JP2001217111A - 磁石粉末および等方性ボンド磁石 - Google Patents

磁石粉末および等方性ボンド磁石

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JP2001217111A
JP2001217111A JP2000025729A JP2000025729A JP2001217111A JP 2001217111 A JP2001217111 A JP 2001217111A JP 2000025729 A JP2000025729 A JP 2000025729A JP 2000025729 A JP2000025729 A JP 2000025729A JP 2001217111 A JP2001217111 A JP 2001217111A
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magnetic
powder
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聖 新井
Hiroshi Kato
洋 加藤
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    • B82YSPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁気特性が優れ、信頼性の高い磁石、特に熱
的安定性に優れた磁石を提供すること。 【解決手段】 本発明の磁石粉末は、Rx(Fe1-yCo
y100-x-z-wzCrw(ただし、Rは、少なくとも1種
の希土類元素、x:7.1〜9.9原子%、y:0〜
0.30、z:4.6〜8.0原子%、w:0.2〜
3.5原子%)で表される合金組成からなり、ソフト磁
性相とハード磁性相とを有する複合組織で構成される磁
石粉末であって、結合樹脂と混合し成形して等方性ボン
ド磁石としたとき、室温での磁気特性を表すJ−H図で
の減磁曲線において、前記J−H図中の原点を通り、か
つ傾き(J/H)が−3.8×10-6ヘンリー/mであ
る直線yとの交点Pを出発点として測定した場合の不可
逆帯磁率(χirr=χdif−χrev)が5.0×10-7
ンリー/m以下であり、さらに、室温での固有保磁力H
cJが320〜720kA/mである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁石粉末および等
方性ボンド磁石に関するものである。
【0002】
【従来の技術】モータ等の小型化を図るためには、その
モータに使用される際の(実質的なパーミアンスにおい
ての)磁石の磁束密度が高いことが望まれる。ボンド磁
石における磁束密度を決定する要因は、磁石粉末の磁化
の値と、ボンド磁石中における磁石粉末の含有量(含有
率)とがある。従って、磁石粉末自体の磁化がそれほど
高くない場合には、ボンド磁石中の磁石粉末の含有量を
極端に多くしないと十分な磁束密度が得られない。
【0003】ところで、現在、高性能な希土類ボンド磁
石として使用されているものとしては、希土類磁石粉末
として、MQI社製のMQP−B粉末を用いた等方性ボ
ンド磁石が大半を占めている。等方性ボンド磁石は、異
方性ボンド磁石に比べ次のような利点がある。すなわ
ち、ボンド磁石の製造に際し、磁場配向が不要であるた
め、製造プロセスが簡単で、その結果製造コストが安価
となることである。しかしこのMQP−B粉末に代表さ
れる従来の等方性ボンド磁石には、次のような問題点が
ある。
【0004】1) 従来の等方性ボンド磁石では、磁束
密度が不十分であった。すなわち用いられる磁石粉末の
磁化が低いため、ボンド磁石中の磁石粉末の含有量(含
有率)を高めなければならないが、磁石粉末の含有量を
高くすると、ボンド磁石の成形性が悪くなるため、限界
がある。また、成形条件の工夫等により磁石粉末の含有
量を多くしたとしても、やはり、得られる磁束密度には
限界があり、このためモータの小型化を図ることはでき
ない。
【0005】2) ナノコンポジット磁石で残留磁束密
度の高い磁石も報告されているが、その場合は逆に保磁
力が小さすぎて、実用上モータとして得られる磁束密度
(実際に使用される際のパーミアンスでの)は非常に低
いものであった。また、保磁力が小さいため、熱的安定
性も劣る。
【0006】3) ボンド磁石の耐食性、耐熱性が低く
なる。すなわち、磁石粉末の磁気特性の低さを補うため
に、ボンド磁石中の磁石粉末の含有量を多くしなければ
ならず(すなわちボンド磁石の密度を極端に高密度化す
ることとなり)、その結果、ボンド磁石は、耐食性、耐
熱性が劣り信頼性が低いものとなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、磁気
特性が優れ、信頼性、特に温度特性に優れた磁石を提供
することができる磁石粉末および等方性ボンド磁石を提
供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(18)の本発明により達成される。
【0009】(1) Rx(Fe1-yCoy100-x-z-w
zCrw(ただし、Rは、少なくとも1種の希土類元素、
x:7.1〜9.9原子%、y:0〜0.30、z:
4.6〜8.0原子%、w:0.2〜3.5原子%)で
表される合金組成からなり、ソフト磁性相とハード磁性
相とを有する複合組織で構成される磁石粉末であって、
結合樹脂と混合し成形して等方性ボンド磁石としたと
き、室温での磁気特性を表すJ−H図での減磁曲線にお
いて、前記J−H図中の原点を通り、かつ傾き(J/
H)が−3.8×10-6ヘンリー/mである直線との交
点を出発点として測定した場合の不可逆帯磁率
(χirr)が5.0×10-7ヘンリー/m以下であり、
さらに、室温での固有保磁力HcJが320〜720kA
/mであることを特微とする磁石粉末。
【0010】(2) 結合樹脂と混合し成形して密度ρ
[Mg/m3]の等方性ボンド磁石としたとき、室温で
の残留磁束密度Br[T]が、Br/ρ[×10-6T・
3/g]≧0.125の関係を満足する上記(1)に
記載の磁石粉末。
【0011】(3) 磁石粉末は、結合樹脂と混合し成
形して等方性ボンド磁石としたとき、不可逆減磁率(初
期減磁率)の絶対値が6.2%以下である上記(1)ま
たは(2)に記載の磁石粉末。
【0012】(4) 前記Rは、Ndおよび/またはP
rを主とする希土類元素である上記(1)ないし(3)
のいずれかに記載の磁石粉末。
【0013】(5) 前記Rは、Prを含み、その割合
が前記R全体に対し5〜75%である上記(1)ないし
(4)のいずれかに記載の磁石粉末。
【0014】(6) 前記Rは、Dyを含み、その割合
が前記R全体に対し14%以下である上記(1)ないし
(5)のいずれかに記載の磁石粉末。
【0015】(7) 磁石粉末は、溶湯合金を急冷する
ことにより得られたものである上記(1)ないし(6)
のいずれかに記載の磁石粉末。
【0016】(8) 磁石粉末は、冷却ロールを用いて
製造された急冷薄帯を粉砕して得られたものである上記
(1)ないし(7)のいずれかに記載の磁石粉末。
【0017】(9) 磁石粉末は、その製造過程で、ま
たは製造後少なくとも1回熱処理が施されたものである
上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の磁石粉末。
【0018】(10) 平均粒径が0.5〜150μm
である上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の磁石
粉末。
【0019】(11) 上記(1)ないし(10)のい
ずれかに記載の磁石粉末を結合樹脂で結合してなること
を特徴とする等方性ボンド磁石。
【0020】(12) Crを含有する磁石粉末を結合
樹脂で結合してなる等方性ボンド磁石であって、室温で
の磁気特性を表すJ−H図での減磁曲線において、前記
J−H図中の原点を通り、かつ傾き(J/H)が−3.
8×10-6ヘンリー/mである直線との交点を出発点と
して測定した場合の不可逆帯磁率(χirr)が5.0×
10-7ヘンリー/m以下であり、さらに、室温での固有
保磁力HcJが320〜720kA/mであることを特微
とする等方性ボンド磁石。
【0021】(13) 等方性ボンド磁石の密度をρ
[Mg/m3]としたとき、室温での残留磁束密度Br
[T]が、Br/ρ≧0.125[×10-6T・m3
g]の関係を満足する上記(12)に記載の等方性ボン
ド磁石。
【0022】(14) 前記磁石粉末は、R−TM−B
−Cr系合金(ただし、Rは、少なくとも1種の希土類
元素、TMは、鉄を主とする遷移金属)よりなるもので
ある上記(12)または(13)に記載の等方性ボンド
磁石。
【0023】(15) 不可逆減磁率(初期減磁率)の
絶対値が6.2%以下である上記(12)ないし(1
4)のいずれかに記載の等方性ボンド磁石。
【0024】(16) 前記磁石粉末は、ソフト磁性相
とハード磁性相とを有する複合組織で構成されるもので
ある上記(12)ないし(15)のいずれかに記載の等
方性ボンド磁石。
【0025】(17) 多極着磁に供される、または多
極着磁された上記(11)ないし(16)のいずれかに
記載の等方性ボンド磁石。
【0026】(18) モータに用いられる上記(1
1)ないし(17)のいずれかに記載の等方性ボンド磁
石。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の磁石粉末および等
方性ボンド磁石の実施の形態について、詳細に説明す
る。
【0028】[本発明の概要]モータなどの小型化を図
るために、磁束密度が高い磁石を得ることが課題となっ
ている。ボンド磁石における磁束密度を決定する要因
は、磁石粉末の磁化の値と、ボンド磁石中における磁石
粉末の含有量(含有率)とがあるが、磁石粉末自体の磁
化がそれほど高くない場合には、ボンド磁石中の磁石粉
末の含有量を極端に多くしないと十分な磁束密度が得ら
れない。
【0029】現在普及している前述のMQI社製のMQ
P−B粉末は、前述したように、用途によっては磁束密
度が不十分であり、よって、ボンド磁石の製造に際し、
ボンド磁石中の磁石粉末の含有量を高めること、すなわ
ち高密度化を余儀なくされ、耐食性、耐熱性や機械的強
度等の面で信頼性に欠けるとともに、保磁力が高いた
め、着磁性が悪いという欠点を有している。
【0030】これに対し、本発明の磁石粉末および等方
性ボンド磁石は、十分な磁束密度と適度な保磁力が得ら
れ、これにより、ボンド磁石中の磁石粉末の含有量(含
有率)をそれほど高める必要がなく、その結果、高強度
で、成形性、耐食性、着磁性等に優れた信頼性の高いボ
ンド磁石を提供することができ、また、ボンド磁石の小
型化、高性能化により、モータ等の磁石搭載機器の小型
化にも大きく貢献することができる。
【0031】さらに、本発明の磁石粉末は、ハード磁性
相とソフト磁性相とを有する複合組織を構成するものと
することができる。
【0032】前述のMQI社製のMQP−B粉末は、ハ
ード磁性相の単相組織であるが、このような複合組織で
は磁化の高いソフト磁性相が存在するため、トータルの
磁化が高くなるという利点があり、さらにリコイル透磁
率が高くなるため、一旦逆磁場を加えてもその後の減磁
率が小さいという利点を有する。
【0033】[磁石粉末の合金組成]本発明の磁石粉末
は、Rx(Fe1-yCoy100-x-z-wzCrw(ただし、
Rは少なくとも1種の希土類元素、x:7.1〜9.9
原子%、y:0〜0.30、z:4.6〜8.0原子
%、w:0.2〜3.5原子%)で表される合金組成か
らなるものである。
【0034】R(希土類元素)としては、Y、La、C
e、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、D
y、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、ミッシュメタルが
挙げられ、これらを1種または2種以上含むことができ
る。
【0035】Rの含有量(含有率)は、7.1〜9.9
原子%とされる。Rが7.1原子%未満では、十分な保
磁力が得られず、Crを添加しても保磁力の向上が少な
い。一方、Rが9.9原子%を超えると、磁化のポテン
シャルが下がるため、十分な磁束密度が得られなくな
る。
【0036】ここで、RはNdおよび/またはPrを主
とする希土類元素であるのが好ましい。その理由は、こ
れらの希土類元素は、複合組織(特にナノコンポジット
組織)を構成するハード磁性相の飽和磁化を高め、また
磁石として良好な保磁力を実現するために有効だからで
ある。
【0037】また、Rは、Prを含み、その割合がR全
体に対し5〜75%であるのが好ましく、20〜60%
であるのがより好ましい。この範囲であると、残留磁束
密度の低下をほとんど生じることなく、保磁力および角
型性を向上させることができるためである。
【0038】また、Rは、Dyを含み、その割合がR全
体に対し14%以下であるのが好ましい。この範囲であ
ると、残留磁束密度の著しい低下を生じることなく、保
磁力を向上させることができると共に、温度特性(熱的
安定性)の向上も可能となるからである。
【0039】Coは、Feと同様の特性を有する遷移金
属である。このCoを添加すること(Feの一部を置換
すること)により、キュリー温度が高くなり、温度特性
が向上するが、Feに対するCoの置換比率が0.30
を超えると、保磁力、磁束密度は共に低下する傾向を示
す。Feに対するCoの置換比率が0.05〜0.20
の範囲では、温度特性の向上のみならず、磁束密度自体
も向上するので、さらに好ましい。
【0040】B(ボロン)は、高い磁気特性を得るのに
有効な元素であり、その含有量は、4.6〜8.0原子
%とされる。Bが4.6原子%未満であると、B−H
(J−H)ループにおける角型性が悪くなる。一方、B
が8.0原子%を超えると、非磁性相が多くなり、磁束
密度が急減する。
【0041】Crは、保磁力向上にとって有利な元素で
あり、特に、0.2〜3.5原子%の範囲で保磁力向上
の効果が顕著に現れる。また、この範囲では、保磁力向
上に追随して、角型性および最大磁気エネルギー積も向
上する。さらに、耐熱性および耐食性についても良好と
なる。ただし、上述したように、Rが7.1原子%未満
では、Cr添加によるこのような効果は非常に小さい。
また、Crが3.5原子%を超えると、磁化の低下が生
じる。
【0042】そして、Crを0.2〜3.5原子%含む
ことによるもう一つの重要な効果は、後述する不可逆帯
磁率(χirr)を小さくすることができ、さらに、不可
逆減磁率を改善することができ、磁石の耐熱性(熱的安
定性)が向上することである。Crが0.2%原子未満
では、このような効果が少なく、また前述した保磁力の
向上も少ない。
【0043】なお、Cr自体は新規な物質ではないが、
本発明では、実験、研究を重ねた結果、ソフト磁性相と
ハード磁性相を有する複合組織で構成される磁石粉末に
おいて、Crを0.2〜3.5原子%の範囲で含有せし
めることにより、優れた角型性、最大磁気エネルギー
積を確保しつつ保磁力の向上が図れる、後述する不可
逆帯磁率(χirr)を小さくすることができる、不可
逆減磁率の改善(絶対値の低減)が図れる、良好な耐
食性を保持できる、という4つの効果が得られること、
特にこれらの効果が同時に得られることを見出したもの
であり、この点に本発明の意義がある。
【0044】なお、Cr含有量の好ましい範囲は、前述
したように0.2〜3.5原子%であるが、この範囲の
上限値は、3.0原子%であるのがより好ましく、2.
5原子%であるのがさらに好ましい。
【0045】また、磁気特性をさらに向上させる等の目
的で、磁石粉末を構成する合金中には、必要に応じ、A
l、Cu、Si、Ga、Nb、V、Ta、Zr、Mo、
Hf、Ag、Zn、P、Ge、Ti、Wよりなる群(以
下この群を「Q」で表す)から選択される少なくとも1
種の元素を含有することもできる。Qに属する元素を含
有する場合、その含有量は、2原子%以下であるのが好
ましく、0.1〜1.5原子%であるのがより好まし
く、0.2〜1.0原子%であるのがさらに好ましい。
【0046】Qに属する元素の含有は、その種類に応じ
た固有の効果を発揮する。例えば、Al、Cu、Si、
Ga、V、Ta、Zr、Nbは、耐食性を向上させる効
果がある。
【0047】[複合組織]また、磁石材料は、ソフト磁
性相とハード磁性相とを有する複合組織となっている。
【0048】この複合組織(ナノコンポジット組織)
は、ソフト磁性相10とハード磁性相11とが、例えば
図1、図2または図3に示すようなパターン(モデル)
で存在しており、各相の厚さや粒径がナノメーターレベ
ル(例えば1〜100nm)で存在している。そして、
ソフト磁性相10とハード磁性相11とが相隣接し、磁
気的な交換相互作用を生じる。なお、図1〜図3に示す
パターンは、一例であって、これらに限られるものでは
なく、例えば図2に示すパターンにおいて、ソフト磁性
相10とハード磁性相11とが逆になっているものでも
よい。
【0049】ソフト磁性相の磁化は、外部磁界の作用に
より容易にその向きを変えるので、ハード磁性相に混在
すると、系全体の磁化曲線は、B−H図の第二象現で段
のある「へび型曲線」となる。しかし、ソフト磁性相の
サイズが数10nm以下と十分小さい場合には、ソフト
磁性体の磁化が周囲のハード磁性体の磁化との結合によ
って十分強く拘束され、系全体がハード磁性体として振
舞うようになる。
【0050】このような複合組織(ナノコンポジット組
織)を持つ磁石は、主に、以下に挙げる特徴1)〜5)
を有している。
【0051】1)B−H図(J−H図)の第二象現で、
磁化が可逆的にスプリングバックする(この意味で「ス
プリング磁石」とも言う)。 2)着磁性が良く、比較的低い磁場で着磁できる。 3)磁気特性の温度依存性がハード磁性相単独の場合に
比べて小さい。 4)磁気特性の経時変化が小さい。 5)微粉砕しても磁気特性が劣化しない。
【0052】前述した合金組成において、ハード磁性相
およびソフト磁性相は、例えば次のようなものとなる。
【0053】ハード磁性相:R2TM14B系(ただし、
TMは、FeまたはFeとCo)、またはR2(TM,
Cr)14B系(あるいは、R2(TM,Q)14B系、R2
(TM,Cr,Q)14B系) ソフト磁性相:TM(特にα−Fe,α−(Fe,C
o))、またはTMとCrとの合金相、TMとBとの化
合物相、TMとBとCrとの化合物相(あるいは、これ
らのQを含む相)
【0054】[磁石粉末の製造]本発明の磁石粉末は、
溶湯合金を急冷することにより製造されたものであるの
が好ましく、特に、合金の溶湯を急冷、固化して得られ
た急冷薄帯(リボン)を粉砕して製造されたものである
のが好ましい。以下、その方法の一例について説明す
る。
【0055】図4は、単ロールを用いた急冷法により磁
石材料を製造する装置(急冷薄帯製造装置)の構成例を
示す斜視図、図5は、図4に示す装置における溶湯の冷
却ロールへの衝突部位付近の状態を示す断面側面図であ
る。
【0056】図4に示すように、急冷薄帯製造装置1
は、磁石材料を収納し得る筒体2と、該筒体2に対し図
中矢印9A方向に回転する冷却ロール5とを備えてい
る。筒体2の下端には、磁石材料(合金)の溶湯を射出
するノズル(オリフィス)3が形成されている。
【0057】また、筒体2のノズル3近傍の外周には、
加熱用のコイル4が配置され、このコイル4に例えば高
周波を印加することにより、筒体2内を加熱(誘導加
熱)し、筒体2内の磁石材料を溶融状態にする。
【0058】冷却ロール5は、基部51と、冷却ロール
5の周面53を形成する表面層52とで構成されてい
る。
【0059】基部51の構成材料は、表面層52と同じ
材質で一体構成されていてもよく、また、表面層52と
は異なる材質で構成されていてもよい。
【0060】基部51の構成材料は、特に限定されない
が、表面層52の熱をより速く放散できるように、例え
ば銅または銅系合金のような熱伝導率の高い金属材料で
構成されているのが好ましい。
【0061】また、表面層52は、熱伝導率が基部51
と同等かまたは基部51より低い材料で構成されている
のが好ましい。表面層52の具体例としては、Cr等の
金属薄層または金属酸化物層や、セラミックスが挙げら
れる。
【0062】セラミックスとしては、例えば、Al
23、SiO2、TiO2、Ti23、ZrO2、Y
23、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム等の
酸化物系セラミックス、AlN、Si34、TiN、B
N等の窒化物系セラミックス、グラファイト、SiC、
ZrC、Al43、CaC2、WC等の炭化物系のセラ
ミックス、あるいは、これらのうちの2以上を任意に組
合せた複合セラミックスが挙げられる。
【0063】このような急冷薄帯製造装置1は、チャン
バー(図示せず)内に設置され、該チャンバー内に、好
ましくは不活性ガスやその他の雰囲気ガスが充填された
状態で作動する。特に、急冷薄帯8の酸化を防止するた
めに、雰囲気ガスは、例えばアルゴンガス、ヘリウムガ
ス、窒素ガス等の不活性ガスであるのが好ましい。
【0064】急冷薄帯製造装置1では、筒体2内に磁石
材料(合金)を入れ、コイル4により加熱して溶融し、
その溶湯6をノズル3から吐出すると、図5に示すよう
に、溶湯6は、冷却ロール5の周面53に衝突し、パド
ル(湯溜り)7を形成した後、回転する冷却ロール5の
周面53に引きずられつつ急速に冷却されて凝固し、急
冷薄帯8が連続的または断続的に形成される。このよう
にして形成された急冷薄帯8は、やがて、そのロール面
81が周面53から離れ、図4中の矢印9B方向に進行
する。なお、図5中、溶湯の凝固界面71を点線で示
す。
【0065】冷却ロール5の周速度は、合金溶湯の組
成、周面53の溶湯6に対する濡れ性等によりその好適
な範囲が異なるが、磁気特性向上のために、通常、1〜
60m/秒であるのが好ましく、5〜40m/秒である
のがより好ましい。冷却ロール5の周速度が遅すぎる
と、急冷薄帯8の体積流量(単位時間当たりに吐出され
る溶湯の体積)によっては、急冷薄帯8の厚さtが厚く
なり、結晶粒径が増大する傾向を示し、逆に冷却ロール
5の周速度が速すぎると、大部分が非晶質組織となり、
いずれの場合にも、その後に熱処理を加えたとしても磁
気特性の向上が望めなくなる。
【0066】なお、得られた急冷薄帯8に対しては、例
えば、非晶質組織の再結晶化の促進、組織の均質化のた
めに、少なくとも1回熱処理を施すこともできる。この
熱処理の条件としては、例えば、400〜900℃で、
0.5〜300分程度とすることができる。
【0067】また、この熱処理は、酸化を防止するため
に、真空または減圧状態下(例えば1×10-1〜1×1
-6Torr)、あるいは窒素ガス、アルゴンガス、ヘ
リウムガス等の不活性ガス中のような、非酸化性雰囲気
中で行うのが好ましい。
【0068】以上のような製造方法により得られた急冷
薄帯(薄帯状の磁石材料)8は、微細結晶組織、もしく
は微細結晶がアモルファス組織中に含まれるような組織
となり、優れた磁気特性が得られる。そして、この急冷
薄帯8を粉砕することにより、本発明の磁石粉末が得ら
れる。
【0069】粉砕の方法は、特に限定されず、例えばボ
ールミル、振動ミル、ジェットミル、ピンミル等の各種
粉砕装置、破砕装置を用いて行うことができる。この場
合、粉砕は、酸化を防止するために、真空または減圧状
態下(例えば1×10-1〜1×10-6Torr )、あ
るいは窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等の不活
性ガス中のような、非酸化性雰囲気中で行うこともでき
る。
【0070】磁石粉末の平均粒径は、特に限定されない
が、後述する等方性ボンド磁石を製造するためのものの
場合、磁石粉末の酸化防止と、粉砕による磁気特性劣化
の防止とを考慮して、0.5〜150μm程度が好まし
く、0.5〜80μm程度がより好ましく、1〜50μ
m程度がさらに好ましい。
【0071】また、ボンド磁石の成形時のより良好な成
形性を得るために、磁石粉末の粒径分布は、ある程度分
散されている(バラツキがある)のが好ましい。これに
より、得られたボンド磁石の空孔率を低減することがで
き、その結果、ボンド磁石中の磁石粉末の含有量を同じ
としたときに、ボンド磁石の密度や機械的強度をより高
めることができ、磁気特性をさらに向上することができ
る。
【0072】なお、得られた磁石粉末に対しては、例え
ば、粉砕により導入されたひずみの影響の除去、結晶粒
径の制御を目的として、熱処理を施すこともできる。こ
の熱処理の条件としては、例えば、350〜850℃
で、0.5〜300分程度とすることができる。
【0073】また、この熱処理は、酸化を防止するため
に、真空または減圧状態下(例えば1×10-1〜1×1
-6Torr)、あるいは窒素ガス、アルゴンガス、ヘ
リウムガス等の不活性ガス中のような、非酸化性雰囲気
中で行うのが好ましい。
【0074】以上のような磁石粉末を用いてボンド磁石
を製造した場合、そのような磁石粉末は、結合樹脂との
結合性(結合樹脂の濡れ性)が良く、そのため、このボ
ンド磁石は、機械的強度が高く、熱安定性(耐熱性)、
耐食性が優れたものとなる。従って、当該磁石粉末は、
ボンド磁石の製造に適している。
【0075】なお、以上では、急冷法として、単ロール
法を例に説明したが、双ロール法を採用してもよい。ま
た、その他、例えばガスアトマイズのようなアトマイズ
法、回転ディスク法、メルト・エクストラクション法、
メカニカル・アロイング(MA)法等により製造しても
よい。このような急冷法は、金属組織(結晶粒)を微細
化することができるので、ボンド磁石の磁石特性、特に
保磁力等を向上させるのに有効である。
【0076】[ボンド磁石およびその製造]次に、本発
明の等方性ボンド磁石(以下単に、「ボンド磁石」とも
言う)について説明する。
【0077】本発明のボンド磁石は、好ましくは、前述
の磁石粉末を結合樹脂で結合してなるものである。
【0078】結合樹脂(バインダー)としては、熱可塑
性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれでもよい。
【0079】熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミ
ド(例:ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナ
イロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロ
ン12、ナイロン6−12、ナイロン6−66)、熱可
塑性ポリイミド、芳香族ポリエステル等の液晶ポリマ
ー、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンサルファ
イド、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸
ビニル共重合体等のポリオレフィン、変性ポリオレフィ
ン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
ト等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルエー
テルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアセタール等、
またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマ
ーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種
以上を混合して用いることができる。
【0080】これらのうちでも、成形性が特に優れてお
り、機械的強度が高いことから、ポリアミド、耐熱性向
上の点から、液晶ポリマー、ポリフェニレンサルファイ
ドを主とするものが好ましい。また、これらの熱可塑性
樹脂は、磁石粉末との混練性にも優れている。
【0081】このような熱可塑性樹脂は、その種類、共
重合化等により、例えば成形性を重視したものや、耐熱
性、機械的強度を重視したものというように、広範囲の
選択が可能となるという利点がある。
【0082】一方、熱硬化性樹脂としては、例えば、ビ
スフェノール型、ノボラック型、ナフタレン系等の各種
エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン
樹脂、ポリエステル(不飽和ポリエステル)樹脂、ポリ
イミド樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙
げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合して
用いることができる。
【0083】これらのうちでも、成形性が特に優れてお
り、機械的強度が高く、耐熱性に優れるという点から、
エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、シリ
コーン樹脂が好ましく、エポキシ樹脂が特に好ましい。
また、これらの熱硬化性樹脂は、磁石粉末との混練性、
混練の均一性にも優れている。
【0084】なお、使用される熱硬化性樹脂(未硬化)
は、室温で液状のものでも、固形(粉末状)のものでも
よい。
【0085】このような本発明のボンド磁石は、例えば
次のようにして製造される。磁石粉末と、結合樹脂と、
必要に応じ添加剤(酸化防止剤、潤滑剤等)とを混合、
混練(例えば、温間混練)してボンド磁石用組成物(コ
ンパウンド)を製造し、このボンド磁石用組成物を用い
て、圧縮成形(プレス成形)、押出成形、射出成形等の
成形方法により、無磁場中で所望の磁石形状に成形す
る。結合樹脂が熱硬化性樹脂の場合には、成形後、加熱
等によりそれを硬化する。
【0086】ここで、前記3種の成形方法のうち、押出
成形および射出成形(特に、射出成形)は、形状選択の
自由度が広く、生産性が高い等の利点があるが、これら
の成形方法では、良好な成形性を得るために、成形機内
におけるコンパウンドの十分な流動性を確保しなければ
ならないため、圧縮成形に比べて、磁石粉末の含有量を
多くすること、すなわちボンド磁石を高密度化すること
ができない。しかしながら、本発明では、後述するよう
に、高い磁束密度が得られ、そのため、ボンド磁石を高
密度化しなくても優れた磁気特性が得られるので、押出
成形、射出成形により製造されるボンド磁石にもその利
点を享受することができる。
【0087】ボンド磁石中の磁石粉末の含有量(含有
率)は、特に限定されず、通常は、成形方法や、成形性
と高磁気特性との両立を考慮して決定される。具体的に
は、75〜99.5wt%程度であるのが好ましく、8
5〜97.5wt%程度であるのがより好ましい。
【0088】特に、ボンド磁石が圧縮成形により製造さ
れたものの場合には、磁石粉末の含有量は、90〜9
9.5wt%程度であるのが好ましく、93〜98.5
wt%程度であるのがより好ましい。
【0089】また、ボンド磁石が押出成形または射出成
形により製造されたものの場合には、磁石粉末の含有量
は、75〜98wt%程度であるのが好ましく、85〜
97wt%程度であるのがより好ましい。
【0090】ボンド磁石の密度ρは、それに含まれる磁
石粉末の比重、磁石粉末の含有量、空孔率等の要因によ
り決定される。本発明のボンド磁石において、その密度
ρは特に限定されないが、5.3〜6.6Mg/m3
度であるのが好ましく、5.5〜6.4Mg/m3程度
であるのがより好ましい。
【0091】本発明では、磁石粉末の磁束密度、保磁力
が大きいので、ボンド磁石に成形した場合に、磁石粉末
の含有量が多い場合はもちろんのこと、含有量が比較的
少ない場合でも、優れた磁気特性(特に、高い最大磁気
エネルギー積(BH)max)が得られる。
【0092】本発明のボンド磁石の形状、寸法等は特に
限定されず、例えば、形状に関しては、例えば、円柱
状、角柱状、円筒状(リング状)、円弧状、平板状、湾
曲板状等のあらゆる形状のものが可能であり、その大き
さも、大型のものから超小型のものまであらゆる大きさ
のものが可能である。特に、小型化、超小型化された磁
石に有利であることは、本明細書中で度々述べている通
りである。
【0093】このようなことから、本発明のボンド磁石
は、多極着磁に供される、または多極着磁されたもので
あるのが好ましい。
【0094】以上のような本発明のボンド磁石は、室温
での磁気特性を表すJ−H図(縦軸に磁化(J)、横軸
に磁界(H)をとった図)での減磁曲線において、J−
H図中の原点を通り、かつ傾き(J/H)が−3.8×
10-6ヘンリー/mである直線との交点を出発点として
測定した場合の不可逆帯磁率(χirr)が5.0×10
-7ヘンリー/m以下であり、さらに、室温での固有保磁
力(HcJ)が320〜720kA/mであるという磁気
特性(磁気性能)を有している。以下、不可逆帯磁率
(χirr)、固有保磁力(HcJ)および残留磁束密度
(Br)と密度(ρ)の関係について順次説明する。
【0095】[不可逆帯磁率について]不可逆帯磁率
(χirr)とは、図6に示すように、J−H図での減磁
曲線において、ある点Pにおける当該減磁曲線の接線の
傾きを微分帯磁率(χdif)とし、前記点Pから一旦減
磁界の大きさを減らしてリコイル曲線を描かせたときの
当該リコイル曲線の傾き(リコイル曲線の両端を結ぶ直
線の傾き)を可逆帯磁率(χrev)としたとき、次式で
表されるもの(単位:ヘンリー/m)を言う。
【0096】不可逆帯磁率(χirr)=微分帯磁率(χ
dif)−可逆帯磁率(χrev) なお、本発明では、J−H図での減磁曲線において、J
−H図中の原点を通りかつ傾き(J/H)が−3.8×
10-6ヘンリー/mである直線yとの交点を前記点Pと
した。
【0097】本発明において、室温での不可逆帯磁率
(χirr)の上限値を5.0×10-7ヘンリー/mと定
めた理由は、次の通りである。
【0098】前述したように、不可逆帯磁率(χirr
は、一旦減磁界をかけた後、その絶対値を減少させても
戻らない磁化の磁界に対する変化率を示すものであるた
め、この不可逆帯磁率(χirr)をある程度小さい値に
抑えることにより、ボンド磁石の熱的安定性の向上、特
に不可逆減磁率の絶対値の低減が図れる。実際に、本発
明における不可逆帯磁率(χirr)の範囲では、ボンド
磁石を例えば100℃×1時間の環境下に放置後、室温
まで戻したときの不可逆減磁率はその絶対値が約5%以
下となり、実用上(特にモータ等の使用において)十分
な耐熱性すなわち熱的安定性が得られる。
【0099】これに対し、不可逆帯磁率(χirr)が
5.0×10-7ヘンリー/mを超えると、不可逆減磁率
の絶対値が増大し、十分な熱的安定性が得られない。ま
た、固有保磁力が低くなるとともに角型性が悪くなるの
で、ボンド磁石の実際の使用において、パーミアンス係
数(Pc)が大きくなる(例えばPc≧5)ような用途
での使用に制限されてしまう。また、保磁力の低下は、
熱的安定性の低下をもたらすことにもなる。
【0100】室温での不可逆帯磁率(χirr)を5.0
×10-7ヘンリー/m以下と定めた理由は以上のとおり
であるが、不可逆帯磁率(χirr)はできるだけ小さい
値が好ましく、従って、本発明では、不可逆帯磁率(χ
irr)が4.5×10-7ヘンリー/m以下であるのがよ
り好ましく、4.0×10-7ヘンリー/m以下であるの
がさらに好ましい。
【0101】[固有保磁力について]ボンド磁石の室温
での固有保磁力(HcJ)は、320〜720kA/mで
ある。特に、400〜640kA/mがより好ましい。
【0102】固有保磁力(HcJ)が前記上限値を超える
と、着磁性が劣り、十分な磁束密度が得られない。
【0103】一方、固有保磁力(HcJ)が前記下限値未
満であると、モータの用途によっては逆磁場がかかった
ときの減磁が顕著になり、また、高温における耐熱性が
劣る。従って、固有保磁力(HcJ)を上記範囲とするこ
とにより、ボンド磁石(特に、円筒状磁石)に多極着磁
等をするような場合に、十分な着磁磁場が得られないと
きでも、良好な着磁が可能となり、十分な磁束密度が得
られ、高性能なボンド磁石、特にモータ用ボンド磁石を
提供することができる。
【0104】[残留磁束密度Brと密度ρの関係につい
て]残留磁束密度Br(T)と密度ρ(Mg/m3)と
の間で、下記式(I)の関係を満足するのが好ましい。
【0105】 0.125≦Br/ρ[×10-6T・m3/g] ・・・(I) また、式(I)に代わり、式(II)を満足するのがより
好ましく、式(III)を満足するのがさらに好ましい。
【0106】 0.128≦Br/ρ[×10-6T・m3/g]≦0.16 ・・・(II) 0.13≦Br/ρ[×10-6T・m3/g]≦0.155 ・・・(III) Br/ρ[×10-6T・m3/g]の値が前記式中の下限
値未満であると、磁石の密度を高くしないと、すなわち
磁石粉末の含有量(含有率)を高くしないと、十分な磁
束密度が得られない。そうした場合、成形方法の制約、
高コスト化、結合樹脂の減少による成形性の低下という
問題を招く。また、一定の磁束密度を得るためには体積
が増えることとなり、機器の小型化が困難となる。
【0107】さらに本発明のボンド磁石は、最大磁気エ
ネルギー積、不可逆減磁率について、以下に述べる条件
を満足するのが好ましい。
【0108】[最大磁気エネルギー積(BH)maxにつ
いて]最大磁気エネルギー積(BH)maxは、60kJ
/m3以上であるのが好ましく、65kJ/m3以上であ
るのがより好ましく、70〜130kJ/m3であるの
がさらに好ましい。最大磁気エネルギー積(BH)max
が60kJ/m3未満であると、モータ用に用いた場
合、その種類、構造によっては、十分なトルクが得られ
ない。
【0109】[不可逆減磁率について]不可逆減磁率
(初期減磁率)の絶対値は、6.2%以下であるのが好
ましく、5%以下であるのがより好ましく、4%以下で
あるのがさらに好ましい。これにより、熱的安定性(耐
熱性)に優れたボンド磁石が得られる。
【0110】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例について説明す
る。
【0111】(実施例1)以下に述べるような方法で合
金組成が(Nd0.7Pr0.25Dy0.058.6Feba lCo
7.05.9Crwで表される磁石粉末(Cr含有量wを種
々変化させた7種の磁石粉末)を得た。
【0112】まず、Nd、Pr、Dy、Fe、Co、
B、Crの各原料を秤量して母合金インゴットを鋳造
し、このインゴットから約15gのサンプルを切り出し
た。
【0113】図4および図5に示す構成の急冷薄帯製造
装置1を用意し、底部にノズル(円孔オリフィス:オリ
フィス直径0.55mm)3を設けた石英管内に前記サ
ンプルを入れた。急冷薄帯製造装置1が収納されている
チャンバー内を脱気した後、不活性ガス(アルゴンガ
ス)を導入し、所望の温度および圧力の雰囲気とした。
【0114】冷却ロール5としては、銅製の基部51の
外周に、WCよりなる厚さ約7μmの表面層52を設け
たもの(直径200mm)を用いた。
【0115】その後、石英管内のインゴットサンプルを
高周波誘導加熱により溶解し、さらに、溶湯の噴射圧
(石英管の内圧と雰囲気圧との差圧)、冷却ロールの周
速度を調整して、急冷薄帯を作製した。
【0116】得られた急冷薄帯を粗粉砕した後、アルゴ
ンガス雰囲気中で700℃×300秒の熱処理を施し
て、磁石粉末を得た。
【0117】次に、粒度調整のために、この磁石粉末を
さらに粉砕機(ライカイ機)を用いてアルゴンガス中で
粉砕し、平均粒径50μmの磁石粉末にした。
【0118】得られた各磁石粉末について、その相構成
を分析するため、Cu−Kαを用い回折角20°〜60
°にてX線回折を行った。回折パターンからハード磁性
相であるR2(Fe・Co)14B型相と、ソフト磁性相
であるα−(Fe,Co)型相の回折ピークが確認で
き、透過型電子顕微鏡(TEM)による観察結果から、
いずれも、複合組織(ナノコンポジット組織)を形成し
ていることが確認された。
【0119】この磁石粉末に、ポリアミド樹脂(ナイロ
ン12)と、少量のヒドラジン系酸化防止剤および潤滑
剤とを混合し、これらを225℃×15分間、混練して
ボンド磁石用組成物(コンパウンド)を作製した。この
とき、磁石粉末とポリアミド樹脂(ナイロン12)との
配合比率(重量比)は、各ボンド磁石についてほぼ等し
い値とした。すなわち、各ボンド磁石中の磁石粉末の含
有量(含有率)は、約97wt%であった。
【0120】次いで、このコンパウンドを粉砕して粒状
とし、この粒状物を秤量してプレス装置の金型内に充填
し、温度210℃、圧力800MPaで圧縮成形(無磁
場中)して、直径10mm×高さ7mmの円柱状の等方
性ボンド磁石を得た。各ボンド磁石の密度ρをアルキメ
デス法により測定した。その結果を表1に示した。
【0121】<磁気特性、不可逆帯磁率の評価>各ボン
ド磁石について、磁場強度3.2MA/mでパルス着磁
を施した後、直流自記磁束計(東英工業(株)製、TR
F−5BH)にて最大印加磁場2.0MA/mで磁気特
性(残留磁束密度Br、固有保磁力HcJ、最大磁気エネ
ルギー積(BH)max)を測定した。測定時の温度は、
23℃(室温)であった。
【0122】図7に示すように、得られたJ−H図の減
磁曲線において、原点を通り傾き(J/H)が−3.8
×10-6ヘンリー/mの直線との交点Pを出発点とし、
ここから磁界を一旦0まで変化させてから再び元に戻し
てリコイル曲線を描き、このリコイル曲線の傾き(リコ
イル曲線の両端を結ぶ直線の傾き)を可逆帯磁率(χ
rev)として求めた。また、前記交点Pにおける減磁曲
線の接線の傾きを微分帯磁率(χdif)として求めた。
室温での不可逆帯磁率(χirr)は、χirr=χdif−χ
revとして求めた。これらの結果を下記表1に示す。
【0123】<耐熱性の評価>次に、前記各ボンド磁石
(直径10mm×高さ7mmの円柱状)の耐熱性(熱的
安定性)を調べた。この耐熱性は、ボンド磁石を100
℃×1時間の環境下に保持した後、室温まで戻した際の
不可逆減磁率(初期減磁率)を測定し、評価した。その
結果を下記表1に示す。不可逆減磁率(初期減磁率)の
絶対値が小さいほど、耐熱性(熱的安定性)に優れる。
【0124】
【表1】
【0125】<総合評価>表1からわかるように、磁石
粉末中のCr含有量wが0.2〜3.5原子%でかつ不
可逆帯磁率(χirr)が5.0×10-7ヘンリー/m以
下の等方性ボンド磁石(No.2〜No.6)は、いず
れも優れた磁気特性(残留磁束密度、固有保磁力、最大
磁気エネルギー積)を有し、不可逆減磁率の絶対値も小
さいことから耐熱性(熱的安定性)が高く、さらに、着
磁性も良好である。
【0126】以上のようなことから、本発明によれば、
高性能で信頼性(特に、耐熱性)の高いボンド磁石を提
供することができる。特に、ボンド磁石をモータとして
使用した場合に、高い性能が発揮される。
【0127】(実施例2)実施例1と同様にして、合金
組成が(Nd0.75Pr0.20Dy0.058.9FebalCo
6.95.8Cr1.0で表される磁石粉末を得た。
【0128】得られた磁石粉末に、ポリアミド樹脂(ナ
イロン12)と、少量のヒドラジン系酸化防止剤および
潤滑剤とを混合し、これらを200〜230℃×15分
間、混練してボンド磁石用組成物(コンパウンド)を作
製した。このとき、ボンド磁石中の磁石粉末の含有量
(含有率)を種々変化させて、7種類のコンパウンドを
得た。
【0129】こうして得られたコンパウンドのうち磁石
粉末の含有量が比較的多いものについては、粉砕して粒
状とした後、無磁場中で圧縮成形することにより、また
磁石粉末の含有量が比較的少ないものについては、粉砕
して粒状とした後、無磁場中で射出成形することにより
ボンド磁石とした。
【0130】なお、ボンド磁石の寸法は、いずれも直径
10mm×高さ7mmの円柱状とした。
【0131】圧縮成形は、粒状物をプレス装置の金型内
に充填し、温度210〜220℃、圧力800MPaで
行った。射出成形は、成形時の金型温度を90℃、射出
シリンダー内温度を230〜280℃として成形を行っ
た。
【0132】このようにして得られた各ボンド磁石につ
いて、実施例1と同様にして磁気特性の測定、および耐
熱性の試験を行った。これらの結果を表2に示す。
【0133】
【表2】
【0134】<総合評価>表2から明らかなように、本
発明のボンド磁石は、密度ρの広い範囲にわたって、優
れた磁気特性(残留磁束密度Br、最大磁気エネルギー
積(BH)maxおよび保磁力HcJ)を有するとともに、
不可逆減磁率が小さく、熱的安定性(耐熱性)にも優れ
ている。
【0135】特に、本発明のボンド磁石は、射出成形に
よって得られるような低密度のボンド磁石の場合(磁石
粉末の含有量が少ない場合)においても優れた磁気特性
を有しているが、これは、次のような理由のためである
と推定される。
【0136】低密度、すなわち結合樹脂の含有量が多い
と、混練時や成形時におけるコンパウンドの流動性が高
くなる。そのため、磁石粉末と結合樹脂とを比較的低
温、短時間で混練することが可能となり、混練時におけ
るこれらの均一化を容易に達成できる。また、コンパウ
ンドの流動性が高いと、成形も比較的低温、短時間で簡
便に行うことが可能となる。すなわち、成形条件を緩和
することができる。その結果、混練時、成形時における
磁石粉末の劣化(酸化等)を最小限に抑えることがで
き、よって、高磁気特性のボンド磁石が得られ、成形性
も向上する。
【0137】また、コンパウンドの流動性が高いと、得
られるボンド磁石の空孔率を低くすることができ、よっ
て、機械的強度の向上とともに磁気特性も向上する。
【0138】(実施例3)実施例1で得られた各磁石粉
末を用いて、実施例1と同様にして、外径22mm×内
径20mm×高さ4mmの円筒状(リング状)の等方性
ボンド磁石を製造し、得られた各ボンド磁石を8極に多
極着磁した。着磁の際に着磁コイルに流す電流値は16
kAとした。
【0139】なお、このとき、着磁率90%を達成する
のに要した着磁磁界の大きさは、比較的小さく、よっ
て、着磁性は良好であった。
【0140】このようにして着磁された各ボンド磁石を
ロータ磁石として用いて、CD−ROM用スピンドルモ
ータを組み立てた。
【0141】各CD−ROM用スピンドルモータにおい
て、ロータを1000rpmで回転させたときの巻線コ
イルに発生した逆起電圧を測定した。その結果、サンプ
ルNo.1、No.7(いずれも比較例)のボンド磁石
を用いたモータは、電圧が0.80V以下であったのに
対し、サンプルNo.2〜No.6(本発明)のボンド
磁石を用いたモータは、いずれも0.96V以上と20
%以上高い値が得られた。
【0142】その結果、本発明のボンド磁石を用いる
と、高性能のモータが製造できることが確認された。
【0143】ボンド磁石を押出成形により製造した(ボ
ンド磁石中の磁石粉末の含有率:92〜95wt%)以
外は、上記実施例1〜3と同様にして本発明のボンド磁
石およびモータを製造し、性能評価を行ったところ、前
記と同様の結果が得られた。
【0144】ボンド磁石を射出成形により製造した(ボ
ンド磁石中の磁石粉末の含有率:90〜93wt%)以
外は、上記実施例1〜3と同様にして本発明のボンド磁
石およびモータを製造し、性能評価を行ったところ、前
記と同様の結果が得られた。
【0145】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、次
のような効果が得られる。
【0146】・磁石粉末がCrを所定量含有し、また、
ソフト磁性相とハード磁性相とを有する複合組織を有す
ることにより、磁化が高く、優れた磁気特性を発揮し、
特に固有保磁力と角型性が改善される。
【0147】・不可逆減磁率の絶対値が小さく、優れた
耐熱性(熱的安定性)が得られる。
【0148】・高い磁束密度が得られるので、等方性で
あっても、高磁気特性を持つボンド磁石が得られる。特
に、従来の等方性ボンド磁石に比べ、より小さい体積の
ボンド磁石で同等以上の磁気性能を発揮することができ
るので、より小型で高性能のモータを得ることが可能と
なる。
【0149】・また、高い磁束密度が得られることか
ら、ボンド磁石の製造に際し、高密度化を追求しなくて
も十分に高い磁気特性を得ることができ、その結果、成
形性の向上と共に、寸法精度、機械的強度、耐食性、耐
熱性(熱的安定性)等のさらなる向上が図れ、信頼性の
高いボンド磁石を容易に製造することが可能となる。
【0150】・着磁性が良好なので、より低い着磁磁場
で着磁することができ、特に多極着磁等を容易かつ確実
に行うことができ、かつ高い磁束密度を得ることができ
る。
【0151】・高密度化を要求されないことから、圧縮
成形法に比べて高密度の成形がしにくい押出成形法や射
出成形法によるボンド磁石の製造にも適し、このような
成形方法で成形されたボンド磁石でも、前述したような
効果が得られる。よって、ボンド磁石の成形方法の選択
の幅、さらには、それによる形状選択の自由度が広が
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁石粉末における複合組織(ナノコン
ポジット組織)の一例を模式的に示す図である。
【図2】本発明の磁石粉末における複合組織(ナノコン
ポジット組織)の一例を模式的に示す図である。
【図3】本発明の磁石粉末における複合組織(ナノコン
ポジット組織)の一例を模式的に示す図である。
【図4】磁石材料を製造する装置(急冷薄帯製造装置)
の構成例を示す斜視図である。
【図5】図4に示す装置における溶湯の冷却ロールへの
衝突部位付近の状態を示す断面側面図である。
【図6】不可逆帯磁率を説明するための図(J−H図)
である。
【図7】減磁曲線およびリコイル曲線を示すJ−H図で
ある。
【符号の説明】
1 急冷薄帯製造装置 2 筒体 3 ノズル 4 コイル 5 冷却ロール 51 ロール基材 52 表面層 53 周面 6 溶湯 7 パドル 71 凝固界面 8 急冷薄帯 81 ロール面 9A 矢印 9B 矢印 10 ソフト磁性相 11 ハード磁性相

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Rx(Fe1-yCoy100-x-z-wzCrw
    (ただし、Rは、少なくとも1種の希土類元素、x:
    7.1〜9.9原子%、y:0〜0.30、z:4.6
    〜8.0原子%、w:0.2〜3.5原子%)で表され
    る合金組成からなり、ソフト磁性相とハード磁性相とを
    有する複合組織で構成される磁石粉末であって、 結合樹脂と混合し成形して等方性ボンド磁石としたと
    き、室温での磁気特性を表すJ−H図での減磁曲線にお
    いて、前記J−H図中の原点を通り、かつ傾き(J/
    H)が−3.8×10-6ヘンリー/mである直線との交
    点を出発点として測定した場合の不可逆帯磁率
    (χirr)が5.0×10-7ヘンリー/m以下であり、
    さらに、室温での固有保磁力HcJが320〜720kA
    /mであることを特微とする磁石粉末。
  2. 【請求項2】 結合樹脂と混合し成形して密度ρ[Mg
    /m3]の等方性ボンド磁石としたとき、室温での残留
    磁束密度Br[T]が、Br/ρ[×10-6T・m3
    g]≧0.125の関係を満足する請求項1に記載の磁
    石粉末。
  3. 【請求項3】 磁石粉末は、結合樹脂と混合し成形して
    等方性ボンド磁石としたとき、不可逆減磁率(初期減磁
    率)の絶対値が6.2%以下である請求項1または2に
    記載の磁石粉末。
  4. 【請求項4】 前記Rは、Ndおよび/またはPrを主
    とする希土類元素である請求項1ないし3のいずれかに
    記載の磁石粉末。
  5. 【請求項5】 前記Rは、Prを含み、その割合が前記
    R全体に対し5〜75%である請求項1ないし4のいず
    れかに記載の磁石粉末。
  6. 【請求項6】 前記Rは、Dyを含み、その割合が前記
    R全体に対し14%以下である請求項1ないし5のいず
    れかに記載の磁石粉末。
  7. 【請求項7】 磁石粉末は、溶湯合金を急冷することに
    より得られたものである請求項1ないし6のいずれかに
    記載の磁石粉末。
  8. 【請求項8】 磁石粉末は、冷却ロールを用いて製造さ
    れた急冷薄帯を粉砕して得られたものである請求項1な
    いし7のいずれかに記載の磁石粉末。
  9. 【請求項9】 磁石粉末は、その製造過程で、または製
    造後少なくとも1回熱処理が施されたものである請求項
    1ないし8のいずれかに記載の磁石粉末。
  10. 【請求項10】 平均粒径が0.5〜150μmである
    請求項1ないし9のいずれかに記載の磁石粉末。
  11. 【請求項11】 請求項1ないし10のいずれかに記載
    の磁石粉末を結合樹脂で結合してなることを特徴とする
    等方性ボンド磁石。
  12. 【請求項12】 Crを含有する磁石粉末を結合樹脂で
    結合してなる等方性ボンド磁石であって、 室温での磁気特性を表すJ−H図での減磁曲線におい
    て、前記J−H図中の原点を通り、かつ傾き(J/H)
    が−3.8×10-6ヘンリー/mである直線との交点を
    出発点として測定した場合の不可逆帯磁率(χirr)が
    5.0×10-7ヘンリー/m以下であり、さらに、室温
    での固有保磁力HcJが320〜720kA/mであるこ
    とを特微とする等方性ボンド磁石。
  13. 【請求項13】 等方性ボンド磁石の密度をρ[Mg/
    3]としたとき、室温での残留磁束密度Br[T]
    が、Br/ρ≧0.125[×10-6T・m3/g]の関
    係を満足する請求項12に記載の等方性ボンド磁石。
  14. 【請求項14】 前記磁石粉末は、R−TM−B−Cr
    系合金(ただし、Rは、少なくとも1種の希土類元素、
    TMは、鉄を主とする遷移金属)よりなるものである請
    求項12または13に記載の等方性ボンド磁石。
  15. 【請求項15】 不可逆減磁率(初期減磁率)の絶対値
    が6.2%以下である請求項12ないし14のいずれか
    に記載の等方性ボンド磁石。
  16. 【請求項16】 前記磁石粉末は、ソフト磁性相とハー
    ド磁性相とを有する複合組織で構成されるものである請
    求項12ないし15のいずれかに記載の等方性ボンド磁
    石。
  17. 【請求項17】 多極着磁に供される、または多極着磁
    された請求項11ないし16のいずれかに記載の等方性
    ボンド磁石。
  18. 【請求項18】 モータに用いられる請求項11ないし
    17のいずれかに記載の等方性ボンド磁石。
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