JP2001348585A - 高速超塑性加工用潤滑剤及び高速超塑性加工の潤滑方法 - Google Patents

高速超塑性加工用潤滑剤及び高速超塑性加工の潤滑方法

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JP2001348585A JP2000170580A JP2000170580A JP2001348585A JP 2001348585 A JP2001348585 A JP 2001348585A JP 2000170580 A JP2000170580 A JP 2000170580A JP 2000170580 A JP2000170580 A JP 2000170580A JP 2001348585 A JP2001348585 A JP 2001348585A
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Atsushi Kuroishi
農士 黒石
Shigeru Tsuboi
茂 壷井
Hideki Higashihara
英樹 東原
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、アルミニウム系の被加工材を、3
50〜450℃の範囲内の温度に設定された金型内で高
速超塑性変形させる高速超塑性加工において、悪臭等を
防止して作業環境を良好に維持し、焼付き及び成型応力
の増加を抑制できる高速超塑性用の潤滑剤を提供するす
ることを目的とする。 【解決手段】 引火点が190〜320℃の範囲内の流
動パラフィンを含有する基油に、黒鉛を基油に対して1
0〜25%含有してなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高速超塑性加工に
おいて、金型若しくは被加工材に潤滑剤を塗布し、前記
金型と前記被加工材の潤滑を行う潤滑技術に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、生産性向上の目的で、多結晶粒の
粒界すべり変形を利用した高速超塑性加工が話題となっ
ている。高速超塑性加工は、例えば、Al−Si等のア
ルミニウム合金の急冷凝固粉を焼結成型したプリフォー
ム(予備成形体)の被加工材を、ダイ内にセットし、そ
れをパンチによって加圧して被加工材を流動させ、鍛造
ピストン等を成型する押出鍛造において、アルミニウム
合金が、歪み加工速度(ε)10-2/sec以上且つ伸
び率約200%以上の高速超塑性を発現するように、金
型温度を、アルミニウム合金の液相線直下の温度域(5
00〜550℃)にできるだけ近くなるように、例えば
350〜450℃に設定し、金型と被加工材との摩擦応
力を除いた純粋変形流動応力を例えば30〜50MPa
程度と著しく低くい状態でネットシェイブ加工する加工
方法である。
【0003】上記のような鍛造若しくは押出し加工とし
て実施される高速超塑性加工は、加工中に被加工材表面
とパンチ及びダイの金型表面の接触部に潤滑剤を供給す
ることは困難であるので、加工前に被加工材表面若しく
は金型表面に潤滑剤を塗布して潤滑膜を形成し、その潤
滑膜のみで潤滑が行われることになる。また、高速超塑
性加工における被加工材は、加工に伴って上記の潤滑膜
も急激に薄くなるので、潤滑膜の膜切れが発生し易く、
焼付き及び成型応力の増加の可能性が大きい。このよう
な高速超塑性加工用の潤滑剤としては、従来から熱間ア
ルミニウム鍛造に利用されていた油性黒鉛系潤滑剤と、
非黒鉛系白色潤滑剤が利用されていた。後者の非黒鉛系
白色潤滑剤は、20年ほど前から作業環境改善の観点で
脚光を浴びるようになったが、高速超塑性加工のよう
に、高温且つ著しい潤滑膜の拡大がある場合には、主成
分である有機物や高分子ポリマー等が熱分解により炭化
して潤滑性能が低減するので、高速超塑性加工において
は、前者の油性黒鉛潤滑剤が利用されることが多かっ
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】油性黒鉛系潤滑剤は、
鉱物油に10%程度の極圧添加剤としての黒鉛と、この
固形分の沈降防止のための界面活性剤を含有して構成さ
れたものであり、一般的に潤滑性能が良いとされ、熱間
鍛造等の高温の加工において広く用いられる潤滑剤であ
る。しかし、この油性黒鉛潤滑剤は、発煙による悪臭や
発火等の作業環境も悪い。従って、本発明は、上記の事
情に鑑みて、悪臭等を防止して作業環境を良好に維持
し、焼付き及び成型応力の増加を抑制できる高速超塑性
用の潤滑剤を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】〔構成1〕本発明に係る
高速超塑性加工用潤滑剤は、請求項1に記載したごと
く、引火点が190〜320℃の範囲内の流動パラフィ
ンを含有する基油に、黒鉛を前記基油に対して10〜2
5%含有してなることを特徴とする。
【0006】〔作用効果〕上記のような金型温度が35
0〜450℃と高温である金型内において、アルミニウ
ム系の被加工材を液相線直下の温度域において高速超塑
性加工を行う場合に、金型若しくは被加工材表面に塗布
され、金型と被加工材との接触部の潤滑を行う高速超塑
性加工用潤滑剤として、本構成のごとく、基油として、
例えば鉱物油に、引火点が190〜320℃の範囲内と
鉱物油よりも高く、高度に精製した揮発性が少ない炭化
水素系の流動パラフィンを含有させたものを利用する。
このように構成された基油の引火点は、引火点が高い流
動パラフィンの含有によって、鉱物油の引火点(150
℃程度)よりも高くなる。そして、その引火点が高い基
油に、極圧添加剤としての黒鉛を上記の所定の含有率添
加して構成した高速超塑性加工用潤滑剤は、高温の金型
に塗布され蒸発若しくは分解して潤滑面から飛散して消
滅するまでの時間を従来の鉱物油等よりも遅らせること
ができ、上記の含有率の極圧添加剤としての黒鉛を潤滑
面に強固に付着させ、高速超塑性加工のように、高温且
つ著しい潤滑膜の拡大がある場合においても、加工が終
了するまで黒鉛の潤滑膜を良好に維持して加工応力を低
く抑制し、焼付きを防止することができる。よって、炭
化水素以外の不純物をほとんど含まない流動パラフィン
を利用した本発明の高速超塑性加工用の潤滑剤は、高速
超塑性加工において、高い潤滑作用を発揮すると共に、
油性黒鉛潤滑剤のよりも悪臭や発煙を抑制し、作業環境
を良好に維持することができる。
【0007】また、基油に含有される流動パラフィンの
引火点を上記の範囲内とするのは、引火点が190℃以
下の場合、基油の引火点上昇の効果が少なく、基油の潤
滑面からの飛散が早く黒鉛を潤滑面に均一且つ強固に付
着させる効果が少ない。また、引火点が320℃以上の
場合、このような引火点を有する流動パラフィンは入手
が困難であり、コスト高となるからである。また、流動
パラフィンの引火点は、220℃以上がより好ましく、
200℃以上とすることで、例えば、基油に対して50
%程度含有することで、基油の引火点を170℃程度に
上昇させ、金型温度が350℃での高速超塑性加工にお
いて、好ましい潤滑性能を得ることができる。
【0008】基油に対して黒鉛の含有率を上記の範囲内
とするのは、黒鉛の含有率が10%以下の場合、加工中
に潤滑膜の拡大がある高速超塑性加工において、潤滑膜
が拡大しても黒鉛の潤滑膜を均一に保つことのできる程
度に潤滑膜を形成することが困難となり、黒鉛の含有率
が25%以上の場合、潤滑剤自身の粘度が高くなりす
ぎ、金型若しくは被加工材への塗布性に劣るからであ
る。また、黒鉛の含有率は、10%〜20%がより好ま
しく、10%以上とすることで、黒鉛の潤滑膜を均一に
保つことができ、20%以下とすることで、潤滑剤の機
械的な塗布が可能となる。
【0009】また、基油に対する流動パラフィンの含有
率は、25%以上が好ましい。25%未満の場合は、高
い引火点の基油を得ることができず、黒鉛の付着を強固
にすべく、基油の潤滑面からの蒸発若しくは反応による
飛散を遅らせる効果を発揮することができないからであ
る。さらに、基油に対する流動パラフィンの含有率は、
50%以上が好ましく、50%以上とすることで、基油
の引火点を一層高くして、より強固に黒鉛を潤滑面に付
着させることができる。
【0010】〔構成2〕本発明に係る高速超塑性加工用
潤滑剤は、請求項2に記載したごとく、上記構成1の高
速超塑性加工用潤滑剤の構成に加えて、二硫化モリブデ
ンを前記基油に対して0.3%〜10%含有してなるこ
とを特徴とする。
【0011】〔作用効果〕これまで説明してきた本発明
の高速超塑性加工用潤滑剤を、本構成のごとく、その基
油に対して二硫化モリブデンを上記の所定の含有率で含
有させて構成することで、黒鉛が劣るといわれている潤
滑面への付着性及び真空条件での潤滑性を二硫化モリブ
デンによってカバーすることができ、幅広い条件での潤
滑性を発揮して、一層膜切れを抑制し、焼付きや成型応
力の増加を防止することができる。また、このような潤
滑性の向上効果は、二硫化モリブデンを0.3%以上含
有する場合に発揮される。また、二硫化モリブデンの含
有率が10%以上の場合、それ以上の潤滑性の向上を期
待することができず、さらに、金型や被加工材に付着す
る酸化モリブデンが多くなるので、被加工材の表面仕上
がりの悪化や、金型の清掃時間が多くなり、経済的でな
くなる。また、二硫化モリブデンの含有率は、0.5%
〜5%がより好ましく、0.5%以上とすることで、一
層の潤滑性の向上を図ることができ、5%以下とするこ
とで、これ以上二硫化モリブデンを含有させても、潤滑
性の向上割合が少ないので、より経済的である。
【0012】〔構成3〕本発明に係る速超塑性加工の潤
滑方法は、請求項3に記載したごとく、アルミニウム系
の被加工材を、350〜450℃の範囲内の温度に設定
された金型内で高速超塑性変形させる高速超塑性加工に
おいて、前記請求項1又は2に記載の高速超塑性加工用
潤滑剤を、前記金型若しくは前記被加工材の、互いの接
触部に塗布し、前記金型と前記被加工材とを潤滑するこ
とを特徴とする。
【0013】〔作用効果〕本構成のごとく、上記のよう
な金型温度が350〜450℃と高温である金型内にお
いて、アルミニウム系の被加工材を液相線直下の温度域
において、歪み加工速度(ε)10-2/sec以上且つ
伸び率約200%以上の高速超塑性を発現させ高速超塑
性加工行う場合、これまで説明した本発明の高速超塑性
加工用潤滑剤を、前記金型若しくは前記被加工材の互い
の接触部に塗布し、高温且つ著しい潤滑膜の拡大がある
前記金型と前記被加工材との潤滑を行うことで、加工が
終了するまで潤滑膜を良好に維持することができ、従来
の油性黒鉛潤滑剤よりも膜切れによる焼付きや成型応力
の増加を抑制することができる。また、本発明の高速超
塑性加工の潤滑方法は、上記の構成1及び2の高速超塑
性加工用潤滑剤を実施するためのものであるので、同様
の作用効果を発揮することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態として、内燃
機関用の鍛造ピストンの高速超塑性鍛造成型における高
速超塑性加工用潤滑剤及び潤滑方法について、図1
(イ)(ロ)に基づいて説明する。このような高速超塑
性鍛造は、例えば、Fe,Cr,Ni,Zr,Mn,M
oの遷移金属元素より選ばれる1種ないし2種以上の元
素:1〜15wt%,Si:10〜30wt%,Cu:
0.5〜5wt%,Mg:1〜5wt%,残部実質的に
Alからなり、結晶粒径2μm以下,粉体粒子径50μ
m以上の急冷凝固粉であるアルミニウム合金粉末を準備
し、そのアルミニウム合金粉末を一体構造において放電
プラズマ焼結処理によって焼結して、ピストン予備成形
体10(被加工材の一例)を作成する。
【0015】このピストン予備成形体10は、上記合金
粉末の化学組成,超微細結晶構造および粉体粒径の効果
によって、高速超塑性特性を有し、液相線直下の温度域
で、歪み加工速度(ε)10-2/sec以上の高速加工
を行うことができ、この加工条件下に、伸び率約200
%以上の高延性を示し、金型と被加工材との摩擦応力を
除いた純粋変形流動応力を例えば30〜50MPa程度
と著しく低くい状態で、高速度・低加圧力下の効率的な
圧縮塑性加工を実現することができる。
【0016】次に、これまで説明してきた本発明の高速
超塑性加工用潤滑剤Oを内面のピストン予備成形体10
との接触部に塗布された後方押出成形機のダイ21(金
型の一例)に、ピストン予備成形体10をセットし、同
じく外表面に高速超塑性加工用潤滑剤Oを塗布されたパ
ンチ20(金型の一例)を下降させ、ピストン予備成形
体10が、上記の高速超塑性特性の条件下において高速
超塑性鍛造成型され、後に、ピストンピンボス部30や
ピストンリング溝40等を加工されて、図1(ロ)に示
す内燃機関用の鍛造ピストン100となる。
【0017】このような高速超塑性鍛造においては、加
工中に被加工材表面とパンチ20及びダイ21と被加工
材としてのピストン予備成形体10との接触部に潤滑剤
を供給することは困難であるので、上記のように、加工
前にダイ21及びパンチ20に潤滑剤Oを塗布してピス
トン予備成形体10との接触部に予め潤滑膜を形成し、
その潤滑膜のみで潤滑が行われることになる。また、高
速超塑性鍛造におけるピストン予備成形体10は、パン
チ20により加圧されながらパンチ20とダイ21の隙
間に急激に広がり、それに伴って上記の潤滑膜も急激に
薄くなるので、潤滑膜の膜切れが発生し易く、さらに、
上記の高速超塑性特性を発現させるために、ダイ21の
温度が350〜450℃と高温であるため、焼付き及び
成型応力の増加の可能性が大きい。
【0018】そこで、本発明の高速超塑性加工用潤滑剤
Oは、これまで説明してきたように、基油として、鉱物
油に、引火点が190℃以上の流動パラフィンを、例え
ば全体の25%以上含有させたものであり、このように
構成された基油の引火点は、図2の潤滑剤の引火点とそ
の基油の流動パラフィンの含有率との関係に示すよう
に、流動パラフィンの含有率が増加するに伴って、引火
点は上昇し、特に、引火点が220℃以上の流動パラフ
ィンを50%以上含有したときに、その引火点の上昇の
効果が大きく現れる。
【0019】さらに、本発明の高速超塑性加工用潤滑剤
Oは、流動パラフィンが含有して引火点が高く保たれた
基油に、黒鉛を前記基油に対して10〜25%含有し、
好ましくは二硫化モリブデンを前記基油に対して0.3
%〜10%含有してなるので、ダイ21の温度が350
〜450℃とアルミニウム合金の液相線直下の温度域に
近い高温に保たれ、著しい潤滑膜の拡大がある場合にお
いても、黒鉛を潤滑面に強固に付着させ、加工が終了す
るまで潤滑膜を良好に維持することができるので、膜切
れによる焼付きや成型応力の増加を抑制することがで
き、加工不良及び金型損傷等を抑制することができる。
また、上記の高速超塑性加工用潤滑剤Oの引火点は、潤
滑面に黒鉛を強固に付着するために高いほうが好ましい
が、たとえば、ダイ21の温度が350℃以上のときは
引火点を170℃以上、ダイ21の温度が400℃以上
のときは引火点を185℃以上、ダイ21の温度が43
0℃以上のときは引火点を220℃以上、ダイ21の温
度が450℃のときは引火点を250℃以上となるよう
に、流動パラフィンの引火点及び基油に対する含有率を
調整することが好ましく、潤滑面において基油の飛散す
る時間を稼ぎ、黒鉛を好ましい状態で付着させることが
できる。
【0020】〔実施例1〕次に、本発明の高速超塑性加
工用潤滑剤の効果の確認のために、引火点が190℃、
220℃、268℃、300℃の4種の流動パラフィン
を所定の含有率で含有し、残部が鉱物油からなる基油
に、黒鉛を基油に対して10%、二硫化モリブデンを基
油に対して0.5%添加した潤滑剤を利用し、上記の高
速超塑性条件における加工として、内面形状がφ20か
らφ18と絞られた金型を利用して、φ20のアルミニ
ウム合金製の棒材を、φ18に絞りながら下方へ押し抜
く加工を行い、押し抜き成型応力と金型への焼付き度合
いを測定する実験を行い、その結果を表1のサンプルN
o.1から11までと、表2のサンプルNo.1から9
までに示す。また、比較例の潤滑剤として、油性黒鉛潤
滑剤(鉱物油90%,黒鉛10%)を利用し、上記と同
じ加工条件における押し抜き成型応力と金型への焼付き
度合いを、表1の比較例1と、表2の比較例1に示す。
尚、表1は金型温度が350℃、表2は金型温度が40
0℃での実験結果である。また、焼付き度は、目視によ
って5段階評価し、数値が高いほど良好なものとしてい
る。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】以上の実験結果より、本発明の高速超塑性
加工用潤滑剤においては、従来の油性黒鉛潤滑剤と同様
若しくはそれ以上の押し抜き応力低減効果と焼付き防止
効果が発揮できていることが判る。また、本発明の高速
超塑性加工用潤滑剤は、炭化水素以外の不純物をほとん
ど含まない流動パラフィンを含有するので、流動パラフ
ィンを含有せず鉱物油からなる油性黒鉛潤滑剤に比べ
て、悪臭や発煙が抑制されており、作業環境改善上有利
である。また、流動パラフィンの含有率は高いほど押し
抜き応力の低減効果及び焼付き防止の効果が見られた。
さらに、表1のサンプルNo.10,11,12と表2
のサンプルNo.8に示すように、引火点が190℃の
流動パラフィンを含有する場合、流動パラフィンの含有
率を高く設定することで、押し抜き応力の低下の効果が
見られるが、流動パラフィンが高価なため、実質的には
引火点が220℃以上の流動パラフィンを利用すること
が好ましい。
【0024】〔実施例2〕次に、本発明の高速超塑性加
工用潤滑剤の効果の確認のために、上記の実験と同様の
高速超塑性条件において、金型温度を400℃とし、金
型に塗布する潤滑剤の組成を変更したときの、押し抜き
成型応力と、金型への焼付き度合いを測定する実験を行
い、その結果を結果を下記の表3に示す。また、比較例
として、夫々の基油に対して黒鉛の含有率を5%とした
潤滑剤と、従来の油性黒鉛潤滑剤(鉱物油90%,黒鉛
10%)及び非黒鉛系白色潤滑剤についても金型への焼
付き度合いを測定し評価し、その結果を同じく下記の表
3に示す。尚、表3の組成欄において、高速超塑性加工
用潤滑剤の基油として、鉱物油と流動パラフィン(引火
点300℃)を混合した基油を利用し、基油に対する流
動パラフィンの含有率が25%のものをA、50%のも
のをB、100%のものをCとし、その基油に対して黒
鉛(G)及び二硫化モリブデン(M)を添加し、その含
有率を夫々の記号G,Mの後に記載している。また、焼
付き度は、目視によって5段階評価し、数値が高いほど
良好なものとしている。
【0025】
【表3】
【0026】以上の実験結果より、本発明の高速超塑性
加工用潤滑剤においては、従来の油性黒鉛潤滑剤と同等
若しくはそれ以上に押し抜き応力を低減させることがで
き、潤滑性能に優れていることが判り、被加工材の金型
への焼付き度を最小限にすることができていることが判
る。また、基油に対して流動パラフィンの含有率を50
%以上とすることで、一層の押し抜き応力の低下が見ら
れ、引火点が高い流動パラフィンを基油に含有すること
で金型表面からの飛散を遅らせて、潤滑面に固体潤滑剤
としての黒鉛が強固に付着していることが判る。また、
黒鉛の添加の効果は、含有率が10%以上で発揮されて
いるが、黒鉛の含有率が25%以上の場合、潤滑剤自身
の粘度が高くなりすぎ、金型若しくは被加工材への塗布
が不可能となった。二硫化モリブデン添加の効果は、含
有率が0.3%で発揮されているが、0.5%以上で一
層の押し抜き応力の低下が見られ、さらに、黒鉛が10
%以上存在するときに一層の効果を発揮できている。ま
た、二硫化モリブデンの含有率が5%以上になると押し
抜き応力の低下等の潤滑性能の向上効果が少なくなり、
さらに、二硫化モリブデンの含有率が10%以上になる
と、金型への残留物(酸化モリブデン)が発生するの
で、経済的な観点からも、二硫化モリブデンの含有率は
10%が限度と考えられる。
【0027】上記の実施の形態において、内燃機関用の
鍛造ピストンの高速超塑性鍛造成型における高速超塑性
加工用潤滑剤及び潤滑方法について説明したが、本発明
の高速超塑性加工用潤滑剤及び潤滑方法は、鍛造加工に
限定するものではなく、アルミニウム合金等の被加工材
をアルミニウム合金の液相直下の温度域に近い温度の金
型を利用して、歪み加工速度(ε)10-2/sec以上
の高速超塑性特性を発現させる高速超塑性加工におい
て、金型と被加工材との接触部に塗布して利用すること
ができ、たとえば、そのような加工方法として、高速超
塑性押し抜き加工や高速超塑性スピニング加工等を揚げ
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】内燃機関用の鍛造ピストンの高速超塑性鍛造成
型の様子を説明する概略図
【図2】潤滑剤の引火点と流動パラフィンの含有率との
関係を示すグラフ図
【符号の説明】
10 ピストン予備成形体(被加工材) 20 パンチ 30 ダイ 100 鍛造ピストン O 高速超塑性加工用潤滑剤
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B22F 3/17 B22F 3/17 A 3/24 3/24 D C10M 101/02 C10M 101/02 103/02 103/02 Z 103/06 103/06 C // C10N 10:12 C10N 10:12 30:06 30:06 40:24 40:24 A (72)発明者 東原 英樹 茨城県竜ヶ崎市向陽台5丁目6番 株式会 社クボタ基盤技術研究所内 Fターム(参考) 4E087 AA09 BA04 CB01 4H104 AA04A AA19A BA02A DA02A EA04A FA06 LA03 PA23 PA33 4K018 AA16 CA07 CA08 EA44 EA47 KA08 KA52

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 引火点が190〜320℃の範囲内の流
    動パラフィンを含有する基油に、黒鉛を前記基油に対し
    て10〜25%含有してなる高速超塑性加工用潤滑剤。
  2. 【請求項2】 二硫化モリブデンを前記基油に対して
    0.3%〜10%含有してなる請求項1に記載の高速超
    塑性加工用潤滑剤。
  3. 【請求項3】 アルミニウム系の被加工材を、350〜
    450℃の範囲内の温度に設定された金型内で高速超塑
    性変形させる高速超塑性加工において、前記請求項1又
    は2に記載の高速超塑性加工用潤滑剤を、前記金型若し
    くは前記被加工材の、互いの接触部に塗布し、前記金型
    と前記被加工材とを潤滑する高速超塑性加工の潤滑方
    法。
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