JP2001199724A - 希土類元素酸化物、その製造方法および蛍光体 - Google Patents

希土類元素酸化物、その製造方法および蛍光体

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JP2001199724A JP2000343825A JP2000343825A JP2001199724A JP 2001199724 A JP2001199724 A JP 2001199724A JP 2000343825 A JP2000343825 A JP 2000343825A JP 2000343825 A JP2000343825 A JP 2000343825A JP 2001199724 A JP2001199724 A JP 2001199724A
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Masami Kaneyoshi
正実 金吉
Shigeru Sakai
酒井  茂
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 粒子形状や粒径のみならず、粒子内の微細構
造まで制御された、蛍光体原料などに適した各種粉体特
性を有する、希土類元素酸化物とその製造方法およびそ
れから得られる蛍光体を提供する。 【解決手段】 本発明の希土類元素酸化物は、粒子の細
孔容積が0.02cm3/g以下で、平均結晶子径が5
0nm以下である。希土類元素の水溶性塩の水溶液と蓚
酸水溶液とを混合して希土類元素蓚酸塩を沈殿させた
後、濾別、水洗し、反応開始から水洗までの間−5℃以
上15℃以下に保ち、濾別水洗して得られた蓚酸塩をい
ったん−25℃以下に冷却、凍結した後、凍結真空乾燥
によって水分を全乾燥物の20重量%以下まで減少させ
て後、焼成して製造される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特徴的な微細構造
(粒子内構造)を有する希土類元素酸化物、特には球状
希土類元素酸化物、その製造方法および該酸化物を用い
てなる蛍光体に関する。
【0002】
【従来の技術】希土類元素酸化物は、蛍光ランプ、CR
Tなどの蛍光体、セラミックス原料など幅広い用途に利
用されている。それらの中で、用途によっては、酸化物
の粒子形状や粒径を制御することで有用性が高まると考
えられる。そのような背景のもと、球状希土類酸化物粒
子を製造する技術として、希土類元素蓚酸塩の沈殿析出
を低温で行い、焼成することが特開平3−271117
号公報、特開平3−271118号公報に記載されてい
る。しかし、これらの公報による製造方法では、球状粒
子は得られるものの、高倍率の電子顕微鏡で観察する
と、表面が粗く、それに関連して実際に蛍光体とするた
めの処理をした後での特性、特に蛍光強度は必ずしも十
分ではなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
に鑑み、粒子形状や粒径のみならず、粒子内の微細構造
まで制御された、蛍光体原料などに適した各種粉体特性
を有する、希土類元素酸化物とその製造方法およびそれ
から得られる蛍光体を提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の希土類元素酸化
物は、粒子の細孔容積が0.02cm3/g以下であ
り、かつ平均結晶子径が50nm以下であることを特徴
としており、粒子の形状は球状をなしている。
【0005】本発明による上記希土類元素酸化物の製造
方法は、希土類元素の水溶性塩の水溶液(以下、単に希
土類水溶液と称する)と蓚酸水溶液とを混合して希土類
元素蓚酸塩を沈殿させた後、濾別、水洗し、反応開始か
ら水洗までの間−5℃以上15℃以下に保ち、次いで、
濾別水洗して得られた蓚酸塩をいったん−25℃以下に
冷却、凍結した後、凍結真空乾燥によって水分を、付着
水と結晶水とを合わせて全乾燥物の20重量%以下まで
減少させてから、焼成することを特徴としている。上記
希土類水溶液と蓚酸水溶液とを混合して希土類元素蓚酸
塩を沈殿させる際に、両水溶液のいずれか一方または両
水溶液に有機塩基を加えて反応させることもできる。本
発明の蛍光体は、上記希土類元素酸化物を用いて蛍光体
化処理することにより得られる。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明者は、上記課題を解決する
ために、低温での希土類元素蓚酸塩の析出反応条件、お
よび得られた蓚酸塩沈殿物の処理条件、さらに、得られ
た酸化物の各種特性を種々検討し本発明を完成したもの
である。以下、詳細に説明する。
【0007】本発明の希土類元素酸化物は、基本組成式
23で表され、RはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、
Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、L
u、Yからなる群より選ばれる少なくとも1種の希土類
元素を表している。ここで、該希土類元素酸化物の80
モル%以上、好ましくは85〜99モル%が、La、
Y、GdまたはLuからなる少なくとも一種の元素から
なることが、蛍光体原料として用いられる場合、可視領
域の光の吸収が無く光学的に透明になるため望ましい。
さらに、吸湿性が少ないことと、資源的な問題を考慮す
ると、上記主成分としてはYまたはGdがより望まし
く、特にYが最も望ましい。本発明の希土類元素酸化物
は、この残量として上記以外の希土類元素酸化物を含有
する。その中で、Ce、Sm、Eu、Tb、Dy、Tm
が賦活剤として働くので、蛍光体原料として用いるのに
良く、特に赤色の発光を与えるEuと、緑色の発光を与
えるTbが最も望ましい。また、セラミックス原料、焼
結助剤として用いる場合は、希土類元素としてGd、T
b、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Yの中から
1種類以上選択して用いるとよい。
【0008】本発明者は、希土類元素酸化物の微細構
造、すなわち粒子内構造について鋭意検討したところ、
粒子が緻密かつ球状の形状を有し、つまり蛍光体原料と
しては粒子の細孔容積が少ないことが望ましく、細孔容
積が0.02cm3/g以下であれば、蛍光体原料とし
て融剤で処理する際に融剤が過度に粒子内部に浸透する
ことが抑制され、蛍光体としての特性に望ましい影響を
与えることを見出した。特には、粒子の細孔容積を0.
003〜0.01cm3/gとすることが本発明では望
ましい。酸化物粒子の形状が球状であれば、さらに有効
である。この細孔容積は、液体窒素の沸点(−196
℃)における窒素ガスの吸着挙動を調べることにより求
められる。
【0009】一方、例えば非常に高い温度で焼成して得
た希土類元素酸化物や、あるいは仮に希土類元素酸化物
を融解、再凝固させるような方法で得られる粒子は、細
孔容積は小さいが、反応性に乏しいためか、蛍光体原料
として、融剤を加えて焼成しても、発光強度の向上が少
なく、したがって得られる蛍光体の特性は不満足なもの
となる。また、他の酸化物、たとえば酸化アルミニウ
ム、酸化ケイ素、酸化バナジウムなどと、場合により融
剤を加えて、複合酸化物化して蛍光体として用いる場合
も、反応性の低さに関係してか、十分な特性は得られに
くい。希土類元素酸化物が融剤処理などに対して必要な
反応性を有しているか否かを判定する目安として、X線
回折での回折線の線幅から、下記 Scherrer の式を用い
て求められる平均結晶子径D(nm)がその指標にな
る。D=λ/(β×cosθ)ここで、λは回折させた
X線の波長(nm)、βは回折線の角度広がり幅(ra
d)、θは回折線に対応する回折角(直接測定されるの
は通常2θ)である。この結果、上述の必要な反応性を
有する希土類酸化物は、平均結晶子径Dが50nm以下
のときに得られ、特には20〜45nmのときに得られ
るものが望ましい。
【0010】また、本発明において、希土類元素酸化物
の粒子形状が球状とは、電子顕微鏡によって観察した際
に、ほとんど全ての粒子が、独立して存在し、かつほぼ
球状に見える、つまり投影された形状が円か、それに近
い楕円であるということを意味している。
【0011】次に、上記のような特性を満たす希土類元
素酸化物の製造方法について、全体の工程を蓚酸塩の沈
殿を析出させる工程、沈殿を乾燥させる工程、そして乾
燥物を焼成して酸化物にする工程の3つに分けて説明す
る。沈殿析出工程では、第一の方法として、希土類水溶
液(希土類の水溶性塩の水溶液)に、これを撹拌しなが
ら別に調製した蓚酸水溶液を注ぎ込んで、希土類元素蓚
酸塩を沈殿させた後、濾別、水洗する。このとき反応開
始から水洗までの間、液の温度を−5℃以上15℃以下
に保つ方法である。なお、希土類元素の水溶性塩として
は、硝酸塩、塩化物、硫酸塩、酢酸塩などを用いること
が出来るが、最も好ましいのは硝酸塩である。
【0012】希土類水溶液中の希土類元素の濃度は、
0.02〜1.0モル/dm3が望ましく、0.02モ
ル/dm3より低濃度では生産性が悪く、1.0モル/
dm3を超える高濃度では異形粒子が混入するおそれが
ある。蓚酸水溶液の濃度は、0.01〜0.5モル/d
3が望ましい。0.5モル/dm3を超えると、水溶液
の調製温度において未溶解の蓚酸結晶が析出してくる可
能性があり、その場合所望の品質を有する製品が得られ
にくい。また、0.02モル/dm3より低濃度では液
量が無用に増えるだけであり、廃液の容量が増すので好
ましくない。
【0013】蓚酸と希土類元素の量の関係は、蓚酸/希
土類元素のモル比で、1.5〜2.0が良い。化学量論
的には、生じる蓚酸塩がR2(C243であることを考
えると、この比は1.5であり、これより少なければ希
土類元素の収率がより悪くなり、2.0を超えて増やし
てもそれ以上の収率の向上は見られない。液を混合する
順序は、上述したように、蓚酸を希土類水溶液に加える
方がその反対よりも、非球状微粒子の生成のおそれが少
ない。反応液の温度は、−5℃未満では凍結のおそれが
あり、15℃を超えると、異形粒子を生じるおそれがあ
り、共に好ましくない。本発明では、水溶液を添加混合
する際、粒径をなるべく均一にするために、10分以内
に全量を混合させるとよい。
【0014】沈殿析出工程の第二の方法は、希土類水溶
液と、蓚酸水溶液とを混合し反応させる際に、有機塩基
を共存させる方法である。具体的には、両水溶液を混合
して希土類元素蓚酸塩を沈殿させる際に、両水溶液のい
ずれか一方又は両水溶液に有機塩基を加えておき、かつ
反応開始から濾別、水洗までの間、液の温度を−5℃以
上15℃以下に保つ方法である。希土類元素水溶性塩の
種類、蓚酸水溶液の濃度、蓚酸と希土類元素の量的関係
に関しては、上記第一の方法と同様であるが、希土類水
溶液中の希土類元素濃度は、第一の方法で述べた範囲を
超えて、2.0モル/dm3まで許容できる。
【0015】上記第二の方法において共存させる有機塩
基としては、塩基性の強さ、安全性、作業性から考えて
トリエタノールアミン等のエタノールアミン類、ヘキサ
メチレンテトラミン、尿素などが望ましく、中でもトリ
エタノールアミンが最も良い。加える量は、希土類元素
1モルあたり2モル以下が良い。これを超えて添加する
と、異形粒子の混入のおそれがある。有機塩基を加える
に際しては、希土類水溶液、蓚酸水溶液のいずれか一方
あるいは両水溶液に加えても良い。また、液を混合する
順序も、上記第一の方法に限らず、どちらが先でも良い
が、蛍光体原料として、より良い特性を持つ希土類元素
酸化物を安定して得るには、有機塩基を加えた蓚酸水溶
液に、これを撹拌しながら希土類水溶液を注ぎ込む方法
が適している。また、沈殿を濾別後水洗する際の水は、
第一の方法、第二の方法ともに15℃以下であることが
望ましい。
【0016】次に、沈殿物の乾燥工程について説明す
る。本発明では、乾燥工程での球状粒子の形状保持のみ
ならず、すでに述べたような、蛍光体原料としてふさわ
しい各種の特性、特に細孔容積および平均結晶子径を実
現するために、処理条件に種々検討を加え完成したもの
である。以下、具体的に述べる。
【0017】まず、蓚酸塩沈殿を濾別・水洗後いったん
−25℃以下、好ましくは−50〜−30℃に冷却し、
凍結し、10分以上保持するとよい。この冷却・凍結は
凍結真空乾燥機内で、乾燥に先立って、沈殿物の温度を
監視しながら行うのが便利である。この際、冷却が充分
でないと、目標とする酸化物特性が得られない。次に、
被乾燥物を10℃以下、好ましくは0℃以下に保ち、系
を真空引きする。この際、圧力は、300Pa以下、さ
らに望ましくは150Pa以下にする。圧力が300P
aを超えると、被乾燥物の温度が上がりやすく、品質に
悪影響を与える。乾燥装置としては、例えば、庫内に1
〜数段の加温可能な棚段を設け、庫内全体を真空引き可
能な構造としたものが挙げられる。この棚段の上に、蓚
酸塩沈殿物を入れた金属製容器を静置して、乾燥を行
う。棚段の加熱温度は、100℃以下が望ましい。乾燥
の程度としては、水分を、付着水と結晶水とをあわせて
全乾燥物の20重量%以下、好ましくは5〜18重量%
まで減少させることが必要である。これより多くの水分
を残していると、次の焼成工程の間に、粒子の表面が粗
くなるなどの好ましくない変化を生じる可能性がある。
【0018】最後の焼成工程は、乾燥した蓚酸塩を焼成
して酸化物にする工程である。焼成は、大気中で、最高
到達温度700〜1100℃で行う。700℃未満で
は、蓚酸塩の分解と酸化物への変化が不完全になる可能
性があり、1100℃を超えると、平均結晶子径が大き
くなりすぎると共に、焼成容器、焼成炉発熱体等に損傷
が起こりやすい。より望ましくは、800〜950℃で
ある。本発明で得られる希土類元素酸化物は特に蛍光体
原料として有効であるが、これに限らずセラミックス原
料、焼結助剤等にも活用できる。特に蛍光体原料とする
場合、目的とする用途(赤、青、緑等)により本発明の
希土類酸化物を選択して複合使用し、必要に応じて、リ
ン酸、ホウ酸等の添加材を配合することができる。
【0019】
【実施例】以下、本発明の実施形態を実施例と比較例を
挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるもので
はない。 [酸化物の製造] [実施例1]合計希土類元素濃度0.2モル/dm3
pH1.3で、Y/Euのモル比が0.95/0.05
である、混合硝酸塩水溶液1.2dm3をバッフル、温
度計、撹拌羽根を取り付けた3リットルビーカー中に仕
込み、5℃に保った。濃度0.25モル/dm3の蓚酸
水溶液1.5dm3を別に調製して5℃に保った。40
0rpmで撹拌しながら、混合硝酸塩水溶液に蓚酸水溶
液全量を約5分間で加えた。さらに5分間撹拌を続けた
後ブフナー漏斗でろ別した。漏斗上のケーキを8℃の純
水1.5dm3で振り掛け洗浄した。
【0020】水切り後、素早くケーキをアルマイト製の
トレイに、厚さおよそ1cm程度でなるべく均一に充填
し、棚段の冷却、加熱が可能な共和真空技術(株)製の
凍結乾燥装置の乾燥庫に移した。温度計をケーキ内に挿
入して温度を監視しながら、棚段の冷却を行い、ケーキ
の温度が−33℃になるまで冷却した。その後、庫内に
直結したコールドトラップを−40℃に冷却してから、
棚段の冷却を止め、庫内の真空引きを行い、庫内圧力を
15Paとした。ここから、棚段を徐々に加熱してい
き、4時間後に棚段の温度が50℃に到達した後は、棚
段の温度は一定に保った。時間の経過と共に、ケーキの
温度は、開始時−33℃、1時間後に−34℃、2時間
後に−25℃、3時間後に−23℃、4時間後に−1
℃、6時間後に−10℃、8時間後に−2℃、10時間
後に8℃、12時間後に25℃と変化した。加熱開始か
ら12時間真空引きを続けたところで、棚段の加熱と真
空引きを止め、庫内を大気に開放し、乾燥物を取り出し
た。この時点で乾燥物から一部採取したものを分析した
ところ、結晶水と付着水を合わせた水分量は10.5重
量%であった。
【0021】次に、乾燥物を石英製の皿に移し、電気炉
中大気雰囲気で900℃まで2時間かけて加熱し、この
温度で1時間保持して焼成した後、送風自然冷却した。
得られたEu固溶酸化イットリウムは、電子顕微鏡で観
察すると、全てが良く分散した球状粒子からなってい
た。
【0022】[実施例2]蓚酸濃度0.4モル/dm3
で、トリエタノールアミン60gを含む蓚酸水溶液2d
3を調製し、バッフル、温度計、撹拌羽根を取り付け
た3リットルビーカー中に仕込み、5℃に保った。合計
希土類元素濃度1.0モル/dm3、pH1.2で、Y
/Tbのモル比が0.95/0.05である混合硝酸塩
水溶液500cm3を別に調製し、トリエタノールアミ
ン10gを加えて混合した後、5℃に保った。400r
pmで撹拌しながら、蓚酸水溶液に混合硝酸塩水溶液全
量を約5分間で加えた。さらに5分間撹拌を続けた後ブ
フナー漏斗でろ別した。漏斗上のケーキを8℃の純水3
dm3で振り掛け洗浄した。以降の操作は実施例1と同
様に行い、Tb固溶酸化イットリウムを得た。なお、途
中採取した乾燥蓚酸塩の含水量を実施例1と同様に分析
したところ、11.4重量%であった。得られた酸化物
は、電子顕微鏡で観察すると、全てが良く分散した球状
粒子からなっていた。
【0023】[比較例1]沈殿析出工程から沈殿の水洗
までを実施例1と同様に行った後、さらにブフナー漏斗
上のケーキを7℃のメタノール3dm3で洗浄して水分
を除去後、送風乾燥機中室温で24時間乾燥した。この
時点で乾燥物から一部採取したものを分析したところ、
結晶水と付着水をあわせた水分量は24.5重量%であ
った。次に、乾燥物を実施例1と同様に900℃で焼成
した。得られたEu固溶酸化イットリウムは電子顕微鏡
で観察すると、良く分散した球状粒子からなっていた
が、実施例1または実施例2と比べると、表面に凸凹が
多いように見えた。
【0024】[比較例2]比較例1で得られた乾燥物
を、石英製の皿に移し、電気炉中大気雰囲気で1150
℃まで2時間30分かけて加熱し、この温度で1時間保
持して焼成した後、送風自然冷却した。得られたEu固
溶酸化イットリウムは電子顕微鏡で観察すると、良く分
散した球状粒子からなっていたが、実施例1または実施
例2と比べると、表面に凸凹が多いように見えた。
【0025】[比較例3]沈殿析出工程から沈殿の水洗
までを実施例2と同様に行った後、さらにブフナー漏斗
上のケーキを7℃のメタノール3dm3で洗浄して水分
を除去後、送風乾燥機中室温で24時間乾燥した。この
時点で乾燥物から一部採取したものを分析したところ、
結晶水と付着水をあわせた水分量は23.6重量%であ
った。次に、乾燥物を実施例2と同様に900℃で焼成
した。得られたTb固溶酸化イットリウムは電子顕微鏡
で観察すると、良く分散した球状粒子からなっていた
が、実施例1または実施例2と比べると、表面に凸凹が
多いように見えた。
【0026】(比較例4)比較例3で得られた乾燥物
を、石英製の皿に移し、電気炉中大気雰囲気で1150
℃まで2時間30分かけて加熱し、この温度で1時間保
持して焼成した後、送風自然冷却した。得られたTb固
溶酸化イットリウムは電子顕微鏡で観察すると、良く分
散した球状粒子からなっていたが、実施例1または実施
例2と比べると、表面に凸凹が多いように見えた。
【0027】[希土類元素酸化物の評価]実施例1、
2、比較例1〜4で得られた希土類元素酸化物の細孔容
積を−196℃における窒素ガスの吸着によって求め
た。また、平均結晶子径を粉末X線回折の回折線幅から
求めた。さらに、実施例1、比較例1、2のEu固溶酸
化イットリウムを、融剤と混ぜて焼成し、赤色発光蛍光
体とする試験を次のように行った。各希土類元素酸化物
20gを塩化バリウム二水和物(BaCl2・2H2O)
0.2g、ほう酸(H3BO3)20mgと、乳鉢で混合
した後、アルミナ坩堝に入れ、ガスの抜ける口が残るよ
うに蓋をかぶせて、大気中1350℃で5時間焼成し
た。焼成物を坩堝から掻き出し、乳鉢で軽くほぐした
後、水中でアルミナ球(直径約5mm)を用いて湿式解
砕した後、乾燥して蛍光体を得た。この蛍光体の発光
を、蛍光分光光度計F−4000(日立製作所製)を用
いて測定した。波長254nmの紫外光によって励起し
たときの波長611nmの発光ピーク強度を輝度とし
て、実施例1のものの強度を1とする相対比較を行っ
た。
【0028】また、実施例2、比較例3、4のTb固溶
酸化イットリウムについても、緑色発光アルミン酸塩蛍
光体合成に用いる試験を次のように行った。各希土類元
素酸化物10gを酸化アルミニウム(大明化学製)7.
4g、弗化バリウム0.4gと、乳鉢で混合した後、ア
ルミナ坩堝に入れ、ガスの抜ける口が残るように蓋をか
ぶせて、水素が1体積%で残部が窒素である雰囲気中1
350℃で5時間焼成した。焼成物を坩堝から掻き出
し、乳鉢で軽くほぐした後、水中でアルミナ球(直径約
5mm)を用いて湿式解砕した後、乾燥して蛍光体を得
た。この蛍光体の発光を、上記蛍光分光光度計を用いて
測定した。波長365nmの光によって励起したときの
波長545nmの発光ピーク強度を輝度として、実施例
2のものの強度を1とする相対比較を行った。これらの
結果を表1に示す。本発明の、希土類元素酸化物を用い
ることにより、蛍光体の輝度が向上することが認められ
る。
【0029】
【表1】
【0030】
【発明の効果】上記構成からなる本発明の希土類元素酸
化物は、形状が球状で、蛍光体原料として望ましい優れ
た特性を有し、確実かつ効率的に製造できるようにな
り、工業上の有効性は極めて高い。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粒子の細孔容積が0.02cm3/g以
    下であり、かつ平均結晶子径が50nm以下であること
    を特徴とする希土類元素酸化物。
  2. 【請求項2】 前記粒子の形状が球状である請求項1に
    記載の希土類元素酸化物。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の希土類元素酸
    化物を製造する方法であって、希土類元素の水溶性塩の
    水溶液と蓚酸水溶液とを混合して希土類元素蓚酸塩を沈
    殿させた後、濾別、水洗し、反応開始から水洗までの間
    −5℃以上15℃以下に保ち、次いで、濾別水洗して得
    られた蓚酸塩をいったん−25℃以下に冷却、凍結した
    後、凍結真空乾燥によって水分を、付着水と結晶水とを
    合わせて全乾燥物の20重量%以下まで減少させてか
    ら、焼成することを特徴とする希土類元素酸化物の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 前記希土類元素の水溶性塩の水溶液と蓚
    酸水溶液とを混合して希土類元素蓚酸塩を沈殿させる際
    に、両水溶液のいずれか一方または両水溶液に有機塩基
    を加えて反応させる請求項3に記載の希土類元素酸化物
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1または2に記載の希土類元素酸
    化物を用いて蛍光体化処理してなることを特徴とする蛍
    光体。
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