JP2001204478A - 新規蛋白質およびその用途 - Google Patents

新規蛋白質およびその用途

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JP2001204478A
JP2001204478A JP2000333544A JP2000333544A JP2001204478A JP 2001204478 A JP2001204478 A JP 2001204478A JP 2000333544 A JP2000333544 A JP 2000333544A JP 2000333544 A JP2000333544 A JP 2000333544A JP 2001204478 A JP2001204478 A JP 2001204478A
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Hiroshi Sugino
弘 杉野
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Takeda Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【解決手段】マウス由来の特定のアミノ酸配列を有する
新規蛋白質、該蛋白質遺伝子を含むDNA、該蛋白質の
製造法、及び該DNA並びに該蛋白質の用途の提供。 【効果】本発明の蛋白質に対する結合蛋白質の決定、
抗体及び血清の入手、組換え型蛋白質の発現系の構
築、発現系を用いた結合アッセイ系及びtwo−hy
brid法を用いたアッセイ系の開発と医薬品侯補化合
物のスクリーニング、構造的に類似したリガンド・レ
セプターとの比較に基づいたドラッグデザインの実施、
遺伝子診断におけるプローブ、PCRプライマーの作
成等における試薬として用いることができ、又、遺伝
子治療等の薬物として用いることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定のアミノ酸配
列を有する新規蛋白質、該蛋白質をコードするDNA領
域を含有するDNA、該蛋白質の製造方法および該蛋白
質ならびにDNAの用途に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、多数の生理活性物質が単離・同定
され、その機能が解明されつつある。そのなかには、種
々の臓器あるいは細胞で多様な活性を示すものもあるこ
とが知られている。種々の臓器あるいは細胞における多
様な生理活性は、通常、該生理活性物質が結合する受容
体を介して具現化しているが、その受容体に結合する生
理活性物質の組み合わせがすべての臓器・細胞において
同一なのか、あるいは各臓器・細胞に特異的なのかは、
解明されていない例が多い。生理活性蛋白質の中にはP
DZドメインを持つものがあり、そのPDZドメインは
比較的最近見いだされた蛋白質結合ドメインモジュール
である。そのため、PDZドメインを持つ蛋白質の生体
内での分布、機能、制御機構などはまだ多くが不明であ
るが、その蛋白質結合の機能を介して、細胞膜の裏打ち
構造や細胞骨格のネットワーク形成、さらに細胞内表層
に発達した細胞内シグナル伝達のネットワーク形成など
に重要な役割を担っていると考えられる。神経系におい
ては、神経伝達物質受容体やイオンチャンネルなどの複
合体形成に係わるなど、シナプス部位の蛋白質クラスタ
ーのアセンブリーに欠かせない。また、最近、シナプス
可塑性に伴い発現が調節されるPDZ蛋白質が見出さ
れ、PDZ蛋白質が受容体の再配置などを通じて可塑性
に伴うシナプスの形態変化に係わっている可能性があ
り、発生段階の神経ネットワークの構築や生体の脳の高
次機能にも関与していると考えられる。PDZドメイン
は既知のペプチド結合ドメインとの共通点もあるが、明
らかな特徴的な点も有している。PDZドメインは細菌
から高等植物、動物にまで広く保存されたドメインであ
り、多くの場合、PDZドメインが認識するのは標的蛋
白質の最もC末端の短いアミノ酸配列で、これらの標的
蛋白質は膜貫通型受容体やチャンネルであることが多
い。PDZドメインは同一蛋白質中に2から6回程度繰
り返された形で見いだされることが多く、また、ほかの
ドメインモジュールとは異なり、そのいくつかはホモダ
イマーを形成する。これらは、PDZドメインがシナプ
スなどの細胞表面構造やタイトジャンクションなど、細
胞間接着における蛋白質架橋ネットワークやマイクロド
メインの形成などに係わるための重要な特徴である。ア
クチビンは、初期胚の中胚葉誘導や神経誘導の制御、脳
下垂体前葉からの卵胞刺激ホルモン(FSH)の分泌促
進に関わる調節因子であり、TGF−βスーパーファミ
リーの一員である。TGF−βファミリーの受容体に
は、セリン/スレオニンキナーゼ活性を有するI型とII
型の2種類が存在する。リガンド刺激がII型によるI型
の活性化を惹起し、活性化されたI型からアクチビン細
胞内情報伝達分子であるSmad等を介して情報伝達が
行われる。アクチビン受容体II型にはIIA、IIBの2種
類の遺伝子から選択的にスプライシングにより生産され
る多様な分子が存在し、I型の活性化以外に重要な役割
を持つ可能性が考えられているが、未だ明らかとなって
いない。また、従来、脳下垂体からの性腺刺激ホルモン
の分泌調節は、生殖腺で生産されるステロイドホルモン
が主であると考えられていたが、アクチビンおよびこれ
と相反する作用をもつインヒビンの発見により視床下部
−脳下垂体−生殖器官系の新しいホルモン分泌調節機構
として関心を集めている。アクチビンの生理活性の解析
が進むにつれて、この系は、FSH分泌調節以外に血球
系や生殖器官の細胞の分化誘導あるいは阻害活性、神経
細胞生存維持活性などの多様な生理活性を有することが
解ったが、その詳細な機構については未だ解明されてい
ない点が多い。
【0003】
【発明の解決しようとする課題】本発明は、PDZドメ
インを持つ蛋白質および該蛋白質に対する結合能を有す
る受容体(例えば、アクチビン受容体)の生理活性の解
明、およびアクチビン−アクチビン受容体系の組織での
細胞分化阻害および神経栄養因子様活性などの生理活性
発現の詳細な分子機構等を解明する手段として、新規な
該蛋白質の単離法ならびに検出法、該新規蛋白質遺伝子
を含むDNA、該新規蛋白質遺伝子がコードする蛋白質
の製造法、および該DNAならびに該蛋白質の用途を提
供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために、鋭意研究を行った結果、配列番号:
1で表されるマウスアクチビンIIA受容体蛋白質の細
胞内領域をベイト(bait)とした酵母ツーハイブリ
ッド(two−hybrid)法を用い、マウス脳cD
NAライブラリーより結合蛋白質の探索を行い、COS
7細胞内でもアクチビンIIA受容体との結合が確認で
きるcDNAクローンを単離し、解析したところ、1個
のPDZドメインをコードする領域を含む遺伝子である
ことを見いだした。この遺伝子にコードされる該蛋白質
は、蛋白質−蛋白質相互作用ドメインを持つ蛋白質因子
であり、そのドメインを介してアクチビン受容体の細胞
内領域と結合するが、アクチビンのシグナル伝達を抑制
しないことを見いだした。さらに、本発明者らは、マウ
スの各種臓器からpoly(A)+RNAを抽出し、配
列番号:4に示すDNAをプローブとして用い、ノーザ
ンハイブリダイゼーション法にて本発明の新規蛋白質の
発現を調べたところ、図2に示すように、心臓、脳、肝
臓、骨格筋、腎臓、精巣などの種々の臓器で広範囲にそ
の発現が見られることを見いだした。このことから、該
新規蛋白質は種々の臓器でのアクチビン−アクチビン受
容体情報伝達系において重要な役割(例えば、アクチビ
ン受容体の細胞膜上への運搬など)を果たすことが示唆
され、アクチビン受容体の機能異常に関連する疾患の診
断、治療等へ応用できることを見いだした。本発明者ら
は、これらの知見に基づいて、さらに検討を重ねた結
果、本発明を完成するに至った。
【0005】すなわち、本発明は、(1)配列番号:2
で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一の
アミノ酸配列を有する蛋白質またはその塩、(2)第
(1)項記載の蛋白質の部分ペプチドまたはその塩、
(3)第(1)項記載の蛋白質をコードするDNAを含
有する組換えDNA、(4)配列番号:3で表される塩
基配列またはそれとハイストリンジェントな条件下でハ
イブリダイズする塩基配列を有する第(3)項記載のD
NA、(5)第(2)項記載の部分ペプチドをコードす
る塩基配列を有するDNAを含有する組換えDNA、
(6)第(3)項記載のDNAを含有する組換えベクタ
ー、(7)第(6)項記載の組換えベクターを保持する
形質転換体、(8)第(7)項記載の形質転換体を培養
し、第(1)項記載の蛋白質を生成・蓄積せしめ、これ
を採取することを特徴とする、第(1)項記載の蛋白質
またはその塩の製造方法、(9)第(1)項記載の蛋白
質、第(2)項記載の部分ペプチドまたはそれらの塩に
対する抗体、(10)第(9)項記載の抗体に対して、
第(1)項記載の蛋白質、第(2)項記載の部分ペプチ
ドまたはそれらの塩を含有する被検液および標識化され
た第(1)項記載の蛋白質、第(2)項記載の部分ペプ
チドまたはそれらの塩を競合的に反応させることを特徴
とする、第(1)項記載の蛋白質、第(2)項記載の部
分ペプチドまたはそれらの塩の定量方法、(11)第
(1)項記載の蛋白質、第(2)項記載の部分ペプチド
またはそれらの塩を用いることを特徴とする、第(1)
項記載の蛋白質、第(2)項記載の部分ペプチドまたは
それらの塩と結合する蛋白質の決定方法、(12)第
(11)項記載の方法により得られる、第(1)項記載
の蛋白質、第(2)項記載の部分ペプチドまたはそれら
の塩と結合する蛋白質またはその塩、(13)第(1)
項記載の蛋白質、第(2)項記載の部分ペプチドまたは
それらの塩と、第(12)項記載の蛋白質またはその塩
あるいはアクチビン受容体蛋白質またはその塩との結合
を阻害または促進する化合物またはその塩のスクリーニ
ング方法、(14)ツーハイブリッド法を用いることを
特徴とする、第(11)項記載の蛋白質の決定方法また
は第(13)項記載のスクリーニング方法、(15)第
(1)項記載の蛋白質、第(2)項記載の部分ペプチド
またはそれらの塩を含有することを特徴とする、第
(1)項記載の蛋白質、第(2)項記載の部分ペプチド
またはそれらの塩と、第(12)項記載の蛋白質または
その塩あるいはアクチビン受容体蛋白質またはその塩と
の結合を阻害または促進する化合物またはその塩のスク
リーニング用キット、(16)第(13)項記載のスク
リーニング方法または第(15)項記載のスクリーニン
グ用キットを用いて得られる、第(1)項記載の蛋白
質、第(2)項記載の部分ペプチドまたはそれらの塩
と、第(12)項記載の蛋白質またはその塩あるいはア
クチビン受容体蛋白質またはその塩との結合を阻害また
は促進する化合物またはその塩、(17)第(12)項
記載の蛋白質、第(16)項記載の化合物またはそれら
の塩を含有してなる医薬、および(18)第(12)項
記載の蛋白質もしくはその塩、アクチビン受容体または
アクチビン細胞内情報伝達分子に関連した神経細胞異常
または脳疾患の予防・治療剤である第(17)項記載の
医薬を提供する。
【0006】より具体的には、本発明は、(19)蛋白
質がPDZドメインを有する蛋白質である第(1)項記
載の蛋白質、(20)蛋白質が心臓、脳、肝臓、骨格
筋、腎臓、精巣、肺、脾臓で発現する蛋白質である第
(19)項記載の蛋白質、(21)蛋白質がアクチビン
受容体に対する結合能を有する蛋白質である第(20)
項記載の蛋白質、(22)蛋白質がアクチビンのシグナ
ル伝達を抑制しない蛋白質である第(21)項記載の蛋
白質、(23)蛋白質が、配列番号:2で表されるアミ
ノ酸配列、配列番号:2で表されるアミノ酸配列中の1
または2個以上(好ましくは、2個以上10個以下)の
アミノ酸配列が欠失したアミノ酸配列、配列番号:2で
表されるアミノ酸配列中に1または2個以上(好ましく
は、2個以上10個以下)のアミノ酸配列が付加または
挿入されたアミノ酸配列、あるいは配列番号:2で表さ
れるアミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、
2個以上10個以下)のアミノ酸配列が他のアミノ酸と
置換されたアミノ酸配列を含有する第(1)項記載の蛋
白質およびその塩、(24)酵母を用いる第(14)項
記載のツーハイブリッド法、(25)標識した第(1)
項記載の蛋白質またはその塩をアクチビン受容体に接触
させた場合と、標識した第(1)項記載の蛋白質または
その塩および被験化合物をアクチビン受容体に接触させ
た場合における、標識した第(1)項記載の蛋白質また
はその塩のアクチビン受容体に対する結合量を測定し、
比較することを特徴とする、第(1)項記載の蛋白質ま
たはその塩とアクチビン受容体との結合を阻害または促
進する化合物またはその塩のスクリーニング方法、
【0007】(26)標識した第(1)項記載の蛋白質
またはその塩を第(12)項記載の蛋白質またはその塩
に接触させた場合と、標識した第(1)項記載の蛋白質
またはその塩および被験化合物を、第(12)項記載の
蛋白質またはその塩に接触させた場合における、標識し
た第(1)項記載の蛋白質またはその塩の第(12)項
記載の蛋白質またはその塩に対する結合量を測定し、比
較することを特徴とする、第(1)項記載の蛋白質また
はその塩と第(12)項記載の蛋白質またはその塩との
結合を阻害または促進する化合物またはその塩のスクリ
ーニング方法、(27)アクチビン受容体を発現した細
胞に第(1)項記載の蛋白質またはその塩を導入した場
合と、アクチビン受容体を発現した細胞に第(1)項記
載の蛋白質またはその塩および被験化合物を導入した場
合における、第(1)項記載の蛋白質またはその塩の該
細胞内におけるアクチビン受容体に対する結合量を測定
し、比較することを特徴とする、第(1)項記載の蛋白
質またはその塩とアクチビン受容体との結合を阻害また
は促進する化合物またはその塩のスクリーニング方法、
(28)標識した第(1)項記載の蛋白質またはその塩
をアクチビン受容体を発現した細胞の膜画分に接触させ
た場合と、標識した第(1)項記載の蛋白質またはその
塩および被験化合物をアクチビン受容体を発現した細胞
の膜画分に接触させた場合における、標識した第(1)
項記載の蛋白質またはその塩の該細胞の膜画分に対する
結合量を測定し、比較することを特徴とする、標識した
第(1)項記載の蛋白質またはその塩とアクチビン受容
体との結合を阻害または促進する化合物またはその塩の
スクリーニング方法、(29)アクチビン受容体を発現
した細胞に第(1)項記載の蛋白質またはその塩を導入
した場合と、アクチビン受容体を発現した細胞に第
(1)項記載の蛋白質またはその塩および被験化合物を
導入した場合における、アクチビン受容体を介した細胞
刺激活性を測定し、比較することを特徴とする、第
(1)項記載の蛋白質またはその塩とアクチビン受容体
との結合を阻害または促進する化合物またはその塩のス
クリーニング方法、(30)第(25)項〜第(29)
項のいずれかに記載のスクリーニング方法により得られ
る化合物またはその塩、(31)第(30)項記載の化
合物またはその塩を含有することを特徴とする医薬組成
物、(32)第(12)項記載の蛋白質もしくはその
塩、アクチビン受容体またはアクチビン細胞内情報伝達
分子に関連した神経細胞異常または脳疾患の予防・治療
剤である第(31)項記載の医薬、(33)哺乳動物に
対して第(12)項記載の蛋白質、第(16)項記載の
化合物またはその塩を有効量投与することを特徴とす
る、第(12)項記載の蛋白質もしくはその塩、アクチ
ビン受容体またはアクチビン細胞内情報伝達分子に関連
した神経細胞異常または脳疾患の予防・治療方法、およ
び(34)第(12)項記載の蛋白質もしくはその塩、
アクチビン受容体またはアクチビン細胞内情報伝達分子
に関連した神経細胞異常または脳疾患の予防・治療剤を
製造するための第(12)項記載の蛋白質、第(16)
項記載の化合物またはその塩の使用に関する。
【0008】さらに、本発明は、(35)外来性の第
(3)項記載のDNAまたはその変異DNAを有する非
ヒト哺乳動物、(36)非ヒト哺乳動物がげっ歯類動物
である第(35)項記載の非ヒト哺乳動物、(37)げ
っ歯類動物がマウスである第(36)項記載の非ヒト哺
乳動物、(38)げっ歯類動物がラットである第(3
6)項記載の非ヒト哺乳動物、および(39)外来性の
第(3)項記載のDNAまたはその変異DNAを含有
し、哺乳動物において発現しうる組換えベクターを提供
する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の配列番号:2で表される
アミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含有する
蛋白質としては、例えば、ヒトや温血動物(例えば、モ
ルモット、ラット、マウス、ニワトリ、ウサギ、ブタ、
ヒツジ、ウシ、サルなど)の細胞[例えば、肝細胞、脾
細胞、神経細胞、グリア細胞、膵臓β細胞、骨髄細胞、
メサンギウム細胞、ランゲルハンス細胞、表皮細胞、上
皮細胞、内皮細胞、繊維芽細胞、繊維細胞、筋細胞、脂
肪細胞、免疫細胞(例えば、マクロファージ、T細胞、
B細胞、ナチュラルキラー細胞、肥満細胞、好中球、好
塩基球、好酸球、単球など)、巨核球、滑膜細胞、軟骨
細胞、骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、乳腺細胞、もしく
は間質細胞、またはこれらの細胞の前駆細胞、幹細胞も
しくはガン化細胞など]もしくはそれらの細胞が存在す
るあらゆる組識[例えば、脳、脳の各部位(例えば、嗅
球、扁桃核、大脳基底球、海馬、視床、視床下部、大脳
皮質、延髄、小脳など)脊髄、下垂体、胃、膵臓、腎
臓、肝臓、生殖腺、甲状腺、胆のう、骨髄、副腎、皮
膚、筋肉、肺、消化管(例えば、大腸、小腸など)、血
管、心臓、胸腺、脾臓、顎下腺、末梢血、前立腺、睾
丸、卵巣、胎盤、子宮、骨、関節、骨格筋など]または
血球系の細胞もしくはその培養細胞株など(特に脳)に
由来する蛋白質であってもよく、合成蛋白質であっても
よい。
【0010】配列番号:2で表されるアミノ酸配列と実
質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質とは、配列
番号:2で表されるアミノ酸配列と約70%以上、好ま
しくは約80%以上、より好ましくは約90%以上、最
も好ましくは約95%以上の相同性を有するアミノ酸配
列を有する蛋白質などが挙げられる。本発明の配列番
号:2で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ
酸配列を含有する蛋白質とは、例えば、前記の配列番
号:2で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ
酸配列を有し、配列番号:2で表されるアミノ酸配列を
含有する蛋白質と実質的に同一の生理活性を有する蛋白
質などが好ましい。 実質的に同一の生理活性としては、例えば、受容体親和
性、シグナル情報伝達能、臓器発現分布などの質的要素
が挙げられる。実質的に同一とは、それらの生理活性が
生物学的または生理学的に同質であることを示す。した
がって、受容体親和性の強さなどの活性が同等(例え
ば、約0.1〜20倍、好ましくは約0.5〜2倍)で
あることが好ましいが、これらの活性の強弱、蛋白質の
分子量などの量的要素は異なっていてもよい。例えば、
受容体親和性の測定は、自体公知の方法に準じて行うこ
とができるが、例えば、後述するスクリーニング方法に
従って測定することができる。また、本発明の蛋白質と
しては、例えば、配列番号:2で表されるアミノ酸配列
中の1または2個以上(好ましくは、1から10個程
度、より好ましくは1から5個程度、さらに好ましくは
1から3個)のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、配列
番号:2で表わされるアミノ酸配列に1または2個以上
(好ましくは、1から10個程度、より好ましくは1か
ら5個程度、さらに好ましくは1から3個)のアミノ酸
が付加または挿入されたアミノ酸配列、配列番号:2で
表わされるアミノ酸配列中の1または2個以上(好まし
くは、1から10個程度、より好ましくは1から5個程
度、さらに好ましくは1から3個)のアミノ酸が他のア
ミノ酸で置換されたアミノ酸配列、またはそれらを組み
合わせたアミノ酸配列を含有する蛋白質などのいわゆる
ムテインも含まれる。
【0011】本明細書における蛋白質は、ペプチド表記
の慣例に従って左端がN末端(アミノ末端)、右端がC
末端(カルボキシル末端)である。配列番号:2で表さ
れるアミノ酸配列を含有する蛋白質をはじめとする、本
発明の蛋白質は、C末端が通常カルボキシル基(−CO
OH)またはカルボキシレート(−COO-)である
が、C末端がアミド(−CONH2)またはエステル
(−COOR)であってもよい。ここでエステルにおけ
るRとしては、例えば、メチル、エチル、n−プロピ
ル、イソプロピルもしくはn−ブチルなどのC1-6アル
キル基、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシルなど
のC3-8シクロアルキル基、例えば、フェニル、α−ナ
フチルなどのC6-12アリール基、例えば、ベンジル、フ
ェネチル、α−ナフチルメチルなどのC6-12アリール−
1-2アルキル基のほか、経口用エステルとして汎用さ
れるピバロイルオキシメチルエステルなどが用いられ
る。本発明の蛋白質がC末端以外にカルボキシル基(ま
たはカルボキシレート)を有している場合、カルボキシ
ル基がアミド化またはエステル化されているものも本発
明の蛋白質に含まれる。この場合のエステルとしては、
例えば、上記したC末端のエステルなどが用いられる。
さらに、本発明の蛋白質には、N末端のメチオニン残基
のアミノ基が保護基(例えば、ホルミル基、アセチル基
などのC1-6アシル基など)で保護されているもの、生
体内で切断されて生成するN末端のグルタミン酸残基が
ピログルタミン化したもの、分子内のアミノ酸の側鎖上
にある、例えば、OH、COOH、NH2、SHなどが
適当な保護基(例えば、ホルミル基、アセチル基などの
1-6アシル基など)で保護されているもの、あるいは
糖鎖が結合したいわゆる糖蛋白質などの複合蛋白質など
も含まれる。本発明の蛋白質の具体例としては、配列番
号:2で表されるアミノ酸配列を含有する蛋白質などが
用いられる。
【0012】本発明の蛋白質の部分ペプチドとしては、
前記した本発明の蛋白質の部分ペプチドであって、本発
明の蛋白質が有する生理活性、例えば、受容体親和性、
シグナル情報伝達能などの活性、臓器発現分布などを有
するものであればいずれのものでもよい。例えば、本発
明の蛋白質の構成アミノ酸配列のうち20個以上、好ま
しくは50個以上、さらに好ましくは80個以上、より
好ましくは100個以上、最も好ましくは120個以上
のアミノ酸配列を有し、受容体親和性、シグナル情報伝
達能などを有するペプチドなどが用いられる。また、本
発明の部分ペプチドは、そのアミノ酸配列中の1または
2個以上(好ましくは1から10個程度、さらに好まし
くは1から3個)のアミノ酸が欠失し、または、そのア
ミノ酸配列に1または2個以上(好ましくは、1から1
0個程度、より好ましくは1から5個程度、さらに好ま
しくは1から3個)のアミノ酸が付加し、または、その
アミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1か
ら10個程度、より好ましくは1から5個程度、さらに
好ましくは1から3個程度)のアミノ酸が他のアミノ酸
で置換されていてもよい。また、本発明の部分ペプチド
はC末端が通常カルボキシル基(−COOH)またはカ
ルボキシレート(−COO-)であるが、前記した本発
明の蛋白質のごとく、C末端がアミド(−CONH2
またはエステル(−COOR)であってもよい。さら
に、本発明の部分ペプチドには、前記した本発明の蛋白
質と同様に、N末端のメチオニン残基のアミノ基が保護
基で保護されているもの、N端側が生体内で切断されて
生成したグルタミル基がピログルタミン化したもの、分
子内のアミノ酸の側鎖上の置換基が適当な保護基で保護
されているもの、あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖ペ
プチドなどの複合ペプチドなども含まれる。
【0013】本発明の蛋白質またはその部分ペプチドの
塩としては、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が
好ましい。この様な塩としては、例えば無機酸(例え
ば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、あるい
は有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル
酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ
酸、シュウ酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼン
スルホン酸)との塩などが用いられる。また、無機塩基
(例えば、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、
カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属、ア
ルミニウムまたはアンモニウムなど)との塩、有機塩基
(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリ
ジン、ピコリン、2,6−ルチジン、エタノールアミ
ン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、シク
ロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’
−ジベンジルエチレンジアミンなど)との塩なども用い
られる。本発明の蛋白質またはその塩は、前述したヒト
や温血動物の細胞または組織から自体公知の方法によっ
ても製造することもできるし、後述する該蛋白質をコー
ドするDNAを含有する形質転換体を培養することによ
っても製造することができる。また、後述のペプチド合
成法に準じて製造することもできる。ヒトや哺乳動物の
組織または細胞から製造する場合、ヒトや哺乳動物の組
織または細胞をホモジナイズした後、酸などで抽出を行
い、該抽出液を逆相クロマトグラフィー、イオン交換ク
ロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーを組合せる
ことにより単離精製することができる。
【0014】本発明の蛋白質、その部分ペプチドもしく
はそれらの塩またはそれらのアミド体の合成には、通常
市販の蛋白質合成用樹脂を用いることができる。そのよ
うな樹脂としては、例えば、クロロメチル樹脂、ヒドロ
キシメチル樹脂、ベンズヒドリルアミン樹脂、アミノメ
チル樹脂、4−ベンジルオキシベンジルアルコール樹
脂、4−メチルベンズヒドリルアミン樹脂、PAM樹
脂、4−ヒドロキシメチルフェニルアセトアミドメチル
樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、4−(2’,4’−ジ
メトキシフェニルヒドロキシメチル)フェノキシ樹脂、
4−(2' ,4’−ジメトキシフェニル−Fmocアミ
ノエチル)フェノキシ樹脂などを挙げることができる。
このような樹脂を用い、α−アミノ基と側鎖官能基を適
当に保護したアミノ酸を、目的とする蛋白質の配列通り
に、自体公知の各種縮合方法に従い、樹脂上で縮合させ
る。反応の最後に樹脂から蛋白質を切り出すと同時に各
種保護基を除去し、さらに高希釈溶液中で分子内ジスル
フィド結合形成反応を実施し、目的の蛋白質、その部分
ペプチドまたはそれらのアミド体を取得する。上記した
保護アミノ酸の縮合に関しては、蛋白質合成に使用でき
る各種活性化試薬を用いることができるが、特に、カル
ボジイミド類がよい。カルボジイミド類としては、DC
C、N,N' −ジイソプロピルカルボジイミド、N−エ
チル−N' −(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジ
イミドなどが用いられる。これらによる活性化にはラセ
ミ化抑制添加剤(例えば、HOBt、HOOBt)とと
もに保護アミノ酸を直接樹脂に添加するか、または、対
称酸無水物またはHOBtエステルあるいはHOOBt
エステルとしてあらかじめ保護アミノ酸の活性化を行っ
た後に樹脂に添加することができる。保護アミノ酸の活
性化や樹脂との縮合に用いられる溶媒としては、蛋白質
縮合反応に使用しうることが知られている溶媒から適宜
選択されうる。例えば、N,N−ジメチルホルムアミ
ド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリ
ドンなどの酸アミド類、塩化メチレン、クロロホルムな
どのハロゲン化炭化水素類、トリフルオロエタノールな
どのアルコール類、ジメチルスルホキシドなどのスルホ
キシド類、ピリジン、ジオキサン、テトラヒドロフラン
などのエーテル類、アセトニトリル、プロピオニトリル
などのニトリル類、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエス
テル類あるいはこれらの適宜の混合物などが用いられ
る。反応温度は蛋白質結合形成反応に使用され得ること
が知られている範囲から適宜選択され、通常約−20℃
から50℃の範囲から適宜選択される。活性化されたア
ミノ酸誘導体は通常1.5から4倍過剰で用いられる。
ニンヒドリン反応を用いたテストの結果、縮合が不十分
な場合には保護基の脱離を行うことなく縮合反応を繰り
返すことにより十分な縮合を行うことができる。反応を
繰り返しても十分な縮合が得られないときには、無水酢
酸またはアセチルイミダゾールを用いて未反応アミノ酸
をアセチル化することができる。
【0015】原料のアミノ基の保護基としては、例え
ば、Z、Boc、tert−ペンチルオキシカルボニ
ル、イソボルニルオキシカルボニル、4−メトキシベン
ジルオキシカルボニル、Cl−Z、Br−Z、アダマン
チルオキシカルボニル、トリフルオロアセチル、フタロ
イル、ホルミル、2−ニトロフェニルスルフェニル、ジ
フェニルホスフィノチオイル、Fmocなどが用いられ
る。カルボキシル基は、例えば、アルキルエステル化
(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ter
t−ブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロ
ヘプチル、シクロオクチル、2−アダマンチルなどの直
鎖状、分枝状もしくは環状アルキルエステル化)、アラ
ルキルエステル化、(例えば、ベンジルエステル、4−
ニトロベンジルエステル、4−メトキシベンジルエステ
ル、4−クロロベンジルエステル、ベンズヒドリルエス
テル化)、フェナシルエステル化、ベンジルオキシカル
ボニルヒドラジド化、tert−ブトキシカルボニルヒ
ドラジド化、トリチルヒドラジド化などによって保護す
ることができる。セリンの水酸基は、例えば、エステル
化またはエーテル化によって保護することができる。こ
のエステル化に適する基としては、例えば、アセチル基
などの低級アルカノイル基、ベンゾイル基などのアロイ
ル基、ベンジルオキシカルボニル基、エトキシカルボニ
ル基などの炭酸から誘導される基などが用いられる。ま
た、エーテル化に適する基としては、例えば、ベンジル
基、テトラヒドロピラニル基、tert−ブチル基など
である。チロシンのフェノール性水酸基の保護基として
は、例えば、Bzl、Cl2−Bzl、2−ニトロベン
ジル、Br−Z、tert−ブチルなどが用いられる。
ヒスチジンのイミダゾールの保護基としては、例えば、
Tos、4−メトキシ−2,3,6−トリメチルベンゼ
ンスルホニル、DNP、ベンジルオキシメチル、Bu
m、Boc、Trt、Fmocなどが用いられる。原料
のカルボキシル基の活性化されたものとしては、例え
ば、対応する酸無水物、アジド、活性エステル[アルコ
ール(例えば、ペンタクロロフェノール、2,4,5−
トリクロロフェノール、2,4−ジニトロフェノール、
シアノメチルアルコール、パラニトロフェノール、HO
NB、N−ヒドロキシスクシミド、HOBt)とのエス
テル]などが用いられる。原料のアミノ基の活性化され
たものとしては、例えば、対応するリン酸アミドが用い
られる。
【0016】保護基の除去(脱離)方法としては、例え
ば、Pd黒あるいはPd−炭素などの触媒の存在下での
水素気流中での接触還元や、また、無水フッ化水素、メ
タンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリ
フルオロ酢酸あるいはこれらの混合液などによる酸処理
や、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、
ピペリジン、ピペラジンなどによる塩基処理、また、液
体アンモニア中ナトリウムによる還元なども用いられ
る。上記酸処理による脱離反応は、一般に約−20℃か
ら40℃の温度で行われるが、酸処理においては、例え
ば、アニソール、フェノール、チオアニソール、メタク
レゾール、パラクレゾール、ジメチルスルフィド、1,
4−ブタンジチオール、1,2−エタンジチオールなど
のようなカチオン補足剤の添加が有効である。また、ヒ
スチジンのイミダゾール保護基として用いられる2,4
−ジニトロフェニル基はチオフェノール処理により除去
され、トリプトファンのインドール保護基として用いら
れるホルミル基は上記1,2−エタンジチオール、1,
4−ブタンジチオールなどの存在下の酸処理による脱保
護以外に、希水酸化ナトリウム溶液、希アンモニアなど
によるアルカリ処理によっても除去される。原料の反応
に関与すべきでない官能基の保護ならびに保護基、およ
びその保護基の脱離、反応に関与する官能基の活性化な
どは公知の基または公知の手段から適宜選択しうる。蛋
白質またはその部分ペプチドのアミド体を得る別の方法
としては、例えば、まず、カルボキシル末端アミノ酸の
α−カルボキシル基をアミド化して保護した後、アミノ
基側にペプチド(蛋白質)鎖を所望の鎖長まで延ばした
後、該ペプチド鎖のN末端のα−アミノ基の保護基のみ
を除いた蛋白質(部分ペプチド)とC末端のカルボキシ
ル基の保護基のみを除去した蛋白質(部分ペプチド)と
を製造し、この両蛋白質(部分ペプチド)を上記したよ
うな混合溶媒中で縮合させる。縮合反応の詳細について
は上記と同様である。縮合により得られた保護蛋白質を
精製した後、上記方法によりすべての保護基を除去し、
所望の粗蛋白質(部分ペプチド)を得ることができる。
この粗蛋白質(部分ペプチド)は既知の各種精製手段を
駆使して精製し、主要画分を凍結乾燥することで所望の
蛋白質(部分ペプチド)のアミド体を得ることができ
る。蛋白質またはその部分ペプチドのエステル体を得る
には、例えば、カルボキシル末端アミノ酸のα―カルボ
キシル基を所望のアルコール類と縮合しアミノ酸エステ
ルとした後、蛋白質(部分ペプチド)のアミド体と同様
にして、所望の蛋白質(部分ペプチド)のエステル体を
得ることができる。
【0017】本発明の部分ペプチドまたはそれらの塩
は、自体公知のペプチドの合成法に従って、あるいは本
発明の蛋白質を適当なペプチダーゼで切断することによ
って製造することができる。ペプチドの合成法として
は、例えば、固相合成法、液相合成法のいずれによって
もよい。すなわち、本発明の蛋白質を構成し得る部分ペ
プチドもしくはアミノ酸と残余部分とを縮合させ、生成
物が保護基を有する場合は保護基を脱離することにより
目的のペプチドを製造することができる。公知の縮合方
法や保護基の脱離としては、例えば、以下のからに
記載された方法が挙げられる。 M.BodanszkyおよびM.A.Ondett
i、ペプチド シンセシス(Peptide Synth
esis),Interscience Publis
hers,New York(1966年) SchroederおよびLuebke、ザ ペプチ
ド(The Peptide),Academic Pr
ess,New York(1965年) 泉屋信夫他、ペプチド合成の基礎と実験、丸善(株)
(1975年) 矢島治明および榊原俊平、生化学実験講座1、タンパ
ク質の化学IV、205、(1977年) 矢島治明監修、続医薬品の開発 第14巻 ペプチド合
成 広川書店 また、反応後は通常の精製法、例えば、溶媒抽出、蒸
留、カラムクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィ
ー、再結晶などを組合せて本発明の蛋白質またはその部
分ペプチドを単離精製することができる。上記方法で得
られる該蛋白質またはその部分ペプチドが遊離体である
場合は、公知の方法によって適当な塩に変換することが
できるし、逆に塩で得られた場合は、公知の方法によっ
て遊離体に変換することができる。
【0018】本発明の蛋白質をコードするDNAとして
は、前述した本発明の蛋白質をコードする塩基配列を含
有するものであればいかなるものであってもよい。ま
た、ゲノムDNA、ゲノムDNAライブラリー、前記し
た細胞・組織由来のcDNA、前記した細胞・組織由来
のcDNAライブラリーより自体公知の方法により単離
されたもの、合成DNAのいずれでもよい。ライブラリ
ーに使用するベクターは、バクテリオファージ、プラス
ミド、コスミド、ファージミドなどいずれであってもよ
い。また、前記した細胞・組織よりtotalRNA画
分またはmRNA画分を調製したものを用いて、直接R
everse Transcriptase Polym
erase Chain Reaction(以下、RT
−PCR法と略称する)によって単離することもでき
る。本発明の蛋白質をコードするDNAとしては、例え
ば、配列番号:3で表される塩基配列を含有するDN
A、または配列番号:3で表される塩基配列を有する
DNAとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイ
ズするDNAを有し、配列番号:2で表されるアミノ酸
配列を有する蛋白質と同質の生理活性、例えば、受容体
親和性、シグナル情報伝達能などの活性、臓器発現分布
などを有する蛋白質をコードするDNAであればいずれ
のものでもよい。配列番号:3で表される塩基配列を有
するDNAとハイストリンジェントな条件下でハイブリ
ダイズできるDNAとしては、例えば、配列番号:3で
表される塩基配列と約70%以上、好ましくは約80%
以上、さらに好ましくは約90%以上、最も好ましくは
約95%以上の相同性を有する塩基配列を含有するDN
Aなどが用いられる。ハイブリダイゼーションは、自体
公知の方法あるいはそれに準じる方法、例えば、モレキ
ュラー・クローニング(Molecular Clon
ing)2nd(J.Sambrook et al.,
Cold Spring HarborLab.Pres
s,1989)に記載の方法などに従って行うことがで
きる。また、市販のライブラリーを使用する場合、添付
の使用説明書に記載の方法に従って行うことができる。
より好ましくは、ハイストリンジェントな条件に従って
行うことができる。ハイストリンジェントな条件とは、
例えば、ナトリウム濃度が約19から40mM、好まし
くは約19から20mMで、温度が約50から70℃、
好ましくは約60から65℃の条件を示す。特に、ナト
リウム濃度が約19mMで、温度が約65℃の場合が最
も好ましい。より具体的には、配列番号:2のアミノ酸
配列を含有する蛋白質をコードするDNAとしては、配
列番号:3で表される塩基配列を有するDNAなどが用
いられる。
【0019】本発明の部分ペプチドをコードするDNA
としては、前述した本発明の部分ペプチドをコードする
塩基配列を含有するものであればいかなるものであって
もよい。また、ゲノムDNA、ゲノムDNAライブラリ
ー、前記した細胞・組織由来のcDNA、前記した細胞
・組織由来のcDNAライブラリーより自体公知の方法
により単離されたもの、合成DNAのいずれでもよい。
本発明の部分ペプチドをコードするDNAとしては、例
えば、配列番号:3で表される塩基配列を含有するD
NA、または配列番号:3で表される塩基配列を有す
るDNAとハイストリンジェントな条件下でハイブリダ
イズするDNAを有し、配列番号:2で表されるアミノ
酸配列を有する蛋白質と同質の活性を有する蛋白質をコ
ードするDNAの部分塩基配列を有するDNAなどが用
いられる。ハイブリダイゼーションの方法およびハイス
トリンジェントな条件は前記と同様のものが用いられ
る。
【0020】本発明の蛋白質またはその部分ペプチド
(以下、本発明の蛋白質と略記する)をコードするDN
Aのクローニングの手段としては、本発明の蛋白質の部
分配列をコードする塩基配列を有する合成DNAプライ
マーを用いてPCR法によって増幅するか、または適当
なベクターに組み込んだDNA、また、ゲノムDNA、
ゲノムDNAライブラリー、前記した細胞・組織由来の
cDNA、前記した細胞・組織由来のcDNAライブラ
リーより自体公知の方法により単離されたものを本発明
の蛋白質の一部あるいは全領域をコードするDNA断片
もしくは合成DNAを用いて標識したものとのハイブリ
ダイゼーションによって単離することができる。ハイブ
リダイゼーションの方法は、例えば、モレキュラー ク
ローニング(Molecular Cloning)2
nd ( J.Sambrook et.al., Cold
Spring Harbor Lab.Press,19
89)に記載の方法などに従って行うことができる。ま
た、市販のライブラリーを使用する場合、添付の使用説
明書に記載の方法に従って行うことができる。DNAの
塩基配列の変換は、公知のキット、例えば、Mutan
TM−super Express Km(宝酒造
(株))、MutantTM−K(宝酒造(株))などを
用いて、ODA−LA PCR法、Gupped dup
lex法、Kunkel法などの自体公知の方法あるい
はそれらに準じる方法に従って行うことができる。
【0021】クローン化された本発明の蛋白質をコード
するDNAは目的によりそのまま、または所望により制
限酵素で消化したり、リンカーを付加したりして使用す
ることができる。該DNAはその5’末端側に翻訳開始
コドンとしてのATGを有し、また3’末端側には翻訳
終止コドンとしてのTAA、TGAまたはTAGを有し
ていてもよい。これらの翻訳開始コドンや翻訳終止コド
ンは適当な合成DNAアダプターを用いて付加すること
もできる。本発明の蛋白質の発現ベクターは、例えば、
(イ)本発明の蛋白質をコードするDNAから目的とす
るDNA断片を切り出し、(ロ)該DNA断片を適当な
発現ベクター中のプロモーターの下流に連結することに
より製造することができる。べクターとしては、大腸菌
由来のプラスミド(例、pBR322,pBR325,
pUC12,pUC13)、枯草菌由来のプラスミド
(例、pUB110,pTP5,pC194)、酵母由
来プラスミド(例、pSH19,pSH15)、λファ
ージなどのバクテリオファージ、レトロウイルス,ワク
シニアウイルス、バキュロウイルスなどの動物ウイルス
などの他、pA1−11、pXT1、pRc/CMV、
pRc/RSV、pcDNAI/Neoなどが用いられ
る。本発明で用いられるプロモーターとしては、遺伝子
の発現に用いる宿主に対応して適切なプロモーターであ
ればいかなるものでもよい。例えば、動物細胞を宿主と
して用いる場合は、SV40由来のプロモーター、レト
ロウイルスのプロモーター、メタロチオネインプロモー
ター、ヒートショックプロモーター、サイトメガロウイ
ルスプロモーター、SRαプロモーターなどが挙げられ
る。これらのうち、サイトメガロウイルスプロモータ
ー、SRαプロモーターなどを用いるのが好ましい。宿
主がエシェリヒア属菌である場合は、trpプロモータ
ー、lacプロモーター、recAプロモーター、λP
Lプロモーター、lppプロモータなどが、宿主がバチ
ルス属菌である場合は、SP01プロモーター、SP0
2プロモーター、penPプロモーターなど、宿主が酵
母である場合は、pH05プロモーター、PGKプロモ
ーター、GAPプロモーター、ADHプロモーターなど
が好ましい。宿主が昆虫細胞である場合には、ポリヘド
リンプロモーター、P10プロモ−ターなどが好まし
い。
【0022】発現ベクターには、以上の他に、所望によ
りエンハンサー、スプライシングシグナル、ポリA付加
シグナル、選択マーカー、SV40複製オリジン(以
下、SV40oriと略称する場合がある)などを含有
しているものを用いることができる。選択マーカーとし
ては、例えば、ジヒドロ葉酸還元酵素(以下、dhfr
と略称する場合がある)遺伝子[メソトレキセート(M
TX)耐性]、アンピシリン耐性遺伝子(以下、Amp
rと略称する場合がある)、ネオマイシン耐性遺伝子
(以下、Neoと略称する場合がある、G418耐性)
などが挙げられる。特に、CHO(dhfr-)細胞を
用いてdhfr遺伝子を選択マーカーとして使用する場
合、目的遺伝子を含有する形質転換体をチミジンを含ま
ない培地によっても選択することができる。また、必要
に応じて、宿主に合ったシグナル配列を、本発明の蛋白
質のN末端側に付加することもできる。宿主がエシェリ
ヒア属菌である場合は、アルカリフォスファターゼ・シ
グナル配列、OmpA・シグナル配列などが、宿主がバ
チルス属菌である場合は、α−アミラーゼ・シグナル配
列、サブチリシン・シグナル配列などが、宿主が酵母で
ある場合は、メイテイングファクターα・シグナル配
列、インベルターゼ・シグナル配列など、宿主が動物細
胞である場合には、例えばインシュリン・シグナル配
列、α−インターフェロン・シグナル配列、抗体分子・
シグナル配列などがそれぞれ利用できる。このようにし
て構築された本発明の蛋白質をコードするDNAを含有
するベクターを用いて、形質転換体を製造することがで
きる。
【0023】宿主としては、例えば、エシェリヒア属
菌、バチルス属菌、酵母、昆虫細胞、昆虫、動物細胞な
どが用いられる。エシェリヒア属菌の具体例としては、
エシェリヒア・コリ(Escherichia col
i)K12・DH1〔プロシージングズ・オブ・ザ・ナ
ショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・
ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. S
ci. USA),60巻,160(1968)〕,JM
103〔ヌクイレックアシッズ・リサーチ,(Nucl
eic Acids Research),9巻,309
(1981), JA221〔ジャーナル・オブ・モレキ
ュラー・バイオロジー(Journal of Mole
cular Biology)〕,120巻,517
(1978)〕,HB101〔ジャーナル・オブ・モレ
キユラー・バイオロジー,41巻,459(196
9)〕,C600〔ジェネティックス(Genetic
s),39巻,440(1954)〕などが用いられ
る。バチルス属菌としては、例えば、バチルス・サチル
ス(Bacillus Subtilis)MI114
〔ジーン,24巻,255(1983)〕,207−2
21〔ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(Jou
rnal of Biochemistry),95巻.
87(1984)〕などが用いられる。酵母としては、
例えば、サッカロマイセス セレビシエ(Saccha
romyces cerevisiae)AH22,A
H22R-,NA87−11A,DKD−5D,20B
−12、シゾサッカロマイセス ポンベ(Schizo
saccharomyces pombe)NCYC1
913、NCYC2036、サッカロマイセス ピキア
パストリス(Saccharomyces picj
ia pastoris)などが用いられる。昆虫細胞
としては、例えば、ウイルスがAcNPVの場合は、夜
盗蛾の幼虫由来株化細胞(Spodoptera fr
ugiperda cell;Sf細胞)、Trich
oplusia niの中腸由来のMG1細胞、Tri
choplusia niの卵由来のHigh Five
TM細胞、Mamestra brassicae由来の
細胞またはEstigmena acrea由来の細胞
などが用いられる。ウイルスがBmNPVの場合は、蚕
由来株化細胞(Bombyx mori N細胞;BmN
細胞)などが用いられる。該Sf細胞としては、例え
ば、Sf9細胞(ATCC CRL1711)、Sf2
1細胞(以上、Vaughn,J.L.ら、イン・ヴィ
ボ(in vivo),13,213−217,197
7)などが用いられる。昆虫としては、例えば、カイコ
の幼虫などが用いられる〔前田ら、ネイチャー(Nat
ure),315巻,592(1985)〕。動物細胞
としては、例えば、サル細胞COS−7,Vero,チ
ャイニーズハムスター細胞CHO,DHFR遺伝子欠損
チャイニーズハムスター細胞CHO(dhfr- CHO
細胞),マウスL細胞,マウスAtT−20,マウスミ
エローマ細胞,ラットGH3,ヒトFL細胞などが用い
られる。
【0024】エシェリヒア属菌を形質転換するには、例
えば、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカ
デミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエ
ー(Proc. Natl. Acad. Sci. US
A),69巻,2110(1972)やジーン(Gen
e),17巻,107(1982)などに記載の方法に
従って行うことができる。バチルス属菌を形質転換する
には、例えば、モレキュラー・アンド・ジェネラル・ジ
ェネティックス(Molecular&General
Genetics)168巻,111(1979)な
どに記載の方法に従って行うことができる。酵母を形質
転換するには、例えば、メッソズ・イン・エンザイモロ
ジー(Methods in Enzymology),
194巻,182−187(1991)、プロシージン
グズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイ
エンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエ−(Proc. Na
tl. Acad. Sci. USA)75巻,1929
(1978)などに記載の方法に従って行うことができ
る。昆虫細胞または昆虫を形質転換するには、例えば、
バイオ/テクノロジー(Bio/Technolog
y),6,47−55(1988)などに記載の方法に
従って行うことができる。動物細胞を形質転換するに
は、例えば、細胞工学別冊8 新 細胞工学実験プロト
コール.263−267(1995)(秀潤社発行)、
ヴィロロジー(Virology),52巻,456
(1973)に記載の方法に従って行うことができる。
このようにして、蛋白質をコードするDNAを含有する
発現ベクターで形質転換された形質転換体を得ることが
できる。
【0025】宿主がエシェリヒア属菌、バチルス属菌で
ある形質転換体を培養する際、培養に使用される培地と
しては液体培地が適当であり、その中には該形質転換体
の生育に必要な炭素源、窒素源、無機物その他が含有せ
しめられる。炭素源としては、例えば、グルコース、デ
キストリン、可溶性澱粉、ショ糖など、窒素源として
は、例えば、アンモニウム塩類、硝酸塩類、コーンスチ
ープ・リカー、ペプトン、カゼイン、肉エキス、大豆
粕、バレイショ抽出液などの無機または有機物質、無機
物としては、例えば、塩化カルシウム、リン酸二水素ナ
トリウム、塩化マグネシウムなどが挙げられる。また、
酵母抽出物、ビタミン類、生長促進因子などを添加して
もよい。培地のpHは約5から8が望ましい。エシェリ
ヒア属菌を培養する際の培地としては、例えば、グルコ
ース、カザミノ酸を含むM9培地〔ミラー(Mille
r),ジャーナル・オブ・エクスペリメンツ・イン・モ
レキュラー・ジェネティックス(Journal of
Experiments in Molecular G
enetics),431−433,Cold Spr
ing Harbor Laboratory,NewY
ork 1972〕が好ましい。ここに必要によりプロ
モーターを効率よく働かせるために、例えば、3β-イ
ンドリルアクリル酸のような薬剤を加えることができ
る。宿主がエシェリヒア属菌の場合、培養は通常約15
から43℃で約3から24時間行い、必要により、通気
や撹拌を加えることもできる。宿主がバチルス属菌の場
合、培養は通常約30から40℃で約6から24時間行
い、必要により、通気や撹拌を加えることもできる。宿
主が酵母である形質転換体を培養する際、培地として
は、例えば、バークホ−ルダー(Burkholde
r)最小培地〔Bostian,K.L.ら、プロシー
ジングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・
サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc.
Natl. Acad. Sci. USA),77巻,45
05(1980)〕や0.5%カザミノ酸を含有するS
D培地〔Bitter,G.A.らプロシージングズ・
オブ・ザ・ナショナル・アカテミー・オブ・サイエンシ
イズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl.
Acad. Sci. USA),81巻,5330(19
84)〕が挙げられる。培地のpHは約5から8に調整
するのが好ましい。培養は通常約20℃から35℃で約
24から72時間行い、必要に応じて通気や撹拌を加え
る。
【0026】宿主が昆虫細胞または昆虫である形質転換
体を培養する際、培地としては、Grace’s In
sect Medium(Grace,T.C.C.,ネイ
チャー(Nature),195巻,788(196
2))に非動化した10%ウシ血清等の添加物を適宜加
えたものなどが用いられる。培地のpHは約6.2から
6.4に調整するのが好ましい。培養は通常約27℃で
約3から5日間行い、必要に応じて通気や撹拌を加え
る。宿主が動物細胞である形質転換体を培養する際、培
地としては、例えば、約5から20%の胎児牛血清を含
むMEM培地〔サイエンス(Science),122
巻,501(1952)〕,DMEM培地〔ヴィロロジ
ー(Virology),8巻.396(195
9)〕,RPMI 1640培地〔ジャーナル・オブ・
ザ・アメリカン・メディカル・アソシエーション(Jo
urnal of the American Medic
al Association)199巻.519(1
967)〕,199培地〔プロシージング・オブ・ザ・
ソサイエティ・フォー・ザ・バイオロジカル・メディス
ン(Proceeding of the Societ
y for the Biological Medici
ne),73巻,1(1950)〕などが用いられる。
pHは約6から8であるのが好ましい。培養は通常約3
0℃から40℃で約15から60時間行い、必要に応じ
て通気や撹拌を加える。以上のようにして、本発明の蛋
白質を培養培地中あるいは形質転換体中に生成せしめる
ことができる。
【0027】上記培養物から本発明の蛋白質を分離精製
するには、例えば、下記の方法により行うことができ
る。本発明の蛋白質を培養菌体あるいは細胞から抽出す
るに際しては、培養後、公知の方法で菌体あるいは細胞
を集め、これを適当な緩衝液に懸濁し、超音波、リゾチ
ームおよび/または凍結融解などによって菌体あるいは
細胞を破壊したのち、遠心分離やろ過により蛋白質の粗
抽出液を得る方法などが適宜用いられる。緩衝液の中に
尿素や塩酸グアニジンなどの蛋白質変性剤や、トリトン
X−100(商品名)などの界面活性剤が含まれていて
もよい。培養液中に蛋白質が分泌される場合には、培養
終了後、それ自体公知の方法で菌体あるいは細胞と上清
とを分離し、上清を集める。このようにして得られた培
養上清、あるいは抽出液中に含まれる蛋白質の精製は、
自体公知の分離・精製法を適切に組み合わせて行なうこ
とができる。これらの公知の分離、精製法としては、塩
析や溶媒沈澱法などの溶解度を利用する方法、透析法、
限外ろ過法、ゲルろ過法、およびSDS−ポリアクリル
アミドゲル電気泳動法などの主として分子量の差を利用
する方法、イオン交換クロマトグラフィーなどの荷電の
差を利用する方法、アフィニティークロマトグラフィー
などの特異的親和性を利用する方法、逆相高速液体クロ
マトグラフィーなどの疎水性の差を利用する方法、等電
点電気泳動法などの等電点の差を利用する方法などが用
いられる。かくして得られる蛋白質が遊離体で得られた
場合には、自体公知の方法あるいはそれに準じる方法に
よって塩に変換することができ、逆に塩で得られた場合
には自体公知の方法あるいはそれに準じる方法により、
遊離体または他の塩に変換することができる。なお、組
換え体が産生する蛋白質を、精製前または精製後に適当
な蛋白修飾酵素を作用させることにより、任意に修飾を
加えたり、ポリペプチドを部分的に除去することもでき
る。蛋白修飾酵素としては、例えばトリプシン、キモト
リプシン、アルギニルエンドペプチダーゼ、プロテイン
キナーゼ、グリコシダーゼなどが用いられる。かくして
生成する本発明の蛋白質またはその塩の活性は、標識し
たリガンドとの結合実験および特異抗体を用いたエンザ
イムイムノアッセイなどにより測定することができる。
【0028】本発明の蛋白質、その部分ペプチドまたは
それらの塩に対する抗体は、本発明の蛋白質、その部分
ペプチドまたはそれらの塩を認識し得る抗体であれば、
ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体の何れであっ
てもよい。本発明の蛋白質、その部分ペプチドまたはそ
れらの塩(以下、本発明の蛋白質と略記する)に対する
抗体は、本発明の蛋白質を抗原として用い、自体公知の
抗体または抗血清の製造法に従って製造することができ
る。 [モノクローナル抗体の作製] (a)モノクローナル抗体産生細胞の作製 本発明の蛋白質は、温血動物に対して投与することによ
り抗体産生が可能な部位にそれ自体あるいは担体、希釈
剤とともに投与される。投与に際して抗体産生能を高め
るため、完全フロイントアジュバントや不完全フロイン
トアジュバントを投与してもよい。投与は通常2から6
週毎に1回づつ、計2から10回程度行われる。用いら
れる温血動物としては、例えば、サル、ウサギ、イヌ、
モルモット、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギ、ニワトリ
などが挙げられるが、マウスおよびラットが好ましく用
いられる。モノクローナル抗体産生細胞の作製に際して
は、抗原を免疫された温血動物、例えば、マウスから抗
体価の認められた個体を選択し最終免疫の2から5日後
に脾臓またはリンパ節を採取し、それらに含まれる抗体
産生細胞を骨髄腫細胞と融合させることにより、モノク
ローナル抗体産生ハイブリドーマを調製することができ
る。抗血清中の抗体価の測定は、例えば、後記の標識化
蛋白質と抗血清とを反応させた後、抗体に結合した標識
剤の活性を測定することにより行うことができる。融合
操作は既知の方法、例えば、ケーラーとミルスタインの
方法[ネイチャー(Nature),256,495
(1975)]に従い実施できる。融合促進剤として
は、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)やセン
ダイウイルスなどが挙げられるが、好ましくはPEGが
用いられる。骨髄腫細胞としては、例えば、NS−1、
P3U1、SP2/0、AP−1などが挙げられるが、
P3U1が好ましく用いられる。用いられる抗体産生細
胞(脾臓細胞)数と骨髄腫細胞数との好ましい比率は
1:1から20:1程度であり、PEG(好ましくはP
EG1000からPEG6000)が10から80%程
度の濃度で添加され、20から40℃、好ましくは30
から37℃で1から10分間インキュベートすることに
より効率よく細胞融合を実施できる。抗蛋白質抗体産生
ハイブリドーマのスクリーニングには種々の方法が使用
できるが、例えば、蛋白質抗原を直接あるいは担体とと
もに吸着させた固相(例えば、マイクロプレート)にハ
イブリドーマ培養上清を添加し、次に放射性物質や酵素
などで標識した抗免疫グロブリン抗体(細胞融合に用い
られる細胞がマウスの場合、抗マウス免疫グロブリン抗
体が用いられる)またはプロテインAを加え、固相に結
合した抗蛋白質モノクローナル抗体を検出する方法、抗
免疫グロブリン抗体またはプロテインAを吸着させた固
相にハイブリドーマ培養上清を添加し、放射性物質や酵
素などで標識した該蛋白質を加え、固相に結合した抗蛋
白質モノクローナル抗体を検出する方法などが挙げられ
る。抗蛋白質モノクローナル抗体の選別は、自体公知あ
るいはそれに準じる方法に従って行うことができる。通
常HAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジ
ン)を添加した動物細胞用培地で行うことができる。選
別および育種用培地としては、ハイブリドーマが生育で
きるものならばどのような培地を用いてもよい。例え
ば、1から20%、好ましくは10から20%の牛胎児
血清を含むRPMI 1640培地、1から10%の牛
胎児血清を含むGIT培地(和光純薬工業(株))ある
いはハイブリドーマ培養用無血清培地(SFM−10
1、日水製薬(株))などを用いることができる。培養
温度は、通常20から40℃、好ましくは約37℃であ
る。培養時間は、通常5日から3週間、好ましくは1週
間から2週間である。培養は、通常5%炭酸ガス下で行
うことができる。ハイブリドーマ培養上清の抗体価は、
上記の抗血清中の抗蛋白質抗体価の測定と同様にして測
定できる。
【0029】(b)モノクローナル抗体の精製 抗蛋白質モノクローナル抗体の分離精製は、自体公知の
方法、例えば、免疫グロブリンの分離精製法[例えば、
塩析法、アルコール沈殿法、等電点沈殿法、電気泳動
法、イオン交換体(例えば、DEAE)による吸脱着
法、超遠心法、ゲルろ過法、抗原結合固相あるいはプロ
テインAあるいはプロテインGなどの活性吸着剤により
抗体のみを採取し、結合を解離させて抗体を得る特異的
精製法]に従って行うことができる。
【0030】[ポリクローナル抗体の作製]本発明のポ
リクローナル抗体は、それ自体公知あるいはそれに準じ
る方法に従って製造することができる。例えば、免疫抗
原(蛋白質抗原)とキャリアー蛋白質との複合体を作
り、上記のモノクローナル抗体の製造法と同様に温血動
物に免疫を行い、該免疫動物から本発明の蛋白質に対す
る抗体含有物を採取して、抗体の分離精製を行うことに
より製造できる。温血動物を免疫するために用いられる
免疫抗原とキャリアー蛋白質との複合体に関し、キャリ
アー蛋白質の種類およびキャリアーとハプテンとの混合
比は、キャリアーに架橋させて免疫したハプテンに対し
て抗体が効率よくできれば、どのようなものをどのよう
な比率で架橋させてもよいが、例えば、ウシ血清アルブ
ミンやウシサイログロブリン、ヘモシアニンなどを重量
比でハプテン1に対し、約0.1から20、好ましくは
約1から5の割合でカップルさせる方法が用いられる。
また、ハプテンとキャリアーのカップリングには、種々
の縮合剤を用いることができるが、グルタルアルデヒド
やカルボジイミド、マレイミド活性エステル、チオール
基、ジチオピリジル基を含有する活性エステル試薬など
が用いられる。縮合生成物は、温血動物に対して、抗体
産生が可能な部位にそれ自体あるいは担体、希釈剤とと
もに投与される。投与に際して抗体産生能を高めるた
め、完全フロイントアジュバントや不完全フロイントア
ジュバントを投与してもよい。投与は、通常約2から6
週毎に1回づつ、計約3から10回程度行われる。ポリ
クローナル抗体は、上記の方法で免疫された温血動物の
血液、腹水など、好ましくは血液から採取することがで
きる。抗血清中のポリクローナル抗体価の測定は、上記
の抗血清中の抗体価の測定と同様にして測定できる。ポ
リクローナル抗体の分離精製は、上記のモノクローナル
抗体の分離精製と同様の免疫グロブリンの分離精製法に
従って行うことができる。本発明の蛋白質または部分ペ
プチドをコードするDNAまたはmRNAに実質的に相
補的な塩基配列を有するアンチセンスDNAとしては、
本発明の蛋白質または部分ペプチドをコードするDNA
またはmRNAの塩基配列またはその一部の塩基配列に
実質的に相補的な塩基配列を有し、該蛋白質または部分
ペプチドの発現を抑制し得る作用を有するオリゴヌクレ
オチドまたはその誘導体であれば、いずれのアンチセン
スDNAであってもよい。
【0031】該DNAまたはmRNAに実質的に相補的
な塩基配列とは、例えば、該DNAまたはmRNAに相
補的な塩基配列(すなわち、該DNAまたはmRNAの
相補鎖)の全塩基配列または部分塩基配列と約70%以
上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%
以上、さらに好ましくは約95%以上の相同性を有する
塩基配列などが挙げられる。特に、本発明のDNAまた
はmRNAの相補鎖の全塩基配列のうち、本発明の蛋白
質などのN末端部位をコードする部分の塩基配列(例え
ば、開始コドン付近の塩基配列など)の相補鎖と約70
%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約9
0%以上、さらに好ましくは約95%以上の相同性を有
するアンチセンスDNAが好適である。これらのアンチ
センスDNAは、公知のDNA合成装置などを用いて製
造することができる。
【0032】本発明の蛋白質、その部分ペプチドまたは
それらの塩(以下、本発明の蛋白質と略記する場合があ
る)、本発明の蛋白質またはその部分ペプチドをコード
するDNA(以下、本発明のDNAと略記する場合があ
る)、本発明の蛋白質に対する抗体(以下、本発明の抗
体と略記する場合がある)およびアンチセンスDNA
は、本発明の蛋白質に対する結合蛋白質の決定方法、
組換え型蛋白質の発現系の構築、two−hybr
id法を用いたアッセイ系の開発と医薬品侯補化合物の
スクリーニング、構造的に類似したリガンド・レセプ
ターとの比較に基づいたドラッグデザインの実施、遺
伝子診断におけるプローブ、PCRプライマーの作成等
における試薬として用いることができ、また、遺伝子
治療等の薬物として用いることができる。特に、two
−hybrid法を用いた本発明の蛋白質に対する結合
蛋白質の取得、さらに、本発明の蛋白質とアクチビン受
容体または取得した他の受容体を用いた結合アッセイ系
によって、ヒトなどの温血動物に特異的な情報伝達系の
促進薬または阻害薬をスクリーニングすることができ、
該促進薬または阻害薬を各種疾病の予防・治療剤などと
して使用することができ、以下により具体的に説明す
る。
【0033】(1)本発明の蛋白質に対する結合蛋白質
の決定方法 本発明の蛋白質は、本発明の蛋白質に対する結合蛋白質
を探索し、または決定するための試薬として有用であ
る。すなわち、本発明は、本発明の蛋白質と相互作用す
る結合蛋白質をスクリーニングすることを特徴とする本
発明の蛋白質に対する結合蛋白質の決定方法を提供す
る。具体的には、本発明の結合蛋白質の決定方法は、宿
主細胞発現ベクター上に転写因子のDNA結合領域に本
発明の蛋白質を融合させたベクターと被験蛋白質と転写
活性化領域融合ライブラリーとを該転写因子結合領域を
プロモーター上に保持しているレポーター遺伝子を持つ
宿主細胞に導入し、2種の蛋白の結合により上昇するレ
ポーター遺伝子の発現量の変化により、該蛋白質と相互
作用する蛋白質またはその塩を決定する方法である。本
発明の結合蛋白質決定方法においては、本発明の蛋白質
と被験蛋白質との相互作用を特定のレポーター遺伝子の
発現に変換することにより検出するtwo−hybri
d法を用いることを特徴とする。本発明の結合蛋白質決
定方法の具体的な説明を以下にする。まず、結合蛋白質
決定方法に用いる本発明の蛋白質をコードするDNAと
しては、本発明の配列番号:2で表されるアミノ酸配列
と実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質をコー
ドする塩基配列またはその部分ペプチドをコードする塩
基配列を含有するものであればいかなるものであっても
よい。また、温血動物(例、ヒトなど)のゲノムDN
A、温血動物(例、ヒトなど)のゲノムDNAライブラ
リー、温血動物(例、ヒトなど)の組織・細胞由来のc
DNA、温血動物(例、ヒトなど)の組織・細胞由来の
cDNAライブラリーより自体公知の方法により単離さ
れたDNA、合成または半合成DNAのいずれでもよ
い。ライブラリーに使用するベクターはバクテリオファ
ージ、プラスミド、コスミド、ファージミドなどのいず
れであってもよい。一方、組織・細胞よりmRNA画分
を調製したものを用いて直接RT−PCR法によって単
離することもでき、あるいは、部分的な塩基配列をそれ
ぞれ化学的に合成し、それらを連結させることによって
製造することもできる。
【0034】スクリーニングする被験蛋白質ライブラリ
ーとしては、市販の各種動物の種々臓器由来のcDNA
ライブラリー(Clontech社製 MATCHMA
KER cDNAなど)などが用いられる。DNA結合
領域と被験蛋白質の融合蛋白質を発現させるベクターと
しては、pAS2−1、pGBT9、pKAD−09、
pSD09、pEG202、pBTM116などが用い
られる。転写因子の活性化領域と蛋白質の融合蛋白質を
発現させるベクターとしては、pGAD424、pAC
T2、pKT10Gal−VP、pJG4−5、pVP
16などが用いられる。転写因子としては、GAL4、
LexA、SRFなどが用いられる。レポーター遺伝子
としては、b−ガラクトシダーゼ遺伝子(LacZ)、
ヒスチジン遺伝子(HIS3)、ルシフェラーゼ遺伝
子、クロラムフェニコールアセチル転移酵素遺伝子など
が用いられる。宿主細胞としては、酵母(Saccha
romyces cerevisiae)、大腸菌など
が用いられ、その中でもCG−1945、Y190、Y
187、HF7c、SFY526、L40、EGY4
8、HIS/L1、62L酵母株などが用いられる。具
体的には、該蛋白質に結合する蛋白質の決定方法は、ま
ず該蛋白質をコードする塩基配列を含むDNA断片とプ
ラスミド(例えば、pAS2−1)上のDNA結合領域
をコードする塩基配列を含むDNA断片と同じ続き枠に
結合したプラスミド、およびプラスミド(例えば、pA
CT2)上の転写因子(例えば、GAL4)の転写活性
化領域をコードする塩基配列を含むDNA断片と結合
し、融合蛋白質の形で発現されるcDNAライブラリー
を、例えば、モレキュラー クローニング(Molec
ular Cloning)2nd ( J.Sambro
ok et.al., Cold Spring Harbo
r Lab.Press,1989)に記載の方法などに
従って作成することができる。
【0035】上記の2種のプラスミドを宿主細胞(例え
ば、サッカロミマイセス セレビシエ Y190)に導
入するには、これらで同時に形質転換してもよいし、ま
たは一方のプラスミドを先に導入した後に他方を逐次導
入してもよく、例えば、メッソズ・イン・エンザイモロ
ジー(Methods in Enzymology),
194巻,182−187(1991)、プロシージン
グズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイ
エンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエ−(Proc. Na
tl. Acad. Sci. USA)75巻,1929
(1978)などに記載の方法に従って行うことができ
る。形質転換体のレポーター遺伝子の発現、レポーター
酵素の発色物質、蛍光物質の生成量あるいは発光量等に
変換して検出できる。より具体的には、宿主細胞が酵母
の場合、レポーター遺伝子の発現(例えば、β−ガラク
トシダーゼ活性)は、レプリカプレート法またはフィル
ター法を、好ましくはフィルター法を用いて青/白の呈
色スクリーニングにより検出することができる。フィル
ター法で呈色(例えば、青色)したコロニーは、例え
ば、ア・プラクチカル・アプローチ(A Practi
cal Approach)(Bartel,P.L.
et al.,Oxford University P
ress,Oxford;153−179,1993
a)などに記載の方法に従い処理されることにより、ポ
ジティブクローンの単一コロニーを分離することができ
る。分離した単一の形質転換体より、例えば、ジーン
(Gene),57巻,267(1987)、バイオ・
テクニクス(Bio Techniques),14
巻,552(1993)などに記載の方法に従い、プラ
スミドDNAを回収し、そのDNAの塩基配列の決定に
より、本発明の蛋白質に対する受容体を決定することが
できる。また、市販のキット、例えば、MATCHMA
KER GAL4 Two−Hybrid System
s(Clontech社製)などを使用しても本発明の
蛋白質に対する結合蛋白質を決定することができ、その
場合は、添付の使用説明書に記載の方法に従って行うこ
とができる。
【0036】(2)本発明の蛋白質欠乏症の予防・治療
剤 上記(1)の方法において、本発明の蛋白質に対する結
合蛋白質が明らかになれば、該結合蛋白質の発現部位お
よび該結合蛋白質を介した本発明の蛋白質が有する作用
などを明らかにすることができる。これらの知見を基
に、本発明の蛋白質をコードするDNAは、該結合蛋白
質を介した疾患の予防・治療剤として使用することがで
きる。また、本発明の蛋白質はアクチビン受容体への結
合活性を示すことより、アクチビン受容体を介した疾患
の予防・治療剤として使用することができる。例えば、
本発明の蛋白質の遺伝子が心臓、脳、肝臓、骨格筋、腎
臓、精巣、肺、脾臓などに発現することから、これら臓
器において、該結合蛋白質またはアクチビン受容体に関
連した疾患を発症している患者がいる場合に(イ)本発
明の蛋白質をコードするDNAを該患者に投与し発現さ
せることによって、あるいは(ロ)これら臓器の細胞な
どに本発明の蛋白質をコードするDNAを挿入し発現さ
せた後に、該細胞を該患者の臓器に移植することなどに
よって、該患者のこれら臓器における本発明の蛋白質の
作用を充分に発揮させることができる。従って、本発明
の蛋白質をコードするDNAは、安全で低毒性な本発明
の蛋白質に対する結合蛋白質を介した疾患の予防・治療
剤として使用することができる。本発明のDNAを上記
治療剤として使用する場合は、該DNAを単独あるいは
レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、ア
デノウイルスアソシエーテッドウイルスベクターなどの
適当なベクターに挿入した後、常套手段に従って実施す
ることができる。例えば、必要に応じて糖衣を施した錠
剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤な
どとして経口的に、あるいは水もしくはそれ以外の薬学
的に許容し得る液との無菌性溶液、または懸濁液剤など
の注射剤の形で非経口的に使用できる。例えば、本発明
のDNAを生理学的に認められる担体、香味剤、賦形
剤、ベヒクル、防腐剤、安定剤、結合剤などとともに一
般に認められた製剤実施に要求される単位用量形態で混
和することによって製造することができる。これら製剤
における有効成分量は指示された範囲の適当な容量が得
られるようにするものである。
【0037】錠剤、カプセル剤などに混和することがで
きる添加剤としては、例えばゼラチン、コーンスター
チ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性
セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチ
ン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグ
ネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリ
ンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチ
ェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態
がカプセルである場合には、前記タイプの材料にさらに
油脂のような液状担体を含有することができる。注射の
ための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性
物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油など
を溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施にしたが
って処方するとができる。注射用の水性液としては生理
食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例え
ば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリ
ウムなど)などがあげられ、適当な溶解補助剤、例え
ば、アルコール(例えば、エタノール)、ポリアルコー
ル(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリ
コール)、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソルベ
ート80(商品名)、HCO−50)などと併用しても
よい。油性液としてはゴマ油、大豆油などがあげられ、
溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアルコー
ルなどと併用してもよい。また、緩衝剤(例えば、リン
酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液)、無痛化剤(例え
ば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインなど)、安
定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリ
コールなど)、保存剤(例えば、ベンジルアルコール、
フェノールなど)、酸化防止剤などと配合してもよい。
調製された注射液は通常、適当なアンプルに充填され
る。このようにして得られる製剤は安全で低毒性である
ので、例えば哺乳動物(例えば、ラット、ウサギ、ヒツ
ジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サル、ヒトなど)に対し
て投与することができる。該DNAの投与量は、症状な
どにより差異はあるが、経口投与の場合、一般的に成人
(60Kgとして)においては、一日につき約0.1か
ら100mg、好ましくは約1.0から50mg、より
好ましくは約1.0から20mgである。非経口的に投
与する場合は、その1回投与量は投与対象、対象臓器、
症状、投与方法などによっても異なるが、例えば注射剤
の形では通常成人(60Kgとして)においては、一日
につき約0.01から30mg程度、好ましくは約0.
1から20mg程度、より好ましくは0.1から10m
g程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他
の動物の場合も、60Kg当たりに換算した量を投与す
ることができる。
【0038】(3)本発明の蛋白質とその結合蛋白質と
の結合を阻害あるいは促進する化合物のスクリーニング
方法 本発明の蛋白質またはその塩を用いるか、または組換え
型結合蛋白質の発現系を構築し、該発現系を用いた蛋白
質競合的結合アッセイ系を用いることによって本発明の
蛋白質と結合蛋白質との結合を阻害あるいは促進する化
合物(例えば、ペプチド、蛋白質、非ペプチド性化合
物、合成化合物、発酵生産物など)またはその塩をスク
リーニングすることができる。さらに、本発明の蛋白質
をコードするDNAを導入した形質転換体での2種の蛋
白質の相互作用によるレポーター遺伝子の発現系(tw
o−hybrid法)を用いることによっても、本発明
の蛋白質と結合蛋白質(例えば、アクチビン受容体)と
の結合を阻害あるいは促進する化合物(例えば、ペプチ
ド、蛋白質、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生
産物など)またはその塩をスクリーニングすることがで
きる。このような化合物には、結合蛋白質を介して細胞
刺激活性(例えば、増殖促進、細胞内蛋白質のリン酸化
などを促進あるいは抑制する活性など)を有する化合物
(いわゆる本発明の蛋白質に対するアゴニスト)と該細
胞刺激活性を有しない化合物(いわゆる本発明の蛋白質
に対するアンタゴニスト)などが含まれる。
【0039】すなわち、本発明は、1)(i)本発明の
蛋白質に対する結合蛋白質に、本発明の蛋白質またはそ
の塩を接触させた場合と(ii)本発明の蛋白質に対する
結合蛋白質に、本発明の蛋白質またはその塩および被験
化合物を接触させた場合との比較を行なうこと、また
は、2)(i)本発明の蛋白質および本発明の蛋白質に
対する結合蛋白質(例えば、アクチビン受容体)をコー
ドするDNAを導入した形質転換体と(ii)被験化合物
を接触させた場合の該形質転換体との比較を行なうこと
を特徴とする、本発明の蛋白質と本発明の蛋白質に対す
る結合蛋白質との結合を阻害あるいは促進する化合物ま
たはその塩のスクリーニング方法を提供する。本発明の
スクリーニング方法においては、1)(i)本発明の蛋
白質に対する結合蛋白質に、本発明の蛋白質またはその
塩を接触させた場合と(ii)本発明の蛋白質に対する結
合蛋白質に、本発明の蛋白質またはその塩および被験化
合物を接触させた場合における、例えば、本発明の蛋白
質の結合蛋白質に対する、該蛋白質またはその塩の結合
量、細胞刺激活性などを測定して比較すること、また
は、2)(i)本発明の蛋白質および本発明の蛋白質に
対する結合蛋白質(例えば、アクチビン受容体)をコー
ドするDNAを導入した形質転換体と(ii)試験化合物
を接触させた該形質転換体における、例えば、呈色度な
どによるレポーター遺伝子の発現の程度を比較すること
を特徴とする。
【0040】より具体的には、本発明は、 標識した本発明の蛋白質またはその塩を、本発明の蛋
白質に対する結合蛋白質に接触させた場合と、標識した
本発明の蛋白質またはその塩および被験化合物を本発明
の蛋白質に対する結合蛋白質に接触させた場合におけ
る、標識した本発明の蛋白質またはその塩の該結合蛋白
質に対する結合量を測定し、比較することを特徴とす
る、本発明の蛋白質またはその塩と該結合蛋白質との結
合を阻害あるいは促進する化合物またはその塩のスクリ
ーニング方法、 本発明の蛋白質に対する結合蛋白質が膜結合型の蛋白
質(例えば、膜貫通型受容体、チャンネル等)の場合、
標識した本発明の蛋白質またはその塩を、本発明の蛋白
質に対する結合蛋白質を含有する細胞または該細胞の膜
画分に接触させた場合と、標識した本発明の蛋白質また
はその塩および被験化合物を本発明の蛋白質に対する結
合蛋白質を含有する細胞または該細胞の膜画分に接触さ
せた場合における、標識した本発明の蛋白質またはその
塩の該細胞または該膜画分に対する結合量を測定し、比
較することを特徴とする、本発明の蛋白質またはその塩
と該結合蛋白質との結合を阻害あるいは促進する化合物
またはその塩のスクリーニング方法、 標識した本発明の蛋白質またはその塩を、本発明の蛋
白質に対する結合蛋白質(例えば、アクチビン受容体)
をコードするDNAを含有する形質転換体を培養するこ
とによって細胞内に発現した結合蛋白質に接触させた場
合と、標識した本発明の蛋白質またはその塩および被験
化合物を本発明の蛋白質に対する結合蛋白質をコードす
るDNAを含有する形質転換体を培養することにより細
胞内に発現した結合蛋白質に接触させた場合における、
標識した本発明の蛋白質またはその塩の該結合蛋白質に
対する結合量を測定し、比較することを特徴とする、本
発明の蛋白質またはその塩と該結合蛋白質との結合を阻
害あるいは促進する化合物またはその塩のスクリーニン
グ方法、および 本発明の蛋白質の遺伝子を発現せしめるプラスミドと
本発明の蛋白質に対する結合蛋白質(例えば、アクチビ
ン受容体)の遺伝子を発現せしめるプラスミドとを導入
された宿主細胞と、該宿主細胞を被験化合物に接触させ
た場合における、該宿主細胞内での本発明の蛋白質およ
び本発明の蛋白質に対する結合蛋白質の相互作用により
発現が制御されている遺伝子群の発現、あるいは生理学
的反応(例えば、該結合蛋白質がアクチビン受容体の場
合、FSHの分泌等)を比較することを特徴とする本発
明の蛋白質またはその塩と該結合蛋白質との結合を阻害
あるいは促進する化合物またはその塩のスクリーニング
方法を提供する。
【0041】本発明のスクリーニング方法の具体的な説
明を以下にする。まず、本発明のスクリーニング方法に
用いる結合蛋白質(例えば、アクチビン受容体)として
は、該結合蛋白質またはそれらの塩を含有するものであ
れば何れのものであってもよいが、温血動物の臓器の抽
出物が好適である。しかし、特にヒト由来の臓器は入手
が極めて困難なことから、スクリーニングに用いられる
ものとしては、遺伝子組換技術を用いて大量発現させた
結合蛋白質またはその塩が適している。結合蛋白質を製
造するには、前述の方法が用いられるが、例えば、該蛋
白質をコードするDNAを哺乳動物細胞や昆虫細胞で発
現することにより行うことができる。目的部分をコード
するDNA断片には相補DNAが用いられるが、必ずし
もこれに制約されるものではなく、例えば、遺伝子断片
や合成DNAを用いてもよい。該結合蛋白質をコードす
るDNA断片を宿主動物細胞に導入し、それらを効率よ
く発現させるためには、該DNA断片を昆虫を宿主とす
るバキュロウイルスに属する核多角体病ウイルス(nu
clear polyhedrosis virus;N
PV)のポリヘドリンプロモーター、SV40由来のプ
ロモーター、レトロウイルスのプロモーター、メタロチ
オネインプロモーター、ヒト・ヒートショツクプロモー
ター、サイトメガロウイルスプロモーター、SRαプロ
モターなどの下流に組み込むのが好ましい。発現した結
合蛋白質の量と質の検査はそれ自体公知の方法で行うこ
とができる。例えば、文献〔Nambi.P.ら、ザ・
ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー
(J.Biol.Chem.),267巻,19555
〜19559頁,1992年〕に記載の方法に従って行
うことができる。したがって、本発明のスクリーニング
方法において、結合蛋白質またはその塩を含有するもの
としては、それ自体公知の方法に従って精製した結合蛋
白質またはその塩であってもよいし、該蛋白質を含有す
る細胞を用いてもよく、また該蛋白質が膜結合蛋白質の
場合、それを含有する細胞の膜画分を用いてもよい。本
発明のスクリーニング方法において、結合蛋白質を含有
する細胞を用いる場合、該細胞をグルタルアルデヒド、
ホルマリンなどで固定化してもよい。固定化方法はそれ
自体公知の方法に従って行うことができる。
【0042】結合蛋白質を含有する細胞としては、結合
蛋白質を発現した宿主細胞をいうが、該宿主細胞として
は、大腸菌、枯草菌、酵母、昆虫細胞、動物細胞などが
挙げられる。膜画分としては、細胞を破砕した後、それ
自体公知の方法で得られる細胞膜が多く含まれる画分の
ことをいう。細胞の破砕方法としては、Potter−
Elvehjem型ホモジナイザーで細胞を押し潰す方
法、ワーリングブレンダーやポリトロン(Kinell
matica社製)のよる破砕、超音波による破砕、フ
レンチプレスなどで加圧しながら細胞を細いノズルから
噴出させることによる破砕などが挙げられる。細胞膜の
分画には、分画遠心分離法や密度勾配遠心分離法などの
遠心力による分画法が主として用いられる。例えば、細
胞破砕液を低速(500から3000rpm)で短時間
(通常、約1から10分)遠心し、上清をさらに高速
(15000から30000rpm)で通常30分から
2時間遠心し、得られる沈澱を膜画分とする。該膜画分
中には、発現した結合蛋白質と細胞由来のリン脂質や膜
蛋白質などの膜成分が多く含まれる。該結合蛋白質を含
有する細胞や膜画分中の結合蛋白質の量は、1細胞当た
り102から108分子であるのが好ましく、105から
107分子であるのが好適である。なお、発現量が多い
ほど細胞抽出物あるいは膜画分当たりの本発明の蛋白質
との結合活性(比活性)が高くなり、高感度なスクリー
ニング系の構築が可能になるばかりでなく、同一ロット
で大量の試料を測定できるようになる。本発明の蛋白質
と本発明の蛋白質に対する結合蛋白質との結合を阻害す
る化合物をスクリーニングする前記の〜を実施する
ためには、適当な結合蛋白質画分と、標識した本発明の
蛋白質が必要である。該結合蛋白質画分としては、天然
型の結合蛋白質画分か、またはそれと同等の活性を有す
る組換え型結合蛋白質画分などが望ましい。ここで、同
等の活性とは、本発明の蛋白質に対する同等の結合活性
などを示す。
【0043】標識した本発明の蛋白質としては、標識し
た本発明の蛋白質、標識した本発明の蛋白質アナログ化
合物などが用いられる。例えば〔3H〕、〔125I〕、〔
14C〕、〔135S〕など標識された本発明の蛋白質など
を利用することができる。具体的には、本発明の蛋白質
と本発明の蛋白質に対する結合蛋白質との結合を阻害す
る化合物のスクリーニングを行うには、まず、該結合蛋
白質を含有する細胞または細胞の膜画分を、スクリーニ
ングに適した緩衝液に懸濁することにより結合蛋白質標
品を調製する。緩衝液には、pH4から10(望ましく
はpH6から8)のリン酸緩衝液、トリス−塩酸緩衝液
などの本発明の蛋白質と本発明の蛋白質に対する結合蛋
白質との結合を阻害しない緩衝液であればいずれでもよ
い。また、非特異的結合を低減させる目的で、CHAP
S、Tween−80(商品名)(花王−アトラス社
製)、ジギトニン、デオキシコレートなどの界面活性剤
を緩衝液に加えることもできる。さらに、プロテアーゼ
による結合蛋白質や本発明の蛋白質の分解を抑える目的
でPMSF、ロイペプチン、E−64(ペプチド研究所
製)、ペプスタチンなどのプロテアーゼ阻害剤を添加す
ることもできる。0.01から10mlの該結合蛋白質
溶液に、一定量(5000から500000cpm)の
標識した本発明の蛋白質を添加し、同時に10-4から1
-10Mの試験化合物を共存させる。非特異的結合量
(NSB)を知るために大過剰の未標識の本発明の蛋白
質を加えた反応チューブも用意する。反応は0から50
℃、望ましくは4から37℃で20分から24時間、望
ましくは30分から3時間行う。反応後、ガラス繊維濾
紙等で濾過し、適量の同緩衝液で洗浄した後、ガラス繊
維濾紙に残存する放射活性を液体シンチレーションカウ
ンターまたはγ−カウンターで計測する。拮抗する物質
がない場合のカウント(B0)から非特異的結合量(N
SB)を引いたカウント(B0―NSB)を100%と
した時、特異的結合量(B−NSB)が例えば50%以
下になる試験化合物を拮抗阻害能力のある候補物質とし
て選択することができ、一方、特異的結合量(B−NS
B)が例えば150%以上になる被験化合物を結合促進
能力のある候補化合物として選択することができる。
【0044】本発明の蛋白質と本発明の蛋白質に対する
結合蛋白質との結合を阻害あるいは促進する化合物スク
リーニングする前記のの方法を実施するためには、本
発明の蛋白質の遺伝子を発現せしめるプラスミドと本発
明の蛋白質に対する結合蛋白質(例えば、アクチビン受
容体)の遺伝子を発現せしめるプラスミドとを導入され
た宿主細胞内での、本発明の蛋白質および本発明の蛋白
質に対する結合蛋白質の相互作用により発現が制御され
ている遺伝子群の発現、あるいは生理学的反応(例え
ば、該結合蛋白質がアクチビン受容体の場合、FSHの
分泌等)を公知の方法を用いて測定することができる。
具体的には、宿主細胞が酵母の場合、まず、酵母細胞に
本発明の蛋白質と転写制御因子のDNA結合領域とを融
合させた蛋白質を発現せしめるプラスミドと本発明の蛋
白質に対する結合蛋白質(例えば、アクチビン受容体)
と転写制御因子の活性化領域とを融合させた蛋白質を発
現せしめるプラスミドとを導入した形質転換体を前述と
同様の方法にて作製する。スクリーニングを行なうにあ
たっては、この形質転換体を10-4から10-10Mの被
験化合物を含む寒天培地上で30℃で2から4日間培養
する。寒天培地としては、トリプトファン/ロイシン/
ヒスチジン欠損SD培地、トリプトファン/ロイシン欠
損SD培地などが用いられる。その後、レポーター遺伝
子の発現をβ−ガラクトシダーゼ活性によるコロニーの
呈色として検出するために、フィルター法などを用いて
検出する。検出は、形質転換体が付着したフィルター上
に、Z緩衝液/X−gal(Clontech社)で湿
らせたワットマン#5フィルターまたはVWRグレード
410フィルターを置き、30℃で30分から8時間保
温した後、フィルター上のコロニーの呈色を、被験化合
物を含まないコントロールとしての形質転換体との呈色
の度合いを比較する。この時、コントロールと比して、
より濃い呈色を示すコロニーの培養培地に加えた被験化
合物を結合促進能力のある候補化合物として、また、よ
り薄い呈色を示すコロニーの培養培地に加えた被験化合
物を結合阻害能力のある候補化合物として選択すること
ができる。また、レポーター遺伝子の発現をβ−ガラク
トシダーゼ活性として、基質の分解により生成するo−
ニトロフェノール量を測定することにより定量すること
もできる。まず、形質転換体を10-4から10-10Mの
被験化合物を含む液体培地上で30℃で8から24時間
振盪培養する。液体培地としては、トリプトファン/ロ
イシン/ヒスチジン欠損SD培地、トリプトファン/ロ
イシン欠損SD培地などが用いられる。好ましくは一夜
培養した後、培養液の一部をYPD培地に植菌し、OD
600が0.5から1.0となるように30℃で3から5
時間振盪培養する。その培養液の一部を遠心した残渣の
Z緩衝液/β−メルカプトエタノール混合物中にo−ニ
トロフェニルガラクトシド溶液(Sigma社)を加え
反応させる。反応は、0から50℃で、3分から24時
間、望ましくは、30℃で、30分から15時間行い、
黄色に着色した上清の420nmの吸光度(OD420
を測定する。β−ガラクトシダーゼ活性は、得られた吸
光度(OD420)より以下の計算式を用いて、ミラー単
位(Miller unit)として算出する。
【0045】被験化合物を培地に添加することにより、
β−ガラクトシダーゼ活性値が約10%以上、好ましく
は約20%以上、より好ましくは約30%以上、最も好
ましくは約50%以上増加した場合、該被験化合物を本
発明の蛋白質と本発明の蛋白質に対する結合蛋白質との
結合を促進する能力のある候補化合物として選択するこ
とができる。一方、被験化合物を培地に添加することに
より、β−ガラクトシダーゼ活性値が約10%以上、好
ましくは約20%以上、より好ましくは約30%以上、
最も好ましくは約50%以上低下した場合、該被験化合
物を本発明の蛋白質と本発明の蛋白質に対する結合蛋白
質との結合を阻害する能力のある候補化合物として選択
することができる。レポーター遺伝子の発現活性を測定
してスクリーニングを行なうには、本発明の蛋白質に対
する結合蛋白質(例えば、アクチビン受容体)をコード
するDNAが必要である。本発明の蛋白質に対する結合
蛋白質をコードするDNAとしては、該DNAを含有す
るDNAまたはそれらとハイストリンジェントな条件下
でハイブリダイズするDNAなどが望ましい。被験化合
物としては、例えば、ペプチド、タンパク、非ペプチド
性化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物
抽出液、動物組織抽出液などが挙げられ、これら化合物
は新規な化合物であってもよいし、公知の化合物であっ
てもよい。
【0046】本発明の蛋白質と本発明の蛋白質に対する
結合蛋白質との結合を阻害あるいは促進する化合物また
はその塩のスクリーニング用キットは、本発明の蛋白質
またはその塩、その部分ペプチドまたはその塩、本発明
の蛋白質に対する結合蛋白質を含有する細胞、本発明の
蛋白質に対する結合蛋白質を含有する細胞の抽出画分、
あるいは本発明の蛋白質と転写制御因子のDNA結合領
域を融合させた蛋白質を発現せしめるプラスミドと本発
明の蛋白質に対する結合蛋白質と転写制御因子の活性化
領域を融合させた蛋白質を発現せしめるプラスミドとを
導入した形質転換体を含有するものである。本発明のス
クリーニング用キットの例としては、次のものが挙げら
れる。 1.スクリーニング用試薬 形質転換体 本発明の蛋白質と転写制御因子のDNA結合領域を融合
した蛋白質を発現せしめるプラスミドとアクチビンIIA
受容体蛋白質と転写制御因子の活性化領域を融合した蛋
白質を発現せしめるプラスミドとを導入し、形質転換し
た酵母Y190株 液体培養培地 トリプトファン/ロイシン/ヒスチジン欠損SD培地:
酵母窒素源(Difco社)水溶液をオートクレーブで
滅菌後、L−イソロイシン、L−バリン、L−アデニン
ヘミ硫酸塩、L−アルギニン塩酸塩、L−リジン塩酸
塩、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−スレ
オニン、L−チロシン、L−ウラシルよりなるオートク
レーブで滅菌し4℃で保存したドロップアウト溶液を加
える。さらに、フィルターで濾過滅菌した40%デキス
トロース/ストック溶液(Sigma社)を加え、2%
になるように調整し、4℃で保存するか、あるいは用時
調製してもよい。YPD培地:Difco ペプトンに
酵母抽出物の水溶液をオートクレーブで滅菌後、フィル
ターで濾過滅菌した40%デキストロースを加え最終濃
度を2%に調整し、4℃で保存するか、あるいは用時調
製してもよい。 緩衝液 Z緩衝液:Na2HPO4・7H2O、NaH2PO4・H2
O、KCl、MgSO4・7H2Oを含み、pHを7付近
に調整後、オートクレーブで滅菌し、4℃で保存する
か、あるいは用時調製してもよい。Z緩衝液/β−メル
カプトエタノール:Z緩衝液100に対してβ−メルカ
プトエタノールを0.27の割合で加えたもの。 β−ガラクトシダーゼの基質 o−ニトロフェニルガラクトシド溶液(Sigma社)
をZ緩衝液に溶解し、4mg/mlの濃度に調整したも
ので用時調製する。 反応停止液 4℃で保存した1M 炭酸ナトリウム溶液を用いるか、
あるいは用時調製してもよい。
【0047】2.測定法 10-3から10-10Mの被験化合物溶液を5μl加えた
1mlのトリプトファン/ロイシン欠損SD培地で酵母
形質転換体を30℃で一夜振盪培養する。 培養液0.4mlを1.6mlのYPD培地中に加
え、OD600が0.5から1.0となるように30℃で
3から5時間振盪培養する。 0.3mlの培養液を14000rpmで30秒間遠
心し、残渣を0.3mlのZ緩衝液に懸濁し、再度遠心
後、沈殿を0.1mlのZ緩衝液に懸濁する。 液体窒素にて一旦凍結後、37℃で30秒から1分間
かけて溶解する。0.7mlのZ緩衝液/β−メルカプ
トエタノール混液と0.16mlのo−ニトロフェニル
ガラクトシド溶液を加え、30℃で溶液が黄色になるま
で保温し、この後0.4mlの1M 炭酸ナトリウム溶
液を加える。 14000rpmで10分間遠心し、その上清の42
0nmにおける吸光度を測定し、β−ガラクトシダーゼ
活性をミラー単位(Miller unit)として次
の式〔数1〕で求める。
【0048】〔数1〕 β−ガラクトシダーゼ活性=1000×OD420/(t
×V×OD600) OD420:420nmにおける吸光度 t:反応時間(分) V:反応に用いた、形質転換体のZ緩衝液の懸濁液量×
希釈倍率
【0049】本発明のスクリーニング方法またはスクリ
ーニング用キットを用いて得られる化合物またはその塩
は、本発明の蛋白質(なかでもPDZドメインを有し、
心臓、脳、肝臓、骨格筋、腎臓、精巣、肺、脾臓で発現
する蛋白質)と本発明の蛋白質に対する結合蛋白質(例
えば、アクチビン受容体)との結合を阻害する化合物ま
たは促進する化合物(以下、促進化合物)である。本発
明の蛋白質と本発明の蛋白質に対する結合蛋白質(例え
ば、アクチビン受容体)との結合を阻害する化合物に
は、本発明の蛋白質に対する結合蛋白に結合すること
によって、本発明の蛋白質と本発明の蛋白質に対する結
合蛋白との結合を阻害し、それ自体が結合蛋白質を介し
て細胞刺激活性を有する化合物またはその塩(いわゆる
アゴニスト)、本発明の蛋白質に対する結合蛋白に結
合することによって、本発明の蛋白質と本発明の蛋白質
に対する結合蛋白との結合を阻害するが、それ自体は結
合蛋白質を介した細胞刺激活性を有しない化合物または
その塩(いわゆるアンタゴニスト)、本発明の蛋白質
に対する結合蛋白に結合することなく、本発明の蛋白質
と本発明の蛋白質に対する結合蛋白との結合を阻害する
化合物(以下、阻害化合物と略記)またはその塩などが
含まれる。本発明のスクリーニング方法またはスクリー
ニング用キットを用いて得られる化合物またはその塩と
本発明の蛋白質に対する結合蛋白質との結合性の有無
は、上記した結合活性の測定法に従って確認することが
できる。結合蛋白質を介した細胞刺激活性は、それ自体
公知の方法あるいはそれに準じる方法に従って測定する
ことができる。
【0050】本発明のスクリーニング方法またはスクリ
ーニング用キットを用いて得られる化合物としては、ペ
プチド、タンパク、非ペプチド性化合物、合成化合物、
発酵生産物などが挙げられ、これら化合物は新規な化合
物であってもよいし、公知の化合物であってもよい。該
アゴニストおよび促進化合物は、本発明の蛋白質が有す
る生理活性と同様の作用を有するか、あるいはその生理
活性を増強する作用を有しているので、該蛋白質活性に
応じて安全で低毒性な医薬組成物、特に心臓、脳、肝
臓、骨格筋、腎臓、精巣、肺、脾臓などにおける、該結
合蛋白質またはアクチビン受容体に関連した疾患(例え
ば、アルツハイマー病、パーキンソン病、てんかん症、
ハンチントン舞踏症などの神経細胞異常または脳疾患な
ど)の予防・治療薬の予防治療薬として有用である。逆
に、該アンタゴニストまたは阻害化合物は、本発明の蛋
白質が有する生理活性を抑制することができるので、該
蛋白質活性を抑制する安全で低毒性な医薬組成物、特に
心臓、脳、肝臓、骨格筋、腎臓、精巣、肺、脾臓におけ
る、該結合蛋白質またはアクチビン受容体に関連した疾
患(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、てん
かん症、ハンチントン舞踏症などの神経細胞異常または
脳疾患など)の予防治療薬として有用である。本発明の
スクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用
いて得られる化合物またはその塩を上述の医薬組成物と
して使用する場合、常套手段に従って実施することがで
きる。例えば、必要に応じて糖衣を施した錠剤、カプセ
ル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤などとして経
口的に、あるいは水もしくは、それ以外の薬学的に許容
し得る液との無菌性溶液、または懸濁液剤などの注射剤
の形で非経口的に使用できる。例えば、該化合物または
その塩を生理学的に認められる担体、香味剤、賦形剤、
ベヒクル、防腐剤、安定剤、結合剤などとともに一般に
認められた製薬実施に要求される単位用量形態で混和す
ることによって製造することができる。これら製剤にお
ける有効成分量は指示された範囲の適当な容量が得られ
るようにするものである。
【0051】錠剤、カプセル剤などに混和することがで
きる添加剤としては、例えばゼラチン、コーンスター
チ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性
セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチ
ン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグ
ネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリ
ンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチ
ェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態
がカプセルである場合には、前記タイプの材科にさらに
油脂のような液状担体を含有することができる。注射の
ための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性
物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油など
を溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施にしたが
って処方するとができる。注射用の水性液としては、例
えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等
張液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、
塩化ナトリウムなど)などがあげられ、適当な溶解補助
剤、たとえばアルコール(たとえばエタノール)、ポリ
アルコール(たとえばプロピレングリコール、ポリエチ
レングリコール)、非イオン性界面活性剤(例えば、ポ
リソルベート80(TM)、HCO−50)などと併用
してもよい。油性液としてはゴマ油、大豆油などがあげ
られ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルア
ルコールなどと併用してもよい。また、緩衝剤(例え
ば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液)、無痛化
剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインな
ど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチ
レングリコールなど)、保存剤(例えば、ベンジルアル
コール、フェノールなど)、酸化防止剤などと配合して
もよい。調整された注射液は通常、適当なアンプルに充
填される。このようにして得られる製剤は安全で低毒性
であるので、例えば温血哺乳動物(例えば、ラット、ウ
サギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サル、ヒトな
ど)に対して投与することができる。該化合物またはそ
の塩の投与量は、症状などにより差異はあるが、経口投
与の場合、一般的に成人(60Kgとして)において
は、通常、一日につき約0.1から100mg、好まし
くは約1.0から50mg、より好ましくは約1.0か
ら20mgである。非経口的に投与する場合は、その1
回投与量は投与対象、対象臓器、症状投与方法などによ
っても異なるが、例えば、注射剤の形では通常成人(6
0Kgとして)においては、通常、一日につき約0.0
1から30mg程度、好ましくは約0.1から20mg
程度、より好ましくは約0.1から10mg程度を静脈
注射により投与するのが好都合である。ヒト以外の動物
の場合も、60Kg当たりに換算した時に同等となるよ
うな量を投与することができる。
【0052】(4)本発明の蛋白質、その部分ペプチド
またはそれらの塩の定量 本発明の蛋白質抗体は、本発明の蛋白質等を特異的に認
識することができるので、被検液中の本発明の蛋白質等
の定量、特にサンドイッチ免疫測定法による定量などに
使用することができる。すなわち、本発明は、(i)本
発明の蛋白質等に反応する抗体と、被検液および標識化
された本発明の蛋白質等とを競合的に反応させ、該抗体
に結合した標識化された本発明の蛋白質等の割合を測定
することを特徴とする、被検液中の本発明の蛋白質等の
定量法、(ii)被検液と担体上に不溶化した本発明の抗
体および標識化された本発明の抗体とを同時あるいは連
続的に反応させたのち、不溶化担体上の標識剤の活性を
測定することを特徴とする被検液中の本発明の蛋白質等
の定量法において、一方の抗体が本発明の蛋白質等のN
端部あるいはC端部を認識する抗体で、他方の抗体が配
列番号:2のアミノ酸配列に反応する抗体であることを
特徴とする、被検液中の本発明の蛋白質等の定量法を提
供する。本発明の蛋白質等を認識するモノクローナル抗
体(以下、抗蛋白質抗体と称する場合がある)を用いて
本発明の蛋白質等の測定を行なえるほか、組織染色等に
よる検出を行なうこともできる。これらの目的には、抗
体分子そのものを用いてもよく、また、抗体分子のF
(ab’)2、Fab’あるいはFab画分を用いても
よい。本発明の抗体を用いる本発明の蛋白質等の測定法
は、特に制限されるべきものではなく、被測定液中の抗
原量(例えば本発明の蛋白質量)に対応した抗体、抗原
もしくは抗体−抗原複合体の量を化学的または物理的手
段により検出し、これを既知量の抗原を含む標準液を用
いて作製した標準曲線より算出する測定法であれば、い
ずれの測定法を用いてもよい。例えば、ネフロメトリ
ー、競合法、イムノメトリック法およびサンドイッチ法
が好適に用いられるが、感度、特異性の点で、後述する
サンドイッチ法を用いるのが特に好ましい。
【0053】標識物質を用いる測定法に用いられる標識
剤としては、放射性同位元素、酵素、蛍光物質、発光物
質などが挙げられる.放射性同位元素としては、例えば
125I〕、〔131I〕、〔3H〕、〔14C〕などが、上
記酵素としては、安定で比活性の大きなものが好まし
く、例えばβ-ガラクトシダーゼ、β-グルコシダーゼ、
アルカリフォスファターゼ、パーオキシダーゼ、リンゴ
酸脱水素酵素等が、蛍光物質としては、フルオレスカミ
ン、フルオレッセンイソチオシアネートなどが発光物質
としては、ルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェリ
ン、ルシゲニンなどがそれぞれ挙げられる。さらに、抗
体あるいは抗原と標識剤との結合にビオチン−アビジン
系を用いることもできる。抗原あるいは抗体の不溶化に
当っては、物理吸着を用いてもよく、また通常蛋白質あ
るいは酵素等を不溶化、固定化するのに用いられる化学
結合を用いる方法でもよい。担体としては、アガロー
ス、デキストラン、セルロースなどの不溶性多糖類、ポ
リスチレン、ポリアクリルアミド、シリコン等の合成樹
脂、あるいはガラス等が挙げられる。サンドイッチ法に
おいては不溶化した抗蛋白質抗体に被検液を反応させ
(1次反応)、さらに標識化した抗蛋白質抗体を反応さ
せ(2次反応)たのち、不溶化担体上の標識剤の活性を
測定することにより被検液中の本発明の蛋白質量を定量
することができる.1次反応と2次反応は逆の順序に行
っても、また、同時に行なってもよいし時間をずらして
行なってもよい。標識化剤および不溶化の方法は前記の
それらに準じることができる。また、サンドイッチ法に
よる免疫測定法において、固相用抗体あるいは標識用抗
体に用いられる抗体は必ずしも1種類である必要はな
く、測定感度を向上させる等の目的で2種類以上の抗体
の混合物を用いてもよい。本発明のサンドイッチ法によ
る本発明の蛋白質等の測定法においては1次反応と2次
反応に用いられる抗蛋白質抗体は本発明の蛋白質等の結
合する部位が相異なる抗体が好ましく用いられる。即
ち、1次反応および2次反応に用いられる抗体は、例え
ば、2次反応で用いられる抗体が、本発明の蛋白質等の
C端部あるいはN端部を認識する場合、1次反応で用い
られる抗体は、好ましくは配列番号:2で表されるアミ
ノ酸配列を認識する抗体が用いられる。
【0054】本発明の蛋白質等に対する抗体をサンドイ
ッチ法以外の測定システム、例えば、競合法、イムノメ
トリック法あるいはネフロメトリーなどに用いることが
できる。競合法では、被検液中の抗原と標識抗原とを抗
体に対して競合的に反応させたのち、末反応の標識抗原
と(F)と抗体と結合した標識抗原(B)とを分離し
(B/F分離)、B、Fいずれかの標識量を測定し、被
検液中の抗原量を定量する。本反応法には、抗体として
可溶性抗体を用い、B/F分離をポリエチレングリコー
ル、前記抗体に対する第2抗体などを用いる液相法、お
よび、第1抗体として固相化抗体を用いるか、あるい
は、第1抗体は可溶性のものを用い第2抗体として固相
化抗体を用いる固相化法とが用いられる。イムノメトリ
ック法では、被検液中の抗原と固相化抗原とを一定量の
標識化抗体に対して競合反応させた後固相と液相を分離
するか、あるいは、被検液中の抗原と過剰量の標識化抗
体とを反応させ、次に固相化抗原を加え未反応の標識化
抗体を固相に結合させたのち、固相と液相を分離する。
次に、いずれかの相の標識量を測定し被検液中の抗原量
を定量する。また、ネフロメトリーでは、ゲル内あるい
は溶液中で抗原抗体反応の結果生じた不溶性の沈降物の
量を測定する。被検液中の抗原量が僅かであり、少量の
沈降物しか得られない場合にもレーザーの散乱を利用す
るレーザーネフロメトリーなどが好適に用いられる。
【0055】これら個々の免疫学的測定法を本発明の測
定方法に適用するにあたっては、特別の条件、操作等の
設定は必要とされない。それぞれの方法における通常の
条件操作法に当業者の通常の技術的配慮を加えて本発明
の蛋白質等の測定系を構築すればよい。これらの一般的
な技術手段の詳細については、総説、成書などを参照す
ることができる〔例えば、入江寛編「ラジオイムノアッ
セイ」(講談社、昭和49年発行)、入江寛編「続ラジ
オイムノアッセイ」(講談社、昭和54年発行)、石川
栄治ら編「酵素免疫測定法」(医学書院、昭和53年発
行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第2版)(医
学書院、昭和57年発行)、石川栄治ら縞「酵素免疫測
定法」(第3版)(医学書院、昭和62年発行)「Me
thods in Enzymology」Vol.70
(ImmunochemicalTechniques
(Part A))、同書Vol.73(Immuno
chemical Techniques(Part
B))、同書Vol.74(Immunochemic
al Techniques(Part C))、同書V
ol.84(Immunochemical Tech
niques(Selected Immunoass
ays(Part D))、同書Vol.92(Imm
unochemical Techniques(Mo
noclonalAntibodies and Gen
eral Immunoassay Methods(P
art E))、同書Vol.121(Immunoc
hemical Techniques(Hybrid
oma Technology and Monoclo
nal Antibodies(Part I))(以
上、アカデミックプレス社発行)など参照〕。以上のよ
うに、本発明の蛋白質等に対する抗体を用いることによ
って本発明の蛋白質等を感度良く定量することができ
る。さらには、本発明の蛋白質等に対する抗体を用いて
本発明の蛋白質等の濃度を定量することによって、例え
ば、本発明の蛋白質等が関与する疾病の診断を行うこと
ができる。また、本発明の抗体は、体液や組織などの被
験体中に存在する本発明の蛋白質等を検出するために使
用することができる。また、本発明の蛋白質等を精製す
るために使用する抗体カラムの作製、精製時の各画分中
の本発明の蛋白質等の検出、被験細胞内における本発明
の蛋白質等の挙動の分析などのために使用することがで
きる。
【0056】(5)遺伝子診断剤 本発明のDNAは、例えば、プローブとして使用するこ
とにより、ヒトまたは温血動物(例えば、ラット、マウ
ス、モルモット、ウサギ、トリ、ヒツジ、ブタ、ウシ、
ウマ、ネコ、イヌ、サル、チンパンジーなど)における
本発明の蛋白質またはその部分ペプチドをコードする遺
伝子異常を検出することができるので、例えば、該DN
Aの突然変異あるいはmRNAの異常蓄積あるいは異常
減少などの遺伝子診断剤として有用である。本発明のD
NAを用いる上記の遺伝子診断は、例えば、自体公知の
ノーザンハイブリダイゼーションやPCR−SSCP法
(ゲノミックス(Genomics),第5巻,874
〜879頁(1989年)、プロシージングズ・オブ・
ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・
オブ・ユーエスエー(Proceedings of t
he National Academy of Scie
nces of the United States o
f America),第86巻,2766〜2770
頁(1989年))などにより実施することができる。
【0057】(6)アンチセンスDNAを含有するDN
A 本発明の蛋白質等をコードするDNAまたはmRNAに
相補的に結合し、該mRNAの転写あるいは翻訳を抑制
することができるアンチセンスDNAは、本発明の蛋白
質等をコードする遺伝子の異常発現を抑制することがで
きる。従って、該アンチセンスDNAは、例えば、本発
明の蛋白質等をコードする遺伝子の異常発現に起因する
疾病の予防・治療剤として使用することができる。該ア
ンチセンスDNAを上記の予防・治療剤として使用する
場合、前記した本発明のDNAを含有する医薬と同様に
して製造することができる。例えば、該アンチセンスD
NAを単独あるいはレトロウイルスベクター、アデノウ
イルスベクター、アデノウイルスアソシエーテッドウイ
ルスベクターなどの適当なベクターに挿入した後、常套
手段に従ってヒトまたは温血動物に投与することができ
る。該アンチセンスDNAは、そのままで、あるいは摂
食促進のために補助剤などの生理学的に認められる担体
とともに製剤化し、遺伝子銃やハイドロゲルカテーテル
のようなカテーテルによって投与できる。さらに、該ア
ンチセンスDNAは、組織や細胞における本発明のDN
Aの存在やその発現状況を調べるための診断用オリゴヌ
クレオチドプローブとして使用することもできる。
【0058】(7)DNA転移動物の作製 本発明は、外来性の本発明の蛋白質をコードするDNA
(以下、本発明の外来性DNAと略記する)またはその
変異DNA(本発明の外来性変異DNAと略記する場合
がある)を有する非ヒト哺乳動物を提供する。すなわ
ち、本発明は、(i)本発明の外来性DNAまたはその
変異DNAを有する非ヒト哺乳動物、(ii)非ヒト哺乳
動物がげっ歯類動物である第(i)記載の非ヒト哺乳動
物、(iii)げっ歯類動物がマウスである第(ii)記載
の非ヒト哺乳動物、(iv)げっ歯類動物がラットである
第(ii)記載の非ヒト哺乳動物、および(v)本発明の
外来性DNAまたはその変異DNAを含有し、哺乳動物
において発現しうる組換えベクターを提供するものであ
る。本発明の外来性DNAまたはその変異DNAを有す
る非ヒト哺乳動物(以下、本発明のDNA転移動物と略
記する)は、未受精卵、受精卵、精子およびその始原細
胞を含む胚芽細胞などに対して、好ましくは、非ヒト哺
乳動物の発生における胚発生の段階(さらに好ましく
は、単細胞または受精卵細胞の段階でかつ一般に8細胞
期以前)に、リン酸カルシウム法、電気パルス法、リポ
フェクション法、凝集法、マイクロインジェクション
法、パーティクルガン法、DEAE−デキストラン法、
レトロウイルス法などにより目的とするDNAを転移す
ることによって作出することができる。また、該DNA
転移方法により、体細胞、生体の臓器、組織細胞などに
目的とする本発明の外来性DNAを転移し、細胞培養、
組織培養などに利用することもでき、さらに、これら細
胞を上述の胚芽細胞と自体公知の細胞融合法により融合
させることにより本発明のDNA転移動物を作出するこ
ともできる。
【0059】非ヒト哺乳動物としては、例えば、ラッ
ト、マウス、モルモット、ハムスター、ウサギ、ヒツ
ジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌなどが用いられる。なかで
も、病体動物モデル系の作成の面から個体発生および生
物サイクルが比較的短く、また、繁殖が容易なげっ歯動
物、とりわけマウス(例えば、純系として、C57BL
/6系統、DBA2系統など、交雑系として、B6C3
1系統、BDF1系統、B6D2F1系統、BALB/
c系統、ICR系統など)またはラット(例えば、Wi
ster,SDなど)などが好ましい。哺乳動物におい
て発現しうる組換えベクターにおける「哺乳動物」とし
ては、上記の非ヒト哺乳動物の他にヒトなどが挙げられ
る。本発明の外来性DNAとは、非ヒト哺乳動物が本来
有している本発明のDNAではなく、いったん哺乳動物
から単離・抽出された本発明の蛋白質をコードするDN
Aをいう。本発明の変異DNAとしては、元の本発明の
DNAの塩基配列に変異(例えば、突然変異など)が生
じたもの、具体的には、塩基の付加、欠損、他の塩基へ
の置換などが生じたDNAなどが用いられ、また、異常
DNAも含まれる。該異常DNAとしては、異常な本発
明の蛋白質を発現させる遺伝子を含有するDNAを意味
し、例えば、正常な本発明の蛋白質の機能を抑制する蛋
白質を発現させる遺伝子を含有するDNAなどが用いら
れる。本発明の外来性DNAは、対象とする動物と同種
あるいは異種のどちらの哺乳動物由来のものであっても
よい。本発明の蛋白質をコードするDNAを対象動物に
転移させるにあたっては、該DNAを動物細胞で発現さ
せうるプロモーターの下流に結合したDNAコンストラ
クトとして用いるのが一般に有利である。例えば、本発
明のDNAを転移させる場合、これと相同性が高い本発
明のDNAを有する各種哺乳動物(例えば、ウサギ、イ
ヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、ラット、マウスな
ど)由来のDNAを発現させうる各種プロモーターの下
流に、本発明のDNAを結合したDNAコンストラクト
(例えば、ベクターなど)を対象哺乳動物の受精卵、例
えば、マウス受精卵へマイクロインジェクションするこ
とによって本発明のDNAを高発現するDNA転移哺乳
動物を作出することができる。
【0060】該コンストラクトを保持するベクターとし
ては、大腸菌由来のプラスミド、枯草菌由来のプラスミ
ド、酵母由来のプラスミド、λファージなどのバクテリ
オファージ、モロニー白血病ウイルスなどのレトロウイ
ルス、ワクシニアウイルスまたはバキュロウイルスなど
の動物ウイルスなどが用いられる。なかでも、大腸菌由
来のプラスミドまたは酵母由来のプラスミドなどが好ま
しく用いられる。上記DNA発現調節を行うプロモータ
ーとしては、例えば、ウイルス(例えば、シミアヌイル
ス、サイトメガロウイルス、モロニー白血病ウイルス、
JCウイルス、乳癌ウイルス、ポリオウイルスなど)に
由来するプロモーター、各種哺乳動物(ヒト、ウサギ、
イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、ラット、マウス
など)由来のものとしては、アルブミン、インスリンI
I、ウロプラキンII、エラスターゼ、エリスロポエチ
ン、エンドセリン、筋クレアチンキナーゼ、グリア線維
性酸性蛋白質、グルタチオンS−トランスフェラーゼ、
血小板由来成長因子β、ケラチンK1、K10およびK
14、コラーゲンI型およびII型、サイクリックAMP
依存蛋白質キナーゼβIサブユニット、ジストロフィ
ン、酒石酸抵抗性アルカリフォスファターゼ、心房ナト
リウム利尿性因子、内皮レセプターチロシンキナーゼ
(一般にTie2と略される)、ナトリウムカリウムア
デノシン3リン酸酸化酵素(Na,K−ATPas
e)、ニューロフィラメント軽鎖、メタロチオネインI
およびIIA、メタロプロテイナーゼ1組織インヒビタ
ー、MHCクラスI抗原(H−2L)、H−ras、レ
ニン、ドーパミンβ−水酸化酵素、甲状腺ペルオキシダ
ーゼ、ポリペプチド鎖延長因子1α(EF−1α)、β
アクチン、αおよびβミオシン重鎖、ミオシン軽鎖1お
よび2、ミエリン基礎蛋白質、チオグロブリン、Thy
−1、免疫グロブリン、H鎖可変部(VNP)、血清ア
ミロイドPコンポーネント、ミオグロビン、トロポニン
C、平滑筋αアクチン、プレプロエンケファリンA、バ
ソプレシンなどのプロモーターなどが用いられるが、好
ましくは全身で高発現することが可能なサイトメガロウ
イルスプロモーター、ヒトポリペプチド鎖延長因子1α
(EF−1α)のプロモーター、ヒトおよびニワトリβ
アクチンプロモーターなどを用いることができる。
【0061】上記ベクターは、DNA転移哺乳動物にお
いて目的とするmRNAの転写を終結する配列(一般に
ターミネーターと呼ばれる)を有していることが好まし
く、例えば、ウイルス由来および各種哺乳動物由来の各
DNAの配列を用いることができ、好ましくは、シミア
ンウイルスのSV40ターミネーターなどが用いられ
る。その他、目的DNAをさらに高発現させる目的で各
DNAのスプライシングシグナル、エンハンサー領域、
真核DNAのイントロンの一部などをプロモーター領域
の5’上流、プロモーター領域と翻訳領域間あるいは翻
訳領域の3’下流に連結することも目的により可能であ
る。正常な本発明の蛋白質の翻訳領域は、各種哺乳動物
(例えば、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスタ
ー、ラット、マウス、ヒトなど)由来の肝臓、腎臓、甲
状腺細胞、線維芽細胞由来ゲノムDNAおよび市販の各
種ゲノムDNAライブラリーよりゲノムDNAのすべて
あるいは一部として、または肝臓、腎臓、甲状腺細胞、
線維芽細胞由来RNAより公知の方法により調製された
相補DNAを原料として、自体公知の方法で取得するこ
とができる。また、外来性の異常DNAは、本発明の蛋
白質の変異を起因とする疾病を発症した上記の細胞また
は組織より得ることができる。また、上記の細胞または
組織より得られた正常な蛋白質の翻訳領域を点突然変異
誘発法により変異した翻訳領域を作製することができ
る。該翻訳領域は転移動物において発現しうるDNAコ
ンストラクトとして、前記のプロモーターの下流および
所望により転写終結部位の上流に連結させる通常のDN
A工学的手法により作製することができる。受精卵細胞
段階における本発明の外来性DNAの転移は、対象哺乳
動物の胚芽細胞および体細胞のすべてに存在するように
確保される。DNA転移後の作出動物の胚芽細胞におい
て、本発明の外来性DNAが存在することは、作出動物
の後代がすべて、その胚芽細胞および体細胞のすべてに
本発明の外来性DNAを保持することを意味する。本発
明の外来性DNAを受け継いだこの種の動物の子孫はそ
の胚芽細胞および体細胞のすべてに本発明のDNAを有
する。
【0062】本発明の外来性正常DNAを転移させた非
ヒト哺乳動物は、交配によりDNAを安定に保持するこ
とを確認して、該DNA保有動物として通常の飼育環境
で継代飼育することができる。受精卵細胞段階における
本発明の外来性DNAの転移は、対象哺乳動物の胚芽細
胞および体細胞のすべてに過剰に存在するように確保さ
れる。DNA転移後の作出動物の胚芽細胞において本発
明の外来性DNAが過剰に存在することは、作出動物の
子孫がすべてその胚芽細胞および体細胞のすべてに本発
明の外来性DNAを過剰に有することを意味する。本発
明の外来性DNAを受け継いだこの種の動物の子孫はそ
の胚芽細胞および体細胞のすべてに本発明の外来性DN
Aを過剰に有する。導入DNAを相同染色体の両方に持
つホモザイゴート動物を取得し、この雌雄の動物を交配
することによりすべての子孫が該DNAを過剰に有する
ように繁殖継代することができる。本発明の正常DNA
を有する非ヒト哺乳動物は、本発明の正常DNAが高発
現させられており、内在性の正常DNAの機能を促進す
ることにより最終的に本発明の蛋白質の機能亢進症を発
症することがあり、その病態モデル動物として利用する
ことができる。例えば、本発明の正常DNA転移動物を
用いて、本発明の蛋白質の機能亢進症や、本発明の蛋白
質が関連する疾患の病態機序の解明およびこれらの疾患
の治療方法の検討を行うことが可能である。また、本発
明の外来性正常DNAを転移させた哺乳動物は、本発明
の蛋白質の増加症状を有することから、本発明の蛋白質
に関連する疾患に対する治療薬のスクリーニング試験に
も利用可能である。一方、本発明の外来性異常DNAを
有する非ヒト哺乳動物は、交配により外来性DNAを安
定に保持することを確認して該DNA保有動物として通
常の飼育環境で継代飼育することができる。さらに、目
的とする外来性DNAを前述のプラスミドに組み込んで
原料として用いることができる。プロモーターとのDN
Aコンストラクトは、通常の遺伝子工学的手法によって
作製することができる。受精卵細胞段階における本発明
の異常DNAの転移は、対象哺乳動物の胚芽細胞および
体細胞のすべてに存在するように確保される。DNA転
移後の作出動物の胚芽細胞において本発明の異常DNA
が存在することは、作出動物の子孫がすべてその胚芽細
胞および体細胞のすべてに本発明の異常DNAを有する
ことを意味する。DNAを受け継いだこの種の動物の子
孫は、その胚芽細胞および体細胞のすべてに本発明の異
常DNAを有する。導入DNAを相同染色体の両方に持
つホモザイゴート動物を取得し、この雌雄の動物を交配
することによりすべての子孫が該DNAを有するように
繁殖継代することができる。
【0063】本発明の異常DNAを有する非ヒト哺乳動
物は、本発明の異常DNAが高発現させられており、内
在性の正常DNAの機能を阻害することにより最終的に
本発明の蛋白質の機能不活性型不応症となることがあ
り、その病態モデル動物として利用することができる。
例えば、本発明の異常DNA転移動物を用いて、本発明
の蛋白質の機能不活性型不応症の病態機序の解明および
この疾患の治療方法の検討を行うことが可能である。ま
た、具体的な利用可能性としては、本発明の異常DNA
高発現動物は、本発明の蛋白質の機能不活性型不応症に
おける本発明の異常蛋白質による正常蛋白質の機能阻害
(dominant negative作用)を解明す
るモデルとなる。また、本発明の外来異常DNAを転移
させた哺乳動物は、本発明の蛋白質の増加症状を有する
ことから、本発明の蛋白質の機能不活性型不応症に対す
る治療薬スクリーニング試験にも利用可能である。ま
た、上記2種類の本発明のDNA転移動物のその他の利
用可能性として、例えば、 組織培養のための細胞源としての使用、 本発明のDNA転移哺乳動物の組織中のmRNAを直
接分析するか、発現した蛋白質組織を分析することによ
る、本発明の蛋白質により特異的に発現あるいは活性化
する蛋白質との関連性についての解析、 上記記載の細胞を用いることによる細胞の機能を高
めるあるいは抑制するような薬剤のスクリーニング、お
よび 本発明の変異蛋白質を単離精製およびその抗体作製な
どが考えられる。 さらに、本発明のDNA転移動物を用いて、本発明の蛋
白質の機能不活性型不応症を含む、本発明の蛋白質に関
連する疾患の臨床症状を調べることができ、また、本発
明の蛋白質に関連する疾患モデルの各臓器におけるより
詳細な病理学的所見が得られ、新しい治療方法の開発、
さらには、該疾患による二次的疾患の研究および治療に
貢献することができる。また、本発明のDNA転移動物
から各臓器を取り出し、細切後、トリプシンなどの蛋白
質分解酵素により、遊離したDNA転移細胞の取得、そ
の培養またはその培養細胞の系統化を行うことが可能で
ある。さらに、本発明の蛋白質産生細胞の特定化、分化
あるいは増殖との関連性、またはそれらにおけるシグナ
ル伝達機構を調べ、それらの異常を調べることなどがで
き、本発明の蛋白質およびその作用解明のための有効な
研究材料となる。さらに、本発明のDNA転移動物を用
いて、本発明の蛋白質の機能不活性型不応症を含む、本
発明の蛋白質に関連する疾患の治療薬の開発を行うため
に、上述の検査法および定量法などを用いて、有効で迅
速な該疾患治療薬のスクリーニング法を提供することが
可能となる。また、本発明のDNA転移動物または本発
明の外来性DNA発現ベクターを用いて、本発明の蛋白
質が関連する疾患の遺伝子治療法を検討、開発すること
が可能である。
【0064】本明細書および図面において、塩基やアミ
ノ酸などを略号で表示する場合、IUPAC−IUB
Commision on Biochemical N
omenclatureによる略号あるいは当該分野に
おける慣用略号に基づくものであり、その例を下記す
る。またアミノ酸に関し光学異性体があり得る場合は、
特に明示しなければL体を示すものとする。 DNA :デオキシリボ核酸 cDNA :相補的デオキシリボ核酸 A :アデニン T :チミン G :グアニン C :シトシン RNA :リボ核酸 mRNA :メッセンジャーリボ核酸 dATP :デオキシアデノシン三リン酸 dTTP :デオキシチミジン三リン酸 dGTP :デオキシグアノシン三リン酸 dCTP :デオキシシチジン三リン酸 ATP :アデノシン三リン酸 EDTA :エチレンジアミン四酢酸 SDS :ドデシル硫酸ナトリウム EIA :エンザイムイムノアッセイ Gly :グリシン Ala :アラニン Val :バリン Leu :ロイシン Ile :イソロイシン Ser :セリン Thr :スレオニン Cys :システイン Met :メチオニン Glu :グルタミン酸 Asp :アスパラギン酸 Lys :リジン Arg :アルギニン His :ヒスチジン Phe :フェニルアラニン Tyr :チロシン Trp :トリプトファン Pro :プロリン Asn :アスパラギン Gln :グルタミン pGl :ピログルタミン酸 Me :メチル基 Et :エチル基 Bu :ブチル基 Ph :フェニル基 TC :チアゾリジン−4(R)−カルボキサミド基
【0065】また、本明細書中で繁用される置換基、保
護基および試薬を下記の記号で表記する。 Tos :p−トルエンスルホニル CHO :ホルミル Bzl :ベンジル Cl2Bzl :2,6−ジクロロベンジル Bom :ベンジルオキシメチル Z :ベンジルオキシカルボニル Cl−Z :2−クロロベンジルオキシカルボニル Br−Z :2−ブロモベンジルオキシカルボニル Boc :t−ブトキシカルボニル DNP :ジニトロフェノール Trt :トリチル Bum :t−ブトキシメチル Fmoc :N−9−フルオレニルメトキシカルボニル HOBt :1−ヒドロキシベンズトリアゾール HOOBt :3,4−ジヒドロ−3−ヒドロキシ−4−オキソ− 1,2,3−ベンゾトリアジン HONB :1−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボジ イミド DCC :N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド
【0066】本願明細書の配列表の配列番号は、以下の
配列を示す。 〔配列番号:1〕two−hybrid法に用いるba
itプラスミドとしてのアクチビンIIA受容体蛋白質の
細胞内ドメインをコードするDNAフラグメントの塩基
配列を示す。 〔配列番号:2〕本発明の蛋白質のアミノ酸配列を示
す。 〔配列番号:3〕本発明の配列番号:2で表されるアミ
ノ酸配列を有する蛋白質をコードするcDNAの塩基配
列を示す。 〔配列番号:4〕ノーザンハイブリダイゼーションに用
いるプローブとしてのDNAの塩基配列を示す。後述の
実施例1で得られた形質転換体エシャリヒア コリ(Es
cherichia coli)HB101/pACT2YA1は、平
成11年11月1日から通商産業省工業技術院生命工学
工業技術研究所(NIBH)に寄託番号FERM BP
−6927として、平成11年10月14日から財団法
人・発酵研究所(IFO)に寄託番号IFO 1632
5として寄託されている。
【0067】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はそれに限定されるものではな
い。なお、酵母を用いたtwo−hybrid法の操作
法は市販のキット(Clontech社製)に添付の説
明書に記載されている方法に、また、大腸菌を用いての
遺伝子操作法は、モレキュラー・クローニング(Mol
ecular cloning)に記載されている方法
に従った。
【0068】
【実施例1】本発明の蛋白質をコードするcDNAのク
ローニング (1)two−hybrid法によるアクチビンIIA受
容体蛋白質と相互作用する蛋白質のスクリーニング 以下の、cDNAライブラリーからアクチビンIIA受容
体蛋白質と相互作用する蛋白質のスクリーニングには、
キットとしてMATCHMAKERTMTwo−Hybr
id System 2(Cat.No. K1604−
1:Clontech社)を用いた。上記方法に従い、
DNA結合用ベクターpAS2−1のEcoR I部位
とBamH I部位を適切な制限酵素で切断し、アルカ
リフォスファターゼ処理した後精製した。その後、配列
番号:1で表されるアクチビンIIA受容体蛋白質の細胞
内ドメインをコードするDNAフラグメントをライゲー
ションし、目的とするGAL4 DNA結合ドメインと
アクチビンIIA受容体細胞内ドメイン全体を融合蛋白質
として発現するプラスミド(pAS−IIA)を得た。G
AL4転写活性化領域融合ライブラリープラスミドとし
ては、市販のマウス脳MATCHMAKER cDNA
library(Clontech社)を用いた。酵母
菌株Y190の単一コロニー(直径2から3mm)を2
0mlのトリプトファン欠損SD培地に植菌し、18時
間30℃で振盪培養した。この培養液の10mlを30
0mlのYPD培地にOD600=0.2から0.3なる
ように植え、30℃で3時間振盪培養した。培養液を滅
菌した遠心管に移し、1000×gで5分間室温で遠心
した。上清を捨て、細胞を25mlの滅菌水に懸濁し、
再度、1000×gで5分間室温で遠心した。上清を捨
て、細胞を1.5mlのTE緩衝液(0.01M Tr
is−HCl,1mM EDTA,pH 7.5)/0.
1M酢酸リチウム溶液(pH 7.5)の混合液に懸濁
して次の形質転換に用いた。先に作製した10μgのプ
ラスミド(pAS−IIA)と2mgのニシン精巣キャリ
アーDNA(Clontech社)に上記で作製した細
胞懸濁液1mlを加え、よく混合した。さらに、6ml
のPEG(40%PEG 4000)/TE緩衝液/
0.1M酢酸リチウム溶液の混合液を加え、ボルテック
スミキサーで混合した。30℃、200rpmで30分
間振盪後、700μlのDMSO(最終濃度10%)を
加えて穏やかに攪拌した。その後、時々振りながら、4
2℃で15分間加熱し、容器を氷冷後、1000×gで
5分間遠心した。上清を捨て、細胞を0.5mlのTE
緩衝液に懸濁した。得られた細胞懸濁液100μlをト
リプトファン欠損SD培地上にスプレッドし、30℃で
4日間培養し、前記プラスミドを安定に保持する株を得
た。続いて、GAL4転写活性化領域融合ライブラリー
プラスミドも同様の方法にて前記酵母株に導入した。得
られた形質転換体0.2mlをトリプトファン/ロイシ
ン/ヒスチジン欠損SD培地上にまき、30℃で8日間
培養した後、His+コロニーをトリプトファン/ロイ
シン/ヒスチジン欠損寒天プレート上にストリークし
た。
【0069】シャーレに5mlのZ緩衝液(Na2HP
4・7H2O,NaH2PO4・H2O,KCl,MgS
4・7H2O,pH 7)/X−gal溶液(5−ブロ
モ−4−クロロ−3インドリル−β−D−ガラクトシド
の2%DMF溶液)/β−メルカプトエタノール混合液
を入れ、滅菌したワットマン#5フィルターを湿らせ
た。別のフィルターを前記形質転換体コロニーがある寒
天プレート上に置いた後、このフィルターを取り上げ、
コロニー面を上にして液体窒素で凍結させた。液体窒素
中からフィルターを取り出し、室温で融解した後、先の
湿らせたフィルター上にコロニー面を上にして置いた。
シャーレの蓋を閉めて30℃で1時間保温し、青くなっ
た約100個のポジティブコロニーを分離した。得られ
たそれぞれのポジティブクローンを3mlのロイシン欠
損SD液体培地に植え、2日間培養した後、この培養液
を10000倍に希釈し、ロイシン欠損SDプレートに
まき、30℃で3日間保温した。20から30個のコロ
ニーを滅菌した楊枝で拾い、トリプトファン/ロイシン
欠損SDプレートとロイシン欠損SDプレートにレプリ
カした。ここで、先のポジティブコロニーよりトリプト
ファン栄養要求性を示すコロニーを選択し、そのβ−ガ
ラクトシダーゼ活性の検定を行い、さらに活性を示さな
い2個のコロニーを選択した。得られた真のポジティブ
コロニーを2mlのYPD液体培地に植え、30℃で一
夜培養した。培養液を5秒間室温で遠心し、上清を捨て
た後、0.2mlの酵母溶解液(2%トリトンX−10
0,1%SDS,100mM NaCl,10mM Tr
is−HCl(pH 8.0)、1mM EDTA)を加
え、懸濁させた。0.2mlのフェノール/クロロホル
ム/イソアミルアルコール(25:24:1)と酸で洗
ったガラスビーズを加え、2分間ボルテックスミキサー
で攪拌した。14000rpmで5分間室温で遠心した
後、分離した上清に1/10量の3M 酢酸ナトリウム
溶液(pH 5.2)と2.5倍量のエタノールを加え
た。得られた沈殿物を70%エタノールで洗浄した後、
20μlの滅菌水に溶解した。このうちの1μlを大腸
菌HB101株にエレクトロポレーション法により導入
した後、通常のミニプレップ法でプラスミドDNAを精
製し、目的とするcDNA(pACT2YA1)を得、
その塩基配列を決定した。本発明の蛋白質の全長cDN
Aは888bpで、配列番号:2で表される153個の
アミノ酸からなるポリペプチド[図1]をコードしてい
た。配列番号:2で表されるアミノ酸からなるポリペプ
チドをコードする全長cDNAを含むプラスミドpAC
T2YA1を大腸菌HB101に形質転換し、形質転換
体:大腸菌HB101/pACT2YA1を得た。
【0070】
【実施例2】マウスの各種臓器由来poly(A)+
NAを用いたノーザンハイブリダイゼーション法による
発現の検出 配列番号:4で表されるDNAを、DIG−PCR プ
ローブ合成キット(Boehringer社)を用いジ
ゴキシゲニンで標識し、プローブとして用いた。また、
Balb/cマウスより脳、肝臓、脾臓、肺、腎臓、心
臓、精巣、骨格筋を摘出し、TRIzol試薬(GIB
CO BRL社)によりtotalRNAを抽出した。
その後、PolyAT tract mRNA Isol
ation System(Promega社)を用い
て、poly(A)+RNAを精製した。各poly
(A)+RNAを1μgづつ用い、ホルマリンゲル法に
より1%アガロースゲル電気泳動を行い、ブロッティン
グ装置(Amersham−Pharmacia社)を
用いたバキュームブロッティング法により、Hybon
dN(Amersham−Pharmacia社)にブ
ロットした。これを先に作製したプローブDNAの各5
ng/mlを含むハイブリダイゼーション緩衝液(5×
SSC,0.1%N−lauroylsarcosin
e,0.02%SDS,0.5%blocking r
eagent(Boehringer社),100μg
/mlサケ精巣DNA)にて、65℃で一夜保温した。
その後、0.1×SSCおよび0.1%SDSを用い、
65℃、20分で3回洗浄した。さらに、アルカリホス
ファターゼ標識抗ジゴキシゲニン抗体(Boehrin
ger社)を含む溶液(0.1M Tris−HCl p
H 7.5,0.15M NaCl,150mU/ml抗
体)中で保持した後、0.1M Tris−HCl(p
H 7.5)、0.15M NaClおよび0.1%Tw
een 20を用い、15分で3回洗浄した。最後に、
Lumi−Phos 530(和光純薬工業社製)を基
質とした化学発光を行い、X線フィルムに露光して検出
した結果、本発明の蛋白質が心臓、脳、肝臓、骨格筋、
腎臓、精巣などで多く発現していることが確認された
[図2]。
【0071】
【発明の効果】本発明の蛋白質、その部分ペプチドまた
はそれらの塩(以下、本発明の蛋白質と略記する場合が
ある)、本発明の蛋白質またはその部分ペプチドをコー
ドするDNA(以下、本発明のDNAと略記する場合が
ある)、本発明の蛋白質に対する抗体(以下、本発明の
抗体と略記する場合がある)およびアンチセンスDNA
は、本発明の蛋白質に対する結合蛋白質の決定、抗
体および血清の入手、組換え型蛋白質の発現系の構
築、発現系を用いた結合アッセイ系およびtwo−h
ybrid法を用いたアッセイ系の開発と医薬品侯補化
合物のスクリーニング、構造的に類似したリガンド・
レセプターとの比較に基づいたドラッグデザインの実
施、遺伝子診断におけるプローブ、PCRプライマー
の作成等における試薬として用いることができ、また、
遺伝子治療等の薬物として用いることができる。特
に、本発明の蛋白質の構造・性質の解明は、これらの系
に作用するユニークな医薬品の開発につながる。
【0072】
【配列表】 [SEQUENCE LISTING] <110>Takeda Chemical Industries, Ltd. <120>Novel Protein And Its Use <130>B00304 <150>JP 11-305187 <151>1999-10-27 <150>JP 11-313453 <151>1999-11-04 <160>4 <210>1 <211>1442 <212>DNA <213>Mouse <400>1 AGACATCACA AGATGGCCTA CCCTCCTGTA CTTGTTCCTA CTCAAGACCC AGGACCACCC 60 CCACCTTCCC CATTACTAGG GTTGAAGCCA TTGCAGCTGT TAGAAGTGAA AGCAAGGGGA 120 AGATTTGGTT GTGTCTGGAA AGCCCAGTTG CTCAATGAAT ATGTGGCTGT CAAAATATTT 180 CCAATACAGG ACAAACAGTC CTGGCAGAAT GAATATGAAG TCTATAGTCT ACCTGGAATG 240 AAGCATGAGA ACATACTACA GTTCATTGGT GCAGAGAAAA GAGGCACCAG TGTGGATGTG 300 GACCTGTGGC TAATCACAGC ATTTCATGAA AAGGGCTCAC TGTCAGACTT TCTTAAGGCT 360 AATGTGGTCT CTTGGAATGA ACTTTGTCAT ATTGCAGAAA CCATGGCTAG AGGATTGGCA 420 TATTTACATG AGGATATACC TGGCTTAAAA GATGGCCACA AGCCTGCAAT CTCTCACAGG 480 GACATCAAAA GTAAAAATGT GCTGTTGAAA AACAATCTGA CAGCTTGCAT TGCTGACTTT 540 GGGTTGGCCT TAAAGTTCGA GGCTGGCAAG TCTGCAGGTG ACACCCATGG GCAGGTTGGT 600 ACCCGGAGGT ATATGGCTCC AGAGGTGTTG GAGGGTGCTA TAAACTTCCA AAGGGACGCA 660 TTTCTGAGGA TAGATATGTA CGCCATGGGA TTAGTCCTAT GGGAATTGGC TTCTCGTTGC 720 ACTGCTGCAG ATGGACCCGT AGATGAGTAC ATGTTACCAT TTGAGGAAGA AATTGGCCAG 780 CATCCATCTC TTGAAGATAT GCAGGAAGTT GTTGTGCATA AAAAAAAGAG GCCTGTTTTA 840 AGAGATTATT GGCAGAAACA TGCAGGAATG GCAATGCTCT GTGAAACGAT AGAAGAATGT 900 TGGGATCATG ATGCAGAAGC CAGGTTATCA GCTGGATGTG TAGGTGAAAG AATTACTCAG 960 ATGCAAAGAC TAACAAATAT CATTACTACA GAGGACATTG TAACAGTGGT CACAATGGTG 1020 ACAAATGTTG ACTTTCCTCC CAAAGAATCT AGTCTATGAT GGTGGCACCG TCTGTACACA 1080 CTGAGGACTG GGACTCTGAA CTGGAGCTGC TAAGCTAAGG AAAGTGCTTA GTTGATTTTC 1140 TGTGTGAAAT GAGTAGGATG CCTCCAGGAC ATGTACGCAA GCAGCCCCTT GTGGAAAGCA 1200 TGGATCTGGG AGATGGATCT GGGAAACTTA CTGCATCGTC TGCAGCACAG ATATGAAGAG 1260 GAGTCTAAGG GAAAAGCTGC AAACTGTAAA GAACTTCTGA AAATGTACTC GAAGAATGTG 1320 GCCCTCTCCA AATCAAGGAT CTTTTGGACC TGGCTAATCA AGTATTTGCA AAACTGACAT 1380 CAGATTTCTT AATGTCTGTC AGAAGACACT AATTCCTTAA ATGAACTACT GCTATTTTTT 1440 TT 1442 <210>2 <211>153 <212>PRT <213>Mouse <400>2 Met Asn Gly Arg Val Asp Tyr Leu Val Thr Glu Glu Glu IlE Asn Leu 1 5 10 15 Thr Arg Gly Pro Ser Gly Leu Gly Phe Asn Ile Val Gly Gly Thr Asp 20 25 30 Gln Gln Tyr Val Ser Asn Asp Ser Gly Ile Tyr Val Ser Arg Ile Lys 35 40 45 Glu Asp Gly Ala Ala Ala Gln Asp Gly Arg Leu Gln Glu Gly Asp Lys 50 55 60 Ile Leu Ser Val Asn Gly Gln Asp Leu Lys Asn Leu Leu His Gln Asp 65 70 75 80 Ala Val Asp Leu Phe Arg Asn Ala Gly Cys Ala Val Ser Leu Arg Val 85 90 95 Gln His Arg Leu Leu Val Val Gly Gly Ser Phe Gly Leu Arg Glu Phe 100 105 110 Ser Gln Ile Arg Tyr Asp Ala Val Thr Ile Lys Ile Asp Pro Glu Leu 115 120 125 Glu Lys Lys Leu Lys Val Asn Lys Ile Thr Leu Glu Ser Glu Tyr Glu 130 135 140 Arg Leu Leu Cys Leu Leu Cys Arg Gln 145 150 153 <210>3 <211>459 <212>DNA <213>Mouse <400>3 ATGAACGGAC GGGTGGATTA TTTAGTCACG GAGGAAGAGA TCAACCTGAC GAGAGGACCT 60 TCGGGGCTGG GCTTCAACAT CGTCGGTGGG ACAGATCAAC AGTATGTCTC CAACGACAGT 120 GGCATCTACG TCAGCCGTAT CAAAGAGGAT GGGGCTGCGG CCCAGGATGG GCGGCTCCAG 180 GAGGGTGATA AGATCCTCTC GGTAAATGGC CAAGATCTGA AGAACCTGCT GCACCAAGAT 240 GCTGTAGACC TCTTCCGTAA TGCGGGATGT GCTGTGTCCC TGAGAGTACA GCACAGGTTG 300 CTGGTTGTTG GAGGTTCTTT TGGTCTTCGT GAATTTTCAC AAATCCGGTA CGATGCTGTG 360 ACAATTAAGA TTGATCCTGA ATTGGAGAAA AAATTGAAAG TGAATAAAAT AACTTTAGAG 420 TCAGAGTATG AGAGGCTGTT ATGTTTATTG TGCAGACAA 459 <210>4 <211>888 <212>DNA <213>Mouse <400>4 AACTGTAAAA GCTATGCTGG GGAGGCAGCG CGGAGCTTGA TTCACCTTCA CCTGCTCTGG 60 CCACCCGCTG ACCCGGGGTT TCCGGCCGGA GAGCAGTCAG ATATGAACGG ACGGGTGGAT 120 TATTTAGTCA CGGAGGAAGA GATCAACCTG ACGAGAGGAC CTTCGGGGCT GGGCTTCAAC 180 ATCGTCGGTG GGACAGATCA ACAGTATGTC TCCAACGACA GTGGCATCTA CGTCAGCCGT 240 ATCAAAGAGG ATGGGGCTGC GGCCCAGGAT GGGCGGCTCC AGGAGGGTGA TAAGATCCTC 300 TCGGTAAATG GCCAAGATCT GAAGAACCTG CTGCACCAAG ATGCTGTAGA CCTCTTCCGT 360 AATGCGGGAT GTGCTGTGTC CCTGAGAGTA CAGCACAGGT TGCTGGTTGT TGGAGGTTCT 420 TTTGGTCTTC GTGAATTTTC ACAAATCCGG TACGATGCTG TGACAATTAA GATTGATCCT 480 GAATTGGAGA AAAAATTGAA AGTGAATAAA ATAACTTTAG AGTCAGAGTA TGAGAGGCTG 540 TTATGTTTAT TGTGCAGACA ATGATAATCC ACCAGAGAAG TATTGCCACA AGCAAGCCGT 600 CCAAGTACAA TCACAGACAG CGACTTTACA CAAGGAACAG AGAATGAAGT CAGAGGGCAC 660 ACAAAGGAAC AGGGAGAAAG TCAGTTTCAG TTAATCATTT TGATTTTGAT AAGTTTTTCC 720 TGCAAGCACA ATTAGCTTTC AGAAATGGTA GAGAAGTTAG ATGTCCAGTT TTAATTAGCG 780 GTGACCAACA ACAGTAAAAA ACAGTTTTAT AAAATTTGTT TCCCACAAAA ATAAACTATA 840 TATATAAAAA TGTTAAAAAA AAAAAAAAAA AAAAAAAAAA AAAAAAAA 888
【0073】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の新規蛋白質をコードするcDNAの全
塩基配列とそれにコードされるアミノ酸配列(配列番
号:2)を示す。
【図2】ノーザンハイブリダイゼーションによる発現の
解析結果を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 25/14 A61P 25/28 25/16 C07K 14/47 25/28 16/18 C07K 14/47 C12N 1/15 16/18 1/19 C12N 1/15 1/21 1/19 C12P 21/02 C 1/21 G01N 33/15 Z 5/10 33/50 Z C12P 21/02 33/566 G01N 33/15 A01K 67/027 33/50 C12P 21/08 33/566 C12Q 1/68 A // A01K 67/027 (C12P 21/02 C C12P 21/08 C12R 1:645) C12Q 1/68 C12N 15/00 ZNAA (C12P 21/02 A61K 37/02 C12R 1:645) C12N 5/00 A

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】配列番号:2で表されるアミノ酸配列と同
    一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を有する蛋白質
    またはその塩。
  2. 【請求項2】請求項1記載の蛋白質の部分ペプチドまた
    はその塩。
  3. 【請求項3】請求項1記載の蛋白質をコードするDNA
    を含有する組換えDNA。
  4. 【請求項4】配列番号:3で表される塩基配列またはそ
    れとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズす
    る塩基配列を有する請求項3記載のDNA。
  5. 【請求項5】請求項2記載の部分ペプチドをコードする
    DNAを含有する組換えDNA。
  6. 【請求項6】請求項3記載のDNAを含有する組換えベ
    クター。
  7. 【請求項7】請求項6記載の組換えベクターを保持する
    形質転換体。
  8. 【請求項8】請求項7記載の形質転換体を培養し、請求
    項1記載の蛋白質を生成・蓄積せしめ、これを採取する
    ことを特徴とする請求項1記載の蛋白質またはその塩の
    製造方法。
  9. 【請求項9】請求項1記載の蛋白質、請求項2記載の部
    分ペプチドまたはそれらの塩に対する抗体。
  10. 【請求項10】請求項9記載の抗体に対して、請求項1
    記載の蛋白質、請求項2記載の部分ペプチドまたはそれ
    らの塩を含有する被検液および標識化された請求項1記
    載の蛋白質、請求項2記載の部分ペプチドまたはそれら
    の塩を競合的に反応させることを特徴とする請求項1記
    載の蛋白質、請求項2記載の部分ペプチドまたはそれら
    の塩の定量方法。
  11. 【請求項11】請求項1記載の蛋白質、請求項2記載の
    部分ペプチドまたはそれらの塩を用いることを特徴とす
    る、請求項1記載の蛋白質、請求項2記載の部分ペプチ
    ドまたはそれらの塩と結合する蛋白質の決定方法。
  12. 【請求項12】請求項11記載の方法により得られる、
    請求項1記載の蛋白質、請求項2記載の部分ペプチドま
    たはそれらの塩と結合する蛋白質またはその塩。
  13. 【請求項13】請求項1記載の蛋白質、請求項2記載の
    部分ペプチドまたはそれらの塩と、請求項12記載の蛋
    白質またはその塩あるいはアクチビン受容体蛋白質また
    はその塩との結合を阻害または促進する化合物またはそ
    の塩のスクリーニング方法。
  14. 【請求項14】ツー ハイブリッド(two−hybri
    d)法を用いることを特徴とする請求項11記載の蛋白
    質の決定方法または請求項13記載のスクリーニング方
    法。
  15. 【請求項15】請求項1記載の蛋白質、請求項2記載の
    部分ペプチドまたはそれらの塩を含有することを特徴と
    する、請求項1記載の蛋白質、請求項2記載の部分ペプ
    チドまたはそれらの塩と、請求項12記載の蛋白質また
    はその塩あるいはアクチビン受容体蛋白質またはその塩
    との結合を阻害または促進する化合物またはその塩のス
    クリーニング用キット。
  16. 【請求項16】請求項13記載のスクリーニング方法ま
    たは請求項15記載のスクリーニング用キットを用いて
    得られる、請求項1記載の蛋白質、請求項2記載の部分
    ペプチドまたはそれらの塩と、請求項12記載の蛋白質
    またはその塩あるいはアクチビン受容体蛋白質またはそ
    の塩との結合を阻害または促進する化合物またはその
    塩。
  17. 【請求項17】請求項12記載の蛋白質、請求項16記
    載の化合物またはそれらの塩を含有してなる医薬。
  18. 【請求項18】請求項12記載の蛋白質もしくはその
    塩、アクチビン受容体またはアクチビン細胞内情報伝達
    分子に関連した神経細胞異常または脳疾患の予防・治療
    剤である請求項17記載の医薬。
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