JP2717510B2 - 苦味低減化剤の製造法 - Google Patents

苦味低減化剤の製造法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、苦味低減化剤の製造法
に関する。特に本発明は、所謂大豆レシチンなどの脂質
混合物を原料とし、これから酸性リン脂質を有効成分と
する苦味低減化剤を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】レシチンは、食品、医薬品など様々な分
野で利用されているが、工業的な利用では、安価に提供
できる大豆由来のものが多く利用されている。例えば、
界面活性剤としては、大豆粗原油から分離した、所謂ク
ルードレシチン(大豆レシチン)と称されるものが用い
られ、これは、一般に、リン脂質70〜65%、トリグ
リセリド、ジグリセリド、及びモノグリセリドなどから
なる中性脂質を含む大豆油33〜35%を主成分とし
て、その他に、脂肪酸、炭水化物、蛋白質、無機質、ス
テロール、及び色素などを含んだ組成(脂質混合物)で
ある。またこのレシチンをアセトン等の溶剤で中性脂質
等を除去した、所謂脱脂レシチン(高純度レシチン:リ
ン脂質分90%以上)は、健康食品、医薬品などとして
そのまま利用されている。
【0003】苦味物質を含んだ食品、医薬品は、数多く
あるが、特に医薬品においては、その殆どが苦味物質を
含んでいると言っても過言ではなく、これらの服用に際
し、苦味の除去は、製剤上の課題となっている。従来、
苦味の抑制は、苦味物質を錠剤、カプセルなどの剤型を
利用したり、あるいはシロップ剤などの液状の形態を利
用するなどの方法で苦味物質を遮蔽し、苦味を和らげる
方法が一般的に行われている。しかし、これらの方法で
は、強い苦味に対しては、充分な苦味抑制効果が得られ
ないばかりか、液状では、その効果も更に弱められると
の問題がある。
【0004】苦味を呈する薬物に対してレシチン又はケ
ファリンの単独、又はこれらの混合物が効果的な苦味抑
制作用を有するとの開示がある(特公昭55−8966
号公報、あるいは特開昭62−265234号公報)
が、ここで使用されているレシチンは、リン脂質成分と
してホスファチジルコリンを高濃度で含有量しているも
のである。このような高濃度のホスファチジルコリンの
取得には、一般には、上記のような大豆レシチンを原料
としてカラムクロマトグラフィーが利用されている。
【0005】大豆レシチンからホスファチジルコリンを
分画する目的で、カラムクロマトグラフィーを利用した
例として、坦体としてシリカゲルを用いる方法(特開昭
49−93400号公報、特開昭57−123194号
公報、同57−123196号公報)、また坦体として
アルミナを用いる方法(特開昭57−26548号、同
59−29694号、同61−191689号各公
報)、あるいは坦体として無極性多孔性樹脂を用いる方
法(特開昭60−197696号)などがある。
【0006】またホスファチジルコリンの濃縮を目的と
し、大豆レシチン中のリン脂質以外の他の成分である、
中性脂質、脂肪酸等の成分を効率的に除去する方法も知
られている。例えば、アセトン処理による方法(米国特
許第3268335号明細書)、アルコール(例えば、
エタノール)処理による方法(米国特許第294586
9号、同第2724649号、特公昭59−5263
号、特開昭59−51253号の各明細書又は公報)、
また含水アルコール、又はこれとn−ヘキサンのような
非極性有機溶剤とを組み合わせた2層分配系を用いる方
法(特開昭54−61200号公報、Fetle Seifen Ans
trichmittle,86、55〜(1984)、Bio Industr
y, 2,640〜(1985))などがある。しかし、
上記の方法は、何れも高純度のホスファチジルコリンを
得ることを目的としており、酸性リン脂質の濃縮を目的
としたものはない。また苦味の抑制等の味覚改質をうた
っているものもない。近年、限外濾過膜等を用いた膜分
離法によってリン脂質と油脂の分離が行われており、色
及び風味の良好なリン脂質が得られることが報告されて
いる。しかしながら、これらの方法においても酸性リン
脂質の濃縮を目的としたものはなく、また味覚改質をう
たっているものもない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、苦味
や辛みなどの味覚、特に薬物等の強い苦味に対しても優
れた苦味抑制作用を持つ苦味低減化剤を製造する方法を
提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者の検討による
と、苦味に対しては、リン脂質中の酸性リン脂質が有効
な苦味抑制作用を有していることが判明した。特に、所
謂大豆レシチンなどの脂質混合物を原料として酸性リン
脂質の含有量を高める操作と共に、中性脂質を除去して
その含有量を低減させる操作とを組み合わせて行うこと
により、本発明の目的とする、より強い苦味抑制作用を
有するリン脂質が得られることを見出し、本発明を完成
したものである。
【0009】本発明は、酸性リン脂質、中性リン脂質お
よび中性脂質を含む脂質混合物からなる原料を酵素分解
及び/又は溶剤分画して酸性リン脂質の含有量を高めた
脂質混合物を得る工程と、原料の脂質混合物及び/又は
前記工程で得られた脂質混合物から中性脂質を除去する
工程とからなることを特徴とする苦味低減化剤の製造法
にある。
【0010】本発明は、以下の態様であることが好まし
い。 (1)酸性リン脂質が、ホスファチジン酸、ホスファチ
ジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチ
ジルグリセロール及びそれらのリゾ体からなる群より選
ばれる少なくとも一種のリン脂質である。 (2)中性リン脂質がホスファチジルコリン、ホスファ
チジルエタノールアミン及びそれらのリゾ体からなる群
より選ばれる少なくとも一種のリン脂質である。 (3)酸性リン脂質の含有量が65重量%以上(特に7
0重量%以上)の苦味低減化剤を得る。 (4)中性脂質の含有量が4重量%以下(特に3重量%
以下)の苦味低減化剤を得る。 (5)中性脂質の除去をアセトン処理により行う。
【0011】以下に、本発明の苦味低減化剤の製造法に
ついて説明する。本発明の方法に用いられる原料は、酸
性リン脂質、中性リン脂質及び中性脂質を含む脂質混合
物である。脂質混合物は、天然物でも合成物でも良い。
天然物としては具体的には、前述したように大豆由来の
所謂大豆レシチンが有利に利用できる。大豆レシチン
は、通常酸性リン脂質、中性リン脂質、中性脂質、及び
糖脂質を主な成分として含んでいる。酸性リン脂質と
は、生理的食塩水(pH7.0)中で、総電荷が負に帯
電するものをいう。酸性リン脂質の例としては、ホスフ
ァチジン酸(PA)、ホスファチジルセリン(PS)、
ホスファチジルイノシトール(PI)、ホスファチジル
グリセロール(PG)及びそれらのリゾ体からなる群よ
り選ばれる少なくとも一種のリン脂質を挙げることがで
きる。また中性リン脂質の例としては、ホスファチジル
エタノールアミン(PE)、ホアスファチジルコリン
(PC)及びそれらのリゾ体からなる群より選ばれる少
なくとも一種のリン脂質を挙げることができる。
【0012】また上記の合成物としては、例えば、ジ−
又はモノ−グリセリン脂肪酸エステルと、五酸化二リン
あるいはオキシ塩化リン等のリン酸化剤との反応生成物
を挙げることができる。このようにして得られる合成物
に含まれるリン脂質は、例えば、トリホスファチジン酸
(tri-PA)、ビスホスファチジン酸(bis-PA)、ビ
スホスファチジル−モノ−ホスファチジン酸(bis-PA
−mono−PA)、ビスホスファチジル−リゾ−ホスファ
チジン酸(bis-PA−lyso−PA)、モノホスファチジ
ン酸(PA)及びリゾホスファチジン酸(lyso−PA)
等を挙げることができる。そして上記リン脂質の生成反
応においては、上記で挙げたリン脂質以外に、通常中性
脂質も同時に生成する。このため合成物においても、上
記リン脂質と中性脂質を含む脂質混合物として存在す
る。なお、上記のリン脂質のうち酸性リン脂質は、前記
のように生理的食塩水(pH7.0)中で、総電荷が負
に帯電するものをいい、例えば、bis-PA、bis-PA−
mono−PA、bis-PA−lyso−PA、PA及びlyso−P
A等を挙げることができ、また中性リン脂質の例として
は、tri-PAを挙げることができる。
【0013】上記のリン脂質の構成脂肪酸としては、同
一又は異種であって、炭素数8〜24の飽和又は不飽和
の脂肪酸であり、例えば、カプロン酸、カプリル酸、ラ
ウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン
酸、ベヘン酸、アラキジン酸、パルミトオレイン酸、オ
レイン酸、リノール酸、α−及びγ−リノレイン酸、エ
ルシン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、及び
ドコサヘキサエン酸等を挙げることができる。
【0014】本発明は、上記の脂質混合物を原料とし
て、これを酵素分解及び/又は溶剤分画して酸性リン脂
質の含有量を高めた脂質混合物を得る工程と、原料の脂
質混合物、あるいは前記工程で得られた脂質混合物から
中性脂質を除去する工程とからなる方法により実施する
ことができる。本発明において、中性脂質の除去は、酵
素分解及び/又は溶剤分画して酸性リン脂質の含有量を
高めた脂質混合物を得る工程の後に行うことが好ましい
が、予め原料の脂質混合物から中性脂質を除去し、その
後、酵素分解及び/又は溶剤分画して酸性リン脂質の含
有量を高めた脂質混合物を得る工程で実施してもよい。
あるいは中性脂質の除去を酵素分解及び/又は溶剤分画
する工程の前後の双方で実施しても良い。
【0015】本発明に用いられる酵素は、前記中性リン
脂質を分解し、酸性リン脂質に変換し得るものであれ
ば、その起源は限定されないが、微生物かつ/又は植物
由来の酵素が好ましく、例えば、ホスホリパーゼD、ホ
スホリパーゼC、ホスホジエステラーゼ、酸性ホスファ
ターゼ、及びアルカリホスファターゼの中から選ばれる
一種、又は二種以上との組み合わせを挙げることができ
る。特にホスホリパーゼD、あるいはホスホリパーゼD
と、ホスホリパーゼC、ホスホジエステラーゼ、酸性ホ
スファターゼ及びアルカリホスファターゼの中から選ば
れる一種、又は二種以上との組み合わせが好ましい。
【0016】酵素分解における上記酵素の使用量は、特
に限定されないが、一般にリン脂質1g当り、0.01
〜1000ユニット、好ましくは0.05〜100ユニ
ット、特に好ましくは0.1〜10ユニットである。な
お酵素活性単位のユニットとは、1分間に1μmolの
ホスファチジルコリンを加水分解する酵素量を表す。ま
た、上記酵素分解における反応温度は、酵素が失活しな
い温度を選択すれば良く、一般に5〜90℃、通常は、
20〜60の温度で行う。また反応時間は、酵素の使用
量によっても変わるが、通常は、2〜72時間で反応が
終了するように設定することが好ましい。
【0017】本発明において、上記酵素分解の代わりに
溶剤分画を行っても良いし、脂質混合物の組成によって
は酵素分解と溶剤分画とを組み合わせて行っても良い。
溶剤分画に用いることができる溶剤としては、例えば、
アルコール、含水アルコール、非極性有機溶剤及びこれ
らの混合液から選ばれる溶剤を挙げることができる。ア
ルコールとしては、炭素数1〜4の低級アルコールが好
ましく、安全性を考慮するとエタノールが好ましい。含
水アルコールは、30重量%以下、好ましくは、5〜2
5重量%の水分を含む低級アルコールが好ましい。また
非極性有機溶剤は、レシチンが可溶のものであれば、特
に限定されないが、人体への安全性を考慮して炭素数4
〜16の液状炭化水素が好ましい。これらの例として
は、ブタン、パンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタ
ン、デカン、ドデカン、テトラデカン、及びヘキサデカ
ン等のアルカンを挙げることができる。非極性有機溶剤
は、二種以上を混合して用いても良い。
【0018】本発明において、脂質混合物の使用量に対
する上記アルコールの使用量は、上記脂質混合物を構成
する成分などによっても異なるが、一般に、脂質混合物
の0.2〜100重量倍であることが好ましく、更に好
ましくは、0.5〜30重量倍、特に1〜10重量倍で
ある。
【0019】上記低級アルコールを用いた溶剤分画にお
いて、酸性リン脂質の濃縮は、脂質混合物中のPCやP
E等の中性リン脂質が低級アルコールに溶け易いことを
利用する。例えば、所謂大豆レシチンのように中性リン
脂質として、PC、PE、酸性リン脂質として、PI、
PAが主に含まれるものを原料として用いた場合、低級
アルコールによる抽出操作を繰り返すことにより、まず
脂質混合物中のPCの含有量が減り、続いてPEの含有
量が減少する。最終的に酸性リン脂質であるPI、PA
の含有量の高いものを得ることができる。
【0020】上記の溶剤分画は、液−液系で行っても良
い。すなわち、非極性有機溶剤と含水低級アルコールと
で液−液抽出を繰り返すことにより、酸性リン脂質を非
極性有機溶剤側に濃縮することができる。具体的には、
原料となる脂質混合物を、脂質混合物中のリン脂質の量
に対して0.1〜100重量倍(好ましくは、0.2〜
40重量倍)の非極性有機溶剤に溶解する。次いで得ら
れた非極性有機溶剤に対して5〜25重量%の含水低級
アルコール溶液を0.05〜14重量倍(好ましくは、
0.1〜1.5重量倍)の使用量で抽出することによ
り、酸性リン脂質を非極性溶剤側に濃縮することができ
る。
【0021】次に、酵素分解により副生する中性脂質、
あるいは副生する中性脂質と共に、原料に含まれていた
中性脂質を除去する。中性脂質の除去の具体的な手段と
しては、アセトン処理、あるいは膜分離を挙げることが
できる。特にアセトン処理が好ましい。アセトン処理に
おけるアセトンの使用量は、特に制限はないが、中性脂
質に対して0.1〜100重量倍であることが好まし
く、特に、1〜50重量倍であることが好ましい。アセ
トン処理によって中性脂質である、トリグリセリド、ジ
グリセリド、そしてモノグリセリドの成分、あるいは、
その他に含まれる、脂肪酸、ステロイド、カロチノイド
等の成分はアセトン液中に溶解する。一方アセトン不溶
成分である、酸性リン脂質などのリン脂質成分は沈殿す
る。沈殿部をろ過により取り出し、中性脂質の含有量の
低減したリン脂質を含む脂質混合物を得ることができ
る。中性脂質の含有量は、上記の操作を繰り返すことに
よって更に低減させることができる。本発明において
は、中性脂質の除去をアセトン不溶分の量が95%越え
るように、(さらに好ましくは、98%以上となるよう
に)行うことが好ましい。膜分離法としては、限外濾過
法を利用することができる。
【0022】上記のようなアセトン処理後、あるいは膜
分離後、得られた脂質混合物からアセトンを減圧乾燥な
どの方法で取り除き、中性脂質が除去され、酸性リン脂
質の含有量の高いリン脂質を含む脂質混合物を得ること
ができる。本発明の方法で製造された苦味低減化剤は、
脂質混合物中の酸性リン脂質の含有量は、35重量%以
上(更に好ましくは、60重量%以上、特に、70重量
%以上)であることが好ましい。また脂質混合物中の中
性脂質の含有量は、5重量%未満(更に好ましくは、4
重量%以下、特に3重量%以下)であることが好まし
い。更に、脂質混合物中の中性リン脂質の含有量は、5
0重量%以下(更に好ましくは、30重量%以下、特
に、10重量%以下)であることが好ましい。また、脂
質混合物中の中性リン脂質と酸性リン脂質との比率は、
2倍(中性リン脂質/酸性リン脂質)以下であることが
好ましく、更に好ましくは、1/2以下、特に1/5以
下、最も好ましくは1/50以下である。
【0023】
【実施例】以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明
を更に具体的に説明する。 [実施例1]攪拌装置を備えた500ml容量の4口フ
ラスコに、市販脱脂レシチン(商品名:SLP−W、ツ
ルーレシチン工業(株)製)20gをとり、0.1Mト
リス・塩酸緩衝液(pH6〜8)250mlを加え攪拌
した。これに更にヘキサン/酢酸エチル(2/1、V/
V)340ml加え、攪拌した。更に塩化カルシウム水
溶液(1M濃度)150mlを加え、次いで微生物起源
のホスホリパーゼD(Streptomyces Chromofuscus 由
来、旭化成工業(株)製)の水溶液150ml(リン脂
質1g当り15ユニット)を加え、反応混合物の温度を
30℃に保ちながら14時間攪拌を続けた。反応後、反
応生成物を静置して溶剤層を分離した。溶剤層は減圧下
にて溶剤を留去した。得られた脂質混合物(17g)を
更にビーカーに移し、氷冷下で冷アセトン85mlを加
え、スパテルでつぶしながら不溶成分であるリン脂質を
分散させ、静置してアセトン液中にリン脂質を沈殿させ
た。このものをろ過し、得られたろ過ケークに対して上
記と同様にアセトン処理を二回繰り返し、リン脂質を含
む脂質混合物を得た。
【0024】[比較例1] (油糧種子破砕物抽出液の調製法)中国産大豆(シルキ
ービーン)25gを50mM塩化カルシウム入りの0.
1M酢酸緩衝液(pH6)150gに加えて、常温で湿
式粉砕し、遠心分離(3000rpm、10分)によ
り、上澄み(抽出液)120gを得た。
【0025】攪拌装置を備えた500ml容量の4口フ
ラスコに、市販大豆レシチン(商品名:SLP−ペース
ト、ツルーレシチン工業(株)製)25gをとり、上記
で調製した大豆粉砕抽出液120gを加えた。混合物を
攪拌しながら、これに酢酸エチル(250ml)を加
え、更に水32.5gを加え、攪拌を続けた。反応混合
物は30℃にて20時間攪拌した。反応生成物から酢酸
エチル(A)を除き、残渣(B)をクロロホルム/メタ
ノール(2/1、V/V)で二回抽出した。(B)を含
む抽出液をフォルチ分配に付し、先に得た(A)より酢
酸エチルを除去した残渣と合わせてクロロホルム/メタ
ノールを除去して、リン脂質生成物(リン脂質を含む脂
質混合物)22gを得た。
【0026】[実施例2]上記比較例1で得られたリン
脂質生成物17gを更にビーカーに移し、氷冷下でアセ
トン85mlを加え、スパテルでつぶしながら不溶成分
であるリン脂質を分散させ、静置してアセトン液中にリ
ン脂質を沈殿させた。このものをろ過し、得られたろ過
ケークに対して上記と同様にアセトン処理を二回繰り返
し、リン脂質を含む脂質混合物を得た。
【0027】[比較例2]市販大豆レシチン(商品名:
SLP−ペースト、ツルーレシチン工業(株)製)20
gを適当な容器にとり、エタノール100mlに加え、
40℃にてホモミキサで10分間攪拌した。遠心分離で
上澄みを取り除き、残渣対して更に同じ操作を3回繰り
返した。得られたエタノールを含んだリン脂質を減圧乾
燥し、リン脂質を含む脂質混合物を得た。
【0028】[実施例3]市販大豆レシチン(商品名:
SLP−ペースト、ツルーレシチン工業(株)製)20
gを適当な容器にとり、エタノール100mlを加え、
40℃にてホモミキサで10分間攪拌した。遠心分離で
上澄みを取り除き、残渣に対して更に同じ操作を3回繰
り返した。得られたエタノールを含んだ残渣を減圧乾燥
した。乾燥物を氷上で冷却し、氷冷アセトンを100m
l加え、ホモミキサで10分間攪拌し、ろ紙でろ過し
た。ろ紙上のものをとりだし、これに対してアセトン処
理を三回繰り返した。得られたアセトンを含んだリン脂
質を減圧乾燥し、リン脂質を含む脂質混合物を得た。
【0029】以上のようにして得られたリン脂質を含む
脂質混合物の成分を以下の表1に示す。なお、脂質成分
の分析は、アセトン可溶分を除去した後のサンプルを二
次元薄層クロマトグラフィー(シリカゲルプレート(Ki
eselgel 、メルク社製))を用いて行った。展開溶媒と
しては、一次元:クロロホルム−メタノール−28%ア
ンモニア水溶液(65:35:5);二次元:クロロホ
ルム−アセトン−メタノール−酢酸−水(10:4:
2:2:1)を用い、分離した後掻きとり、クロロホル
ム−メタノール(2:1)で抽出し、溶剤除去後、秤量
して求めた。表1において、リン脂質は、以下の成分を
表す。 PC:ホスファチジルコリン PE:ホスファチジル
エタノールアミン PI:ホスファチジルイノシトール PA:ホスファチ
ジン酸 PS:ホスファチジルセリン L−PA:リゾホスフ
ァチジン酸
【0030】
【表1】 表1 ──────────────────────────────────── 脂質成分 実施例1 比較例1 実施例2 比較例2 実施例3 ──────────────────────────────────── (リン脂質) PC −− −− −− 2.0 3.5 PE −− 1.5 2.7 14.8 21.2 PI 9.3 5.5 10.0 9.5 19.1 PA 64.8 33.2 60.4 10.6 20.4 PS 0.1 0.1 0.2 0.1 0.1 L−PA 0.6 0.3 0.5 0.1 0.2 ──────────────────────────────────── 糖脂質 22.7 12.4 22.5 19.1 33.2 ──────────────────────────────────── 中性脂質 2.5 47.0 3.6 35.6 2.3 ────────────────────────────────────
【0031】上記で得られたリン脂質を含む脂質混合物
を用いて苦味の抑制試験を行った。苦味物質である塩酸
キニーネを用い、その水溶液(0.5mM)に上記実施
例1〜3及び比較例1〜2で得た各試料をその最終濃度
が0.3%(W/V)となるように添加した液剤を調製
した。また対照になにも添加しないものを用いた。得ら
れた各液剤の苦味の強度を、正常な味覚を有する健常人
男女10〜15名を選んで、被験者とし、下記の等価濃
度試験法を利用して官能評価を行った。結果を下記の表
2に示す。
【0032】(等価濃度試験法)等価濃度試験法とは、
予め苦味の強さが等間隔になるように基準液を作成して
おき、この基準液と上記で作成した液剤とを被験者の官
能評価により比較し、相当する苦味の強度をその平均値
で表す方法である。ここでは、基準液として、代表的な
苦味物質である硫酸キニーネにて苦味の強さを10段階
に調整したものを用いた。なお、味覚などの感覚強度
は、濃度の対数に比例するため、濃度間隔は一定ではな
いが、感じる苦味の強さは等間隔である。基準液を以下
に示す。 ──────────────────────────────────── 硫酸キニーネ濃度 硫酸キニーネ濃度 苦味強度 (mM)×102 苦味強度 (mM)×102 ──────────────────────────────────── 1 0.29 6 4.95 2 0.64 7 7.76 3 1.20 8 12.16 4 2.01 9 20.1 5 3.08 10 32.8 ────────────────────────────────────
【0033】
【表2】 表2 ──────────────────────────────────── サンプル(塩酸キニーネ0.5mM水溶液) 苦味の強度(平均値) ──────────────────────────────────── 無添加(コントロール) 9.2 ──────────────────────────────────── 実施例1の調製物を上記水溶液に0.3%(W/V)添加 3.2 ──────────────────────────────────── 実施例2の調製物を上記水溶液に0.3%(W/V)添加 3.4 比較例1の調製物を上記水溶液に0.3%(W/V)添加 8.0 ──────────────────────────────────── 比較例2の調製物を上記水溶液に0.3%(W/V)添加 8.5 実施例3の調製物を上記水溶液に0.3%(W/V)添加 4.5 ────────────────────────────────────
【0034】上記表2の結果から、酵素分解、あるいは
溶剤分画後、次いでアセトン処理による中性脂質の除去
を行うことにより、苦味の抑制作用の強いリン脂質を得
ることができる。
【0035】
【発明の効果】酸性リン脂質に富み、かつ中性脂質を除
去する、本発明の方法により、苦味、辛みなどの味覚に
対する抑制作用の強い苦味低減化剤を製造することがで
きる。特に、薬物等の強い苦味に対しては、従来のレシ
チンなどに比べ更に抑制効果の向上した材料が提供でき
る。

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸性リン脂質、中性リン脂質および中性
    脂質を含む脂質混合物からなる原料を酵素分解及び/又
    は溶剤分画して酸性リン脂質の含有量を高めた脂質混合
    物を得る工程と、原料の脂質混合物及び/又は前記工程
    で得られた脂質混合物から中性脂質を除去する工程とか
    らなることを特徴とする苦味低減化剤の製造法。
  2. 【請求項2】 微生物及び/または植物由来の酵素を用
    いて酵素分解を行う請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 ホスホリパーゼD、ホスホリパーゼC、
    ホスホジエステラーゼ、酸性ホスファターゼ、及びアル
    カリホスファターゼから選ばれる少なくとも一つの酵素
    を用いて酵素分解を行う請求項1又は2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 アルコール、含水アルコール、非極性有
    機溶剤及びこれらの混合液から選ばれる溶剤を用いて溶
    剤分画を行う請求項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】 酸性リン脂質の含有量が35重量%以上
    の苦味低減化剤を得る請求項1〜4のいずれかの項に記
    載の方法。
  6. 【請求項6】 中性脂質の含有量が5重量%未満の苦味
    低減化剤を得る請求項1〜5のいずれかの項に記載の方
    法。
  7. 【請求項7】 中性脂質の除去をアセトン処理、又は膜
    分離により行う請求項1〜6のいずれかの項に記載の方
    法。
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