JP2001219236A - 焼結合金の熱間鍛造における金型潤滑方法 - Google Patents

焼結合金の熱間鍛造における金型潤滑方法

Info

Publication number
JP2001219236A
JP2001219236A JP2000028521A JP2000028521A JP2001219236A JP 2001219236 A JP2001219236 A JP 2001219236A JP 2000028521 A JP2000028521 A JP 2000028521A JP 2000028521 A JP2000028521 A JP 2000028521A JP 2001219236 A JP2001219236 A JP 2001219236A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lubricant
mold
oil
hot forging
sintered alloy
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2000028521A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3785015B2 (ja
Inventor
Zenzo Ishijima
善三 石島
Takashi Iwama
隆 岩間
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Resonac Corp
Original Assignee
Hitachi Powdered Metals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Powdered Metals Co Ltd filed Critical Hitachi Powdered Metals Co Ltd
Priority to JP2000028521A priority Critical patent/JP3785015B2/ja
Publication of JP2001219236A publication Critical patent/JP2001219236A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3785015B2 publication Critical patent/JP3785015B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 焼結合金の素材を比較的低い温度で熱間鍛造
を連続的に行うための潤滑方法を提供する。 【解決手段】 加熱した金型内面に液状潤滑剤を噴霧し
た後、加熱した焼結合金の素材を導入して熱間鍛造を行
なう場合に、前記液状潤滑剤の噴霧が(1)エマルジョ
ン潤滑剤を噴霧する工程と、(2)その後、固体潤滑剤
粒子を水に分散させた水性潤滑剤を1回もしくは複数回
噴霧する工程とからなることを特徴とする焼結合金の熱
間鍛造における金型潤滑方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、焼結合金の素材
を熱間鍛造するときの金型潤滑方法に関するものであ
り、特に高密度の焼結アルミニウム合金製の機械部品を
製造する際に有効な方法である。
【0002】
【従来の技術】機械部品を製作する方法の一つとして、
粉末冶金法と鍛造とを組合せる方法がある。すなわち、
まず粉末冶金法により製品の機能に必要な材料設計を行
なって近似した形状の素材を作り、次いで素材中の気孔
を減少させて必要な強度を得るために熱間鍛造を行な
う。熱間鍛造時においては、素材と工具の面は高温高圧
の状態にあり、素材が金型のキャビティ面に付着し易い
ために、摩擦剪断係数を低下させる必要がある。そのた
めに金型の内面に潤滑剤を塗布する。金型の潤滑は、特
に軽合金の焼結素材を扱う場合には必須である。潤滑剤
の塗布には、均一な塗布が可能でありかつ自動化し易い
という理由からスプレーを用いることが多い。潤滑剤と
しては、被膜形成機能に優れ、かつ500℃程度まで摩
擦係数が低い固体潤滑剤である黒鉛が最も多く使用され
ている。特にアルミニウム鍛造における潤滑には固体潤
滑剤として黒鉛を含有するものが優れているといわれて
いる。潤滑剤としては、流動性の分散媒に黒鉛等の固体
潤滑剤粒子を沈殿しないように分散させたものが用いら
れる。分散媒としては油性、水性およびエマルジョン系
のものがある。
【0003】これらの潤滑剤のうち、油を分散媒として
用い固体潤滑剤粒子を分散させた油性潤滑剤は、広範囲
の金型温度において成膜が迅速に進行することが利点と
されている。すなわち、潤滑成分が高温の金型に接する
際に金型内面を濡らし、油の表面張力により適用面に十
分に広がり、固体潤滑剤粒子を均一に分散させること、
油が蒸発して生ずるガスのクッション効果を伴い潤滑す
ること、また固体潤滑剤粒子に油が吸着するので粒子の
潤滑機能がより効果的に発揮されることなどの理由によ
り、特にアルミニウム合金の熱間鍛造の温度範囲におい
て良好な潤滑性を示すと言われている。一方、油性潤滑
剤には燃焼油煙が発生し、発火し易いという点に問題が
ある。
【0004】黒鉛等の固体潤滑剤粒子を分散した水性潤
滑剤は、分散媒として水を主成分とし、固体潤滑剤粒子
の分散性を良好にするために分散剤や粘度調整剤等を添
加したものである。水性潤滑剤の場合には、水分が蒸発
するために、ほとんど固体潤滑剤粒子の乾燥被膜による
潤滑が行なわれる。また、水性潤滑剤は金型の冷却効果
が大きいので、金型が局部的に軟化変形する懸念は少な
い。いずれの潤滑剤においても、金型温度が高い状態で
は、金型内面で液をはじく現象が起こって塗膜厚さが不
均一になり易く、摩擦剪断係数が大きくなることがある
が、金型冷却効果によって比較的低い温度に維持すれ
ば、均一な潤滑塗膜を形成することができる。さらに、
水性潤滑剤は油性潤滑剤に比べて発火性などの面で安全
である。
【0005】黒鉛等の固体潤滑剤粒子を分散させたエマ
ルジョン系潤滑剤は、油性潤滑油が有する潤滑性と水性
潤滑油が有する清浄で安全な利点とを併有している。分
散媒は水が主成分であるが、潤滑油が乳化されているの
で、金型内面に付着した被膜はやや油性潤滑剤に似た特
性を示す。しかし前記水性潤滑剤に比べて冷却効果は劣
る。一方、水性潤滑剤よりも過冷却を防ぐことができる
ので、場合によっては油性潤滑剤の代替とすることがあ
る。
【0006】熱間鍛造における潤滑剤の使用条件は、希
釈倍率、塗布量、金型温度などと潤滑性能との関係が定
式化されていないため、経験により適宜定めている。焼
結合金素材がアルミニウム、マグネシウム等の軽金属で
あり、金型温度が比較的低い場合には、水性潤滑剤を使
用し、精密鍛造などのように金型温度が比較的高い場合
には油性潤滑剤を用いることが好ましいとされている。
また、鉄系の焼結合金素材を処理する場合には水性潤滑
剤を主として用いる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】200から400℃程
度の温度に加熱した金型内面に、上記のような固体潤滑
剤粒子を分散させた潤滑剤を噴霧塗布する場合、一般的
には温度が高いほど金型内面に対する濡れが悪いので、
広い温度範囲で比較的均一な塗布を行ない鍛造欠陥の生
じ難いものを製造する場合には、油性潤滑剤が好まし
い。しかし、油性潤滑剤は、噴霧後短時間で油分が発煙
したり発火するために、その対策として大規模な装置が
必要になる。そのほか、焼結合金素材の気孔に油の一部
が含浸して鍛造された表面に材料欠陥を生じることがあ
り、また潤滑剤の汚れを除去し難いため、取り扱いに手
間が掛かるという問題もあるので、使用を避けることが
好ましい。さらに、塗布した潤滑剤は、鍛造を繰り返す
間に金型キャビティの角部等に堆積し、鍛造したワーク
に欠肉などが生ずるため、堆積物の除去が必要であり、
生産性を低下させるという問題点も挙げられる。
【0008】固体潤滑剤粒子を分散させた潤滑剤が水性
またはエマルジョン系であれば発煙や発火の問題は改善
されるが、金型の温度が比較的高いときには潤滑剤の金
型内面に対する濡れが劣るため、潤滑被膜が不均一にな
り、潤滑効果が減少する。また、金型のキャビティ内に
潤滑剤が堆積することは上記の油性潤滑剤の場合と同様
である。
【0009】例えば、焼結アルミニウム合金の場合に
は、鉄合金よりも熱伝導率が良好なため、熱間鍛造を行
なう際に金型の加熱が必要になる。鍛造温度を高くする
と、必要な変形量にするための鍛造加圧力を低くし得る
利点はあるが、高温に加熱した金型に対する潤滑剤の濡
れが低温のときよりも劣るため、潤滑被膜が不均一にな
ったり、金型の損傷等が生ずるので好ましくない。その
ため、金型を比較的低い温度に加熱し、必要な鍛造変形
量にする手段としてフリクションプレス機のように加圧
速度が速い装置を用いて素材の温度が著しく低下する前
に鍛造を行う手段が用いられている。このようにした場
合にも、水性またはエマルジョン系の潤滑剤を適用する
ときには、数回の熱間鍛造の繰り返しにより鍛造された
ワークにカジリを生じ、しかも金型のダイに嵌合してい
るパンチの作動が滑らかでなくなり、さらに固体潤滑剤
粒子を分散させた潤滑剤が金型キャビティの角部に堆積
するために金型の清掃が必要になる等の問題が発生す
る。この発明は、上記のような従来の課題を背景とし
て、比較的低い温度の熱間鍛造で連続的に鍛造すること
ができる潤滑方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、この発明においては、加熱した金型内面に液状潤滑
剤を噴霧した後、加熱した焼結合金の素材を導入して熱
間鍛造を行なう場合に、上記液状潤滑剤の噴霧が(1)
固体潤滑剤粒子を含まないエマルジョン潤滑剤を噴霧す
る工程と、(2)その後、固体潤滑剤粒子を水に分散さ
せた水性潤滑剤を1回または複数回噴霧する工程とから
なることを特徴としており、固体潤滑剤粒子としては、
黒鉛、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、弗化黒
鉛等を利用することができる。上記(1)において噴霧
するエマルジョン潤滑剤が油(好ましくはイオウ系、リ
ン系および塩素系の極圧添加剤からなる群から選ばれる
少なくとも1種を含む油)0.5〜30質量%を含有す
るO/Wエマルジョンであり、次いで噴霧する水性潤滑
剤は固体潤滑粒子として黒鉛1〜25質量%を含有する
ものである場合に好適な結果が得られる。このような潤
滑方法は、焼結合金の素材がアルミニウム合金である場
合に特に適するものである。上記のイオウ系極圧添加剤
としては、硫化油脂、硫化オレフィン、硫化鉱油、ジア
ルキルジサルファイド、ジアルキルポリサルファイドな
どを例示することができる。リン系極圧添加剤として
は、リン酸エステル(塩)系、亜リン酸エステル(塩)
系、チオリン酸エステル(塩)系、ホスフィン系などの
例を挙げることができる。また、塩素系極圧添加剤とし
ては塩素化パラフィンなどを使用することができる。
【0011】上記のようにエマルジョン潤滑剤および水
性潤滑剤を噴霧塗布することによって連続的に鍛造する
ことが可能になる。この理由は明らかではないが、次の
ように考えられる。温度250℃程度に加熱した金型
に、従来の固体潤滑剤粒子を分散した水性潤滑剤または
固体潤滑剤粒子を分散したO/Wエマルジョン潤滑剤を
噴霧すると、前者の場合には、粘性の高い油分を含まな
いため噴霧する際にミストを細かくすることができる。
細かいミストは複雑な形状の金型においてもキャビティ
内部に均一に塗膜を形成することができる。また、水の
気化により金型内面が冷却され金型の濡れが向上し、薄
く均一な塗膜を形成できる。この塗膜は、上記水性潤滑
剤に粘度の調整および固体潤滑剤粒子の分散性改善のた
めに添加したカルボキシメチルセルロース(CMC)な
どの有機化合物、あるいは水ガラス(珪酸ナトリウム)
などの無機化合物が粘着剤として作用するため、金型内
面への密着性が良好である。一方、アルミニウム等の軽
金属類を鍛造する場合には、固体潤滑剤の乾燥被膜のみ
では潤滑性が不足し、それを補うために多量の噴霧を行
なうことが必要になり、その結果鍛造ワークの表面が荒
れて、金型キャビティに潤滑剤が堆積し易くなる。
【0012】後者のO/Wエマルジョン潤滑剤の場合に
は、初期段階では水が沸騰気化して水分が減少し、固体
潤滑剤と油分の塗膜になった後、油分が気化する過程
で、金型内面の濡れは改善される。しかしながら、固体
潤滑剤の濃度が高い部分と低い部分が生じることおよび
水性のものはミストを細かくすることができないので、
形成された塗膜の厚みに不均一な個所が生ずる。また、
水性潤滑剤に比べて被膜の密着性が悪いため、素材投入
時には、形成された被膜が剥離し易い。以上の理由によ
り、油の潤滑効果が加わっているにも拘わらず、十分な
潤滑効果が得られないものと考えられる。また、油分が
残っている状態で、加熱した素材を金型に導入して加圧
すると、油と固体潤滑剤の潤滑被膜には粘性が残ってい
るため、素材の気孔中に潤滑被膜が侵入して鍛造体表面
近傍を汚損し、表面欠陥の原因となる懸念もある。
【0013】一方、本発明の潤滑方法によれば、最初に
エマルジョン潤滑剤(固体潤滑剤粒子を含まない)を噴
霧することにより、水が気化して金型内面が冷却される
ために金型面の濡れは向上し、油分は金型内面を薄く覆
う状態になる。気化した水は金型キャビティに充満して
おり、油の蒸発を抑制する役割も果たす。引き続き固体
潤滑剤粒子を分散させた水性潤滑剤を噴霧すると、水が
気化して乾燥した固体潤滑剤の塗膜が油膜面の上に形成
されるものと考えられる。この方法により形成する潤滑
被膜は、金型内面側から順に、それぞれ均一かつ完全に
形成された油層および固体潤滑剤層の2層からなる。被
膜の密着性も良好であるため、素材の気孔中に潤滑剤が
侵入することは少ない。また、金型内面側に多く存在す
る油分により良好な潤滑効果を与えると共に離型性もよ
いので、金型とワークとの摩擦が減少し、型カジリが発
生しない。さらに固体潤滑剤が金型キャビティに付着残
留することもなく、その結果、連続鍛造が可能になるも
のと考えられる。
【0014】金型の内面が油層で被覆され、その上に固
体潤滑剤の塗膜が形成された潤滑被膜を形成する場合
に、例えば、最初に油のみまたは油性潤滑剤を噴霧し、
その後に水性潤滑剤を噴霧しても、先に噴霧した油は加
熱された金型に直接散布したものであるから、金型の温
度低下は比較的少ないため、濡れが不十分で塗布が不均
一になる。また、金型キャビティの空間も高温状態にあ
るから、短時間で発煙し易い状態となり、その後に水性
潤滑剤の噴霧を行なっても所期の塗膜を形成することは
できない。また、手順を逆にして、最初に固体潤滑剤粒
子を分散した水性潤滑剤を噴霧した後、エマルジョン潤
滑剤を噴霧する方法では、上記水性潤滑剤に、水の粘度
を調整しかつ固体潤滑剤粒子の分散性を改善するために
添加したカルボキシメチルセルロース(CMC)などの
有機化合物あるいは水ガラス(珪酸ナトリウム)などの
無機化合物が粘着剤として作用するため、固体潤滑剤が
金型内面に堆積し易くなる。
【0015】エマルジョン潤滑剤は、水と油の乳化液で
ある。油は鉱油や合成油等の潤滑油でもよいが、前記極
圧添加剤の少なくとも1種を含むものが高温高圧下にお
ける潤滑特性に優れているため好ましい。水と油の量
は、1回の噴霧において、金型内面の冷却に必要な適度
の量の蒸気を発生する水の量と、その水により冷却され
た金型表面温度において、金型内面に均一に塗布される
ために必要な油の量とをそれぞれ満たすことが必要であ
り、油分が0.5〜30質量%の範囲のO/Wエマルジ
ョン潤滑剤が適当である。油分が少ないと必要な油量を
供給するために多量のエマルジョンを噴霧しなければな
らず、かつ水分が比較的多いために金型の冷却が進行
し、水の蒸発に長時間を要する。一方、油分が多すぎる
と、噴霧量は少なくて済む反面、塗布が不均一になり易
く、かつ水分の量が少ないため油だけを塗布した状態に
近くなる。なお、乳化剤は数%程度添加する。
【0016】固体潤滑剤粒子を分散させた水性潤滑剤
は、水に固体潤滑剤粒子を分散させたものである。固体
潤滑剤の濃度は可能な限り高く、固体潤滑剤粒子が沈降
し難く、しかも噴霧装置のノズルを閉塞しないものであ
ることが必要である。水の粘度調整と固体潤滑剤粒子の
分散性改善のために、カルボキシメチルセルロース(C
MC)などの有機化合物、あるいは水ガラス(珪酸ナト
リウム)などの無機化合物を0.1〜5質量%程度添加
する。水性潤滑剤に含まれる固体潤滑剤は、1〜25質
量%が適当である。固体潤滑剤含有量の少ない潤滑剤液
は、ミストを細かくすることができ、噴霧性が良好であ
るため、薄く均一な被膜を形成することができる。金型
に必要な固体潤滑剤の量に応じて1回もしくは複数回噴
霧すればよい。固体潤滑剤含有量が極端に少ない潤滑剤
液の場合には、多量の潤滑剤液を噴霧する結果になるた
め、必要以上に金型温度の低下を招き、水分の蒸発に長
時間を要するので好ましくない。一方、固体潤滑剤の濃
度が高い場合には噴霧量は少なくて済むが、濃度が高す
ぎると噴霧ノズルを閉塞し易くなり、連続的な鍛造作業
が困難になる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、実施例により本発明をさら
に詳しく説明する。
【実施例】(焼結体の製造)熱間鍛造を行なう焼結体は
アルミニウム合金からなり、形状は棒の両端に軸受孔を
有する連接棒である。これを以下の方法により作成し
た。まず純Al粉:38質量%、Si20質量%−Al
合金粉:57質量%、Ni4質量%−Cu合金粉:4質
量%、およびMg50質量%−Al合金粉:1質量%の
混合粉を作成した。全体組成は計算値でSi:11.4
質量%、Cu:3.84質量%、Mg:0.5質量%、
Ni:0.16質量%およびAl:残部である。この混
合粉を連接棒の形状に圧粉成形し、成形体を非酸化ガス
中で温度400℃に加熱して成形潤滑剤の脱ろうを行な
った後、温度540℃で焼結した。焼結体は密度比が8
0%であり、鍛造金型のキャビティより小さく形成され
ている。
【0018】(鍛造装置)鍛造装置として、フリクショ
ンプレス機に、キャビティを形成するダイ、下パンチ、
コアロッドおよび上パンチからなる金型を用い、金型に
は加熱手段と温度制御手段を付設する。プレス機に併設
して、プレス機の作動に同期して金型キャビティの上部
に前進し、かつ金型領域から退避する潤滑剤噴霧ノズル
2組を設置し、それぞれリザーブタンクから潤滑剤を給
送する手段、圧縮空気の導入手段、および作動制御手段
を備える。また、焼結体素材を所定の温度に加熱する非
酸化ガス雰囲気の炉、ならびに加熱した素材を金型キャ
ビティに移送および挿入する素材供給装置を設ける。金
型は温度250℃に保温する。また、噴霧ノズルは、キ
ャビティの各所に噴霧液が行き渡るように設置する。以
下に示す各潤滑剤を用いて、焼結体素材の熱間鍛造を連
続して行なった。鍛造体の密度比が100%になり、か
つ鍛造バリが発生する圧力を加えた。
【0019】<比較例1>鍛造用潤滑剤として、黒鉛含
有量10質量%の黒鉛分散油性潤滑剤(日立粉末冶金株
式会社製、商品名:ヒタゾルGO−102)を用いた。
潤滑剤の噴霧直後から発煙したため、噴霧塗布後数分間
放置するか、またはバーナー等により発生ガスを燃焼さ
せることが必要であった。また、数個を連続して鍛造す
ると、下パンチ側の隅に潤滑剤や素材の削り残渣が堆積
し、鍛造体の角部に欠肉が認められた。さらに鍛造体の
パンチに接した面の断面を観察すると、油および黒鉛が
気孔中に侵入した形跡が認められた。
【0020】<比較例2>鍛造用潤滑剤として、黒鉛含
有量17質量%の黒鉛分散水性潤滑剤(日立粉末冶金株
式会社製、商品名:ヒタゾルGA−361)を用いた。
この場合には、数回の鍛造を繰返して行なうと鍛造体の
側面に掻きむしられたようなカジリが生じ、下パンチの
作動が不良になった。噴霧後に下パンチ面を観察すると
ミストは全面に散布されていた。黒鉛のみの潤滑被膜で
は潤滑性が不足していたものと思われる。
【0021】<比較例3>鍛造用潤滑剤として硫化油含
有量20質量%のO/Wエマルジョン潤滑剤(日立粉末
冶金株式会社製、商品名:ヒタゾルWA−337PH)
を用いた。この場合には、カジリ、金型作動ともに前者
より悪い結果であった。量の少ない油のみによる潤滑で
あるためと考えられる。
【0022】<比較例4>鍛造用潤滑剤として、最初に
黒鉛分散水性潤滑剤を噴霧し、約1秒間経過後に前記O
/Wエマルジョン潤滑剤を塗布した。金型作動および鍛
造体の離型が良好であったが、連続して鍛造を行なう
と、下パンチ側の隅に潤滑剤や素材の削り残渣が堆積
し、鍛造体の角部に欠肉が認められた。
【0023】<実施例1>鍛造用潤滑剤として、最初に
前記O/Wエマルジョン潤滑剤を噴霧し、約1秒間経過
後に黒鉛分散水性潤滑剤を塗布した。金型作動および鍛
造体の離型が良好であり、鍛造を連続して継続すること
ができた。噴霧後の下パンチ面を観察すると、黒鉛によ
り隙間の少ない状態で被覆されていることが認められ
た。
【0024】以上、素材が焼結アルミニウム合金であ
り、固体潤滑剤が黒鉛である例について説明したが、上
記の最適な潤滑方法は、最初に金型内面に水と油をエマ
ルジョンの形態で噴霧塗布して油膜を形成しておき、続
いて水性の固体潤滑剤液を噴霧塗布して固体潤滑剤被膜
を設けることにより、金型と鍛造体との摩擦を少なくす
るものである。すなわち、金型に固体潤滑剤が付着堆積
することなく、鍛造素材の気孔に潤滑剤が含浸すること
が少ないため、連続して鍛造することが可能である。従
って、金型の温度やダイキャビティの大きさ等に合わせ
て噴霧量を調整することにより、その他の焼結軽合金や
鉄系焼結合金の素材に対しても適用することが可能であ
る。
【0025】
【発明の効果】この発明の熱間鍛造潤滑方法によれば、
鍛造作業の保守作業を少なくすることができるため、生
産能率が向上し、表面欠陥がなく外観に優れた鍛造体を
安定して提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4D075 AA01 AE03 CA09 DA29 DB01 DC15 EA06 EA10 EA13 EA37 EB01 EB02 EB07 4E050 HA01 HA02 HA06 4E087 AA03 AA09 BA04 CA11 CB01 CB07 CB10 EA23 EC11 HA34

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加熱した金型内面に液状潤滑剤を噴霧し
    た後、加熱した焼結合金の素材を導入して熱間鍛造を行
    なう場合において、前記液状潤滑剤の噴霧が(1)エマ
    ルジョン潤滑剤を噴霧する工程と、(2)その後、固体
    潤滑剤粒子を水に分散させた水性潤滑剤を1回もしくは
    複数回噴霧する工程とからなることを特徴とする焼結合
    金の熱間鍛造における金型潤滑方法。
  2. 【請求項2】 前記エマルジョン潤滑剤が、油0.5〜
    30質量%を含有するO/Wエマルジョンであり、前記
    水性潤滑剤が固体潤滑剤粒子として黒鉛粒子1〜25質
    量%を含有するものであることを特徴とする請求項1に
    記載の焼結合金の熱間鍛造における金型潤滑方法。
  3. 【請求項3】 前記O/Wエマルジョン潤滑剤中の油が
    イオウ系、リン系および塩素系の極圧添加剤からなる群
    から選ばれる少なくとも1種の添加剤を含むものである
    ことを特徴とする請求項2に記載の焼結合金の熱間鍛造
    における金型潤滑方法。
  4. 【請求項4】 前記焼結合金の素材がアルミニウム合金
    である請求項1から請求項3のいずれかに記載の焼結合
    金の熱間鍛造における金型潤滑方法。
JP2000028521A 2000-02-07 2000-02-07 焼結合金の熱間鍛造における金型潤滑方法 Expired - Lifetime JP3785015B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000028521A JP3785015B2 (ja) 2000-02-07 2000-02-07 焼結合金の熱間鍛造における金型潤滑方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000028521A JP3785015B2 (ja) 2000-02-07 2000-02-07 焼結合金の熱間鍛造における金型潤滑方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001219236A true JP2001219236A (ja) 2001-08-14
JP3785015B2 JP3785015B2 (ja) 2006-06-14

Family

ID=18553910

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000028521A Expired - Lifetime JP3785015B2 (ja) 2000-02-07 2000-02-07 焼結合金の熱間鍛造における金型潤滑方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3785015B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005152950A (ja) * 2003-11-26 2005-06-16 Honda Motor Co Ltd 鍛造成形方法
CN103706741A (zh) * 2013-12-18 2014-04-09 江西鸥迪铜业有限公司 无氧铜材料产品的热锻成型工艺

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005152950A (ja) * 2003-11-26 2005-06-16 Honda Motor Co Ltd 鍛造成形方法
JP4611625B2 (ja) * 2003-11-26 2011-01-12 本田技研工業株式会社 鍛造成形方法
CN103706741A (zh) * 2013-12-18 2014-04-09 江西鸥迪铜业有限公司 无氧铜材料产品的热锻成型工艺

Also Published As

Publication number Publication date
JP3785015B2 (ja) 2006-06-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5076339A (en) Solid lubricant for die casting process
US2588625A (en) Forging lubricant and method of using same
US2735814A (en) Die forging compound
KR100434573B1 (ko) 금속재료의 냉간 소성 가공용 수계 윤활제
JP5297742B2 (ja) 金型用粉体含有油性潤滑剤、これを用いた静電塗布方法、及び静電塗布装置
JP2586871B2 (ja) 油中分散型非黒鉛系潤滑油
TW201402803A (zh) 塑性加工用水溶性潤滑劑、塑性加工用金屬材以及金屬加工品
US3021594A (en) Metal-shaping lubricant compositions and method
JP3785015B2 (ja) 焼結合金の熱間鍛造における金型潤滑方法
JP2010065135A (ja) アルミニウム熱間鍛造用潤滑離型剤、及びそれを用いたアルミニウム熱間鍛造方法
DE19935164C2 (de) Verfahren zur gleichzeitigen Reinigung und Flußmittelbehandlung von Aluminium-Motorblock-Zylinderbohrungsoberflächen zur Befestigung von thermisch gespritzten Überzügen
US5495737A (en) Elevated temperature metal forming lubrication
US2784108A (en) Lubricant and method for treating molds
US9809777B2 (en) Process for producing lubricants containing nanoparticles
US3925214A (en) Hot forming lubricant composition, system and method
JP5121661B2 (ja) ダイカスト方法
JP2011067837A (ja) 水性ダイカスト用離型剤及びそれを用いたダイカスト製品の製造方法
PL101948B1 (pl) A lubricant for hot-forming of metals
US2868671A (en) Process of lubrication
JP2004099949A (ja) 傾斜型2層潤滑皮膜を有する塑性加工用金属材料の製造方法
US2419713A (en) Saw blade lubricant
EP0829528B1 (de) Graphitfreier Dornstangenschmierstoff
JP2001348585A (ja) 高速超塑性加工用潤滑剤及び高速超塑性加工の潤滑方法
JP2001240887A (ja) 油性潤滑剤
US20060089269A1 (en) Lubricant for improved surface quality of cast aluminum and method

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20051121

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20051129

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060119

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060314

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060316

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 3785015

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090324

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100324

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110324

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110324

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130324

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130324

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140324

Year of fee payment: 8

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

EXPY Cancellation because of completion of term