JP2001200113A - オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents

オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物

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JP2001200113A
JP2001200113A JP2000008426A JP2000008426A JP2001200113A JP 2001200113 A JP2001200113 A JP 2001200113A JP 2000008426 A JP2000008426 A JP 2000008426A JP 2000008426 A JP2000008426 A JP 2000008426A JP 2001200113 A JP2001200113 A JP 2001200113A
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olefin
thermoplastic elastomer
elastomer composition
ethylene
based thermoplastic
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JP2000008426A
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Yoshiichi Kodera
宣一 小寺
Hiroyuki Tsuchida
浩之 土田
Atsushi Jinno
敦司 神野
Shigeo Kobayashi
重夫 小林
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Kureha Elastomer Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 所望の軟性を有すると共に、成形性に優れ、
表面が平滑な成形品を提供し得る一方、該成形品の表面
に付着した汚れの払拭が容易な耐汚染性に優れた新規な
オレフィン系熱可塑性エラストマ組成物、及び該組成物
を用いた表皮材、並びに該組成物が硬質基材上に一体的
に積層された積層体を提供する。 【解決手段】 エチレン・αオレフィン共重合体90〜
20重量%と、プロピレン系樹脂10〜80重量%を、
ラジカル開始剤の存在下で動的架橋せしめることによっ
て、JIS K−7311に規定されるショアA硬度が
65〜99度であり、光沢度が5〜50%であるオレフ
ィン系熱可塑性エラストマー組成物を得る。また、得ら
れたオレフィン系熱可塑性組成物は、硬質素材からなる
基材上に積層される表皮材を提供すると共に、該表皮材
が硬質素材からなる基材上に積層されて一体的に形成さ
れた積層体を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、柔軟性を有すると共に、表面が
平滑で耐汚染性に優れた成形品を提供し得る、成形性に
優れたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物、及び
該組成物を用いた表皮材、並びに該組成物と他の硬質基
材とからなる積層体等に係り、例えば、クッション性の
表皮材付き工業品、自動車のインストルメンタルパネル
等の内外装品、家屋の壁やドアー等の建築用内装品、冷
蔵庫のパネルや各種シート材等の製造に際し、有利に用
いられる組成物に関するものである。
【0002】
【背景技術】表皮材付きの工業品や、自動車の内外装
品、建築用内装品などに用いられる軟性表皮材として
は、従来、軟質のポリ塩化ビニルが広く用いられていた
が、近年、環境保護の観点から、上記ポリ塩化ビニル
を、比較的安価で成形性の良好なオレフィン系重合体に
置換することが行われている。例えば、介助用手すり
は、従来、金属等の硬質基材の表面に軟質のポリ塩化ビ
ニルからなる表皮材を積層して作られていたが、オレフ
ィン系樹脂やオレフィン系熱可塑性エラストマーからな
る表皮材の使用が試みられている。
【0003】ところで、上述の如き軟質表皮材が用いら
れる製品においては、多くの場合、軟性だけでなく、各
種の製品に応じたその他の物性が併せて要求されること
となる。具体的には、例えば軟質表皮材つきの手すりに
あっては、使用者に安心感を与えるため、柔らかい触感
を実現する軟性を示すことや、滑りにくさを感覚させる
ために、成形品表面の光沢を抑えること等が要求され
る。
【0004】しかしながら、軟質ポリ塩化ビニルに代え
て用いられる従来のオレフィン系重合体においては、そ
のような要求特性を十分に達成することが難しかったの
であり、特に、要求される程の軟性や光沢を得ることが
困難であった。
【0005】そこで、このような問題に対処するため
に、特開平10−45966号公報等には、オレフィン
系熱可塑性エラストマーにオイル系軟化剤を添加して軟
性を向上せしめたオレフィン系熱可塑性エラストマー組
成物が多く開示されている。ところが、このようなオイ
ル系軟化剤を添加したオレフィン系熱可塑性エラストマ
ー組成物からなる表皮材にあっては、含有するオイル等
の軟化剤に起因して、汚れが付着し易く且つ払拭し難い
という問題があった。更に、オイル系軟化剤の添加量
が、増加するにつれ、表皮材の光沢度も上昇し、光沢度
を所望の範囲内に抑えることが難しいという問題もあっ
たのである。
【0006】特に、軟性の表皮材つきの工業品をはじ
め、建築物や自動車の内外装品、及び家電製品等におい
ては、近年の清潔志向の高まりに伴って、耐汚染性の向
上が強く求められていることから、所望の耐汚染性を有
し、且つ軟性を有する、新規な組成物の開発が切望され
ていたのである。
【0007】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、上述の如き事情
を背景としてなされたものであって、請求項1乃至6の
何れかに記載の発明の解決課題とするところは、所望の
軟性を有すると共に、成形性に優れ、表面が平滑な成形
品が得られる一方、該成形品の表面に付着した汚れの払
拭が容易な耐汚染性に優れた、新規なオレフィン系熱可
塑性エラストマ−組成物を提供することにある。また、
請求項7に記載の発明は、硬質素材からなる基材上に積
層される、前記組成物を用いた表皮材を提供することを
目的とするものであり、さらに、請求項8に記載の発明
は、前記組成物が硬質基材上に積層された積層体を提供
することを目的とする。
【0008】
【解決手段】本発明者らは、上記課題を解決するため鋭
意検討の結果、エチレン・α−オレフィン共重合体と、
プロピレン系樹脂とをラジカル開始剤の存在下で動的架
橋せしめてなる特定の性状を有するオレフィン系熱可塑
性エラストマー組成物が上記目的を達成することを見出
して本発明を完成させたのである。
【0009】すなわち、請求項1乃至6の何れかに記載
の本発明の要旨とするところは、エチレン・α−オレフ
ィン共重合体90〜20重量%と、プロピレン系樹脂1
0〜80重量%とを、ラジカル開始剤の存在下で動的架
橋せしめてなるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成
物であって、JIS K−7311に規定されるショア
A硬度が65〜99度であり、光沢度が5〜50%であ
ることを特徴とするオレフィン系熱可塑性エラストマー
組成物を提供するものである。
【0010】また、請求項7に記載の本発明の要旨とす
るところは、前記オレフィン系熱可塑性エラストマー組
成物であって、硬質素材からなる基材上に積層されるこ
とを特徴とする表皮材を提供するものである。
【0011】更にまた、請求項8に記載の本発明の要旨
とするところは、前記オレフィン系熱可塑性エラストマ
ー組成物が、硬質素材からなる基材上に積層されて一体
的に形成されていることを特徴とする積層体を提供する
ものである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の具体的構成につ
いて明らかにする。先ず、本発明に係るオレフィン系熱
可塑性エラストマー組成物は、エチレン・α−オレフィ
ン共重合体90〜20重量%と、プロピレン系樹脂10
〜80重量%とをラジカル開始剤の存在下で動的架橋せ
しめてなるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物で
あって、JIS K−7311に規定されるショアA硬
度が65〜99度であることと、光沢度が5〜50%で
あることを満足するものであれば、何れでも良く、特に
限定されるものはないが、硬度が低くなるに従って汚れ
が付着しやすく、且つ払拭され難くなることから、上述
の如く規定される硬度は、好ましくは79〜99度、よ
り好ましくは83〜99度とされる。また、本発明に従
う組成物の光沢度とは、反射型の光沢度計を用い反射角
90°の反射率を測定した値であり、測定値が高い程、
光沢があることを示す。ここにおいて、光沢度の測定値
があまりにも高いと、組成物の表面の平滑感が増し、介
助用手すりに用いられる場合等にあっては、使用者に滑
りにくさを感覚させることが難しくなる。一方、光沢度
の測定値があまりにも低いと、組成物の表面の平滑性が
低くなることから、汚れの付着性が増すと共に、付着し
た汚れの組成物内部への浸透が促進されて、耐汚染性が
減少する。従って、組成物の光沢度は、好ましくは8〜
40%とされる。
【0013】また、本発明に係るオレフィン系熱可塑性
エラストマー組成物は、その成形性に鑑みて、ASTM
D 1238に規定されるメルトフローレート(MF
R)が、180℃、10kg荷重の条件下で、1〜50
g/10分であることが望ましい。具体的には、該組成
物を押出成形して、成形品を得る場合にあっては、耐汚
染性の観点から、成形品の表面がある程度の平滑性を有
することが要求される。従って、あまり粘性が高いと、
せん断により、成形品の表面に凹凸が出来易く、好まし
くない。また、成形品の表面における所望の平滑性を実
現するため、上述の如き流動性を示すことが有効であ
る。
【0014】次ぎに、本発明で使用されるエチレン・α
−オレフィン共重合体は、メタロセン系触媒を用いて重
合した、エチレン・α−オレフィン共重合体であって、
ラジカル架橋性に極めて優れ、柔軟性を有するものであ
る。ここにおいて、α−オレフィンとは、エチレン以外
の炭素数3〜18のα−オレフィンであり、例えば、プ
ロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、
1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−ペンテン−
1、4−メチルヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテ
ン−1、1−オクタデセン等が単独で、或いは2種類以
上の混合物として採用され得る。特に、1−オクテンが
好適に採用され得る。
【0015】上記のエチレン・α−オレフィン共重合体
は、特開昭58−19309号, 同59−95292
号、同60−35005号、同60−350006号、
同60−350007号、同60−350008号、同
60−350009号および特開平3−163088号
の各公報、並びに、ヨーロッパ特許出願公開第4204
36号公報、米国特許第5055438号明細書、国際
公表公報WO91/0420436号明細書等に記載さ
れている方法によって、上記メタロセン触媒使用して、
製造され得る。特に、本発明に用いられるエチレン・α
−オレフィン共重合体の重合方法としては、気相法、ス
ラリー法、溶液法、高圧イオン法等が採用可能である。
【0016】好ましくは、前記エチレン・α−オレフィ
ン共重合体として、エチレンと、少なくとも1種類以上
の炭素数6〜12のα−オレフィン、好ましくは1−オ
クテンとを、メタロセン触媒を使用して、ランダム共重
合させることにより得られたものが、採用され得る。
【0017】また、本発明で使用するプロピレン系樹脂
としては、ポリプロピレンが有利に用いられる他、プロ
ピレンを主成分とし、エチレン、ブテン−1、ヘキセン
−1、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−
1、ヘブテン−1、オクテン−1、デセン−1等のプロ
ピレン以外のα−オレフィンを従成分とするランダム又
はブロック共重合体等を採用することも可能である。
【0018】さらに、本発明で使用するラジカル開始剤
としては、過酸化物や、アゾ化合物等が有利に採用され
得る。具体的には、2,5−ジメチル2,5−ジ(t−
ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル2,5
−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン(3)、ジクミ
ルパーオキサイド、1,3ビス(t−ブチルパーオキシ
イソプロピル)ベンゼン等の過酸化物や、ジアゾアミノ
ベンゼン、ビスアゾエステル、N−フェニルカルバモイ
ルアゾフォーメート、ビス(ジオキソトリアゾリン)誘
導体等のアゾ化合物が好適に採用され得る。
【0019】なお、本発明のオレフィン系熱可塑性エラ
ストマー組成物においては、ラジカル開始剤の重量比
が、好ましくは0.1〜5.0重量%、より好ましくは
0.5重量%を中心に1重量%未満とされる。ここにお
いて、ラジカル開始剤の重量比が0.1重量%よりも小
さいと、組成物の動的架橋が不充分となり、粘性が低下
し成形性が悪化する。一方、ラジカル開始剤の重量比が
5.0重量%よりも大きいと、流動性が低下し、組成物
を押出成形等により成形した場合の成形品表面の平滑性
の実現が困難となる。
【0020】さらに、本発明のオレフィン系熱可塑性エ
ラストマー組成物においては、前記エチレン・α−オレ
フィン共重合体及び前記プロピレン系樹脂の合計量10
0重量部に対して、5重量部以下の軟化剤が適宜に添加
され得る。このような軟化剤が添加された本発明に従う
オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物においては、
所望の軟性を有利に実現することが可能となる。ここに
おいて、軟化剤としては、通常ゴムに使用されるオイル
系軟化剤が好適に採用され得る。具体的には、プロセス
オイル、潤滑油、石油アスファルト、ワセリン等の石油
系物質;コールタール、コールタールピッチ等のコール
タール類;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、ヤ
シ油等の脂肪油等が好適に用いられ得る。
【0021】上記の軟化剤の添加量は、あまり多すぎる
と、成形品の表面に汚れが付着し易くなり、且つ汚れの
定着が促進されることから、要求される耐汚染性に鑑
み、前記軟化剤は、エチレン・α−オレフィン共重合体
及びプロピレン系樹脂の合計量100重量部に対して、
好ましくは1重量部以下で添加される。
【0022】本発明は、さらに、上述の如き構成とされ
たオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物100〜2
0重量%に対してエチレン及び/又はプロピレン系樹脂
0〜80重量%を添加してなるブレンドタイプのオレフ
ィン系熱可塑性エラストマー組成物も提供し得る。この
ようなエチレン及び/又はプロピレン系樹脂が添加され
たブレンドタイプのオレフィン系熱可塑性組成物におい
ては、得られた組成物中に含まれるエチレン及び/又は
プロピレン系樹脂の重量比があまり大きいと、組成物が
硬化し、所望の軟性を得ることが出来ない一方、あまり
小さいと、組成物の硬度が低下し、それによって耐汚染
性が低下することから、好ましくは10〜95重量%、
より好ましくは20〜90重量%、さらに好ましくは3
5〜85重量%とされる。そこにおいて、エチレン及び
/又はプロピレン系樹脂の添加量を所定の範囲内で調節
することにより、個々の成形品に合わせた硬度等の組成
物特性の調整が容易となり、所望の組成物特性の微調整
が有利に実現され得る。
【0023】更にまた、本発明のオレフィン系熱可塑性
エラストマー組成物は、上述の構成に加えて、必要に応
じて他の添加剤を、上記に規定される本発明の所望の物
性を損なわない範囲で配合し、含有させることが可能で
ある。この添加剤としては、難燃剤、酸化防止剤、発砲
剤、防かび剤、離型剤及びその他の加工助剤等が適宜に
採用され得る。
【0024】本発明に従う構成とされたオレフィン系熱
可塑性エラストマー組成物の製造方法は、特に限定され
るものではなく、溶融法、溶液法、縣濁重合法等の公知
の方法が何れも採用可能であるが、好ましくは、溶融混
練による方法が採用され得る。また、溶融混練は、通常
の溶融混練機、例えば、一軸又は二軸の押出機、ニーダ
ブレンダー、ブレンダーブラストグラフ、バンバリーミ
キサー等を使用することが出来る。なお、溶融混練時の
温度は、160℃〜230℃、好ましくは170℃〜2
00℃とされる。
【0025】具体的には、エチレン・α−オレフィン共
重合体と、ポリプロピレン系樹脂とを良く混練し、押出
機等のホッパーに投入する一方、ラジカル開始剤を添加
し、押出機内で加熱溶融し、それらの成分を動的架橋せ
しめることによって、所望の特性を有する本発明のオレ
フィン系熱可塑性エラストマー組成物が得られる。な
お、必要に応じて、軟化剤等の添加剤が添加され得る
が、それらの添加剤は、前記の成分と共に、動的架橋の
当初から混練されても良く、また、動的架橋の途中から
添加されてもよい。例えば、軟化剤として、ゴム用オイ
ルを、混練当初と、混練途中の2回に分けて添加しても
よい。そして、押出機内で、動的架橋により得られたオ
レフィン系熱可塑性エラストマー組成物をペレタイザー
に導いてペレット化して、本発明に従う特定性状のオレ
フィン系熱可塑性エラストマー組成物を得る。
【0026】また、本発明に従う構成とされたオレフィ
ン系熱可塑性エラストマー組成物に対して、エチレン及
び/又はプロピレン系樹脂を添加して使用する場合は、
上述の如く動的架橋により得られた本発明組成物のペレ
ットと、エチレン及び/又はプロピレン系樹脂を所定の
組成比で、混練機のホッパーに投入し、溶融混練するこ
とによって、個々の製品に合わせて特性が調整された本
発明に従うブレンドタイプのオレフィン系熱可塑性エラ
ストマー組成物も有利に得ることができる。なお、エチ
レン及び/又はプロピレン系樹脂の添加は、上述の如き
動的架橋により本発明に従うオレフィン系熱可塑性エラ
ストマー組成物のペレットを得た後でも良く、また、上
記の動的架橋の際に所定量添加してもよい。
【0027】このようにして得られた本発明の熱可塑性
エラストマー組成物は、任意の成形方法で各種の成形品
の製造が可能である。例えば、押出成形、射出成形、移
送成形、圧縮成形、ブロー成形、真空成形、発砲成形、
張込成形や、その他の被膜成形法等が好適に採用され
得、介助用手すり等の軟性の表皮材付き工業品に好適に
用いられる他、自動車のインストルメンタルパネル等の
内外装品、家屋の壁やドアー等の建築用内装品、冷蔵庫
のパネルや各種シート材等、各種の成形品が好適に製造
され得る。
【0028】ところで、本発明のオレフィン系熱可塑性
エラストマー組成物は、硬質素材からなる基材、好まし
くは金属等からなる基材上に積層される表皮材として好
適に用いられ得るものであって、このような金属材に対
して良好な密着性を有するものである。特に、軟質表皮
材付きの手すり等、金属製のパイプ基材の表皮材として
用いられる場合は、押出成形等により、金属製パイプの
表面に該組成物からなる表皮層が形成されることとなる
が、金属材との良好な密着性により、表皮層の剥離等の
不具合が有利に回避され得る。また、表皮層と基材の間
に、必要に応じて接着材を塗布し、接着せしめることも
可能である。
【0029】さらに、本発明のオレフィン系熱可塑性エ
ラストマー組成物は、ABS樹脂等からなる硬質樹脂基
材上に積層される表皮材としても好適に用いられ得る。
特に、耐汚染性に優れた本発明組成物は、冷蔵庫のパネ
ル、自動車や建築物の内外装品等、耐汚染要求の強い成
形品の表皮材として有用である。
【0030】
【実施例】以下に、本発明の幾つかの実施例を示し、本
発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明
がそのような実施例の記載に何等の制約をも受けるもの
ではないことは、言うまでもない。また、本発明には、
以下に記載の実施例の他にも、更には上記の実施態様の
記載以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおい
て、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良
等を加え得るものであることが、理解されるべきであ
る。
【0031】種々のエチレン・α−オレフィン共重合体
およびプロピレン系樹脂を準備し、それらをラジカル開
始剤の存在下で、動的架橋せしめて、種々のオレフィン
系熱可塑性エラストマー組成物を得た。一方、エチレン
系樹脂およびプロピレン系樹脂をそれぞれ準備し、上述
の如き得られた種々の動的架橋エラストマーと混練し、
種々のブレンドタイプのオレフィン系熱可塑性エラスト
マー組成物を得た。上記の各種オレフィン系熱可塑性エ
ラストマー組成物に対して、酸化チタン含有量が10重
量%のポリプロピレンを1.0重量%の重量比で混合せ
しめ、一軸押出機により混合押出しすることによって、
厚さ、1.5mm、酸化チタン濃度0.1重量%の各種
リボンを作製し、個々の物性について、以下に詳述する
試験を行って評価し、各評価結果を下記「表1」に示し
た。
【0032】実施例1〜11および比較例1〜4 先ず、エチレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン
系樹脂、エチレン系樹脂、ラジカル開始剤および軟化剤
として、下記のものを準備した。 (エチレン・α−オレフィン共重合体) 1.エチレン・オクテン共重合体(I):デュポン・ダ
ウ社製「エンゲージ8180」 2.エチレン・オクテン共重合体(II):デュポン・ダ
ウ社製「エンゲージ8100」 3.エチレン・プロピレン共重合体:JSR社製「EP
07P」 なお、使用されたエンゲージ8180及びエンゲージ8
100は、α−オレフィンとして、1−オクテンを使用
するものであり、一方、EP07Pは、α−オレフィン
としてプロピレンを使用するものである。 (プロピレン系樹脂およびエチレン系樹脂) 1.ポリプロピレン:グランドポリマー社製「グランド
ポリプロF327D」 2. 直鎖状低密度ポリエチレン:住友化学社製「スミカ
センHiαFW201」 (ラジカル開始剤) 1.パーオキサイド:日本油脂化学工業社製「パーヘキ
サ25B」 (軟化剤) 1.パラフィン系オイル:出光興産社製「ダイアナプロ
セスオイルPW90」
【0033】下記表1に示される実施例1及び2の組成
に従って、上記エチレン・α−オレフィン共重合体、プ
ロピレン系樹脂およびラジカル開始剤を予め予備混練し
た混合物を、二軸押出機(東芝機械社製二軸押出機35
d)に投入し、温度180〜200℃で混練し、動的架
橋せしめて、実施例1及び2のオレフィン系熱可塑性エ
ラストマー組成物としての動的架橋エラストマー(I)
及び(II)を得た。
【0034】同様に、下記表1に示される比較例1乃至
3の組成に従って、上記エチレン・α−オレフィン共重
合体、プロピレン系樹脂、ラジカル開始剤および軟化剤
を予備混練した混合物を、上記と同様の方法で、二軸押
出機にて動的架橋せしめて、比較例1乃至3のオレフィ
ン系熱可塑性エラストマー組成物を得た。
【0035】一方、下記表1に示される実施例3〜11
及び比較例4の組成に従って、上述の如くして得られた
動的架橋エラストマー(I)又は(II)に対して、さら
に、エチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン系樹
脂、及びプロピレン系樹脂のうちの少なくとも何れか一
つを予備混練したものを添加せしめて、上記と同様の二
軸押出機を用いて、温度200℃で混練して、実施例3
〜11および比較例4のオレフィン系熱可塑性エラスト
マー組成物を得た。
【0036】次いで、上述の如くして得られた実施例1
〜11および比較例1〜4に従う各オレフィン系熱可塑
性エラストマー組成物と、酸化チタン含有量が10重量
%ポリプロピレンとを、一軸押出機(プラスチック工学
研究所社製40φ)に投入し、温度190℃で混練した
後、引取速度15m/分にて押出成形して、厚み1.5
mm、酸化チタン濃度0.1重量%の測定用サンプル用
リボンを製造し、得られた各リボンの物性に関して、硬
度、光沢度、メルトフローレート(MFR)耐汚染性お
よび密着性の各項目について、下記の方法に従って測定
し、得られた測定結果を下記表1に示した。 (1)硬度(JIS−A):JIS K−7311に準
拠して測定した。 (2)光沢度:リボン表面の光沢度を、反射型の光沢度
計を用いて、反射角90°の反射率(%)として測定し
た。 (3)MFR:ASTMD 1238に準拠し、180
℃、10Kg荷重の条件下で測定した。 (4)耐汚染性:赤色油性インク(株式会社内田洋行社
製「マジックインキ」赤色大型)を用いてリボン表面に
線画し、室温で、24時間放置した後、イソプロパノー
ルを含浸せしめたガーゼで20回払拭し、残存する汚れ
の程度を目視にて測定した。なお、表1中、◎は、全く
汚れが残らない状態、○は、僅かに汚れが残る状態、△
は、汚れが残り不充分な状態、×は、殆ど汚れが消えな
い状態を、それぞれ示す。 (5)密着性:実施例1〜11および比較例1〜4に従
う各オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を用いて
厚さ1mmのシートを得る一方、厚さ50μmの東セロ
社製熱接着性アドマーフィルムを得て、それらをステン
レス鋼板(JISSUS303)上に積層し、温度18
0℃、圧力10kg/cm2 の条件下で1分間圧着後、
水に晒して冷却することにより、15の積層体サンプル
を得た。次いで、JIS K−5400に準拠して、各
積層体サンプルに対して100個の桝目を作成した後、
テープ剥離を実施し、残存する桝目の数を目視にて確認
し、表1に示した。なお、表1において、分母は作成し
た桝目の数:100を示し、分子は残存する桝目の数を
示す。
【0037】
【表1】
【0038】表1に示す結果から明らかなように、本発
明に従うオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物とし
ての実施例1乃至11は、何れも硬度(JIS−A)が
79〜99の範囲内であると共に、成形品表面の光沢度
が、5〜40%とされている。従って、耐汚染性の評価
値が、何れもに◎或いは○となっており、耐汚染性に優
れていることがわかる。また、MFRについても、何れ
も1〜50g/分の規定範囲内の値を示しており、成形
性に優れ、表面が平滑な押出成形品が得られることを示
している。
【0039】また、実施例1及び2の物性から明らかな
如く、本発明のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成
物は、動的架橋の際に配合されるポリプロピレンの配合
量によって、その物性が大きく変化する。即ち、実施例
1として得られた動的架橋エラストマー(I)は、20
重量%のポリプロピレンを含有するのであって、硬度が
79度とされていることから、柔軟性、或いはクッショ
ン性がかなり高く、柔らかいエラストマー組成物である
ことが認められる。一方、実施例2として得られた動的
架橋エラストマー(II)は、60重量%のポリプロピレ
ンを含有するものであって、硬度が95度とされている
ことから、柔軟性或いはクッション性はそれ程高くな
く、やや硬めのエラストマー組成物であることが認めら
れる。
【0040】そこで、実施例3〜11に示される如く、
それぞれ物性の異なる動的架橋エラストマー組成物
(I),(II)に対して、エチレン及び/又はプロピレ
ン系の樹脂を所定範囲内で適宜に調整された添加量で添
加することによって、所望の物性を有する、種々の本発
明に従うオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を得
ることが可能となる。これにより、個々の成形品におけ
る要求特性に合わせたオレフィン系熱可塑性エラストマ
ー組成物の物性の微調整が可能となって、該組成物の製
造が容易となると共に、作業効率の向上が有利に図られ
得る。
【0041】また、略同様な組成比を有する実施例8及
び9の各組成物を比較検討すると、実施例9の組成物よ
りも実施例8の組成物の方が、耐汚染性に優れているこ
とが認められる。このことから、エチレン・α−オレフ
ィン共重合体として、エチレンプロピレン共重合体を採
用するよりも、エチレン・1−オクテン共重合体を採用
する方が、耐汚染性に優れた組成物を得ることができる
ものであると推考される。
【0042】一方、比較例1乃至3は、従来と同様、オ
レフィン系熱可塑性エラストマー組成物にオイル等の軟
化剤を添加したものであるが、耐汚染性の評価値が、△
〜×とされており、実施例に比して、耐汚染性が低下し
ていることがわかる。また、比較例4においては、オイ
ル等の軟化剤の添加はないものの、組成物全体におけ
る、エチレン及び/又はプロピレン系樹脂の重量比が本
発明の規定値に満たないことから、硬度が低下し、汚れ
が付着し易く且つ払拭し難くなって、耐汚染性が低下し
ていることものと推考される。更にまた、比較例3にお
いては、動的架橋時に添加されるパーオキサイドの添加
量が、本発明の規定値を超えていることから、エチレン
・オクテン共重合体とポリプロピレンとの架橋が促進さ
れて、得られたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成
物の粘性が上昇したことが、MRFの値が本発明の規定
値以下となっていることから確認できる。このような比
較例3の組成物においては、押出成形時にせん断によ
り、表面に凹凸が発生し易くなって、結果的に、汚れが
付着し易く且つ払拭し難くなって、耐汚染性が悪化した
ものと考えられる。
【0043】
【発明の効果】上述の説明から明らかなように、請求項
1乃至6の何れかに係る本発明によれば、軟化剤の添加
を大幅に削減し或いは完全に省略しても、所望の軟性を
有すると共に、成形性に優れ、且つ表面が平滑な成形品
を提供し得るオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物
を得ることが出来、かかる軟化剤の削減乃至は省略によ
って、該組成物の耐汚染性を有利に向上させることが可
能となる。また、請求項7に係る本発明によれば、この
ような耐汚染性に優れたオレフィン系熱可塑性エラスト
マー組成物を採用したことによって、耐汚染性に優れた
軟性の表皮材が有利に実現され得る。更にまた、請求項
8に係る本発明によれば、介助用手すりや建築物或いは
自動車の内外装品等に好適に用いられる、耐汚染性に優
れた軟質の表皮材を備えた積層体が有利に提供され得
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 神野 敦司 三重県津市観音寺町255番地 クレハエラ ストマー株式会社津工場内 (72)発明者 小林 重夫 三重県津市観音寺町255番地 クレハエラ ストマー株式会社津工場内 Fターム(参考) 4F070 AA15 AA16 AC32 AC56 AC94 AC95 AE08 GA05 GB01 4F100 AA21H AJ11H AK03A AK04A AK07A AK62A AK63 AK64 AK69 AL05A AL09A BA02 CA03 CA30 EH17 EH172 GB08 GB33 JA06A JB16A JK12A JK12B JK14 JL06 JL08A JN21A YY00A 4J002 AE033 AE053 AG003 BB11X BB15W EA007 EK036 EQ016 EU166 FD023 FD027 FD146 GF00

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレン・α−オレフィン共重合体90
    〜20重量%と、プロピレン系樹脂10〜80重量%と
    を、ラジカル開始剤の存在下で、動的架橋せしめてなる
    オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物であって、 JIS K−7311に規定されるショアA硬度が65
    〜99度であり、光沢度が5〜50%であることを特徴
    とするオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
  2. 【請求項2】 前記ラジカル開始剤が、0.1〜5.0
    重量%で添加される請求項1に記載のオレフィン系熱可
    塑性エラストマー組成物。
  3. 【請求項3】 ASTMD 1238に規定されるメル
    トフローレートが、180℃、10kg荷重の条件下
    で、1〜50g/10分である請求項1又は2に記載の
    オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
  4. 【請求項4】 前記エチレン・α−オレフィン共重合体
    及び前記プロピレン系樹脂の合計量100重量部に対し
    て、5重量部以下の軟化剤が添加された請求項1乃至3
    の何れかに記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組
    成物。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4の何れかに記載のオレフ
    ィン系熱可塑性エラストマー組成物100〜20重量%
    と、エチレン及び/又はプロピレン系樹脂0〜80重量
    %からなるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
  6. 【請求項6】 前記エチレン・α−オレフィン共重合体
    が、エチレンと、少なくとも1種類以上の炭素数6〜1
    2のα−オレフィンとを、ラジカル共重合せしめること
    により得られた請求項1乃至5の何れかに記載のオレフ
    ィン系熱可塑性エラストマー組成物。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至6の何れかに記載のオレフ
    ィン系熱可塑性エラストマー組成物であって、硬質素材
    からなる基材上に積層されることを特徴とする表皮材。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至7の何れかに記載のオレフ
    ィン系熱可塑性エラストマー組成物が、硬質素材からな
    る基材上に積層されて一体的に形成されていることを特
    徴とする積層体。
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