JP2001199992A - 大豆糖脂質の分画方法 - Google Patents
大豆糖脂質の分画方法Info
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Abstract
得る。 【構成】 大豆油さいをシリカゲル・カラムクロマト
グラフィーに供し、クロロホルム/アセトンを溶出溶媒
として、大豆油さい中の糖脂質をステリルアシルグリコ
シド、ステリルグリコシド及びセレブロシドとジグリコ
シルグリセリドをそれぞれ主成分とする画分に分画す
る。
Description
糖脂質の分画方法に関するものである。
は、リン脂質、トリグリセリド及び脂肪酸を主要成分と
し、食品添加物用のレシチンの原料として利用されてい
る。この油さいには、少量ではあるが各種の糖脂質が含
まれており、ステリルアシルグリコシド、ステリルグリ
コシド、セレブロシド及びジグリコシルジグリセリドが
その主な成分である。これらの糖脂質は油さい中での含
量が少ないうえリン脂質と極めて類似した挙動を示すた
め、リン脂質からの分離は困難であり、高純度に分画し
たものの実用的な利用は全くなされていない。大豆レシ
チン中に共存する糖脂質の分画ないし濃縮方法として
は、シリカゲル・カラムクロマトグラフィーによるセレ
ブロシド(特開昭60−224628)及びステリルグ
リコシド(特開昭62−238299)の濃縮方法、二
酸化炭素超臨界クロマトグラフィーによる糖脂質画分の
濃縮方法(特願平1−196864)、等が提案されて
いる。このうちシリカゲル・カラムクロマトグラフィー
による方法では、カラム処理に先立ち、粗製レシチンか
ら共存するトリグリセリドと脂肪酸を除去するため、溶
剤として大量のアセトンを用いるのが通例であり、装置
や溶剤回収に多大な経済負担を強いるものであった。ま
た、超臨界二酸化炭素抽出では共存するリン脂質の除去
が不十分であり、純度の高い糖脂質は得られていない。
研究が行われており、大豆由来のセレブロシドの中枢神
経系抑制作用(特開昭60−224628)、ツルナエ
キス由来のセレブロシド類化合物の抗ストレス潰よう剤
(特開昭57−122018)、スフィンゴ糖脂質の担
子菌類子実体形成促進作用(特開昭57−15288
3)等が知られている。
原料として、従来得ることが困難であった高純度の糖脂
質を簡便かつ効率的に濃縮・分離する方法を提供すると
ともに、これら糖脂質の新規用途として優れたコレステ
ロール低下効果を有する食素材ないし薬剤を提供するこ
とを目的とする。
下の発明によって達成された。 1.水分含量が0.4%以下の大豆油さいをクロロホル
ムに溶解してシリカゲルに接触させ、次いでクロロホル
ム及び/またはアセトンを溶出溶媒とし、溶出溶媒中の
アセトンの比率を高めつつ溶離することにより、大豆油
さい中の糖脂質をステリルアシルグリコシドを主成分と
する画分、ステリルグリコシドを主成分とする画分及び
セレブロシドとジグリコシルグリセリドを主成分とする
画分に、それぞれ分画することを特徴とする大豆糖脂質
の分画方法。 2.大豆糖脂質セレブロシドを有効成分とする血中コレ
ステロール低下剤。以下、本発明を詳しく説明する。
は、大豆油の精製工程の一つ、いわゆる脱ガム工程で油
脂から分離され、通常、食用ないし工業用レシチンの原
料となるものである。本油さいは水分含量が0.4%以
下となるよう適宜の手段を用いて乾燥して使用するが、
市販の食品添加物用あるいは飼料用のペースト状レシチ
ン等をそのまま用いることもできる。
フィー用に用いられる粒度100〜200メッシュ程度
のものやビーズ状シリカゲル等を広く使用することがで
きる。 本発明では、まず上記油さいを固形分濃度が2
0〜80(w/v)%となるようにクロロホルムに溶解
し、必要により不溶解物を除去した後、これを予めクロ
ロホルムを用いて充填したシリカゲル・カラム中を通過
させる、等してシリカゲルと接触させる。本シリカゲル
処理においては、原料とする油さいの水分含量を0.4
%以下とすることが必須であり、油さいの水分含量が
0.4%を上回るときは、その水分がシリカゲルに移行
して活性度を低下させるためと思われるが、糖脂質各成
分の吸着が不十分となり、溶出溶媒による溶離の初期段
階で糖脂質の大部分が分画されないまま一時に溶出する
ことがある。油さいとシリカゲルの重量比は、一般に
1:1〜10、より好ましくは1:2〜5程度である。
カラムに供したクロロホルム溶液の全量がカラムに接触
した後、クロロホルム及び/またはアセトンを溶出液と
し、溶出液中のアセトンの比率を段階的もしくは連続的
に高めつつ、糖脂質を分別溶離、回収する。両溶剤の混
合比率は使用するシリカゲルの活性度等により異なるた
め一概にいうことはできないが、通常、クロロホルム/
アセトンが100/0〜80/20で中性脂質、脂肪
酸、ステロール及びホスファチジル・イノシトールを主
成分とする画分(以下F1ということがある)が、同8
0/20〜50/50でステリルアシルグリコシドを主
成分とする画分(同F2)が、同50/50〜10/9
0でステリルグリコシドを主成分とする画分(同F3)
が、同10/90〜0/100でセレブロシドとジグリ
コシルグリセリドを主成分とする画分(同F4)の4画
分に分画する。糖脂質各画分の溶出順序は、糖脂質の極
性の差に基づくため、常に一定しており、溶出溶剤の使
用量などについては、適宜予備試験等により適当な条件
を選択することができる。
F2のステリルアシルグリコシドは60〜80%、F3
のステリルグリコシドは40〜60%、F4のセレブロ
シドは40〜50%、ジグリコシルグリセリドは30〜
50%程度である。これらの糖脂質は、必要に応じ例え
ば以下の方法により、更に精製することができる。すな
わち、ステリルアシルグリコシド、セレブロシド及びジ
グリコシルグリセリドは、クロロホルム/メタノール溶
媒系を用いたシリカゲル・カラムクロマトグラフィーで
精密分画することによって、ステリルグリコシドは、本
物質がクロロホルムに難溶であることを利用して、これ
に少量のクロロホルムを加えてろ過することによって、
それぞれ純度90%以上のものを得ることができる。
脂質の生理作用につき、鋭意研究するなかで、特にセレ
ブロシドを主成分とする糖脂質画分が血中のコレステロ
ールを低下させる効果があることを見出し、大豆糖脂質
セレブロシドを有効成分とする血中コレステロール低下
剤に関する、本願第2の発明を完成した。本願第2の発
明で使用する大豆糖脂質としては、セレブロシドの含量
が固形分中20%程度以上であることが望ましく、前記
のF3画分をそのまま、あるいはこれを更にシリカゲル
・カラムクロマトグラフィー等で精製したものが好適に
用いられる。
脂質画分を常用の医薬用担体を用いて医薬剤とする。例
えば、経口用固形剤を得る場合は、賦形剤、結合剤、崩
壊剤、増沢剤、矯味剤等を加え、常法によって錠剤、か
粒剤、カプセル剤とする。また、適宜の安定剤その他常
用の助剤を加え、常法により注射剤などの非経口用製剤
とすることもできる。本医薬剤中に含量させる有効成分
の配合量は約5〜50%であり、投与量はその適用状態
により適宜変更し得るが大体100〜500mg/kg/日
程度で十分その効果を奏する。また、本発明のコレステ
ロール低下剤は、上記有効成分をそのまま、あるいはこ
れを担体に配合して飲食物、動物飼料に添加使用する。
この場合、飲食物、飼料に対する有効成分の配合量は
0.1〜0.5%程度で十分その効果を奏することができ
る。なお、本糖脂質画分の急性毒性はLD50(ICR系マウ
ス、経口投与)5g/kg以上である。
溶解し、これを予めクロロホルムを用いて充填したシリ
カゲルカラム(和光純薬工業(株)製 Wakogel C-200 1.5
kg) に通過させた。カラムに供した溶液の全量がカラム
に接触した後、クロロホルム8l(画分F1)、クロロホ
ルム/アセトン=8/5 10l(同F2)、クロロホルム/ア
セトン=5/8 6l及びクロロホルム/アセトン=1/8 2l
(同F3)、クロロホルム/アセトン=1/8 7l及びアセ
トン6l(同F4)を順次流下させ、溶出液をそれぞれ別
個に回収した。各画分は溶媒を留去して収量を測定する
とともに、薄層クロマトグラフィーによりその成分を調
べた。結果は表1に示すとおりであった。
程で得られた大豆油さいを、ロータリーエバポレーター
を用いて水分を0.24%まで乾燥した。本乾燥油さい500g
をクロロホルム5lに溶解し、不溶物を濾別した後、実施
例1と同様にしてシリカゲル・カラムクロマトグラフィ
ーに供した。各画分の収量と主要な糖脂質の種類と含量
は表2の通りであった。 表2 ─────────────────────────────── 画分 収量(g) 主な糖脂質 同左含量(%) ─────────────────────────────── F2 45 ステリルアシルグリコシド 68 ─────────────────────────────── F3 8 ステリルグリコシド 48 ─────────────────────────────── F4 14 セレブロシド 42 ジグリコシルジグリセリド 46 ───────────────────────────────
たF3及びF4画分からの以下の方法により、ステリルグリ
コシド、セレブロシド及びジグリコシルジグリセリドの
分画・精製を行った。F3画分25gをクロロホルム500mlに
分散させ、東洋濾紙No.5Bを用い減圧濾過を行う。濾紙
上の残渣をクロロホルムで洗浄し、風乾する。このもの
のステリルグリコシド含量は90%以上であり、収量は8.
5gであった。F4画分はその17gをクロロホルム300mlに溶
解し、シリカゲル(Wako-gel C-200)300gをクロロホル
ムで充填して平衡化させたカラム(4.5φ x 40cm)に供
した。次いでクロロホルム600ml及びクロロホルム/メ
タノール=95/5 2200ml、クロロホルム/メタノール=9
0/10 400ml、クロロホルム/メタノール=85/15 600m
l、クロロホルム/メタノール=85/15 400ml、クロロホ
ルム/メタノール=80/201500mlを順次流下させ、それ
ぞれの画分をF4-1、F4-2、F4-3、F4-4及びF4-5として分
取した。それぞれの画分から溶剤を留去して収量を計る
とともに、薄層クロマトグラフィーにより成分とその含
量を調べた。結果は表3のとおりであった。 表3 ─────────────────────────────────── 画分 収量 ステリルコ゛リコシト゛ セレフ゛ロシト゛ シ゛ク゛リコシルク゛リセリト゛ リン脂質 ─────────────────────────────────── F4-2 2.5 g > 80 % 5.5 % 10 % 6.3 % ─────────────────────────────────── F4-3 6.2 痕跡 94.0 − 3.1 ─────────────────────────────────── F4-5 5.5 − 4.6 > 90 2.4 ───────────────────────────────────
のように通常飼料、これに実施例1で得られたセレブロ
シド38%を含むF3画分を1%添加、及び対照として市販
の食品用レシチン(昭和産業(株)製)を5%添加、の
計3試験区を設定し、34日間の飼育試験を行った。飼育
中、飼料と水は自由に摂取させた。経時後、ラットの体
重を測定し、採血及び開腹を行い、常法により肝機能検
査及び血液検査を行った。結果は表5に示すように、セ
レブロシドを38%含有するF3画分を 1%添加飼料を給与
した区では顕著なコレステロール低下効果が見られ、そ
の程度はレシチンを 5%添加した区と同等もしくはそれ
を上回るものであった。
分F-4-3(以下、CE画分と略記することがある)につい
て、コレステロール負荷食(表6)を給与したラットで
のコレステロール低下作用を調べた。試験は5週令のWi
star系雄性ラット6匹を1群とし、コレステロール負荷
飼料、これに前記CE画分を1%もしくは市販食用レシチ
ンを5%添加した飼料で6日間飼育した。飼育法及び試
験法は実施例3に準じた。試験結果は表7に示すよう
に、CE画分を1%添加飼料を給与した区では顕著な血中
コレステロール低下作用が見られた。
を原料としてステリルアシルグリコシド、ステリルグリ
コシド、セレブロシド及びジグリコシルグリコシド等の
糖脂質を高純度で取得することが可能となった。そし
て、これにより得られるセレブロシドを主成分とする画
分は優れたコレステロール低下作用を有し、医薬品また
は機能性食品用の素材として有用なものである。
Claims (1)
- 【請求項1】 水分含量が0.4%以下の大豆油さい
をクロロホルムに溶解してシリカゲルに接触させ、次い
でクロロホルム及び/またはアセトンを溶出溶媒とし、
溶出溶媒中のアセトンの比率を高めつつ溶離することに
より、大豆油さい中の糖脂質をステリルアシルグリコシ
ドを主成分とする画分、ステリルグリコシドを主成分と
する画分及びセレブロシドとジグリコシルグリセリドを
主成分とする画分に、それぞれ分画することを特徴とす
る大豆糖脂質の分画方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000369630A JP3594553B2 (ja) | 2000-12-05 | 2000-12-05 | 大豆糖脂質の分画方法 |
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
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Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2011002090A1 (ja) * | 2009-06-30 | 2011-01-06 | 花王株式会社 | 脂肪酸低級アルキルエステル、グリセリン及びステリルグリコシドの製造法 |
-
2000
- 2000-12-05 JP JP2000369630A patent/JP3594553B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2011002090A1 (ja) * | 2009-06-30 | 2011-01-06 | 花王株式会社 | 脂肪酸低級アルキルエステル、グリセリン及びステリルグリコシドの製造法 |
CN102459307A (zh) * | 2009-06-30 | 2012-05-16 | 花王株式会社 | 脂肪酸低级烷基酯、甘油以及甾醇糖苷的制造法 |
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