JP2001201634A - 高分子膜に光学異方性を付与する方法、そのための装置および光学異方性媒体 - Google Patents

高分子膜に光学異方性を付与する方法、そのための装置および光学異方性媒体

Info

Publication number
JP2001201634A
JP2001201634A JP2000012140A JP2000012140A JP2001201634A JP 2001201634 A JP2001201634 A JP 2001201634A JP 2000012140 A JP2000012140 A JP 2000012140A JP 2000012140 A JP2000012140 A JP 2000012140A JP 2001201634 A JP2001201634 A JP 2001201634A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polymer film
polymer
optical anisotropy
polarized light
group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2000012140A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4048674B2 (ja
Inventor
Jiro Mitsunabe
治郎 三鍋
Katsunori Kono
克典 河野
Yasunari Nishikata
康成 西片
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Xerox Co Ltd filed Critical Fuji Xerox Co Ltd
Priority to JP2000012140A priority Critical patent/JP4048674B2/ja
Priority to US09/690,589 priority patent/US6512085B1/en
Publication of JP2001201634A publication Critical patent/JP2001201634A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4048674B2 publication Critical patent/JP4048674B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B5/00Optical elements other than lenses
    • G02B5/30Polarising elements
    • G02B5/3083Birefringent or phase retarding elements

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • Polarising Elements (AREA)
  • Holo Graphy (AREA)
  • Treatments Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い光学異方性を有する高分子膜を簡明な方
法で提供すること、そのための装置を提供すること、ま
た前記方法で得られる高い光学異方性を有する高分子膜
を備えた光学異方性媒体を提供すること。 【解決手段】 光異性化基あるいは光異性化分子が、光
によって異性化した後熱戻り反応によって異性化しうる
T(thermal)型フォトクロミック性を有する高分子膜に
偏光を照射することにより前記高分子膜に光学異方性を
付与する方法において、前記方法は、前記高分子膜に偏
光を照射する工程と、偏光を遮断し放置する工程の連続
する2つの工程を有し、前記2つの工程の少なくとも1
つの工程において、前記高分子膜に対し、熱戻り反応に
よって誘起される前記光異性化基あるいは光異性化分子
の配向を増強するための温度制御を行うことを特徴とす
る高分子膜に光学異方性を付与する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、偏光照射により
媒体の光誘起異方性(配向性、複屈折、二色性)を大き
く誘起し、定着させる方法、装置、ならびにそれらによ
り作製された光誘起異方性媒体であり、液晶配向膜、波
長板、位相板、光導波路、非線形光学素子、ビット記録
やホログラム記録による光記録媒体などの作製方法、装
置、ならびにそれら光誘起異方性媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】固体膜状の有機材料を配向させる技術
は、その膜面に接する液晶材料を配向させる配向膜とし
てのみならず、配向に由来する光学異方性を利用した波
長板、位相板、回折格子、光導波路、非線形光学素子、
光記録など、オプトエレクトロニクスへの応用分野にお
いて活発に研究されている。なかでも偏光照射により配
向を制御する方法は、非接触な配向手段であること、膜
内への任意な配向パターンが容易に形成可能なこと、光
とのアクティブな配向変化を活用した光素子への可能性
があることなどから、近年特に注目されている。
【0003】分子運動が束縛されている状態で二色性分
子に偏光を照射すると、偏光軸と遷移モーメントが一致
する分子のみが選択的に励起されて光学異方性を生ず
る。この現象はヴァイゲルト効果と呼ばれ1920年代に報
告されている。ここでは、光異性化分子としてアゾベン
ゼンを例に説明する。アゾベンゼンは、光照射によりト
ランス−シスの光異性化を示す。トランス体になると分
子構造が下記化学式(a)のようになり、シス体になると
分子構造が化学式(b)のようになる。
【0004】
【化2】
【0005】アゾベンゼンは単体で異方性を示すが、高
分子中に結合あるいは分散された状態で、溶液からの塗
布によって作製された膜は、溶液の等方的なコンフォメ
ーションを反映して全体として等方性を示す(図1の
a)参照)。ここに、アゾベンゼンに感度のある波長の
直線偏光を照射すると、アゾベンゼンの二色性に起因し
て分子が偏光方向と同方向に並んでいるアゾベンゼンの
みが光を吸収しシス体へと異性化する。異性化したシス
体は熱的に不安定であるため、熱戻り反応により再びト
ランス体へ異性化する。このときのトランス体は偏光方
向(偏光軸)と同方向かあるいは垂直方向のいずれの配
向状態もありうるが、偏光方向と同方向のトランス体は
再び光異性化によりシス体へと変化し、その後さらに熱
戻り反応により再びトランス体へ異性化する。このよう
に偏光方向に規定されたトランス−シス−トランスの異
性化サイクルを繰り返す過程において、励起偏光に対し
て吸収の小さい方向(偏光軸に対して垂直方向)へ配向
変化が生ずる(図1のb)参照)。このとき、アゾベン
ゼンの配向変化に加えて、アゾベンゼンの異性化と配向
変化によって高分子の配向変化が誘起され、媒体中に偏
光方向を軸とした(あるいはそれと直交した)大きな異
方性が生ずる。
【0006】この光誘起異方性を利用した液晶配向膜、
波長板(光学位相板)などの作製方法は、例えば、特開
平11−231133に提案されている。さらには、この光誘起
異方性の記録特性を利用した光記録方法として、ホログ
ラム記録方法(特開平10−340479)や偏光角多値記録
(特開平11−238251)も提案されている。また、偏光照
射によりアゾ色素などの非線形クロモフォアを配向させ
ることで、その屈折率変化を利用した導波路作製や光ス
イッチなどの応用は多岐にわたる。これらの場合、高い
配向を誘起してこれを維持することで大きな複屈折を得
ることが重要な鍵である。偏光照射を用いた光配向方法
において、より高い配向を誘起する方法としては、例え
ば電場による配向に偏光照射を併用する方法(photoass
isted electricalpoling : PAEP)が提案されている。
(Z.Sakkat et al. "Photoassisted poling of azo dye
doped polymeric films at room temperature", Appl.
Phys. B 54, 486-489 (1992))しかし、効率よく電場
を作用させるために膜面に接して電極が必要であるこ
と、任意の微細配向パターンを形成することは困難であ
ることから、液晶配向膜や回折格子などへの応用は実用
的でない。
【0007】他の方法として、直線偏光の光または非偏
光の光を斜め方向から照射した後、さらに加熱処理を施
す配向樹脂膜の製造方法が、特開平11−160708に開示さ
れている。これによると、加熱処理により高分子を液晶
化あるいは結晶化させて配向状態を高度に安定させるこ
とを可能としている。これは、高分子の主鎖あるいは側
鎖間での分子間相互作用が、大きな配向を誘起するメカ
ニズムとして説明されている。(K.Ichimura et al. "T
hermally stable photoaligned p-cyanoazobenzene moi
eties in polymer thin films", Macromol. Symp. 137,
129-136 (1999)) しかしながら、例えば体積型ホログラム素子のように、
厚膜の用途では、液晶性または結晶性に由来する散乱が
光学素子としてのノイズとなるため、液晶性または結晶
性の高い高分子は適さない。さらに、液晶性または結晶
性の低い高分子を上述した加熱処理によって安定化させ
るのは困難である。後で詳述するポリエステル([化
5]参照)を用いて膜を作製し、1mmφの領域に直線偏
光を照射して複屈折を誘起・記録した膜に対して、熱処
理を施した結果を図2に示す。熱処理による配向増強効
果はほとんどみられず、本高分子のガラス転移点(Tg=
38℃)以上では、誘起された複屈折が著しく減衰するこ
とがわかった。また、本従来技術による配向の増強効果
は本質的に分子間相互作用によっているので、一方向へ
の均一配向に対しては効果が高いが、サブミクロンオー
ダーの微細な配向分布を熱処理によって増強させること
は困難であると考えられる。
【0008】上述の屈折率変化を利用して波長板に応用
する場合、複屈折が大きいほど素子の厚みを薄くでき素
子による収差などのノイズを低減できる。導波路を作製
する場合は、屈折率変化が大きいほど多くのモードを伝
播させることができる。さらに、導波層にアゾ色素など
の非線形クロモフォアを配向させた光スイッチを作製す
る場合は、高い配向性により二次あるいは三次の非線形
性を大きくすることができる。ホログラフィックメモリ
への応用を考えた場合、屈折率変化が大きいほど記録多
重度を増やすことができ、大容量メモリが実現できる。
偏光角多値記録(特開平11−238251)の発明において
も、屈折率変化が大きくできれば、記録材料の厚みを薄
くでき、媒体厚みの変化によるエラーの影響を低減でき
る。
【0009】しかしながら、上述した先行技術(特開平
11−231133、特開平10−340479、特開平11−238251)の
光配向方法では、誘起される複屈折は0.05程度であり、
配向膜や波長板、光メモリ、導波路などの用途には十分
な大きさではない。これらを実用化するためには、配向
を安定に維持し、かつ、高い複屈折を得る方法および装
置が必須である。また、厚膜の用途では、液晶性または
結晶性に由来する光配向媒体の散乱が課題となる。さら
に、ホログラフィックメモリとして応用するためには、
サブミクロンオーダーの配向分布を形成・増強させる分
解能が必要となる。本発明は、これらの問題を解決する
光配向方法および装置を提供し、それらによって大きく
光学異方性を誘起した光学異方性媒体を提供するもので
ある。
【0010】K. Nakagawaらの"Optical phase conjugat
ion in polyesters with cyanoazobenzene units in th
e side chain", OPTICAL REVIEW 2, 460-462 (1995)に
よれば、後記[化5]に示す側鎖にシアノアゾベンゼン
を持つポリエステル膜は、位相共役鏡として有望である
ことが示されている。この位相共役光発生材料は、アゾ
基の光異性化に起因する光誘起異方性により位相共役光
を発生するとともに、ホログラム記録が可能である。さ
らに文献の中では、ホログラム記録後にそのホログラフ
ィックグレーティングが発達することが示されている。
しかしながら、このメカニズムについては明らかにされ
ていない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高い
光学異方性を有する高分子膜を簡明な方法で提供するこ
と、そのための装置を提供すること、また前記方法で得
られる高い光学異方性を有する高分子膜及びそれを備え
た光学異方性媒体を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、以
下の方法、装置および光学異方性媒体を提供することに
より解決される。 (1)分子中に光異性化基を含む高分子膜または光異性
化分子を含む高分子膜であって、該光異性化基あるいは
光異性化分子が、光によって異性化した後熱戻り反応に
よって異性化しうるT(thermal)型フォトクロミック性
を有する高分子膜に偏光を照射することにより前記高分
子膜に光学異方性を付与する方法において、前記方法
は、前記高分子膜に偏光を照射する工程と、偏光を遮断
し放置する工程の連続する2つの工程を有し、前記2つ
の工程の少なくとも1つの工程において、前記高分子膜
に対し、熱戻り反応によって誘起される前記光異性化基
あるいは光異性化分子の配向を増強するための温度制御
を行うことを特徴とする高分子膜に光学異方性を付与す
る方法。 (2)前記2つの工程の両方の工程において、高分子膜
の温度制御を行うことを特徴とする前記(1)に記載の
高分子膜に光学異方性を付与する方法。
【0013】(3)前記2つの工程の少なくとも1つの
工程において、前記高分子膜の温度が、高分子のガラス
転移温度Tgの±7℃以内になるように温度制御するこ
とを特徴とする、前記(1)または(2)に記載の高分
子膜に光学異方性を付与する方法。 (4)前記2つの工程の少なくとも1つの工程におい
て、前記高分子膜の温度が、高分子のガラス転移温度T
gになるように温度制御することを特徴とする、前記
(1)ないし(3)のいずれか1に記載の高分子膜に光
学異方性を付与する方法。 (5)偏光を遮断し放置する工程において、前記高分子
膜の温度を、偏光を照射する工程における高分子膜の温
度と等しくするか、あるいはそれ以上の温度になるよう
に制御することを特徴とする、前記(1)ないし(4)
のいずれか1に記載の高分子膜に光学異方性を付与する
方法。 (6)偏光を照射する工程における光誘起複屈折Δnの
偏光照射時間tに対する変化を、以下の式1に示す二成
分緩和系で近似した際、偏光を照射する時間をτ a以上
とすることを特徴とする、前記(1)ないし(5)のい
ずれか1に記載の高分子膜に光学異方性を付与する方
法。
【0014】
【数2】
【0015】式1中、Δnは光誘起複屈折、AおよびB
は複屈折に対する各成分の寄与、τaおよびτbは各緩和
成分の時定数、tは偏光照射時間を示す。 (7)偏光を照射する工程における光誘起複屈折Δnの
偏光照射時間tに対する変化を、上記式1で近似した
際、偏光を照射する時間を6τa以上とすることを特徴と
する、前記(1)ないし(6)のいずれか1に記載の高
分子膜に光学異方性を付与する方法。 (8)前記高分子膜の温度制御を、前記偏光の照射強度
あるいは照射パワーを調整することによって行うことを
特徴とする、前記(1)ないし(7)のいずれか1に記
載の高分子膜に光学異方性を付与する方法。
【0016】(9)前記高分子の主鎖に芳香族炭化水素
環を含むことを特徴とする、前記(1)ないし(8)の
いずれか1に記載の高分子膜に光学異方性を付与する方
法。 (10)前記芳香族炭化水素環が連結基により連結され
た2つ以上のベンゼン環であることを特徴とする、前記
(1)ないし(9)のいずれか1に記載の高分子膜に光
学異方性を付与する方法。 (11)前記光異性化基または光異性化分子が、アゾ基
を含むことを特徴とする、前記(1)ないし(10)の
いずれか1に記載の高分子膜に光学異方性を付与する方
法。 (12)光異性化基を有する高分子が、側鎖にアゾベン
ゼン誘導体を導入した高分子であることを特徴とする、
前記(1)ないし(11)のいずれか1に記載の高分子
膜に光学異方性を付与する方法。 (13)光異性化基を有する高分子が、側鎖にアゾベン
ゼン誘導体が導入され、該アゾベンゼン誘導体が主鎖の
芳香族環に連結されていることを特徴とする、前記
(1)ないし(12)のいずれか1に記載の高分子膜に
光学異方性を付与する方法。 (14)光異性化基を有する高分子が下記構造式で示さ
れるポリエステル樹脂であることを特徴とする、前記
(1)ないし(13)のいずれか1に記載の高分子膜に
光学異方性を付与する方法。
【0017】
【化3】
【0018】構造式中、Xはシアノ基、メチル基、メト
キシ基またはニトロ基を示し、Yはエーテル結合または
ケトン結合を示す。lおよびmはそれぞれ2から18の
整数を、nは5ないし500の整数を示す。 (15)光異性化基を有する高分子が、上記構造式中、
lおよびmがそれぞれ4ないし10の整数であり、nが
10ないし100の整数で示されるポリエステル樹脂で
あることを特徴とする、前記(1)ないし(14)のい
ずれか1に記載の高分子膜に光学異方性を付与する方
法。
【0019】(16)分子中に光異性化基を含む高分子
膜または光異性化分子を含む高分子膜であって、該光異
性化基あるいは光異性化分子が、光によって異性化した
後熱戻り反応によって異性化しうるT(thermal)型フォ
トクロミック性を有する高分子膜に偏光を照射すること
により前記高分子膜に光学異方性を付与する方法に使用
するための装置において、前記高分子膜に偏光を照射す
るための光源と、前記高分子膜の温度を制御するための
温度制御手段とを備えることを特徴とする、前記(1)
ないし(15)のいずれか1に記載の高分子膜に光学異
方性を付与する方法に使用するための装置。 (17)前記光源が、温度制御手段を兼ねることを特徴
とする、前記(16)に記載の高分子膜に光学異方性を
付与する方法に使用するための装置。 (18)前記(1)ないし(15)のいずれか1に記載
の方法によって作製された光学異方性が付与された高分
子膜。 (19)前記(1)ないし(15)のいずれか1に記載
の方法によって作製された光学異方性が付与された高分
子膜を備える光学異方性媒体。 (20)前記(1)ないし(15)のいずれか1に記載
の方法によって作製された光学異方性が付与された高分
子膜を備える液晶配向膜。
【0020】
【発明の実施の形態】発明者は、前記K. Nakagawaらの"
Optical phase conjugation in polyesterswith cyanoa
zobenzene units in the side chain", OPTICAL REVIEW
2, 460-462(1995)に記載の、ホログラム記録後のホロ
グラフィックグレーティング発達の効果に注目し、その
メカニズムの解明を試みた。その結果、偏光遮断後のホ
ログラフィックグレーティング発達の駆動源は、熱反応
によるシス体からトランス体への異性化反応と、側鎖部
および主鎖部のセグメント間に働く相互作用であること
を見出した。すなわち、偏光照射時には選択的な光異性
化反応に基づくシアノベンゼンのトランス−シス−トラ
ンス異性化サイクルによって配向変化が起こる。偏光を
遮断したとき、偏光照射により増加したシアノベンゼン
のシス体は熱反応によりトランス体へ異性化するが、主
にそれまでに誘起された側鎖部分の配向状態の影響を強
く受け、結果として、配向を増大させる方向へと作用す
る。さらに、このシス体からトランス体への熱異性化反
応は主鎖部の配向変化も誘発する。しかし、従来の光に
よる配向方法すなわち(特別な)温度制御を行わずに偏
光を照射する方法では、この現象を効果的に光学異方性
の増強に利用することができない。上述したポリエステ
ル膜([化5]参照)において、偏光遮断時の複屈折は
わずかに増加する程度である。(数%以下)(K.Nakagaw
a et al. "Holographic recording in polyesters havi
ng cyanoazobenzene units in the side chain", Proc.
SPIE 2778, 571-572 (1996))
【0021】そこで、さらに発明者は、この現象を光学
異方性(複屈折等)媒体を得る方法に有効に活用するた
め鋭意研究を重ねた結果、光学異方性の高い媒体を得る
方法に到達した。本発明においては、光学異方性高分子
膜を得るために、分子中に光異性化基を含む高分子膜ま
たは光異性化分子を含む高分子膜であって、該光異性化
基あるいは光異性化分子が、光によって異性化した後熱
戻り反応によって異性化しうるT(thermal)型フォトク
ロミック性を有する高分子膜を使用し、下記に詳述する
方法によって光学異方性を付与する。このような高分子
膜に偏光照射を行った場合、偏光照射時および偏光遮断
後にに生ずる現象を図1に模式的に示す。(光異性化基
としてアゾベンゼンを例にとって説明する。) 上記のように、等方的なコンフォメーションを有するア
ゾベンゼン(図1のa)参照)に感度のある波長の直線
偏光を照射すると、分子が偏光方向と同方向に並んでい
るアゾベンゼンのみが光を吸収しシス体へと異性化し、
異性化したシス体は熱戻り反応により再びトランス体へ
異性化する。このように偏光照射時には、偏光方向に規
定されたトランス−シス−トランスの異性化サイクルが
繰り返され、励起偏光に対して吸収の小さい方向(偏光
軸に対して垂直方向)へ配向変化が生ずる(図1のb)
参照)。またこの際、アゾベンゼンの配向変化に加え
て、アゾベンゼンの異性化と配向変化によって高分子の
配向変化も誘起される。
【0022】偏光照射を遮断した時点においてはシス体
が残っており(図1のb)参照)、これは光学異方性を
小さくする要因となる。このシス体が熱戻り反応により
トランス体に戻ることを促進すると、偏光照射の工程に
おいてかなりな程度で優位な方向に配向されている、す
なわち、偏光軸に対して垂直方向に配向されているトラ
ンス体と同方向に配向が促進され、光学異方性(複屈
折)が増大する(図1のc)を参照)。また、偏光照射
時においても前記配向を促進することにより光学異方性
が増大する。さらに光異性化基あるいは光異性化分子の
配向が増大する結果、上記の高分子主鎖の配向も一層促
進される。本発明はこの知見に基づくものである。
【0023】本発明においては、上記の偏光照射工程お
よび偏光遮断後放置工程の少なくとも1つの工程におい
て、光異性化基あるいは光異性化分子が熱戻り反応によ
り異性化する際に上記のような配向を促進して高分子膜
に高い光学異方性を付与するために、前記高分子膜に対
して温度制御を行うことを特徴とする。すなわち、本発
明の温度制御により、シス体からトランス体への熱戻り
反応を促進させ、同時に高分子セグメント(および分
子)の運動性を高め、さらにガラス転移温度近傍におい
て増大するセグメント同士の協同運動性を積極的に配向
変化に作用させることが可能となる。なお、以下の説明
において、光異性化基あるいは光異性化分子を有する高
分子膜に偏光を照射することにより、光異性化基あるい
は光異性化分子、あるいはこれらに加えさらに高分子主
鎖の配向を進めることを「光配向」といい、この方法を
「光配向方法」ということがある。
【0024】次に、本発明の方法において使用する分子
中に光異性化基を含む高分子膜または光異性化分子を含
む高分子膜であって、該光異性化基あるいは光異性化分
子が、光によって異性化した後熱戻り反応によって異性
化しうるT(thermal)型フォトクロミック性を有する高
分子膜について説明する。最初に分子中に光異性化基を
含む高分子について説明する。光異性化基は、光によっ
て異性化した後熱戻り反応によって異性化しうるT(the
rmal)型フォトクロミック性を有する基であって、この
ような異性化によって光異性化基の配向が生じ、光学異
方性(複屈折や二色性等)を誘起させる基であれば特に
制限はないが、偏光照射により選択的な光異性化反応、
たとえば偏光軸に平行な分子のみが光を吸収して光幾何
異性化反応を起こすものが好ましい。異性化としてはシ
ス−トランス異性化だけでなく、シン−アンチ異性化も
含まれる。
【0025】前記のごとき光異性化基としてはシアノ
基、メチル基、n−ブチル基等のアルキル基(炭素数1
〜8)、トリフルオロメチル基、フェニル基、シクロヘ
キシル基等のシクロアルキル基、メトキシ基、トリフル
オロメトキシ基等のアルコキシ基(炭素数1〜6)、ニ
トロ基、エトキシカルボニル基、フッ素原子等のハロゲ
ン原子等で置換したアゾベンゼン構造を有する基の他、
スチルベン、アゾメチン、インジゴ、チオインジゴなど
の構造を有する基が挙げられる。中でもアゾ基を含む光
異性化基が好ましく、特に、シアノ基、メチル基、メト
キシ基またはニトロ基で置換したアゾベンゼンを含む基
が好ましい。
【0026】また、前記の光異性化基は高分子の側鎖に
あることが好ましい。高分子の主鎖は付加系ポリマーで
も縮合系ポリマーのいずれでもよく、付加系ポリマーと
してはアクリレート系ポリマー、メタクリレート系ポリ
マー等が挙げられる。アクリレート系ポリマー、メタク
リレート系ポリマーの場合、アゾベンゼンは、−COO
−(CH)n−O−等によってポリマーと連結される。
また、縮合系ポリマーとしてはポリエステル系、ポリイ
ミド系、ポリシロキサン系、ポリウレタン系、ポリウレ
ア系などを挙げることができるが、中でもポリエステル
系が好ましい。また、光異性化基の熱異性化と配向変化
によって高分子の配向変化が誘起されるような高分子を
使用すると、複屈折増大効果が効率よく実現する。この
ため、側鎖あるいは主鎖におけるセグメント間の相互作
用が適度に強いことが望まれる。たとえば、高分子の主
鎖部に芳香族炭化水素環により構成された剛直な部分を
含むことが好ましい。また、芳香族炭化水素環は分極率
異方性が大きいので、配向変化による複屈折への寄与も
大きい。芳香族炭化水素環としては連結基により連結さ
れた2つ以上のベンゼン環が挙げられる。前記連結基と
しては、エーテル結合、ケトン結合等が挙げられる。ま
た、アゾベンゼン誘導体が主鎖の芳香族環に連結してい
るものが好ましい。さらに、光異性化基は、高分子の主
鎖の繰り返し単位の中に少なくとも1つ含まれることが
好ましいが、側鎖部に光異性化基を持たない構成単位と
の共重合体としてもよい。
【0027】中でも側鎖に光異性化基を有するポリエス
テルとして以下の構造式で示されるポリエステルが好ま
しい。
【0028】
【化4】
【0029】式中、Xはシアノ基、メチル基、メトキシ
基、またはニトロ基を示し、Yはエーテル結合、または
ケトン結合を示す。lおよびmは、2から18の整数、より
好ましくは4から10の整数を示し、nは5から500の整数、
より好ましくは10から100の整数を示す。前記構造式で
示されるポリエステルの具体例を以下に挙げるがこれら
に限定されるものではない。
【0030】
【化5】
【0031】
【化6】
【0032】
【化7】
【0033】
【化8】
【0034】
【化9】
【0035】
【化10】
【0036】
【化11】
【0037】ここで示した各高分子については、以下の
具体的な実験で示されるような複屈折増大効果を確認す
ることができた。
【0038】次に、本発明で使用する光異性化分子につ
いて説明する。光異性化分子としては、メチルレッド、
メチルオレンジ、ディスパーズレッド1、ディスパーズ
レッド13、ディスパーズオレンジ3などのアゾ基を含
む色素分子が挙げられる。また、光異性化分子が添加さ
れる高分子としては、ポリメチルメタクリレート、ポリ
ビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリアリル
アミン等が挙げられる。
【0039】また、本発明は、上記のようにして得られ
た光学異方性が付与された高分子膜を備えた光学異方性
媒体をも提供するものである。本発明の光学異方性媒体
は、ガラス基板などの透明基板に、分子中に光異性化基
を含む高分子膜または光異性化分子を含む高分子膜であ
って、該光異性化基あるいは光異性化分子が、光によっ
て異性化した後熱戻り反応によって異性化しうるT(the
rmal)型フォトクロミック性を有する高分子膜からなる
層(以下において、この層を「光配向層」ということが
ある。)を設けたもの(以下、これを「光配向媒体」と
いうことがある。)を、以下に詳述するような方法を用
いて光学異性化したものである。上記の光配向媒体の一
例を図3を用いて説明する。図3(A)は透明基板11
の一面側に光配向層12を形成したもの、図3(B)は、
ガラス基板などの2枚の透明基板11により形成されたギ
ャップに光配向層12を挿入したものを示す。また、基板
を用いずに、図3(C)に示すように、光配向層12のみ
からなるものとすることができる。この他に光配向媒体
の用途に応じその構造を変更することが可能である。
【0040】本発明の高分子膜に光学異方性を付与する
方法は、得られる高分子膜の光学異方性(複屈折、二色
性)を直接利用する目的に対してのみならず、上で詳述
したように本発明の高分子膜に光学異方性を付与する方
法によって増強される高分子自体の配向性を利用する目
的、たとえば液晶配向膜の形成に対しても適用される。
【0041】本発明によれば、光異性化基あるいは光異
性化分子が熱異性化(熱戻り)する際に、それを含む高
分子膜を、熱戻り反応によって誘起される前記光異性化
基あるいは光異性化分子の配向を増強するための温度制
御を行うため、シス体からトランス体への熱戻り異性化
・配向を効果的に誘起させることができ、偏光遮断後の
複屈折増大効果を大幅に改善することができる。またこ
のことに加え、側鎖部と主鎖部のセグメント間に働く相
互作用によって、主鎖部の配向も誘発されて複屈折増大
に寄与する。これにより、単に配向させる時間を短縮さ
せるだけではなく、従来技術では不可能であった高い複
屈折を得ることができる。さらに、本発明において特徴
的な異性化反応は、その運動を誘起させるために高い温
度は必要としない。したがって、任意の配向状態を増強
するうえで、従来技術よりも高い分解能を有する。後記
の具体例において、複屈折増大効果は少なくとも1μmの
分解能を示した。一方、従来の光配向方法においては、
配向の駆動源であるセグメントの運動性を高める必要か
ら熱処理を行っているが、セグメントの運動性を高める
ことは、反面、任意の配向分布を増強させるための分解
能低下を招く。したがって、この光誘起異方性を利用し
て、高品質の液晶配向膜、波長板(光学位相板)を作製
することが可能である。また、アゾ色素などの非線形ク
ロモフォアを効率よく配向させることで、高い非線形性
を有する光学素子の作製も可能となる。また、この光誘
起複屈折の光学軸を効率よく記録することで、ホログラ
ムやビット記録などの大容量光メモリが実現可能とな
る。このように本発明を利用した用途は光学素子全般に
わたる。
【0042】次に、本発明における上記高分子膜に光学
異方性を付与する方法について、実験例を示して、具体
的に詳しく説明する。 1.まず、以下の実験において使用した側鎖に光異性化
基であるシアノアゾベンゼンを有するポリエステル(以
下においてこれを「光配向層材料」ということがあ
る。)の製造、およびこのポリエステルを用いた光配向
媒体の作製について説明する。ここでは、上記[化5]
で示すポリエステルの製造例を示すが、上記構造式で示
されるポリエステルは、下記の製造方法に準じた方法で
同様に製造することができる。以下において使用する光
配向層材料は、M.Satoらの"Synthesis and properties
of polyesters having cyanoazobenzene units in the
side chain", Macromol. Rapid Commun. 15, 21-29
(1994)に報告されている。発明者は、上記文献に記載さ
れている方法によって、本高分子を合成した。実施した
合成手順を次に記す。
【0043】4-ヒドロキシ-4'-シアノアゾベンゼンの合
成 4-アミノベンゾニトリル 2mol(236.3g),12N HCl 600
ml,純水 600mlを氷浴中で攪拌しながら、NaNO2 水溶液
(NaNO2 150g,純水 750ml)を滴下した。(Step1)
フェノール 2mol(191.8g)とKOH 2mol(112.3g)を約2
lの純水にすばやく溶かし、Step1の生成物を滴下した。
吸引ろ過後、純水で洗浄して減圧乾燥させた。生成物を
メタノールで再結晶し、4-ヒドロキシ-4'-シアノアゾベ
ンゼン 1.3mol (292.3g,収率65.5%)を得た。
【0044】4-(6-ブロモヘキシルオキシ)-4'-シアノア
ゾベンゼンの合成 4-ヒドロキシ-4'-シアノアゾベンゼン 0.2mol(44.6
g),1,6-ジブロモヘキサン 2mol(488.1g),K2CO3 1.
45mol(200.4g),アセトン 800mlを2lの三つ口フラス
コに入れ、ウォータバスを用いて20時間還流し反応させ
た。室温まで冷やした後、副生成物と過剰のK2CO3をろ
過して取り除いた。ロータリエバポレータを用いて約1/
2程度まで濃縮した後に冷凍庫に放置して結晶化させ
た。吸引ろ過後、n-ヘキサンで洗浄して減圧乾燥させ
た。(0.117mol(45.3g,収率58.6%))さらに、エタノ
ールで再結晶し4-(6-ブロモヘキシルオキシ)-4'-シアノ
アゾベンゼン 0.094mol(36.3g,収率47.0%)を得た。
【0045】5-ヒドロキシイソフタル酸ジエチルエステ
ルの合成 5-ヒドロキロキシイソフタル酸 1mol(182.4g),エタ
ノール 1500ml,濃硫酸10mlを2lの三つ口フラスコに入
れ、ウォータバスを用いて24時間還流し反応させた。ロ
ータリエバポレータを用いて濃縮させNaHCO3水溶液に注
いだ後、ろ過・減圧乾燥させ5-ヒドロキシイソフタル酸
ジエチルエステル0.096mol(228.8g,収率96.0%)を得
た。さらに、エタノールで再結晶させた後に加熱(50〜
60℃)減圧乾燥させた。
【0046】側鎖部モノマー:5-(4-シアノベンゼンア
ゾフェノキシヘキシルオキシ)-イソフタル酸エチルエス
テルの合成 4-(6-ブロモヘキシルオキシ)-4'-シアノアゾベンゼン
0.08mol(30.9g),5-ヒドロキシイソフタル酸ジエチル
エステル0.08mol,K2CO3 0.12mol(16.58g),アセトン
400mlを1lの三つ口フラスコに入れ、ウォータバスを用
いて24時間還流し反応させた。放冷後、約4lの純水に注
ぎ沈殿物をろ過して取り出し減圧乾燥させた。(0.071m
ol(38.8g,収率89.2%))その後アセトンで再結晶さ
せ、側鎖部モノマーとなる5-(4-シアノベンゼンアゾフ
ェノキシヘキシルオキシ)-イソフタル酸エチルエステル
0.058mol(31.4g,収率72.2%)を得た。融点:99.0
℃,吸収ピーク:364.2nm 側鎖部モノマーの同定は、FTIRスペクトルと1H NMRによ
って行った。FTIRの結果を次に示し、[化12]に1H N
MR分析スペクトル結果を示す。 FTIR(KBr):2947.7cm-1(CH伸縮),2227.4 cm-1(C
N),1713.4 cm-1(エステルC=O),1599.7 cm-1(C=
C),1580 cm-1(N=N),1244.8 cm-1(C−O−C)
【0047】
【化12】
【0048】主鎖部モノマー:ビス(4-ヒドロヘキシル
オキシフェニル)エーテルの合成 4,4'-ジヒドロキシジフェニルエーテル 0.3mol(60.66
g),6-クロロ-1-ヘキサノール 0.66mol(90.16g),K2
CO3 0.7mol(97g),N,N-ジメチルホルムアミド 250ml
を混合し、オイルバスを用いて160℃に加熱し24時間反
応させた。その後、少量の塩酸を含む水に注ぎ生成物を
ろ過・減圧乾燥させ、ビス(4-ヒドロヘキシルオキシフ
ェニル)エーテルを得た。さらに、水−N,N-ジメチルホ
ルムアミド系より再結晶させた。(ほぼ定量的)融点:
119℃ 側鎖部モノマーの同定は、FTIRスペクトルと1H NMRによ
って行った。FTIRの結果を次に示し、[化13]に1H N
MR分析スペクトル結果を示す。 IR(KBr)(JASCO FT/IR-230):3312.1cm-1(OH),29
36.1cm-1(CH伸縮),1505.2 cm-1(芳香族),1241.9
cm-1(C−O−C),
【0049】
【化13】
【0050】アゾベンゼンを側鎖に持つポリエステルの
溶融重縮合 側鎖部モノマー:5-(4-シアノベンゼンアゾフェノキシ
ヘキシノキシ)-イソフタル酸エチルエステル 0.01mol
(5.4361g),主鎖部モノマー:ビス(4-ヒドロヘキシル
オキシフェニル)エーテル 0.01mol(4.0253g),無水酢
酸亜鉛 0.1gを300mlの三つ口フラスコに入れ、窒素置換
後に次のステップで反応させた。 1)約160℃で2時間反応 2)10Torrに減圧させて20分反応 3)30分かけて180℃,2〜5Torrに昇温・減圧 4)180℃,2〜5Torrで2時間反応 上記反応後、クロロホルムに溶解させてメタノール中に
注いだ。沈殿物をろ過して取り出し純水→メタノールで
加熱洗浄させた後に減圧乾燥させ、シアノアゾベンゼン
を側鎖に持つポリエステルを得た。(ほぼ定量的)
【0051】図4に上記方法で合成した高分子のDSC曲
線を示す。ガラス転移温度Tgは38℃、融点Tmは65℃であ
った。また平均分子量は約11,900であった。した
がって平均繰り返し単位数n=14である。偏光顕微鏡
観察によると、液晶相は存在せず固体状態において複屈
折を有する高分子であることがわかった。 光配向媒体の作製 上述した方法によって合成した高分子をクロロホルムに
0.8g/mlの濃度で溶かし、洗浄したガラス基板上にスピ
ンコートした(1000rpm,20sec)。乾燥させた後、等方
相まで加熱し急冷した。偏光顕微鏡観察により、作製さ
れた膜(光配向層)は等方的なアモルファス膜であるこ
とを確認した。また、触針式の表面あらさ計を用いて膜
厚を測定したところ1.5μmであった。
【0052】2.次に、前記光配向層を光異性化する方
法(以下、これを「光配向方法」ということがある。)
および該方法に使用するための装置(以下において、こ
の装置を「光配向装置」ということがある。)について
説明する。 (1) 最初に、使用した光配向装置について説明す
る。図5は光配向層に光学異方性を誘起し、かつ誘起さ
れた光学異方性を確認するための装置の概要を示す。図
5中、10は光配向媒体、20はヒーター、30はヒー
ター20によって加熱される光配向層の温度を制御する
ための温度制御装置をそれぞれ示し、また、1は光配向
層に光学異方性(複屈折)を誘起させるためのポンプ光
を示す。ポンプ光1として、シアノアゾベンゼンを側鎖
に持つポリエステルに感度のあるアルゴンイオンレーザ
の発振線515nmを用いた。2はプローブ光、3は偏
光子、4は検光子をそれぞれ示す。これらは、ポンプ光
により誘起される光学異方性(複屈折)を調べるための
ものである。プローブ光2としては、光配向媒体に感度
のないヘリウムネオンレーザの発振線633nmを用い
た。ヘリウムネオンレーザの光路中に光配向媒体10を
置き、その前後を偏光子3と検光子4で挟む。ここで、
偏光子3の方位を0°偏光、検光子4の方位を90°偏
光とし、互いに垂直な方位とした。この条件では、光配
向媒体10に異方性がなければ、プローブ光2の偏光方
向は変化せず、検光子4を通過できない。ポンプ光1の
偏光方向を、偏光子3と検光子4の方位のちょうど中間
の45°にして光配向媒体10に照射し、複屈折を誘起
した。このとき、プローブ光2は光配向媒体の誘起され
た複屈折により偏光が回転され、検光子4を通過する。
検光子4を通過した光パワーIは、以下の数式2で表さ
れる。この式を用いて、Δnを計算することができる。
【0053】
【数3】
【0054】式中、I0は光配向媒体を通過する前のプ
ローブ光の強度、Iは検光子4を通過した光強度を示
し、λはプローブ光の波長を、dは光配向層の膜厚を示
す。上述した方法と同様の方法を用いたシアノアゾベン
ゼンを側鎖に持つポリエステル膜の光誘起複屈折は、例
えばK.Nakagawa et al. "Holographic recording in po
lyesters having cyanoazobenzene units in the side
chain", Proc. SPIE2778, 571-572 (1996)、山田サユ他
"シアノアゾベンゼンを側鎖に持つポリエステルの光誘
起異方性記録", 第58回応用物理学会学術講演会 講演予
稿集, 952(1997)に報告されている。それらによると、
ポンプ光で誘起される複屈折は時間とともに増加して飽
和し、ポンプ光を遮断した後はわずかに増加するもの
の、ほぼ等しい値で保存されることが示されている。ポ
ンプ光遮断後に同様の挙動を示す材料としては、例えば
A.Natansohnらの"Azo polymers for reversible optica
l storage. 4. Cooprative motion of rigidgroups in
semicrystalline polymers", Macromolecules 27, 2580
-2585 (1994)に報告されている。この材料は、主鎖に芳
香族炭化水素を有する半結晶性高分子であり、ポンプ光
遮断後に複屈折がわずかに増加して保存される。A.Nata
nsohnらは、この現象に対し、ポンプ光照射による熱の
影響を取り上げ、ガラス状態から緩和した半結晶性によ
る効果と考察している。
【0055】(2)光配向層の温度制御 図5で示される装置を用い、光配向層に対して偏光を照
射し、その後偏光を遮断し放置する2つの連続する処理
を施し、その際光配向層の温度制御を行い、それぞれの
温度で得られる光学異方性を調べた。この例では、偏光
照射工程と偏光遮断放置工程の両方において温度制御を
行った。前記1.で作製した光配向媒体を用いて、温度
制御装置30によって室温の25℃から47℃まで媒体の温度
を変化させ、それぞれの温度で誘起される複屈折を測定
した。温度制御にはヒーターと熱電対を備え、温度制御
装置により設定温度を保持可能な顕微鏡用加熱装置(リ
ンカム社製TH−1500SM)を用いた。ポンプ光強
度は、光照射による温度変化を小さくするために1W/cm
2とした。(なお、仮に光照射により媒体の温度が上昇
したとしても、温度制御装置30によって設定温度に補正
される。) ここでの制御温度の精度は±1℃であった。また、偏光
照射領域を1mmφ、照射時間を1800secとした。複屈折Δ
nは前記式2に基づき、プローブ光強度I0と検光子を
通過した光強度I、λ、dから求めた。ここでλ=63
3nm、d=1.5μmである。結果を図に6示す。
【0056】図6は、光配向層の温度を25℃、39℃、44
℃、47℃と変化させたときの実験結果である。どの温度
においても、ポンプ光照射によって複屈折が誘起され時
間とともに成長した。ここで、これら複屈折の大きさは
媒体温度によって異なる値となった。さらに興味深いこ
とに、ポンプ光遮断後に複屈折が非常に大きく増加する
ことがわかった。この増大効果も、媒体温度に依存し
た。ヒーター20をオフにして室温まで放冷させると(72
00sec)、その挙動は媒体温度により異なるが、わずか
に上昇するか等しい値で保存されることがわかった。
【0057】図7は、偏光を照射する工程において誘起
された複屈折(偏光照射時間1800sec)と、偏光を遮断
して放置した工程を経た複屈折(放置時間7200sec)を
媒体温度に対してプロットしたものである。偏光を照射
する工程で誘起された複屈折と、偏光を遮断して放置し
た工程において誘起された複屈折(図7中、両曲線の
差)は、ともに高分子のガラス転移温度(Tg=38℃)付
近で最大となることがわかった。本結果より、各工程の
制御温度は光配向層材料のTg±7℃程度が好適である。
【0058】以上の結果より、光配向媒体をそのガラス
転移温度Tg付近とすれば、高い複屈折が誘起できること
に加え、ポンプ光遮断後も配向増強が起こり高い複屈折
が得られることがわかった。シアノアゾベンゼンを側鎖
に持つポリエステル膜([化5]参照)は、光誘起複屈
折が約0.04との報告がある。(K.Nakagawa et al. "Hol
ographic recording in polyesters having cyanoazobe
nzene units in the side chain", Proc. SPIE 2778, 5
71-572 (1996)) 上で示した光配向装置および光配向方法を用いた場合、
誘起される最大の複屈折は約3倍の0.12を越え、従来の
技術に比べて非常に高い配向を実現することができる。
【0059】(3)偏光照射時間と光学異方性 次に、偏光を遮断した後の複屈折増大効果に対する偏光
照射時間の影響を示す。図8は、2つの工程の媒体温度
を39℃に制御し、偏光を遮断し放置する工程における屈
折率変化を偏光の照射時間に対してプロットしたもので
ある。なお、放置時間は、上記と同様、ヒーター20をオ
フにして室温まで放冷させる時間(7200sec)である。
また図9は、図8で示した複屈折率変化の速度定数(緩
和時間の逆数)を示す。偏光遮断後には、もはや偏光照
射の影響が存在しないにもかかわらず、図8および図9
より、明らかに照射時間約300secを境として複屈折増大
効果に違いがある。約300sec以下では、複屈折変化は偏
光照射時間に大きく依存するが、約300sec以上では偏光
照射時間による変化は小さくなり、飽和する速度定数が
ほぼ一定値となった。すなわち、複屈折増大効果の駆動
源となる現象は、この照射時間においてその影響力が変
化している。
【0060】ここで、偏光を遮断した後の複屈折増大効
果に対する偏光照射時間の影響を考察するために、偏光
を照射する工程の複屈折変化を取り上げる。D.Brownら
は、Macromolecules 28, 6116 (1995)において、アゾベ
ンゼンを側鎖に持つ一連のホモポリマー膜は、光誘起複
屈折の露光時間変化に対して、式1に示す二成分緩和系
によって精度のよいフィッティングが可能と報告してい
る。
【0061】
【数4】
【0062】ここで、Δnは時間tでの複屈折、τab
(τab)は成分a,bの時定数、A,Bは 成分a,bの複屈
折(A+Bが誘起される最大の複屈折(飽和複屈折))で
ある。本発明の偏光を照射する工程における光誘起複屈
折変化も式1を用いてフィッティングすることが可能で
ある。(三鍋 治郎他 "アゾポリマーを用いた偏光のホ
ログラム記録再生(IV)−光誘起複屈折成長過程におけ
る励起光強度の影響−", 第46回応用物理学関係連合講
演会 講演予稿集, 1209 (1999)) 図10は、媒体温度を39℃に制御したときの偏光を照射
する工程における光誘起複屈折変化と、最小二乗法を用
いて式1でフィッティングした曲線、そして速い成分
(式1中成分a)、遅い成分(式1中成分b)を示す。図
8および図9との対応から、速い成分aが十分飽和する
時間が、偏光を遮断した複屈折増強効果に違いの生ずる
境界時間に対応している。
【0063】以上の結果より、偏光を遮断した後の複屈
折増大効果は、偏光照射時間に依存することがわかっ
た。偏光照射時間は、偏光を照射する工程における複屈
折変化を式1でフィッティングした際、速い成分aの時
定数τa以上とするのがよい。より望ましくは速い成分a
が十分飽和する時間である6τa(τa=51.73secなので3
00sec≒6τa)以上とすることで、複屈折増大効果を有
効に作用することが可能となり、照射時間に対する増大
効果のばらつきも小さく抑えることができる。
【0064】ここで、偏光照射を遮断した後の複屈折増
大効果のメカニズムについて考察する。第一に、偏光照
射により誘起・保存した複屈折は、従来技術における加
熱処理のみでは増大せずむしろ減少してしまう。(図
2)したがって、熱処理によって高分子の運動性を変化
させたときの側鎖あるいは主鎖のセグメント間における
相互作用のみでは、複屈折増大効果が得られない。第二
に、偏光を照射する工程と偏光を遮断し放置する工程の
温度を±1℃で制御し、かつその温度がガラス転移温度T
g以下の場合でも、2倍程度に増加する大きな複屈折増大
効果がみられた。これより、ガラス状態から緩和した半
結晶性による効果とは考えにくい。むしろ、図6に示し
たヒーターをオフにしたときの複屈折増大現象(7200se
c)が、温度低下による熱ゆらぎの減少を含めた結晶化
の影響と考えられる。第三に、偏光遮断後の複屈折増大
効果は、遮断後にもかかわらず偏光照射時間の影響を受
ける。特に、式1における速い成分aが十分飽和するこ
とが、有効な複屈折増大効果に関わりがある。ここで、
式1における速い成分aは、トランス−シス−トランス
異性化の量子効率とアゾベンゼンの局所的なモビリティ
に起因し、局所的モビリティはアゾベンゼン部分のサイ
ズと自由体積、アゾベンゼン部分と主鎖の結合力による
と考えられている。(D.Brown et al., Macromolecules
28, 6116 (1995))したがって、複屈折増大効果は、ア
ゾベンゼン等の光異性化基を有する側鎖部の運動に関係
が深い。
【0065】上述した考察により、偏光を遮断し放置し
た工程における複屈折増大効果の主たる駆動源は、熱反
応によりシス体からトランス体に戻る異性化反応と、側
鎖部および主鎖部のセグメント間に働く相互作用と考え
られる。偏光を照射する工程では、トランス体が支配的
な初期のアモルファス膜に対して、偏光照射による選択
的な異性化反応が起こり、トランス−シス−トランスの
異性化サイクルの過程によって配向変化が起こる。偏光
を遮断したとき、偏光照射により増加したシス体は熱反
応によりトランス体へ異性化するが、主にそれまでに誘
起された側鎖部分の配向状態の影響を強く受け、結果と
して、配向を増大させる方向へと作用する。この効果は
高分子のTg付近で増大することから、シス体からトラン
ス体への熱異性化反応の影響は、主鎖部の配向変化も誘
発する。図8における偏光照射時間約300sec以下の急激
な変化は主に側鎖部の配向性の違いにより、約300sec以
上のなだらかな変化は主鎖部を含めた偏光遮断直前の配
向性の違いによる影響と考えられる。先に述べたよう
に、温度制御を行わない従来の偏光照射による光配向で
は、偏光遮断後の変化がほとんどないか、数%以下のわ
ずかな増加である。本発明によって説明したシス体から
トランス体への熱異性化反応は、偏光遮断による媒体温
度の低下により高分子の運動性が急速に減衰し、効果的
に複屈折増大効果に結びつかなかったためと考えられ
る。偏光遮断後の複屈折増大効果を有効に作用させるた
めには、偏光を遮断し放置する工程の、光異性化する基
または分子を含む高分子膜の温度を、偏光を照射する工
程における温度と等しいか、あるいはそれ以上の温度に
制御することが効果的である。
【0066】(4)偏光の照射による光配向層の温度制
御 ここでは、偏光の照射強度あるいは照射パワーを調整す
ることによって、前記高分子膜の温度を偏光照射によっ
て制御する方法について説明する。したがって、ポンプ
光1はアゾ基を光異性化させるのに加えて、媒体温度を
制御するように作用する。使用する装置としては、図5
に示す光配向装置の光学系を用いることができる。媒体
に感度のあるアルゴンイオンレーザの発振線515nmの波
長は、アゾベンゼンのトランス−シス異性化を誘起する
とともに、媒体の温度を上昇させることができる。この
媒体温度の制御は、ポンプ光の強度またはパワーを変化
させることによって実現可能である。偏光の照射強度や
パワーによって温度制御する際、媒体温度は光配向媒体
の構成や膜厚など、媒体の畜熱特性に注意する必要があ
る。そのため、ここで使用した光配向媒体としては、図
3(B)に示したように、1.1mm厚のコーニング社製705
9ガラスを用いて平行平板セルを作製し、11μmのギャッ
プに、上記1.で製造したポリエステル([化5]参
照)を注入した光配向媒体を用いた。またここで、複屈
折の値(図11、図12)は、偏光照射時の複屈折時間
変化を式1でフィッティングし、その飽和値を採用し
た。図11および図12においてフィッティング曲線の
飽和値を用いた理由は、飽和現象における共通の時間軸
で比較するためである。
【0067】図11は、上記光配向媒体と配向装置を使
用して、光配向媒体の偏光照射領域を1mmφと一定に
し、ポンプ光1の光強度を変えて複屈折を測定した結果
である。ポンプ光強度が2W/cm2と5W/cm2のときに高い
複屈折が誘起されていることがわかった。図12は、図
7で示した偏光を照射する工程における複屈折変化を式
1を用いてフィッティングし、その飽和値を示した図で
ある。図11の1W/cm2以上の領域と図12は定性的に類
似している。図11において、ポンプ光強度が2W/cm2
と5W/cm2の媒体温度は32℃および38℃に上昇したた
め、複屈折の飽和値が極大値になったと考えられる。
【0068】したがって、光配向媒体の畜熱・放熱特性
に則した偏光の強度またはパワーを調整することで、偏
光を照射する工程の媒体温度を制御することが可能であ
る。光誘起複屈折の成長速度は光強度の増加に応じて速
くなるので、本方式を用いた温度制御により、偏光を照
射する時間を短縮することが可能となる。偏光照射を遮
断し放置する工程の温度制御は、ヒーターを備えた温度
制御装置により実現可能である。また、より簡易な方法
として、光配向媒体に畜熱層を設け、シス−トランス異
性化反応による屈折率増大効果の緩和時間よりも十分長
く媒体温度が維持される構成とすることも効果的であ
る。ここで、図11および図12では、図7ではみられ
なかった極大値がガラス転移温度(Tg=38℃)より低温
(低強度)側にみられる。図7に現れなかったのは緩和
時間の遅い成分による寄与であったためである。この極
大値を示す媒体温度32℃は、高分子の局所的な運動性に
起因する副ガラス転移温度(Tgg)に相当すると考えら
れる。
【0069】(5)本発明の光配向方法を使用するホロ
グラムの作製 本発明の光配向方法を使用するホログラム作製装置の一
例を図13に示す。光配向媒体10にヒーター20と温度制
御装置30を取り付けた。用いた光配向媒体は、上記1.
で記載したガラス基板上に形成したポリエステルの膜厚
1.5μmのスピンコート膜である。これにアルゴンイオン
レーザの発振線515nmの光源から出たコヒーレント光を
物体光5と参照光6に分け、これを同時に光配向媒体10に
照射することでホログラム記録をおこなった。このと
き、それぞれ二光波の光強度は、光照射によって媒体温
度が変化しないように500mW/cm2とし、照射時間は900s
ecとした。記録されたホログラムの回折効率を実時間で
測定するために、ヘリウムネオンレーザの読み出し光7
(633nm)は、位相整合条件を満たすように(ほぼブラ
ッグ条件での入射角で)光記録媒体10に入射させ、回折
光8のパワーを測定した。回折効率は、読み出し光パワ
ーに対する回折光パワーの比として求めた。
【0070】図14は、ホログラムを形成する二光波の
偏光配置を示す。ここでは、物体光と参照光の偏光方向
が互いに直交する配置とした。媒体中の光強度は一定と
なるが、二光波により図14に示したように、直線偏光
と楕円偏光が周期的に形成される偏光分布が生ずる。本
発明で示す光配向層材料は、偏光感応特性を有するた
め、二光波の形成した偏光分布に応じて複屈折(および
二色性)が誘起・保存することができる。ここでは、二
光波の交差角を30°とした。光配向層材料である高分子
の屈折率を考慮し、偏光分布のピッチを算出すると約1
μmとなる。図13で示した温度制御装置により光配向
媒体温度を25℃、39℃、44℃に制御したときの回折効率
変化を図15に示す。
【0071】図15より、各光配向媒体温度において、
偏光遮断後に回折効率が増大する結果となった。特に、
ガラス転移温度に相当する38℃では、偏光を照射する工
程における回折効率の実に約25倍も増加し、膜厚1.5μm
の媒体に対して10%を越える高い回折効率を実現するこ
とができた。ガラス転移温度(Tg=38℃)以上の温度で
は、偏光を遮断し放置すると回折効率が減衰していく
が、ヒーターをオフにして放冷することによって、オフ
にする直前の効率が保存されることが確認できた。これ
らの回折効率増大効果は、本発明における複屈折増大効
果による結果である。本発明による偏光ホログラフィッ
クグレーティングのピッチは1μmであることから、本発
明の複屈折増大効果は少なくとも1μmの分解能を有する
ことがわかった。以上示したように、本発明の光配向方
法は、少なくとも1μmの分解能を維持したまま、複屈折
を増大させることが可能であり、回折格子の作製やホロ
グラフィックメモリへの応用が可能である。その回折効
率は、温度制御装置を備えない従来の方法(図15中25
℃のデータ)と比較し、本発明の光記録方法を用いると
約10倍、すなわち1桁向上させることが可能となった。
【0072】また、本発明による複屈折増大効果をホロ
グラフィックメモリに応用する際、さらに次に述べる利
点がある。室温付近ではTg付近に比べて誘起されうる複
屈折が小さい。したがって、Tg付近で記録した複屈折
は、室温での偏光照射によって完全に消去することがで
きない。ホログラフィックメモリ材料としてよく用いら
れているフォトリフラクティブ結晶は、原理的に、たと
え微弱な読み出し光でもキャリアを励起し、記録されて
いるホログラムを破壊しながら再生するため、読み出し
回数に限界がある。これが実用上の大きな問題となって
いる。しかし、本発明の方式では、媒体温度が上昇しな
い範囲に読み出し光の強度を設定すると(<1W/c
m2)、記録時に誘起された複屈折の大きさまで読み出し
光によって誘起されうる複屈折は到達しないため、記録
された情報を安定に保存することが可能となる。
【0073】
【発明の効果】本発明によれば、光異性化基あるいは光
異性化分子が熱異性化(熱戻り)する際に、それを含む
高分子膜を、熱戻り反応によって誘起される前記光異性
化基あるいは光異性化分子の配向を増強するための温度
制御を行うため、シス体からトランス体への熱戻り異性
化・配向を効果的に誘起させることができ、偏光遮断後
の複屈折増大効果を大幅に改善することができる。また
このことに加え、側鎖部と主鎖部のセグメント間に働く
相互作用によって、主鎖部の配向も誘発されて複屈折増
大に寄与する。これにより、単に配向させる時間を短縮
させるだけではなく、従来技術では不可能であった高い
複屈折を得ることができる。さらに、本発明において特
徴的な異性化反応は、その運動を誘起させるために高い
温度は必要としない。したがって、任意の配向状態を増
強するうえで、従来技術よりも高い分解能を有する。具
体的には、複屈折増大効果は少なくとも1μmの分解能を
示した。したがって、この光誘起異方性を利用して、高
品質の液晶配向膜、波長板(光学位相板)を作製するこ
とが可能である。また、アゾ色素などの非線形クロモフ
ォアを効率よく配向させることで、高い非線形性を有す
る光学素子の作製も可能となる。また、この光誘起複屈
折の光学軸を効率よく記録することで、ホログラムやビ
ット記録などの大容量光メモリが実現可能となる。この
ように本発明を利用した用途は光学素子全般にわたる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 アゾベンゼンが偏光を選択吸収して光異性化
し、熱戻り反応により異性化・配向する状態を説明する
概念図である。
【図2】 偏光遮断後に従来方法による熱処理効果を行
った場合の複屈折の変化を示す図である。
【図3】 本発明の光配向方法に使用する光配向媒体を
示す図である。
【図4】 化5で示すポリエステルのDSC曲線を示す図
である。
【図5】 本発明の光配向方法に使用するための装置の
概念図である。
【図6】 本発明の光配向方法において、光配向層温度
を種々変えた場合の複屈折の時間的変化を示す図であ
る。
【図7】 本発明の光配向方法において、光配向層温度
の影響を説明する図である。
【図8】 本発明の光配向方法において、偏光照射時間
を変えた場合の、偏光遮断放置工程における複屈折変化
を説明する図である。
【図9】 図8の結果を複屈折変化の速度定数として表
した図である。
【図10】 偏光照射過程における複屈折変化を式1を
用いてフィッティングした図である。
【図11】 本発明の光配向方法において、温度制御を
ポンプ光照射により制御した場合の複屈折の飽和値を示
す図である。
【図12】 図11で示す複屈折変化(偏光照射工程)
を式1を用いてフィッティングした図である。
【図13】 本発明の光配向方法を用いてホログラムを
作製する概念図である。
【図14】 ホログラムを形成する二光波の偏光位置を
示す図である。
【図15】 本発明の光配向方法によるホログラム回折
効率変化を示す図である。
【符号の説明】
1ポンプ光 2プローブ光 3偏光子 4検光子 10光配向媒体 11基板 12光配向層 20 ヒーター 22 熱電対 30 温度制御装置
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03H 1/04 G03H 1/04 // C08L 67:00 C08L 67:00 (72)発明者 西片 康成 神奈川県足柄上郡中井町境430グリーンテ クなかい 富士ゼロックス株式会社内 Fターム(参考) 2H049 BA06 BA42 BC01 BC05 BC09 2K008 AA04 BB01 BB04 DD12 EE01 4F073 AA14 BA23 BB01 CA53 GA01 4J029 AA01 AB01 AC01 AD09 AE03 AE04 BE05A BF14A CB05B KH01

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子中に光異性化基を含む高分子膜また
    は光異性化分子を含む高分子膜であって、該光異性化基
    あるいは光異性化分子が、光によって異性化した後熱戻
    り反応によって異性化しうるT(thermal)型フォトクロ
    ミック性を有する高分子膜に偏光を照射することにより
    前記高分子膜に光学異方性を付与する方法において、前
    記方法は、前記高分子膜に偏光を照射する工程と、偏光
    を遮断し放置する工程の連続する2つの工程を有し、前
    記2つの工程の少なくとも1つの工程において、前記高
    分子膜に対し、熱戻り反応によって誘起される前記光異
    性化基あるいは光異性化分子の配向を増強するための温
    度制御を行うことを特徴とする高分子膜に光学異方性を
    付与する方法。
  2. 【請求項2】 前記2つの工程の両方の工程において、
    高分子膜の温度制御を行うことを特徴とする請求項1に
    記載の高分子膜に光学異方性を付与する方法。
  3. 【請求項3】 前記2つの工程の少なくとも1つの工程
    において、前記高分子膜の温度が、高分子のガラス転移
    温度Tgの±7℃以内になるように温度制御することを
    特徴とする、請求項1または請求項2に記載の高分子膜
    に光学異方性を付与する方法。
  4. 【請求項4】 前記2つの工程の少なくとも1つの工程
    において、前記高分子膜の温度が、高分子のガラス転移
    温度Tgになるように温度制御することを特徴とする、
    請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の高分子
    膜に光学異方性を付与する方法。
  5. 【請求項5】 偏光を遮断し放置する工程において、前
    記高分子膜の温度を、偏光を照射する工程における高分
    子膜の温度と等しくするか、あるいはそれ以上の温度に
    なるように制御することを特徴とする、請求項1ないし
    請求項4のいずれか1項に記載の高分子膜に光学異方性
    を付与する方法。
  6. 【請求項6】 偏光を照射する工程における光誘起複屈
    折Δnの偏光照射時間tに対する変化を、以下の式1に
    示す二成分緩和系で近似した際、偏光を照射する時間を
    τa以上とすることを特徴とする、請求項1ないし請求
    項5のいずれか1項に記載の高分子膜に光学異方性を付
    与する方法。 【数1】 式1中、Δnは光誘起複屈折、AおよびBは複屈折に対
    する各成分の寄与、τaおよびτbは各緩和成分の時定
    数、tは偏光照射時間を示す。
  7. 【請求項7】 偏光を照射する工程における光誘起複屈
    折Δnの偏光照射時間tに対する変化を、上記式1で近
    似した際、偏光を照射する時間を6τa以上とすることを
    特徴とする、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に
    記載の高分子膜に光学異方性を付与する方法。
  8. 【請求項8】 前記高分子膜の温度制御を、前記偏光の
    照射強度あるいは照射パワーを調整することによって行
    うことを特徴とする、請求項1ないし請求項7のいずれ
    か1項に記載の高分子膜に光学異方性を付与する方法。
  9. 【請求項9】 前記高分子の主鎖が芳香族炭化水素環を
    含むことを特徴とする、請求項1ないし請求項8のいず
    れか1項に記載の高分子膜に光学異方性を付与する方
    法。
  10. 【請求項10】 前記芳香族炭化水素環が連結基により
    連結された2つ以上のベンゼン環であることを特徴とす
    る、請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の高
    分子膜に光学異方性を付与する方法。
  11. 【請求項11】 前記光異性化基または光異性化分子
    が、アゾ基を含むことを特徴とする、請求項1ないし請
    求項10のいずれか1項に記載の高分子膜に光学異方性
    を付与する方法。
  12. 【請求項12】 光異性化基を有する高分子が、側鎖に
    アゾベンゼン誘導体を導入した高分子であることを特徴
    とする、請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記
    載の高分子膜に光学異方性を付与する方法。
  13. 【請求項13】 光異性化基を有する高分子が、側鎖に
    アゾベンゼン誘導体が導入され、該アゾベンゼン誘導体
    が主鎖の芳香族環に連結されていることを特徴とする、
    請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載の高分
    子膜に光学異方性を付与する方法。
  14. 【請求項14】 光異性化基を有する高分子が下記構造
    式で示されるポリエステル樹脂であることを特徴とす
    る、請求項1ないし請求項13のいずれか1項に記載の
    高分子膜に光学異方性を付与する方法。 【化1】 構造式中、Xはシアノ基、メチル基、メトキシ基または
    ニトロ基を示し、Yはエーテル結合またはケトン結合を
    示す。lおよびmはそれぞれ2から18の整数を、nは
    5ないし500の整数を示す。
  15. 【請求項15】 光異性化基を有する高分子が、上記構
    造式中、lおよびmがそれぞれ4ないし10の整数であ
    り、nが10ないし100の整数で示されるポリエステ
    ル樹脂であることを特徴とする、請求項1ないし請求項
    14のいずれか1項に記載の高分子膜に光学異方性を付
    与する方法。
  16. 【請求項16】 分子中に光異性化基を含む高分子膜ま
    たは光異性化分子を含む高分子膜であって、該光異性化
    基あるいは光異性化分子が、光によって異性化した後熱
    戻り反応によって異性化しうるT(thermal)型フォトク
    ロミック性を有する高分子膜に偏光を照射することによ
    り前記高分子膜に光学異方性を付与する方法に使用する
    ための装置において、前記高分子膜に偏光を照射するた
    めの光源と、前記高分子膜の温度を制御するための温度
    制御手段とを備えることを特徴とする、請求項1ないし
    請求項15のいずれか1項に記載の高分子膜に光学異方
    性を付与する方法に使用するための装置。
  17. 【請求項17】 前記光源が、温度制御手段を兼ねるこ
    とを特徴とする、請求項16に記載の高分子膜に光学異
    方性を付与する方法に使用するための装置。
  18. 【請求項18】 請求項1ないし請求項15のいずれか
    1項に記載の方法によって作製された光学異方性が付与
    された高分子膜。
  19. 【請求項19】 請求項1ないし請求項15のいずれか
    1項に記載の方法によって作製された光学異方性が付与
    された高分子膜を備える光学異方性媒体。
  20. 【請求項20】 請求項1ないし請求項15のいずれか
    1項に記載の方法によって作製された光学異方性が付与
    された高分子膜を備える液晶配向膜。
JP2000012140A 2000-01-20 2000-01-20 高分子膜に光学異方性を付与する方法、そのための装置および光学異方性媒体 Expired - Fee Related JP4048674B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000012140A JP4048674B2 (ja) 2000-01-20 2000-01-20 高分子膜に光学異方性を付与する方法、そのための装置および光学異方性媒体
US09/690,589 US6512085B1 (en) 2000-01-20 2000-10-18 Method and apparatus for providing optical anisotropy to polymeric film and optical anisotropic medium

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000012140A JP4048674B2 (ja) 2000-01-20 2000-01-20 高分子膜に光学異方性を付与する方法、そのための装置および光学異方性媒体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001201634A true JP2001201634A (ja) 2001-07-27
JP4048674B2 JP4048674B2 (ja) 2008-02-20

Family

ID=18539904

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000012140A Expired - Fee Related JP4048674B2 (ja) 2000-01-20 2000-01-20 高分子膜に光学異方性を付与する方法、そのための装置および光学異方性媒体

Country Status (2)

Country Link
US (1) US6512085B1 (ja)
JP (1) JP4048674B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004059897A (ja) * 2002-06-07 2004-02-26 Fuji Xerox Co Ltd 光応答性高分子化合物、光応答性高分子組成物、ジカルボン酸モノマー、ポリエステル、光記録媒体、及び光記録再生装置
US7236277B2 (en) 2004-03-19 2007-06-26 Fuji Xerox Co., Ltd. Holographic recording medium and holographic recording method using the same
KR101135921B1 (ko) 2009-12-15 2012-04-13 한국과학기술원 고분자의 방향성 광유체화 현상을 이용한 패턴화된 미세 구조체 제작방법

Families Citing this family (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6956681B2 (en) * 2001-08-03 2005-10-18 Inphase Technologies, Inc. Integrated reading and writing of a hologram with a rotated reference beam polarization
WO2003021350A1 (fr) * 2001-08-31 2003-03-13 Asahi Glass Company, Limited Materiau d'enregistrement optique
RU2001131068A (ru) * 2001-11-19 2003-08-20 ООО "Оптива-Технологи " Управляемое электрооптическое устройство, способ его изготовления и электрооптический анизотропный пленочный кристалл
DE10163428A1 (de) * 2001-12-21 2003-07-03 Norbert Hampp Optischer Datenspeicher und Verfahren zur Speicherung von Daten in einem optischen Datenspeicher
JP3695398B2 (ja) * 2002-01-30 2005-09-14 富士ゼロックス株式会社 光学式エンコーダ及びエンコーダ用スケール
EP1609006A1 (en) * 2003-03-21 2005-12-28 Koninklijke Philips Electronics N.V. Birefringent optical element, lcd device with a birefringent optical element, and manufacturing process for a birefringent optical element
JP2004310999A (ja) * 2003-03-24 2004-11-04 Fuji Xerox Co Ltd 光記録媒体と光記録媒体の製造方法
JP3896098B2 (ja) * 2003-06-27 2007-03-22 株式会社東芝 ホログラム記録媒体およびその作製方法
JP2005274629A (ja) * 2004-03-22 2005-10-06 Fuji Xerox Co Ltd 光記録媒体、並びに、その製造方法およびこれを用いた光記録再生装置。
JP2005300680A (ja) * 2004-04-07 2005-10-27 Fuji Xerox Co Ltd 光記録材料、光記録媒体、及び光記録再生装置
JP2005345652A (ja) * 2004-06-01 2005-12-15 Fuji Xerox Co Ltd 光記録材料、光記録媒体、及び光記録再生装置
US20090213281A1 (en) * 2008-02-26 2009-08-27 Young Garrett J System and method for improved contrast ratio in a projection system
US20110262844A1 (en) * 2010-04-21 2011-10-27 Beam Engineering For Advanced Measurement Co. Fabrication of high efficiency, high quality, large area diffractive waveplates and arrays
JP5618626B2 (ja) * 2010-05-27 2014-11-05 エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド 液晶表示素子及びその駆動方法

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4104718B2 (ja) 1997-04-11 2008-06-18 富士ゼロックス株式会社 光記録方法
JP2990270B2 (ja) 1997-09-24 1999-12-13 工業技術院長 配向樹脂膜及びその製造方法並びにその配向樹脂膜を用いた光学素子
JP3780718B2 (ja) 1997-11-10 2006-05-31 富士ゼロックス株式会社 光記録媒体、光記録再生方法及び装置
JPH11231133A (ja) 1998-02-13 1999-08-27 Fuji Xerox Co Ltd 光学フィルム及びその作製方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004059897A (ja) * 2002-06-07 2004-02-26 Fuji Xerox Co Ltd 光応答性高分子化合物、光応答性高分子組成物、ジカルボン酸モノマー、ポリエステル、光記録媒体、及び光記録再生装置
US7501210B2 (en) * 2002-06-07 2009-03-10 Fuji Xerox Co., Ltd. Photo-responsive high-molecular compound, photo-responsive high-molecular composition, dicarboxylic acid monomer, polyester, optical recording medium and optical record reproducing device
JP4649821B2 (ja) * 2002-06-07 2011-03-16 富士ゼロックス株式会社 ポリエステル、光記録媒体、及び光記録再生装置
US7236277B2 (en) 2004-03-19 2007-06-26 Fuji Xerox Co., Ltd. Holographic recording medium and holographic recording method using the same
KR101135921B1 (ko) 2009-12-15 2012-04-13 한국과학기술원 고분자의 방향성 광유체화 현상을 이용한 패턴화된 미세 구조체 제작방법

Also Published As

Publication number Publication date
JP4048674B2 (ja) 2008-02-20
US6512085B1 (en) 2003-01-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4048674B2 (ja) 高分子膜に光学異方性を付与する方法、そのための装置および光学異方性媒体
Han et al. In-plane and tilt reorientation of p-methoxyazobenzene side chains tethered to liquid crystalline polymethacrylates by irradiation with 365 nm light
JP2849672B2 (ja) 積層光学素子の製造方法およびこれにより製造された積層光学素子
JP3626224B2 (ja) 側鎖基重合体から製造した平板材料
Han et al. Tilt orientation of p-methoxyazobenzene side chains in liquid crystalline polymer films by irradiation with nonpolarized light
JP4570677B2 (ja) 光学的異方性の光誘導生成用の感光材料を形成するフィルム
Zebger et al. Photoorientation of a liquid crystalline polyester with azobenzene side groups. 1. Effects of irradiation with linearly polarized blue light
Läsker et al. Photoinduced optical anisotropy in amorphous films of liquid crystalline polymers
JP3705603B2 (ja) 光による情報の入出力が可能な側鎖重合体における情報を増強する方法
JP4526191B2 (ja) 書き込みできるブルー・レーザー用の光記録材料
JP2990270B2 (ja) 配向樹脂膜及びその製造方法並びにその配向樹脂膜を用いた光学素子
Kawatsuki et al. Axis-selective photo-Fries rearrangement and photoinduced molecular reorientation in liquid crystalline polymer films
KR100774779B1 (ko) 광학 데이타 저장용 코폴리머
Tomczyk et al. Photo-and thermal-processing of azobenzene-containing star-shaped liquid crystals
Saphiannikova et al. Photoinduced deformations in azobenzene polymer films
JPS63216791A (ja) レーザー光学的書き込み及び読み出し法、その装置及び多層レーザ光学的データディスク
Stracke et al. Optical storage in a smectic mesophase: thermal amplification of light-induced chromophore orientations and surface relief gratings
Kanazawa et al. Photochemical phase transition behaviour of polymer azobenzene liquid crystals with flexible siloxane units as a side-chain spacer
JP2005504170A (ja) 高い分極安定性を有する高効率非線形光学高分子
Liang et al. Nonlinearly optical–optical isomerization cycle in azobenzene liquid crystal polymers
JP3882458B2 (ja) 光記録方法、光記録媒体および光記録装置
JP3056249B2 (ja) 液晶性ポリマー類および可逆的な情報記憶に対してそれらを光誘導配向させる方法
JP2001265199A (ja) ホログラム記録媒体
JP3991551B2 (ja) 光記録方法および光記録装置
JP2001290028A (ja) 光学フィルムの作製方法および光学フィルム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040120

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050124

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070710

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070906

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20071106

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20071119

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101207

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111207

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111207

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121207

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121207

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131207

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees