている。
【0011】さらに、前記筒状部3の図10で左側部位
には、ねじ挿通用の小孔5が、前記の中空部3a軸線と
交差する方向、この場合上下方向に直交して貫通するよ
うに形成されている。尚、図10に示すように、前記筒
状部3は、シャフトaに嵌挿された状態で前記小孔5を
通してねじ等により固定され、また、前記円形孔4がガ
イドシャフトbに摺動可能に挿通されるようになってい
る。
【0012】次に、上記切換作動体1を鋳造するための
ダイカスト鋳造装置6の構成について、以下述べる。図
3は、本実施例に係るダイカスト鋳造装置6の全体の外
観を概略的に示しており、このダイカスト鋳造装置6
は、大きく分けて、鋳造を行う本実施例に係る金型装置
7と、この金型装置7に対して金属溶湯を射出充填する
ための射出機構8とを備えて構成されている。
【0013】このうち金型装置7は、ベース9上に、図
で右端部に位置して固定盤10を設けると共に、その左
側に対向して可動盤11を接離方向(左右方向)に移動
可能に設けて構成されている。そして、詳しくは後述す
るが、前記固定盤10に設けられた固定型12と、前記
可動盤11に設けられた可動型13とから金型14が構
成される。また、前記可動盤11(可動型13)は、シ
リンダ15やトグルリンク機構16等からなる型駆動機
構17により移動され、もって型締め,型開きが行われ
るようになっている。尚、この金型装置7には、前記金
型14に離型剤を噴霧塗布するための図示しないスプレ
ー装置も設けられている。
【0014】一方、前記射出機構8は、図4に示すよう
に、前記固定型12の下端部の鋳込口18に先端が接続
され、右方に延びる射出スリーブ19と、この射出スリ
ーブ19内を摺動しながら前進,後退するプランジャ2
0と、このプランジャ20を可変速で往復動させる図示
しない駆動装置を備えている。そして、図3に示すよう
に、金属(アルミニウム合金)の溶湯をほぼ一定温度
(例えば730℃)に保持する溶湯保持炉21を備える
と共に、その溶湯保持炉21内の金属溶湯を、前記射出
スリーブ19の給湯口19a(図4参照)から所定量ず
つ内部に注ぎ込む自動給湯装置22を備えている。
【0015】ここで、前記金型14部分の構成につい
て、図1,図2並びに図5〜図9も参照して詳述する。
図5は、金型14の型締め状態における、前後方向のほ
ぼ中心線(図6のA−A線)に沿う縦断面を示してい
る。前記固定型12は、図6にも示すように、矩形ブロ
ック状をなす基体23の中央の矩形状の凹所内に、所定
の強度及び熱応力等を有する材料から構成された型材2
4を嵌合固定して構成されている。一方、前記可動型1
3も、図7にも示すように、矩形ブロック状をなす基体
25の中央の矩形状の凹所内に、同様の型材26を嵌合
固定して構成されている。
【0016】金型14の型締め状態においては、前記型
材24と型材26との間に、鋳造品(切換作動体1)の
外形に対応したキャビティ27が形成されると共に、そ
のキャビティ27内に溶湯を導くための湯道28が上下
方向に延びて形成されるようになっている。また、前記
湯道28の先端部(上端部)には湯口28aが形成され
る。この場合、キャビティ27は、切換作動体1をその
主部2の板厚方向中心線(図10に示す中心線L)で左
右に分割したパーティング面とするように設けられる。
これらキャビティ27及び湯道28の詳細については後
述する。
【0017】そして、前記固定型12の基体23には、
前記型材24の下部に位置して左右方向に貫通する円形
の貫通孔が形成され、この貫通孔にほぼ円筒状の鋳込口
ブッシュ29が嵌込まれている。この鋳込口ブッシュ2
9の右端部が、図4にも示すような鋳込口18とされて
いる。この鋳込口ブッシュ29の内周壁は、図で右半部
が直管状をなし、左半部が左方にいくにつれて次第に径
大となるテーパ状に構成されている。
【0018】一方、前記可動型13の基体25には、前
記型材24の下部に位置して分流子30が設けられてい
る。この分流子30は、テーパ筒状をなし先端側がパー
ティング面から右方に突出するように設けられている。
金型14の型締め状態においては、分流子30の先端部
が、鋳込口ブッシュ29のほぼ半部まで挿入され、もっ
て鋳込口ブッシュ29の上部側の内周壁との間に、前記
湯道28に繋がる細い溶湯案内溝31が形成されるよう
になっている。
【0019】これにて、金型14の型締め状態におい
て、前記射出機構8の射出スリーブ19内に金属溶湯が
供給され、プランジャ20が左方へ向けて前進されるこ
とにより、射出スリーブ19内の溶湯が鋳込口18から
鋳込口ブッシュ29の右半部の径大な中空部に押出さ
れ、さらに、溶湯案内溝31及び湯道28を順に通っ
て、湯口28aからキャビティ27内に射出されるよう
になっているのである。尚、その際、プランジャ20の
先端部は、分流子30の先端部に僅かな隙間を存して近
付く位置まで前進されるようになっており、鋳込成形時
には、プランジャ20の先端部と分流子30の先端部と
の間において、金属溶湯が硬化したビスケットeが形成
されるようになっている。
【0020】さらに、前記固定型12には、図6に示す
ように、基体23の四隅部に位置してその表面部から左
方に突出する4本のガイドポスト32が設けられてい
る。また、固定型12には、基体23及び型材24の双
方を前後方向に貫通するように、型材24の温度調整用
の流体が循環する循環路33が上下に位置して設けられ
ている。詳しく図示はしないが、固定型12には、鋳造
品を押出すための複数の押出ピン及びそれら押出ピンを
駆動する機構等からなる押出装置34(図5に一部のみ
図示)が設けられている。尚、基体23には、2か所に
位置して吸引口35が表面に開口するように形成されて
いる。
【0021】一方、前記可動型13の基体23には、図
7に示すように、前記各ガイドポスト32に嵌挿されて
摺動する4個のガイド孔36が形成されており、可動型
13は、ガイドポスト32に案内されることによって固
定型12に対して平行を保って接離されるようになって
いる。また、この可動型13にも、型材24の温度調整
用の流体が循環する上下2本の循環路37が設けられて
おり、さらに、前記分流子30の内部にも、冷却水循環
路38(図5参照)が設けられている。
【0022】尚、図示はしないが、前記循環路33、循
環路37並びに冷却水循環路38は、パイプ等を介して
温度調整装置に接続され、適切な温度の流体が循環され
るようになっている。この温度調整装置により、両型材
24,26の温度が調整されてキャビティ27内に充填
された金属溶湯の凝固,収縮が遅れるようになっている
と共に、分流子30部分の温度が調整されて前記ビスケ
ットe部分が、製品と同等の時期あるいはやや遅れて半
凝固状態とされるようになっている。
【0023】そして、図5に一部のみ示すように、この
可動型13にも、鋳造品を押出すための複数の押出ピン
39a及びそれら押出ピン39aを駆動する機構等から
なる押出装置39が設けられている。後述するように、
この押出装置39により、半凝固状態となった鋳造品が
中子から脱出されるようになっており、以てこの押出装
置39が脱出機構として機能するのである。この場合、
押出ピン39aは、前記湯道28や溶湯案内溝31等で
硬化した(半凝固状態となった)金属(いわゆるランナ
残り)についてもそれを押出すように設けられている。
【0024】さて、前記キャビティ27及び湯道28部
分について詳述する。まず、前記固定型12の型材24
の表面部には、図6に示すように、鋳造品(切換作動体
1)の右半部に対応したほぼ円弧状のチェイス40が凹
設されている。また、このチェイス40には、切換作動
体1の円形孔4を形成するための円形の凸部40aが形
成されていると共に、図1にも示すように、筒状部3の
右半部の外形に対応した円形穴40bが形成されてい
る。そして、図8にも示すように、この型材24の表面
部には、前記湯口28aの半部を構成するためのランド
41がそのチェイス40の下縁部の中央部に沿って円弧
状に形成されている。
【0025】これに対し、前記可動型13の型材26の
表面部には、図7に示すように、鋳造品(切換作動体
1)の左半部に対応し、前記チェイス40との間でキャ
ビティ27を構成するほぼ円弧状のチェイス42が凹設
されている。また、この型材26には、下端が前記溶湯
案内溝31から連続して上方に延び、上端が前記チェイ
ス42に連なる湯口28aとされた湯道28が形成され
ている。この湯道28は、その上端部が上方に扇状に拡
開(噴射角度θ)する形態をなすと共に、図5,図8に
示すように、上部部分には、湯口28aに向かって浅底
となる斜面状のフィード28bが形成されている。
【0026】また、図7に示すように、この可動型13
の表面部には、チェイス42の両端のガス抜き口43a
から夫々キャビティ27内の空気(あるいはガス)を排
出するための2本のガス抜き路43が形成されている。
これらガス抜き路43は、型材26から基体25にかけ
て延び、図9にも示すように、金型14の型締め状態
で、その基端部が夫々前記固定型12の吸引口35に接
続されるようになっている。前記吸引口35の基端側
は、図示しない減圧装置に接続されている。
【0027】これにて、金型14の型締め状態で、減圧
装置が駆動されることにより、キャビティ27内の空気
(ガス)が、ガス抜き口43aからガス抜き路43を通
りさらに吸引口35を通して外部に排出されるようにな
っている。またこのとき、ガス抜き路43の途中部(ガ
ス抜き口43の近傍)には、キャビティ27内からオー
バーフローした金属溶湯を逃がすための湯溜り44が形
成されている。
【0028】そして、前記チェイス42には、図1,図
2にも示すように、前記筒状部3の左半部の外形に対応
した円形穴42aが形成されていると共に、その円形穴
42aの底部から鋳造品の抜き方向である右方(固定型
12側)に突出して前記筒状部3の中空部3a全体を形
成するための突出部たる円柱状の中子45が設けられて
いる。この中子45は、抜き勾配を有しない均一な外径
を有して構成されており、その外周面が鏡面仕上げされ
て、鋳造品の筒状部3の中空部3aにその表面状態が転
写されるようになっている。また、本実施例では、図1
に示すように、金型14の型締め状態では、この中子4
5の先端部が前記固定型12のチェイス40の円形穴4
0bの底部に当接するようになっている。
【0029】このとき、図1及び図2に示すように、こ
の中子45の途中部には、小孔5の軸線方向に延びて、
後述する小孔5形成用の中子ピン46が貫通する嵌合孔
45aが形成されている。尚、この中子45の外径寸法
と前記筒状部3の中空部3aの内径寸法との関係は、図
13に示す通りとされている。
【0030】さらに、可動型13には、小孔5形成用の
突出部たる中子ピン46が次のようにして設けられてい
る。即ち、図1,図2及び図7に示すように、可動型1
3の基体25部分には、型材26の中央やや左寄り部位
から上方に延びる摺動凹部25aが形成されており、そ
の摺動凹部25a内に摺動体47が上下に摺動自在に設
けられている。中子ピン46は、抜き勾配を有しない均
一外径の長尺な丸棒状をなし、摺動体47に下向きに突
出するように設けられている。この中子ピン46の表面
も鏡面仕上げされている。尚、この中子ピン46の外径
寸法と前記筒状部3に形成される小孔5の内径寸法との
関係は、図13に示す通りとされている。また、図示は
していないが、前記中空部3aの長手方向の寸法は、6
0mmとされている。
【0031】このとき、前記型材26には、前記中子4
5の嵌合孔45aの延長線上を上方に延びて貫通孔26
aが形成されており、前記中子ピン46の先端部はその
貫通孔26aに挿通されている。このとき、図12に示
すように、前記中子ピン46の先端部はいわゆる面取り
された形態とされている。また、図1及び図2に示すよ
うに、型材26のチェイス42の円形穴42aの内周壁
の下部側には、嵌合孔45aの延長線上、下方に位置し
て前記中子ピン46の先端が嵌合する嵌入穴42bが形
成されている。図12に示すように、この嵌入穴42b
は、その開口部分がテーパ状に拡開する形態に設けられ
ている。
【0032】これにて、中子ピン46は、摺動体47が
摺動凹部25aの下端部に位置する状態で、図1に示す
ように、貫通孔26aを通してキャビティ27内に突出
し、嵌合孔45aを貫通して先端が嵌入穴42bに嵌入
した突出位置に位置されるようになっている。これに対
し、摺動体47が摺動凹部25aの上部に移動されるこ
とにより、図2に示すように、中子ピン46がキャビテ
ィ27内から退避し、その先端が貫通孔26aの途中部
位に位置する没入位置に移動されるようになっている。
【0033】そして、図1及び図7に示すように、前記
摺動体47の上部には、上方に延びるバー48が設けら
れ、このバー48が可動型13の上端にばね49により
上方に付勢された状態で支持されている。これと共に、
図2にも示すように、摺動体47には、前記固定型12
(右方)に向けて下降傾斜するガイド孔47aが貫通形
成されており、これに対し、前記固定型12には、前記
ガイド孔47aに対応して左方に向けて上昇傾斜するガ
イドピン50が、可動型13側に突出して設けられてい
る。
【0034】このガイドピン50は、図2に示すよう
に、金型14の型開き状態では、摺動体47のガイド孔
47aから離間し、もって中子ピン46が没入位置に位
置されている。一方、可動型13が固定型12に対して
接触する方向に移動されると、ガイドピン50が相対的
にガイド孔47aに挿入されていき、このときそれらが
傾斜していることよって摺動体47がばね39の力に抗
して下方に移動していく。そして、図1に示すように、
金型14の型締め状態では、中子ピン46が突出位置に
位置されるようになっている。従って、ガイド孔47a
やガイドピン50等から、中子ピン46を突出位置と没
入位置との間を移動させる移動機構が構成されているの
である。
【0035】ここで、本実施例では、図7に示すよう
に、突出部としての中子45及び中子ピン46が、前記
湯道28のキャビティ27内に延びる仮想線から外れた
位置、つまり湯口28aからの溶湯の噴射角度θから外
れて位置されるように、キャビティ27(湯道28及び
湯口28a)が形成されているのである。つまり、次の
作用説明でも述べるように、湯口28aから射出された
金属溶湯が、キャビティ27の他の内壁部に当たった後
に、中子45及び中子ピン46部分に到達するように、
湯道28及び湯口28aが配置されているのである。
【0036】次に、上記構成のダイカスト鋳造装置6を
用いて切換作動体1を鋳造する鋳造方法について、図1
4及び図15も参照して述べる。図14は、本実施例に
おける鋳造条件を示しており、また、図15は、本実施
例における1サイクルの鋳造の工程と各装置の動作との
関係を示している。図15に示すように、切換作動体1
の鋳造は以下の6工程を経て行われる。
【0037】即ち、まず第1工程では、金型14の型開
き状態で、スプレー装置が作動されて金型14の中子4
5や中子ピン46を含むキャビティ27や湯道28部分
等に離型剤が噴霧塗布される。中子ピン46について
は、型材26からの露出部分に離型剤が塗布されること
になる。このときには、可動型13が固定型12から離
間しているので、図2に示すように、中子ピン46につ
いては没入位置に位置している。尚、この第1工程から
第6工程まで、温度調整装置は継続して動作され、金型
14は所定の温度に制御されるようになっている。
【0038】次の第2工程では、型駆動機構17により
金型14の型締めが行われる。この型締めにより、図5
に示すように、可動型13が固定型12に接合されてそ
れらの間にキャビティ27,湯道28及び溶湯案内溝3
1等が形成されるようになる。このとき、図1に示すよ
うに、可動型13側に設けられた中子45の先端が、固
定型12の円形穴40内に侵入してその底面に衝接し
て、キャビティ27には筒状部3に対応した空間が形成
される。そして、これと共に、ガイド孔47aとガイド
ピン50との作用により、中子ピン46が下方に移動
し、貫通孔26aを通してキャビティ27内に突出し、
嵌合孔45aを貫通して先端が嵌入穴42bの嵌入した
突出位置に移動され、小孔5に対応した位置に中子ピン
46が位置されるようになる。
【0039】引続き第3工程にて、金型14の型締め状
態において、減圧装置が作動されてキャビティ27内の
空気(ガス)が吸引されて負圧状態となると共に、射出
機構8により所定量の金属溶湯が射出スリーブ19から
鋳込口18を通して金型14内に射出充填される。これ
にて、金属溶湯が、溶湯案内溝31,湯道28を順に通
って湯口28aからキャビティ27内に射出充填される
ようになる。このとき、キャビティ27内は負圧状態と
されているので、充填される金属溶湯の湯回りが良好と
なる。また、金属溶湯は若干余分に充填されるが、その
余剰分を湯溜り44に逃がすことができる。
【0040】また、このとき、金属溶湯はいわば滝のよ
うな激流状態でキャビティ27内に射出される事情があ
るが、ここでは、図7に示すように、中子45(及び中
子ピン46)が湯道28のキャビティ27内に延びる仮
想線から外れて位置されているので、湯口28aからキ
ャビティ27内に射出された金属溶湯が、中子45及び
中子ピン46に直接的に当たることはなく、キャビティ
27の内壁に一旦当接して分散した上で充填されるよう
になる。
【0041】これにより、湯口28aからキャビティ2
7内に高圧で射出された高温の金属溶湯は、少なくとも
いわばワンクッションおいた状態で、中子45及び中子
ピン46部分に至るようになり、このため、金属溶湯
は、その温度がある程度低下していると共に、その流れ
の勢いも低下した状態で、中子45及び中子ピン46の
周囲に充填されるようになる。従って、中子45及び中
子ピン46の過大な温度上昇を防ぐことができるのであ
る。尚、射出機構8のプランジャ20は、鋳込口ブッシ
ュ29内を図5に二点鎖線で示す位置まで前進するので
あるが、少なくとも溶湯が半凝固状態となるまではその
位置に保持されるようになる。
【0042】キャビティ27内への金属溶湯の充填が完
了すると、キャビティ27内の金属溶湯の温度が下がり
始めるのであるが、次の第4工程は、金型14の型締め
状態を保ったまま、金属溶湯が半凝固状態となるのを待
つ工程となる。この金属溶湯の半凝固状態とは、より具
体的には、キャビティ27内の溶湯がその表面部におい
ては凝固状態であるが内部については未だ融体である状
態(ゲル状態)であり、凝固収縮が始まる前の状態をい
う。また、ここでいう融体とは、その固さを感覚的に表
現すると、餅のような状態、あるいはプリンや豆腐のよ
うな状態をいう。本実施例では、温度調整装置により、
この半凝固状態が比較的長く続くようにしている。
【0043】キャビティ27内の金属溶湯が半凝固状態
となると、次の第5工程では、型駆動機構17による金
型14の型開きが行われると共に、固定型12側の押出
装置34が駆動されるようになる。これにより、半凝固
状態の鋳造品が、可動型13と一体的に固定型12から
離型されるようになると共に、可動型13の移動によっ
て中子ピン46がキャビティ27から抜け出して没入位
置に移動するようになる。このとき、中子ピン46の抜
出しは、溶湯金属の収縮に起因する中子ピン46に対す
る締付け力の発生がない或いはほとんどない状態で行う
ことができ、中子ピン46の抜き勾配が零でもスムーズ
に抜出すことができ、また、細長い中子ピン46に大き
な応力が作用することもなく、折れ等の不具合を生じな
いのである。
【0044】引続き、第6工程では、金属溶湯(鋳造
品)が半凝固状態の時点で、可動型13の押出装置39
が駆動され、鋳造品(切換作動体1)が中子45から脱
出される。このときも、溶湯金属の収縮に起因する中子
45に対する締付け力の発生がほとんどない状態で鋳造
品の中子45からの脱出を行うことができ、中子45の
抜き勾配が零でもスムーズに鋳造品を離型させることが
できる。尚、このとき、湯道28及び溶湯案内溝31に
て凝固したランナや、前記ビスケットeについても可動
型13から取外され、鋳造品(切換作動体1)と分離さ
れる。
【0045】上記のようにして鋳造された切換作動体1
は、中空部3aを有した筒状部3を一体に備えると共
に、その筒状部3に小孔5が予め形成されたものとな
る。このとき、中子45及び中子ピン46に、抜き勾配
を設ける必要がなくなったので、筒状部3の中空部3a
の内周面及び小孔5の内周面に対する寸法精度も高いも
のとなり、その後の寸法を出すための精密な切削加工等
を不要とすることができるのである。
【0046】このように本実施例によれば、金型14に
キャビティ27及び湯道28を形成するに際し、中子4
5及び中子ピン46が、湯口28aからの溶湯の噴射角
度θから外れて位置され、湯口28aから射出された金
属溶湯がキャビティ27の他の内壁部に当たった後に中
子45及び中子ピン46部分に到達するように構成した
ので、金属溶湯の温度がある程度低下すると共に、その
流れの勢いも低下した状態で、中子45及び中子ピン4
6の周囲に充填させることができた。この結果、溶湯が
直接的に噴射されることによる中子45及び中子ピン4
6の過大な温度上昇を防ぐことができ、ひいては、それ
らの焼付き,溶着等を未然に防止することができるとい
う優れた効果を奏する。
【0047】また、特に本実施例では、中空部3aを有
した筒状部3及びそれと交差する小孔5を有する鋳造品
(切換作動体1)を製造するにあたって、金型14のキ
ャビティ27内に、抜き勾配を有しない中空部3a形成
用の中子45を配置すると共に、金型14の型締め状態
で、抜き勾配を有しない小孔5形成用の中子ピン45を
中子45の嵌合孔45aに挿通された状態で配置させる
ようにし、金属溶湯の凝固収縮前の半凝固状態にて、中
子ピン46を鋳造品から抜出すと共に、鋳造品を中子4
5から脱出させるようにした。
【0048】これにより、鋳造において正規の寸法の筒
状部3を形成することを可能とすると共に小孔5につい
ての形成をも可能とし、鋳造品の筒状部3の内面及び小
孔5の内周面に対する寸法を出すための精密な切削加工
が不要となり、しかも、鋳造後の面倒な孔明け等の機械
加工を不要とすることができるようになったのである。
従って、取出された鋳造品(切換作動体1)に対して何
ら後加工をせずにあるいはゲート残りの処理、バリ取り
等の外観を整える程度の僅かな仕上げを施すだけで済
み、製造コストの大幅な低減を図るというメリットを得
ることができるものである。
【0049】尚、上記実施例では、中子45及び中子ピ
ン46の抜き勾配を零とするように構成したが、抜き勾
配を設けたものであっても良く、また、突出部として
は、別体に構成された中子45や、キャビティ27内に
出没移動する中子ピン46に限らず、金型(型材のチェ
イス)に一体に形成された突出部等であっても、本発明
を適用することにより、同様の作用,効果を得ることが
できる。その他、本発明は上記実施例に限定されるもの
ではなく、例えば鋳造品としては切換作動体1に限ら
ず、ダイカスト鋳造全般に適用することができる等、要
旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得るもので
ある。
【0050】
【発明の効果】以上の説明にて明らかなように、本発明
のダイカスト鋳造用金型装置によれば、キャビティ内に
突出部を備えるものにあって、湯口から射出された金属
溶湯がキャビティの他の内壁部に当たった後に突出部に
到達するように、湯道及び湯口を配置したので、射出充
填される溶湯による突出部の過大な温度上昇を抑えるこ
とができ、ひいては焼付きや溶着を未然に防止すること
ができるという優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すもので、金型の型締め
状態における縦断正面図(図7のB−B線に沿う断面
図)
【図2】型開き状態における可動型の縦断正面図(図7
のB−B線に沿う断面図)
【図3】ダイカスト鋳造装置の全体の概略的正面図
【図4】射出機構部分の縦断正面図
【図5】型締め状態における金型の縦断正面図(図6の
A−A線に沿う断面図)
【図6】固定型の左側面図
【図7】可動型の右側面図
【図8】湯口部分の拡大縦断正面図
【図9】図7のC−C線に沿う吸引口部分の拡大縦断面
【図10】切換作動体の正面図
【図11】図10のD−D線に沿う切換作動体の縦断側
面図
【図12】嵌入穴部分の拡大図
【図13】各部の寸法関係を示す図
【図14】鋳造条件を示す図
【図15】工程と各機構の動作の関係を示す図
【符号の説明】
図面中、1は切換作動体(鋳造品)、3は筒状部、3a
は中空部、5は小孔、6はダイカスト鋳造装置、7は金
型装置、8は射出機構、12は固定型、13は可動型、
14は金型、17は型駆動機構、27はキャビティ、2
8は湯道、28aは湯口、39は押出装置(脱出機
構)、40,42はチェイス、41はランド、43はガ
ス抜き路、43aはガス抜き口、45は中子(突出
部)、45aは嵌合孔、46は中子ピン(突出部)を示
す。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋳造品の外形に相当するキャビティを形
    成し、そのキャビティ内に突出配置され前記鋳造品の凹
    部或いは穴部を形成するための突出部を備えた金型と、
    この金型に形成され前記キャビティ内に開口する湯口を
    有する湯道とを備え、前記湯道を通して前記キャビティ
    内に金属溶湯が射出充填されるものであって、 前記湯口から射出された金属溶湯が、前記キャビティの
    他の内壁部に当たった後に前記突出部に到達するよう
    に、前記湯道及び湯口が配置されていることを特徴とす
    るダイカスト鋳造用金型装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN116274946A (zh) * 2023-04-05 2023-06-23 宁波赛维达技术股份有限公司 一种新能源混动变速箱的压铸模具

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