JP2001203426A - 長波長半導体発光素子 - Google Patents

長波長半導体発光素子

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JP2001203426A
JP2001203426A JP2000010433A JP2000010433A JP2001203426A JP 2001203426 A JP2001203426 A JP 2001203426A JP 2000010433 A JP2000010433 A JP 2000010433A JP 2000010433 A JP2000010433 A JP 2000010433A JP 2001203426 A JP2001203426 A JP 2001203426A
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wavelength
layer
long
junction
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Baccalo Pablo
パブロ・バッカロ
Chiaki Domoto
千秋 堂本
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ATR Adaptive Communications Research Laboratories
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 構造が簡単であってサイズが小さく、現存す
る半導体発光素子で発光される通常の発光波長よりも長
い波長の光を効率的に発光する。 【解決手段】 傾斜面を有する半導体基板20上に、横
方向のp−n接合を有する2種類の量子井戸層23−1
乃至23−3と酸化化合物半導体層21a−1乃至21
a−4とを含む多層構造を有するコア層15が形成さ
れ、横方向のp−n接合の方向に対して実質的に直交す
る方向でコア層15を挟設するように形成された1対の
反射膜41,42が形成される。2種類の量子井戸層2
3−1及び23−3と23−2は異なる材料組成と異な
る厚さとのうちの少なくとも1つを有して異なる2つの
発光波長の光を発光し、1対の反射膜41,42により
反射することによりレーザー発振させ、コア層15の材
料の非線形特性を用いて2つの発光波長の光子エネルギ
ーの差に対応する長波長の光を発光させて外部に放出す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、化合物半導体材料
にてなる2種類の活性層と、酸化化合物半導体層とを含
む多層構造を有するコア層内の2種類の活性層で発光さ
せる波長よりも長い波長を有する光を発光する長波長半
導体発光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、環境問題が盛んに取り立たされて
いるが、大気中の汚染物質や、自動車などの排気ガス中
に含まれる有害物質などの元となる分子は、いずれも波
長数μm付近の光に対して急峻な吸収ピークを持つの
で、これらの波長を有する光源があれば、物質の同定や
濃度の測定は容易なものとなる。
【0003】また波長3〜4μmや8〜10μm帯の光
は、空気中にそれらを吸収する物質が存在しないため
に、遠距離まで伝搬させることができる。この波長帯の
光を用いて無線通信することにより、従来の1μm付近
の波長を用いることに比べて、遠距離通信が可能とな
る。さらに、1μm付近の波長では、網膜に損傷を与え
るために大きな出力のものを使用することに注意が必要
であったが、3〜4、8〜10μm帯の波長の光につい
ては、これらの問題も無く、安定な出力が得られる安価
な光源の実現が望まれていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】半導体発光素子は、電
子と正孔の再結合により発光を得ている。発光波長は再
結合時に失われるエネルギーによって決定される。エネ
ルギーの小さい長波長の発光素子にはバンドギャップが
小さな材料が用いられているが、バンドギャップエネル
ギーが小さくなると温度による不安定性のために、効率
の良い発光素子を得ることができない。そのために従来
は、長波長発光素子では、素子の温度を一定に保った
り、低温に冷却することが必須であった。さらにまたこ
のような材料は結晶成長が困難で、良好な結晶を得るこ
とが難しいという問題があった。
【0005】さらに最近では、超格子構造中のサブバン
ド間のキャリア遷移を利用した量子カスケードレーザと
呼ばれる長波長発光素子が実現されているが、レーザ発
振に不可欠な反転分布構造を実現することが容易でない
ため、素子構造が非常に複雑である。さらに室温での連
続発振も実現されていない。
【0006】ところで、例えば、従来技術文献1「A. F
iore et al., "Phase matching using an isotropic no
nlinear optical material", Nature, Vol. 391, pp.46
3-466, 1998年1月29日」に開示された長波長発光装置
(以下、従来例という。)では、2種類のレーザ光源に
よって発生された互いに異なる2つの波長の光を、非線
形光学素子に入射して、2つの波長の光子エネルギーの
差に対応する波長の光を得ているが、この従来例では、
2つのレーザ光源と1つの非線形光学素子とを光学的に
位置合わせする必要があり、当該長波長発光装置の構成
が複雑になるとともに、大型になるにもかかわらず、発
光効率はきわめて低いという問題点があった。
【0007】本発明の目的は上記の問題点を解決して、
従来例に比較して構造が簡単であってサイズが小さく、
現存する半導体発光素子で発光される通常の発光波長よ
りも長い波長の光を効率的に発光することができる長波
長半導体発光素子を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係る請求項1記
載の長波長半導体発光素子は、所定の傾斜面を有する半
導体基板上に形成され、横方向のp−n接合を有し化合
物半導体材料にてなる2種類の活性層と、酸化化合物半
導体層とを含む多層構造を有するコア層と、上記横方向
のp−n接合の方向に対して実質的に直交する方向で、
上記コア層を挟設するように形成された1対の反射膜と
を備え、上記2種類の活性層は、互いに異なる材料組成
と、互いに異なる厚さとのうちの少なくとも1つを有す
ることにより、互いに異なる2つの発光波長の光を発光
し、上記発光された2つの発光波長の光を1対の反射膜
により反射することによりレーザー発振させ、上記コア
層の材料の非線形特性を用いて上記2つの発光波長の光
子エネルギーの差に対応する長波長の光を発光させて放
出することを特徴とする。
【0009】また、請求項2記載の長波長半導体発光素
子は、請求項1記載の超格子半導体発光素子において、
上記横方向のp−n接合に対して横方向の電流を流すた
めの電極手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0010】また、請求項3記載の長波長半導体発光素
子は、請求項1又は2記載の長波長半導体発光素子にお
いて、上記活性層は量子井戸層であることを特徴とす
る。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明に係
る実施形態について説明する。
【0012】図1、図2は本発明に係る一実施形態であ
る長波長半導体発光素子10の構造を示す断面図であっ
て、図1はこの発光素子10で形成される横方向のp−
n接合に対して平行な縦断面を示し、図2は同じくこの
発光素子10においてクラッド層16及びキャップ層1
7まで形成された部位において図1の断面に対して直交
する縦断面を示す。
【0013】この発光素子10は、図1に示すように、
所定の傾斜面を有する半導体基板10上に、AlGaA
sバッファ層13と、AlGaAsクラッド層14と、
コア層15とが積層形成された後、コア層15上に1対
の電極11,12が形成されるとともに、AlGaAs
クラッド層16及びGaAsキャップ層17が形成され
て構成される。ここで、コア層15内の横方向のp−n
接合に対して所定の順方向バイアス電圧を印加して横方
向の電流を流すために、1対の電極11,12が形成さ
れ、電極11,12間に可変直流電圧源30が接続され
る。
【0014】本実施形態の長波長半導体発光素子10
は、図1及び図2に示すように、コア層15と、1対の
反射膜41,42とを備えて形成される。ここで、コア
層15は、(311A)面に対して所定の傾斜角θ(9
0°>θ≧33°)を有する(001)面の傾斜面を有
する半導体基板20上に例えばエピタキシャル成長法な
どの結晶成長法を用いて形成され、ヘテロ接合型p−n
ダイオード素子を構成して横方向のp−n接合を有し化
合物半導体材料であるInGaAsにてなる2種類の活
性層である量子井戸層23−1及び23−3と23−2
と、障壁層であるGaAs層22−1乃至22−6と、
AlAs層21−1乃至21−4から後述する酸化処理
後に得られる酸化化合物半導体層21a−1乃至21a
−4とを含む多層構造を有する。また、1対の反射膜4
1,42は、上記横方向のp−n接合の方向に対して実
質的に直交する方向で、コア層15を挟設するように形
成される。ここで、上記2種類の量子井戸層23−1及
び23−3と23−2は、互いに異なる材料組成を有す
ることにより、互いに異なる2つの発光波長の光を発光
し、上記発光された2つの発光波長の光を1対の反射膜
41,42により反射することによりレーザー発振さ
せ、コア層15の材料の非線形特性を用いて上記2つの
発光波長の光子エネルギーの差に対応する長波長の光を
発光させて、矢印50で示すように反射膜41,42を
透過して横方向で外部に放出することを特徴としてい
る。
【0015】次いで、本実施形態の長波長半導体発光素
子10の製造方法について以下に、図1及び図2を参照
して説明する。
【0016】まず、半絶縁性半導体基板であるGaAs
にてなる半導体基板20の上面20aである(311
A)面に対して、所定の傾斜角θ(90°>θ≧33
°)を有する例えば、面方位(001)(傾斜角θ=3
3°のとき)を有する傾斜面20cが形成されるように
フォトリソグラフィ法及びウエットエッチング法によっ
て段差加工を行い、これによって、当該傾斜面20cの
両側に面方位(111)を有する平坦部20a,20b
が形成される。次いで、当該段差を有する半導体基板2
0上に、分子線エピタキシャル成長法によって以下の結
晶成長を行った。
【0017】まず、厚さ2800nmのAl0.97Ga
0.03Asにてなるアンドープのバッファ層13を成長し
た。次いで、厚さ1500nmのAl0.7Ga0.3Asに
てなるアンドープのクラッド層14を形成した。さら
に、ヘテロ接合型p−nダイオード素子を構成して横方
向のp−n接合を有し化合物半導体材料であるInGa
Asにてなる2種類の活性層である量子井戸層23−1
及び23−3と23−2と、障壁層であるGaAs層2
2−1乃至22−6と、後述の酸化処理後に酸化化合物
半導体層21a−1乃至21a−4となるAlAs層2
1−1乃至21−4とを含む多層構造を有するコア層1
5が以下の積層順序で、分子線エピタキシャル成長法に
よって形成される。 (a)厚さ40nmのAlAs層21−1、 (b)Siが約1×1018乃至1×1019/cm3程度
の不純物濃度でドーピングされた厚さ150nmのGa
As層22−1、 (c)厚さ20μmのInxGa1-xAsにてなる量子井
戸層23−1 (d)Siが約1×1018乃至1×1019/cm3程度
の不純物濃度でドーピングされた厚さ150nmのGa
As層22−2、 (e)厚さ40nmのAlAs層21−2 (f)Siが約1×1018乃至1×1019/cm3程度
の不純物濃度でドーピングされた厚さ150nmのGa
As層22−3、 (g)厚さ20μmのInyGa1-yAsにてなる量子井
戸層23−2 (h)Siが約1×1018乃至1×1019/cm3程度
の不純物濃度でドーピングされた厚さ150nmのGa
As層22−4、 (i)厚さ40nmのAlAs層21−3 (j)Siが約1×1018乃至1×1019/cm3程度
の不純物濃度でドーピングされた厚さ150nmのGa
As層22−5、 (k)厚さ20μmのInxGa1-xAsにてなる量子井
戸層23−3 (l)Siが約1×1018乃至1×1019/cm3程度
の不純物濃度でドーピングされた厚さ150nmのGa
As層22−6、 (m)厚さ40nmのAlAs層21−4。
【0018】ここで、xは例えば0.2であり、yは例
えば0.3であって、xとyとは互いに異なるように設
定される。すなわち、活性層である量子井戸層23−1
乃至23−3において、InxGa1-xAsとInyGa
1-yAsの2種類の材料組成を有し、ここで、Inの組
成比x及びyを互いに異ならせることで、バンドギャッ
プエネルギーを異ならしめることができ、2種類のバン
ド間遷移(再結合)エネルギーが得られ、これにより、
発光層となる量子井戸層23−1乃至23−3は、互い
に異なる2つの発光波長を有する光を発光することがで
きる。
【0019】また、InxGa1-xAsにてなる量子井戸
層23−1及び23−3と、InyGa1-yAsにてなる
量子井戸層23−2層の上下には、Siをドーピングし
たGaAs層22−1乃至22−6がそれぞれ形成さ
れ、このGaAs層22−1乃至22−6は、半導体基
板20の(001)面の斜面20c上では、n型半導体
となり、活性層である量子井戸層23−1乃至23−3
に電子を供給する一方、半導体基板20の(311A)
面の平面20a,20b上では、p型半導体となるの
で、活性層である量子井戸層23−1乃至23−3に正
孔を供給することにより、各量子井戸層23−1乃至2
3−3において横方向のp−n接合のダイオードが形成
されて、横方向のp−n接合を容易に形成することがで
きる。
【0020】この発光素子10においては、図1及び図
2に示すように、電気絶縁層である複数の酸化化合物半
導体層21a−1乃至21a−4が積層形成されている
ために、縦方向に電流を流すことができない。このた
め、この発光素子10では、コア層15内の量子井戸層
23−1乃至23−3において横方向のp−n接合を形
成している。
【0021】さらに、GaAs層22−1乃至22−6
は、上記クラッド層14に比較して屈折率が大きいの
で、コア層15は導波路構造を有することとなり、この
コア層15において大きな光閉じ込め効果が得られる。
【0022】さらに、上記コア層15の形成の後に、厚
さ1500nmを有しアンドープのAl0.7Ga0.3As
にてなるクラッド層16を形成し、クラッド層16の表
面の酸化を防止するために、このクラッド層16上にG
aAsキャップ層17を結晶成長させる。
【0023】次いで、電極11,12を形成するため
に、当該長波長半導体発光素子10の両端部を選択エッ
チングして、キャップ層17、クラッド層16、コア層
15のAlAs層21−4及びGaAs層22−6の一
部を除去し、その除去した部分において、p型及びn型
半導体層である最上層の量子井戸層23−3と電気的な
導通を得るための電極11,12を形成した。このと
き、抵抗加熱式蒸着装置を用いて、p型半導体層の量子
井戸層23−3にはZn/Au(=200/2000
Å)からなる電極11の金属を形成し、n型半導体層の
量子井戸層23−3にはAuGe/Ni/Au(=10
00/300/1500Å)の金属を形成した。その
後、400℃で1.5分間の熱処理を行い、オーミック
接続を得ることにより、電極11,12を形成した。
【0024】さらに、水蒸気雰囲気中でアニール処理す
ることでコア層15内のAlAs層21−1乃至21−
4を次式の酸化反応式に示すごとく酸化させ、Al23
にてなる酸化化合物半導体層21a−1乃至21a−4
に改質した。
【0025】
【化1】 AlAs+H2O→Al23+AsH3+AsOx
【0026】上記酸化反応式から明らかなように、酸化
化合物半導体層21a−1乃至21a−4においては、
酸化アルミニウムのみならず、AsH3やAsOxが残存
する。
【0027】一方、成長した量子井戸層23−1乃至2
3−3内部でレーザー発振させるために、反射膜が必要
である。そこで、図2に示すように、半導体基板20の
厚さ方向と平行な方向に、すなわち平坦部20a,20
bに対して垂直方向に当該長波長半導体発光素子10の
半導体基板20及び各層13から17までを劈開し、劈
開面に電子ビーム蒸着装置を用いてSiO2膜とTiO
膜を交互に積層することにより、横方向のp−n接合に
おける横方向に対して直交しかつ平坦部20aに対して
平行な方向で,コア層15を挟設するように反射膜4
1,42を形成した。ここで、SiO2の膜厚は14
2.2nmでTiOの膜厚は86.5nmである。ま
た、キャビティ長を300μmとして劈開し、800〜
950nm波長領域で99.9%以上の反射率を持つ反
射膜41,42を劈開面に蒸着形成した。この反射膜4
1,42の反射率の波長特性は、図3に示すように、2
種類の量子井戸層23−1及び23−3と23−2によ
り発光する、互いに異なる2つの発光波長λ1,λ2を有
する光に対して、レーザ発振させるためにきわめて高い
反射率を有するが、2つの発光波長λ1,λ2の光子エネ
ルギーの差に対応する波長(λ2-1)の光に対しては実
質的に透過させる特性を有する。
【0028】さらに、電極11に可変電圧直流電源30
の正極を接続する一方、電極12にその電源30の負極
を接続することにより、当該長波長半導体発光素子10
に対して順方向の所定のバイアス電圧を印加する。この
とき、各量子井戸層23−1乃至23−3の横方向のp
−n接合において、n型半導体層からp型半導体層に電
子が流れる。p型半導体層に流れ込んだ電子はホールと
結合し光を放出する。ここで、2種類の量子井戸層23
−1及び23−3と23−2により、互いに異なる2つ
の発光波長を有する光を発生させることができる。特
に、GaAs、InPやInGaAsに代表される直接
遷移型半導体では光としてエネルギーが放出される。少
なくとも1対の向かい合う反射膜41,42を形成する
ことにより、放出した光が反射膜41,42間で共振し
エネルギーが誘導放出するために位相が整ったレーザー
発振が起こる。さらに、コア層15内の量子井戸層23
−1乃至23−3の材料InGaAsが有する非線形特
性により、上記2つの発光波長の光子エネルギーの差に
対応しかつ上記2つの発光波長に比べて長い波長を有す
る長波長の光を発生させることができ、矢印50で示す
ように反射膜41,42を透過して横方向で外部に放出
することができる。これにより、容易に長波長光源を作
製することができる。
【0029】以上説明したように、本実施形態において
は、GaAs層22−1乃至22−6と酸化化合物半導
体層21a−1乃至21a−4とを含む多層構造を有す
るコア層15は非線形特性を有しており、半導体レーザ
素子を構成する長波長半導体発光素子10内の同一導波
路構造内で2種類の波長の光が存在するとき、それらの
2つの波長の光子エネルギーの差に対応する波長を有す
る発光を得ることができる。ここで、自発光レーザ素子
自身が2種の活性層である量子井戸層23−1及び23
−3と23−2を有し、コア層15として非線形特性を
有する、GaAs層22−1乃至22−6と酸化化合物
半導体層21a−1乃至21a−4とを含む多層構造か
らなり、さらに横方向のp−n接合を用いることで、酸
化化合物半導体層21a−1乃至21a−4の絶縁性を
問題とせず、さらに、当該p−n接合部に電流を注入す
ることで、2つの発光波長の光子エネルギーの差に対応
する長波長の半導体レーザ装置を実現できる。
【0030】さらに、本実施形態において横方向のp−
n接合を用いた理由は、作製が容易であることのほか
に、上下方向に光を閉じ込めるバッファ層13及び14
が電流を流しにくいことが上げられる。横方向から電流
を活性層である量子井戸層23−1乃至23−3に注入
できるのでバッファ層13及びクラッド層14の伝導性
を無視することができる。また、電極11,12は、2
つの発光波長の光子エネルギーの差に対応する波長の光
の放出の妨害となる位置にはなく、その光を効率よく外
部に取り出すことができる。
【0031】
【実施例】本発明者の実験によれば、p型電極11とn
型電極12との間に、順方向のバイアス電圧を印加して
横方向のp−n接合に対して電界を印加したところ、2
種類の活性層である量子井戸層23−1及び23−3と
23−2で、電子と正孔の再結合により、光子エネルギ
ー1.458eVと1.305eVとにそれぞれ対応し
て、850nmと950nmの2種類の波長で発光し、
反射膜41,42のために横方向の外部に出射されず、
上記2つの光子エネルギーの差である光子エネルギー
0.1535eVに対応する8μmの波長の光が、図1
及び図2の矢印50で示すように、活性層から横方向で
反射膜41,42を透過して外部に放出されることを確
認した。
【0032】<変形例>以上の実施形態においては、互
いに異なる材料組成を有する2種類の量子井戸層23−
1及び23−3と23−2を形成して、互いに異なる2
種類の発光波長の光を発光させているが、本発明はこれ
に限らず、2種類の量子井戸層23−1及び23−3と
23−2の厚さを互いに異ならせることにより、互いに
異なる2種類の発光波長の光を発光させてもよい。もし
くは、互いに異なる材料組成と、互いに異なる厚さとの
組み合わせでもよい。
【0033】また、コア層15内の層の積層は上述の実
施形態に限らず、少なくとも、横方向のp−n接合を有
し化合物半導体材料にてなる少なくとも2種類の活性層
である複数の量子井戸層と、複数の酸化化合物半導体層
とを含む多層構造を有すればよい。
【0034】
【発明の効果】以上詳述したように本発明に係る長波長
半導体発光素子によれば、所定の傾斜面を有する半導体
基板上に形成され、横方向のp−n接合を有し化合物半
導体材料にてなる2種類の活性層と、酸化化合物半導体
層とを含む多層構造を有するコア層と、上記横方向のp
−n接合の方向に対して実質的に直交する方向で、上記
コア層を挟設するように形成された1対の反射膜とを備
え、上記2種類の活性層は、互いに異なる材料組成と、
互いに異なる厚さとのうちの少なくとも1つを有するこ
とにより、互いに異なる2つの発光波長の光を発光し、
上記発光された2つの発光波長の光を1対の反射膜によ
り反射することによりレーザー発振させ、上記コア層の
材料の非線形特性を用いて上記2つの発光波長の光子エ
ネルギーの差に対応する長波長の光を発光させて放出す
る。ここで、好ましくは、上記横方向のp−n接合に対
して横方向の電流を流すための電極手段をさらに備えて
おり、上記活性層は好ましくは量子井戸層である。
【0035】従って、従来の長波長発光素子では、素子
温度の制御(場合によっては極低温まで冷却)する必要
があったが、本発明に係る長波長半導体発光素子では、
室温での連続レーザ発振が可能である。また、従来技術
文献1に示された装置では、装置が大型化し、素子間の
光結合の困難さから発光効率が極めて低いという問題が
あったが、本発明に係る長波長半導体発光素子では、同
一導波路コア内で2波長の発光と、2波長の光の混合が
可能であることから、発光効率が高く低消費で装置構成
も簡単で小型化も容易である。
【0036】また、長波長発光素子である量子カスケー
ドレーザでは、構造が非常に複雑で、素子設計を含めて
作製は極めて困難であるが、本発明に係る長波長半導体
発光素子は、素子設計は従来の半導体レーザ装置と同様
で、設計や作製とも従来技術でまかなうことができる。
さらに、量子カスケードレーザ装置では、発せられた長
波長光を導波路内に閉じ込め、誘導放出現象を引き起こ
すことが不可欠で、このために、導波路構造は通常の屈
折率制御と波長の関係から膜厚が非常に大きくなり、長
時間の結晶成長が必要であった。これに対して、本発明
に係る長波長半導体発光素子は、閉じ込める2波長の光
は、1μm程度の波長であるので、従来の半導体発光素
子の導波路設計をそのまま用いることが可能で、膜厚も
小さなもので実現が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る一実施形態である長波長半導体
発光素子10の構造を示す、第1の断面に沿った断面図
である。
【図2】 図1の長波長半導体発光素子10の構造を示
す、第1の断面に直交する第2の断面に沿った断面図で
ある。
【図3】 図1の長波長半導体発光素子10における発
光強度及び反射膜41,42の反射率の波長特性を示す
グラフである。
【符号の説明】
10…長波長半導体発光素子、 11,12…電極、 13…バッファ層、 14…クラッド層、 15…コア層、 16…クラッド層、 17…キャップ層、 20…半導体基板、 21−1乃至21−4…AlAs層、 21a−1乃至21a−4…酸化化合物半導体層、 22−1乃至22−6…GaAs層、 23−1乃至23−3…量子井戸層、 30…可変直流電圧源、 41,42…反射膜、 50…2つの発光波長の光子エネルギーの差に対応する
波長の光。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 堂本 千秋 京都府相楽郡精華町大字乾谷小字三平谷5 番地 株式会社エイ・ティ・アール環境適 応通信研究所内 Fターム(参考) 2K002 AB12 CA13 DA05 HA31 5F041 AA11 CA03 CA05 CA34 CA35 CA36 CA46 CA66 CA82 CA92 CB15 5F073 AA74 AA89 BA09 CA04 CA07 CB03 CB07 DA06 DA22 DA31 EA08

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の傾斜面を有する半導体基板上に形
    成され、横方向のp−n接合を有し化合物半導体材料に
    てなる2種類の活性層と、酸化化合物半導体層とを含む
    多層構造を有するコア層と、 上記横方向のp−n接合の方向に対して実質的に直交す
    る方向で、上記コア層を挟設するように形成された1対
    の反射膜とを備え、 上記2種類の活性層は、互いに異なる材料組成と、互い
    に異なる厚さとのうちの少なくとも1つを有することに
    より、互いに異なる2つの発光波長の光を発光し、上記
    発光された2つの発光波長の光を1対の反射膜により反
    射することによりレーザー発振させ、上記コア層の材料
    の非線形特性を用いて上記2つの発光波長の光子エネル
    ギーの差に対応する長波長の光を発光させて放出するこ
    とを特徴とする長波長半導体発光素子。
  2. 【請求項2】 上記横方向のp−n接合に対して横方向
    の電流を流すための電極手段をさらに備えたことを特徴
    とする請求項1記載の長波長半導体発光素子。
  3. 【請求項3】 上記活性層は量子井戸層であることを特
    徴とする請求項1又は2記載の超格子半導体発光素子。
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CN107017556A (zh) * 2017-04-10 2017-08-04 北京工业大学 基于多层二维材料异质结的量子级联激光器
JP2019085519A (ja) * 2017-11-09 2019-06-06 信越半導体株式会社 半導体型蛍光体
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