JP2001210989A - 電磁波遮蔽膜及びこの遮蔽膜を用いた積層体 - Google Patents

電磁波遮蔽膜及びこの遮蔽膜を用いた積層体

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JP2001210989A
JP2001210989A JP2000020861A JP2000020861A JP2001210989A JP 2001210989 A JP2001210989 A JP 2001210989A JP 2000020861 A JP2000020861 A JP 2000020861A JP 2000020861 A JP2000020861 A JP 2000020861A JP 2001210989 A JP2001210989 A JP 2001210989A
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electromagnetic wave
film
wave shielding
electromagnetic
shielding film
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JP2000020861A
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Takashi Ueno
崇 上野
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Furuya Metal Co Ltd
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Furuya Metal Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】Ag自体の保有する電磁波の遮蔽効果等に対し
ての高い遮蔽能力が保持され、更にAg自体の材料的な
安定性が格段に改善され、しかも、積層構造として用い
る場合でも基板の材質問わずに積層可能で、且つ、基板
との接合性(密着性)がより一層効果的に強化される
等、より高い信頼性が得られる電磁波遮蔽膜と、この遮
蔽膜を用いて製作される積層体を提供する。 【解決手段】Agを主成分とし、Pdを0.1〜3.0
wt%添加し、更にCu、Au、Ti、Cr、Ta、M
oの内、少なくとも一種類以上の元素を0.1〜3.0
wt%添加してなるAg合金材料から電磁波遮蔽膜1を
形成する。又、電磁波遮蔽膜1を用途に応じて単層(単
膜)、又は複層(複膜)で構成することで、温度や化学
的に安定であり、様々な用途への適用を可能とする。
又、上記電磁遮蔽膜1をガラス又は樹脂基板2上に密着
助長下地膜3を介して積層した電磁波遮蔽積層体を製作
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子機器等の表示
装置や透明開口部における液晶ディスプレイ(LCD)
やプラズマディスプレイパネル(PDP)等の表示画面
より放出される電磁波、赤外線及び近赤外線を遮蔽し、
更に屋外からの外部電磁波が進入することで起る電波弊
害を防ぐ。例えば建材ガラス等を通して外部からの外部
電磁波が電子機器等に進入するのを遮蔽してノイズ弊害
等を減少するために使用される電磁波遮蔽膜とこの遮蔽
膜を用いた積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の衛星放送システムや携帯型情報端
末機器等の移動通信の発達に見られるように、電磁波環
境は多様化・複雑化の度合いを深めており、それらがも
たらす利点と共に弊害も明らかになりつつある。例えば
屋外(外部)からの外部電磁波が電子機器等に進入して
ノイズ弊害等につなかった例や、パソコンからの漏洩電
磁波が人体に悪影響を及ぼす例等から社会生活への悪影
響が懸念されている。
【0003】そこで、従来から外部電磁波やパソコン等
からの漏洩電磁波を遮蔽する目的としてAl、Au、A
g、Cu等の様々な材料及びそれを用いて形成される電
磁波遮蔽膜、若しくはその遮蔽膜を用いた積層構造によ
って機能性を向上させる検討がなされており、それを実
施した製品が数多くの分野において多種多様に用いられ
ていることは知られている(例えば、特開平8-975
88号公報、特開平11-177277号公報、特開平
11-198274号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記した電
磁波遮蔽膜とその材料としてはAgやAl、Au、Cu
若しくはこれらの内、いずれかの元素を主成分とする材
料を用いて形成された合金膜が知られているが、夫々に
耐候性や耐磨耗性等に問題があることから、基板材質や
積層構造で用いる場合においては積層体を構成する積層
材料が限定されたり、或いは基板材質によっては全く採
用(適用)が不可能であったりする等の問題が生じてい
た。例えばAlやCuは大変酸素を吸収し易いために、
耐食性の高い材料を保護膜として検討しなければならな
いが、保護膜を設けた際に極端に電磁波遮蔽能力が低下
することが確認されており、Alを用いる本来の目的や
効果、若しくはその能力を損じてしまう。
【0005】又、Alは例えばアクリル系樹脂やPMM
A等からなる樹脂基板等を用いた場合、樹脂基板から析
出されるガス成分に対して化学反応を起し易い等から、
ガスの放出作用が低い材料からなる基板にのみ有効と、
基板の材質が制限されてしまうばかりか、樹脂とのコン
タクトを図る場合には材料の化学的な安定性が懸念され
てしまう等の不安、課題が残る。又、Agは価格的に大
変高価であると言うコストの面から実用性が乏しいと判
断されている。
【0006】又、Agは最も電磁波の遮蔽能力について
は優れている材料であると知られているが、例えば熱に
対しての自己拡散エネルギーが活発であるという問題が
生じ易い。そのために、一時的であっても100℃前後
の熱が印加される場合には、表面部に拡散現象が起り、
Ag本体が保有する光沢を失って白濁化してしまう。換
言すれば、電磁波の遮蔽能力に優れていると言うAg本
体の特性が低減してしまう。又、電磁波を遮蔽する目的
としてガラスや樹脂からなる基板上に形成した際には、
Agは大気中に放置されと、大気中の湿気(主としては
水分等)を吸収して黄色化してしまうために、電磁波の
遮蔽能力に優れていると言うAg本体の特性(能力)が
劣化させてしまう等の問題が生じることから、耐候性に
おいても決して安定した特性を保持することはできい。
【0007】又、Ag自体も大変反応性が高い材料であ
るために、Auと同様にシリコーン等の樹脂基板等を用
いた場合にアクリル系樹脂やPMMA、更にはその他の
樹脂基板から析出されるガス成分に対して化学反応を起
こしてしまい。そのために、ガスの放出作用が低い基板
材質にのみ有効と、基板材質を限定してしまうばかり
か、樹脂とのコンタクトを図る場合には材料の安定性が
懸念されてしまう等の課題が残る。
【0008】本発明はこの様な従来事情に鑑みてなされ
たもので、その目的とする処は、Ag自体の保有する電
磁波遮蔽効果等に対しての高い遮蔽能力が保持され、更
にはAg自体の材料的な安定性が格段に改善され、しか
も、積層構造として用いる場合でも基板の材質問わずに
積層可能で、且つ、基板との接合性(密着性)がより一
膜効果的に強化される等、より高い信頼性が得られる電
磁波遮蔽膜と、この遮蔽膜を用いて製作される電磁波遮
蔽積層体を提供することにある。
【0009】
【課題を達成するための手段】課題を達成するために、
本発明では電磁波遮蔽効果が高くて化学的に安定であ
り、且つ容易に製作が可能なAgを主成分として、Pd
を含有し、更にCu、Au、Ti、Cr、Ta、Moの
内、少なくとも一種類以上の元素を含有してなるAg合
金材料から形成し、用途に応じて単膜、又は2膜以上の
複膜で構成することで温度や化学的に安定であり、様々
な用途への適用を検討できる電磁波遮蔽膜である。又、
上記Pdを0.1〜3.0wt%の範囲内で添加し、更
にCu、Au、Ti、Cr、Ta、Moの内、少なくと
も一種類以上の元素を0.1〜3.0wt%の範囲内で
添加することが好ましい。
【0010】又、本発明では上記Ag合金材料が、蒸着
材料又はスパッタリングターゲット材料であり、蒸着法
又はスパッタリング法等の成膜プロセスにより形成して
なる電磁波遮蔽膜である。
【0011】又、本発明では上記電磁波遮蔽膜の上に、
耐蝕性及び耐候性に優れた材料、又は耐摩耗性に優れた
材料からなる保護膜を形成してなる電磁波遮蔽膜であ
る。
【0012】又、本発明では上記電磁波遮蔽膜を樹脂基
板又はガラス基板上に、蒸着法又はスパッタリング法等
の成膜プロセスにより形成してなる電磁波遮蔽積層体で
ある。
【0013】又、本発明では上記樹脂基板又はガラス基
板と電磁波遮蔽膜との間に、基板と電磁波遮蔽膜との密
着性を助長する密着助長下地膜を形成してなる電磁波遮
蔽積層体である。又、上記密着助長下地膜の材料として
は、ITO(酸化Inと酸化Snの複合酸化物)、Ir
2、ZnO2、SiO2、TiO2、Ta25、ZrO2
から選ばれた少なくとも一種、若しくはこれらを主成分
とする二種類以上からなる金属酸化物材料が好ましい。
又は、Si、Ta、Ti、Mo、Cr、Alから選ばれ
た少なくとも一種、若しくはこれらを主成分とする二種
類以上からなる材料が好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の実施の具体例について説
明する。本発明では、まずAgの保有する熱に対しての
自己拡散エネルギーを緩和させて、任意で少なくとも1
00℃以上に加熱した場合に生じ易かった表面拡散によ
る白濁化という現象を抑制することである。
【0015】そして、Agは大変熱伝導率が良く、原子
単位で熱を吸収・飽和させ易い特徴があるために、熱伝
導率を鈍化させて且つ原子間での活発な移動を抑制する
ために、Agに対して全率固溶体を形成する原子である
Pdを0.1〜4.0wt%任意で組成を振って添加し
て実験して見た。まず、スパッタリング装置にAgとP
dのスパッタリングをそれぞれ装着して、特定のRFパ
ワーでAg、Pdの放電量を制御して、Ar(アルゴ
ン)ガスを0.1〜3.0Paの間で任意に設定して、
2つの材料を同時にスパッタする。つまり、同時スパッ
タリング法で数種類Pdの添加量を振って合金膜を形成
した。この時、基板としては100mm×100mm×
1.1tの石英基板を用いて、スパッタ・プロセス中の
基板温度は常温(25℃前後)で、スパッタガスとして
はArガスのみを用いて、到達真空度としては3×10
E-6Paという高真空雰囲気中で、膜厚20nmで形
成した。高真空雰囲気中で成膜を行う理由としては、不
純物ガス等が合金膜の粒界に依存してしまうのを抑制し
て、緻密な膜を形成することで材料本来の物性を確認し
ようとするためである。
【0016】上記方法にて形成したAgを主成分とし
て、それに数種類の材料組成でPdを添加したAg合金
材料薄膜を、大気中でホットプレート上に載せて約2時
間放置して、白濁化の有無と白濁化が開始された温度を
観察する加熱試験を行った。この時のホットプレートの
加熱方法としては、抵抗加熱式を採用し、加熱温度を2
50℃、加熱速度を20℃/minに設定した。その試
験結果を表1に示す。
【0017】
【表1】
【0018】一般的に、Pdを添加すると、Agの保有
する高温及び高湿(多湿)環境下での耐候性の無さが改
善されることはよく知られているが、熱を印加した場合
の耐表面拡散性については、表1のように顕著な差異を
確認することはできなく、Pdの添加による白濁化の低
減については、純Agと比較して顕著な優位性を確認す
ることはできなかった。又、電磁波遮蔽能力は、加熱す
る前と比較して、加熱後において2〜3%程度低下する
ことが確認されたために、Pd添加による表面拡散防止
効果は確認することができなかった。
【0019】実施例1 そこで、本発明では主成分となるAgに、0.1〜3.
0wt%Pdを添加し、更にCu、Au、Ti、Cr、
Ta、Moの内、少なくとも一種類以上の元素を添加し
て、少なくとも三元素以上の元素からなるAg合金材料
から薄膜を形成して、熱による表面拡散の抑制を検討し
て見た。この時のCu、Au、Ti、Cr、Ta、Mo
の内、少なくとも一種類以上の元素の添加量は0.1〜
3.0wt%である。薄膜の成膜方法としては、Ag及
びPd、更にはCu、Au、Ti、Cr、Ta、Moの
内のいずれかのスパッタリングターゲット材料より一種
類選択してRFマグネトロンスパッタリング装置に装着
し、前記3つの金属元素を同時スパッタリングすること
で、三元素のAg合金材料からなる薄膜を作成した。こ
の時、基板としては100mm×100mm×1.1t
の石英基板を用いて、スパッタ・プロセス中の基板温度
は常温(25℃前後)で、スパッタガスとしてはAr
(アルゴン)ガスのみを用いて、到達真空度としては3
×10E-6Paという高真空雰囲気中で、膜厚は前述
したAg-Pdからなる二元合金と同様に20nmにて
形成した。
【0020】この方法で、主成分となるAgに、Pdを
0.1〜3.0wt%添加し、更にCu、Au、Ti、
Cr、Ta、Moの内、いずれか一種類を0.1〜3.
0wt%添加してなるAg合金材料を石英基板上に膜厚
20nmで形成して、前述と同様に加熱温度を250℃
に設定保持したホットプレート上に載せて2時間放置し
て、白濁化の有無と白濁化が開始された温度を観察する
加熱試験を行った。その試験結果を表2及び表3に示
す。
【0021】
【表2】
【0022】
【表3】
【0023】すると、従来の純Ag或いはAgにPdを
0.1〜3.0wt%添加されたAg-Pd合金材料で
は、前述の表1から分かるように少なからず膜の表面部
が白濁化して電磁波遮蔽能力が低下してしまうのに対
し、本発明のAgを主成分としてPdを0.1〜3.0
wt%添加し、更に第三元素としてCu、Au、Ti、
Cr、Ta、Moの内、いずれか一種類を0.1〜3.
0wt%添加してなる三元素のAg合金材料では、白濁
化現象や電磁波遮蔽能力の低下が表2及び表3から分か
るように、全ての材料組成範囲で観察されなかった。
【0024】そこで、250℃で加熱試験を行った様々
な材料組成範囲で形成されるAg合金材料膜が堆積され
た石英基板を、更に400℃に加熱されたホットプレー
ト上に2時間放置して見た場合でも、何れの材料組成範
囲においても白濁化や電磁波遮蔽能力の低下が観察され
なかった。
【0025】又、Pdを全く添加せずにCu、Au、T
i、Cr、Ta、Moの内、いずれか一種類を0.1〜
3.0wt%添加してなる二元素のAg合金材料膜を前
述の通り、スパッタリング法により同時に石英基板に膜
厚15nmにて形成して、同じく250℃と400℃の
両方で加熱して経時変化を観察する加熱試験を行ったと
ころ、全ての膜が白濁化、そして電磁波遮蔽能力が低下
してしまうことが確認された。
【0026】この様に、主成分とするAgに、0.1〜
3.0wt%のPdを添加し、更に第三の元素として
0.1〜3.0wt%のCu、Au、Ti、Cr、T
a、Moの内、いずれか一種類を添加してなる三元素の
Ag合金材料にすることにより、耐熱性の大幅な改善が
認められ、しかも、Ag自体の保有する電磁波遮蔽効果
に対しての高い遮蔽能力を低下させること無く保持でき
ることが分かった。
【0027】実施例2 又、この様に耐熱性に富んだ各材料組成範囲のAg合金
材料からなる電磁波遮蔽膜の加熱試験を行った際に、薄
膜の端部に若干の剥離が観察され、少なくとも特定の材
質からなる基板に対して密着性が弱いことが確認された
ことから、基板と各材料組成範囲からなる三元素のAg
合金材料からなる電磁波遮蔽膜との密着性について検討
して見た。
【0028】そこで、本発明では少なくとも三元素のA
g合金材料膜の密着力を確認するために、PMMA、P
ET、PC、アクリル系樹脂、低アルカリガラス、無ア
ルカリガラス、硼珪酸ガラス等の各種の材質からなる基
板上に、これまでと同様に三元素同時スパッタリング法
にて15nmの厚みの薄膜を形成した後、ピール試験法
により密着性を確認する試験を試みた。すると、各種の
材質からなるいずれの基板に対しても密着性が必ずしも
高くないことが確認されたため、図1に例示したよう
に、各材質からなる基板2と電磁波遮蔽膜1との間に、
両者間の密着性を助長する特定の密着助長下地膜3を中
間下地として形成することで、密着性を更に検討して見
た。
【0029】密着助長下地膜3の材料としては、酸素や
各種の材質からなる基板2に対して材料的に安定であ
り、更には少なくとも三元素のAg合金材料からなる電
磁波遮蔽膜1と密着性が良いと言うことを検討して、S
i、Ta、Ti、Mo、Cr、Al、ITO(酸化In
と酸化Snの複合酸化物)、IrO2、ZnO2、SiO
2、TiO2、Ta25、ZrO2等を、各種の材質から
なる基板2上にRFスパッタリング法で形成した後、そ
の上にこれまでの同様に三元素同時スパッタリング法に
て様々な各材料組成範囲からなる三元素のAg合金材料
薄膜を形成して、ピール試験を行って見たところ、中間
下地として密着助長下地膜3を介在することで、PMM
A、PET、PC、アクリル系樹脂、低アルカリガラ
ス、無アルカリガラス、硼珪酸ガラス等の各種の材質か
らなる基板2に対する電磁波遮蔽膜1の密着性が大きく
向上し、各種の材質からなる基板との接合性がより一層
効果的に強化されることが分かった。
【0030】この場合に、各種のガラス基板の密着助長
下地膜3としては、Si、Ta、Ti、Mo、Cr、A
l、ITO、ZnO2、SiO2、TiO2、Ta25
ZrO2が望ましいが、各種の樹脂基板2上で検討する
場合にはITO、ZnO2、SiO2、TiO2、Ta2
5、ZrO2等の金属酸化物薄膜が望ましい。その理由と
しては、樹脂基板は特定の純度や材質の場合にはガスの
発生が大変多い。又、金属はその発生ガスと反応が強
い。又、Ag合金材料と密着させる接合界面に反応浮動
体被膜(例えば酸化膜等)を生じる可能性が高い等から
適切であるとは検討し難いからである。
【0031】又、スパッタリング法で密着助長下地膜3
を基板2上に形成する場合には、スパッタリング法が真
空雰囲気中で行われるに際して、装置内雰囲気を真空に
するための大気から真空への切り替え中で樹脂基板の場
合には基板よりガスを発生するために、樹脂基板と密着
助長下地膜との界面も不安定になり易いためである。
【0032】又、密着助長下地膜3を検討する上で重要
な課題としては、容易に膜の形成が可能であるかどうか
という点であるが、例えばSi、Ta、Ti、Mo、C
r、Al等の金属膜は、蒸着法、スパッタリング法、C
VD法、イオンプレーティング法のいずれでも膜の成膜
が可能であるために、少なくとも三元素のAg合金材料
膜を成膜する方法と連動することが可能であるために、
汎用的な有用性は高いと検討することができる。
【0033】又、ITO、ZnO2、SiO2、Ti
2、Ta25、ZrO2等の金属酸化物薄膜において
も、蒸着法、スパッタリング法,イオンプレーティング
法で容易に形成することが可能であり、例えばブラウン
管モニターや液晶表示素子等の表面側に形成するAR
(反射防止)コートについては、透明性が高いことを特
徴とする密着助長下地膜をガラスや樹脂の基板上に形成
し、更には電磁波遮蔽の目的として少なくとも三元素の
Ag合金材料膜を0.5〜1.2nmで形成し、その上
部にARコートを形成することで、従来、ブラウン管モ
ニター(CRT)や液晶表示素子で課題にされていた表
示デバイス自体からの電磁波に対しての遮蔽効果として
顕著な効果を確認することができた。
【0034】実施例3 又、電磁波遮蔽膜の材料として、従来はCu、Al、A
u等が多く採用されているが、Agはこれまでに記述し
た通り、表面拡散や大気中、或いは樹脂基板を用いる場
合では、その樹脂基板から放出されるガス等による変色
作用が強いために、汎用性が高くないと判断されて課題
とされてきた。
【0035】そこで、本発明では耐熱や変色作用に対し
て耐食性、耐久性が確認されているAgを主成分として
Pdを0.1〜3.0wt%添加し、更にCu、Au、
Ti、Cr、Ta、Moの内、いずれか一種類を0.1
〜3.0wt%添加してなる三元素のAg合金材料が電
磁波遮蔽に対して、どの様な遮蔽効果が得られるかを検
討して見た。
【0036】この方法として、これまでと同様に3元素
同時スパッタリング法でPET、PMMA、シリコーン
樹脂、無アルカリガラス、低アルカリガラス、硼珪酸ガ
ラス、等の各種の材質からなる全ての基板上に、前述し
た三元素のAg合金材料からなる薄膜を形成し、それを
KEC法により測定して電磁波遮蔽能力を確認して見
た。ここでは、前述した各種の材質からなる全ての基板
に対して各材料組成範囲のAg合金材料からなる電磁波
遮蔽膜を直接形成した積層構造のものと、中間下地とし
て例えばITO、ZnO2、SiO2等からなる密着助長
下地膜を基板上に形成してその上に電磁波遮蔽膜を形成
した積層構造のものとを同時にその電磁波遮蔽能力の分
析を行い、Ag合金材料自体と中間下地を形成してその
中間下地の上にAg合金材料膜を形成して見たものとで
差異があるかどうかを合わせて確認した。
【0037】すると、電磁波遮蔽効果に対して、従来多
用されていたAu、Al、Cu及び純Ag等の材料から
なる電磁波遮蔽膜と比較して大きな優位差が有ることが
確認でき、本発明の少なくとも三元素からなるAg合金
材料の場合には、これまで多用されてきた従来の前記材
料では得ることができなかった電磁波遮蔽効果に対して
の高い遮蔽能力を得ることが可能であることを確認する
ことができた。又、例えば100MHzの低周波域から
1GHz域までの広域において、少なくとも約30dB
(電磁波の強度がもとの0.1%程度の減衰)の電磁波
遮蔽特性を示していることを確認することができた。
又、可視光線透過率は70.4%、日射光線透過率は5
8.2%であった。又、これと同時に、中間下地として
基板2上にITO、ZnO2、SiO2等からなる密着助
長下地膜3を形成してその上に少なくとも三元素のAg
合金材料からなる電磁波遮蔽膜1を形成した積層構造の
電磁波遮蔽積層体(図1参照)にした場合での電磁波遮
蔽効果について確認したところ、単層の電磁波遮蔽膜の
場合と比較しても電磁波遮蔽効果に対しての遮蔽能力の
低下が認められず、単層(単膜)の電磁波遮蔽膜の場合
と同様に高い遮蔽能力が保持されていることが確認でき
た。
【0038】この場合に、望ましくはITO及びZnO
2等の導電性酸化物を密着助長下地膜3として基板2と
電磁波遮蔽膜1との間に設けることで、電磁波遮蔽効果
が少なくともSiO2を設けた場合と比較して高いと言
うことが確認できた。
【0039】又、この場合では中間下地として介在する
密着助長下地膜3の材料としては、より低抵抗であるこ
とが望ましく。低抵抗であって、更に非磁性導電膜であ
ることで顕著に優位差を確認することができるために、
少なくともZnO2よりもITOの方が電磁波遮蔽効果
を要求する場合においては効果が高いということが確認
できた。この理由としては、電磁波遮蔽を目的として少
なくとも三元素のAg合金材料及び、このAg合金材料
膜と基板との間に特定の中間下地膜を設けて、その多層
膜自体に電界を加えた場合に、この多層膜の内部に導電
電流が流れ、この電気エネルギーが熱エネルギーに変換
され、更にはこの熱エネルギーへの変換を行う発熱機構
が主とした起因とされて、電磁波が吸収されて導電損失
が起こるからである。
【0040】又、この導電損失は導電電流が抵抗少なく
流れた分に依存して効果は高いために、電磁波遮蔽膜の
抵抗が低ければ低いほど優位差が顕著にでる。しかし、
AgやAl、Cuについては材料の原子自体の移動、つ
まり、エレクトロマイグレーション現象による電気エネ
ルギーから熱エネルギーへの変換である発熱機構が、時
間の経過と共に減衰してしまうために、少なくとも特定
の膜厚を設けることで減衰作用を低減してきたが、本発
明によるAgを主成分としてPdを0.1〜3.0wt
%添加し、更にCu、Au、Ti、Cr、Ta、Moの
内、いずれか一種類を0.1〜3.0wt%添加してな
る三元素のAg合金材料においては膜自体の金属原子間
移動が活発ではないために、減衰作用が著しく低下する
と言うことが分かった。
【0041】又、ここでITO、ZnOに代表される導
電性酸化物ではなく、例えば絶縁であることを特徴とす
るSiO2、TiO2、Ta25、ZrO2等の誘電体を
Ag合金材料と基板との間に中間下地膜として介在した
場合では、Ag合金材料の保有する高い導電損失の効果
に加えて、誘電損失と呼ばれる高周波での電磁波エネル
ギーの吸収と言う効果も行われて両者の相乗効果による
電磁波の高遮蔽効果が得られるために、少なくとも中間
下地膜として介在する金属酸化膜としては導電性を有す
る材料に限定する必要は無い。少なくとも本発明によっ
て得られたAgを主成分としてPdを0.1〜3.0w
t%添加し、更にCu、Au、Ti、Cr、Ta、Mo
の内、いずれか一種類を0.1〜3.0wt%添加して
なる三元素のAg合金材料によって形成される薄膜にお
いては、Si、Ta、Ti、Mo、Cr、Al等の金属
膜、若しくはITO、IrO2、ZnO2、SiO2、T
iO2、Ta25、ZrO2等の金属酸化膜、及び金属複
合酸化物の材料の内、どの材料においても、Ag合金材
料膜と基板との中間下地膜として介在した場合には相対
的に確認して差異が無く、いずれの場合であっても高い
電磁波遮蔽効果があることが確認できた。
【0042】実施例4 又、これまでは耐食性及び耐熱性に富んでいるAg合金
材料としては従来はAgに1〜3wt%のPdを添加さ
れてなるAg-Pd合金、若しくはAgに1〜10wt
%のAuを添加されてなるAg-Au合金が広く知られ
ているが、このAg-Pd合金とAg-Au合金のいずれ
の合金を用いて形成した合金膜でも、高温高湿(多湿)
環境下で耐候性試験を行った際に、黒色の斑点が観察で
きた。
【0043】そのため、この黒色斑点物を光学顕微鏡で
観察して見たところ、この黒色の斑点物がPdのH2融
解作用の固溶限界になり、黒色化して励起反応を起こし
て隆起物となっていることが確認できた為に、少なくと
も建材ガラスとして用いる場合では、例えば雨季や冬季
に室内外の温度差によって生じる水滴、或いは湿度の高
い地域化での長期信頼性に対しては安定性が欠けると言
うことが分かった。
【0044】又、AgとAuは全率固溶する安定な合金
であることはよく知られているが、このAg-Au合金
膜は塩素をはじめとする耐ハロゲン系元素性に決して富
んではいないために、耐候性試験中に空気が混入してお
り、空気内に含有する塩素やヨウ素と原子的に結合した
ことでこの様な黒色斑点が得られたことが分かった。
【0045】又、Ag-Pdの2元合金は耐熱性が高く
ないことが、前述した表1で示されているように、温度
が高かったり、太陽光から集中する熱線に対して安定性
に問題があることが確認されている。
【0046】そこで、本発明では耐熱性が高いことが確
認されているAgを主成分としてPdを0.1〜3.0
wt%添加し、更にCu、Au、Ti、Cr、Ta、M
oの内、いずれか一種類を0.1〜3.0wt%添加し
てなる三元素のAg合金材料が、温度90℃、湿度90
%の高温高湿(多湿)の環境下での耐候性について、安
定性が少なくともAg-Pd合金と比較してどの様な結
果が得られるかを実験して見た。
【0047】この方法として、3元同時スパッタリング
法で無アルカリガラス、低アルカリガラス、硼珪酸ガラ
ス、石英基板の全ての基板上に、本発明によって得られ
る三元素のAg合金材料を形成して、それを温度90
℃、湿度90%の雰囲気中で経時変化の発生の有無を確
認して見た。この時、各種の材質からなる全ての基板に
対してAgを主成分としてPdを0.1〜3.0wt%
添加し、更にCu、Au、Ti、Cr、Ta、Moの
内、いずれか一種類を0.1〜3.0wt%添加してな
る三元素のAg合金材料を直接形成したものと、例えば
ITO、ZnO2、ZnO2-Al23複合酸化物、Si
2等を形成して得たものとを同時に耐候性の試験を行
い。同時に、Ag合金材料自体と中間下地膜として前述
の密着助長下地膜を形成し、その下地膜の上にAg合金
材料を形成した場合とで差異があるかどうかを合わせて
確認した。
【0048】すると、Agを主成分としてPdを0.1
〜3.0wt%添加して、更にはCu、Au、Ti、C
r、Ta、Moの内、いずれか一種類を0.1〜3.0
wt%添加してなる三元素のAg合金材料によって形成
された電磁波遮蔽膜の単層(単膜)の場合でも、Agを
主成分として三元素から構成されるAg合金材料の中間
下地にITO、ZnO2、SiO2から選ばれた材料から
なる密着助長下地膜を用いて形成した積層体(電磁波遮
蔽積層体)になった場合でも、Ag合金材料膜の単層
(単膜)と比較して耐候性が高いことが確認できた。
【0049】この結果として、Agを主成分としてPd
を0.1〜3.0wt%添加して、更にはCu、Au、
Ti、Cr、Ta、Moの内、いずれか一種類を0.1
〜3.0wt%添加してなる三元素のAg合金材料膜で
は、それを上膜として基板との間に任意で酸化物を形成
した場合でも下地に依存すること無く、耐熱性及び耐候
性が高く、更には電磁波遮蔽能力を保持することが確認
され、例えば窓ガラスをはじめとする建材ガラス用の電
磁波遮蔽膜としては従来のAg-Pd二元合金と比して
有用性が高いことが確認できた。
【0050】対照的に、従来から電磁波遮蔽膜の材料と
して多く採用されてきた従来のAgやAgを主成分とす
るAg-Pd合金については、いずれも樹脂基板に対し
て化学的に不安定であるために、樹脂基板上で高温高湿
環境下に放置すると、電磁波遮蔽膜と樹脂基板との密着
界面で化学反応を生じてしまい、樹脂基板に対しては材
料の化学的安定性に問題があることが分かった。
【0051】そこで、本発明ではAgを主成分としてP
dを0.1〜3.0wt%添加し、更にCu、Au、T
i、Cr、Ta、Moの内、少なくとも一種類以上の元
素を合計で0.1〜3.0wt%添加してなる三元素以
上から構成されるAg合金膜の材料の化学的安定性を確
認するために、PMMA、PET、PC、シリコーン等
の各種の材質で形成される基板上に、これまでと同様に
三元同時スパッタリング法にて15nmの厚みの薄膜を
形成して、温度90℃、湿度90%の高温高湿(多湿)
の環境下で24時間放置してその外観や電磁波遮蔽特性
の経時変化を観察して見た。その試験結果を表4及び表
5に示す。
【0052】
【表4】
【0053】
【表5】
【0054】表4及び表5から明らかなように、24時
間放置後でも材料に従来問題であった経時変化が観察さ
れなかったために、様々な樹脂基板上に形成したAgを
主成分としてPdを0.1〜3.0wt%添加し、更に
Cu、Au、Ti、Cr、Ta、Moの内、いずれか一
種類を0.1〜3.0wt%添加してなる三元素のAg
合金材料膜の電磁波遮蔽能力をKEC法により測定して
観察してみたが、100MHzの低周波域から1GHz
域までの広域において、電磁波遮蔽能力の低下が確認さ
れなかった。この様に、本発明によって得られたAgを
主成分とする三元合金は、樹脂に対して化学的安定性が
高く、従来と比してPET、PMMA、シリコーン樹
脂、無アルカリガラス、低アルカリガラス、硼珪酸ガラ
ス等からなる全ての基板材質に対して制限されないこと
が分かった。
【0055】実施例5 次に、ノートブック型パソコンに代表される携帯型情報
端末機器等に、本発明により得られる少なくとも三元素
のAg合金材料からなる電磁波遮蔽膜を用いて製作され
る電磁波遮蔽積層体の場合には、その携帯型情報端末機
器に直接、人体の一部や何らかの物体が接触することが
検討できる。
【0056】この場合に、電磁波遮蔽積層体を形成する
Ag合金材料膜が露出する場合においては、少なくとも
人体や物体の接触によって表面部が削られたり、或いは
殺傷痕が残ることで導電損失効果が減少したり、或いは
特定の電磁波遮蔽効果に対する遮蔽能力が低下する可能
性が検討されるため、表面接触による表面部の削れや殺
傷痕の発生を抑制する目的で、本発明によって得られた
主成分とするAgに、0.1〜3.0wt%のPdを添
加し、更に第三の元素として0.1〜3.0wt%のC
u、Au、Ti、Cr、Ta、Moの内、いずれか一種
類を添加してなる三元素のAg合金材料によって形成さ
れる電磁波遮蔽膜1の上部に、耐食性及び耐候性に優れ
た材料や耐摩耗性に優れた材料からなる保護膜4を形成
する。それにより、露出する電磁波遮蔽膜1に何らかの
接触によって発生する接触傷の防止、及び保護膜4を形
成した場合での電磁波遮蔽能力の低下の抑制、更には基
板2と電磁波遮蔽膜1との間に中間下地として密着助長
下地膜3を形成し、その上に保護膜4を形成した積層構
造の電磁波遮蔽積層体(図2参照)にした場合での電磁
波遮蔽効果に対する電磁波遮蔽能力の低下の有無を確認
して見た。
【0057】この場合では、例えばAg合金材料膜が単
層(単膜)の場合、Ag合金材料と基板の間に中間下地
膜を、金属若しくは金属酸化膜を形成した場合、更には
Ag合金材料の上部に保護膜を形成し、基板との間に中
間下地膜を形成した場合のいずれの場合においても、電
磁波遮蔽効果に対する遮蔽能力についての顕著な差異を
確認することはできなかった。
【0058】又、例えばAg合金材料以外のAg、A
l、Cu、Au等を用いて、前記記載内容の通りに単層
(単膜)、又は下地膜を形成した複層(2膜以上の複
膜)、更にはAg、Al、Cu、Auを同一、或いは異
なる材質の膜を介在した場合では、電磁波の遮蔽能力が
低下することが確認されているために、少なくともAg
を主成分としてPdを0.1〜3.0wt%添加し、更
に第三元素としてCu、Au、Ti、Cr、Ta、Mo
の内、いずれか一種類を0.1〜3.0wt%添加して
なる三元素のAg合金材料によって形成される電磁波遮
蔽膜においては、上下部に形成する材料の内、前述した
Si、Ta、Ti、Mo、Cr、Al、ITO、IrO
2、ZnO2、SiO2、TiO2、Ta25、ZrO2
いずれに対しても界面が例えば酸化等の反応を引き起こ
すことなく安定であるために、電磁波遮蔽効果、若しく
はこの遮蔽効果に対しての有効な特性を発揮する導電損
失、若しくは誘電損失に対して影響が無いと言うことが
分かった。
【0059】又、Agを主成分としてPdを0.1〜
3.0wt%添加し、更に第三元素としてCu、Au、
Ti、Cr、Ta、Moの内、いずれか一種類を0.1
〜3.0wt%添加してなる三元素のAg合金材料膜の
成膜方法としては、RF若しくはDC電源を用いたスパ
ッタリング法、真空蒸着法、CVD法が検討できるが、
このいずれの場合であっても、従来のAg、Al、C
u、Auの膜と比較した場合には、これまでに説明した
通りの顕著な電磁波遮蔽効果が確認された。この様に、
主成分とするAgに、0.1〜3.0wt%のPdを添
加し、更に第三の元素として0.1〜3.0wt%のC
u、Au、Ti、Cr、Ta、Moの内、いずれか一種
類を添加してなる三元素のAg合金材料膜の成膜方法と
しては、RF若しくはDC電源を用いたスパッタリング
法、真空蒸着法、CVD法が望ましい。
【0060】又、Ag合金材料膜を形成する場合に、例
えばスパッタリング法では従来のAg、Al、Cu、A
uに比較して、膜を形成する速度基準を検討することが
できるスパッタリングレートが高く、更には蒸着の場合
では融点が960℃前後で決してCu、Auと比較して
も、或いは金属元素内でも高い部類には属さないために
融点の向上による蒸着温度条件の汎用性や蒸着を行うに
ついて従来と比較した場合に劣ることがないために、薄
膜を形成する成膜方法としては基板の材質によって任意
で選択するものの、いずれの場合においても従来と比較
して顕著に成膜方法での生産についての優位差が生じる
ことが分かった。
【0061】又、薄膜の成膜方法として検討されるスパ
ッタリング法或いは蒸着法においては、いずれの成膜方
法で形成した場合であっても、一般的にスパッタリング
法は蒸着法と比較した場合、得られる薄膜の緻密性に差
異が生じる。又、蒸着法についてはスパッタリング法よ
りも膜の緻密性が劣るために、蒸着法で電磁波遮蔽膜を
形成する場合ではスパッタリング法で膜を形成する場合
と比較して厚い膜厚を要すとされるが、本発明によって
得られる三元素のAg合金材料については電磁波遮蔽効
果が低下することは無く、蒸着法でもスパッタリング法
でも同じ膜の厚み(nm)で同様の電磁波遮蔽効果を得
ることができることが分かった。
【0062】
【発明の効果】本発明は叙上の如く構成してなることか
ら、下記の作用効果を秦する。 .本発明のAgを主成分とし、Pdを含有し、更にC
u、Au、Ti、Cr、Ta、Moの内、少なくとも一
種類以上の元素を添加してなるAg合金材料を用いて形
成した電磁波遮蔽膜は、従来のAg、Au、Cu、Al
と比べて、PMMA、PET、PC、アクリル系樹脂、
低アルカリガラス、無アルカリガラス、硼珪酸ガラス等
の各種の材質からなる基板の材質を問わず大変安定な電
磁波遮蔽効果に対する高い遮蔽能力を保持し得る。これ
により、この電磁波遮蔽膜を用いて電磁波遮蔽積層体を
形成することにより、長期に亘り電磁波遮蔽効果を保持
するために有用である導電損失による電磁波遮蔽能力の
劣化を回避する高品質な電磁波遮蔽積層体を得ることが
できる。
【0063】.又、本発明のAgを主成分とし、0.
1〜3.0wt%のPdを添加し、更に0.1〜3.0
wt%のCu、Au、Ti、Cr、Ta、Moの内、少
なくとも一種類以上の元素を添加してなる各材料組成範
囲からなるAg合金材料を用いて形成した電磁波遮蔽膜
は、100MHzの低周波域から10GHz域までの広
域に亘って、従来のAg、Au、Cu、Alと比較する
と高い電磁波遮蔽効果を得ることができる。
【0064】.又、本発明のAg合金材料を用いて電
磁波遮蔽膜を形成する場合では、スパッタリング法、蒸
着法、更にはCVD法の何れの成膜方法を用いた場合で
あっても、従来のAg、Al、Cu、Auと比較して生
産性及び薄膜の成膜方法を問わずに、安定した電磁波遮
蔽効果を長期に亘り保持し得る高い遮蔽能力の電磁波遮
蔽膜を得ることができる。
【0065】.又、本発明のAg合金材料からなる電
磁波遮蔽膜を用いて電磁波遮蔽積層体を製作する場合
に、例えば金属や金属酸化物、或いはその複合材料から
なる密着助長下地膜を基板と電磁波遮蔽膜との間に中間
下地として形成し、その上に電磁波遮蔽膜を形成するこ
とで、電磁波遮蔽膜の基板に対する密着性がより一層効
果的に改善され、剥離等の無い結合の強化が図られると
共に、Ag合金材料の上下部にこれらの材料を形成して
積層した積層構造とされた場合であっても品質の差異が
無く、Ag合金材料単層(単膜)と同等、或いはそれ以
上の更なる優位差の高い電磁波遮蔽効果を有する電磁波
遮蔽積層体を製作することができる。
【0066】従って、本発明によれば、Ag自体の保有
する電磁波遮蔽効果等に対しての高い遮蔽能力が保持さ
れ、更にはAg自体の材料的な安定性が格段に改善さ
れ、しかも、積層構造として用いる場合でもガラス基板
又は樹脂基板等の材質を問わずに積層可能で、当該基板
との接合性(密着性)においても密着助長下地膜を介在
することで、より一層効果的に強化される等、より高い
信頼性が得られる電磁波遮蔽膜と、この遮蔽膜を用いて
製作される電磁波遮蔽積層体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明電磁波遮蔽膜を用いて製作した電磁波
遮蔽積層体の実施の一例を示した断面図
【図2】 本発明電磁波遮蔽膜を用いて製作した電磁波
遮蔽積層体の他の実施例を示した断面図
【符号の説明】
1:電磁波遮蔽膜 2:基板 3:密着助長下地膜 4:保護膜

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Agを主成分とし、Pdを含有し、更に
    Cu、Au、Ti、Cr、Ta、Moの内、少なくとも
    一種類以上の元素を添加してなるAg合金材料から形成
    してなることを特徴とする電磁波遮蔽膜。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のPdを0.1〜3.0w
    t%の範囲内で添加し、更にCu、Au、Ti、Cr、
    Ta、Moの内、少なくとも一種類以上の元素を0.1
    〜3.0wt%の範囲内で添加してなるAg合金材料か
    ら形成してなることを特徴とする電磁波遮蔽膜。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の電磁波遮蔽膜が、
    単膜又は2膜以上の複膜から形成されてなることを特徴
    とする電磁波遮蔽膜。
  4. 【請求項4】 請求項1又は2記載のAg合金材料が、
    蒸着材料であり、蒸着法により形成してなることを特徴
    とする電磁波遮蔽膜。
  5. 【請求項5】 請求項1又は2記載のAg合金材料が、
    スパッタリングターゲット材料であり、スパッタリング
    法により形成してなることを特徴とする電磁波遮蔽膜。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5いずれか1項記載の電磁
    波遮蔽膜の上に、耐蝕性及び耐候性に優れた材料からな
    る保護膜を形成してなることを特徴とする電磁波遮蔽
    膜。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至5いずれか1項記載の電磁
    波遮蔽膜の上に、耐摩耗性に優れた材料からなる保護膜
    を形成してなることを特徴とする電磁波遮蔽膜。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至7いずれか1項記載の電磁
    波遮蔽膜を、樹脂基板上に形成してなることを特徴とす
    る電磁波遮蔽積層体。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至7いずれか1項記載の電磁
    波遮蔽膜を、ガラス基板上に形成してなることを特徴と
    する電磁波遮蔽積層体。
  10. 【請求項10】 請求項8又は9記載の樹脂基板又はガ
    ラス基板と電磁波遮蔽膜との間に、密着性を助長する密
    着助長下地膜を形成してなることを特徴とする電磁波遮
    蔽積層体。
  11. 【請求項11】 請求項10記載の密着助長下地膜が、I
    TO、IrO2、ZnO2、SiO2、TiO2、Ta
    25、ZrO2から選ばれた少なくとも一種、若しくは
    これらを主成分とする二種類以上の材料からなることを
    特徴とする電磁波遮蔽積層体。
  12. 【請求項12】 請求項10記載の密着助長下地膜が、S
    i、Ta、Ti、Mo、Cr、Alから選ばれた少なく
    とも一種、若しくはこれらを主成分とする二種類以上の
    材料からなることを特徴とする電磁波遮蔽積層体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US8147994B2 (en) 2009-02-26 2012-04-03 Tdk Corporation Layered structure having FePt system magnetic layer and magnetoresistive effect element using the same

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