JP2717510B2 - 苦味低減化剤の製造法 - Google Patents
苦味低減化剤の製造法Info
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Description
に関する。特に本発明は、所謂大豆レシチンなどの脂質
混合物を原料とし、これから酸性リン脂質を有効成分と
する苦味低減化剤を製造する方法に関する。
野で利用されているが、工業的な利用では、安価に提供
できる大豆由来のものが多く利用されている。例えば、
界面活性剤としては、大豆粗原油から分離した、所謂ク
ルードレシチン(大豆レシチン)と称されるものが用い
られ、これは、一般に、リン脂質70〜65%、トリグ
リセリド、ジグリセリド、及びモノグリセリドなどから
なる中性脂質を含む大豆油33〜35%を主成分とし
て、その他に、脂肪酸、炭水化物、蛋白質、無機質、ス
テロール、及び色素などを含んだ組成(脂質混合物)で
ある。またこのレシチンをアセトン等の溶剤で中性脂質
等を除去した、所謂脱脂レシチン(高純度レシチン:リ
ン脂質分90%以上)は、健康食品、医薬品などとして
そのまま利用されている。
あるが、特に医薬品においては、その殆どが苦味物質を
含んでいると言っても過言ではなく、これらの服用に際
し、苦味の除去は、製剤上の課題となっている。従来、
苦味の抑制は、苦味物質を錠剤、カプセルなどの剤型を
利用したり、あるいはシロップ剤などの液状の形態を利
用するなどの方法で苦味物質を遮蔽し、苦味を和らげる
方法が一般的に行われている。しかし、これらの方法で
は、強い苦味に対しては、充分な苦味抑制効果が得られ
ないばかりか、液状では、その効果も更に弱められると
の問題がある。
ファリンの単独、又はこれらの混合物が効果的な苦味抑
制作用を有するとの開示がある(特公昭55−8966
号公報、あるいは特開昭62−265234号公報)
が、ここで使用されているレシチンは、リン脂質成分と
してホスファチジルコリンを高濃度で含有量しているも
のである。このような高濃度のホスファチジルコリンの
取得には、一般には、上記のような大豆レシチンを原料
としてカラムクロマトグラフィーが利用されている。
分画する目的で、カラムクロマトグラフィーを利用した
例として、坦体としてシリカゲルを用いる方法(特開昭
49−93400号公報、特開昭57−123194号
公報、同57−123196号公報)、また坦体として
アルミナを用いる方法(特開昭57−26548号、同
59−29694号、同61−191689号各公
報)、あるいは坦体として無極性多孔性樹脂を用いる方
法(特開昭60−197696号)などがある。
し、大豆レシチン中のリン脂質以外の他の成分である、
中性脂質、脂肪酸等の成分を効率的に除去する方法も知
られている。例えば、アセトン処理による方法(米国特
許第3268335号明細書)、アルコール(例えば、
エタノール)処理による方法(米国特許第294586
9号、同第2724649号、特公昭59−5263
号、特開昭59−51253号の各明細書又は公報)、
また含水アルコール、又はこれとn−ヘキサンのような
非極性有機溶剤とを組み合わせた2層分配系を用いる方
法(特開昭54−61200号公報、Fetle Seifen Ans
trichmittle,86、55〜(1984)、Bio Industr
y, 2,640〜(1985))などがある。しかし、
上記の方法は、何れも高純度のホスファチジルコリンを
得ることを目的としており、酸性リン脂質の濃縮を目的
としたものはない。また苦味の抑制等の味覚改質をうた
っているものもない。近年、限外濾過膜等を用いた膜分
離法によってリン脂質と油脂の分離が行われており、色
及び風味の良好なリン脂質が得られることが報告されて
いる。しかしながら、これらの方法においても酸性リン
脂質の濃縮を目的としたものはなく、また味覚改質をう
たっているものもない。
や辛みなどの味覚、特に薬物等の強い苦味に対しても優
れた苦味抑制作用を持つ苦味低減化剤を製造する方法を
提供することである。
と、苦味に対しては、リン脂質中の酸性リン脂質が有効
な苦味抑制作用を有していることが判明した。特に、所
謂大豆レシチンなどの脂質混合物を原料として酸性リン
脂質の含有量を高める操作と共に、中性脂質を除去して
その含有量を低減させる操作とを組み合わせて行うこと
により、本発明の目的とする、より強い苦味抑制作用を
有するリン脂質が得られることを見出し、本発明を完成
したものである。
よび中性脂質を含む脂質混合物からなる原料を酵素分解
及び/又は溶剤分画して酸性リン脂質の含有量を高めた
脂質混合物を得る工程と、原料の脂質混合物及び/又は
前記工程で得られた脂質混合物から中性脂質を除去する
工程とからなることを特徴とする苦味低減化剤の製造法
にある。
い。 (1)酸性リン脂質が、ホスファチジン酸、ホスファチ
ジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチ
ジルグリセロール及びそれらのリゾ体からなる群より選
ばれる少なくとも一種のリン脂質である。 (2)中性リン脂質がホスファチジルコリン、ホスファ
チジルエタノールアミン及びそれらのリゾ体からなる群
より選ばれる少なくとも一種のリン脂質である。 (3)酸性リン脂質の含有量が65重量%以上(特に7
0重量%以上)の苦味低減化剤を得る。 (4)中性脂質の含有量が4重量%以下(特に3重量%
以下)の苦味低減化剤を得る。 (5)中性脂質の除去をアセトン処理により行う。
ついて説明する。本発明の方法に用いられる原料は、酸
性リン脂質、中性リン脂質及び中性脂質を含む脂質混合
物である。脂質混合物は、天然物でも合成物でも良い。
天然物としては具体的には、前述したように大豆由来の
所謂大豆レシチンが有利に利用できる。大豆レシチン
は、通常酸性リン脂質、中性リン脂質、中性脂質、及び
糖脂質を主な成分として含んでいる。酸性リン脂質と
は、生理的食塩水(pH7.0)中で、総電荷が負に帯
電するものをいう。酸性リン脂質の例としては、ホスフ
ァチジン酸(PA)、ホスファチジルセリン(PS)、
ホスファチジルイノシトール(PI)、ホスファチジル
グリセロール(PG)及びそれらのリゾ体からなる群よ
り選ばれる少なくとも一種のリン脂質を挙げることがで
きる。また中性リン脂質の例としては、ホスファチジル
エタノールアミン(PE)、ホアスファチジルコリン
(PC)及びそれらのリゾ体からなる群より選ばれる少
なくとも一種のリン脂質を挙げることができる。
又はモノ−グリセリン脂肪酸エステルと、五酸化二リン
あるいはオキシ塩化リン等のリン酸化剤との反応生成物
を挙げることができる。このようにして得られる合成物
に含まれるリン脂質は、例えば、トリホスファチジン酸
(tri-PA)、ビスホスファチジン酸(bis-PA)、ビ
スホスファチジル−モノ−ホスファチジン酸(bis-PA
−mono−PA)、ビスホスファチジル−リゾ−ホスファ
チジン酸(bis-PA−lyso−PA)、モノホスファチジ
ン酸(PA)及びリゾホスファチジン酸(lyso−PA)
等を挙げることができる。そして上記リン脂質の生成反
応においては、上記で挙げたリン脂質以外に、通常中性
脂質も同時に生成する。このため合成物においても、上
記リン脂質と中性脂質を含む脂質混合物として存在す
る。なお、上記のリン脂質のうち酸性リン脂質は、前記
のように生理的食塩水(pH7.0)中で、総電荷が負
に帯電するものをいい、例えば、bis-PA、bis-PA−
mono−PA、bis-PA−lyso−PA、PA及びlyso−P
A等を挙げることができ、また中性リン脂質の例として
は、tri-PAを挙げることができる。
一又は異種であって、炭素数8〜24の飽和又は不飽和
の脂肪酸であり、例えば、カプロン酸、カプリル酸、ラ
ウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン
酸、ベヘン酸、アラキジン酸、パルミトオレイン酸、オ
レイン酸、リノール酸、α−及びγ−リノレイン酸、エ
ルシン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、及び
ドコサヘキサエン酸等を挙げることができる。
て、これを酵素分解及び/又は溶剤分画して酸性リン脂
質の含有量を高めた脂質混合物を得る工程と、原料の脂
質混合物、あるいは前記工程で得られた脂質混合物から
中性脂質を除去する工程とからなる方法により実施する
ことができる。本発明において、中性脂質の除去は、酵
素分解及び/又は溶剤分画して酸性リン脂質の含有量を
高めた脂質混合物を得る工程の後に行うことが好ましい
が、予め原料の脂質混合物から中性脂質を除去し、その
後、酵素分解及び/又は溶剤分画して酸性リン脂質の含
有量を高めた脂質混合物を得る工程で実施してもよい。
あるいは中性脂質の除去を酵素分解及び/又は溶剤分画
する工程の前後の双方で実施しても良い。
脂質を分解し、酸性リン脂質に変換し得るものであれ
ば、その起源は限定されないが、微生物かつ/又は植物
由来の酵素が好ましく、例えば、ホスホリパーゼD、ホ
スホリパーゼC、ホスホジエステラーゼ、酸性ホスファ
ターゼ、及びアルカリホスファターゼの中から選ばれる
一種、又は二種以上との組み合わせを挙げることができ
る。特にホスホリパーゼD、あるいはホスホリパーゼD
と、ホスホリパーゼC、ホスホジエステラーゼ、酸性ホ
スファターゼ及びアルカリホスファターゼの中から選ば
れる一種、又は二種以上との組み合わせが好ましい。
に限定されないが、一般にリン脂質1g当り、0.01
〜1000ユニット、好ましくは0.05〜100ユニ
ット、特に好ましくは0.1〜10ユニットである。な
お酵素活性単位のユニットとは、1分間に1μmolの
ホスファチジルコリンを加水分解する酵素量を表す。ま
た、上記酵素分解における反応温度は、酵素が失活しな
い温度を選択すれば良く、一般に5〜90℃、通常は、
20〜60の温度で行う。また反応時間は、酵素の使用
量によっても変わるが、通常は、2〜72時間で反応が
終了するように設定することが好ましい。
溶剤分画を行っても良いし、脂質混合物の組成によって
は酵素分解と溶剤分画とを組み合わせて行っても良い。
溶剤分画に用いることができる溶剤としては、例えば、
アルコール、含水アルコール、非極性有機溶剤及びこれ
らの混合液から選ばれる溶剤を挙げることができる。ア
ルコールとしては、炭素数1〜4の低級アルコールが好
ましく、安全性を考慮するとエタノールが好ましい。含
水アルコールは、30重量%以下、好ましくは、5〜2
5重量%の水分を含む低級アルコールが好ましい。また
非極性有機溶剤は、レシチンが可溶のものであれば、特
に限定されないが、人体への安全性を考慮して炭素数4
〜16の液状炭化水素が好ましい。これらの例として
は、ブタン、パンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタ
ン、デカン、ドデカン、テトラデカン、及びヘキサデカ
ン等のアルカンを挙げることができる。非極性有機溶剤
は、二種以上を混合して用いても良い。
する上記アルコールの使用量は、上記脂質混合物を構成
する成分などによっても異なるが、一般に、脂質混合物
の0.2〜100重量倍であることが好ましく、更に好
ましくは、0.5〜30重量倍、特に1〜10重量倍で
ある。
いて、酸性リン脂質の濃縮は、脂質混合物中のPCやP
E等の中性リン脂質が低級アルコールに溶け易いことを
利用する。例えば、所謂大豆レシチンのように中性リン
脂質として、PC、PE、酸性リン脂質として、PI、
PAが主に含まれるものを原料として用いた場合、低級
アルコールによる抽出操作を繰り返すことにより、まず
脂質混合物中のPCの含有量が減り、続いてPEの含有
量が減少する。最終的に酸性リン脂質であるPI、PA
の含有量の高いものを得ることができる。
い。すなわち、非極性有機溶剤と含水低級アルコールと
で液−液抽出を繰り返すことにより、酸性リン脂質を非
極性有機溶剤側に濃縮することができる。具体的には、
原料となる脂質混合物を、脂質混合物中のリン脂質の量
に対して0.1〜100重量倍(好ましくは、0.2〜
40重量倍)の非極性有機溶剤に溶解する。次いで得ら
れた非極性有機溶剤に対して5〜25重量%の含水低級
アルコール溶液を0.05〜14重量倍(好ましくは、
0.1〜1.5重量倍)の使用量で抽出することによ
り、酸性リン脂質を非極性溶剤側に濃縮することができ
る。
あるいは副生する中性脂質と共に、原料に含まれていた
中性脂質を除去する。中性脂質の除去の具体的な手段と
しては、アセトン処理、あるいは膜分離を挙げることが
できる。特にアセトン処理が好ましい。アセトン処理に
おけるアセトンの使用量は、特に制限はないが、中性脂
質に対して0.1〜100重量倍であることが好まし
く、特に、1〜50重量倍であることが好ましい。アセ
トン処理によって中性脂質である、トリグリセリド、ジ
グリセリド、そしてモノグリセリドの成分、あるいは、
その他に含まれる、脂肪酸、ステロイド、カロチノイド
等の成分はアセトン液中に溶解する。一方アセトン不溶
成分である、酸性リン脂質などのリン脂質成分は沈殿す
る。沈殿部をろ過により取り出し、中性脂質の含有量の
低減したリン脂質を含む脂質混合物を得ることができ
る。中性脂質の含有量は、上記の操作を繰り返すことに
よって更に低減させることができる。本発明において
は、中性脂質の除去をアセトン不溶分の量が95%越え
るように、(さらに好ましくは、98%以上となるよう
に)行うことが好ましい。膜分離法としては、限外濾過
法を利用することができる。
分離後、得られた脂質混合物からアセトンを減圧乾燥な
どの方法で取り除き、中性脂質が除去され、酸性リン脂
質の含有量の高いリン脂質を含む脂質混合物を得ること
ができる。本発明の方法で製造された苦味低減化剤は、
脂質混合物中の酸性リン脂質の含有量は、35重量%以
上(更に好ましくは、60重量%以上、特に、70重量
%以上)であることが好ましい。また脂質混合物中の中
性脂質の含有量は、5重量%未満(更に好ましくは、4
重量%以下、特に3重量%以下)であることが好まし
い。更に、脂質混合物中の中性リン脂質の含有量は、5
0重量%以下(更に好ましくは、30重量%以下、特
に、10重量%以下)であることが好ましい。また、脂
質混合物中の中性リン脂質と酸性リン脂質との比率は、
2倍(中性リン脂質/酸性リン脂質)以下であることが
好ましく、更に好ましくは、1/2以下、特に1/5以
下、最も好ましくは1/50以下である。
を更に具体的に説明する。 [実施例1]攪拌装置を備えた500ml容量の4口フ
ラスコに、市販脱脂レシチン(商品名:SLP−W、ツ
ルーレシチン工業(株)製)20gをとり、0.1Mト
リス・塩酸緩衝液(pH6〜8)250mlを加え攪拌
した。これに更にヘキサン/酢酸エチル(2/1、V/
V)340ml加え、攪拌した。更に塩化カルシウム水
溶液(1M濃度)150mlを加え、次いで微生物起源
のホスホリパーゼD(Streptomyces Chromofuscus 由
来、旭化成工業(株)製)の水溶液150ml(リン脂
質1g当り15ユニット)を加え、反応混合物の温度を
30℃に保ちながら14時間攪拌を続けた。反応後、反
応生成物を静置して溶剤層を分離した。溶剤層は減圧下
にて溶剤を留去した。得られた脂質混合物(17g)を
更にビーカーに移し、氷冷下で冷アセトン85mlを加
え、スパテルでつぶしながら不溶成分であるリン脂質を
分散させ、静置してアセトン液中にリン脂質を沈殿させ
た。このものをろ過し、得られたろ過ケークに対して上
記と同様にアセトン処理を二回繰り返し、リン脂質を含
む脂質混合物を得た。
ービーン)25gを50mM塩化カルシウム入りの0.
1M酢酸緩衝液(pH6)150gに加えて、常温で湿
式粉砕し、遠心分離(3000rpm、10分)によ
り、上澄み(抽出液)120gを得た。
ラスコに、市販大豆レシチン(商品名:SLP−ペース
ト、ツルーレシチン工業(株)製)25gをとり、上記
で調製した大豆粉砕抽出液120gを加えた。混合物を
攪拌しながら、これに酢酸エチル(250ml)を加
え、更に水32.5gを加え、攪拌を続けた。反応混合
物は30℃にて20時間攪拌した。反応生成物から酢酸
エチル(A)を除き、残渣(B)をクロロホルム/メタ
ノール(2/1、V/V)で二回抽出した。(B)を含
む抽出液をフォルチ分配に付し、先に得た(A)より酢
酸エチルを除去した残渣と合わせてクロロホルム/メタ
ノールを除去して、リン脂質生成物(リン脂質を含む脂
質混合物)22gを得た。
脂質生成物17gを更にビーカーに移し、氷冷下でアセ
トン85mlを加え、スパテルでつぶしながら不溶成分
であるリン脂質を分散させ、静置してアセトン液中にリ
ン脂質を沈殿させた。このものをろ過し、得られたろ過
ケークに対して上記と同様にアセトン処理を二回繰り返
し、リン脂質を含む脂質混合物を得た。
SLP−ペースト、ツルーレシチン工業(株)製)20
gを適当な容器にとり、エタノール100mlに加え、
40℃にてホモミキサで10分間攪拌した。遠心分離で
上澄みを取り除き、残渣対して更に同じ操作を3回繰り
返した。得られたエタノールを含んだリン脂質を減圧乾
燥し、リン脂質を含む脂質混合物を得た。
SLP−ペースト、ツルーレシチン工業(株)製)20
gを適当な容器にとり、エタノール100mlを加え、
40℃にてホモミキサで10分間攪拌した。遠心分離で
上澄みを取り除き、残渣に対して更に同じ操作を3回繰
り返した。得られたエタノールを含んだ残渣を減圧乾燥
した。乾燥物を氷上で冷却し、氷冷アセトンを100m
l加え、ホモミキサで10分間攪拌し、ろ紙でろ過し
た。ろ紙上のものをとりだし、これに対してアセトン処
理を三回繰り返した。得られたアセトンを含んだリン脂
質を減圧乾燥し、リン脂質を含む脂質混合物を得た。
脂質混合物の成分を以下の表1に示す。なお、脂質成分
の分析は、アセトン可溶分を除去した後のサンプルを二
次元薄層クロマトグラフィー(シリカゲルプレート(Ki
eselgel 、メルク社製))を用いて行った。展開溶媒と
しては、一次元:クロロホルム−メタノール−28%ア
ンモニア水溶液(65:35:5);二次元:クロロホ
ルム−アセトン−メタノール−酢酸−水(10:4:
2:2:1)を用い、分離した後掻きとり、クロロホル
ム−メタノール(2:1)で抽出し、溶剤除去後、秤量
して求めた。表1において、リン脂質は、以下の成分を
表す。 PC:ホスファチジルコリン PE:ホスファチジル
エタノールアミン PI:ホスファチジルイノシトール PA:ホスファチ
ジン酸 PS:ホスファチジルセリン L−PA:リゾホスフ
ァチジン酸
を用いて苦味の抑制試験を行った。苦味物質である塩酸
キニーネを用い、その水溶液(0.5mM)に上記実施
例1〜3及び比較例1〜2で得た各試料をその最終濃度
が0.3%(W/V)となるように添加した液剤を調製
した。また対照になにも添加しないものを用いた。得ら
れた各液剤の苦味の強度を、正常な味覚を有する健常人
男女10〜15名を選んで、被験者とし、下記の等価濃
度試験法を利用して官能評価を行った。結果を下記の表
2に示す。
予め苦味の強さが等間隔になるように基準液を作成して
おき、この基準液と上記で作成した液剤とを被験者の官
能評価により比較し、相当する苦味の強度をその平均値
で表す方法である。ここでは、基準液として、代表的な
苦味物質である硫酸キニーネにて苦味の強さを10段階
に調整したものを用いた。なお、味覚などの感覚強度
は、濃度の対数に比例するため、濃度間隔は一定ではな
いが、感じる苦味の強さは等間隔である。基準液を以下
に示す。 ──────────────────────────────────── 硫酸キニーネ濃度 硫酸キニーネ濃度 苦味強度 (mM)×102 苦味強度 (mM)×102 ──────────────────────────────────── 1 0.29 6 4.95 2 0.64 7 7.76 3 1.20 8 12.16 4 2.01 9 20.1 5 3.08 10 32.8 ────────────────────────────────────
溶剤分画後、次いでアセトン処理による中性脂質の除去
を行うことにより、苦味の抑制作用の強いリン脂質を得
ることができる。
去する、本発明の方法により、苦味、辛みなどの味覚に
対する抑制作用の強い苦味低減化剤を製造することがで
きる。特に、薬物等の強い苦味に対しては、従来のレシ
チンなどに比べ更に抑制効果の向上した材料が提供でき
る。
Claims (7)
- 【請求項1】 酸性リン脂質、中性リン脂質および中性
脂質を含む脂質混合物からなる原料を酵素分解及び/又
は溶剤分画して酸性リン脂質の含有量を高めた脂質混合
物を得る工程と、原料の脂質混合物及び/又は前記工程
で得られた脂質混合物から中性脂質を除去する工程とか
らなることを特徴とする苦味低減化剤の製造法。 - 【請求項2】 微生物及び/または植物由来の酵素を用
いて酵素分解を行う請求項1に記載の方法。 - 【請求項3】 ホスホリパーゼD、ホスホリパーゼC、
ホスホジエステラーゼ、酸性ホスファターゼ、及びアル
カリホスファターゼから選ばれる少なくとも一つの酵素
を用いて酵素分解を行う請求項1又は2に記載の方法。 - 【請求項4】 アルコール、含水アルコール、非極性有
機溶剤及びこれらの混合液から選ばれる溶剤を用いて溶
剤分画を行う請求項1に記載の方法。 - 【請求項5】 酸性リン脂質の含有量が35重量%以上
の苦味低減化剤を得る請求項1〜4のいずれかの項に記
載の方法。 - 【請求項6】 中性脂質の含有量が5重量%未満の苦味
低減化剤を得る請求項1〜5のいずれかの項に記載の方
法。 - 【請求項7】 中性脂質の除去をアセトン処理、又は膜
分離により行う請求項1〜6のいずれかの項に記載の方
法。
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JP6173316A JP2717510B2 (ja) | 1994-07-01 | 1994-07-01 | 苦味低減化剤の製造法 |
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JP6173316A JP2717510B2 (ja) | 1994-07-01 | 1994-07-01 | 苦味低減化剤の製造法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH089896A JPH089896A (ja) | 1996-01-16 |
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1994
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