JP2001214621A - 焼却場設備の解体工法 - Google Patents

焼却場設備の解体工法

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JP2001214621A
JP2001214621A JP2000027125A JP2000027125A JP2001214621A JP 2001214621 A JP2001214621 A JP 2001214621A JP 2000027125 A JP2000027125 A JP 2000027125A JP 2000027125 A JP2000027125 A JP 2000027125A JP 2001214621 A JP2001214621 A JP 2001214621A
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dioxins
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Kozo Hagitani
宏三 萩谷
Toshio Oguri
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Takeshi Taguchi
毅 田口
Gousuke Toshimi
剛輔 年見
Keisuke Shimazu
恵右 島津
Naoji Iwabori
直二 岩堀
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ダイオキシン類で汚染されたフライアッシュ
をダイオキシン類埋封剤により埋封することによりダイ
オキシン類の周囲環境への飛散を防止すると共に作業環
境を改善することを可能とする焼却場設備の解体工法を
提供する。 【解決手段】 焼却場設備の解体工法は、ダイオキシン
類により汚染された焼却場設備を周囲環境から遮断する
工程101と、焼却場設備の内面にダイオキシン類埋封
剤を付着させてダイオキシン類を埋封する工程102
と、焼却場設備の地上構造部分を静的に解体する工程1
03を有することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、焼却場設備の解体
工法に関し、より詳細には、ダイオキシン類で汚染され
た焼却灰をダイオキシン類埋封剤を用いて埋封すること
により、作業環境を改善し、ダイオキシン類の周囲環境
への飛散を防止することを可能とする焼却場設備の解体
工法に関する。
【0002】
【従来の技術】ダイオキシン類は、ゴミ焼却場の存続を
左右するほど深刻な社会問題となっている。我が国に
は、約1,800カ所の焼却施設が存在し、現在、緊急
に対策を講じなければならない施設は22カ所程度ある
ものと推定される。しかし、平成14年12月1日から
さらに法規制値が強化されると、その規制値に適合しな
い既存施設は、約1,600カ所を上るといわれてい
る。これらの規制値に適合しない施設は、全施設を解体
する、あるいは焼却場設備のうちの焼却炉のみ等を改良
することが必須となるため、焼却施設等の解体や撤去工
事の際のダイオキシン類の処理対策を講じる必要があ
る。このような解体工事や撤去工事等を行うにあたり、
焼却プラント等の内部に付着し、汚染を生じさせている
ダイオキシン類の固定化処理は、ダイオキシン類による
汚染の拡大を防止するために必要不可欠な処理となる。
図1及び図2には、それぞれゴミ焼却プロセスにおける
ダイオキシン類の発生メカニズムと、ゴミ焼却プロセス
におけるダイオキシン類の行方とを示す。
【0003】図1に示すように、焼却場の焼却炉1中で
ゴミGが燃焼すると、燃焼による化学反応の結果、飛
灰、すなわちフライアッシュFAが形成される。ゴミG
に含まれる有機化合物ORGの燃焼反応Rにより生じた
フライアッシュFA上の粒子状炭素は、ゴミGの燃焼に
より発生した塩素CLと反応し、ダイオキシン類を形成
するいわゆるde novo合成DNが、300〜400℃の
低温域となる冷却塔2や、集塵機3内で発生する。この
結果ゴミG中にもともと含まれているダイオキシン類D
の他、燃焼により発生するダイオキシン類が焼却場の各
設備の内面に付着することによりダイオキシン類汚染が
発生する。
【0004】本発明にいうダイオキシン類とは、主とし
てポリ塩素化ジベンゾパラジオキシン(PCDDs)及
びポリ塩素化ジベンゾフラン(PCDFs)のことをい
うが、本発明は、コプラナーPCBに対しても同様に適
用できるものである。このダイオキシン類を含んだ焼却
灰4は、図1に示すように焼却灰4として回収され、一
部は集塵機3を通過して煙突の頂部から排気ガスEGと
して排出されることになる。
【0005】図2は、焼却場におけるゴミ焼却プロセス
毎に各設備に堆積した焼却灰4の処理について示した図
である。燃焼炉1に蓄積した焼却灰4は、灰ピット5へ
と堆積され、この結果灰ピット5の内面もダイオキシン
類により汚染されることになる。灰ピット5に蓄積され
た焼却灰4は、集塵機3によりトラップされたフライア
ッシュFAと共に回収され、最終的には一般廃棄物とし
て埋立て地LFにおいて埋立てが行われる。集塵機3に
より回収しきれなかった焼却灰4は、煙突6へと流れて
行き、煙突6の内部を汚染する。燃焼により生じたガス
は、最終的には排気ガスEGとして煙突6の頂部から排
出されることになる。
【0006】これまで、このような焼却場の各設備の内
面に付着して汚染を生じさせているダイオキシン類を除
去するため、いくつかの方法が知られている。このよう
な除去方法としては、例えばエアーブラスト工法により
ある程度ダイオキシン類を除去した後、その除去したダ
イオキシン類を別の処理施設内で無害化する方法を挙げ
ることができる。この方法によれば、ダイオキシン類を
含む燃焼灰4の除去はある程度可能であるものの、付着
汚染したダイオキシン類の除去は完全ではなく、次に行
う解体や撤去作業において、除去できなかったダイオキ
シン類の飛散等が人体に悪影響を及ぼしたり周辺環境へ
のダイオキシン類による汚染の拡大が大きな問題とな
る。
【0007】また、ウォータージェット工法により付着
汚染したダイオキシン類を焼却場設備の内面から除去し
た場合には、除去のために大量の水を使用することや、
ダイオキシン類除去後の水の排水処理が非常に困難であ
ること等も大きな問題点となっている。
【0008】上述したようなウォータージェット工法で
はまた、除去されたダイオキシン類を処理するための方
法が別途必要とされる。このように汚染された焼却場の
各設備から除去したダイオキシン類の処理には、光化学
的分解法、超臨界水酸化分解法、触媒酸化法、および溶
媒抽出分解法といった技術を適用する試みもなされてい
る。しかしながら、各技術に共通な問題点として、一度
に処理できる量が少ない点や、処理に要するコストが非
常に高い点、原位置での仮設プラントの設置が困難な点
等が挙げられているのが現状である。
【0009】上述の技術がそれぞれ提案されているもの
の、焼却場の各設備の解体に際して周囲環境にダイオキ
シン類といった汚染物質を飛散させず、その後ダイオキ
シン類により汚染された処理液等を後処理する必要がな
く、さらに解体された後の廃棄物からダイオキシン類が
周囲環境へと漏れ出すことによる2次汚染を防止するこ
とが可能な焼却場設備の解体工法が必要とされている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上述した問題
点に鑑みなされたものであり、本発明は、周囲環境にダ
イオキシン類といった汚染物質を飛散させず、その後ダ
イオキシン類により汚染された処理液等を後処理する必
要がなく、さらに解体された後の廃棄物からダイオキシ
ン類が周囲環境へと漏れ出すことによる2次汚染を防止
することが可能な焼却場設備の解体工法を提供すること
を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、本
発明の解体工法を提供することにより達成される。
【0012】すなわち、本発明の請求項1の発明によれ
ば、ダイオキシン類により汚染された焼却場設備を周囲
環境から遮断し、上記焼却場設備の内面にダイオキシン
類埋封剤を付着させダイオキシン類を埋封し、上記焼却
場設備の地上構造部分を静的解体することを特徴とする
焼却場設備の解体工法が提供される。
【0013】本発明の請求項2の発明によれば、上記ダ
イオキシン類埋封剤は、溶剤を含まない硬化可能な組成
物とされていることを特徴とする解体工法が提供され
る。
【0014】本発明の請求項3の発明によれば、上記組
成物は、アクリル単量体に溶解する重合体を含有するこ
とを特徴とする解体工法が提供される。
【0015】本発明の請求項4の発明によれば、上記樹
脂組成物の付着は、上記ダイオキシン類埋封剤を上記焼
却場設備の内面に噴霧させることにより行われることを
特徴とする解体工法が提供される。
【0016】本発明の請求項5の発明によれば、上記地
上構造部分の静的解体は、ワイヤソーイングを用いて行
われることを特徴とする解体工法が提供される。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面を参照しつつ
詳細に説明する。本発明は、ダイオキシン類により汚染
されたいかなる構造物に対しても適用することができる
が、以下、本発明をダイオキシン類により汚染された焼
却場施設のうち、煙突及び焼却炉に対して本発明の解体
工法を適用することを例にとり説明を行う。
【0018】図3は、本発明の解体工法の詳細を示した
フローチャートを示した図である。本発明の焼却場の解
体工法は、ステップ100から開始し、ステップ101
において焼却場の各設備を周囲環境から遮断する。ステ
ップ102においては、ダイオキシン類埋封剤を焼却場
の汚染された各設備の内面に噴霧することにより焼却場
の各設備の内面に付着させて、ダイオキシン類を埋封
し、ステップ103において、煙突といった焼却場設備
の地上構造部分の静的解体を行うことを特徴とする。
【0019】本発明の焼却場設備の解体工法において
は、まず、ステップ101において、ダイオキシン類が
解体工事の間に飛散することにより周辺を汚染しないよ
うに、ダイオキシン類埋封剤を噴霧するための噴霧手段
を煙突又は灰ピットへと挿入した後、煙突又は灰ピット
といった焼却場設備を周囲環境から遮断する。
【0020】図4には、本発明において焼却場設備の煙
突6を周囲環境から遮断する方法が示されている。図4
においては、ダイオキシン類により汚染された煙突6の
内面に対してダイオキシン類埋封剤を噴霧させるための
噴霧装置7を挿入した後、煙突頂部を、噴霧装置7を駆
動するためのワイヤ等が通される開口を残して密閉カバ
ー8により閉鎖し、さらに煙道口9には、図示しない焼
却灰が飛散しないようにフィルターを取り付けた図示し
ない集塵機を連結することにより、煙突内部を周囲環境
から遮断しているのが示されている。
【0021】また、図4には、ダイオキシン埋封剤が、
ダイオキシン埋封剤プラント11により調合された後、
コンプレッサ10へと送られて、供給配管12により煙
突6の内部へと送られているのが示されている。噴霧装
置7は、クレーンにより煙突頂部から煙突6内部へと吊
り下げられていて、噴霧の進行に応じて煙突6内部を下
降して行くようにされている。
【0022】図5には、本発明において焼却場設備のう
ち、焼却炉1を周囲環境から遮断する方法が示されてい
る。図5においては、焼却炉1の複数の開口が密閉部材
13により密閉され、噴霧装置7を噴霧装置挿入のため
別途設けられた開口部14から挿入することにより、焼
却炉1を周囲環境から遮断しているのが示されている。
ダイオキシン類埋封剤は、ダイオキシン類埋封剤プラン
ト11において調合された後、コンプレッサ10によ
り、供給配管12を通して噴霧装置7へと供給されてい
る。また、密閉部材13のいずれか1つには、フィルタ
を備えた図示しない集塵機が連結されていて、ダイオキ
シン類により汚染された焼却灰4が周囲環境へと飛散し
ないようにされている。噴霧装置7は、図中矢線A,
B,Cで示された方向へと運動可能とされていて、焼却
炉1の内面にわたってくまなくダイオキシン類埋封剤を
付着させるように構成されている。
【0023】いずれの場合にでも、ダイオキシン類埋封
剤を噴霧させる際には、周囲環境へとダイオキシン類に
より汚染された焼却灰4が飛散することが防止されてい
る。本発明の焼却場設備の解体工法においては、図4及
び図5に示されるようにして焼却場設備を周囲環境から
遮断した後、ダイオキシン類埋封剤をダイオキシン類に
より汚染された構造体の内面へと噴霧させる工程を行
う。
【0024】上述した噴霧工程において噴霧されるダイ
オキシン類埋封剤は、作業環境、煙道内側面への付着
性、浸透性、硬化性、ダイオキシン類埋封性といった観
点から、無溶剤系の硬化可能な組成物とされていること
が好ましい。また、上述した組成物は、少なくとも水溶
性アルキド樹脂,水溶性アクリル樹脂から選択される水
溶性樹脂と、硬化剤とから形成されていることが好まし
い。
【0025】上述した水溶性アルキド樹脂としては、植
物油又は脂肪酸と、2塩基酸又は無水物及びポリオール
と反応させ、さらに2塩基酸又は3塩基酸又は酸無水物
を加えてさらに反応を行い、酸価を30〜60としたも
のを挙げることができる。
【0026】上述した2塩基酸としては、無水フタル酸
及びトリメリット酸無水物を挙げることができる。
【0027】また、上述した水溶性アルキド樹脂に用い
られるポリオールとしては、トリメチロールプロパン、
トリメチロールエタン、ネオペンチルグリコール、1,
4シクロヘキサンジメタノール、トリメチロールプロパ
ントリアクリレートを挙げることができる。また、上述
した水溶性アルキド樹脂としては、アクリルモノマーを
重合させることにより変性されたアクリル変性水溶性ア
ルキドを用いることもできる。
【0028】上述した水溶性アルキド樹脂と共に用いら
れる硬化剤、又は架橋剤としては、ホルムアルデヒド樹
脂又はその誘導体を挙げることができる。本発明におい
て用いるホルムアルデヒド樹脂とは、ホルムアルデヒド
を用いて形成される樹脂をいい、具体的には、メラミン
樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、及びそれらの誘導体
を挙げることができる。具体的には、ダイオキシン類埋
封剤としては、上述した水溶性アルキド樹脂と、アルキ
ル基により変性した上述したホルムアルデヒド樹脂から
選択される樹脂とを混合した組成物を挙げることができ
る。
【0029】上述した水溶性アクリル樹脂としては、ア
ニオン型水溶性アクリル樹脂及びカチオン型水溶性アク
リル樹脂を挙げることができる。アニオン型水溶性アク
リル樹脂は、例えば無水マレイン酸、メタクリル酸、ア
クリル酸、イタコン酸といった親水性の官能基を有する
モノマーを他のモノマーと共重合させることにより得る
ことができる。この際の重合方法としてはこれまで知ら
れているいかなる方法でも用いることができる。このよ
うにして得られたポリマーをアンモニア又はアミン化合
物で中和することによりアニオン性の水溶性アクリル樹
脂が得られる。
【0030】また、カチオン型水溶性ポリマーは、ジア
ルキルアミノメタクリレートや、ジアルキルアミノアク
リレートを用いて共重合することにより得ることができ
る。また、グリシジルメタクリレートのエポキシ基を含
有し、カルボキシル基をジアルキルアミノアルコールと
反応させることによっても水溶性アクリル樹脂を得るこ
とができる。上述したような水溶性アクリル樹脂には、
さらにヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシ
プロピルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレー
トを共重合させて、架橋性を付与することもできる。
【0031】このような水酸基を有する水溶性アルキル
樹脂に対して好適に用いられる架橋剤としては、水溶性
イソシアネート化合物又は水溶性ポリイソシアネート化
合物をあげることができ、これらのイソシアネート化合
物は、適宜反応性を調節するためにキャッピング、すな
わち適切な保護基で保護されていても良い。具体的に
は、ダイオキシン埋封剤としては、上述した水溶性アク
リル樹脂と、Nメチロール基やNメチロールエーテル基
を有するポリマーとを混合して得られる組成物又は、上
述した水溶性アクリル樹脂とメラミンホルムアルデヒド
樹脂とを混合して得られる組成物を挙げることができ
る。
【0032】上述した以外の架橋剤としては、エーテル
化メラミンホルムアルデヒド樹脂や、ヘキサメトキシメ
チルメラミン、ベンゾグアナミン等を挙げることがで
き、これらについても本発明に用いるダイオキシン類埋
封剤に用いることが可能である。上述した水溶性樹脂の
うちでも特に、本発明に用いるダイオキシン類埋封化剤
としては、水溶性アクリル樹脂を用いた組成物を用いる
ことが作業環境、煙道内側面への付着性、浸透性、硬化
性、ダイオキシン類埋封性といった各種の特性をバラン
スさせることができるので特に好ましい。また、上述し
た水溶性樹脂組成物を用いる場合には、ピンホールとい
った被膜欠陥が生じないように、複数回の重ね塗り、付
着量の増加、水溶性界面活性剤の添加といった手段を必
要に応じて用いることができる。
【0033】上述した水溶性樹脂組成物以外にも本発明
のダイオキシン類埋封剤としては、(A)溶解性モノマ
ーと、(B)単官能(メタ)アクリレートモノマー及び
多官能(メタ)アクリレートと、(C)重合開始剤と、
必要に応じて、(D)重合促進剤とを主成分とするアク
リル系樹組成物を挙げることができる。
【0034】上記アクリル系樹脂組成物の配合割合は、
上記溶解性モノマー(A)が重合性単量体(B)100
重量部に対して1〜30重量部とされ、(C)が、0.
2〜25重量部であり、(D)が10重量部以下で配合
されていることが、本発明のダイオキシン類処理剤とし
ては好ましく用いられる。
【0035】上述した溶解性ポリマーとは、単官能(メ
タ)アクリレート及び多官能(メタ)アクリレートの混
合物に均一に溶解する有機ポリマーをいう。この溶解性
ポリマーは、ダイオキシン類埋封剤の粘性を調整し、噴
霧した場合のたれを防止し、さらに単官能(メタ)アク
リレートの揮発を防止しダイオキシン類を含有する焼却
灰の埋封性を向上させる。
【0036】上述した溶解性ポリマーとしては、例えば
ポリアルキル(メタ)クリレート、アルキル(メタ)ア
クリレート単量体の任意の共重合体といったアクリル重
合体、ポリ(メチルメタアクリレートト−スチレン)ラ
ンダム共重合体等を挙げることができ、これらの1種又
は2種以上を互いに混合して用いることができる。溶解
性ポリマーの使用量は、重合性単量体の混合物100重
量部に対して1〜30重量部とされることが好ましい。
【0037】上述のダイオキシン類埋封剤の粘度として
は焼却灰や、ダイオキシン類を含有する焼却灰を含有す
る設備を構成する耐火煉瓦等への含浸性を考慮すると、
20℃においてB型粘度計により測定される粘度が15
〜500mPa・sであることが好ましい。
【0038】上述した多官能アクリレートとしては、具
体的には例えば、両末端メタクリル変性液状ポリプタジ
エン、両末端アクリル変性ポリアクリロニトリルブタジ
エン、両末端メタクリル変性液状部分水素添加ポリブタ
ジエン、両末端変性液状ポリブタジエン、トリメチロー
ルプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパン
ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリ
スリトールヘキサアクリレート、トリメチロールプロパ
ントリメタクリレートなどを挙げることができる。
【0039】上述した単官能(メタ)アクリレートとし
ては、アクリル酸、メチル(メ)アクリレート、エチル
(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレー
ト、ブチル(メタ)アクリレート、プロピルメタアクリ
レート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキ
シル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アク
リレート、イソテデシル(メタ)アクリレート、ラウリ
ル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレ
ート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル
(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)ア
クリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メト
キシ化シクロデカトリエン(メタ)アクリレート、2−
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキ
シプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロ
ピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メ
タ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メ
タ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メ
タ)アクリレート、アルキルオキシポリエチレングリコ
ールモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリ
ル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリ
コールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロ
ピレングリコール(メタ)アクリレートN,N−ジメチ
ルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチ
ルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミ
ノエチル(メタ)アクリレート、モルホリン(メタ)ア
クリレート、エトキシカルボニルメチル(メタ)アクリ
レート、エトキシカルボニル(メタ)アクリレート、エ
チレンオキシド変性フタル酸(メタ)アクリレート、エ
チレンオキシド変性コハク酸(メタ)アクリレート等の
単官能(メタ)アクリレートを挙げることができる。
【0040】上述した重合開始剤としては、ケトンパー
オキサイド類、パーオキシケタール類、ハイドロパーオ
キサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、ジアシルパ
ーオキサイド類、パーオキシジカーボネート類、パーオ
キシエステル類、アセチルシクロヘキシルスルホニルパ
ーオキサイド、ターシャリーブチルパーオキシアリルカ
ーボネート、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−
アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニト
リル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カ
ルボニトリル)、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−
2,4−ジメチルバレロニトリルといったアゾ系重合開
始剤、有機過酸化物アゾアミジン化合物類、環状アゾア
ミジン化合物類、アゾアミド化合物類、アルキルアゾ化
合物類を挙げることができる。
【0041】上述した重合促進剤としては、チオ尿素誘
導体、アミン類、有機金属塩、有機金属基レート、等を
挙げることができる。これら以外のいかなるアクリル系
単量体、重合開始剤、重合促進剤であっても用いること
ができる。
【0042】上述した成分に加え、本発明のダイオキシ
ン類埋封組成物には、シランカップリング剤、チタネー
トカップリング剤、といったカップリング剤を用いて耐
火煉瓦との接着性を向上させることができる。
【0043】また、本発明のダイオキシン類埋封組成物
には、必要に応じて無機充填材や、有機充填材を添加す
ることもできる。無機充填材としては、シリカ、珪砂、
カーボンブラック、フォラストナイト、クレー、酸化チ
タン、酸化マグネシウム、酸化鉄、ベントナイト、マイ
カ、ニッケルスラグ、水酸化アルミニウム、アルミナ、
ステンレス粉、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、
タルク、炭酸カルシウム、ガラス、シラスバルーン、ポ
リエチレン粉末、コールタール、ウレタン樹脂粉、アク
リル樹脂粉、シリコーン樹脂粉、フッ素樹脂粉、フェノ
ール樹脂粉等を挙げることができる。
【0044】さらに、本発明のダイオキシン類埋封組成
物においては、メチルハイドロキノン、ハイドロキノ
ン、カテコール、ハイドロキノンモノメチルエーテルと
いった重合禁止剤を添加することができる。
【0045】本発明に用いることができるダイオキシン
類埋封剤は、耐火煉瓦壁に浸透することにより、充分に
焼却灰4を固定化させると共に、焼却灰を固化・埋封す
ることができることが必要である。このため、耐火煉瓦
に対するダイオキシン類埋封剤の接着力は、圧縮剪断接
着力で0.5〜5N/mm、より好ましくは、1.0
〜3.0N/mmとされ、引っ張り剪断接着力で、
0.05〜1.0N/mm、より好ましくは0.1〜
0.3N/mm程度を有することが必要である。
【0046】また、ダイオキシン類埋封剤は、焼却灰に
対して樹脂を0.5〜5倍量付着させることにより充分
に耐火煉瓦表面において焼却灰4を固定することができ
ることが必要とされる。このため、耐火煉瓦へと焼却灰
4を通して耐火煉瓦まで浸透する浸透性を有しているこ
とが必要である。
【0047】さらに、ダイオキシン類埋封化剤は、ダイ
オキシン類が長期間の保存により保管容器から漏出して
しまわないように、約15重量%/1000hr以下の
ダイオキシン類溶出性を有していることが必要である。
上述した重量%は、ダイオキシン類化合物のトレーサ物
質としてm−クロロフェノールを用い、m−クロロフェ
ノールの添加量に対する、溶出したm−クロロフェノー
ルの量の割合として規定される。
【0048】なお、上述した値は、以下の評価方法を用
いて得られるものである。 (1)ダイオキシン類溶出性 ダイオキシン類の溶出性は、ダイオキシン類のトレーサ
物質としてm−クロロフェノールと、焼却灰と、ダイオ
キシン類埋封剤とを混合して、円柱状の硬化物を作成
し、得られた硬化物を薄いディスクへとスライスして室
温の水中に1000時間浸漬して、1000時間後のm
−クロロフェノールの全重量に対する溶出量を算出する
ことにより得る。
【0049】(2)耐火煉瓦への浸透性 耐火煉瓦への浸透性は、耐火煉瓦表面に着色した一定量
のダイオキシン類埋封剤を塗布し、硬化後耐火煉瓦を割
り、その着色の深さから耐火煉瓦への浸透性を得る。
【0050】(3)耐火煉瓦表面の焼却灰の固定化 耐火煉瓦表面に水に分散させた焼却灰4を付着重量を変
えて塗布し、ダイオキシン類埋封剤をスプレー塗布して
焼却灰4を固定化し、その固定化を建研式接着力試験器
により評価することにより得る。
【0051】(4)耐火煉瓦表面への接着性 耐火煉瓦表面への接着性は、ダイオキシン類埋封剤で焼
却灰を固定化した耐火煉瓦表面に幅40mm×40m
m、厚さ25mmの鋼製治具をエポキシ樹脂で接着し、
建研式接着力試験機を使用して鋼製治具を引っ張り、耐
火煉瓦と、ダイオキシン類埋封剤とで焼却灰を固化した
層との接着強度の測定と破壊状態を観察することにより
得る。
【0052】本発明の解体工法におけるダイオキシン類
埋封剤の噴霧は、ダイオキシン類埋封剤を煙突6の煙道
内側面18へと、噴霧装置7を用いて噴霧させることに
より行われる。図6は、本発明の焼却場設備の解体工法
を焼却場設備の煙突6に適用する場合に用いる噴霧装置
7が煙突内に挿入されたところを詳細に示した図であ
る。煙突6は、RC、すなわち鉄筋コンクリート製の外
筒15を最も外側として、径方向内側に向かって、断熱
のための空間16と、耐火煉瓦により形成され外筒15
から径方向内側に離間して上述の空間16を画成する耐
火煉瓦壁17とから形成されているのが示されている。
この空間16には、ダイオキシン類埋封剤の噴霧中に耐
火煉瓦が崩落しないように予めコンクリート、グラウ
ト、発泡モルタルといった充填材を充填して結着させて
おくこともできる。
【0053】耐火煉瓦壁17の内側面は、煙道を画成す
る煙道内側面18とされており、この煙道内側面18に
は、図示しない焼却灰が長期の使用により堆積してい
る。この焼却灰4には、周囲環境に放出され、また作業
者が接触することが好ましくないダイオキシン類といっ
た有害成分が高濃度に含有されている。
【0054】図6に示す噴霧装置7は、上側支持体19
と、埋封剤噴出部20と、下側支持体21とを備えてお
り、埋封剤剤噴出部20は、上側支持体19と下側支持
体21との間に回動可能に配置されている。埋封剤噴出
部20には、コンプレッサ10により加圧されたダイオ
キシン類埋封剤を供給するためのホース22が連結され
ており、コンプレッサ10から加圧されたダイオキシン
類埋封剤が供給されると、ダイオキシン類処理剤の噴出
圧力により埋封剤噴出部20が回動するようにされてい
る。
【0055】上側支持体19には、中心軸に対称に配設
され上側に向かって突出する上側支持部材23の一端が
枢動可能に取付られている。この上側支持部材23の他
端には、ガイドローラといった回転部材24が配設され
ており、この上側支持部材23の回転部材24が煙道内
側面18にスプリングにより押圧されて当接している。
【0056】また、図6に示される下側支持体には、中
心軸に対称に配設され下側に向かって突出する下側支持
部材25の一端が枢動可能に取付られている。この下側
支持部材25の他端には、ガイドローラといった回転部
材26が配設されている。この下側支持部材25の回転
部材26は、下側支持体21の下側部に取付けられ、煙
道内側面18に向かって延ばされて端部が下側支持部材
25の下側部に連結された押圧部材27、例えばエアシ
リンダーにより煙道内側面に押圧されている。このよう
に回転部材26を煙道内側面18に向かって押圧するこ
とによって上側支持部材23と共に噴霧装置7の煙道内
での配置を安定化させ、埋封剤噴出部20の回転の反作
用により、噴霧装置7自体が回転してしまわないように
されている。また、この噴霧装置7は、ワイヤ28によ
り吊下られているのが示されている。図6では、上側支
持部材23と、下側支持部材25とは、それぞれ2つ用
いられているのが示されているが、本発明においては必
要に応じて適宜上側指示部材23及び下側支持部材25
の数を増加させて用いることができる。また、上側支持
体19及び下側支持体21の形状は、円形、多角形とい
ったいかなる形状とすることが可能である。
【0057】埋封剤噴出部20は、上側支持体19と下
側支持体21の間に中心対称に回動可能に取り付けら
れ、ダイオキシン類埋封剤が供給されると、その噴射圧
力により回転するように構成された中心部材29と、噴
霧ノズル30と、中心部材29と噴霧ノズル30とを連
結する中空のパイプ31とを備えている。ダイオキシン
類埋封剤は、埋封剤噴出部20の中心部材29へと加圧
されたダイオキシン類埋封剤が供給されると、中心部材
29と、パイプ31とを通して噴霧ノズル30へと供給
され、噴霧ノズル30から煙道内側面18へと噴霧され
る。噴霧されたダイオキシン類埋封剤は、煙道内面18
へと付着して硬化し、ダイオキシン類を含有する焼却灰
4を埋封する被膜を形成する。同時に、ダイオキシン類
埋封剤は、耐火煉瓦壁17にまで浸透し、より強固に焼
却灰4を固定する。この際、ダイオキシン類埋封剤は、
回転部材26が通過するまでの間に充分に硬化して、回
転部材26へと移行しないようにされていることが好ま
しい。
【0058】また、図7は、本発明の焼却場設備の解体
工法を焼却炉1に適用する際に用いられる噴霧装置7の
第2の変形例を示した図である。図7では、本発明の解
体工法に用いる噴霧装置7が、焼却炉1の上部壁32に
設けられた開口部14を通して焼却炉1内へと挿入され
たところが示されている。第2の変形例における噴霧装
置7は、上部壁32に噴霧装置7を保持させるための保
持部材33と、軸受け部材34a,34bと、軸受け部
材34a,34bに連結されたセンターホールジャッキ
35と、各種配管が挿通され噴霧装置7を回動駆動させ
るための図示しない駆動部材を連結するための連結管3
6とを備えている。
【0059】軸受け部材34bは、その径方向外側面が
保持部材33に取り付けられ、径方向内側面は、センタ
ーホールジャッキ35を回動可能に保持していて、軸受
け部材34aと共にスラスト軸受けを構成している。保
持部材33の上部壁32と重なり合う部分には、噴霧装
置7を堅固、かつ着脱可能に保持するためのアンカー部
材37が挿通されていて、アンカー部材37が上部壁3
2まで延ばされているのが示されている。
【0060】図7に示す噴霧装置7にはまた、センター
ホールジャッキ35の先端部に、複数のアーム38がア
ーム保持部材39により保持されているのが示されてい
る。また、センターホールジャッキ35は、アーム38
を鉛直方向に移動可能に保持している。アーム保持部材
39は、図示しないアーム駆動機構により鉛直方向に延
びた位置から図に示される水平方向に延びた位置へと移
動可能にアーム38を保持している。図7には、アーム
38を一部切り欠いてその断面が示されている。図7に
示されるようにセンターホールジャッキ35及びアーム
38は、ジャッキから構成されているので、アーム38
の焼却炉1の内面に対向する側の端部に配置された噴霧
ノズル38aを鉛直及び水平方向へと移動可能とさせ、
焼却炉1の内面にくまなくダイオキシン類埋封剤を付着
させることができるようにされている。また、この噴霧
ノズル38aは、ダイオキシン類埋封剤を噴霧する際
に、矢線Dの方向へと回転するように構成することもで
きる。
【0061】図7では、アーム38は2本として示して
いるがこのアーム38は、適切に焼却炉1の内面へとダ
イオキシン類処理剤等を付着させることが可能であれ
ば、必要に応じて何本でも用いることができる。また、
センターホールジャッキ35、アーム38を構成するジ
ャッキは、いかなるものでも用いることができる。ま
た、図示しないアーム駆動機構についても、アーム38
を鉛直方向と水平方向との間で移動させることができれ
ばいかなるものでも用いることができる。
【0062】図7に示されるように噴霧装置7には、連
結管36の上部からダイオキシン類処理剤供給チューブ
40といった配管が挿通されているのが示されている。
噴霧装置7には、この他、必要に応じて連結管36を通
して図示しない油圧ケーブルが挿通されている。ダイオ
キシン類処理剤供給チューブ40は、さらにセンターホ
ールジャッキ35の内部を通され、アーム38の内部を
通されて、噴霧ノズル40へとダイオキシン類処理剤を
供給するようにされている。
【0063】次いで本発明の解体工法においては、ステ
ップ103において設備解体として示される一連の解体
工程へと移る。この解体工程を図8〜図11を用いて説
明する。図8は、本発明の解体工法における防護工程を
示した図である。図8において焼却場設備の煙突6に対
して本発明の解体工法を適用する図示された実施例で
は、煙突6の周囲に焼却灰4が周囲へと飛散しないよう
にすると共に、騒音を防止するための防音シート41を
構築する、防護工程が行われる。図8においては、煙突
6の煙道内側面18に付着した焼却灰4は、ダイオキシ
ン類埋封剤により固化・埋封されているのが示されてい
る。この防音シート41の煙突6の側には、作業用の足
場42が構築されていて、この作業用の足場42は、作
業のための昇降設備及び防音シート41の支持構造とも
されている。
【0064】図8に示される防護工程の後、本発明の解
体工法においては、煙突切断工程を行う。その詳細を示
したのが図9である。図9に示される煙突切断工程は、
煙突を横倒しにする等の方法により、周囲環境に汚染を
引き起こさずに、煙突6の地上構造物の静的解体を可能
とする工程である。
【0065】煙突切断工程では、図9に示すようにして
ワイヤソー工法により煙突6の切断が行われる。図9に
示すワイヤソー工法においては、地上からガイドプーリ
43を介して延ばされたワイヤソー44を煙突6に掛け
渡し、駆動装置45によりワイヤソー44を巡回駆動さ
せて煙突6を切断する。ワイヤソー44に加えられる切
断荷重は、煙突6の外筒15といったRC構造物を駆動
装置45の配置された側の反対方向から適切な切断荷重
をもって連続して切断できるように、一定の荷重が加え
られるようにされている。このワイヤソー44及び駆動
装置45としては、適切なトルクを与えることができ、
かつ、適切な切断荷重を与えることができるものであれ
ばいかなるものでも用いることができる。
【0066】この際、煙突の開口部に密閉カバー46を
設け、煙突内部に発生する粉塵を集塵機により回収する
と共に、切断面にリング状又は半円状の防護カバー47
を設け、冷却機能を備えるバキューム手段48を用いて
切断部分49から発生する粉塵を吸引し、煙突6の内部
へと引き込み、煙突6の内部に排出を行い、粉塵の飛散
をより完全に防止する。この際にも、集塵機により粉塵
を回収するようにすることが好ましい。さらに、切断部
位の冷却も同時に行うことがさらに好ましい。
【0067】次いで、本発明の解体工法は、切断部移動
工程に移る。この切断部移動工程は、短尺切断された煙
突の切断部分49をさらに細かく分解するための小割作
業室へと移動させる工程である。図9を用いてこの切断
部移動工程をさらに説明する。この切断部移動工程で
は、まず、煙突1の大割された切断部分49の頂部に吊
治具50を介してワイヤを連結し、クレーンにより切断
部分49を後述する小割作業室へと移動させる。なお、
上述した煙突切断工程及び切断部移動工程中において
は、集塵機を常時起動させておき、汚染粉塵が周囲環境
に飛散しないようにすることが必要である。
【0068】次いで、本発明の解体工法は、図10に示
される小割工程に移る。図10に示されるように、小割
工程は、切断部分49が得られ次第煙突切断工程と並列
的に行われる。図10に示される小割工程においては、
煙突6の切断部分49を周囲環境から遮断された小割作
業室51に移動させた後、この小割作業室51から離れ
た場所からの無線操作により遠隔的に操作される無線操
縦バックホウ52等といった作業機械を用いる。この際
の操作にあたっては、非汚染区域に配置されたモニタを
見ながら操作盤によりバックホウ52を操作する。バッ
クホウ52には、図示しない車載カメラが取付けられて
おり、実際にバックホウ52を運転しているように小割
作業において遠隔操作により無人化施工を行うことが可
能とされている。この小割作業室51には、図示しない
集塵機が取付けられていて、周囲環境から小割作業室5
1内が遮断されていて、を周囲環境を汚染しないように
されている。
【0069】図10に示すようにして煙突を小割りして
得られた廃棄物は、例えばドラム缶といった容器53に
封入され、別の保管場所において保管される。廃棄物に
付着したダイオキシン類は、ダイオキシン類埋封剤中に
密封されているので長期間にわたる保存により、保存用
の容器53が腐蝕する等して損傷を受けた場合でも周囲
環境へと漏れ出すことがなく、長期にわたってダイオキ
シン類を良好に保存することができる。
【0070】煙突切断工程が終了した後、本発明の解体
工法においては、小割工程と並行して、煙突6の地中に
構築された煙突基部54の解体を行う。この煙突基部5
3の解体を示したのが図11である。煙突基部54の解
体は、煙突基部53の周囲を安定勾配で掘削して、煙突
基部54を露出させ、その後、図11に示すように破砕
治具を取り付けたバックホウ55といった破砕手段を用
いて行われる。このようにして解体された煙突基部54
は、図10において説明したと同様にして無線操縦され
たバックホウ52により小割作業室内51において必要
に応じて小割され、図示しない保存用の容器に密封され
る。
【0071】次いで本発明の煙突解体工法においては、
図12に示されるように煙突基部51の解体がされた後
の凹部56のダイオキシン汚染度を確認した後、必要に
応じてダイオキシン類により汚染されていない土壌によ
り、煙突基部54に対応する凹部を埋め戻す復旧工程を
行ない、解体工事を完了する。また、焼却炉1について
は、ダイオキシン類埋封剤を噴霧後、図8〜図12に示
された工程を適宜用いることにより解体を行うことが可
能である。
【0072】これまで、本発明の解体工法を、ダイオキ
シン類により汚染された煙突及び焼却炉に適用すること
を例として詳細に示してきたが、本発明は、煙突ばかり
ではなく、灰ピット、冷却塔といったダイオキシン類に
より汚染された焼却場設備のいかなる構造物であっても
同様に適用することができる。
【0073】
【発明の効果】本発明の請求項1の発明によれば、ダイ
オキシン類により汚染された焼却場設備を周囲環境から
遮断し、ダイオキシン類で汚染された焼却灰をダイオキ
シン類埋封剤により埋封すると共に、地上構造部分を静
的に解体することにより、ダイオキシン類の周囲環境へ
の飛散を防止すると共に作業環境を改善することを可能
とする焼却場設備の解体工法が提供できる。
【0074】本発明の請求項2の発明によれば、ダイオ
キシン類を溶媒を用いることによる作業環境の悪化も生
じずにダイオキシン類を安定に埋封することができる焼
却場設備の解体工法が提供できる。
【0075】本発明の請求項3の発明によれば、ダイオ
キシン類化合物を効率よく埋封することを可能とする焼
却場設備の解体工法が提供される。
【0076】本発明の請求項4の発明によれば、焼却場
設備の地上構造物を、斫りといった過激な解体工法を用
いることなく静的に解体できるので、周辺環境へのダイ
オキシン類の飛散を最小限にくい止めることを可能とす
る焼却場設備の解体工法が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ゴミ焼却プロセスにおけるダイオキシン類発生
メカニズムを示した図。
【図2】ゴミ焼却プロセスにおけるダイオキシン類の処
理を示した図。
【図3】本発明の焼却場の各設備の解体工程を示したフ
ローチャート。
【図4】本発明の解体工法における煙突内部の遮断方法
を示した図。
【図5】本発明の解体工法における焼却炉内部の遮断方
法を示した図。
【図6】本発明の解体工法に用いる噴霧装置を示した
図。
【図7】本発明の解体工法に用いる噴霧装置の変更例を
示した図。
【図8】本発明の解体工法における防護工程を示した
図。
【図9】本発明の解体工法における煙突切断工程を示し
た図。
【図10】本発明の解体工法における小割工程を示した
図。
【図11】本発明の解体工法における基礎構造の解体を
示した図。
【図12】本発明の解体工法における復旧工程を示した
図。
【符号の説明】
1…焼却炉 2…冷却塔 3…集塵機 4…焼却灰 5…灰ピット 6…煙突 7…噴霧装置 8…密閉カバー 9…煙道口 10…コンプレッサ 11…ダイオキシン類埋封剤プラント 12…供給配管 13…密閉部材 14…開口部 15…外筒 16…空間 17…耐火煉瓦壁 18…煙道内側面 19…上側支持体 20…埋封剤噴出部 21…下側支持体 22…ホース 23…上側支持部材 24…回転部材 25…下側支持部材 26…回転部材 27…押圧部材 28…ワイヤ 29…中心部材 30…噴霧ノズル 31…パイプ 32…上部壁 33…保持部材 34a,34b…軸受け部材 35…センターホルジャッキ 36…連結管 37…アンカー部材 38…アーム 38a…噴霧ノズル 39…アーム保持部材 40…供給チューブ 41…防音シート 42…足場 43…ガイドプーリ 44…ワイヤソー 45…駆動装置 46…密閉カバー 47…防護カバー 48…バキューム手段 49…切断部分 50…吊治具 51…小割作業室 52…無線操縦バックホウ 53…容器 54…煙突基部 55…バックホウ 56…凹部 A,B,C…噴霧装置運動方向 D…噴霧ノズル回転方向 G…ゴミ FA…フライアッシュ EG…排気ガス D…ゴミ中のダイオキシン類 ORG…有機化合物 CL…塩素 R…化学反応 DN…デノボ合成
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石渡 寛之 東京都港区虎ノ門一丁目20番10号 西松建 設株式会社内 (72)発明者 萩谷 宏三 東京都港区虎ノ門一丁目20番10号 西松建 設株式会社内 (72)発明者 小栗 利夫 東京都港区虎ノ門一丁目20番10号 西松建 設株式会社内 (72)発明者 田口 毅 東京都港区虎ノ門一丁目20番10号 西松建 設株式会社内 (72)発明者 年見 剛輔 東京都港区虎ノ門一丁目20番10号 西松建 設株式会社内 (72)発明者 島津 恵右 東京都千代田区神田佐久間河岸67番地MB R99 スリーボンドユニコム株式会社内 (72)発明者 岩堀 直二 東京都八王子市狭間町1456番地 株式会社 スリーボンド内 Fターム(参考) 2E176 AA00 DD22 DD61

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ダイオキシン類により汚染された焼却場
    設備を周囲環境から遮断し、 前記焼却場設備の内面にダイオキシン類埋封剤を付着さ
    せてダイオキシン類を埋封し、 前記焼却場設備の地上構造部分を静的解体することを特
    徴とする焼却場設備の解体工法。
  2. 【請求項2】 前記ダイオキシン類埋封剤は、溶剤を含
    まない硬化可能な組成物とされていることを特徴とする
    請求項1に記載の解体工法。
  3. 【請求項3】 前記組成物は、アクリル単量体に溶解す
    る重合体を含有することを特徴とする請求項2に記載の
    解体工法。
  4. 【請求項4】 前記組成物の付着は、前記ダイオキシン
    類埋封剤を前記焼却場設備の内面に噴霧させることによ
    り行われることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1
    つに記載の解体工法。
  5. 【請求項5】 前記地上構造部分の静的解体は、ワイヤ
    ソーイングを用いて行われることを特徴とする請求項1
    〜4のいずれか1つに記載の解体工法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019015332A (ja) * 2017-07-06 2019-01-31 中国電力株式会社 配管の閉塞方法

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JP2013029467A (ja) * 2011-07-29 2013-02-07 Taisei Corp 放射性物質含有土の一時保管方法
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