JP2001206774A - 窒化珪素質焼結体 - Google Patents

窒化珪素質焼結体

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JP2001206774A JP2000017943A JP2000017943A JP2001206774A JP 2001206774 A JP2001206774 A JP 2001206774A JP 2000017943 A JP2000017943 A JP 2000017943A JP 2000017943 A JP2000017943 A JP 2000017943A JP 2001206774 A JP2001206774 A JP 2001206774A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】常温から1000℃までの強度、静的疲労特
性、耐酸化性および耐摩耗性に優れた窒化珪素質焼結体
を提供する。 【解決手段】窒化珪素を主結晶相とし、その粒界相に、
RE2Si325および/またはRE3AlSi272
(ただし、REは周期律表第3a族元素のうちの1種以
上)で表される結晶相と、W、Mo、Cu、Mn、Fe
およびNbのうち少なくとも1種の窒化物、炭化物およ
び珪化物から選ばれる少なくとも1種の結晶相とを含む
ことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガスタービンエン
ジン用部品、自動車用部品、工具用部品あるいはその他
の耐摩耗性を要する構造用部品に好適な窒化珪素質焼結
体に関するものである。
【0002】
【従来技術】窒化珪素質焼結体は、従来から高強度を有
するとともに、耐熱性、耐熱衝撃性、耐酸化性に優れた
材料として注目され、エンジニアリングセラミックス、
特にガスタービンエンジン用部品や自動車用部品などの
熱機関用部品、さらには耐摩耗性を必要とする工具用部
品や砂利粉砕機等の一般産業用部品として応用が進めら
れている。
【0003】特に、近年、直噴型のエンジンの出現によ
り高圧タイプの燃料噴射機が必要となり、本噴射機に窒
化珪素を用いる例が見られる。しかし、これは高圧での
摺動部品であり、窒化珪素質焼結体は、高温でも高強度
を有するものの、それ自体では耐摩耗性が実用的には不
十分であり、耐摩耗性と高温強度とを兼ね備えるととも
に、高温での負荷が加わるため静的疲労特性と耐酸化性
に優れた材料が要望されていた。
【0004】ところで、窒化珪素質焼結体は、主体とな
る窒化珪素自体が難焼結材であることから、希土類酸化
物や酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等の焼結助剤
を配合して焼結させることにより高密度化、高強度化が
図られている。
【0005】すなわち、一般に窒化珪素質焼結体は、窒
化珪素粉末に対して、上記焼結助剤を添加した混合粉末
を所定形状に成形した後、非酸化性雰囲気中において1
600〜2000℃の温度で焼成される。その場合、常
圧窒素中では1800℃より高い温度では窒化珪素が分
解することから、通常、加圧した窒素雰囲気中で窒化珪
素の分解を抑制しながら焼成することによって、高温で
の焼成を実現し、高温強度の優れた焼結体を得ることが
できる。また、窒化珪素粒子の粒界に存在する焼結助剤
成分を結晶化させて粒界の耐熱性を高めることによっ
て、高温強度に優れた焼結体が得られている。
【0006】一方、耐摩耗性を改善するために、金属珪
化物を窒化珪素質焼結体に含有させることが提案されて
いる。例えば、特公平6−62339号公報には、N
b、Ta、Cr、MoおよびWの中から1種以上を含ま
せることにより、焼成中にNb、Ta、Cr、Moまた
はWの珪化物を形成させ、耐摩耗性を向上することが記
載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、焼結助
剤として希土類酸化物や酸化アルミニウム、酸化マグネ
シウム等を用いると、焼結助剤の融点が低いため、低温
での焼成が可能となり、窒化珪素粒子の粒成長を抑制で
きる。その結果、常温における強度向上が可能となる
が、焼結助剤の融点が低いため焼結体中の粒界相が低温
から軟化し、高温強度が低下するという問題があった。
【0008】また、加圧焼結により高温で焼成した焼結
体は、高温強度の向上は可能であるが、窒化珪素粒子の
粒成長の制御が困難であるため、常温強度の低下を防げ
ず、また、硬度も低下するという問題があった。
【0009】さらに、粒界相を結晶化した焼結体は、高
温における粒界相の軟化を抑制できるため、粒界相の軟
化が原因となるクリープ変形やクリープ破壊を発生しな
いが、変形を伴わないサブクリティカルクラックグロー
ス(以下、単にSCGという。)による静的疲労を起こ
し、高温時における応力破断時間が短縮するという問題
があった。また、結晶化した粒界相によっては、耐酸化
性が悪いために、粒界相が優先的に酸化され、高温酸化
雰囲気中で酸化が進み、特性が劣化するという問題点が
あった。
【0010】一方、特公平6−62339号公報に記載
されている珪化物を含有させた窒化珪素質焼結体は、耐
摩耗性は優れているものの、静的疲労特性が十分ではな
く、また、加圧焼結しているために、常温強度が十分で
ないという問題があった。
【0011】従って、本発明は、常温から1000℃ま
での強度、静的疲労特性、耐酸化性および耐摩耗性に優
れた窒化珪素質焼結体を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、窒化珪素を主
成分とする窒化珪素質焼結体の機械的特性が、粒界結晶
相によって決定されるとの知見に基づくものであり、窒
化珪素を主結晶相とし、その粒界相に特定の結晶を形成
させることにより、常温から1000℃までの強度、高
温での静的疲労特性、耐酸化性および耐摩耗性を改善す
るものである。
【0013】即ち、本発明の窒化珪素質焼結体は、窒化
珪素を主結晶相とし、その粒界相に、RE2Si325
および/またはRE3AlSi272(REは周期律表
第3a族元素のうちの1種以上)で表される結晶相と、
W、Mo、Cu、Mn、FeおよびNbのうち少なくと
も1種の窒化物、炭化物および珪化物から選ばれる少な
くとも1種の結晶相とを含むことを特徴とするものであ
る。
【0014】RE2Si325および/またはRE3
lSi272(REは周期律表第3a族元素のうちの
1種以上)は、高温でも安定で、耐酸化性に優れている
ため、高温での強度を高める効果があり、かつ、W、M
o、Cu、Mn、FeおよびNbから選ばれる少なくと
も1種の窒化物、炭化物、珪化物から選ばれる少なくと
も1種の結晶相と共存することによって、静的疲労特性
および耐摩耗性に優れた窒化珪素質焼結体を提供するこ
とができる。
【0015】特に、周期律表第3a族元素が酸化物換算
で2〜10重量%、アルミニウムが酸化物換算で2〜5
重量%、過剰酸素が二酸化珪素換算で0.5〜5重量
%、残部が窒化珪素からなる組成物100重量部に対し
て、W、Mo、Cu、Mn、FeおよびNbのうち少な
くとも1種を酸化物換算で0.5〜5重量部の割合で含
有することが好ましい。この組成により、RE2Si3
25および/またはRE 3AlSi272結晶相が発現
しやすく、その結果、耐酸化性、高温強度、静的疲労特
性がさらに優れるとともに、W、Mo、Cu、Mn、F
eおよびNbのうち少なくとも1種の窒化物、炭化物、
珪化物などが形成し、十分な耐摩耗性を提供できる。
【0016】また、X線回折において、Si34(20
0)のピーク強度に対するRE2Si325(211)
および/またはRE3AlSi272(102)(RE
は周期律表第3a族元素のうちの1種以上)のピーク強
度比が0.01以上であることが好ましく、これによ
り、耐酸化性と静的疲労特性に優れた窒化珪素質焼結体
を安定して得ることができる。
【0017】さらに、W、Mo、Cu、Mn、Feおよ
びNbから選ばれる少なくとも1種の窒化物、炭化物、
珪化物からなる結晶粒子の平均粒径が3μm以下である
ことが好ましく、さらに耐摩耗性と強度を高めることが
できる。
【0018】さらにまた、窒化珪素質焼結体の相対密度
が99%以上であることが好ましく、これにより強度と
耐酸化性を高めることができる。
【0019】また、Al2RE49(REは周期律表第
3a族元素のうちの少なくとも1種)で表される結晶相
を粒界相に含むことが好ましい。これにより、耐酸化性
をさらに向上することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の窒化珪素質焼結体では、
窒化珪素からなる主結晶相の粒界に、RE2Si325
および/またはRE3AlSi272(REは周期律表
第3a族元素のうちの1種以上)と、W、Mo、Cu、
Mn、FeおよびNbから選ばれる1種以上の窒化物、
炭化物および珪化物から選ばれる1種以上の結晶相とを
存在せしめることによって、強度、静的疲労特性、耐酸
化性および耐摩耗性に優れた窒化珪素質焼結体を実現す
るものである。
【0021】すなわち、RE2Si325および/また
はRE3AlSi272(REは周期律表第3a族元素
のうちの1種以上)の粒界結晶相は、従来の窒化珪素質
焼結体の粒界結晶相であるメリライト(RE23・Si
34)やウォラストナイト(RESi2N)等(REは
周期律表第3a族元素のうちの1種以上)に比較して、
熱的・化学的に安定であるため粒界相が優先的に酸化さ
れず、その結果強度低下を抑制できる。したがって、上
記の粒界結晶相は、焼結体の耐酸化性を改善し、室温か
ら1000℃までの強度を優れたものとしている。
【0022】特に、X線回折において、Si34(20
0)のピーク強度に対するRE2Si325(211)
および/またはRE3AlSi272(102)(RE
は周期律表第3a族元素のうちの1種以上)のピーク強
度比が0.01以上、特に0.1以上、さらに好適には
0.2以上であると、これらの結晶の添加効果が顕著に
なり、耐酸化性と静的疲労特性に優れた窒化珪素質焼結
体が得られる。
【0023】なお、X線回折は、理学電気製のX線回折
装置を用いて、管球Cu、管電圧50kV、管電流20
0mA、縦型ゴニオメータ2軸、ステップ幅0.02
°、係数時間0.05secの条件でステップスキャン
にて測定し、バックグラウンドを最大高さから差し引い
た値をピーク高さとした。
【0024】また、RE2Si325(211)、RE
3AlSi272(102)(REは周期律表第3a族
元素のうちの1種以上)の面間隔は、それぞれ2.77
7Å、2.783Åと近く、ピークは2θが36°付近
に現れるが、重なって一つのピークとなることがある。
しかし、この重なったピークがSi34(200)との
ピークに対して1%以上あれば問題はないため、実際は
1つのピークのみを使用してピーク比を算出することと
した。
【0025】さらに、本発明の窒化珪素質焼結体は、
W、Mo、Cu、Mn、FeおよびNbから選ばれる1
種以上の窒化物、炭化物、珪化物などの結晶粒子を含
む。これらの結晶粒子は、硬質粒子として知られてお
り、焼結体中に分散させることにより、硬度を高めて耐
摩耗性を改善することができる。これらの硬質粒子の中
で、特にWSi2、Cu2Si、FeSi2およびNbC
が好ましい。
【0026】特に、上記の結晶粒子の平均粒径が3μm
以下、特に1μm以下であると、硬質粒子の分散により
耐摩耗性をさらに高めるとともに、粒子分散により強度
をさらに向上させることができる。
【0027】また、RE2Si325および/またはR
3AlSi272(REは周期律表第3a族元素のう
ちの1種以上)の結晶相と、W、Mo、Cu、Mn、F
e、Nbから選ばれる1種以上の窒化物、炭化物、珪化
物から選ばれる1種以上の結晶相とを共存させることに
より、静的疲労特性の劣化の一因であるSCGの原因と
なるキャビティの発生が抑制される。したがって、静的
疲労特性の改善が期待できる。
【0028】また、Al2RE49(REは周期律表第
3a族元素のうちの少なくとも1種)で表される結晶相
が粒界相に含まれることが好ましい。この結晶相は、窒
素を含有しないため、RE2Si325および/または
RE3AlSi272(REは周期律表第3a族元素の
うちの1種以上)結晶相に比べて耐酸化性に優れるた
め、焼結体の耐酸化性をさらに向上することができる。
【0029】さらに、窒化珪素質焼結体の相対密度が9
9%以上、特に好ましくは99.5%以上であると焼結
体中の気孔を低減できるため、高温強度をさらに高める
ことができるとともに、表面積が低減するため、耐酸化
性を高めることができる。
【0030】本発明の窒化珪素質焼結体は、窒化珪素か
らなる主成分に対し、副成分として、周期律表第3a族
元素を酸化物換算で2〜10重量%、アルミニウムを酸
化物換算で2〜5重量%、過剰酸素を二酸化珪素換算で
0.5〜5重量%の割合で含有されることが好適で、組
成を上記の範囲内にすることにより、焼成過程で液相が
十分に発生し、緻密体を得やすくなるとともに、高温焼
成が不要となり、窒化珪素の粒成長を抑制して、常温強
度を高める効果がある。また、焼結体中の粒界相の分率
が適正化され、高温強度を高める効果がある。
【0031】本発明に用いられる周期律表第3a族元素
としては、Y、Ce、Er、Yb、Lu、Sm等が挙げ
られるが、特に有意差は認められないが、安価に入手で
きる点でYが好ましい。周期律表第3a族元素は、酸化
物換算で2〜10重量%、特に4〜8重量%であること
が望ましい。RE(周期律表第3a族元素)量が上記の
範囲内にあると、粒界結晶相としてメリライト(RE2
3・Si34)や、ウォラストナイト(RESi2N)
等(REは周期律表第3a族元素のうちの1種以上)の
耐酸化性に劣った結晶相を避けることができ、RE2
325および/またはRE3AlSi272結晶相
(REは周期律表第3a族元素のうちの1種以上)を形
成しやすくすることができる。
【0032】また、アルミニウムの酸化物換算による含
有量が、2〜5重量%、特に2.5〜4重量%の範囲内
にあると、粒界相の結晶化が容易になり、低温での焼結
性を高める効果がある。
【0033】さらに、W、Mo、Cu、Mn、Feおよ
びNbから選ばれる1種以上は、周期律表第3a族元素
が酸化物換算で2〜10重量%、アルミニウムが酸化物
換算で2〜5重量%、過剰酸素が二酸化珪素換算で0.
5〜5重量%、残部が窒化珪素からなる組成物100重
量部に対して、酸化物換算で0.5〜5重量部含有する
ことが望ましく、0.6〜3重量部の割合で含有するこ
とがさらに好適である。
【0034】これらの成分は、焼結体の緻密化を阻害せ
ず、耐摩耗性を向上し、静的疲労特性を改善する効果が
ある。なお、タングステンの酸化物はWO3、モリブデ
ンの酸化物はMoO3、銅の酸化物はCu2O、マンガン
の酸化物はMnO2、鉄の酸化物はFe23、ニオブの
酸化物はNb25として扱う。
【0035】さらに、本発明の窒化珪素質焼結体は、過
剰酸素を含むものである。この過剰酸素量が過剰酸素を
二酸化珪素換算で0.5〜5重量%、特に1.5〜3.
5重量%の範囲内にあると、周期律表第3a元素のダイ
シリケートやモノシリケート等の結晶相の析出を抑制
し、非晶質膜が粒界に形成するのを防ぐため、高温強度
や静的疲労特性の劣化を防止できる。
【0036】なお、過剰酸素とは、焼結体中の全酸素量
から焼結体中のRE(周期律表第3a族元素)酸化物
(ただし、RE23で換算する)及びAl、W、Mo、
Cu、Mn、Fe、Nbから選ばれる1種以上が化学量
論的に形成した酸化物に用いられる酸素を除いた残りの
酸素をいい、その殆ど全てが窒化珪素原料に含有される
酸素、または焼結助剤として添加する二酸化珪素として
混入するものである。したがって、本発明の過剰酸素は
全て二酸化珪素(SiO2)で存在すると仮定する。
【0037】なお、本発明の窒化珪素質焼結体におい
て、RE2Si325、RE3AlSi272、Al2
RE49(REは周期律表第3a族元素のうちの1種以
上)や、W、Mo、Cu、Mn、FeおよびNbから選
ばれる少なくとも1種の窒化物、炭化物、珪化物などの
粒界結晶相は、上記の結晶が形成されている限り、その
結晶粒子内に他元素を固溶していても、何ら差し支えな
い。
【0038】次に、本発明にかかる窒化珪素質焼結体を
製造するための方法について説明する。まず、出発原料
として窒化珪素(Si34)粉末、周期律表第3a族元
素酸化物(RE23)粉末、酸化アルミニウム(Al2
3)粉末、酸化タングステン(WO3)粉末、酸化モリ
ブデン(MoO3)粉末、酸化銅粉末(Cu2O)、酸化
マンガン粉末(MnO2)、酸化鉄粉末(Fe23)、
酸化ニオブ粉末(Nb25)から選ばれる1種以上、所
望により酸化珪素(SiO2)の粉末を用意し、これら
を前述したような比率で調製する。
【0039】なお、これらの酸化物は、上記以外の化学
式で表される酸化物を用いてもかまわないが、組成は上
記の化学式で算出するものとする。例えば、CeO2
末を用いることができる。ただし、添加量は化学式Ce
23で算出する必要がある。
【0040】なお、酸化珪素成分としては、窒化珪素粉
末中に不可避的に含まれる不純物酸素が用いられるが、
この不純物酸素が少ない原料を用いる場合には、上記組
成に対してさらにSiO2粉末を添加すれば良く、この
時の過剰酸素(SiO2)量は、窒化珪素に含まれてい
る酸素をSiO2に換算した量と添加したSiO2粉末と
の合計量である。
【0041】そして、上記のように所定の割合で調製し
た混合粉末を、公知の成形手段、例えば金型プレス成
形、鋳込み成形、押出成形、射出成形、冷間静水圧プレ
ス成形等により任意の形状に成形する。しかる後、得ら
れた成形体を公知の焼成手段、例えば常圧焼成法、窒素
ガス圧焼成法等により1650〜1800℃非酸化性雰
囲気中で焼成して相対密度99%以上に緻密化する。
【0042】ここで、上記焼成温度を限定した理由は、
焼成温度が1650℃より低いと十分な緻密体が得られ
ず、1800℃を越えると窒化珪素粒子の粒成長が著し
くなり常温強度の向上が困難であるためである。
【0043】なお、相対密度95%程度の窒化珪素質焼
結体に対して、窒素またはアルゴンガスによって100
0気圧以上の高圧下で熱処理する、いわゆる熱間静水圧
焼成(HIP)を施し、緻密化することもできる。
【0044】次に得られた焼結体を800℃〜1300
℃で熱処理することにより粒界相の一部を結晶化させる
ことが望ましい。処理温度が800℃より低いと粒界相
の結晶化が難しく、1300℃を越えると、窒化珪素質
焼結体中の粒界相が他の結晶相に結晶化してしまう傾向
があるためである。
【0045】特に、結晶化処理にあたっては、粒界相中
にRE2Si325および/またはRE3AlSi27
2(REは周期律表第3a族元素のうちの1種以上)
で表される結晶相およびAl2RE49(REは周期律
表第3a族元素のうちの1種以上)を析出させる上で
は、900℃〜1000℃で核生成を促し、1100℃
〜1200℃で核生成させるという多段の熱処理をする
ことが望ましい。熱処理時の雰囲気は大気中等の酸化雰
囲気や窒素、アルゴン等の非酸化性雰囲気のいずれでも
構わない。
【0046】本発明の窒化珪素質焼結体は、使用温度が
800℃〜1000℃の耐熱部材として有用であり、特
にガスタービン用部品、自動車用高温部品などに好適に
使用されるものである。
【0047】
【実施例】出発原料として窒化珪素粉末(BET比表面
積9m2/g、α率92%、酸素量1.0重量%)と、
各種の周期律表第3a族元素酸化物(REO2またはR
23)、酸化アルミニウム(Al23)、酸化タング
ステン(WO3)、酸化モリブデン(MoO3)、酸化銅
(Cu2OまたはCuO)、酸化マンガン(MnO2)、
酸化鉄(Fe23)、酸化ニオブ(Nb25)、二酸化
珪素(SiO2)の粉末を用い、焼結体中における組成
が表1および表2に示す割合となるように調合し、溶媒
とともに窒化珪素ボールにて混合粉砕した後、スプレー
ドライヤーで乾燥造粒して顆粒を製作し、該顆粒を金型
に充填して100MPaの圧力で金型プレス成形するこ
とにより成形体を作製した。
【0048】そして、得られた成形体を炭化珪素質のこ
う鉢に入れて、カーボンヒーターを用い、常圧窒素雰囲
気中にて1750℃の温度まで昇温し、この温度にて5
時間保持した後炉冷し、窒化珪素質焼結体を製作した。
さらに、得られた焼結体は、多段加熱を行うため、まず
800℃で3時間熱処理した後、試料No.1〜38お
よび41〜45を1000℃、試料No.39を600
℃、試料No.40を1400℃でそれぞれ10時間保
持し、熱処理を行った。
【0049】そして、得られた窒化珪素質焼結体の主結
晶相及び粒界を構成する結晶相について、X線回折によ
り分析するとともに、JISR1601の形状に加工し
て試験片を作製し、これらの試料を用いて、JISR1
601に基づく室温及び1000℃での4点曲げ強度、
静的疲労特性、耐酸化性の測定を行った。
【0050】また、静的疲労特性は1000℃の大気中
で曲げ試験で行い、700MPaの一定応力を負荷した
ときの破断時間(応力破断時間)で評価した。また、耐
酸化性は1000℃で1000時間の大気中での暴露試
験によるによる重量増加量で評価した。結果を表1およ
び表2に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】ここで、表1、表2において、組成のSN
は窒化珪素を表し、RE23は周期律表第3a族元素の
酸化物を表す。また、粒界結晶相として、X、Y、Z
は、それぞれRE2Si325、RE3AlSi2
72、Al2RE49を表し、Aはアパタイト、Wはウ
ォラストナイト、Mはメリライト、Dはダイシリケート
を表す。また、Gは粒界相が結晶化しておらず非晶質で
あることを表す。さらに、α割合とは、RE2Si32
5(211)および/またはRE3AlSi27
2(102)(REは周期律表第3a族元素のうちの1
種以上)のSi34(200)に対するピーク比を示
し、β粒径とは、W、Mo、Cu、Mn、Fe、Nbの
うち少なくとも1種の窒化物、炭化物、珪化物から選ば
れる少なくとも1種の結晶粒子の粒径を示している。
【0054】本発明の試料No.1〜23、25〜38
は常温強度が1000MPa以上、1000℃の高温強
度が800MPa以上、静的疲労特性において応力破断
時間が50時間以上、耐酸化性の重量増加量が0.2m
g/cm2以下、耐摩耗試験における摩耗体積が15m
3以下であった。
【0055】一方、W、Mo、Cu、Mn、Feおよび
Nbのうち少なくとも1種の酸化物含有量が0重量%と
本発明の範囲外の試料No.24は、常温強度が109
0MPa、1000℃の高温強度が890MPa、静的
疲労特性において応力破断時間が100時間以上、耐酸
化性の重量増加量が0.15mg/cm2であったが、
耐摩耗試験における摩耗体積が21mm3と大きかっ
た。
【0056】また、粒界相にRE2Si325および/
またはRE3AlSi272のない本発明の範囲外の試
料No.39〜45は、いずれも静的疲労特性が30時
間以下と短かかった。
【0057】
【発明の効果】本発明の窒化珪素質焼結体は、窒化珪素
からなる主結晶相の粒界相に特定の結晶相を析出させる
ことにより、常温から1000℃までの強度、静的疲労
特性、耐酸化性および耐酸化性に優れた窒化珪素質焼結
体を作製することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G001 BA01 BA03 BA04 BA08 BA12 BA32 BA73 BB21 BB24 BB31 BB32 BB37 BB48 BB49 BB51 BC12 BC57 BD11 BD12 BD14 BD15 BD18 BD37 BE22 BE26 BE33

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】窒化珪素を主結晶相とし、その粒界相に、
    RE2Si325および/またはRE3AlSi272
    (REは周期律表第3a族元素のうちの1種以上)で表
    される結晶相と、W、Mo、Cu、Mn、FeおよびN
    bのうち少なくとも1種の窒化物、炭化物および珪化物
    から選ばれる少なくとも1種の結晶相とを含むことを特
    徴とする窒化珪素質焼結体。
  2. 【請求項2】周期律表第3a族元素が酸化物換算で2〜
    10重量%、アルミニウムが酸化物換算で2〜5重量
    %、過剰酸素が二酸化珪素換算で0.5〜5重量%、残
    部が窒化珪素からなる組成物100重量部に対して、
    W、Mo、Cu、Mn、FeおよびNbのうち少なくと
    も1種を酸化物換算で0.5〜5重量部の割合で含有す
    ることを特徴とする請求項1記載の窒化珪素質焼結体。
  3. 【請求項3】X線回折において、Si34(200)の
    ピーク強度に対するRE2Si325(211)および
    /またはRE3AlSi272(102)(REは周期
    律表第3a族元素のうちの1種以上)のピーク強度比が
    0.01以上であることを特徴とする請求項1または2
    記載の窒化珪素質焼結体。
  4. 【請求項4】W、Mo、Cu、Mn、FeおよびNbか
    ら選ばれる少なくとも1種の窒化物、炭化物、珪化物か
    らなる結晶粒子の平均粒径が3μm以下であることを特
    徴とする請求項1乃至3記載の窒化珪素質焼結体。
  5. 【請求項5】相対密度が99%以上であることを特徴と
    する請求項1乃至4のうちいずれかに記載の窒化珪素質
    焼結体。
  6. 【請求項6】さらにAl2RE49(REは周期律表第
    3a族元素のうちの少なくとも1種)で表される結晶相
    を粒界相に含むことを特徴とする請求項1乃至5のうち
    いずれかに記載の窒化珪素質焼結体。
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