JP2001210913A - レーザ素子の製造方法 - Google Patents

レーザ素子の製造方法

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JP2001210913A
JP2001210913A JP2000352014A JP2000352014A JP2001210913A JP 2001210913 A JP2001210913 A JP 2001210913A JP 2000352014 A JP2000352014 A JP 2000352014A JP 2000352014 A JP2000352014 A JP 2000352014A JP 2001210913 A JP2001210913 A JP 2001210913A
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Masahiko Sano
雅彦 佐野
Yasunobu Sugimoto
康宜 杉本
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Nichia Chemical Industries Ltd
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Nichia Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】従来の窒化物半導体を用いたレーザ素子の製造
では、異種基板上に窒化物半導体を成長させてレーザ素
子構造を形成することから、共振器反射面に劈開面でウ
エハを割ることが困難で、エッチング端面を用いたもの
がほとんどであった。 【解決手段】窒化物半導体と異なる材料よりなると共
に、第1の主面と第2の主面とを有する異種基板の第1
の主面上に活性層をn側クラッド層とp側クラッド層と
で挟み込むレーザ素子構造を形成する積層工程と、前記
第1の主面一部を露出させるエッチング工程と、異種基
板を分割することにより窒化ガリウムの劈開面にほぼ一
致する共振器反射面を形成する基板分割工程と、を具備
してなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、窒化物半導体を用いた
レーザ素子の製造方法に係り、特に共振器反射面の形
成、素子チップの分割に関する。
【0002】
【従来の技術】窒化物半導体を用いたレーザ素子は、主
に青色〜紫色の短い波長のレーザ光を発振するものであ
り、光ディスク装置などその特性を活かして様々な用途
が検討されている。このレーザ素子の連続発振は、近年
実現され、実用化されているが、その応用において素子
の特性が十分満足のいくものではなく、さらなる素子特
性の向上が求められている。
【0003】レーザ素子の製造において、窒化物半導体
の成長に一般的に用いられている基板は、サファイア基
板であるが、このような窒化物半導体と異なる材料の異
種基板を用いることは、積層後の微細加工工程、共振器
反射面の形成時に問題がある。それは、異種基板とその
上に成長させた窒化物半導体とで劈開面が異なるか、異
種基板が劈開困難な場合に、共振器反射面を劈開して形
成することができないからである。さらにまた、窒化物
半導体も六方晶系にほぼ近似され、その劈開は容易では
ない。例えばサファイア基板を用いたものであれば、こ
のサファイア基板の劈開が困難であるため、共振器反射
面となる素子端面として窒化物半導体の劈開面を取り出
すことが製造上困難なものとなる。また、素子端面をエ
ッチングにより形成したレーザ素子では、その共振器反
射面としての特性に劣るため、レーザ素子の応用にとっ
て好ましい方法とはならない。
【0004】さらにまた、窒化物半導体と異なる材料の
異種基板上に素子構造を形成することは、その積層した
半導体層と異種基板との格子定数差などから、積層した
半導体層と異種基板との間に応力がかかるため、結果と
してウエハに反りの発生を招き、上述の共振器構造の形
成、素子チップの取り出しなどのウエハの分割を含む加
工工程を困難なものとしている。このことは、分割時の
精度を低下させ、結果として上述した窒化物半導体の劈
開面を取り出すことをもさらに困難なものとしている。
【0005】以上説明してきたように、異種基板を用い
ることは、窒化物半導体の成長において良好な結果をも
たらすが、レーザ素子の製造において重要な積層工程に
続く、半導体層、基板の微細加工工程、分割工程におい
て、不利なものとなり、レーザ素子の特性向上に大きな
妨げとなっていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】上述したように、異種基板上に形成した窒
化物半導体を用いたレーザ素子に、エッチングによる素
子端面では表面に凹凸ができるため、平坦性の良好な共
振器反射面を形成することが、素子特性の向上に欠かせ
ない課題となる。
【0008】しかし、上述した理由から異種基板上に形
成した窒化物半導体を用いたレーザ素子に、異種基板を
分割することでは、レーザ素子チップに割れや欠けなど
の問題が発生する。また異種基板上のレーザ素子構造側
から基板を分割するのでも、同様な問題が発生する。こ
のため、平坦性の良好な共振器反射面の形成は、ウエハ
分割時の衝撃を緩和しなければならない。
【0009】
【課題を解決するための手段】
【0010】本発明は、上記課題を解決するものであ
り、特にレーザ素子若しくはその共振器構造の形成に係
る積層後の微細加工工程、基板分割工程において、異種
基板を用いたウエハの反りを抑制し、レーザ素子の素子
特性に優れた加工・製造を実現し、共振器として良好な
反射面を形成することにある。
【0011】すなわち、本発明は、以下に示す1〜16
の方法により、レーザ素子を製造するものである。
【0012】(1)窒化物半導体と異なる材料よりなる
と共に、第1の主面と第2の主面とを有する異種基板の
第1の主面上に半導体層として、窒化ガリウムからなる
下地層と、該下地層の上に、活性層をn側クラッド層と
p側クラッド層とで挟み込むレーザ素子構造と、を形成
する積層工程と、該積層工程の後、該半導体層の一部を
エッチングにより除去して、前記第1の主面を露出させ
るエッチング工程と、エッチング工程の後、異種基板を
分割することにより該エッチング工程により露出した半
導体層側面とは異なる位置に、共振器反射面を形成する
基板分割工程と、を具備してなることを特徴とする。
【0013】(2)前記基板分割工程において、半導体
層に形成される共振器反射面が、前記窒化ガリウムの劈
開面にほぼ一致することを特徴とする。
【0014】(3)前記エッチング工程において、第1
の主面上の前記半導体層が、露出した第1の主面によ
り、少なくとも共振器方向に離間して配置していること
を特徴とする。
【0015】(4)前記エッチング工程において、前記
共振器方向における半導体層の離間した距離が、10μ
m以上であることを特徴とする。
【0016】(5)前記エッチング工程において、前記
異種基板上の半導体層が、露出された第1の主面により
共振器方向及び共振器方向に垂直な方向とも離間された
半導体領域を、第1の主面上に複数配置することを特徴
とする。
【0017】(6)前記第1の主面に占める前記半導体
領域の割合(半導体領域の面積の総和/第1の主面の面
積)が、95%以下であることを特徴とする。
【0018】(7)前記基板分割工程において、異種基
板を分割する前に、異種基板の第2の主面を研磨して異
種基板を薄くする研磨工程を具備することを特徴とす
る。
【0019】(8)前記研磨工程において、異種基板の
厚さと、半導体層の膜厚との総和が、140μm以上1
80μm以下の範囲であることを特徴とする。
【0020】(9)前記研磨工程により研磨された第2
の主面が、JISB0601において粗さ曲線のカット
オフ値80μm、基準長さ50μmの条件での算術平均
粗さが、150Å以上300Å以下となる凹凸を有する
ことを特徴とする。
【0021】(10)前記エッチング工程において、エ
ッチングにより露出された半導体層側面を共振器反射面
とすることを特徴とする。
【0022】(11)前記レーザ素子構造が、n型窒化
物半導体を有するn側クラッド層と、p型窒化物半導体
を有するp側クラッド層と、少なくともInを含む窒化
物半導体を有する活性層と、で構成されていることを特
徴とする。
【0023】(12)前記異種基板が、C面を第1の主
面とするサファイア基板であり、前記窒化ガリウムの劈
開面が窒化ガリウムのM面であることを特徴とする
【0024】上記(1)であると、異種基板の一部を露
出させることで、異種基板と半導体層との間に発生する
応力を軽減し、ウエハの反りを抑制して後に続く基板分
割工程に有利な状態のウエハを提供することができる。
さらに基板分割工程ではエッチングで露出させた半導体
層側面と異なる位置に共振器反射面を設けることで、エ
ッチングにより露出させた第1の主面が、基板分割時の
衝撃を逃がす領域として機能することができ、基板分割
時の半導体層の割れ・欠けの発生を低く抑えることがで
きる。この時、レーザ素子構造の前に異種基板上に形成
する下地層は、比較的良好な結晶成長が可能な窒化ガリ
ウムを用いるため、素子構造となる窒化物半導体を成長
させるための良好な基板として働き、素子信頼性に優れ
るレーザ素子の形成が可能になる。ここで、下地層とし
て、後述する選択成長層を形成するとさらに結晶性が良
好で、異種基板からの貫通転位を効果的に抑制した基板
表面を形成でき、良好な特性のレーザ素子の形成に大き
く寄与するものとなる。
【0025】上記(2)であると、窒化物半導体を用い
たレーザ素子において、従来困難であった劈開面を用い
た共振器反射面を形成することができ、素子特性に優れ
たレーザ素子を製造することができる。この時、異種基
板上の半導体層の全領域において、窒化ガリウムの劈開
面に一致する分割面が形成される必要はなく、少なくと
も光導波路領域となる上記活性層をn側クラッド層とp
側クラッド層とで挟み込むレーザ素子構造の部分に良好
な共振器反射面が形成されていればよい。これは、異種
基板の分割を完全に制御することが困難なため、この異
種基板上に形成した半導体層では、そこに加わる半導体
層を割る力を制御することが困難なものとなるからであ
る。しかし、上記下地層を介して素子構造が形成される
ため、その下地層のところで異種基板からの不安定な分
割方向及びそれに加わる力を緩衝して、制御するように
機能し、結果として下地層の窒化ガリウムの劈開面にほ
ぼ一致する分割面を、レーザ素子構造に形成することが
でき、これを共振器反射面として取り出すことができ
る。
【0026】上記(3)であると、異種基板分割時の半
導体層への衝撃を効果的に逃がすことができ、半導体層
の割れ・欠けを防ぐことができる。露出した異種基板表
面である第1の主面により、共振器方向に異種基板上の
半導体層が離間されることで、異種基板からの分割では
その方向・位置の制御が困難であっても、素子構造にお
いて分割位置が半導体領域から大きく逸れることを防
ぎ、また分割時の衝撃を緩和することができるため、基
板分割時の歩留まりを向上させることができる。これ
は、基板分割工程では共振器反射面を取り出すため、共
振器方向にほぼ垂直な面で分割することから、この分割
面に垂直な成分の衝撃を、共振器方向に半導体層が離間
された半導体領域でもって、吸収若しくは緩和させるこ
とができるからである。さらに、この時露出した第1の
主面に近い位置で分割することで、露出した第1の主面
側に分割時の衝撃をより多く逃がすことができ好まし
い。
【0027】上記(4)であると、基板分割工程におい
て、上述した共振器反射面となる半導体層の端面を良好
に取り出すことができ、その精度に優れたものとなる。
【0028】上記(5)であると、露出した第1の主面
により半導体層が、異種基板面内(第1の主面内)で共
振器方向及びそれに垂直な方向のどちらの方向にも偏ら
ずに、配置されるため、エッチング工程によるウエハの
反りの緩和が好ましい状態で実現され、それにより基板
分割時の共振器反射面形成にも効果的に作用する。すな
わち、エッチングにより露出した第1の主面で区切られ
た半導体領域が、異種基板(第1の主面)上にブロック
状に配置され、ウエハの反りが基板面内で偏らずに緩和
されるため、基板分割に良好な状態を提供できるからで
ある。
【0029】上記(6)であると、基板分割に好ましい
反りの緩和が実現される。これは、エッチングにより、
半導体領域の占める割合を95%以下の面積で形成する
ことにより、95%を超える場合に比べて、大幅な基板
分割精度の改善が観られるためであり、基板分割による
良好な共振器反射面が形成できる。
【0030】上記(7)であると、異種基板を薄くする
ことから好ましい基板分割が可能となる。これは、素子
構造を形成するための良好な下地層とするには、ある程
度の膜厚で形成する必要があるが、半導体層の膜厚が大
きくなると、ウエハの反りが悪化する。そのため、積層
工程時には、厚い異種基板を用い、上記エッチング工程
により半導体層を形成したことによるウエハの反りを軽
減させた後、異種基板の厚さを薄くすることで、基板分
割工程において、異種基板の分割が容易となり、その安
定性も向上する。すなわち、積層工程では厚い異種基板
を用いて良好な素子構造を形成し、エッチング工程を経
ることでウエハの反りを抑えて異種基板を薄くし、薄い
異種基板でもってより安定した基板分割を実現するもの
である。
【0031】上記(8)であると、基板分割工程におい
て、歩留まりよく素子構造に共振器反射面を形成でき
る。
【0032】上記(9)であると、異種基板を薄くする
ことによるウエハの反り悪化を抑制し、ウエハの反りを
好ましい状態に制御でき、良好な基板分割が実現でき
る。これは、研磨した第2の主面が前記範囲内にあるこ
とで、その範囲外にある場合に比べて、ウエハの反りが
緩和される傾向にあり、加えて、この適度な表面の凹凸
が基板分割時に好適に作用する傾向にあるからである。
【0033】上記(10)であると、ウエハから効率よ
くレーザ素子チップを取り出せ、素子特性のばらつきを
防ぎ、歩留まり低下を改善できる。これは、基板分割に
より共振器反射面を形成することは平坦性に優れた素子
端面を形成できる点ではよいが、基板分割はエッチング
端面に比べてその形成が不安定であり、基板分割におけ
る歩留まりを低下させ、得られる素子端面に少なからず
ばらつきを生み出すためである。このことが、レーザ素
子特性のばらつきを生み出す原因となるが、一方の共振
器反射面をエッチングにより形成することで、このよう
な素子のばらつきを最小限に抑え、なおかつ良好な共振
器構造を形成することができる。この時、好ましくは基
板分割工程により形成される素子端面を出射側とし、エ
ッチングによる素子端面を反射側とすることで、より良
好な発振特性のレーザ素子が得られる。
【0034】上記(11)であると、良好な発振特性を
有する窒化物半導体を用いたレーザ素子を製造できる。
【0035】上記(12)であると、素子構造に基板分
割による良好な共振器反射面が形成され、優れた特性を
有する窒化物半導体を用いたレーザ素子が得られる。
【0036】(13)窒化物半導体と異なる材料よりな
ると共に、第1の主面と第2の主面とを有する異種基板
の第1の主面上に、半導体層として窒化物半導体が積層
されて素子構造が設けられてなる窒化物半導体素子の製
造方法において、前記第1の主面に窒化物半導体を積層
して素子構造を形成する積層工程、該積層工程により異
種基板とその上に半導体層が設けられた断面において、
上に凸な反りを基板に形成し、その後、前記第2の主面
を研磨する研磨工程により、下に凸な反りを形成し、前
記第2の主面側から基板を分割する基板分割工程と、を
具備してなることを特徴とする窒化物半導体素子の製造
方法。この製造方法により、レーザ素子などの素子構造
を異種基板上に設けることで、図16(b)に示すよう
に、上に凸な反りが形成される場合においても、反りを
反転させ、第2の主面からの基板分割を容易にする下に
凸な反りへと変化させることで(図16(b))、基板
分割に優れた製造方法となる。これは、異種基板を用い
ると、窒化物半導体と異種基板との格子定数、熱膨張係
数などの違いから、半導体層と異種基板との間に内部応
力が働き、基板(ウエハ)に反りが発生し、この反りが
チップ化、共振器反射面形成時の基板分割に悪影響を及
ぼす状態である場合に、反りの状態を変化させ、基板分
割に適した反りの状態を生み出すことで、この問題を解
決できるものである。これは、上述のレーザ素子の製造
方法に適用でき、また、上述のエッチング工程を、基板
分割工程、若しくは研磨工程の前に適用できる。
【0037】(14)前記積層工程において、窒化物半
導体を積層することにより、下に凸な反りを形成した
後、前記上に凸な反りを形成することを特徴とする請求
項13記載の窒化物半導体素子の製造方法。この製造方
法は、積層工程で、基板の反りが図16(a)の下に凸
な状態から、半導体層が厚くなることで図16(b)の
上に凸な反りへと多様に変化するような、異種基板と窒
化物半導体若しくは素子構造の組合せにおいても、(1
3)の製造方法を適用して、基板分割に優れた反りの状
態を生み出すことで、基板分割に優れた製造方法とする
ことができるものである。
【0038】(15)前記分割工程より前に、前記第2
の主面に分割される位置に第1の溝部を設けて、分割工
程において、該第1の溝部で基板を分割することを特徴
とする請求項13又は14記載の窒化物半導体素子の製
造方法。この製造方法は、研磨工程で表面が荒らされた
第2の主面であっても、基板分割の時に、分割位置に比
較的平坦で、分割に適した表面(底面)有する、第1の
溝部が形成されることで、研磨工程での表面のあれに関
係なく、基板分割を行うことができ、基板分割及び反り
の制御に優れた製造方法となる。これは、研磨工程での
表面のあれは、分割手段によっては、表面の凹凸が悪影
響を及ぼして、基板分割を困難にする場合があるが、第
1の溝部を基板分割位置に対応して形成することでこれ
を回避できることにある。
【0039】(16)前記研磨工程において、前記分割
工程で分割される領域を覆うように、マスクを形成し
て、非マスク領域を研磨することを特徴とする請求項1
3又は14記載の窒化物半導体素子の製造方法。この製
造方法では、基板分割位置を、研磨工程による表面のあ
れから守り、基板分割に優れた表面を提供して、基板分
割ができる。研磨工程での表面の凹凸形成を、予め基板
分割位置に対応して、マスク領域を設けてマスクして研
磨することで、基板分割に悪影響を及ぼさない表面を作
り出すことができ、基板分割に優れた条件でもって分割
することができるものである。
【0040】
【発明の実施の形態】
【0041】本発明の製造方法に用いる異種基板として
は、例えば、C面、R面、及びA面のいずれかを主面と
するサファイア、スピネル(MgA124)のような絶
縁性基板、SiC(6H、4H、3Cを含む)、Zn
S、ZnO、GaAs、Si、及び窒化物半導体と格子
整合する酸化物基板等、窒化物半導体を成長させること
が可能で従来から知られており、窒化物半導体と異なる
基板材料を用いることができる。好ましい異種基板とし
ては、サファイア、スピネルが挙げられる。また、異種
基板は、オフアングルしていてもよく、この場合ステッ
プ状にオフアングルしたを用いると窒化ガリウムからな
る下地層の成長が結晶性よく成長させるため好ましい。
【0042】ここで、本発明において、異種基板の第1
の主面とは、その上に窒化物半導体を積層して、素子構
造を形成するものであり、第2の主面とは、具体例とし
て基板分割工程において、異種基板を割るためにスクラ
イブなどを施すものである。
【0043】本発明において、異種基板上に積層して半
導体層を形成する窒化物半導体としては、InxAly
1-x-yN(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦x+y≦
1)で表されるものであり、下地層、素子構造となる各
層を積層する。この異種基板上に形成するレーザ素子の
構造としては、n側クラッド層と、p側クラッド層と、
で活性層を挟み込む構造を少なくとも有し、これにより
レーザ素子の光導波路領域が形成される。このように本
発明の製造方法では、異種基板上に形成する半導体層
は、窒化物半導体を複数積層したものであり、レーザ素
子構造に窒化物半導体が用いられる。好ましくは、前記
挟み込む構造が、n型窒化物半導体を含むn側クラッド
層と、p型窒化物半導体を含むp側クラッド層とからな
り、さらには活性層がInを含む窒化物半導体であるこ
とにより、素子特性に優れ、下地層の窒化ガリウムの劈
開面にほぼ一致する良好な共振器反射面を設けることが
できる。
【0044】本発明の窒化物半導体の成長方法におい
て、窒化物半導体を成長させる方法としては、特に限定
されないが、MOVPE(有機金属気相成長法)、HV
PE(ハライド気相成長法)、MBE(分子線エピタキ
シー法)、MOCVD(有機金属化学気相成長法)等、
窒化物半導体を成長させるのに知られている全ての方法
を適用できる。好ましい成長方法としては、膜厚が50
μm以下ではMOCVD法を用いると成長速度の制御が
容易である。また膜厚が50μm以下ではHVPEでは
成長速度が速くてコントロールが難しい。
【0045】上述した異種基板上に、上記レーザ素子構
造を形成するためには、窒化物半導体を成長させるため
の良好な基板を必要とする。このため、本発明における
半導体層としては、異種基板の上に、上記素子構造の形
成に良好な成長基板として、窒化ガリウムからなる下地
層を設けるものである。この下地層は、窒化物半導体と
異なる材料の異種基板と、窒化物半導体との格子不整合
などを緩和し、素子構造となる窒化物半導体を良好な結
晶性で成長させるのに十分な表面モフォロジーの基板を
提供するものである。このため、窒化ガリウムからなる
下地層を用いることで、そのようなレーザ素子構造形成
のための良好な基板を提供できる。下地層として具体的
には、アンドープ(不純物をドープしない状態、undop
e)のGaN(窒化ガリウム)、Si、Ge、及びS等
のn型不純物をドープしたGaNを用いることができ、
好ましくはアンドープのGaNを用いることで、その他
の組成の窒化物半導体を用いた場合に比べて、良好な結
晶性を有し、成長基板として優れた表面モフォロジーを
形成できる。この下地層の具体的な成長条件としては、
約900℃より高温で1100℃以下、好ましくは10
50℃で異種基板上に成長させる。この下地層の膜厚と
しては、特に限定されないが、具体的には1μm以上、
好ましくは5μm以上、最も好ましくは10μm以上と
することである。なぜなら、少なくとも1μm以上の膜
厚であれば、窒化物半導体を用いたレーザ素子を形成す
るための最低限の成長基板を提供でき、5μm以上ある
ことで基板分割工程における窒化ガリウムの劈開面を用
いた共振器反射面の形成が可能となり、さらには10μ
m以上とすることでその形成が歩留まりよく実現するか
らである。上限としては、特に限定されないが、半導体
層が厚くなることによる基板の反り悪化を考慮して決定
するものであり、具体的には50μm以下、好ましくは
30μm以下とすることで、下地層上にレーザ素子を形
成しても半導体層の膜厚を小さく抑えることができ、且
つ良好な窒化物半導体の成長基板を提供できる。この時
の下地層の膜厚は、後述する選択成長層を含めるもので
あり、窒化ガリウムからなる下地層の膜厚を合算したも
のである。
【0046】さらに、この下地層形成において、それよ
りも低温で成長させたバッファ層を介することで、好ま
しい窒化物半導体の成長、すなわち良好な下地層の形成
を実現できる。このバッファ層とは、上述した下地層の
成長温度よりも低温で成長させるものであり、具体的に
はAlN、GaN、AlGaN、InGaN等が用いら
れ、900℃以下300℃以上の温度で、膜厚0.5μ
m以下10Å(オングストローム)以上で形成される。
【0047】以上のように、下地層とは、窒化ガリウム
からなるもので、素子構造を形成するための良好な窒化
物半導体基板表面を提供するものであり、多層膜で構成
されていてもよい。さらにまた、本発明の製造方法にお
いて下地層は、基板分割による素子構造への共振器反射
面形成に、寄与するものである。具体的には、異種基板
側から分割し、この分割の力若しくは亀裂が異種基板上
の下地層に達することで、窒化ガリウムの劈開面を導き
出し、結果として下地層上の素子構造に、窒化ガリウム
の劈開面にほぼ一致する素子端面を形成し、これを共振
器反射面とするものである。さらに詳細に説明すると、
図11(b)に示すように、第2の主面にスクライバー
などによる溝若しくは機械的な外力を加えて異種基板を
分割すると、その力は積層方向に伝播するが、下地層1
5中で窒化ガリウムの劈開面で割れはじめ、下地層15
より上に形成したレーザ素子構造16(図11(b)中
の白抜き矢印)に分割面17として、その劈開面にほぼ
一致する素子端面が形成される。従って、本発明におけ
る下地層は、異種基板からの割れを窒化ガリウムの劈開
面での割れに変える機能を有し、これにより劈開困難な
異種基板上のレーザ素子構造に良好な共振器反射面を形
成するものである。すなわち、下地層は異種基板からの
不安定な割れを窒化ガリウムの劈開性の割れに変化させ
るものであり、従来のレーザ素子に使用されている劈開
による素子端面とほぼ同等な分割面をレーザ素子構造に
形成でき、良好な共振器反射面を設けることができるも
のである。
【0048】以上説明したように、本発明では、下地層
の劈開性を利用して共振器反射面を形成するため、窒化
ガリウムからなる層を素子構造中にも設けることで、さ
らに劈開による共振器反射面を促進させることができ
る。このレーザ素子構造中の窒化ガリウム層としては、
本発明において特に限定されるものではないが、具体例
を挙げると、窒化ガリウムからなるn型半導体層を設け
ることであり、実施例に示すように、基板の同一面側に
正負一対の電極を設けるために、比較的に厚膜で形成さ
れた窒化ガリウムからなるn側コンタクト層である。実
施例では、その他にも窒化ガリウムからなる層を有して
いるが、n側コンタクト層のように1μm以上の膜厚で
形成されると、上述した下地層の劈開性を促進する効果
が得られるため好ましい。さらにその窒化ガリウムから
なる層を設ける位置が、積層方向において下地層に近づ
くにつれ、前記劈開性の促進効果が向上するため、下地
層に近いほど好ましく、さらに好ましくは下地層に接し
て素子構造中の厚膜の窒化ガリウム層を形成することで
ある。このように、上記具体例で示したレーザ素子構造
中の窒化ガリウムからなるn側コンタクト層としては、
上述したn型不純物をドープしたGaN、アンドープの
GaNを用いることができ、膜厚としては1μm以上、
好ましくは3μm以上とすることで良好な共振器反射面
形成に寄与するものとなる。また、素子構造中の窒化ガ
リウム層としては、膜厚の上限は特に限定されず、下地
層が厚くなるとウエハの反りが大きくなるため、下地層
及び素子構造の構成(膜厚)により決定することが好ま
しい。
【0049】さらにまた、下地層として、以下に説明す
る選択成長層を形成してもよい。ここで、選択成長層と
は、具体的にはSiO2などの保護膜を用いて、基板上
に窒化物半導体が成長する非マスク領域(マスク開口
部)と、窒化物半導体がほぼ成長しないマスク領域とを
複数設けて、非マスク領域から成長した窒化物半導体
が、積層方向(縦方向)に加えて、横方向(基板面内)
の成長を伴うことにより、マスク領域上部で異なる非マ
スク領域から成長してきた窒化物半導体同士が結合し
て、成膜されるものである。具体的には、図12に示す
ように、窒化物半導体が選択的に成長するように準備さ
れた基板13a表面に、窒化物半導体を成長させて、積
層方向(図12(b)中の白抜き矢印)と横方向(図1
2(b)中の矢印)との成長により成膜することで、異
種基板からの貫通転位が窒化物半導体の成長により積層
方向に伝播することを抑え、その上に形成する素子構造
への転位の電波を防ぎ、結晶性の良好な窒化物半導体基
板表面を提供することができるものである。これは、L
EO(Lateral Epitaxial Overgrowth)、ELOG(Ep
itaxial Lateral OverGrowth)などとして従来知られて
いるものであり、先に例示した方法以外にも、図12
(x)〜(z)に示すように、窒化物半導体基板に凹凸
を設けて、その凸部をマスク領域、凹部を非マスク領域
とし、その凹部側面から横方向の成長をさせ(図中の矢
印方向)、さらに膜厚方向(図中の白抜き矢印方向)に
も成長し、マスク領域凸部上部で、別の凹部側面(非マ
スク領域)から成長してきた窒化物半導体が接合して、
成膜する方法などがある。図では、凹部底面にマスクを
設けず、凸部表面にマスク18を設けて、それぞれ非マ
スク領域、マスク領域としているが、凹部底面にもマス
クを設けて凹部側面からの成長を制御してもよい。ここ
で、図12に示す矢印は、白抜き矢印が膜厚方向を示す
もので、それ以外の矢印は、窒化物半導体の横方向の成
長を示している。また、本発明において、マスク領域と
非マスク領域とは、基板もしくは半導体層表面に選択的
に窒化物半導体を成長させるために設けられるものであ
り、非マスク領域はマスク領域に比べて優先的に窒化物
半導体が成長されれば足り、このことにより選択成長に
よる窒化物半導体は横方向の成長を伴って形成される。
具体的には、マスク領域としては、窒化物半導体を成長
させる際に、非マスク領域に比べて成長が困難(成長速
度が低い)であるか、ほぼ成長不可能であればよい。以
上のように、基板表面に、マスク領域と非マスク領域と
を所定のパターン状に設けて、選択的に非マスク領域が
基板面内の横方向の成長を伴って成長することにより、
成膜されて形成されるものが選択成長層であり、これを
窒化ガリウムからなる下地層としてもよく、上述の選択
成長させない下地層と組み合わせて、下地層として用い
ても良い。
【0050】このような選択成長層を下地層として有す
ることは、上述した貫通転位が積層方向に伸びて、下地
層の上に形成される素子構造に深刻な損傷を及ぼすこと
を防ぐことができる。また、選択成長層は上述した成長
形態により成膜され、その成長には縦方向と横方向の成
長が混在しているため、選択成長層表面の結晶性には面
内分布が存在するが、結晶性の良好な部分に素子を設け
ることで、特性に優れるレーザ素子が得られる。
【0051】このような選択成長層を下地層として用い
る場合には、上述の下地層と同様に、不純物をドープし
たGaN、アンドープのGaNを用いることができる。
また膜厚としては、特に限定されないが、少なくとも非
マスク領域から成長してきた窒化ガリウムがマスク領域
を覆い平坦な表面を形成して成膜されればよく、具体的
には5μm以上30μm以下、好ましくは10μm以上
15μm以下である。この範囲中にあることで、転位が
少なく、平坦且つ良好な表面の成長基板を形成できる。
【0052】以下、選択成長層について具体例を挙げて
説明する。上述したように窒化物半導体を成長させる非
マスク領域の形状としては、基板表面にストライプ状、
碁盤目状、ドット状に形成できる。好ましい形状として
は、ストライプ状であり、この形状とすると、異常成長
が少なく、得られる表面がより平坦に成膜され好まし
い。ここで、ストライプ状とする場合、ストライプの形
状として特に限定されないが、例えばマスク領域の幅
(ストライプ幅、凸部上部の幅)を1μm以上20μm
以下、好ましくは1以上10μm以下であり、非マスク
領域の幅(ストライプ間隔、凹部底部の幅)を3μm以
上20μm以下、好ましくは10μm以上19μm以下
であるものを形成することができる。このようなストラ
イプ形状を有していると、転位の低減と表面状態を良好
にする点で好ましい。ここで、基板表面、特に窒化ガリ
ウムを成長させる非マスク領域表面としては、窒化物半
導体が好ましく、上述の窒化ガリウムからなる下地層表
面であっても良い。
【0053】また、非マスク領域として基板表面に凹部
を設ける際には、具体的な方法として、エッチング技
術、ダイシング技術を用いて所望のパターンの凹凸を設
ける。この時、図12(x)〜(z)に示すように、凸
部上部(マスク領域表面)に、窒化物半導体の成長が不
可能か困難な保護膜を設けて、凹部(非マスク領域)側
面からの窒化物半導体の横方向の成長(図12(y))
を優先させることが好ましく、さらに図では示しいない
が、凹部(非マスク領域)底面にも前記保護膜を設け
て、前記横方向の成長をさらに助長するようにしても良
い。
【0054】マスク領域として、窒化物半導体の成長が
不可能か困難な保護膜を設ける場合における保護膜材料
としては、特に限定されず、第1の窒化物半導体の表面
をドライエッチングで改質する際に第1の窒化物半導体
を保護できるような材料であれば特に限定されず、例え
ば酸化物、金属、フッ化物、窒化物、等が挙げられる。
例えば具体的には酸化ケイ素(SiOX)、窒化ケイ素
(SiXY)、酸化チタン(TiOX)、酸化ジルコニ
ウム(ZrOX)等の酸化物、窒化物、またこれらの多
層膜、金属等を用いることができる。好ましい保護膜材
料としては、SiO2及びSiNが挙げられる。このよ
うな保護膜を用いることは、ドライエッチング時の選択
性、及び窒化物半導体へ拡散しない点で好ましい。ま
た、これらの保護膜を形成する方法としては、従来知ら
れている蒸着、スパッタ、CVD等の気相成膜技術を用
いることができる。
【0055】選択成長層をし、ストライプ状のマスク領
域とする場合において、C面を主面とするサファイア、
A面を主面とするサファイア、又は(111)面を主面
とするスピネルを異種基板として用いることが好まし
い。以下、それぞれの異種基板を用いる場合について説
明すると、C面を主面とするサファイアであるとき、マ
スク領域のストライプが、そのサファイアのA面に対し
てほぼ垂直な方向にストライプ方向を有していることが
好ましく、また、第1の主面がサファイアC面からオフ
アングルしている場合にはオフ角を0.1°以上0.5
°以下の範囲、好ましくは0.1°以上0.2°以下の
範囲とする。またA面を主面とするサファイアであると
き、マスク領域のストライプが、そのサファイアのR面
に対してほぼ垂直な方向にストライプ方向を有している
ことが好ましく、また(111)面を主面とするスピネ
ルであるとき、マスク領域のストライプが、そのスピネ
ル(MgAl24)の(110)面に対してほぼ垂直な
方向にストライプ方向を有していることが好ましい。な
ぜなら、異種基板とマスク領域のストライプ方向が上記
組み合わせであると、基板面内(異種基板の第1の主面
に平行な面内)において、窒化物半導体の成長が異方性
を有し、選択成長層の横方向の成長(ストライプ方向に
垂直な方向)が窒化物半導体の成長容易な方向となり、
好ましいELOG成長が実現されるからである。
【0056】以上のように、窒化ガリウムからなる選択
成長層を下地層とすることで、異種基板を用いることに
よる貫通転位が素子構造に伝播することを防ぐことがで
き、さらに結晶性、表面モフォロジー共により良好な基
板表面を提供でき、良好なレーザ特性の素子構造形成に
大きく寄与するものとなる。この時、選択成長層は上述
した横方向の成長を伴うことから、異種基板から伸びる
転位をその成長形態により基板面内で移動する。このた
め、下地層表面において、転位密度が高い領域と低い領
域とに分布する傾向にあり、レーザ素子構造の形成には
これを考慮して下地層上に配置することが好ましい。具
体的には、マスク領域にSiO2等の前記保護膜を用い
た場合には成長した窒化物半導体が接合する中央部付近
に転位が多くなり、保護膜を用いない場合には横方向の
成長による窒化物半導体の接合部となる非マスク領域の
中央部で転位が多く観られる。このため、この位置を避
けてレーザ素子を形成すること、詳しくは、光導波路領
域をこの転位密度の高い領域を避けるように設けること
で、素子信頼性に優れるレーザ素子が得られ好ましい。
【0057】本発明の製造方法において、エッチング工
程は、異種基板(第1の主面)上に半導体層として前記
素子構造を形成した後、異種基板表面(第1の主面)が
露出する深さでエッチングして半導体層の一部を除去す
るものである。このように異種基板表面が露出するよう
に半導体層を除去することは、後に続く基板分割工程に
おける共振器反射面形成に、重要な役割を果たすもので
ある。
【0058】これは、異種基板上に窒化物半導体を積層
させることで、両者の格子定数差などからウエハに、反
りが発生する。具体的には図7に示すように、異種基板
上に半導体層を積層した段階(図7(a)の点線部で示
す半導体層13a、異種基板10a)では、ウエハが第2
の主面側を内側として大きく反り返り、異種基板の裏面
(第2の主面)からスクライブなどを施して、基板を分
割するには困難な状態となる。なぜなら、異種基板の第
2の主面を内側にして反り返る時に基板にかかる力が、
第2の主面側から第1の主面側へ(積層方向へ)基板を
割る時に掛かる力とは逆方向であるため、基板分割を困
難なものとしている。このような基板(ウエハ)の反り
は、異種基板の材料及び膜厚にもよるが、第1の主面上
の半導体層の膜厚が5μm以上で反りが発生する臨界膜
厚となり、5μm以上ではほぼどの異種基板を用いた場
合でも異種基板を内側にして反りが発生し、さらに10
μm以上の膜厚では、基板分割において深刻な反りが発
生する。
【0059】本発明の製造方法では、エッチングにより
半導体層の一部を除去することで、上述の基板(ウエ
ハ)の反りを軽減させ、基板分割に好ましい基板状態
(ウエハ状態)を提供するものとなる。すなわち、本発
明のエッチング工程により、異種基板(第1の主面)が
露出するまでエッチングして、異種基板上に形成された
半導体層の一部を除去することで、異種基板表面におい
て半導体層が占める割合(面積比)が減少し、半導体層
と異種基板との間にかかる応力が減少して、基板(ウエ
ハ)の反りが緩和される。図7(a)は、その様子を示
すものであり、異種基板上に半導体層を積層した段階
(図中の点線部)では、異種基板10aを内側、積層し
た半導体層13aを外側にして、基板(ウエハ)が反り
返る。しかし、エッチング工程により、図7(a)のハ
ッチングを施した矢印で示すように、異種基板表面(第
1の主面)が露出するまで半導体層13bの一部(図中
の波線部)を除去することで、基板(ウエハ)にかかる
応力が減少して、反りが緩和される。ここで、図7は、
図6のエッチング工程後の基板の様子を示す図におい
て、白抜きの矢印の方向(真横)から観察した様子を、
模式的に示すものである。
【0060】本発明のエッチング工程において、上述し
たように半導体層の一部が異種基板の表面が露出する深
さで除去されることを必要とし、好ましくは、少なくと
も共振器方向に離間して配置されるように、エッチング
することである。具体的には、図1,2,4に示すよう
に、図中の白抜き矢印方向で示す共振器方向に離間する
ように、エッチングすることである。なぜなら、基板分
割工程において、図中の線AA(図では分割時の分割位
置も示している)で分割する際に、分割面に垂直に分割
時の力若しくは衝撃が加わるが、図に示すように、共振
器方向に半導体層が分離された領域(半導体領域・素子
領域)を形成していることにより、その分割時の衝撃を
緩和することができる。これは、基板分割は、異種基板
の裏面(第2の主面)側から、スクライバー、ダイサ
ー、乃至はブレーキングによる外力等により、分割され
るため、半導体層のところでは分割時の衝撃若しくは亀
裂の進行方向を制御することが困難であり、それが半導
体層において割れ・欠けを生み出す要因となっていた
が、それを緩和できることを意味するものである。すな
わち、異種基板の第2の主面側からのアプローチによる
基板分割では、それに対向する位置にある半導体層に
は、分割時の衝撃を防ぐことが困難であったが、共振器
方向に離間されていることで、その離間された領域(エ
ッチング工程により露出された第1の主面)でもって、
その衝撃を吸収、緩和することが可能となる。ここで、
吸収、緩和は、基板分割工程において、分割面でもって
共振器反射面を半導体層に形成するため、分割時にかか
る力及び衝撃は主に分割面に垂直な方向の成分、すなわ
ち分割時の割れ・欠けは主に分割面に垂直な方向の成分
によることから可能となるものであり、共振器方向(共
振器反射面に垂直な方向)に半導体層(半導体領域)が
離間されていることで、分割面から垂直な方向に設けら
れた露出された第1の主面に逃がすことができる。
【0061】この時、前記共振器方向における半導体層
の離間した距離が、少なくとも10μm以上であるこ
と、好ましくは20μm以上150μm以下、最も好ま
しくは40μm以上60μm以下の範囲である。これ
は、少なくとも10μm以上の距離で半導体層が共振器
方向に離間されていないと、基板分割において、半導体
層の割れ、欠けが大量に発生し、ウエハ当たりのレーザ
素子の良品率が極めて低くなり、製造上難がある。ま
た、20μm以上150μm以下であると、基板分割工
程で割れ、欠けの発生を抑えて共振器反射面を形成する
ことができ、さらに、40μm以上60μm以下である
と、基板分割工程での割れ、欠けを最小限に抑えて、且
つ半導体層が密に配置されることから、ウエハ当たりの
レーザ素子チップの取り出し効率も向上するものであ
る。図6は、エッチング工程を経ることで、異種基板1
0の第1の主面11上に、離間され、分断された半導体
層(半導体領域)14が複数配置されている様子を示す
ものである。図6に示すように、前記離間された距離と
は、共振器方向(図6中の黒で塗りつぶした矢印方向)
に離間・分断された距離W2を指すものであり、この距
離は厳密に適用されるものではなく、図に示すように、
離間された半導体層(半導体領域)14の共振器方向に
おける間隔W2を指すものである。
【0062】また別の態様として、エッチング工程によ
り、露出された第1の主面により、共振器方向及び共振
器方向に垂直な方向に離間された半導体領域を、異種基
板の第1の主面上に複数配置することである。詳しく
は、エッチング工程で半導体層の一部が除去され、異種
基板表面(第1の主面)が露出されることで、半導体層
が共振器方向及び共振器方向に垂直な方向に分断された
半導体領域を形成するものである。具体的には、図1
(a),2(a)に示すように、エッチング工程を経る
ことで、異種基板10の第1の主面11上に、ブロック
状に分断された半導体領域14が形成され、この半導体
領域14は、互いに共振器方向(図中の白抜き矢印方
向)及び共振器方向に垂直な方向に離間して配置されて
いる。このことにより、図4,3に示すような1方向に
のみ第1の主面を露出させて、半導体層を離間するので
は、基板(ウエハ)に発生した反りが、その1方向に依
存して偏った状態で緩和されることから基板分割工程を
困難にするが、上述のブロック状に配置することで、基
板面内で比較的均等に反りが緩和され、良好な基板分割
が行える。さらにまた、上述した基板分割時の衝撃緩和
においては、ブロック状に配置されている状態の方が、
さらなる緩和を生み出す傾向にあり、基板分割工程で歩
留まりが向上する。ここで、本明細書において、エッチ
ング工程を経たことにより、半導体層が分断・区分され
た領域を半導体領域、さらにこの異種基板上の半導体領
域が、各々電気的に接続されずに、独立して駆動しうる
状態である場合には、素子領域として記す。
【0063】図6は、複数の半導体領域14が異種基板
10の第1の主面11上に離間して配置されている場合
に、共振器方向における半導体領域の間隔W2、共振器
方向に垂直な方向におけるそれをW1として示すもので
ある。共振器方向の間隔W2については、上述したとお
りであるが、共振器方向に垂直な方向の間隔W1は、特
に限定されないが、共振器方向の間隔W2にあわせてウ
エハの反りを考慮して決定すると良い。具体的には、W
1として、20μm以上150μm以下の範囲であれば
良い。ここで、本発明において共振器方向とは、下地層
上に形成されたレーザ素子構造における共振器方向を指
すものである。
【0064】また本発明において、好ましくはエッチン
グ工程後の第1の主面に占める前記半導体領域の割合
(半導体領域の面積の総和/第1の主面の面積)が、9
5%以下となるようにすること、さらに好ましくは80
%以上90%以下の範囲である。半導体領域の占める割
合が、95%以下であると上述したウエハの反りが基板
分割に好ましい状態にまで緩和され、さらに80%以上
90%以下の範囲にあることで、反りを緩和し、且つウ
エハ当たりのチップ数を多くすることができる。この
時、半導体領域の占める割合の算出方法としては、図6
に示す点線部で囲まれた領域を基準とし、その領域に含
まれる半導体領域14をその領域の面積で割った値を近
似的に用いる。すなわち、図6に示すようにほぼ矩形状
(正方形も含む)の半導体領域14が形成された場合
に、半導体領域14の1つの角を成す2辺から、隣の半
導体領域までを1つの半導体領域に対する露出された半
導体領域とし、従って前記算出方法により、半導体領域
の占める割合が算出される。図3,4に観るように、共
振器方向、若しくはそれに垂直な方向に離間して半導体
領域が形成されている場合には、図3においては隣り合
う線AAで挟まれる領域、図4においては隣り合う線B
Bで挟まれる領域、を1つの半導体領域として、半導体
領域に隣接し露出した第1の主面の内一方であって、そ
の各線で挟まれる領域に当たる第1の主面を、前記1つ
の半導体領域に対する露出された第1の主面として算出
する。具体的には、図3において、半導体領域の幅70
0μm、幅W 2(図6参照)が50μm、線AAの間隔
が650μmである場合には、前記1つの半導体領域に
対応する第1の主面は、650×750μmの面積とな
る。図4の場合には、W2をW1に、線AAを線BBに置
き換えて算出される。
【0065】エッチング手段としては、ウエットエッチ
ング、ドライエッチング等の方法があり、例えばドライ
エッチングとして、反応性イオンエッチング(RI
E)、反応性イオンビームエッチング(RIBE)、電
子サイクロトロンエッチング(ECR)等の装置があ
り、いずれもエッチングガスを適宜選択することによ
り、窒化物半導体をエッチングすることができる。
【0066】本発明の製造方法において、基板分割工程
の前に、異種基板を薄くする研磨工程を、好ましくは有
することである。なぜなら、異種基板を分割する際に、
劈開が困難な、若しくは劈開性を有していない異種基板
を用いているため、異種基板が厚くなると、異種基板側
からウエハを分割しても、安定した分割面を得ることが
困難であり、レーザ素子構造に所望の共振器反射面を形
成することが非常に難しいものとなるからである。これ
は、劈開が困難な異種基板では、分割時の分割方向を十
分に制御することが困難で、結果として、異種基板の第
1の主面と第2の主面とでは分割位置が大きく異なる場
合があるからである。このような、分割位置の制御性
は、異種基板の厚さが厚くなるにつれて困難になる傾向
にあり、基板分割の精度を向上させるためには、異種基
板を薄くする必要がある。しかし、上述したウエハの反
りは、異種基板が薄くなるにつれて、異種基板の第2の
主面側への反り返りがひどくなる傾向にあるため、この
ウエハの反りでは異種基板を第2の主面側から分割する
ことを困難にし、異種基板を薄くすることはウエハの反
りを悪化させ、基板分割を困難にする要因となる。従っ
て、本発明の研磨工程において、異種基板の厚さとして
は、異種基板の厚さと、半導体層の膜厚との総和を、1
00μm以上200μm以下の範囲とすることであり、
さらに好ましくは140μm以上180μm以下の範囲
とすることであり、最も好ましくは150μm以上16
0μm以下の範囲である。
【0067】本発明の研磨工程において、半導体層の膜
厚としては、10μm以上60μm以下の範囲、好まし
くは20μm以上40μm以下の範囲とすることであ
る。この範囲内で半導体層を形成することで、上記エッ
チング工程、研磨工程でもって、基板分割に適当となる
ウエハの反りに調節することができる。この時、半導体
層の膜厚の比(半導体層の膜厚)/(異種基板との厚さ
と半導体層の膜厚との総和)は、0.1以上0.6以下
の範囲、好ましくは0.1以上0.3以下の範囲であ
る。
【0068】本発明の研磨工程において、第2の主面の
粗さは、JISB0601において粗さ曲線のカットオ
フ値80μm、基準長さ50μmの条件での算術平均粗
さが、150Å以上300Å以下となる凹凸を有するこ
とが好ましく、さらに好ましくは180Å以上220Å
以下の範囲である。このような範囲内にあることで、基
板分割工程における歩留まりが向上する。第2の主面の
粗さが、基板分割工程における歩留まりに対しどのよう
に影響を与えるかは定かではないが、第2の主面に設け
られた凹凸により、ウエハの反りが変化し、上記範囲内
にあることでそれが基板分割に好適に作用するものとな
る。また、表面に凹凸があることで分割時にウエハにか
かる力がいくらか変化しているためと思われる。図7
は、そのときのウエハの様子を示すものであり、エッチ
ング工程後の異種基板10bから薄く研磨して、上記範
囲内の凹凸を第2の主面12cに設けることで、ウエハ
の反りが緩和され、異種基板が10cに示すようにな
る。
【0069】さらに、本発明の製造方法では、図16
(c)に示すように、異種基板の上に半導体層が設けら
れた断面において、第2の主面を粗さを調整すること
で、下に凸な反りを基板に設けることができる。ここ
で、下に凸な反りとは、図16(c)に示すように、異
種基板10が下に、半導体層13bが上に配置された断
面において、異種基板10を外側、半導体層13bが内
側に反った状態を指すもので、これとは逆に、図16
(b)に示すような反りは、上に凸な反りとなる。図1
6(c)に示す下に凸な反りを形成するには、前記算術
平均粗さをさらに大きくすることが可能となる。具体的
には、算術平均粗さを少なくとも300Å以上に研磨す
ることで、下に凸な反りが発生し、好ましくは500Å
以上とすることで、より確実に下に凸な反りを発生させ
ることができる。このときの異種基板、半導体層の膜
厚、その比は、上述したとおりであるが、前記範囲外で
あっても、算術平均粗さを大きくすることで、図16
(c)に示す下に凸な反りを形成することができる。ま
た、算術平均粗さの上限については、算術平均粗さが大
きくなるに伴って、下に凸な反りが大きくなる傾向にあ
るため、特に限定されない。
【0070】本発明の製造方法では、図16(b)に示
すように、異種基板10上に素子構造を含む半導体層1
3bが設けられることで、上に凸な反りが発生する場合
に適用されるものである。逆にいうと、上述した異種基
板、半導体層の膜厚およびその比の範囲外であっても、
素子構造を形成することで図16(b)に示すような上
に凸な反りが発生する場合において、研磨工程により下
に凸な反りを発生させることができる。このことによ
り、この反りの状態で、基板分割工程において異種基板
の第2の主面側から基板分割する場合に、この反りが好
適に作用し、基板分割を促すことができる。これは、図
16(c)の状態から明らかな様に、異種基板10の第
2の主面側に、スクライブなどにより亀裂が設けられる
と、亀裂が広がる方向に反りの力が加わり、結果として
高い精度で、良好な基板分割が実現される。逆に、図1
6(b)のように上に凸な反りでは、第2の主面側から
の基板分割において、亀裂が逆に閉じる方向、亀裂が進
行するのを抑制する方向に反りによる力が加わる。従っ
て、下に凸な反りを発生させることで、第2の主面側か
ら基板を分割すると、亀裂が広げる方向に反りによる外
力が加わることで、高い精度で、良好な基板分割、共振
器反射面の形成ができる。
【0071】ここで、図16は、異種基板10上に、窒
化物半導体を積層して形成された素子構造を含む半導体
層13が設けられた様子を示す模式断面図であり、図1
6(a)は、叙述した臨界膜厚以下で、バッファ層、下
地層が設けられて、下に凸な反りが発生する様子を示す
ものであり、図16(b)は窒化物半導体層を積層する
ことで、上に凸な反りが形成される様子を示すものであ
り、図16(c)は本発明の研磨工程により、反りが
(b)の状態から逆転して、下に凸な反りが基板に設け
られる様子を示すものである。また、図17は、図7と
同様に、図6を白抜き矢印の方向から観た様子を示す模
式断面図であり、図17(a)は、異種基板10の第2
の主面に部分的な研磨が施される様子を示すものであ
り、図17(b)は、研磨工程の後、大きな凹凸のある
研磨層30を避けて基板分割をするために、分割位置に
対応して第1の溝部31が設けられる様子を示すもので
ある。図18は研磨工程における研磨領域33、マスク
領域32を説明するものであり、図6において、異種基
板10の第2の主面12から観た様子を示すものであ
り、ハッチングを施したマスク領域32と研磨領域3
3、図6において第1の主面上に形成された半導体領域
14の輪郭を第2の主面12側に投影した様子を示すも
のである。また図18(a)は、点線で囲まれた半導体
領域14の一部(AA分割に係る領域)と、それ以外の
領域(別の分割に係る領域)をマスク領域32とし、半
導体領域の残り部分(基板分割に係らない領域)を研磨
領域33とする様子を示す図であり、図18(b)は、
基板分割の上に、共振器反射面が形成されるAA分割位
置を覆う領域をマスク領域32とし、その他の領域を研
磨領域33とする様子を示すものである。
【0072】上述した研磨工程の後に、基板分割工程で
基板分割する位置、図中で、AA、BB、CCとして示
す分割、を覆う領域で、第1の溝部を設けて、この第1
の溝部31内で基板分割するようにできる。具体的に
は、図17(b)に示すように、研磨工程により表面が
荒らされ凹凸が設けられた研磨層30を避けるように、
研磨工程による表面の凹凸がなくなる深さで、第1の溝
部31を形成する。このため、第1の溝部31の深さ
は、研磨層30の凹凸に依存し、算術平均粗さが大きけ
れば、研磨層30が厚くなり第1の溝部31は深くな
る。従って、第1の溝部31の深さは、少なくとも算術
平均粗さよりも深くすることであり、好ましくは算術平
均粗さよりも0.1μm以上、更に好ましくは1μm以
上深くする。ここで、第1の溝部31の幅としては、特
に限定されないが、基板分割工程で、基板分割に用いる
治具の大きさ、例えばスクライバー、ダイサーの刃の大
きさに合わせて、第1の溝部31内で基板分割できるよ
うに、それらの刃よりも幅広に形成することが好まし
い。このことで、第1の溝部31内部、底面に刃が到達
して、基板分割良好に成されるようにすることである。
このように、第1の溝部31を設けるのは、研磨工程で
設けられた表面の凹凸が、基板分割工程で分割を困難に
する場合があるからである。具体的には、凹凸が設けら
れた研磨面に、スクライブすると、凹凸により刃が引っ
かかり、分割に失敗したり、十分な位置精度での分割が
困難になる。
【0073】以上は、研磨工程による第2の主面の凹凸
を除去する第1の溝部を設けて、その第1の溝部の平坦
な底面でもって、基板分割をするものであるが、以下に
説明するように、予め分割位置を除く領域だけに研磨を
施すことでもこの問題を解決できる。図18に示すよう
に、チップ間を切断するための領域、及び共振器反射面
を形成するために分割する領域をマスク領域32とし、
それ以外の領域に研磨を施して、基板の反りを変化させ
ることができる。これは、第1の溝部を形成する場合と
同様に、基板分割に対応して、基板分割位置を覆う領域
をマスク領域32として、そこは研磨工程で研磨しない
か、基板分割にあまり悪影響を及ぼさない程度の凹凸を
設ける領域とし、基板分割に関係のない領域を研磨する
方法である。具体的には、基板分割に関係のない半導体
領域14の一部を研磨領域とするか(図18(a))、
若しくは基板分割工程で分割位置の少なくとも一部をマ
スク領域32としてそれ以外を研磨領域33とする(図
18(b))研磨を行うことができる。この時、基板分
割位置全てを覆うようにマスクしない場合には、図18
(b)に示すように、少なくとも共振器反射面が形成さ
れる分割位置(AA分割)にマスク領域32を形成する
ことである。これは、共振器反射面を形成する基板分割
は、上述したように、非常に困難なため、基板分割に適
した状態を作り出しておくことが、共振器反射面形成の
精度、歩留まりを向上させる空である。以上のように、
研磨が第2の主面12に部分的なものであっても、反り
を変化させることにおいて、粗さを変化させることで対
応することができる。具体的には、研磨領域/第2の主
面の面積比が小さくなれば、例えば図18(a)の状
態、研磨による反りの緩和の効果が弱まるため、算術平
均粗さを大きくしてこれを補うようにすることである。
以上のマスク領域32の大きさ、幅などは特に限定され
ず、基板分割を行うのに十分な大きさ、幅を有していれ
ば良く、例えばスクライブを用いる場合には、その刃の
肉厚、若しくは分割手段の位置制御の精度の限界にあわ
せて、それよりも大きく、幅広にすることである。ま
た、マスク領域32を設ける前に、マスク領域が凹凸を
呈していても、基板分割に悪影響を及ぼさない程度であ
れば、そのままマスクを形成して、マスク領域として良
いことはいうまでもない。また、マスク材料としては、
特に限定されず、研磨手段からマスク領域の第2の主面
を保護できるものであればよい。例えば、SiO2など
の酸化物や、金属、有機系材料、レジスト膜材料など、
従来知られているマスク材料を適宜選択すればよい。
【0074】以上説明したように、本発明の基板分割工
程で、分割を困難にする研磨工程での凹凸の形成を、第
1の溝部、マスク領域の形成により、回避でき、優れた
精度での基板分割が実現される。
【0075】本発明の下地層にいて、特に窒化ガリウム
とする必要はなく、InxAlyGa 1-x-yN(0≦x≦
1、0≦y≦1、x+y=1)で表される窒化物半導体
を用いることができる。これら窒化ガリウム以外の窒化
物半導体を下地層に用いても、その窒化物半導体のM面
で劈開面を取り出して、共振器反射面とすることができ
る。
【0076】本発明の基板分割工程においては、異種基
板を分割することで、異種基板(第1の主面)上の半導
体層も分割し、その半導体層の分割面でもって半導体層
中のレーザ素子構造に共振器反射面を形成するものであ
る。この時、好ましくは、窒化ガリウムからなる下地層
の劈開面にほぼ一致する分割面が得られるように、異種
基板を分割する。
【0077】本発明において、異種基板を分割する方法
としては、特に限定されるものでないが、スクライバ
ー、ダイサーなどの手段を用いて、第2の主面側から異
種基板を分割することができる。ウエハの反りの状態、
異種基板表面の状態により異なるが、それらの状態が適
切なものであれば、上記手段だけで異種基板が割れ、そ
れに伴って下地層の窒化ガリウムの劈開面にほぼ一致す
る共振器反射面が形成されるが、上記手段だけで困難な
場合には、ブレーキングなど外部から力を加えて、機械
的に異種基板を分割しても良い。このことにより、図1
1(b)に示すように、異種基板10から割れはじめ、
下地層15に亀裂が伝播することで、窒化ガリウムの劈
開面をとしだし、下地層15上のレーザ素子構造16に
その劈開面にほぼ一致する共振器反射面が形成される。
【0078】本発明における基板分割工程では、エッチ
ング工程で露出した半導体層側面とは異なる位置で、基
板分割され、共振器反射面が形成される。具体的には、
図1(a),図2(a),図3(a),図4(a)に示
すように、エッチング工程により、異種基板10(第1
の主面11)上に、離間して配置された半導体層13
(半導体領域14)にかかるように、図中のAAの位置
でもって、基板を分割する。ここで、図中のAAは、基
板分割工程における分割位置を、半導体層13上に示す
ものであり、この位置に対応する異種基板10でもっ
て、主に異種基板の第2の主面側から基板を分割する。
【0079】以下、分割面と、異種基板及び窒化ガリウ
ムからなる下地層との関係について具体例を挙げて説明
する。ここで本明細書において、サファイアは六方晶系
に近似して示し、またサファイア、窒化ガリウムの面方
位は、図8の単位胞に示すとおりであり、M面は図中の
六角柱側面にあたる。さらに、本明細書において、A
面、M面、R面の面指数は、図9に示すとおりであり、
明細書中の表記は図中の対応表に従い、例えば(1 1-
00)M面において「-」は「バー」とする。
【0080】ここで、異種基板と下地層の窒化ガリウム
としては、例えば異種基板がサファイアである場合、C
面を主面とするサファイア上に成長させた窒化ガリウム
の下地層により、劈開性を有する窒化ガリウムのM面が
サファイアのA面とほぼ並行となるため、サファイア基
板をA面に沿ってスクライブするなどして、窒化ガリウ
ムのM面で劈開が起こるようになる。このとき、窒化ガ
リウムのA面でも基板分割して共振器反射面を形成する
ことが可能であるが、本発明では窒化ガリウムM面の方
が好ましい鏡面の共振器反射面が得られる。さらに、A
面を主面とするサファイアを異種基板として用いた場合
には、窒化ガリウムのM面がサファイアのR面にずれて
成長するため、このR面に沿って異種基板を分割するこ
と、若しくは窒化ガリウムのM面に沿うように異種基板
を分割して、共振器反射面を形成する。また、スピネル
(111)面を用いた場合も同様に、成長させた窒化ガ
リウムのM面で異種基板を分割する。これら異種基板の
面方位と窒化ガリウムの劈開面(M面,A面)とが良好
に一致しない場合においては、上述のサファイアC面を
用いる場合に比べて、基板分割工程の歩留まりが低下す
る傾向にある。
【0081】本発明の基板分割工程において、分割位置
としては特に限定されず、エッチング工程で露出された
半導体層の側面とことなる位置で基板を分割すればよ
い。具体的には、図6に示すように、エッチング工程に
より露出した半導体層の側面(エッチング端面19)と
異なる位置AAにおける半導体層でもって、異種基板を
分割する。この時、図に示すように、エッチング工程に
より露出した半導体層側面19から分割位置までの距離
eは、上述した基板分割時の困難な制御性の問題か
ら、側面19からある程度離れていることが好ましい。
eとして具体的には、5μm以上、好ましくは10μ
m以上とすることで、異種基板から基板分割することに
よる分割位置のズレが考慮され、基板分割工程での歩留
まりが向上する。
【0082】上述したように、本発明において、窒化ガ
リウムからなる下地層は、レーザ素子構造を形成するた
めの基板を提供すると共に、基板分割時においては、窒
化ガリウムの劈開面を導き出し、その上のレーザ素子構
造に良好な共振器反射面を形成する。具体的には、図1
0,11に示すように、図10(a)のAAの位置で異
種基板10を分割することにより、図10(b)に示す
ように分割による亀裂が図中の矢印の方向に伝播し、レ
ーザ素子構造16の位置では下地層15の窒化ガリウム
の劈開面にほぼ一致する共振器反射面が形成される。こ
こで、図11(a)は、基板分割工程前の異種基板10
及びその上の半導体領域14を示す上面図であり、図中
AAは分割位置を示し、図中ssでの縦断面図が図11
(b)で基板が分割される様子を示し、図10は基板分
割工程後のレーザ素子の様子を示す斜視図である。本発
明の基板分割工程では、異種基板10から分割するため
図11(b)に示すように、下地層15、さらにはレー
ザ素子構造16における異種基板側の領域には、表面の
あれた分割面17が形成される。その分割後の様子は、
図10に示すものであり、異種基板10、下地層15で
の分割面(図中ではハッチングを施した領域)は、劈開
困難な異種基板10の不安定な分割から、下地層15に
おいても表面のあれた分割面が観られる。しかし、下地
層15の窒化ガリウムの劈開面が、下地層15の分割面
の一部から取り出されて、最終的には、レーザ素子構造
16(図中の矢印方向に形成される)、特に光導波路領
域において、窒化ガリウムの劈開性により生み出された
良好な共振器反射面が形成される。すなわち、本発明に
おいて、基板分割工程による共振器反射面の形成は、少
なくともレーザ素子構造中の光導波路領域内に設けられ
ていれば足りるものである。
【0083】以上説明したように、本発明の基板分割工
程では、レーザ素子構造、そのなかでも光導波路領域
に、窒化ガリウムの劈開性によりほぼ鏡面で優れた共振
器反射面が、下地層、さらにはレーザ素子構造中の比較
的厚膜の窒化ガリウム層により形成するものである。ま
たこの時、レーザ素子構造において、下地層の窒化ガリ
ウムの劈開面にほぼ一致する窒化物半導体からなる層を
形成すると、好ましい共振器反射面が得られる。
【0084】さらに、本発明の基板分割工程では、上述
したように、半導体層に大きな衝撃が加わるため、半導
体層上に設けた電極が剥がれる恐れがあることから、そ
れを避けるように電極を設けても良い。具体的には、半
導体層(半導体領域)において分割位置に達しない長さ
で、電極を設けることであり、図10,11に示すよう
に、半導体層表面に直接形成した電極20,21は分割
位置を考慮せずに形成して、その電極に電気的に接続さ
れた取り出し電極22,23は、分割位置から離れて設
ける方法を採っても良い。
【0085】本発明の製造方法において、下地層上のレ
ーザ素子構造に形成する共振器反射面は、上述の基板分
割工程により互いに対向する一対の共振器反射面であっ
てもよく、一方の共振器反射面をエッチング工程による
エッチング端面としても良い。一対の共振器反射面を、
基板分割工程により形成すると(例えば図3)、窒化ガ
リウムの劈開性により形成されるため、良好な共振器反
射面となるが、上述した基板分割時の不安定性により歩
留まりは低くなる。一方の共振器反射面を基板分割工程
により形成して、他方をエッチングにより形成する組み
合わせでは(例えば図1,2,4)、良好な共振器反射
面と製造性の良い共振器反射面で構成されるため、両方
を兼ね備えたレーザ素子が得られる。このとき、従来の
ように一対の共振器反射面をエッチングにより形成する
と、レーザ素子の特性が上記2つの組み合わせに比べて
大幅に低下するため、好ましくない。
【0086】
【実施例】
【0087】以下、本発明の実施例について説明する。
【0088】[実施例1]以下、実施例として図14に
示す模式断面図のレーザ素子構造について、順を追って
説明する。
【0089】窒化物半導体を成長させる異種基板とし
て、厚さが425μm、2インチφ、主面がC面、オリ
エンテーションフラット面(以下、オリフラ面と記す)
がA面のサファイア基板を用意し、MOCVDの反応容
器内にそのウエハをセットする。次に、温度を510℃
にして、キャリアガスに水素、原料ガスにアンモニアと
TMG(トリメチルガリウム)とを用い、サファイア基
板1上にGaNよりなるバッファ層(図示されていな
い)を約200Å(オングストローム)の膜厚で成長さ
せ、さらに温度を1050℃とし、原料ガスにTMG、
アンモニアを用い、アンドープのGaNよりなる下地層
102を2.5μmの膜厚で成長させる。
【0090】下地層102形成後に、その上に、さらに
窒化ガリウムからなる選択成長104を形成して、これ
も窒化ガリウムからなる下地層とする。選択成長層とし
ては図12(a)〜(c)に示す順序に沿って形成す
る。下地層13aを形成後、ウエハを反応容器から取り
出し、CVD装置に載置して、下地層13aの上に選択
成長させるためマスク領域として保護膜18を形成する
(図12(a))。この時、マスク領域となる保護膜1
8は、サファイア基板のオリフラ面(A面)に垂直なス
トライプ状のSiO2膜を、幅5μm、間隔(開口部の
幅)10μmで、ウエハのほぼ全面の前記下地層13a
上に形成する。続いて、ウエハをMOCVD反応容器内
に戻し、温度1050℃、原料ガスTMG、アンモニア
を用いて、保護膜18の設けられていない非マスク領域
表面、すなわち前記下地層13aが露出している表面
に、アンドープのGaNを15μmの膜厚で成長させ
(図12(b),(c))、平坦な表面有する窒化物半
導体基板13bとする(図12(c))。この窒化物半
導体基板の成長は、初期段階において、選択的に前記非
マスク領域だけに窒化物半導体が成長するが、ある程度
の膜厚で成長すると、厚さ方向への成長に加えて、マス
ク領域の保護膜18に向かう横方向(基板面内)に成長
して、マスク領域の上部が横方向成長した窒化物半導体
によりふさがれた結果、下地層13aの上に膜厚15μ
mの窒化物半導体基板13bが形成される。次に、積層
工程として、この窒化物半導体基板(選択成長により形
成された窒化ガリウムからなる下地層104)の上に、
以下の素子構造を積層する。
【0091】n側コンタクト層105:膜厚4μm、S
iを3×1018/cm3ドープしたGaN クラック防止層106:膜厚0.15μmのIn0.06
0.94N(省略してもよい) n側クラッド層107:総膜厚1.2μmの超格子構造
厚25ÅのアンドープAl0.16Ga0.84Nと、膜厚2
5Å、Siを1×1019/cm3ドープしたGaNと、を
交互に積層する。
【0092】n側光ガイド層108:膜厚0.2μmの
アンドープGaN 活性層109:総膜厚550Åの多重量子井戸構造 S
iを5×1018/cm 3ドープした膜厚100ÅのSi
ドープIn0.01Ga0.99Nよりなる障壁層(B)と、膜厚
50ÅのアンドープIn0.11Ga0.89Nよりなる井戸層
(W)とを、(B)-(W)-(B)-(W)-(B)-(W)-(B)の順に積層す
る。
【0093】p側キャップ層110:膜厚300Å、M
gを1×1020/cm3ドープしたp型Al0.3Ga0.7N p側光ガイド層111:膜厚0.1μmのMgを1×1
18/cm3ドープしたp型GaN p側クラッド層112:総膜厚0.6μmの超格子構造
膜厚25ÅのアンドープAl0.16Ga0.84Nと、膜厚
25ÅでMgを1×1020/cm3ドープしたp型GaN
と、を交互に積層する。
【0094】p側コンタクト層113:膜厚150Å、
Mgを2×1020/cm3ドープしたp型GaN
【0095】素子構造を形成した後、MOCVD装置か
らウエハを取り出し、次に、積層した半導体層を、エッ
チングにより微細加工し、レーザ素子としての共振器構
造を形成する。図5に示すように、取り出したウエハ表
面(p側コンタクト層16c表面)に所望のパターン状
のSIO2膜をフォトリソグラフィー技術により形成
し、異種基板10上に積層した半導体層13を前記n側
コンタクト層が露出するまでエッチングして、n電極形
成面を設ける(図5(b))。次に、図13に示すよう
に、以下のようにして、n側コンタクト層を露出させな
かった領域(図5(b)の凸部)に、リッジストライプ
を形成する。先ず、p側コンタクト層13 a表面に、S
iO2よりなるマスク61を形成し、フォトレジスト膜
63により、幅1.8μmのストライプ状のSiO2
りなるマスクとする(図13(a),(b),
(c))。SiCl4ガスを用いてRIEにより、p側
コンタクト層13a、およびp側クラッド層13bの一部
をエッチングして除去し(図13(d))、リッジスト
ライプを形成後、さらにPVD装置にウエハを搬送して
SiO2のマスク61の上から形成したリッジストライ
プの露出した表面にかけて、Zr(主としてZrO2
よりなる保護膜62を0.5μm厚さで形成し(図13
(e))、ウエハをフッ酸に浸漬し、SiO2のマスク
をリフトオフ法により除去する(図13(f))。この
ようにして、図14に示すようなストライプ状の導波路
領域として、幅1.8μmのリッジストライプが形成さ
れ、この時リッジストライプはp側クラッド層が0.1
μmの膜厚となる深さで形成されている。
【0096】最後に、前記エッチングにより露出したn
側コンタクト層105、p側コンタクト層106表面に
それぞれTi/Alよりなるn電極21、Ni/Auよ
りなるp電極20(図13に示すようにリッジストライ
プ表面の保護膜62にわたって形成される)を、図14
に示すように形成する。次に、図10,11(b)に示
すように、共振器反射面とするエッチング端面側から約
600μmの長さで、各電極に電気的に接合する取り出
し電極22,23を絶縁膜64を介して形成する。この
ように、基板分割位置に達しない長さで取り出し電極を
形成することで、分割時の衝撃により電極が剥がれるこ
とを回避できる。また、この時、n電極形成面を形成し
た段階で、光導波路領域に形成された対向する一対のエ
ッチング端面19(一方を共振器反射面として用いる)
の距離は、すなわち共振器方向の長さは700μmであ
る。
【0097】正・負電極を形成後エッチング工程とし
て、図5(c)に示すように、素子領域14となる部分
を除く半導体層を、エッチングにより除去して、異種基
板表面に複数設けられている状態のウエハを得る。この
時、形成された半導体領域の共振器方向(図中の白抜き
矢印)はサファイアA面に垂直に形成され、その長さは
800μmとn電極形成面取り出しの際より大きめに形
成し、それに垂直な方向の長さは650μmであり、共
振器方向の距離(露出した第1の主面の幅)W2は50
μm、共振器方向に垂直な方向の距離(露出した第1の
主面の幅)W1は50μmであり、半導体領域の占める
割合は、約0.87であった。この時、図5(c),1
(a)に示すように、各半導体領域は電気的に絶縁さ
れ、エッチング工程により形成された側面を共振器反射
面として各々独立して駆動可能な素子領域として異種基
板上に配置されている。
【0098】続いて研磨工程として、異種基板であるサ
ファイア基板の素子構造が形成されていない側(裏面)
を研磨して、図5(c)に示すように厚さ425μm
(図中の点線部)から厚さ約125μm(図中の実践
部)とし、異種基板を薄くする。前記半導体層の膜厚は
約24μmで、異種基板との膜厚の総和が約150μm
となり、このときサファイア基板の裏面は、算術平均粗
さRaが200Åであった。平均粗さ算出時の各値は、粗
さ曲線のカットオフ値λcが80μm、基準長さlが5
0μmであった。
【0099】次に基板分割工程として、図1に示すよう
に、分割面AAに沿って異種基板の第2の主面をスクラ
イブし、レーザ光の出射側となる共振器反射面をレーザ
素子に形成する。この時、スクライブする方向(図1
(a))中のAA方向)は、サファイア基板のオリフラ
面(サファイア A面)に平行であり、半導体層の設け
られていないサファイア基板面(第2の主面)をスクラ
イブすることで、ほとんど外力を加えずにウエハが分割
される(図1(b))。この時、エッチングにより露出
した半導体層側面19から分割位置(第2の主面に設け
るスクライブライン)までの距離We(図6参照)は5
0μmで分割し、分割面17に対向するエッチングによ
り形成された素子端面19をもう一方の共振器反射面と
し、共振器長約630μmのレーザ素子である。また、
その分割面17は、図10に分割後の様子を示すよう
に、異種基板及び下地層15の一部(図中でハッチング
を施した領域)において表面があれているが、レーザ素
子領域16、さらにその中でも光導波路領域において、
窒化ガリウムの劈開面であるM面にほぼ一致し、ほぼ鏡
面が形成され、これを共振器反射面とする。このように
して得られる共振器反射面は、レーザ素子構造中におい
て、窒化ガリウムの劈開面であるため、共振器として優
れたものとなる。また、スクライブだけではウエハが割
れない場合には、ブレーキングなどにより外力を加えて
共振器反射面を得る。
【0100】共振器反射面を形成した後、図1(b)に
示すようにBB方向に第2の主面をスクライブし、BB
で切断してレーザ素子チップを取り出し、図1(c)に
示すように、分割面17を出射面側とするレーザ素子チ
ップを得る。この時、切断位置BBは、露出された第1
の主面11の幅W1(図6参照)のほぼ真ん中で、共振
器方向にほぼ平行に異種基板を切断する。得られるレー
ザ素子は、室温で閾値電流密度2.5kA/cm2、閾値
電圧4.5Vで、発振波長405nmの連続発振が確認
され、出力5mWで1万時間以上の寿命を示す。
【0101】さらに、研磨工程において、第2の主面の
算術平均粗さを50Å、100Å、150Å、250
Å、300Å、350Åと変化させ、基板分割工程にお
いて、良好な共振器反射面ができる割合を調べた。その
結果は、図15に示すように、200Åで良品率がほぼ
ピークをむかえ、それよりも粗さが大きくなると急激に
良品率が低下し、小さくなると緩やかに低下する傾向が
わかる。
【0102】[実施例2]エッチング工程において、図
2(a)に示すように、半導体領域14の共振器方向に
おける対向する一対のエッチング端面間の距離が130
0μm、共振器方向の長さが1400μm、それに垂直
な方向が650μmで、半導体領域の占める割合が約
0.90である半導体領域14を、異種基板10の第1
の主面11上に複数形成することを除いて、実施例1と
同様にして、レーザ素子を得る。この時、基板分割工程
における分割位置AAは、半導体側面19からの距離W
eを650μmとし、半導体領域の共振器方向における
ほぼ半分のところで、異種基板10を分割し、さらに図
2(b)に示すように、切断面CCでもスクライブによ
り異種基板を切断する。この基板分割工程では、実施例
1に比べて安定性におとり、また窒化ガリウムの劈開面
が取り出されなかった半導体領域では、2つ分のレーザ
素子が不良品となるため、歩留まりも低下する。得られ
るレーザ素子は、実施例1とほぼ同等に、良好な発振を
示す。
【0103】[実施例3]エッチング工程において、図
3に示すように、共振器方向(図中の白抜き矢印)に平
行に幅W1(図6参照)が100μmの第1の主面11
を露出させて、それに垂直に半導体層13を分離する他
は、実施例1と同様にしてレーザ素子を得る。この時、
図3(a)に示すように、第1の主面11により離間し
て配置される半導体領域14は共振器方向に連続して、
複数の素子がつながって形成され、その半導体領域14
の幅は650μmであり、さらに、基板分割工程におい
て、図3(a)に示すように、分割位置AAは間隔65
0μmで分割し、図3(b)に示すようにバー状にウエ
ハを分割してさらにBBで切断して、素子チップを得
る。また、エッチング工程後の半導体領域が占める割合
は、分割位置AAの間隔が650μmであることから、
約0.87となる。
【0104】エッチング工程を終えた段階でウエハの反
りは共振器方向に偏っており、さらに共振器方向に半導
体層が離間されておらず分割時の半導体層にかかる衝撃
が大きくなり、基板分割工程における歩留まりが、実施
例1に比べて大きく低下し、また実施例2比べても低下
する。得られるレーザ素子は、基板分割により形成され
る共振器反射面の表面がわずかに平坦性に劣るため、実
施例1に比べて素子特性もわずかに劣るものである。
【0105】[実施例4]エッチング工程において、図
4に示すように共振器方向(図中の白抜き矢印)に垂直
な方向に幅W2(図6参照)が60μmの第1の主面1
1を露出させて、共振器方向に半導体層13を分離する
他は、実施例1と同様にしてレーザ素子を得る。この
時、図4(a)に示すように、第1の主面11により離
間して配置される半導体領域14は共振器方向に垂直な
方向に連続して、複数の素子がつながって形成され、そ
の半導体領域14の幅は750μmであり、半導体領域
が占める割合は、図4(a)での対向する一対のエッチ
ング端面19間が700μm、図4(b)での切断位置
BBの間が700μmであることから、約0.86であ
る。さらに、基板分割工程において、図4(a)に示す
ように、分割位置AAは間隔We(図6参照)が50μ
mとなる位置で分割し、図3(b)に示すようにバー状
にウエハを分割してさらにBBで切断して、素子チップ
を得る。
【0106】エッチング工程を終えた段階でウエハの反
りは共振器方向に偏っているが、共振器方向に半導体層
が離間されているため分割時の半導体層にかかる衝撃は
実施例1と同程度に吸収され、基板分割工程における歩
留まりが実施例1に比べてわずかに低下し、また実施例
2比べるとほぼ同等のものであり、実施例3に比べると
大きく向上している。得られるレーザ素子は、実施例1
とほぼ同等に、良好な発振を示す。
【0107】[実施例5]下地層として、窒化ガリウム
を15μmの膜厚で成長させた後、選択成長させずに素
子構造を形成する他は、実施例1と同様にして、レーザ
素子を得る。基板分割工程において、実施例1より下地
層の総膜厚が小さいものの、基板の分割は同等に良好な
ものであり、得られるレーザ素子の特性は成長基板の結
晶性に劣ることから、実施例1に比べて劣るものであっ
た。
【0108】さらに、選択成長層を図12(c)に示す
ように15μmの膜厚で成長させ、さらに図12(d)
に示すように、2番目の選択成長層13cを同じく15
μmの膜厚で形成し、研磨工程において異種基板の膜厚
を140μmとする他は、実施例1と同様にレーザ素子
を得る。このようにして得られるレーザ素子は、実施例
1に比べて、2段階で選択成長させた下地層を有するこ
とで良好な結晶性で素子構造が形成され、基板分割工程
においても厚膜の下地層を有することで、良好な基板分
割を実現することができる。
【0109】[実施例6]実施例1において、エッチン
グ工程において、露出させる第1の主面の幅(W 1
2)を、80μmとする他は、同様にしてレーザ素子
を得る。このことにより、エッチング工程後に半導体領
域の占める割合が、0.77となり、ウエハの反りは実
施例1に比べてわずかに改善が観られ、基板分割工程で
は実施例1とほぼ同等なレーザ素子端面が得られる。し
かし、ウエハ当たりのチップ数が減少するため、得られ
る良品のレーザ素子は減少する。さらに、露出させる第
1の主面の幅(W1,W2)を100μmと広くしたとこ
ろ、80μmの場合と同様な傾向にあり、研磨工程及び
基板分割工程において研磨・基板分割がわずかに向上す
る傾向にあるが、ウエハ当たりのチップ数がさらに減少
する。このことから、実施例1のように、共振器方向及
びそれに垂直な方向に離間して、配置された半導体領域
では、その離間された幅(W1,W2)が50μmを超え
るとどウエハの反り軽減効果が、鈍ることがわかる。逆
に幅(W1,W2)を、50μmより狭くす売ると、比較
的ウエハの反りに敏感なものとなり、幅を狭くしていく
と基板の反りは、基板分割に明らかな影響を及ぼすほど
に悪化する傾向にある。
【0110】[実施例7]実施例1において、研磨工程
時に異種基板の厚さを155μm、総膜厚約180μm
とする他は、同様にしてレーザ素子を得ると、基板分割
工程時においてウエハの反りは実施例1よりわずかに小
さいが、厚くなったことにより基板分割が困難になる傾
向にあり、基板分割工程での歩留まりはわずかに減少す
る傾向にある。さらに、異種基板の厚さを増やして総膜
厚200μmとしたところ、基板分割の安定性が実施例
1に比べて大きく劣り、半導体層における分割位置が大
きくばらつきはじめ、下地層の窒化ガリウム劈開面にほ
ぼ一致する共振器反射面を取り出すことが困難なものと
なる。この時、基板版分割工程において第2の主面をス
クライブせずに、ダイサーにより幅20μmの凹部をス
トライプ状に前記スクライブラインと同様に窒化ガリウ
ムの劈開性を考慮して設けた後、その凹部底面をスクラ
イブして異種基板を分割すると、上記スクライブによる
基板分割に比べて安定した分割が半導体層になされる傾
向にあるが、実施例1に比べると共振器反射面形成の安
定性に劣るものとなる。
【0111】[実施例8]実施例1において、異種基板
がA面を主面、オリフラ面をR面とするサファイア基板
を用いて、前記下地層となる選択成長層の形成時にR面
に対してほぼ垂直な方向にマスク領域のストライプ方向
をとる他は、同様にしてレーザ素子を得る。この時、基
板分割工程では、異種基板上に成長した下地層の窒化ガ
リウムは、M面がサファイアR面にわずかにずれて形成
されるため、サファイアR面(オリフラ面)で異種基板
を分割するか、そのズレに応じて、すなわち下地層の窒
化ガリウムのM面に沿って異種基板を分割するか、して
レーザ素子チップを得る。どちらの方法で基板を分割し
ても、実施例1に比べて、基板分割工程での分割面の制
御性に乏しく、歩留まりが低下する。しかし、レーザ素
子の素子特性に関してはその違いはわずかなものであ
る。
【0112】[実施例9]異種基板として、(111)
面を主面とするスピネルを用いる他は、実施例1と同様
にして、レーザ素子を得る。この時、選択成長層は上述
したように(110)面に対してほぼ垂直な方向をスト
ライプ方向としてマスク領域を形成して成長させ、基板
分割工程では、スピネルの面方位に関係なく下地層の窒
化ガリウムのM面で分割する。実施例1に比べて、基板
分割工程での分割面の制御性に乏しく、歩留まりが大き
く低下し、素子特性に関してはその違いはわずかなもの
である。
【0113】[実施例10]実施例1の研磨工程におい
て、算術平均粗さRaが約1000Åとなるようにする他
は、実施例1と同様にして、レーザ素子を得る。このと
き、サファイア基板の第2の主面のほぼ前面にブラスト
加工を施して、図16(b)に示すように、レーザ素子
構造を積層した時に上に凸な反りが発生していたもの
が、研磨工程を経ることで、図16(c)に示すよう
に、サファイア基板を下にして下に凸な反りへと反転さ
せることができる。このように、異種基板の上に半導体
層が形成された図16に示す断面図において下に凸な反
りを発生させることで、基板分割工程における第2の主
面側からの基板分割が容易になり、共振器反射面形成が
容易になり、良好な反射面の形成が可能となる。
【0114】[実施例11]実施例10において、研磨
工程の後、図17(b)に示すように、基板分割工程で
共振器反射面を形成するAA分割位置に、予めダイサー
により第1の溝部を形成し、その後、基板分割工程にお
いて、AA分割位置で基板を切断して、共振器反射面を
得る。このとき、第1の溝部は、図17(b)に示すよ
うに、研磨工程による凹凸のある表面が形成された研磨
層30が除去できる深さで形成することで、分割位置に
おける表面を平坦なものとし、研磨工程後の大きな凹凸
のある表面にスクライブすることを回避でき、良好な基
板分割が可能となる。また、第1の溝部の幅としては、
スクライバーなどの分割に用いる治具が第1の溝部の底
面に届くようにすればよい。ここで、基板分割工程で共
振器反射面を形成するAA分割の他に、チップ化するた
めの分割、例えば図1のBB分割、図17(b)に示す
CC分割に対応する第1の溝部を形成してもよい。この
ようにして、第1の溝部を設けて、基板分割工程を実施
することで、実施例10に比べて、確実な基板分割が可
能となり、共振器反射面の形成が容易になり、歩留まり
が向上する。
【0115】[実施例12]実施例10において、研磨
工程の前に、図18(a)に示すように、マスク領域に
レジスト膜を設けてマスクし、非マスク領域である研磨
領域33に部分的に研磨する他は、実施例10と同様に
して、レーザ素子を得る。このとき、基板分割工程で、
マスク領域内で基板分割される。このため、図17
(a)、図18(a)に示すように、共振器反射面が形
成されるAA分割位置において、表面に大きな凹凸のあ
る研磨領域33で形成された研磨層30aと異なり、研
磨されていないマスク領域32に設けられた表面30b
であるため、平坦な第2の主面でもって基板分割される
ことから、実施例10に比べて、研磨の影響を受けずに
良好なスクライブが可能となり、良好な共振器反射面の
形成が可能となる。また、実施例10に比べて、研磨領
域(面積)が減少し、反りの程度が異なるが、実施例1
0と同様に、下に凸な基板の反りが実現される。
【0116】[実施例13]実施例12において、図1
8(b)に示すように、基板分割工程のAA分割面にほ
ぼ平行なストライプ状にマスク領域32を形成する他
は、実施例12と同様にして、レーザ素子を得る。この
とき、AA分割が半導体領域側面からの距離W eが約5
0μmであることから、これを覆うように、50μm以
上のストライプ幅で形成する。このようにすることで、
共振器反射面を形成するAA分割位置は、マスク領域3
2で覆われて研磨されることがないため、平坦な表面で
スクライブすることが可能となり、実施例12と同様に
良好な共振器反射面の形成が可能となる。また、他の基
板分割においては、研磨領域で基板分割されるため、実
施例12よりも精度に劣る分割となるが、共振器反射面
の形成と異なり、特に高い精度での基板分割が必要でな
いため、レーザ素子の形成に影響がない。
【0117】[実施例14]
【0118】実施例12において、まずマスクを形成す
る前に、第1の研磨工程として実施例1と同様に算術平
均粗さRaが200Åで研磨し、次に実施例11と同様
に、マスクを施して研磨する(第2の研磨工程)他は、
実施例11と同様にして、レーザ素子を得る。ここで、
実施例11と異なり、マスク領域32にはRa=200Å
の研磨層30bが形成され、非マスク領域にはRa=10
00Åの研磨層30aが形成される。このことにより、
基板分割工程によるAA分割による共振器反射面の形成
が、実施例12に比べて悪くなるが、その影響は小さ
く、また実施例10よりも良好な基板分割が可能で、さ
らに、基板の反りに関して、実施例12より大きな反り
が実現でき、基板分割に好適に作用する。
【0119】[比較例1]実施例1と同様にして、レー
ザ素子構造を積層し、正・負電極を形成した後、図5
(b)の状態で、対向する一対のエッチング端面19を
共振器反射面とし、それよりも外側で、基板を分割する
ことにより、レーザ素子チップを取り出す。得られるレ
ーザ素子は、共振器長630μmで、共振器反射面の出
射面、反射面側ともエッチング端面であり、閾値が実施
例1に比べて高く、素子特性に劣るものであった。
【0120】
【発明の効果】本発明の製造方法により、窒化物半導体
を用いたレーザ素子に窒化ガリウムの劈開による共振器
反射面を形成することができ、エッチング端面を用いる
場合に比べて良好な共振器をレーザ素子に設けることが
可能となる。さらに、本発明の製造方法では、従来問題
であった異種基板を用いることによる基板の反りを各工
程ごとに緩和しているため、反りの緩和されたウエハを
扱うことで製造上有利なものとなる。
【0121】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のレーザ素子の製造方法を説明する模式
図。
【図2】本発明のレーザ素子の製造方法の1実施形態を
説明する模式図。
【図3】本発明のレーザ素子の製造方法の1実施形態を
説明する模式図。
【図4】本発明のレーザ素子の製造方法の1実施形態を
説明する模式図。
【図5】本発明のレーザ素子の製造方法を説明する模式
図。
【図6】本発明のレーザ素子の製造方法を説明する模式
図。
【図7】本発明のレーザ素子の製造方法を説明する模式
図。
【図8】本発明の製造方法に係る半導体層若しくは異種
基板の面方位を説明する模式図。
【図9】本発明の製造方法に係る面指数の対照表を示す
図。
【図10】本発明のレーザ素子の製造方法を説明する模
式図。
【図11】本発明のレーザ素子の製造方法を説明する模
式図。
【図12】本発明の製造方法に係る下地層を説明する模
式図。
【図13】本発明の1実施例に係るレーザ素子の製造方
法を説明する模式図。
【図14】本発明の1実施例に係るレーザ素子の積層構
造を説明する断面模式図。
【図15】本発明の研磨工程における表面粗さと歩留ま
りの関係を示す図。
【図16】本発明の製造方法を説明する断面模式図。
【図17】本発明の製造方法を説明する断面模式図。
【図18】本発明の製造方法を説明する模式図。
【符号の説明】
10・・・・異種基板 11・・・・第1の主面 12・・・・第2の主面 13・・・・半導体層 14・・・・半導体領域 15・・・・下地層 16・・・・素子構造 17・・・・分割面 18・・・・保護膜 19・・・・エッチング端面 20・・・・p電極 21・・・・n電極 22・・・・pパッド電極 23・・・・nパッド電極 30・・・・研磨層 31・・・・第1の溝部 32・・・・マスク領域 33・・・・研磨領域 61・・・・第1の保護膜 62・・・・第2の保護膜 63・・・・フォトレジスト膜 64・・・・絶縁性保護膜

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】窒化物半導体と異なる材料よりなると共
    に、第1の主面と第2の主面とを有する異種基板の第1
    の主面上に半導体層として、窒化ガリウムからなる下地
    層と、該下地層の上に、活性層をn側クラッド層とp側
    クラッド層とで挟み込むレーザ素子構造と、を形成する
    積層工程と、該積層工程の後、該半導体層の一部をエッ
    チングにより除去して、前記第1の主面を露出させるエ
    ッチング工程と、エッチング工程の後、異種基板を分割
    することにより該エッチング工程により露出した半導体
    層側面とは異なる位置に、共振器反射面を形成する基板
    分割工程と、を具備してなることを特徴とするレーザ素
    子の製造方法。
  2. 【請求項2】前記基板分割工程において、半導体層に形
    成される共振器反射面が、前記窒化ガリウムの劈開面に
    ほぼ一致することを特徴とする請求項1記載のレーザ素
    子の製造方法。
  3. 【請求項3】前記エッチング工程において、第1の主面
    上の前記半導体層が、露出した第1の主面により、少な
    くとも共振器方向に離間して配置していることを特徴と
    する請求項1又は2記載のレーザ素子の製造方法。
  4. 【請求項4】前記エッチング工程において、前記共振器
    方向における半導体層の離間した距離が、10μm以上
    であることを特徴とする請求項3記載のレーザ素子の製
    造方法。
  5. 【請求項5】前記エッチング工程において、前記異種基
    板上の半導体層が、露出された第1の主面により共振器
    方向及び共振器方向に垂直な方向とも離間された半導体
    領域を、第1の主面上に複数配置することを特徴とする
    請求項1乃至4のいずれか一項に記載のレーザ素子の製
    造方法。
  6. 【請求項6】前記第1の主面に占める前記半導体領域の
    割合(半導体領域の面積の総和/第1の主面の面積)
    が、95%以下であることを特徴とする請求項5記載の
    レーザ素子の製造方法。
  7. 【請求項7】前記基板分割工程において、異種基板を分
    割する前に、異種基板の第2の主面を研磨して異種基板
    を薄くする研磨工程を具備することを特徴とする請求項
    1乃至6のいずれか一項に記載のレーザ素子の製造方
    法。
  8. 【請求項8】前記研磨工程において、異種基板の厚さ
    と、半導体層の膜厚との総和が、140μm以上180
    μm以下の範囲であることを特徴とする請求項7記載の
    レーザ素子の製造方法。
  9. 【請求項9】前記研磨工程により研磨された第2の主面
    が、JISB0601において粗さ曲線のカットオフ値
    80μm、基準長さ50μmの条件での算術平均粗さ
    が、150Å以上300Å以下となる凹凸を有すること
    を特徴とする請求項7又は8記載のレーザ素子の製造方
    法。
  10. 【請求項10】前記エッチング工程において、エッチン
    グにより露出された半導体層側面を共振器反射面とする
    ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載
    のレーザ素子の製造方法。
  11. 【請求項11】前記レーザ素子構造が、n型窒化物半導
    体を有するn側クラッド層と、p型窒化物半導体を有す
    るp側クラッド層と、少なくともInを含む窒化物半導
    体を有する活性層と、で構成されていることを特徴とす
    る請求項1乃至10のいずれか一項に記載のレーザ素子
    の製造方法。
  12. 【請求項12】前記異種基板が、C面を第1の主面とす
    るサファイア基板であり、前記窒化ガリウムの劈開面が
    窒化ガリウムのM面であることを特徴とする請求項1乃
    至11のいずれか一項に記載のレーザ素子の製造方法。
  13. 【請求項13】窒化物半導体と異なる材料よりなると共
    に、第1の主面と第2の主面とを有する異種基板の第1
    の主面上に、半導体層として窒化物半導体が積層されて
    素子構造が設けられてなる窒化物半導体素子の製造方法
    において、前記第1の主面に窒化物半導体を積層して素
    子構造を形成する積層工程、該積層工程により異種基板
    とその上に半導体層が設けられた断面において、上に凸
    な反りを基板に形成し、その後、前記第2の主面を研磨
    する研磨工程により、下に凸な反りを形成し、前記第2
    の主面側から基板を分割する基板分割工程と、を具備し
    てなることを特徴とする窒化物半導体素子の製造方法。
  14. 【請求項14】前記積層工程において、窒化物半導体を
    積層することにより、下に凸な反りを形成した後、前記
    上に凸な反りを形成することを特徴とする請求項13記
    載の窒化物半導体素子の製造方法。
  15. 【請求項15】前記分割工程より前に、前記第2の主面
    に分割される位置に第1の溝部を設けて、分割工程にお
    いて、該第1の溝部で基板を分割することを特徴とする
    請求項13又は14記載の窒化物半導体素子の製造方
    法。
  16. 【請求項16】前記研磨工程において、前記分割工程で
    分割される領域を覆うように、マスクを形成して、非マ
    スク領域を研磨することを特徴とする請求項13又は1
    4記載の窒化物半導体素子の製造方法。
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